2024年5月31日金曜日

チープフレーション、シュリンクフレーションに続いてストレッチフレーション

 


 インフレに加速がついてくるにしたがって、商品価格の上昇を少しでも抑えるために?、あるいは販売価格を据え置きにするために、パッケージの内容量を減らしたり、原料の質を落としたりするチープフレーションやシュリンクフレーションが問題にされ、フードウォッチ(食品分野の製品に対する安全で健康的で適正価格の透明化を求め、人にも環境にも害を及ぼさないために消費者への情報を提供し闘うNGO団体)が、問題のある商品、メーカーを名指しして、ピンポイントで、指摘し、製造元メーカーに異議を申し立てたりしていたことが一時、話題になっていました。

 チープフレーション、シュリンクフレーションなど、いつもは、そんなに内容量など注意して買い物していなかったので、それ以来、少しは気をつけるようになりました。

 あれ?なんか、これ小さくなってない?と目に見えるほど違っていることは、あまりないのですが(そもそも目立たないようにやっているのだろうけど・・)、エシレバターの小さいサイズのものが125gから100gに変わっていたのは、さすがに「ちっちゃ!」となり、苦笑しました。

 まさに手を変え品をかえ、製造元メーカーの騙し比べといった感じで、ウンザリしますが、どちらにしても、ごまかされる感じは消費者としては不愉快です。

 それがまた今度は、「ストレッチフレーション」というのを聞いて、手を変え品を変えのまた別パターンで、内容量を増やして、割引をするのですが、実質的には値上がりしているというもので、この「ストレッチフレーション」という言葉は今回初めて知りました。

 ファミリーサイズは実はお得ではないパターンがあるというのと一緒で、メーカーが店頭での価格引き上げを偽装するために、内容量を増やして、一見、余計に割引しているように見せて、実は着実に内容量より値上げ率の方がずっと高くなっているというやり方です。

 よく内容量「60g増!」などと大仰に赤文字がついていたりして、実際には内容量15%増で、価格は35%あがっているなどという、錯覚を利用した騙しのテクニックのようです。

 よくよく見れば、きちんと内容量も金額も記載されているどおりなので、騙しているわけではなく、よく見ていない方が悪いということになるのかもしれませんが、これらの手口は食料品では頻繁に行われていることのようです。

 最近、よく見るのは2個買うと3個目が半額とか無料とか、そういった類のものが多くなって、一人の私は、そんなにいらないので、この手の恩恵に預かることはありませんが、それでも、時々、買い置きできるものに関しては、この3個目が割引もしくは無料になった場合の1個あたりの金額を計算しなおし、1個の値段はこれだけだから・・これなら安いかも?と思えば、たまに買うことはあります。自分でもよくよく疑い深いと思います。

 そのうえ、必ずしもレジを通したときに、表示どおりに割引されていない場合もあるので、その表示の写真を撮り、苦情の準備までします。あるいは、セルフレジの場合などは、それだけ別会計にして、しっかり表示どおりの割引になっていなければ、キャンセルします。

 まったく、自分でも、ちょっとの買い物に執念深い嫌な客だと思いながらも、騙されるのは、悔しいのです。いったん、支払ってしまって、「ちゃんと割引されていない」などと苦情を言っても、返金はしてくれますが、「受付に行って手続きしてもらって!」などと言われて、すごく面倒くさいので、できるだけ被害は最小限にとどめたいのです。

 私はどちらかといえば、ざっくり勘定のタイプだったので、フランスに来て以来、しばらくは、まるでレジを信じ切っていたのですが、ある時から、スーパーで野菜を測りステッカーを自分で張るのにも、その出てくるステッカーのキロ当たりの値段が違っていることをそばにいたおばさんに気を付けて!それ値段違っているわよ!と注意されたり、また、割引と書いてあるから、当然、割り引かれていると思って支払っていたら、あとでレシートをよく見たら、全く割引になっていなかったりということがあってからは、もう全てに対して疑い深くなりました。

 結局、あとで、「え~?うそ?騙された~~!」と嫌な気持ちになりたくないので、自己防衛の一種の哀しいフランス生活の知恵です。


ストレッチフレーション


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2024年5月30日木曜日

子どものお稽古事 習い事

  


 絶賛子育て中の女性たちの会話を小耳にはさんで、特にまだ小さい子どもを持つママたちは、子どもに何をやらせてあげればよいのか?子どもにとって良い教育とはどんなことなのか? とっても一生懸命に話をしているのを聞いて、なんだか、昔の自分の子育てをしていた頃を思い出し、「私もなんかもう、無条件に必死だったな・・」と、なんか、そんなママたちを見て、「そうだよね・・子どもに少しでもよいことをさせてあげたいよね・・わかるわかる・・がんばれ!」という、なんかそのママたちがとても愛おしいような気持ちになりました。

 私の場合は、とにかく何よりも娘には日本語をしっかり身につけてほしかったので、娘に一番、最初に始めたのは日本語の教育でした。私の最優先事項は決まっていたので、とにかく私は娘には日本語のみで話し、日本語の絵本を毎晩、夜2冊を読み聞かせをし、日本語の単語のカードなどを自分で作ったりして日本語を教えていました。

 まずは、日本語の読み書きができるだけ億劫に感じにくくなるようにと、フランスの学校(実際には幼稚園ですが、フランスでは学校扱い)が始まるまえには2歳で公文に通い始め、えんぴつの持ち方から日本人の先生に(私以外の日本人の人からということも大切だと思って)日本語で教わり、最初は線を引くところから始まり、それから毎週1回、当時はシャンゼリゼにあった教室にしばらく通い、その後はオペラ座近辺の教室に通いました。公文は本当は週2回通えるのですが、スケジュール的に無理だったので、1週間分の宿題をもらって週1にしてもらっていました。

 送り迎えも大変でしたが、毎日の宿題をやらせるのがホント、大変でした。毎日、毎日の積み重ね・・我ながらよく続いたものだと感心します。これらのことは、私が子どもの頃に母から受けた英語教育にちょっと通ずるところもある気がしています。

 私が子どもの頃は、母が私に少しずつ英語を教えてくれていたので(これは外に習いに行ったわけではなく母がずっと教えてくれました)、毎晩、寝る前には英語のお話のテープを聞きながら、ベッドに入るようになっていたので、子どもの頃はそのお話を英語で暗唱できたりしました。小さい頃だったからこそ、できたことです。

 しかし、娘には私も少しだけ英語を教えかけたこともあったのですが、途中でギブアップ、ただし、夫が存命中は夫とは英語で話すようにしていたので、そこに娘がフランス語で割って介入してくることはあったので、ある程度は聞き取れていたかもしれません。

 そして、娘には、私の小さい頃の憧れもあり、バレエをやらせたいと思っていました。もともとは、ほんとに親の勝手な趣味的発想です。しかし、パリにいるからこそ、そんなに高くない月謝で、しかもラッキーなことに先生は、元オペラ座でソロで踊っていたバレエダンサーでした。

 パリで女の子のお稽古事といえば、バレエは定番なのですが、そんなこととは関係なく、これは、単に、私が子どもの頃にやりたかったのにできなかった・・という私の勝手な希望でした。最初、娘はあまり乗り気ではなく、「じゃあ、一回、行ってみて、嫌だったら、やめよう!」と連れて行ったら、娘はたった1回で「やっぱりやりたい!」と変わりました。

 それが4歳くらいだったと思います。当時、娘はピンクのお年頃で、もう何から何までピンクがいいという頃、ピンクのチュチュを着た、ちっちゃなナルシスト集団みたいなところでしたが、結局、彼女は高校に入るくらいまで続けていました。

 日本語はともかくバレエは特に将来なにかにはっきりと役立つというものでもないのですが、しいて言えば、バレエというものはあらゆるダンスの基本のようなものでやってみると地味にキツいもので、しいて言えば、体幹が鍛えられ、姿勢よく成長できたかもしれません。

 私はずっとフルタイムで働いていたので、とにかくどこへ行くにも送り迎えが必用なフランス(小学校卒業までは)で、彼女のお稽古事は私が送り迎えができる日に集中させる必要があり、これ以上は無理でした。

 水泳等は、休みの日、時間が空いていると近所の市民プールに連れていき、私が教えていたので、娘は、しっかり泳げるようになっていました。ただ、ある時、(8歳くらい?)夫が急に水泳をやらせたいと言い出し、自分が送り迎えをするからと、平日の夕方の時間で週1で水泳のクラスに通わせていたこともありました。

 その他には、学校の合宿等で、乗馬をやっていたこともあったし、これまた学校の中のアクティビティでフェンシングなどのコースを取っていたこともありました。フェンシングなどは、これは、性格的にも合ってるのでは?と私は思っていたものの、1年のみで、やっぱりあんまり好きじゃない・・と彼女はあっさりやめてしまいました。

 その後、夏休みや冬休みのコロニーでは春には乗馬の合宿、夏にはサーフィンやダイビングなどのマリンスポーツ、冬にはスキーと、お稽古事というわけではありませんが、色々なスポーツに触れさせることができました。

 これらのコロニー合宿は夫が亡くなってからの話で、長い夏休みをはじめとする学校のバカンスに私一人でお休みをとって付き合いきれなかった苦肉の策で、夫の元同僚だった人が、財務省(夫の勤務先)の職員の遺族補助が使えるから、通常よりもずいぶん安く行かせてあげられると紹介してくれたもので、まさに不幸中の幸いで、おそらく娘にとっては、私と過ごすよりも豊かな体験ができたのではないか?と思っています。

 ただ一つ、心残りといえば、心残りなことは、私が小さい頃からお稽古事としてやらせてもらってきたピアノをやらせてあげられなかったことで、当時、絶対音感は小さいうちに訓練しないと・・などと思っていたので、小さい頃に私自身が娘にピアノを教え始めていたのですが、どうにも彼女はピアノが楽しくないらしく、どんなに動いても決して音を上げない娘がピアノに関しては、すぐに「手が痛くなっちゃった・・」と言い始め、音に関しても、音ではなく、鍵盤の位置を数えて覚えようとする不思議な子で、他のスケジュールがキツキツだったこともあり、私は早々に「時間の無駄だ・・」と諦めてしまったのです。

 今から思えば、それをどう楽しく感じさせることができるのか?というのが親の力量だったのかもしれませんが、私には、当時、そんな余裕がありませんでした。

 後に「のだめカンタービレ」というドラマが流行ったときに、娘は「やっぱりピアノやりたかった・・」などと言っていたことがありましたが、結局、お稽古事とか習い事は、本人がやっていて楽しいかどうか?というのが続けられるかどうかの判断基準なのではないか?とも思います。

 「好きこそものの上手なれ」とか言いますが、なにをするにしても一定の努力が必用ですが、好きなこと、好きなものであれば、その努力がしやすいということで、それは、お稽古事に限らず、学業の専攻や職業を選択する際にも、よい判断基準なのかもしれないと思っています。

 その子どもの特性によって、合う合わないは色々あると思うので、一概にどのお稽古事がよいということも言えないと思いますが、とにかく少しでもとっかかりのあるものをとりあえず、やらせてみて、続けられるかどうか?本人が楽しんでできるかどうか?ということを試してみるのがよいかと思います。

 とりあえず、私が一番、優先的に考えていた日本語教育に関しては、小さい頃は、「日本語のできない子は日本に連れていけない」と言って、日本行きを餌にして、好き嫌いにうむをいわせない感じにして、とにかくやるのがあたりまえ・・という雰囲気になっていました。

