2024年12月31日火曜日

パリの大晦日 パリ及びパリ近郊に1万人の警察官・憲兵隊動員

  



 比較的、おとなしく? 家族と過ごすノエルと違って、多くの人々(特に若者)が友人たちと集ったり、街に繰り出す大晦日。パリの大晦日のカウントダウンの中心はやはりシャンゼリゼになります。

 今年の大晦日のシャンゼリゼの催し物は「パリ・オリンピックとパラリンピックをオマージュにした音楽ショー」が開催されます。

 当日のシャンゼリゼは、午前7時から駐車禁止、午後3時から自動車の通行禁止、その他、シャンゼリゼ内に立ち入る際には、テロ防止のために通行人も全てチェックされるために、決められたいくつかのポイント(検査を行っている場所)から以外は、歩行者も侵入できなくなります。

 たいてい、例年の様子だと午後5時過ぎ頃には、シャンゼリゼは、よくもこれだけ詰め込めるな・・と感心するほど、人が集まっているので、よほど早くから行って、身動きできないまま、ずっと待っていることになるのだと思います。

 安全上の理由から、シャルルドゴールエトワール駅は、1,2,6号線は前日深夜から閉鎖、A線は午後3時から閉鎖されます。また、1号線チュイルリー駅、コンコルド駅、シャンゼリゼ・クレマンソー駅、フランクリン・D・ルーズベルト駅、ジョルジュ10世駅、アルゼンチン駅は火曜日の午後3時から運行を停止。

 6号線のパッシー駅は午後7時、デュプレックス駅は午後9時、ボワシエール駅は午後11時から閉鎖されます。 9 号線では午後 7 時以降、2 号線では午前 12 時 10 分からテルヌ駅に停車できなくなります。

 その代わりと言ったら、なんですが、大晦日の夕方から元旦にかけては、パリ市内のメトロ等は、無料で提供されます。私は、長い間、大晦日も仕事ということが多かったのですが、帰りは、メトロの改札が全部オープンになっていて、「そうだ・・今日は大晦日だったんだ・・」と実感する一つでもありました。

 伝統的?な花火の前、午後11時50分頃、「さまざまな顔を持つパリ」を想起させる3Dビデオマッピングが10分間流されます。シャンゼリゼの通りには、これがよく見えるように、大きなスクリーンが一定の間隔を置いて、設置されます。

 私は、人混みが大の苦手なので、出向くことはなく、テレビでの映像を見るだけなのですが、最近は、この年越しのイベントのライティングには、全体で見ると、写真を撮ろうとする群衆の携帯のライトがシャンゼリゼの街路樹のイルミネーションと凱旋門のイルミネーションに加わって、それもアクセントになっていて、とてもきれいです。

 この一年最後のイベント、毎年、相当数の人が集まるのに、事故が起こらないのは不思議なくらいです。

 しかし、郊外の方では、いつも競い合うように車が燃やされるのも、必ず年末に起こる事件の一つでもあります。

 私は、悠然と、そんな様子をテレビで眺めながら、年越しそばを食べるつもりです。


パリの大晦日 シャンゼリゼ 凱旋門


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2024年12月30日月曜日

2025年1月1日から変わること

  


 実は毎月のように、「来月から変わること」というようなお知らせはあるのですが、年が変わるときは、ことさら、この変更事項が多くなります。

 まあ、大方が値上げのお知らせなので、あまり、気分の良いお知らせではないのですが、なんだか、いつの間にか値上げしていた・・というのもまた、ムッとさせられるものです。

 まず、一番、身近なことから言えば、Navigo(パリ市内及びパリ近郊の公共交通機関の定期券のようなもの)が86.40ユーロ/月から88.80ユーロに値上げになります。年間で購入すると、976.80ユーロになり、88.80ユーロ=1ヶ月分が安くなります。

 これは、毎年、お決まりのように値上げされるのですが、2025年からは、Navigoではなく、チケット購入の場合は、これまで、バスもメトロも共通のチケットが使えていたものが、それぞれ別チケットになります。