 今となれば、私の念が通じ、彼女は日本でフランスの会社で日本語、フランス語、英語を使って仕事ができているので、結果的には、日本語教育はまことに頑張って続けた甲斐のあった習い事?となりましたが、結果として、はっきり見えるカタチではなくても、小さい頃に色々なことを経験し、一定の期間続けるということは、なんらかの意味があることだと思っているので、忙しい暮らしの中で送り迎え等、頑張っているママさんたちには、エールを送りたいと思います。

 本当に子どもの頃、スポンジのように様々なことを学習する、体験する時期をどのように過ごすかということは、その人の一生にとっても大きなことなのではないか?と思うのです。この時期を逃してしまうのは、本当にもったいないです。


子どものお稽古事 習い事


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2024年5月29日水曜日

ストライキはフランスの日常だけど、薬局のストライキは珍しい・・

  


 地域薬剤師連盟(FSPF)と地域薬剤師労働組合連合(USPO)は、5月30日のフランス国内の2万500軒の薬局の閉鎖(ストライキ)とデモの動員を発表しています。フランスでのデモやストライキは日常茶飯事で、たいていのストライキやデモは、公共交通機関、学校、病院、時には警察などで、いつも同じような機関のストライキなので、「げげ・・また・・」とは思うものの、あまり驚くことはありません。

 しかし、今回は、薬局のストライキというのは珍しく、こんなの前代未聞?と思っていたら、さすがにフランス!これまで、まるでなかったわけではなく、10年ぶりのストライキなのだそうです。

 今回、この薬局がストライキに踏み切るのは、医薬品の不足やオンライン販売の自由化のリスクについての警告なのだそうです。

 原因のひとつとなっているのは、医療保険(健康保険)との間の交渉で彼らが提案している薬価の再評価が不十分であり、フランス製薬労働組合連盟(FSPF)は「検討されている予算だけではすべての薬局に資金を提供できるわけではない」と宣言しています。

 薬局の経済状況悪化に加えて、彼らが主張している医薬品不足の問題もフランスのような国で医薬品が不足?とちょっと疑問にも感じるのですが、そういえば、少しまえにフランス人の常備薬のような薬ドリプラン(パラセタモール)が薬局から消えた!ということがありましたが、それは、一番、目立つ医薬品不足のごくごく一端だったようです。

 この医薬品不足の根底にあるのは、薬価の下落と政府が特定の薬価の値上げを拒否していることにあるとしています。「健康保険(国)側からしたら、薬価を上げなければ払い戻しの金額を節約することができるだろうが、薬価が低いためにフランスへの出荷は後回しにされ、最後にまわされる!」とのこと。

 政府は現在、あらゆる公的補償の見直しと削減に懸命になっていて、この健康保険の見直しも彼らのプランの中に入っており、この費用の削減のために、医者を介さずに薬局で購入できる薬品を増やしたり(通常、医者の処方箋がないと保険がきかない)、その薬局もすっ飛ばして、オンラインで薬の販売ができるシステムを構築しようとしたりしているため、薬局は、このシステムが可能になった場合、ますます立ちいかなくなる危険性を孕んでいるのです。

 私など、つい先日も薬局で山ほどの薬を買ってきたばかりで、「私はけっこうこの薬局のいいお客さんだろうな・・」などと思ったばかり。私などは、フランスの薬は、一部の薬を除いて、未だによくわからないことが多いので、お医者さんに説明を聞いて、さらに薬局で、薬について、色々と質問したりすることもあるので、オンラインなどよりも安心ではあるのですが、きっと若い世代の人たちにとったら、このオンライン薬局が保険の適用になり、少しでも時間と費用が節約できるようになれば、一気にそちらの方に流れてしまうのではないか?とも思うのですが、便利になり、公費が削減できれば、政府の予算にだって、限度があるのだから、悪いことではないのにな・・とは思います。

 だいたい、フランスに来て、驚くことのひとつは薬局に並ぶ薬の種類の少なさで、多くの人々は処方箋を持って薬局に薬を買いに行くので、専門的というか小難しい薬に関しては、奥の部屋にストックされていて、一般客の目に触れることはありません。

 たいていは、医者の処方箋があれば、薬の種類にもよりますが、ミューチュエル保険(健康保険ではカバーしきれない部分をカバーしてくれる保険)に加入している場合は、自分でその場ではほとんど支払うことはないので、自分の飲んでいる薬が一体、いくらなのか?処方箋の裏に印字された値段を見ればわかるのですが、値段の確認もしていないので、言われるまま・・金額を気にすることもほとんどありません。

 なので、見方を変えれば、これまで薬局はけっこうおいしい商売をしてきたわけで、このインフレの中、けっこうな殿様商売をしてきた印象が私にはありました。

 私が日本に行ったときに買い物をしてくるものの中に薬類があり、日本に行くたびに日本の薬局に行くのですが、その商品の多さやマチマチな値段のものを見比べたりするたびに、こういう薬局、フランスにもあればいいのにな・・と思うのです。

 おそらく、日本の薬局だって、大昔のいわゆる薬局・・薬だけでは立ちいかなくなって、今で言うマツモトキヨシ・・みたいな薬局?(もはや薬局なのかどうかもよくわからない)に展開していったわけで、この間、渋谷に行ったときにマツモトキヨシなどを覗いてみたら、外国人観光客を狙ってだと思いますが、どの薬局も「免税」の大看板があるのにはビックリしました。

 そんな日本での薬局の変遷を見れば、フランスの薬局などは企業?努力ゼロ、すごく古いやり方が続いています。

 それでも、地域薬局支店には13万人以上の従業員がいるそうで、この数字は私立診療所の従業員に匹敵する数字だということで、今までは良かったのでしょうが、それはもうこのままでは、立ちいかなくなるのも当然なような気がします。

 一度、フランスの薬局連盟?は、ストライキなんてしてないで、日本の薬局チェーンの視察でもしてみれば・・とこっそり思うのでした。


薬局のストライキ


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2024年5月28日火曜日

コロナウィルスがまた流行りだしたらしい・・

 


 体調を崩して、お医者さんに行って、「気管支炎を起こしてます・・」と言われて、抗生物質を出してもらって、薬を飲みながら、一週間以上、かなり気を付けておとなしく過ごしてきました。

 もう抗生物質の薬をもらうときには、けっこうしんどい状態なのですが、「必ずこのひと箱、飲みきってくださいね・・」と言われるので、そのとおりにしていますが、その処方された分を飲み終わる頃には、たいてい回復しているので、薬をもらった時点で、「ああ、もうこれで大丈夫、これを飲めば身体も楽になってくるな・・」と半分、治ったような気分になってしまいます。

 しかし、どうにも一週間過ぎて、薬を飲みきっても、わずかに回復した?というよりも悪化するのがストップした?程度で、一向によくなりませんでした。

 身体がしんどいので、安静にせざるを得ないのですが、こうして思うように動けないとなると、ふだんはダラダラしているくせに、なんとなく何もできずにいることに焦りのような気持ちが生まれてきてしまう貧乏性な私です。

 しかし、一向に回復しないどころか、朝、起きたときの調子の悪さは最悪で、ゼーゼーするどころか、全身打撲のような身体の痛みでちょっと、そのまま寝込みそうになる気分で目覚める日が続いていました。

 このままではいられないので、再びお医者さんに行き、「一向によくならないのです・・追加分のお薬お願いします」と症状を訴えると、診察してくれて、「まだ、雑音がしっかり聞こえるわね・・」と言われ、追加というか、別の抗生物質の薬の処方箋を書いてくれました。

 そして、「ところで Covid (コロナウィルス)の検査はしましたか?」と言われて、すっかりコロナウィルスなどは疑ってみてはいなかったことにハッとして、「えっ?してませんけど・・」と言ったら、「すぐに検査しなさい!」、「また、最近、コロナウィルス感染している人が増えてきているから・・」と言われて、ギョッとしたのです。

 1年くらい前だったら、少しでも具合が悪ければ、「もしかして、コロナかも?」と自分でもコロナウィルスを疑って、早々に検査をしてもらってきたのに、自分でも、これが「喉元過ぎれば・・」で、すっかりコロナウィルス感染かもしれないなどとは、疑いもしませんでした。

 私がコロナウィルスのワクチン接種を最後にしたのは、たしか昨年末に日本に行く少しまえのことで、その頃はまだ、まあ長距離のフライトにも乗るわけだし、空港などは、ヤバいかも・・一応、ワクチン打っておこうと思ったりもしていたのですから、ずいぶんと意識が希薄になっていたものです。

 私の通っているお医者さんでは(開業医の診察室)では、フランスではめずらしく、そういえば、依然として、マスク着用義務が続いています。

 一応、今回は、また別の抗生物質などの薬を処方してくれて、「すぐにコロナの検査をして、結果がわかったら、電話してね・・」と言われて、処方箋を持って薬局に寄って、薬を処方してもらうついでに、コロナウィルス検査をしてもらってきました。

 なんだか、調子の悪さもあいまって、これはいよいよ感染しているのかもしれない・・と今までかなり検査をしてもらってきた中でも一番、ヤバい気持ちでドキドキ、結果を待っていました。

 私は、これまで、フランスがかなりの感染率で、一時は2人に1人は感染しているなどといわれていた時まであったにもかかわらず、奇跡的に一度も感染したことがなかったので、いよいよ、この奇跡的な記録にも終止符が打たれるか?という気持ちでいました。

 5分ほど結果を待って、結果は陰性でした。

 だからといって、体調がよくなるわけではありませんが、なんとなくホッとしてしまうのも妙なことですが、正直な気持ちです。

 今や命にかかわる確率は減ってきて、風邪とかわらないような扱いになっていますが、なんとなく、風邪や気管支炎よりも怖いイメージが私の中に根付いていることを自分ではっきりと自覚した次第です。

 お医者さんに電話すると、とにかくコロナウィルスだけではなくて、いろんなウィルスが蔓延しているから気を付けて・・お大事に・・」と教えてくれました。

 お天気も不安定で例年よりもなかなか、あったかくなってきた!と言い切れない気候が続くパリです。皆さま、またコロナウィルス、流行りだしているようですので、充分にお気を付け下さいませ。


コロナウィルス再流行


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2024年5月27日月曜日

シャンゼリゼの巨大ピクニックに秘められたシャンゼリゼ変貌への抵抗

  


 シャンゼリゼで巨大ピクニックが行われたと聞いて、「残念!知らなかった!行きたかったな〜!」と単純に思ったのですが、これに参加できたのは、238,000人の応募の中から抽選によりこのチャンスを得た4,000人のみが参加できるものでした。

 グランピクニックと名付けられたこのシャンゼリゼでのピクニック企画は、その名のとおりダイナミックなもので、シャンゼリゼの凱旋門からジョルジュサンクまでの区間の一面に赤と白の大きなチェックのピクニックシートが敷かれ、招待者にはシャンゼリゼのレストラン経営者 8店舗がこのイベントのために設置されたポップアップ キッチンで調理するミールバスケットが参加者に無料で提供されるというもので、本当に楽しそうな催しものでした。

 このグランピクニックは、廃棄物防止と持続可能な開発に重点を置き、支援的な活動も目指しており、その陽気な側面を超えて、その「持続可能な開発」という部分では、ある種の問題提起を含んだものでもあったようです。

 近年のシャンゼリゼの変貌ぶりを嘆くシャンゼリゼ町内会?委員会?(シャンゼリゼの場合は町内会と呼ぶのがふさわしいかどうかは別として)の地元に長く住んでいる人々は、本来のシャンゼリゼの文化が失われつつあることを嘆き訴えています。

 もはやシャンゼリゼは、高級ブランドの店舗がひしめき合う通りに代わりつつあり、古くからあった映画館や老舗の店舗などは、世界中に店舗を構えるブランドに取って代わられつつあります。彼らは「シャンゼリゼ通りはその魂を失いつつある」と訴えているのです。

 なるほど、私がパリに来てからも、言われてみれば、黄色いベスト運動の際に多くの店舗が被害を被ってショーウィンドーが壊されたりして修理して、そのまま違う店舗になってしまっていた時もあったし、長いこと工事のために、大がかりなテントで覆われている場所がいつのまにか、ディオールだったりルイ・ヴィトンになっていたりと、その変遷は私の記憶にあるだけでも、けっこうな数にのぼる気がします。

 新しく変わってしまえば、「えっと・・ここ、前は何のお店だったっけ?」などと記憶から消え去ってしまうのも早いのですが、あとから気が付いてみれば、そういえば、あのお店もなくなったな・・と思い出したりもして、とにかく、いつのまにか誰もが知っているような高級ブランドの店舗が一段と増えているのは確かです。

 これは家賃の高騰が大きな問題で、この高騰についていけなくなる企業は撤退を余儀なくされてしまうのです。

 この高級ブランドにとってはシャンゼリゼに店舗を構えるということは収益性も高く、ステイタスとしても申し分なく、ブランドの価値をさらに上昇させるためにぜひぜひ獲得したい場所であるというのは、わかりますが、たしかに、この通りが単なる高級ブランド通りになってしまうのでは、世界中のどこに行っても、同じ感じになってしまうわけで、シャンゼリゼとしての味わいは失われてしまうかもしれません。

 なかでも、LVMHの店舗の増えかたは、尋常ではない気がしていたら、市場調査によると約10億ユーロでシャンゼリゼ通りの144~150軒を買収済という話もあります。

 この異常な賃料上昇、不動産投機はシャンゼリゼ文化を守るための大きな弊害となりつつあり、政府の介入が必用だと言われ始めているのです。

 一見、陽気でとっても楽しそうなピクニックには、こんなシャンゼリゼの開発問題も秘められているとは、全く想像していなかっただけに驚かされた次第です。


シャンゼリゼの変貌 シャンゼリゼグランピクニック


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2024年5月26日日曜日

日本のオーバーツーリズムへの対応に思うこと・・

  


 日本のオーバーツーリズム問題は、これまでフランスでも度々、報じられてきましたが、今回の富士山への観光客のための対応については、なぜか?これまで以上に大々的に報じられていました。

 「日本ではオーバーツーリズムに対抗するため、小さな町が富士山を隠すネットを設置した」。日本の小さな町は、大勢の観光客に人気の富士山の眺めを隠すため、高い不透明ネットを設置。日本の中部にある富士河口湖町役場は、多くの外国人観光客が地面にゴミを捨てたり、許可された場所以外で喫煙したり、赤信号で道路を渡ったり、無差別に駐車したりする無礼な行為を理由にこの決定を正当化している・・」というもので、このネットが貼られている映像を見る限り、無粋極まりない感じもします。

 なにやら、雄大な富士山の眺めと前景のコンビニエンスストアのローソンと駐車場を組み合わせた現代日本を象徴する光景としてインスタグラムなどのソーシャルメディアで大人気となっているこの撮影スポットは、交通量の多い道路沿いの狭い歩道から撮影するもののようで、より良い写真を撮ろうと、なかには、近くの歯科医院の屋根に登る人もいるとのことで、迷惑を被っているこの地域の住民からしたら、たまったものではない!と怒り心頭になるのも理解できます。

 これは、主に外国人観光客対策と思われるものですが、地面にゴミを捨てたり、許可された場所以外で喫煙したり、赤信号で道路を渡ったり、無差別に駐車したりする現地当局が無礼な行為として挙げている行為は無礼な行為には違いなく、日本人なら、まず、特に注意せずともこれらの行為をすることはないと思われますが、しかし、その一つ一つの行為を見ると、海外では(少なくともフランスでは・・)、地面にゴミを捨てられること、許可されていない場所での喫煙も、信号無視も、違法駐車もそれほど珍しいことではなく、住民自身もそれほど厳格にルールを守り、モラルが高いわけでもないので、特に観光客に限って問題視することではなく、住民もひっくるめて警戒しなければならない問題でもあります。

 このような迷惑行為を正当化するつもりはありませんが、言い方を変えれば、日本人の常識は、外国人には簡単には通用しないということでもあります。ルールをきっちり守ろうとする日本人とは違うのです。

 パリもまた、一大観光地のひとつでもありますが、このような問題に対してどのように対応しているのか?といえば、特に対応をとっていることといえば、主にセキュリティに関しては、銃を持った警察官が異様に多いということくらいでしょうか? 個人に迷惑をかけるようなケースでも恐らく、この警察官たちが厳しく対応しているのだと思われます。

 もっともパリの場合、治安が悪くて観光客の方が緊張していなければならない、まさに、全く違うレベルの問題ではあります。

 富士山近辺の小さな町ならば、このような外国人が大量に押し寄せる時点で、観光客に威圧される感じがあり、とりあえずとった対応として、この光景が見えなくするネットの設置ということになったのでしょうが、このままでは、かたちを変えて、同じような問題が起こることは、目に見えています。

 世界から見れば、日本人のモラルの高さは、驚くべきレベルであり、逆に外国人には、信じがたい世界なのです。観光産業を軽視できない現在の状況ならば、きっちりと取り組まなければならない問題です。

 話は少々、飛躍してしまいますが、移民を多く受け入れるということは、こういうことなのだとも思うのです。


日本のオーバーツーリズム問題


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2024年5月25日土曜日

日本の研究者が歯を再生する治療法を開発!のフランスでのニュース

  


 日本人の活躍や偉業をフランスのニュースで知ることは日本人として、とても嬉しいことです。最近は、もっぱら、その活躍を取り上げられるのは、マンガやアニメなどのケースがフランスでは多かった気がするのですが、今回は、「日本の研究者が歯を再生する画期的な治療法を開発した!」という医学分野についてのことだったので、「やった!日本人すごいぞ!」と、喜ばしい気持ちになったのです。

 フランスの報道によると、この研究は大阪の北野病院が行っているもので、先天性無菌症(通常6本以上の歯の欠如を認める症例(発症頻度0.1%))の治療を目的としたもので、その原因遺伝子がマウスと人間とで共通していることから、すでにマウスでの実験は成功しているとしています。

 今回、治療に使われているのは、モノクローナル抗体で歯の成長を阻害するUSAG-1と呼ばれるタンパク質を不活性化するもので、この治験の第一段階が2024年9月から2025年8月にかけて開始され、第二段階では、先天性歯不全に苦しむ患者にこの薬が投与されるます。研究者らは出生時に少なくとも4本の歯を失った2歳から7歳の子供を対象にこの薬をテストする予定で安全性が確認されれば、先天的に歯が欠損している患者に投与して有効性を確認できるとしています。

 しかしまず、その薬が危険をもたらさないことを確認する必要があります。したがって、少なくとも1本の臼歯を失った健康な成人にまず接種される予定ですが、これまでの動物実験においての副作用は観察されていません。

 日本の研究者らは、すべてが計画通りに進めば、この薬が2030年から市販されることを期待している。彼らによると、将来的には、先天性疾患に苦しむ人だけでなく、歯を失った人にも歯を生やすことが可能になるとしており、世界的にも画期的な歯科治療の常識を覆す大きな研究であると医学界が大注目していると紹介しています。

 歯が再生可能になるなど、想像もしていなかったことですが、フランスでなぜ?今、このタイミングでこのニュースが報道され始めたのか?、他の国でも報道しているのかどうかはわかりませんが、世界的に(少なくともフランスでは)日本の研究が注目されていることは、日本人として嬉しくもあり、誇らしいことでもあります。

 日本の国力低下などのニュースばかり見かけることが多くなった昨今ではありますが、やっぱり日本人はすごいじゃん!と思える今回のニュースはとても嬉しいニュースでもあり、この治験が上手くいってくれることを応援したい気持ちになっています。


日本の歯の再生治療開発


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2024年5月24日金曜日

護送中に逃亡した囚人はとんでもない大悪党だった・・

  


 護送車襲撃により死者2名を出した衝撃の逃亡劇の末、フランス国内の指名手配のみならず、インターポールにも赤手配されている囚人モハメド・アムラは未だ逮捕されていません。

 護送中に護送車を襲撃して、逃走するという想像もつかない逃亡劇に当初は、これが誰の企てによるものなのかさえ、見当がつかずに、もしかしたら、彼自身に直接、復讐あるいは、制裁を加えるための彼に敵対する勢力の仕業、ある種、誘拐のようなものかもしれないという声さえ上がっていました。

 彼の逃亡をどの程度、追跡できているのかどうかは、捜査上、公表できないのかもしれませんが、それにしても彼自身の犯罪歴や前科などのプロフィールについての分析は、全く生易しいものであり、妙な言い方をすれば、悪い意味で正当に評価されていなかったと言わざるを得ないようなことが、次々と暴露されています。

 彼が現在の刑務所拘留中までの彼の犯罪歴や危険性については、「それほど危険視されるものではなく、13回の有罪を受けてはいるが、その大半は窃盗と交通違反が占めており、それほど深刻視されるものではない」と判断されていたようで、そのために、護送中の警戒も中程度の警戒しか敷かれていなかったようです。

 彼が逃亡直後は、彼の犯罪については、窃盗と交通違反だけではなく、殺人未遂や誘拐、麻薬取引などの犯罪も公表されていたと思うのですが、それは、逃亡後に発覚したことだったのでしょうか?

 いずれにせよ、彼の拘留に際して、司法や刑務所は全く彼を甘く見ていたと言わざるを得ません。

 というのも、彼の逃亡後、彼が刑務所内で何台もの携帯電話を自由に使い、気分をリラックスさせるための水パイプまで持って暮らし、刑務所内から組織を取り仕切り、麻薬取引や反対勢力への報復、武器の売買の指令まで行っていた事実が明らかになり、その彼の電話での会話の録音まで回収されているというから驚きです。

 彼はこれまでに複数回、拘留されてきましたが、その度に複数の携帯電話を入手し、刑務所内でもしっかり仕事をし続けてきたことが明らかになっており、暗号化されたメッセージングサービスを利用して外と連絡を取り続けてきたことがわかっています。

 この会話内容から、彼が組織内の部下たちに、麻薬密売の組織化と麻薬取引ポイントの管理、恐喝の他、人身売買組織との繋がりを利用しての脅迫、誘拐などを行っており(刑務所内で)、組織犯罪対策中央局(OCLCO)の警察官らは、「モハメド・アムラは、頻繁に誘拐という手口に訴えながらも、裏切りを芸術の域にまで引き上げる、極端な二枚舌の能力を証明している」と文書に記しているといいます。

 彼は活動を遂行するために身体的強制、最も深刻な暴力や虐待、裏切りの脅迫を躊躇うことなく行っていると彼がまだパリのサンテ刑務所に収監されていたときに独房を盗聴していた警察官も報告しています。

 ここまでくると、刑務所内でさえも、彼は思い通りのことを為し続け、こんな録音があったのなら、なぜ?彼から携帯電話を取り上げることができていないのか?とか、刑務官でさえも脅迫されていたのか? 二枚舌を使い続けてきたのか?刑務所の管理能力にさえも疑問を感じずにはいられません。

 まだ検証されている事象ではないようですが、彼が刑務所内から6,000ユーロで購入することを交渉していたといわれる銃器は、今回の護送車襲撃に使用された銃器の類似点が明らかになりつつあると言われています。

 彼の弁護士は、彼の逃亡直後に「13件の有罪判決は非常に重要なことのようにみえるかもしれないが、犯罪者に慣れている人にとっては特別なプロフィールではない」と堂々と話していましたが、それにしても、犯罪に慣れすぎではないか?慣れてしまって甘く見ていた結果が今回の逃亡劇の末に、実は、彼はとんでもない犯罪組織のボスだった・・という話になっていて、やはり、そんなことは慣れてはいけないものだったはずだ・・と思うのです。