 その代わりといっては何ですが、メトロなどの電車、バスやトラムには、それぞれ単一料金制(移動距離に関係なく単一料金なので、イル・ド・フランス内で比較的長距離を移動する場合は安くなるかもしれない)が導入されるため、これに関しては、お得なんだか、面倒になるのか、よくわからない感じです。

 その他、Livret A(フランスでは最も一般的な定期預金)などの多くの金利が下がります。といっても、これは2月1日からのようです。Livret Aの場合は、これまでの3%から2.5%にさがります。しかし、これは、日本の銀行の金利からしたら、依然としてウソみたいな金利だとも思います。

 他の値上げのお知らせとしては、タバコが値上がり、そして、郵便料金が値上がりします。グリーン切手は1.29ユーロから1.39ユーロへ、書留郵便は、5.36ユーロから5.74ユーロになり、小包料金(Colissimo)は、全ての目的地を合わせた平均で5.2%上昇します。

 その他、これまで新生児記録のために長い間、利用されてきた「Carnet de sante(カルネ・ド・サンテ)」は、「newlook」という名前に変更され、これまで記録されてきた子どもの成長の記録に加えて、身体活動の実践、スクリーンの使用、子宮内膜症などの新しいテーマが追加され、これまで義務付けられていた20の健康診断は全て詳細に記録され、これに8つの新しい健康診断が付け加えられます。(これには、新しい6年ごとの検査も含まれる)

 また、これには、産後うつ病のモニタリングなど、母親の健康状態も加えられ、モニタリングされます。

 子どもの成長においては、有効な記録ではあると思いますが、なんだかデータ集めのような気もしないでもありません。

 また、乳児に対しての新たなワクチン接種義務(髄膜炎菌)が追加されます。これは、近年の感染症の増加から新生児を守る目的であるとされています。

 そして、基礎年金に関しては、2.2%増加します。これは、本来、バルニエ政権の予算案においては、その半額相当の値上げに抑えられていたものが、政権の問責動議のために、半額案が取り下げられたために、通常の計算式にのっとった2.2%が当面の間は、適用されることになるという暫定的な感じではあります。

 この問責動議の余波を受けたものとしては、レストランチケット(通称チケレ)(多くの会社が昼食代の補助費として雇用者側が配布しているもの)がこれまでインフレ対応として、スーパーマーケットでの食料品の買い物に使用できていたのが、2024年12月31日で終了し(期間延長の話がでていましたが、これも決まらないまま議会が解散したため)、1月1日からは、本来のお食事のため、また、調理済みの食料品(サンドイッチやお弁当など)のみの使用に戻ります。

 予算も決まらず、年またぎで暫定的な年初の変化ということは、恐らく私がフランスに来て初めてのこと。それでも、値上げされるものはしっかり値上げされていくということは、仕方ないのですが、なんだかモヤモヤもします。


2025年1月1日から変わること


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2024年12月29日日曜日

義理の家族の近況を聞いてビックリしたこと色々

 


 

 たまに忘れた頃に訪ねてくれる義理の息子?というか、私にとっては、どちらかといえば、娘の義理のお兄ちゃんという感じなのですが、彼は現在、フランスに住んでいないので、たまにフランスに来た時(というかパリに来た時)、わざわざ会いに来てくれることがあります。

 先日も、「パリに○○日から○○日まで行くけど、その間、時間があったら、行ってもいい?」と連絡をくれたので、「じゃあ、○○日に、ランチの支度しておくから、一緒にご飯たべよう!」と約束していました。

 前回、会ったのがいつだったか? 多分、たいてい年末年始のタイミングだとは思うのですが、久しぶりに会えて、なんだか、体系的にも一段とたくましくなった感じでした。

 彼は、もう5年近くドイツで働いているため、お給料もフランスよりも良いらしく、お金もけっこう貯めているらしく、ドイツに家を買おうか?などと話していました。

 ドイツに家を買おうかな?とか言いつつ、今度はカナダの大学での教授の口があるとかで、現在、まだ決まってはいないと言いつつ、検討中とのこと・・。

 「もう、フランスに帰ってくるつもりはないの?」というと、研究するうえでの環境や様々な条件から、当分はないかも? フランスに帰ってきたら、「もう終わり」な感じ・・というので、爆笑してしまいました。

 そういえば、彼は今年の夏には、日本で学会があるから・・と日本にも行っていて、その際に妹(私の娘)と一緒に富士山に登ったりした話や日本の懐かしいもの(以前、彼が小さい頃に一年間だけ日本に住んでいたことがある)の話をしてくれました。

 懐かしいものって何なの?と聞いてみたら、なんと、日本の駄菓子のようで、「名前は憶えていないけど、パッケージが昔のままですぐにわかって嬉しかった!あれは、フランスには、ないよ!」とちょっと食い気味に話してくれました。

 私も正確には、わからないのですが、彼の話によれば、どうやらそれは、「アーモンドチョコ」と「マスカットキャンディ」だと思われます。

 未だ独身の彼、まだまだ結婚するつもりも、子どもを持つつもりもなさそうで、彼の年齢では、周囲の友人には、もう子どもがいる人もけっこういるのだけれど、「なにせ、良い話を聞いたことがない・・、子どもを持っている友人は子どものことで眠れぬ日々をすごしている・・」とか、「子どもは欲しくない・・」と言っている人が多いとかで、フランスの少子化の一遍を見た気がしたのでした。

 ところが、彼のお兄ちゃんたちの近況を聞いてみると、二人とも、けっこう歳がいってから、結婚したので(そのうち、一人は、絶対、結婚しないと思っていたのが結婚した)、子どもは無理だろうと思っていたら、下の方のお兄ちゃんのところで、子どもが生まれる予定だと・・。

 私は、その相手の女性に直にあったことはないので、よく知らなかったのですが、彼女の方はお兄ちゃんよりもずっと年上で、なんと50歳での出産だとか・・。

 そんなのあり得るの?と思ったけれど、彼女の方はどうしても子どもが欲しかったようで、「不妊治療?」というか、色々と努力をして、ようやく授かったのだとか・・こちらの方は、少子化に大きく貢献する話です。

 久々に聞く、義理の家族の近況は、今では、あまりに身近ではないこともあって、無責任に楽しくて、また懐かしい気持ちもあいまって、楽しい時間を過ごしました。

 しかし、前回、会ったときにも増して、ますます結婚する気もなさそうで、その気配もなさそうで、しかも、けっこう長期間にわたり、海外で仕事をする楽しさを知ってしまった彼にとって、フランスに帰国する気持ちはどんどん薄くなっているようで、娘の将来とダブって感じてしまったのには、少々、複雑な気持ちでした。

 それでも、フランスだけにいるフランス人とは違って、また色々な視点で世界を見れることができるようになっている彼は話題も豊富で、平衡感覚も感じられ、やっぱり、海外に一度でも、出てみるということは、良いことだな・・と思うのでした。


義理の家族


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2024年12月28日土曜日

インフルエンザ感染 急激に増加 ワクチンしていてもしっかり感染 

  


 「今年の冬は、風邪もひかずに元気だな! 早々にワクチン接種したし・・」と思っていたら、ノエルの少しまえから、「なんだか少し調子悪いな・・寒気がするのか?寒いのか?どっちだろう?」と、ちょっと厚着したりして、ビタミンCを飲んだりして、様子を見ていました。

 ノエルが過ぎた頃から、いよいよ熱っぽくなってきて、ヤバいと思っていたら、とうとう昨日、本格的に「もうすっかり病気モード」に突入。

 ダラダラしているのは、好きなくせに、いざ具合が悪くなって寝ていなきゃ!となると、往生際わるく、かえって、あれもやらなきゃ!これもやらなきゃ!と焦るような気持ちになります。

 翌日、お客さんが来ることになっているので、ちょっと買い物しておかなきゃ!午前中の早い時間のうちにとにかく買い物だけは済ませておいて、そのあとに寝込もう・・と、出かけようとしたら、こんな時に限ってエレベーターが故障中。