 フランスでは、よほどのことをしないと刑務所に入ることはありませんが、その刑務所さえも、これだけ自由自在に好き放題できてしまっていたということも、刑務所が甘いのか?彼が手強かったのか? いずれにしても、超危険人物であったということだけは、明白なわけで、犯罪が多発しすぎて、軽いものは、軽視しがちな傾向にあるとはいえ、こんなことが刑務所内で許されていては、収拾がつきません。

 彼がいかに特別な、また例外的な人物であったとしても、こんなことが可能であるということは、彼が刑務所内での自由な生活を送る可能性を示してしまったということでもあります。


刑務所内携帯持ち込み


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2024年5月23日木曜日

エッフェル塔 6月17日から値上げ

  


 エッフェル塔というのは、パリのシンボル的な存在でもありながら、あまり行くこともなく、近くまで行くことはあってもエッフェル塔にのぼることは、ありません。たしか、大昔に旅行でパリに来た時に1回くらいはのぼったことがあったような記憶がうっすらとあるのですが、正直、あまりよく覚えていません。

 エッフェル塔は遠くから眺めるだけで、なんとなく、あるある・・と満足するもので、パリは、東京のように高層ビルが視界を遮ることもないので、かえってあまり近くはない私の家からでも遠くに眺めることはでき、特に夜1時間おきにキラキラ光るシャンパンフラッシュの時間には、なんとなく眺めては、光ってる光ってる・・となんとなく確認して、よしよし・・とわけわからない満足の仕方をしています。

 そんな風なので、近くまで行くことはあっても、正直、エッフェル塔にのぼろうと思うこともなかったので、これに(のぼることに)いくらかかるのかも知りませんでした。

 しかし、この度、「エッフェル塔値上げ」のニュースを見て、あらためてエッフェル塔にのぼるのってけっこう、高いんだ!とビックリしました。しかも、現行でも結構高いのに、さらに値上げです。6月17日から値上げということなので、明らかにオリンピック観光客狙いの値上げです。

 あらためてエッフェル塔の料金を見てみると、結構、細かい値段がわけてあり、とにかくエッフェル塔にのぼりたい場合は、たとえ、それが階段であっても有料で11.80ユーロ。エレベーターで2階までの場合は18.80ユーロ。頂上までエレベーターでのぼる場合(おそらくこれが一番スタンダードだと思いますが・・)29.40ユーロ(約5,000円)です。

 そのもっともスタンダードだと思われる29.40ユーロのチケットが35.30ユーロ(約6,000円)と5ユーロ近く大幅値上げになります。

 現在、円安なので円換算すると5,000円が6,000円になり、一気に1,000円も値上げするというかなり大胆な値上げです。

 逆に6月17日までなら、29.40ユーロでのぼれるわけですから、値上げする前に一度、行ってみようかな?というあまのじゃくな気分にもなっています。

 エッフェル塔に関しては、パンデミックで大幅な赤字を叩き出したものの、観光客は順調に回復したものの依然として赤字つづき。必要なエレベーター等の修理などのメンテナンスが行き届いておらず、余計な記念碑に多大な予算が割かれているというような噂を聞いて、なんだかどこかでよく聞く話だと思ったりしたこともありました。

 ちなみに東京タワーはいくらなのかな?と思いきや、上まで上がるのは2,800円だそうで、エッフェル塔よりもずいぶん安いみたいです。東京生まれ東京育ちの私ですが、東京タワーに行ったことはあっても、のぼったことはない気がします。

 でも、なんかエッフェル塔よりも割安・・と思ったら、今度、日本に行ったら、東京タワーに行ってみようかな?などとちょっと思いました。

 ちなみにエッフェル塔予約サイトには、非公式再販サイトも多いそうで、エッフェル塔側は、この値上げを機会にこの非公式サイトに騙されないように注意を呼び掛けています。


エッフェル塔値上げ


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2024年5月22日水曜日

DVによる狂暴な殺人事件はなくならない

  



 DVによる殺人事件は、一年に何回かニュースにのぼり、その内容に顔を歪めてしまうくらい狂暴で、どうしてそこに至るまでに防ぐことができなかったのか?と思わずには、いられません。

 先週の33歳の女性が元パートナーの男性にDVの被害に遭い死亡してしまったという話も、その過程にいくつもの疑問が湧く、悲惨なものでした。

 この犠牲者となった女性は、長いこと、この元パートナーの男性の暴力に悩まされてきた過程があり、昨年の3月の段階で、この男性は、DVで逮捕され、4月に有罪判決を受けていました。しかし、この有罪判決は懲役18ヵ月(うち10ヵ月は執行猶予付き)だったため、同容疑者は4月に収監された後、数ヶ月後に釈放命令の対象となりました。

 釈放されたとはいえ、さすがに彼らは別居することになり、GPS付のブレスレットを着用させられ、被害者との接触も禁止されていたはずでした。

 この手の犯罪が起こるたびに出てくる多くのケースと同様、GPS付(つまり行動が監視されているはずの)ブレスレットの装着が義務付けられていたものの、それが全く役に立っておらず、被害者との接触も禁止されているにもかかわらず、なんやかやと理由をつけては被害者につきまとうというパターンで、今回も家に自分が残している荷物を取りに来るという理由で、被害者に近づいたようです。

 案の定、その日のうちに二人は口論となり、男性が暴力をふるい、一度、女性は病院の救急治療室で治療を受けています。しかし、不思議?なことに、治療が終わった後にこの女性は、男性に車で迎えに来るように頼んでおり、帰りの車の中で再び口論となり、途中で女性を車から降ろし、一度、女性を大きくボンネットで撥ねてから、少し車を後退させて勢いをつけて彼女を轢き殺したというのですから、酷く狂暴な話です。

 DVカップルの依存関係は、理解するのが難しいのですが、つい数時間前に暴力をふるった男性に迎えに来てもらう気持ちも、まるでわかりません。

 この男性、この女性を轢き殺した際には、かなり酒に酔った状態でもあったようで、血中アルコール濃度が1.26g/ℓであったと言われています。

 そもそも、一度、DVで逮捕されているのに、易々と釈放されたうえに、追跡可能なブレスレットが装着されることになっていたものの、実際には、まだ装着されていなかったのか、またはそれが機能していなかった模様。

 また、女性側もさんざん痛い目に遭っているのに、暴力をふるった張本人に迎えに来てもらい、また、病院側もそのような相手に容易に引き渡してしまうというのも、あまりに杜撰でゆるいというか、責任不在な感じがしてしまいます。

 ニュースにあがってくるのは、その「最も悲惨な結果的に相手を殺してしまった・・しかも最も狂暴で残酷な方法であった場合」のみで、実際には、もっともっと多い相当数のDV問題が潜んでいると言われます。

 近年、フランスでは平均して3日ごとに女性殺害事件が起きており、そのうち最も多いのが元パートナーによる殺人事件で、年間100人以上の犠牲者が出ていると言われています。

 私は、若い頃から、男性に対してこれだけは、絶対に許せないと思っていることがあり、お付き合いしている男性がもし少しでも暴力をふるったら、即刻、アウトと決めていました。幸いにもそういう目にはあったことがありませんが、どんな理由があるにせよ、女性に対して、暴力をふるうなどということはあり得ないこと、これは私がキッチリ考えていたたいせつな線引きでした。

 こういう男性はいわば病的でもあり、一度、深くかかわるとこの愛憎のどちらにしてもエネルギーの向き方が異常であるのだと思われます。

 かねてより、フランスのクズ男は桁違いだと言ってきましたが、このようなDV男は、その最たるものです。少しでもその片鱗が見えた場合は、即刻、関係は断ち切るべきです。


DVによる狂暴な殺人事件


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2024年5月21日火曜日

最近、流行っているらしいSMS郵便物詐欺 

 


 本当に少しも気を抜けない世の中だと思うことが次から次へと起こります。ふつうにおとなしく暮らしていても、災難は向こうから次々とやってくるので、いちいち疑ってかからなければなりません。

 様々なことがSNSなどにより格段に便利なった反面、また、それに乗っかってやってくる災難も手をかえ品をかえ、次から次へと生じているのです。

 最近、とみに増えているといわれるのは、郵便物にまつわる詐欺行為のようです。

 ある日、突然、SMSに「荷物が大きすぎてメールボックスに入りません」というメッセージが入り、メッセージには、「配達を受け取るために新しい枠を選択してください」と記されています。

 これは、いかにもそれらしく巧妙な様相を呈して作られており、偽のMondial Relay(モンディアル・リレー)(最近、急拡大している配送システム)のリンクが付随しており、個人情報の入力が求められるようになっています。

 このメッセージは郵便配達員が直接送付しているように見せかけるために、携帯番号から発信されているために、信じ込んでしまう人がいるようなのですが、要は、銀行情報等の個人情報を収集するための詐欺です。

 フランスの配送事情は決して良いとは言い難かったのですが、ここのところ、新しい Mondial Relay(モンディアル・リレー)などの配送システムが普及してきたことで、ずいぶん改善されてきたような気がしていたのですが、やっぱり落とし穴もちゃんとあるようです。

 Mondial Relay では自宅への配送は行っておらず、中継地点か「ロッカー」と呼ばれるセルフサービスのロッカーにのみ配達しているため、配達途中に盗難にあうリスクもずいぶん減少しているのだと思いますが、今度は、その増加しているMondial Relayのサービスを利用した別の方法での犯罪が増えているということに、憤りを感じます。

 怪しいメッセージだと思ったら、絶対にクリックしてはいけないというのは、まず基本で、そのメッセージのリンクや携帯番号で検索すれば、詐欺事例が出てくるので、必ず確認する必要があります。

 また、フランスの場合、https://www.cybermalveillance.gouv.fr/のサイトに通報することもでき、また、このような詐欺事例の事案が出ているので確認することができます。

 最近、増えているのは、Mondial Relayを語っている詐欺のようですが、クロノポストバージョンもあるようです。

 冷静に考えれば、ポストに入らないからといって、Mondial Relayのロッカーに配達しなおしてもらうためにさらに追加の配送料金を支払うということ自体がおかしなことなのですが、ついうっかりしてしまう、特に高齢者などを狙った詐欺のようです。

 少なくとも、こんなメッセージが来たら、これは詐欺だ!ということがわかっていたら、それだけでも詐欺が回避できると思うので、今回は、一応、お知らせのつもりで書きました。


郵便物詐欺SMS


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2024年5月20日月曜日

鍛えるつもりで体調壊しました・・

  


 数週間前からちょっと鼻がグズグズするな~と思っていました。花粉症かな?アレルギーかな?と思いつつ、そんなに気にせずに、むしろ、健康のためにできるだけ歩かなきゃ・・などと思い、ちょっと疲れた・・だるいな・・などと感じつつも、まじめに歩く生活をしていました。

 携帯のアプリの万歩計のようなものに1日1万歩だと、ちょっとキツくて、簡単に放棄してしまいそうだったので、7,000歩に設定したら、まあ、ご丁寧に朝、起きるなり、「さあ、今日も歩きましょう!」みたいなメッセージが入るのには、なかなか「うっ」とくるのですが、「そうそう、歩かなきゃ・・」という背中を押される気持ちになるのも半分。

 体力の低下をとみに感じるようになったのは、やっぱりパンデミックでしばらくあまり出歩けない生活が続いた後のこと。あの時は、なにしろ、コロナウィルスなるものが何なのか?もわからず、急に外出ができなくなり、まあ、もともと、家にいることが好きな私には、あまり苦にもならなかったし、テレビをつければ、どんどん人が病院に運ばれて、もう病院でさえもいっぱいになって病院の廊下にまで人が並べられているような映像を見て、とにかく恐怖でした。