 我が家はふつうなら、階段で上り下りするには、ちょっと厳しい上の方の階にあるので、具合悪いときなどには、特にキツいのですが、フランスの場合、いつになったら修理が済むかわからず、待っているわけにもいきません。

 諦めて、ぐるぐると螺旋階段をおりて階下へ。

 そして、なんとか買い物を済ませてヘロヘロになって、家に戻り、へたばった1日を過ごしたのでした。

 ニュースでは、インフルエンザ感染が急激に増加していると報道していて、私もしっかり流行の波にのっちゃったわけで、ワクチン接種をしていても、ダメだったんだな・・油断したかも・・と思いながら、恨めしく寝込んでいたのです。

 報道によれば、15歳以下の子どもの感染が顕著で、その他は65歳以上の救急外来からの入院が急増とのこと。私は、そのどちらの年齢にも当てはまりませんが、とりあえず、ワクチン接種している分だけ、悪化していないのかも・・と思うことにしました。

 それでも、フランス公衆衛生局の発表によれば、インフルエンザ感染のピークは1月以降とのことで、まさに、私は流行の先取りをしてしまったようで、これから年末年始にかけて、さらに気を引き締めようと思います。

 と思っていたら、27日18時の段階で、「フランス本土全土に非常警戒警報が出た!」とのことで、非常警戒警報となると、穏やかではないな・・と思いつつ、私自身、もう最近ではすっかりマスクが鬱陶しくなってきていたところ・・、冬の初め頃には、マスクは防寒にもなるな・・と思い、マスクをしなくちゃ・・と自分に思い聞かせていたのに・・今後はしばらくは外出時には、マスクします。


インフルエンザ非常警戒警報


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2024年12月27日金曜日

12月28日から 充電器端子の共通化 同じコードで充電できる!

  


 2024年12月28日から、フランスで発売される全ての携帯電話、ワイヤレスヘッドホン、タブレット、ゲーム機、電子書籍リーダー、キーボード、カメラなどに使用される電子機器には、ユニバーサルUSB-Cタイプの充電ポートが搭載されることになります。

 簡単に言えば、全ての電子機器に同じ充電ポートがあり、同じケーブルを使用して、これらの異なるデバイスに充電することが可能になるということです。

 これは、すでに流通しているデバイスには関係ありませんが、各新製品は、100ワット以下の充電電力を提供する適切な充電器に対応できなければなりません。

 これは、2022年に欧州議会にて採択された措置で、「新しく販売される小型電子機器には、すでに広く普及しているUSB-Cタイプの充電ポートを装備することが義務付けられる」というものです。

 これは電子廃棄物の削減を目的としたもので、これにより、年間11,000トンの廃棄物の削減が見込まれていると言われています。

 たしかに充電器、充電コードは、なにか新しい電子機器を買うたびに違うコードが登場し、また、それぞれが少しずつ、ポートが違ったりして、「このコード?何の充電のコードだったっけ?」と思うものが我が家にも山ほどあります。

 しかし、この日付以前にフランスに入荷しているものに関しては、これまでどおりの様々な充電ポートが使用されるものが販売され続けるため、今後、なにか電子機器を購入する場合は、先のことを考えて、この充電ポートを確認して購入するほうが良さそうです。

 また、これは、複数のデバイスに同じコードを利用できるということで、電子機器の販売と充電器が別販売になり得るということでもあり、新しい電子機器を買うときには、新しいコードが必用かどうかを考えて、購入する電子機器に充電器が入っているかどうかを確認する必要があります。

 これには、絵文字のような表記がされるという話ですが、具体的には、どのような表示になるのかは、わかりません。

 この充電器端子の共通化に関しては、「イノベーションを損なう」として、Apple社が最後まで抵抗していたようですが、長期間の交渉の末、Apple社もこれを受け入れ、2023年iPhone 15から、このUSB-Cタイプの充電ポートを搭載しているようです。

 この iPhoneの充電コードに関しては、私も以前から不満に思っていて、他のものと著しく異なる充電ポートであるうえ、なんだかやたらとコードの寿命が短い気がして、しかも、やたらと高いし・・とうとう、これに嫌気がさして、iPhoneはやめてしまったくらいです。