 それなりに家の中でエアロビをしたり、ストレッチをしたりと気を使ってはいたのですが、その間にだいぶ体力が低下したのは、否めない気がします。

 加齢ももちろん大きく影響していますが、最近は、なにか検査をするように言われるたびに、その検査の結果が次の検査を呼ぶという嫌な連鎖が、定番になっています。

 若い頃は健康だけが取り柄で、身体にいい食べ物などと言われると、それだけでマズそうな気がしていた私もさすがに食べ物にも気を遣うようになり、健康に良いといわれる習慣は取り入れようとするようになって、少しでも長生きしたいというよりも、身体の調子を少しでも良い状態に保つためには仕方ないな・・と言う感じになっています。

 若い頃は歩くことが大嫌いで、車やタクシーばかりに頼っていたのですが、最近はできるだけ歩くようにしようと、結果、7,000歩・・などという万歩計のセットをして、数字を気にしだすと、けっこう脅迫観念にとらわれるくらいの気分になり、ついつい頑張り過ぎてしまうこともあるのです。

 体調を整えるためにやっていることで、結果、体調を崩しかけているのにも気が付かずに、なんだか鼻水に加えて咳が出始め、あら?と思っているうちに、みるみるその咳も本格的になってきて、いよいよ発熱してダウン。

 そういえば、数日前から朝、起きたら、なぜか喉がカラカラだった・・なんでだろう?と思ったのですが、思えば、体調不良の予兆だったのです。

 ちょうどその日は土曜日で、一日おとなしく寝ていれば、なんとかなると思っていたのですが、なんとかならずに翌日には、さらに悪化。これはヤバいと思っても、医者は休みで運悪く、その翌日も祝日で休み。

 身体がとにかく、しんどくて、そういえば、どこかに抗生物質があったはず、と思って探し出したのですが、どうやら、私の勘違いでその抗生物質は、インプラントの手術をした後の化膿止めの抗生物質で、ちょっと用途が違う感じで断念。それでもちょっと飲んでみようかな?と思ったものの、やっぱり強い薬なので、これがもとでさらに具合が悪くなっ手も怖いので断念・・。

 もうこうなったら、ドリプラン(アスピリン)を飲んで寝ているしかないと思うのですが、どうにも貧乏性で何もせずに昼間に家で寝ているということに罪悪感を感じてしまい、ついつい動きたくなってしまうのですが、どうにも身体が追い付かず、鬱々としてしまうために、滅多に電話などしないのに、友人に電話などしてしまったりしました。

 以前、少し運動しなきゃ・・と思って、縄跳びをして骨折して以来、縄跳びではなく、泳ぐか歩くかにしたのですが、もう歩いているだけで体調を崩すとは、自分で自分が情けなく、自分の体力と体調のバランスがとれずにジタバタしている感じがとても情けないのです。

 しかし、何もせずにいたら、体力は衰える一方で、現状保持あるいは、体力の低下の速度を緩めるためには何かし続けなければいけないことを思うと、情けない限りで、自分の老化の程度をしっかり受け入れながらの体調管理は難しいです。

 ふだん、寝てばかりいるのに、突如、相変わらず凄いジャンプ力を見せつけたりする猫のポニョの方が身体能力が全然高いです。


万歩計 体調管理


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2024年5月19日日曜日

親元を離れない若者の増加 フランスのタンギー現象

  


 アベ・ピエール財団の調査によると、フランスでは、両親と同居する若者の数が増加しているといいます。これをフランスでは、「タンギー現象」というらしいです。

 最初、「タンギー」?と聞いて、ゴッホのタンギー爺さんをイメージした私は、とんだ見当違いで、これは、2001 年に発表されたエティエンヌ・シャティリエの同名コメディ映画がその命名の由来で、この映画は、大切に両親に育てられてきた28歳の主人公の男性が優秀な成績で大学を卒業後も、いつまでも居心地よく両親と暮らし、一向に両親から離れたいと思わない彼とその両親との波乱に満ちた同居生活を描いたブラックコメディです。

 この映画はいわゆるパラサイト・シングルのような主人公ではありますが、現在、フランスでいう「タンギー現象」は、18歳以上の大人という換算の仕方をしていて、学生も数字に入っています。

 フランスでは、学生も含めて、比較的早くに親から独立していく印象ではありましたが、どうにもそうではなくなっているケースが増加しているようです。

 この報告書の調査結果によると、10年間、フランスではこの「タンギー」が増え続けており、現在、この「タンギー」は500万人に達する勢いだと言われています。しかし、現実には、このタンギー現象は、映画のようなコメディとは言い難く、もっとも大きな原因は、住宅危機であり、高騰する家賃を支えるのに十分な収入がないこと、公営住宅が不足しており、これらの人々が自立して生活することができないことによって説明されるとしています。

 実際、2010 年以降、インフレに関連して家賃の価格を調整する指数である家賃参照指数は 20% 上昇しているにもかかわらず、低料金で若者に広く利用されている宿泊施設であるスタジオが 4% 増加したのみ、また、CFDT(フランス民主労働総連盟) によると、2011 年から 2021 年にかけて給与は 4.9% しか上昇しておらず、就職したばかりの安月給では家賃が賄いきれない現実が背景にあると言われています。

 このように主に挙げられている理由は住宅問題に関わる経済的な理由ではありますが、いわゆる映画の中のタンギーのような親と暮らすことが楽で自立する理由がないタイプや離婚や失業が理由の場合もあります。

 私などは、日本で生まれ育ち、昭和の世代なので、「女の子が親元を離れて生活するのは結婚するとき」というような考え方の親の元に育ったので、実際に私が家を出て生活するときには、少なからず両親との摩擦があり、どちらかといえば、親の方が子どもに対してタンギーを強いるような感じでした。

 しかし、個人的には、やはりある程度の年齢になったら、親から独立して生活するということは必要な体験だと思っていますし、娘に関してもずっとそのように言ってきました。幸か不幸か、彼女が家にいたのはプレパーまでで、それ以降の学校は、家から通える場所ではなかったので、そこから彼女の一人暮らし(といってもシェアハウスでしたが・・)が始まり、最初、引っ越す時には、心配で一緒についていって、大家さんの女性にご挨拶に行ったりもしました。

 その後、一時、スタージュやリモート留学をしていた期間はパンデミックの期間が重なったこともあり、大幅に彼女の予定が狂い、しばらく家に戻っていた時期もあったのですが、結局、就職する段になって、彼女は日本での就職の道を選んだので、今は、彼女は東京の家で一人暮らしをしており、上手く独立の一歩を始められたと思っています。

 彼女には彼女の生活があり、私には私の生活があり、それぞれがそれぞれのペースで送っていることに満足しています。家族なのだから、一緒に生活するのは当然という考え方もあるかもしれませんが、ある程度の年齢を過ぎたら、やはり独立した生活を考えるのが親にとっても子どもにとっても健全なことだと思っています。

 日本は日本で異なる文化があり、フランスとは違うとはいえ、フランスでもやはり同様の現象が起こっていることに少し驚いたのでした。


若者の親との同居問題 タンギー現象


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2024年5月18日土曜日

シャンゼリゼのロクシタンカフェの不思議

  


 シャンゼリゼの中腹くらいにロクシタンとピエール・エルメのコラボのお店ができてから、もうずいぶん経ちます。

 最初は、ピエール・エルメ人気が急上昇して、あちこちに店舗が増え始めていた頃でもあり、また、この場所がマカロン対決とも言うべく、シャンゼリゼを挟んでラデュレのはす向かいくらいの場所だったために、「スゴいな・・ピエール・エルメ・・闘志むき出しな感じ・・」とそっちの方にびっくりしましたが、それにしても「ロクシタン×ピエールエルメ・・」この組み合わせってどうなのかな?とちょっと不思議な感じもしていたのですが、それなりに継続しているようです。

 ロクシタンも一時は、すごい人気でパリに来たらロクシタンのハンドクリームをお土産に買って帰りたい!という人も多かったのですが、一時ほどの勢いではなくなった気がしないでもありません。

 さて、久しぶりにシャンゼリゼのこのお店を覗いてみたら、店内もテラスも「ロクシタン・カフェ」になっており、カフェなのになぜ?ピエールエルメの名前じゃなくて、ロクシタンカフェなの?とちょっと不思議でした。

 メニューを見る限り、ピエールエルメのスイーツが中心のメニューになっていて、カフェもピエールエルメとのコラボのお店になっているのですが、名前は「ロクシタン・カフェ」です。

 このコラボショップ全体はけっこう広いスペースを使っており、中央には、華やかな照明の下にマカロンをはじめとしたピエールエルメのスイーツが円形のショーケースに煌びやかに飾られており、冷静に考えれば、ちょっと引くような値段のスイーツが飛ぶように売れています。

 この周りをロクシタンの香水やクリームなどが南仏をイメージとした花に囲まれる感じできれいに並べられており、お店の奥の部分がやはり、このロクシタン調?の華やかなお花のデコレーションに飾られたカフェがあります。


 ハッキリ言って、多分、圧倒的にピエールエルメのスイーツの方が売れている感じなので、いっそのこと、カフェも「ロクシタンカフェ」よりも、「ピエールエルメカフェ」の方がわかりやすくて人がもっと入りそうな感じがするのですが、どうして、ロクシタンカフェという名前にしているのか?ちょっと無理矢理な感じがして不思議です。

 ロクシタンカフェ限定メニューとして、プロヴァンスのネクターやラベンダーのレモネードなどもありますが、あとは、ほぼほぼピエールエルメ。

 そもそも食料品のお店ではないロクシタンのカフェって・・と思って調べてみたら、なんと渋谷や軽井沢にもあるようでビックリしました。

 ピエールエルメは高級スイーツで、ケーキ1個が16~17ユーロ(約2,800円)(ちなみに1ホールではない)、お茶一杯12ユーロ(約2,000円)、ケーキ1個、マカロン3個、飲み物付きのメニューで34ユーロ(約5,700円)・・円安のために円に換算するとなおさら、卒倒しそうなお値段になりますが、ユーロで生活している身にとっても充分卒倒に値するお値段です。

 しかし、この場所柄、お客さんは途絶えることはなく、またそれぞれのブランドにとって、シャンゼリゼのこの場所にこれだけのお店を構えているということは、それだけでも、ある意味、ステイタスになります。

 負け惜しみ半分で、これだけのお値段出すなら、もっと安くて美味しいものあるけどな・・などと思うのですが、そこは、雰囲気を味わうというテイストが加算されるわけで、一概にはどうとも言えません。

 考えようによっては、豪華な三ツ星レストランなどで食事することを思えば、ずっと安くて、ずっと気軽に豪華な気分を味わえるのですから、それはそれでありなのかもしれません。


ロクシタンカフェ シャンゼリゼ


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2024年5月17日金曜日

護送中に逃亡したモハメド・アムラにインターポールの赤通知

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 囚人を護送中に護送車が襲撃され、一瞬のうちに刑務官に死傷者を出した凶悪犯の衝撃の逃亡劇から3日。彼らはまだ逮捕されていません。

 そもそも、全くの予想外の出来事に、当局側の捜索を予想して動いていると思われている組織的な犯行で、彼らが護送車から、この中心人物であるモハメド・アムラを連れて、ある地点まで逃走に使われた車2台は燃やされた状態で発見されていますが、その後の足取りがつかめていないようです。

 そもそも、この囚人は逃亡する2日前にも刑務所で逃亡を図っていたというのですから、要注意であったのは、今さらのことですが、この逃亡を手助けした一団とどのように連絡をとっていたのかは、不明です。