 あまり先進的だとも思えない私の生活でさえ、頻繁に充電している電子機器はけっこうあり、新旧、また日本で購入したもの、フランスで購入したものと、それぞれの充電方法はバラバラで、これが統一されるのは、ありがたいことです。

 しかし、すでに我が家で山のようになっているコードの束、なんか、捨てるに捨てれずに、とりあえず、一か所にまとめてあるのですが、これを機に、ちょっと整理してみようかと思っています。

 ただ、ひとつ、不思議というか残念なのは、どうして、この日付が12月28日からだったのか?と思うのは、これが、多くの人がプレゼントを購入するノエルの前だったら、もっと一気にこの共通化が進んだと思われるのに、なぜ?この年末ギリギリのタイミングだったのか? と、ちょっと半端な感じというか残念な気がしないでもありません。

 


充電器端子の共通化


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2024年12月26日木曜日

クリスマスイブの衝撃のTGV運転手の飛び込み事故

  


 クリスマスイブの夜、パリ発リヨン行きのTGVが急停車。これは、TGVの自動安全装置のために停車したもので、すぐには、原因はわからなかった模様です。この遅延により、この方向のTGVの運行に大きな混乱が起こり、最大5時間の遅延で4,000人に影響したということです。

 この自動安全装置が作動したのは、運転手が運転席から一定時間以上離れた場合、具体的には、ドライバーは定期的に足でペダルを踏むか、コンタクタを交互に押すことが求められているためで(30秒ごとに圧力を解放しなかったり、5秒ごとにコンタクタを押さなかったりするととても大きな警報が運転室内に鳴り響き、運転手に警告を発するようになっている)、通常ならば、この運転室内の警報装置により、運転手は、この求められている一連の動きを3秒以内に再確認することになっているのですが、この日の場合は、そのまま、自動的に牽引が停止され、同時に非常自動ブレーキ装置が作動したのです。

 このTGVは、このようにして、急停止したのですが、当初はその理由がわからず、停車後の確認作業の間に運転手がTGVが最高速で走行中に電車から飛び降りて、自らの命を絶っていたことが発覚しました。

 TGV走行中は一般乗客には、ドアを開けることはできませんが、運転手は自らドアを開ける術を持っており、彼は運転席から一番近いドアを自分で開けて、飛びおりています。

 非常自動ブレーキ装置によりTGVが急停止したとはいえ、ブレーキがかかってから、すぐに止まったわけではなく、しばらく停車するまでに時間がかかり、運転手が飛びおりてからもしばらく走っているために、TGVの停車したポイントには、飛び降りた運転手の姿はなかったのです。

 自ら命を絶った運転手は52歳の男性だということだけで、この行動をとった原因は、明らかになってはいません。

 それにしても、クリスマスイブという日の夜にTGVの運転手として、最も衝撃的な方法をとって自らの命を絶ったということは、彼の家族はもちろんのこと、彼の周囲の人々にも深い傷を残すことになったと思います。

 SNCF(フランス国鉄)は、この運転手の家族に深い追悼の意を表するとともに、このような事態が起こっても、乗客を危険に晒すことは、全くなかったと、自動緊急停止装置が正常に稼働したことを説明しながらTGVの安全性を必死で訴えています。

 午後7時半頃起こったこの事故により、ストップしたTGVの交通網が正常状態に戻ったのは、翌日午前1時過ぎであったとのこと。

 クリスマスイブを家族と過ごすために家路に急いでいたであろう乗客は、とんだクリスマスイブになってしまい、このクラスの遅延だったら、怒り心頭になるとも思うのですが、この原因を知った時、怒りきれない気持ちになりそうです。

 

クリスマスイブ TGV運転手飛び込み


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2024年12月25日水曜日

ノエルにはブッシュ・ド・ノエルがやっぱり圧倒的に人気らしい

  