 事件当日、朝午前8時頃、モハメド・アムラは殺人未遂事件の審理のため、4月11日から拘留されているウール刑務所からルーアン司法裁判所に移送され、審議終了後に刑務所に戻される道中のことでした。

 死亡者を含む重傷者を出してしまったこの事件に刑務官たち抗議行動を起こし、このウール刑務所のみならず、フランス国内の多くの刑務所が閉鎖状態になりました。彼らは労働組合を通じて彼らの労働環境・状況などについての一連の要求を行っています。驚くことに、彼らはこのように囚人を護送する際にもこの囚人にどのような犯罪歴があるのかさえも知らされていない場合が多いというのです。

 彼には15歳以来、13回の有罪判決が下されているということで、ほぼ述べにすると、1年に一度は有罪判決を受けている計算で、その内容も強盗、誘拐、殺人未遂、麻薬取引となかなかの重罪のオンパレードです。

 しかし、彼の弁護士によれば、「13件の有罪判決は非常に重要なことのようにみえるかもしれませんが、犯罪者に慣れている人にとっては特別なプロフィールではない」と説明しているというのですから、ますます怖いことです。

 この事件直後にモハメド・アムラはフランス国内で指名手配されましたが、翌日には、彼の国外逃亡も考慮し、インターポール(国際刑事警察機構)が赤通知を発行しています。

 インターポールには、その犯罪のレベルにより、赤、緑、青、黄色など8種類に色分けされていますが、今回は、最も重い罪、最もレベルの高い赤通知が出されているそうです。現在、インターポールには196ヵ国が加盟しており、加盟国間での情報を共有することになり、対象人物の識別データは、すべての国が永久にアクセスできるすべてのデータベースに存在することになると言われています。

 国境を越える際などには、身元確認が求められるというのは、一応の建前ではありますが、そのような身元確認が求められるであろうルートを通過するとは考え難く、ヨーロッパは地続きのため、全ての国境で身元確認がなされるわけでもなく、また、別の名前の身分証明書なども用意されているのではないか?組織的に逃亡を計画したということは、とりあえず刑務官から自由になった後の逃亡方法も当然、計画されていたものと思われ、3日経過しても身柄を確保できないということは、時間が経てば経つほど、難度は増すのではないかと思われます。

 インターポールはともかく、フランス当局は、この事件を解決し、刑務所の警備等を改善しなければ、第二、第三の事件が起こりかねないことでもあり、警察の威信にかかわることでもあります。

 一方、考え方にもよりますが、過去、これだけ有罪判決を受けているということは、それだけ逮捕されているということでもあり、けっこうひょっこり確保されてしまうことも考えられないこともありません。

 しかし、何より彼らは武器を持って逃げているということで、自分たちが逃げるためなら、容赦なく人を殺す人たちだということです。


インターポール 赤通知


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2024年5月16日木曜日

マルシェ サンジェルマン界隈のちょっと良さげなお店

  


 私がパリで一番好きな場所は、サンジェルマン・デ・プレのあたりで、おそらく日本人の多くの人々がイメージするパリに一番近い場所ではないか?と思います。だいたい、あのあたりに行くと、いつも寄ってみるお店は決まっていて、基礎化粧品の類が切れれば、CITY PHARMA というビオコスメのお店(とにかく安くて、わからないことがあれば、店員さんに聞けば、丁寧に教えてくれます)だったり、生ハム屋さんだったり、いくつかのレストランだったり、モノプリ(スーパーマーケット)なども、場所がらここは高いかと思えば、意外とそうでもないものもあったりするので、時間があれば覗いてみます。

 このあたりは、街並みもきれいなうえに、さりげなくおしゃれな人が多くて、あまり気負っていない感じのおしゃれな感じのファッションの参考になったりもします。

 最近、このあたりで久しく覗いていなかったな・・と思って、マルシェ・サンジェルマンを覗いてみたら、(私の記憶が正しければ・・)以前、M&S(マークスアンドスペンサー)(イギリスのスーパーマーケット)だった場スペースが epicという食料品のお店になっていました。



 考えてみれば、マルシェ・サンジェルマンに昔、私が来ていたのはこのM&Sがあったからで、ブレグジットでなくなって以来、足が遠のいていたのでした。

 しかし、この epic という食料品店(スーパー)もなかなか悪くなく、ちょっと高級チックな食料品がこれまたおしゃれに並んでいて、置いてあるものは、ボンマルシェの食品館をこじんまりとさせた感じでもあります。



 このepic はマルシェ・サンジェルマンのマルシェに通じており、中からマルシェに行くこともできます。マルシェ・サンジェルマンは屋内にあるマルシェで、ちょっと上質のもの、他では見ないものなども置いており、それを囲むカタチでレストランが屋内、屋外でも食事できるようになっているお店が多いです。



 フレンチはもちろんのこと、イタリアンやイラン料理などのお店もあり、テイクアウトもできるようになっているので、ちょっとお惣菜を買ってみたりするのも楽しいです。

 そして、このマルシェの建物の一画には市民プールもあったりするところも、生活に根付いたマルシェという感じがします。


 さらには、このマルシェの周囲のお店やレストランもなかなか楽しく、ブルバードサンジェルマンと反対側の入口のはす向かいあたりにあるSECCOというパン屋さんもお昼時にはランチになりそうなキッシュやバーガーやフォカッチャ、クロックムッシュなどが前面に並んでおり、また、必ずといっていいくらい食事にはデザートをつけるフランス人らしく、これでもか!というほどの色とりどりのケーキなどのスイーツが並んでいます。ここは、そこまで値段もバカ高くありません。





 その近くには、ちょっと色褪せたピンクと白の縦じまのテントのMAISON MULOTというお店があり、かなりクォリティも値段も高いお惣菜類を置いています。ここのキッシュは有名でかなり美味しいです。ちょっと高めではありますが、キッシュなどはまあまあ許容範囲内です。

   


 ここのランチボックスなどは、なかなか洗練されていて、こじゃれた感じではありますが、なんせ、1つ20ユーロ前後だったりするので、私の場合はちょっと腰が引けてしまいます。まあ外食すると思えばパリではこのくらいの値段でも普通なのですが、いくらなんでも、だったら、ふつうに外食するわ・・と言う感じになってしまいます。

 ここを抜けてブルバードサンジェルマンに戻る途中には、クレープのレストランなどもあり、けっこう人気があります。

 こんな風に食べ物を見て歩いて、その中からちょっとずつ良さげなものをひとつふたつつまみ食いなどさせてもらいながら、ちょっとだけ買ってみたりして、追い求めて歩くのは私にとって何よりの楽しみです。

 ブルバード・サンジェルマンを挟んで、マルシェ・サンジェルマンとは反対側にも良いお店がたくさんあるので、それはまた、今度、ご紹介します。


マルシェ サンジェルマン界隈のお店


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2024年5月15日水曜日

護送車襲撃で刑務官2名死亡 囚人逃亡の惨劇

  


 ノルマンディーにあるルーアンの南にある高速道路のアンカービル料金所で囚人を搬送中の護送車が複数の男たちの襲撃に遭い、刑務官2名死亡、3名重傷のうえ、囚人たちは逃亡するという大惨劇が起こり、騒然としています。

 護送車が料金所を通り過ぎようとしているところを狙って2台の車が近付き、そのうちの1台がまず護送車のフロントに正面衝突して車をとめ、行く手を阻んでいます。複数の襲撃犯の男たちは、黒い服を着て頭にフードをかぶり、マスクをしており、散弾銃で護送車を襲撃し、容赦なく刑務官に向けて発砲しています。

 日頃、警察官の発砲事件は後を絶たない印象があるのですが、その警察官が発砲する間もなくあっという間に襲撃・銃撃しているのですから、恐ろしいものです。

 護送車の後ろには、警察車両が追随していましたが、後ろの車のドアが開いたのは、映像で確認できますが、彼ら(警察官)が発砲する間もなく、襲撃犯は、刑務官を撃ち、そのまま、全員、無傷で逃走しているのですから、まさにプロ。

 周囲の人々の証言によると、銃声は20~30発以上聞こえていたということで、あまりの音に最初は爆竹かと思ったが、すぐに銃声とわかって震撼として、身を伏せたと証言しています。

 時間にして、この襲撃から逃亡までの時間は2分程度だったと言われていますが、正直、襲撃犯は役割分担がされ、見張りと襲撃、そして逃走補助を数分のうちにやってのけ、不意を突かれた感があります。

 ふだん、パリの街を歩いていても、もう慣れてしまってそれほど気になりませんが、主要な駅などには、長い銃をかついだ憲兵隊などを見るたびに、「これ、もしもの時には発砲するのだろうか?」と長い銃を見つめたりもするのですが、護送車に同乗している警察官も当然、銃を携帯しているでしょう。

 襲撃犯からしたら、まさに、護送車を襲えば撃たれる可能性が高いわけでしょうから、やられる前にやらなければ・・というつもりで襲撃しているのだと思いますが、護送車側は不意をつかれて、車に衝突されて、その間に、あっという間に刑務官・警察官が撃たれてしまったのです。

 逃亡した囚人は、1994年生まれの組織犯罪に関与している30歳の男で、パリ検察所によると麻薬事件、強盗、誘拐、殺人未遂等複数の容疑で起訴されており、マルセイユでは、誘拐と監禁致死の罪で起訴されているという、いわば犯罪のデパートみたいな人物。にもかかわらず、彼は特に重要な被拘禁者(DPS)として登録されていなかったということで、一体、どれだけ凶悪な犯罪者なら、DPSとして登録されるのか?を考えるとなかなか怖い話です。

 この襲撃事件直後にすぐに、エペルヴィエ計画(憲兵隊が特定の期間と地域に部隊を動員するために使用するプラン)が発令されていますが、夕刻には解除されています。

 この逃亡した囚人は、手錠がつけられたままで逃走している模様ですが、ここまで計画的に仲間とともに逃走していれば、それを外してしまうことも難しくはない話かもしれません。

 不謹慎ではありますが、襲撃時の映像を見る限り、もうほとんど映画の1シーンみたいで、映像でさえも呆気にとられる感じですが、その場に居合わせていたら、大変なショッキングなシーンです。

 死亡した刑務官の一人は2日後に21歳の誕生日を迎えるはずだった妻と2人の子供を残し、もう1人は妊娠5か月の女性、両親を残して・・という2人でした。

 この凶悪な襲撃事件にフランス政府は「この卑劣な犯罪は決して許されない。私たちはいかなる手段や努力も惜しまずに必ず犯人を捕らえる」と声明を発表しています。

 この事件は組織的殺人および殺人未遂、組織的ギャングによる逃亡、銃の取得と所持、および犯罪の実行を目的とした犯罪結社に関する犯罪、まさにプロの犯罪集団でこのような組織を野放しにしてはなりません。

 現在は、パリオリンピックに向けて一般市民に向けても、非常に厳しい警戒体制を敷いているフランスですが、この犯罪のプロ組織集団を摘発できなければ、オリンピックにも非常に大きな不安要素を抱えることになります。

 日常は、治安が悪い場所もあるとはいえ、警備が厳しめでそこまで危険を感じることはありませんが、このような護送車を襲撃して刑務官を射殺して組織的に凶悪犯が逃亡するなどと言う話を聞くとやぱり、犯罪もいざとなると、日本とは桁違いかも・・とも思うのです。


護送車襲撃 刑務官2名死亡 犯人逃走


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2024年5月14日火曜日

フランス内務省からのアラート オリンピックパス

  


 夜8時、なにやら耳障りな音が響き始めて、私はギョッとしてしまいました。

 その音が聞いたこともない奇妙な電子音で、ちょうど机に向かっていた私は、正面にパソコン、となりにタブレット、ポケットの中に携帯が入っていて、その音がどこから聞こえてくるのかわからず、慌てて、パソコンが壊れた??と焦ったら、そのうち何やら喋り出したので、いよいよ、「え~~~?」と泣きそうになったら、どうやら、それは携帯の方で、なにやら、アラートで内務省からのメッセージが入っていた模様。

 慌てていたし、なにを言っているのかも聞いておらず、携帯にアラート!!という緊急事態に、「どこかで大規模なテロでも起こったのか?」、それとも「どこかから、ミサイルが飛んできた?」など思いながら、携帯を開いてみたら、「オリンピック開会式前7月18日から26日までの期間は、セーヌ川沿いの式典が行われる場所への立ち入りが規制されるため、この区間の通行のためにはQRコードを取得する必要があります」というものでした。

 このQRコードを取らなければならない話は聞いていたので、正直、「なんだ!脅かすなよ・・」という気持ちでした。

 以前も、パンデミックの際にロックダウンになった時に、政府からのメッセージがSMSで送られてきて、その時は、こんな音はしなかったと思うのですが、「なんで?私の携帯番号知ってるの?」ということに驚いたくらいでした。しかし、今回は、ビービービーという異様な耳障りな音付きのメッセージで、まさに、もっともっと、アラートという感じだったのです。

 このQRコードの申請をしてから、取得までに数日間かかる場合があるので、早めに申請してくださいとのことでしたが、そもそも、これが知れ渡っていなかった場合、そこを通れる通れないで、余計に争いごとのタネがあっちでもこっちでも勃発しかねない話なので、周知徹底する必要があるのだとは思います。

 しかし、それにしても、あんなアラーム音いりますけね・・?インパクトは大だけど・・。本当に、いよいよ、もう終わりか・・くらいに思っちゃいました・・。オーバーだけど、それくらいビックリしました。

 セーヌ川沿いの式典が行われる地域といっても、相当な数の人々、住民やそこに通勤してくる人々、そしてオリンピックのために訪れる観光客など全てが影響下におかれるということで、このパスがなければ、身動きが取れなくなります。

 もっとも、私は、これがあっても身動きが取れなくなるのではないか?とさえ思っています。

 少なくとも、この間は、好きな時に好きなところに行くことはできず、観光客でにぎわうであろうとはいえ、その区間にあるお店やレストランなどは、どうするんだろうか?と不安がだんだん具体的になってきました。

 このパスがなければ、身動きがとれないとなれば、ちょっとロックダウンの時みたいな感じになっちゃうのかも?など、それでもやっぱり具体的にイメージができなくて、この期間、パリを逃げ出そうとしている人々の気持ちがわかる気がしてきました。

 出歩くのに必要になるワクチンパスならぬオリンピックパスです。

 それにしても、携帯のアラートが異様な音をたててなった時に、よもやテロ?とか戦争?とか思ってしまったのも、自分でもビックリでしたが、実際に、そのようなアラートが来てもおかしくない世の中なのかも?とも思います。

 そんな場所でオリンピックをやろうというのですから、それはそれは大変な警戒になることは必須なわけで、致し方ないのかもしれません。

 しかし、これ、さっさと申請してしまおうかな?とやりかけたのですが、身分証明書やら写真などが必用で、途中で断念して、全部揃えてから、また後日やることにしました。

 この手の手続き、本当に気が重い私です。

 でも、考えてみれば、これはオリンピック開会式までの間のことで、実際のオリンピックの競技が行われる期間(7月26日~8月11日)は、この通行止めはないわけで、なんだか、中途半端な気がしないでもありません。

 もっとも住民としては、そこまで長期間の通行止めは勘弁してもらいたいものです。


オリンピックパス 


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2024年5月13日月曜日

RATP(パリ交通公団)の検札は観光客にも容赦なし

  


 5月はフランスでも祝日が多い月で、ここを休めば連休になる・・という日も多いためか、パリ市内も観光客が少しいつもよりは多い感じ・・というか、フランス人の観光客というのもけっこういるもんだな・・と感じます。

 やけにおしゃれをしてきたな・・という感じの若い女の子たちがいたりして、様子を見ていると、フランス語で話しているので、フランス人だな・・と思うのですが、どうも交通機関に慣れていないみたいで、「バス降りるときのボタンはこれでいいのかな?」と言っていたかと思うと、「このチケットでいいのかな?マルセイユとは違うから・・」などと聞こえてきて、この人たちは、マルセイユから来ているんだ・・と思ったり・・。

 とにかく、ここのところ、フランス人の観光客をよく見かけるのです。

 今日、バスに乗っていたら、いつのまにか、どこかの停留所で検札の人が乗ってきて、コントロールを始めていました。ほとんどの人はチケットをちゃんと持っていたのですが、観光客らしきフランス人の男性のチケットがメトロで使用済のものだったチケットで大丈夫だと思っていたらしく、これでは、ダメだと罰金を請求されてゴネていました。

 RATPのチケットは、バスでもメトロでも両方使え、メトロからメトロへの乗り換え(1時間半以内)ならば、同じ1枚のチケットを使用することができ、また、バスからバスへの乗り換え(1時間半以内)でも、同じ1枚のチケットを使用することができますが、メトロからバス、バスからメトロへの乗り換えは、それぞれ別のチケットを使用しなければなりません。

 男性は、そのルールを知らなかった様子でしばらくゴネていましたが、罰金50ユーロを支払っていました。この罰金のシステムもその場で支払えば(カード払い可能)50ユーロ、20日間以内なら60ユーロ、20日間を過ぎてしまうと80ユーロになってしまいます。

 ちなみにチケットやNavigoを持っていても、乗った時にマシンに通すのを忘れていた場合も罰金をとられることになっています。この場合、バスやトラムの場合は、その場で支払えば、5ユーロ、20日間以内に支払えば10ユーロ、20日間以降になると35ユーロ、メトロやRERの場合は、その場で支払えば35ユーロ、20日間以内だと45ユーロ、20日間以降になると80ユーロになります。

 実際にチケットというかNavigoは持っているのに、マシンに通すのを忘れただけでも罰金なんて、すごく厳しいです。

 これらの罰金は、90日間を過ぎても支払われない場合は、全ての罰金は180ユーロに跳ね上がります。

 これは、罰金の金額を調べていてたまたま知ったのですが、マシンに通し忘れただけでも罰金というのは、私も今まで知りませんでした。メトロは駅を通過するときには、否応なしに機械に通すし、バスは乗車時に運転手さんの前を通って乗るので、忘れることはほとんどないのですが、トラムなどの場合は、改札もなく、どこから乗ってもいいため、たくさんの買い物の荷物を持っていたりして、そっちに気をとられて機械に通すのを忘れそうになったこともありました。

 やばいやばい・・。私の場合は、Navigo(定期券のようなもの)を持っているので、あまりチケットで問題があったことはないのですが、ルール?をよく知らない観光客にも容赦せずに罰金をとりたてているのを見て、観光客とて「知りませんでした・・」は済まされないんだな・・と思った次第です。

 パリにいらっしゃる機会のある方はどうぞお気をつけくださいませ。


パリのバス・メトロの検札と罰金


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2024年5月12日日曜日

マヨット島(マイヨット島)でのコレラ感染拡大 フランス政府と現場の食い違い

  


 コロナウィルスによるパンデミック以来、感染症という単語に敏感になっていることに自分でも感じます。そして、この感染症という単語が耳に入ってきて、「えっ??」と思ったら、マヨット島での話でした。

 マヨット島は、海外とはいえ、フランスの海外県のひとつで、なにかが起これば当然のことながら、フランス政府が対応します。

 マヨット島は、3月以来、コレラの流行に直面しており、未だその感染はおさまってはいません。現在は、先進国では、ほぼほぼ、その対処方法(ワクチンや治療法など)も解明されており、稀に旅行者などから、コレラ菌が持ち込まれたとしても、深刻化するまえに、封じ込めることは可能になっているはずの病気です。

 しかし、今回のこのマヨット島でのコレラ感染が3ヶ月以上もおさまらない(5月9日の段階で確認されている感染者は一地区に限っても50人以上の感染者がいる)のは、異常事態、やはりこの地域の医療体制や衛生問題には、問題があると思わざるを得ません。

 まず、救急医療チームを備えた病院が島内には1つしかなく、このような感染症が蔓延した場合に対応しきれない現実があります。このため、フランス政府は、この感染症対応の援軍の人員を30名程度派遣しています。

 保健担当大臣は現場を視察したうえで、「感染が疑われる人々の家はすぐ消毒し、家族にも抗生物質を配布し、可能な限りワクチン接種を行い、ボトル入りの水を配布している」と、適切な対応が行われているため、これ以上に急激な感染拡大はないと断言しています。

 ところが、現地では、政府の努力は認めるが対応は適切ではないという声が多く上がっており、食い違いが指摘されています。

 まず、一つしかない病院になかなかアクセスができないうえに、不法移民の逮捕が病院でも行われているために、感染しても病院に行けない人が少なからずいるために、治療ができないばかりか、そのまま、感染が拡がり続けることに繋がっているというのです。

 また、全ての人が携帯を持っているわけではないため、情報にアクセスできずにコレラの流行そのものを知らない人さえいるそうです。 コレラは、細菌に汚染された食物や水を摂取することによって引き起こされる病気で、感染者の4分の3は無症状です。しかし、発症すると、症例の 10 ~ 20% が重度の下痢と嘔吐を引き起こし、脱水症状が進行するという恐ろしい症状を引き起こす可能性もあります。ちなみに潜伏期間は5日程度だそうです。

 現地の役人は、「私たちは常に、遅れたり、軽視されたりする場面に直面しています」と語っており、フランス本土ならばあたりまえのように対応されることが、このマヨット島では、なされておらず、未だに断水が続いている場所もあると説明しています。

 保健担当大臣は、国民を安心させるために、適切な対応がなされていると説明しているならば、それはそれで事実ではなさそうだし、本気でそう判断しているとすれば、現状の把握ができていないということで、これ以上の改善が見込めないというさらに深刻な話でもあります。

 ワクチン接種に関しても、実際には、ワクチンの数は限られているため、保健当局は投与回数を減らすようになってきていると言われています。

 政府の発表と現実が異なることは、少なからず、どこの国でもあることだとは思いますが、なんともやるせない話ではあります。しかし、微かな救いはその現実を書き立て報道するマスコミがフランスにはいるということです。

  NGO、学術機関、国連機関を集めた世界コレラ対策特別委員会は、「コレラは数十年前に先進国では見られなくなったが、依然として多くの人々に影響を及ぼし、最も貧しく脆い地域社会に影響を与えている」と強調しています。


マヨット島(マイヨット島)コレラ感染拡大


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2024年5月11日土曜日

いつのまにか街中でオリンピックのマスコット「フリージュ」を探している・・

  


 オリンピックのマスコットキャラクターが決まったのは、2年前の11月のことで、フランスカラーであるトリコロールとフランス革命とフランスの象徴であるフリジア帽をモチーフにしていると言われています。

 あの時は、「ああ~そういえば、あの帽子のかたちをしているな・・でも、なんかヘンなの・・」とあまり可愛いとも思いませんでした。

 当初は、このフリージュくんたち・・あまり見かけることもなく、当時はパリに一軒だけだったシャトレにあるオリンピックのオフィシャルショップをわざわざ覗いてみたりしましたが、最近は、いよいよパリオリンピックが近付いてきたこともあり、このフリージュくんのついたグッズはどこでも見かけるようになり、カーフールなどのスーパーマーケットでもTシャツやら、マグカップやら、ぬいぐるみやら、色々と売っています。

 そして、最近、私がやたら見つけてしまうのが、このキャラクターの入った車で、最初に見つけたのは、この赤いフリージュくんのキャラクター入りの郵便局の黄色い配達車でした。



 なにしろ、黄色い車に赤いマスコットですから、すごく目について、なんか、ちょっと可愛いな・・と思いました。普段は、郵便局の配達の車など、気に掛けることはなく、多分、見過ごしてしまっているのですが、この赤いマスコット入りだとやたらと気になります。

 昔、子どもの頃に「黄色いワーゲンを何台かみつけるといいことがある!」とかいう、今から思えば、わけのわからない噂に思わずワーゲンを見つけると嬉しくなったような、そんな気分です。

 郵便局の配達の車など、そんなにちょくちょく見かけるわけではないので、ちょうど私が子どもの頃にワーゲンをみつけるかどうか・・という確率と同じくらいなのかもしれません。


 その後、何台かそんな車を見かけて、その後にクロノポスト?かなにかの配送の車に白いものがあって、このマスコット入りのものも見つけて、「白いバージョンもあるのか!」と妙に感動したり・・、先日は、駅の黄色いポストにこの赤いマスコットがついていて、「うわっ!ポストにまで!」とビックリしたばかりでした。


 こういうオリンピックのマスコットなどは、見慣れていくうちになんだか親しみがわいてくるものかもな・・と思っていたのですが、私はまさに今、それにどっぷりハマっている感じです。

 それが、先日、シャンゼリゼを歩いていたら、ホンモノ?のフリージュくんたちに偶然、遭遇して、大興奮! 

 お天気も良くて、シャンゼリゼを歩くのも気分が良いな・・などと思いながら歩いていたら、彼らが観光客たちの写真撮影に応じながら、シャンゼリゼにいたのです。まるで初めてディズニーランドに行った時に、ミッキーマウスを見つけたみたいな感じでした。

 しかし、シャンゼリゼにフリージュくん!なんとシュールではありませんか!

 


 こうして、あらためて写真に撮ってみると、やっぱり妙なものではありますが、思いがけなかっただけに、なんだかちょっと感動しました・・オリンピックの感動はそこじゃないでしょ!って感じですが・・。

 でも、トリコロールカラーだけあって、シャンゼリゼの緑の街路樹やたまたま祝日が重なったために取り付けられていたフランス国旗がたなびくシャンゼリゼで彼らはなんだか絵になる感じなのでした。



 少しまえから、自分の中で「パリのフリージュを探せ!」モードに入っているおばさんとしては、思わぬところで彼らに遭遇したので、なんだかとっても、ラッキーな気分でその日をごきげんに過ごしたのでした。

 


 このままずっと、シャンゼリゼを歩いて行くのかな?と思っていたら、彼らは途中で横道に入って、いつの間にか消えて行ってしまいました。

 これからしばらくの間は、シャンゼリゼに行ったら、彼らを見かけることがあるかもしれません。


パリオリンピック マスコット フリージュ シャンゼリゼ


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2024年5月10日金曜日

不妊治療対応のための二十歳前後の女性への不妊検査の無料化と卵子自己保存キャンペーン

  


 マクロン大統領が女性誌 ELLEのインタビューで語った少子化対策と不妊治療対策が話題を呼んでいます。彼はこのインタビューの中で、「ダイナミックな出生率を生み出す」という自身の願望を発表し、医療補助出産(PMA)へのアクセスを改善すると約束しています。

 出生率を高めるための計画は、今年1月の段階ですでに発表されていましたが、女性にとって重要と考えられるいくつかのテーマを取り上げたこのインタビューで、彼はあらためて、「子供を持ちたくない人々に罪悪感を感じさせてはなりませんが、私たちの社会保障組織が充分でないことが女性や家族が望むなら子供を産むことを妨げてはなりません。」と述べています。

 そのひとつとして、これまでの育児休暇に代わる措置として、出産休暇を設け、母親には 3 か月、父親には 3 か月、子供の生後 1 年間は累積され、社会保障の上限 (1900 ユーロ) まで給与の 50% が補償される(雇用主は希望に応じてこの金額を補うこともできる)システムを構築し、2025年8月の発効を目指しているといいます。

 これにより、親は現行の育児休暇(金額は429ユーロに設定)よりもはるかに高い報酬を受け取ることができるようになるはずだとしています。

 一方、これにも増して衝撃的な感じがしたのは、不妊治療についての対策で、「二十歳前後の「不妊検査」がすべての人に提供され、健康保険によって払い戻されるシステム」と「将来子どもを持ちたい女性のために、卵子の自己保存を支持するキャンペーン」の実施です。

 そして、現在のPMA(不妊治療)にアクセスするまでの待ち時間(現在16~24か月)を短縮するために、「これまで病院施設のみが利用していた卵子の自己保存を民間センターにも開放する」ことを発表しています。

 フランスでは、FIV(体外受精)の費用を平均4,000ユーロ、 IAC (配偶者の精子による人工子宮内授精) の場合は、平均 950 ユーロと言われていますが、これらの各処置は健康保険によって評価および価格設定され、その結果、ケアシートが発行され、人工授精や体外受精にかかる費用を全額補償してもらうことが可能です。

 それにしても、不妊検査を二十歳前後に行うというのも、二十歳前後以上から~ということだとは思いますが、今どき、その年ごろの女性がすでに子どもが欲しい・・子どもを持つことについて、どの程度、真剣に向き合って考えているかは疑問でもあります。

 しかし、一方でこのようなことがあれば、考えるきっかけになり得るとも言えるかもしれません。

 まあ、とりあえず、検査を受けておいて、治療が必用ならば、早く治療しておいた方がよいということなのでしょうが、現実的にそれが拡まっていくかどうかは、わかりません。

 また、この不妊問題について、彼は、代理出産(GPA)については、反対の立場をあらためて、表明しており、「これは女性の尊厳に反するものであり、女性の身体の商品化の一形態である」と述べています。

 実際に私のフランスでの友人の中には、当然、娘を通じて知り合っていることも多く、ママ友とか、すでに子どもが何人かいる状態で知り合いになっているので、あまり、このような話は聞いたことがなく、日本の友人たちは、子どもも何もシングルを貫いている人も結構多いので、具体的なことは正直、わからないのですが、悩みを抱えている人にとっては、切実なことです。

 しかし、数年前に結婚した娘の友人が、結婚だけでも「えっ?もう結婚するの?」とびっくりしたと思ったら、「彼女、今、子どもが欲しくて、欲しくて、不妊治療をしている・・」という話を聞いて、さらにびっくり!まだ20代半ばなのに、そんなに急ぐ?と思ったくらいですが、彼女は無事に妊娠して今は、もうママになっています。

 本当にこの不妊についての悩みを持っている人がどれだけ切実に悩んでいるかはかなり大変な様子。子どもは欲しくないというのも自由だと思いますが、この出生率が低下しているなか、子どもが欲しいと思う人のために国が手を差し延べてくれるのは、とってもありがたいことなのではないか?と思います。


フランスの少子化対策と不妊治療


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2024年5月9日木曜日

オリンピック聖火がマルセイユ港に到着! 

  


 オリンピックの聖火がマルセイユに到着する!というのは、数日前から聞いていました。しかし、それは、想像を遥かに上回るお祭り騒ぎぶりで、あたかも、もうオリンピックの開会式?と思うほどの盛り上がりぶりでした。

 それがマルセイユであったということもお祭り騒ぎぶりを大きくしているような気もしますが、その華々しい聖火到着のセレモニーは、さすがにこういった催し物を美しく盛り上げるのがフランスは上手い!と思わせられるものでした。

 オリンピックの聖火リレーというものがあることは聞いたことがありましたが、そのオリンピックの聖火はこんなに華々しく迎えられるのを私は初めて見た気分でした。

 ギリシャから地中海を横断して12日間を経て、オリンピック聖火は今週水曜日、5月8日早朝、マルセイユ港に到着。オリンピック聖火の到着式はまず、近港北部、南部の港でこれを護衛するために登録された1,024隻のボートによる大規模な海上パレードで始まりました。

 これだけ大規模なパレードを海上で行う風景はさすがに圧巻で、お天気にも恵まれ、夕刻には、虹がかかる瞬間まで加わり、最高の盛り上がりを見せました。セレモニーは、長い時間続き、パリ祭さながらのトリコロールのひこうき雲をはいて飛行機が飛び、夜には見事な花火もあがり、マルセイユは大熱狂に包まれました。

 マルセイユといえば、ふだんは事件がらみのニュースを聞くことが多いのですが、この日ばかりは、華やかな明るいマルセイユの光景が映し出され、空撮も含めて美しいマルセイユを見ることができました。

 つい先日まで、マルセイユは、このオリンピック聖火の到着を前に、ゴミ収集業者が賃上げ要求のためにストライキを起こしており、街には、未回収のゴミが山積みになり、悪臭を放っているというニュースを見たばかりでした。

 このゴミ収集業者のストライキはどうなったのか?全然、わかりませんが、このマルセイユ全体のオリンピック聖火到着の盛り上がりぶりを見ていると、そんなことは忘れてしまいそうです。

 マクロン大統領もマルセイユにかけつけ、「長年、準備してきたオリンピックはもう始まった!」とかなり高揚した表情で語っていました。

 マルセイユ市民のみならず、このオリンピック聖火到着の模様を見に、多くの地域から人々が集まり、熱狂的にこの聖火の到着を喜び、マルセイユ市民たちは、「世界の中心はマルセイユだ!」とでも言いたげに、「世界がマルセイユに注目している!」と興奮してインタビューにこたえている人もいました。

 フランス人って、そんなにオリンピック好きだった?と思ってしまうほどの興奮ぶりで、私は、パリにいるので、周囲の人々を見ても、少々、マルセイユとは温度差は感じるものの、基本、お祭り騒ぎが好きな人たち、こういうお祭り騒ぎがあると、やっぱりラテン系の人たちなんだな・・と感じます。

 これから、この聖火は7月26日パリのオリンピックスタジアムの聖火台に点火されるまで、ツールドフランスの3倍に相当する距離、60以上の県を通過しながら、その模様を中継し、フランス各地の美しい景色を全世界にアピールすると言われています。

 オリンピック本番はもちろんのこと、この聖火の長距離の旅には、大変な警戒体制がとられることになっているそうで、すでに1月付けの内務省の機密文書には、「聖火リレーに係るリスク分析・評価」と記された15ページにもわたる文書が作成されており、聖火リレーの間に発生する可能性のある主な危険地域がリストアップされています。

 オリンピックの聖火リレーの際には、毎度、これをなんとか消そうとする人が表れるようで、2021年7月、日本では茨城県での聖火リレー中に、デモ参加者が水鉄砲を使ってオリンピックの聖火を消そうとしたり、 5年前の2016年7月、ブラジルではサンパウロ近郊で、ある人物が消火器を使って車列を妨害し、2012年ロンドンで、群衆の中に水の入ったバケツを持った男性が登場したという記録も紹介されています。

 こういっては、身もふたもありませんが、その第一に挙げられそうなマルセイユでの聖火到着は、無事終了し、真っ青な海に浮かぶ千隻以上の白い帆船が散らばる中、トリコロールの噴煙が上がる様子は絶景で、マルセイユの海ってこんなに青かった?とあらためて美しいところだな・・などと思いました。

 これからオリンピックの開会式まで2ヶ月ちょっとの聖火リレーの旅ですが、このマルセイユでのセレモニーは、特別なのでしょうが、聖火が到着するだけで、この騒ぎ、このセレモニーですから、オリンピック本番ともなれば、きっとすごい盛り上がりになるのだろう・・とちょっと、怖いような、でも楽しみなような気もしてきました。


オリンピック聖火マルセイユ到着


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