 年末年始にかけて、食い倒れ感が満載のフランスですが、ノエルは家族で過ごす人が多く大晦日から年始にかけては、友人たちと・・というのが一般的なようです。

 特に家族の集まるノエル・クリスマスの食卓には、各家庭のそれぞれがメニューには、それなりに頭を悩ませるのですが、やっぱり定番は、フォアグラ、スモークサーモン、生牡蠣などのシーフードプレート、シャポン(去勢鶏)などやジゴー・ダニョ(子羊の骨付きもも肉)などの肉料理、そして、デザートの定番はなんといってもブッシュ・ド・ノエルと呼ばれる丸太型のケーキです。

 今は、食べ物にも季節感が消え失せつつあり、いつでも何でも買えますが、このブッシュ・ド・ノエル(とガレット・デ・ロワ)だけは、一年のうち、この季節だけです。

 このノエルシーズンのブッシュ・ド・ノエルのためにパティスリーは1ヶ月ほど前から準備をして、人気のお店では、冷凍保存しておいて、直前に、ほんのわずかな最後のデコレーションだけして、店頭に並べるという興ざめな話をこの間、テレビでやっていましたが、パティスリーでは、なんと1年のうちの25%の売り上げはこのノエルの季節で売り上げるということなので、全く、エライもんだ!と思います。



 そういえば、ここ1ヶ月くらいは、前夜祭とでもいうべくブッシュがパティスリーに並び始め、ギリギリまでは、わりと小さめのブッシュ(個々)が多く、ピエール・エルメを覗いて見たら、可愛らしくも美しいブッシュが店頭にならんでいて、なんだか上手くデコレーションしているのですが、よくよく見ると、「ちっちゃい!」そして、1個10ユーロ(約1,600円)という値段を見て思わず目を見開いてしまい、思わず「たかっ!」と二度見してしまいました。1ホールではないのです。ちっちゃな一人用のブッシュです。

 それでも、ラファイエットグルメなどだとこれが飛ぶように売れていました。

 私は、あまり、ブッシュには思い入れがないために、常日頃から目をつけていたケーキなどをちょっとずつ(正確に言えば一つずつ)買いに行って楽しんでいるのですが、この時期、目をつけていたいつものケーキはブッシュのために姿を消しており、寂しい思いをして帰ってきました。

 しかし、このノエルという行事、華やかな食卓を彩る高価な食材が飛ぶように売れ、もちろん、ブッシュ・ド・ノエルも売れまくり、そのうえ、みんなが家族用のプレゼントを揃えてクリスマスパーティーに臨むというフランス人がバカンスの次にお金を使う行事。

 フランスの経済効果には欠かせない行事だな・・とつくづく思います。

 24日のクリスマス・イブには、夕方には、早々に店じまいしてしまうところも多く、街中はシンとしてしまいます。伝統的な食事や家族での集まりを考えれば日本のお正月に近いものなのかもしれません。


ブッシュ・ド・ノエル


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2024年12月24日火曜日

一般診療26.50ユーロから30ユーロに値上げ

  


 12月22日から、一般開業医を含む複数の診察料金が値上げになりました。一般診療に関しては、これまでの26.50ユーロから30ユーロ(約5,000円)になります。

 これらの増額は、健康保険と民間医師組合が2024年から2029年までの見通しを定義するために、すでに6月に署名した新たな協定に基づくものであるとされています。この協定は、インフレを考慮したうえでの必用な医療従事者への大幅な増額も含まれています。

 しかし、多数の国民にとっては、これまでと同様に健康保険(70%)とミューチュエル(健康保険で補われない分を補償する保険)(30%)によって支払われるため、あまり影響はないと言えばないのですが、当然、この値上げに連れてミューチュエル(相互保険)の保険料も値上げになり、こちらは、保険会社により差があるものの、平均6%の値上げが予定されているようです。

 フランスでは、雇用主がこのミューチュエルを負担しなければならないことになっているため、このミューチュエルがカバーしているケースが多いと思われるのですが、それでも全体の4%は、この補完的な医療保険の恩恵を受けていないために、これらの人々に対しては、値上げがダイレクトに響く結果となり、これらの人々にとっては、医療へのアクセスが厳しくなることは避けられない状況です。

 また、値上げするのは一般診療だけでなく、一般開業医からの紹介による専門医の診察は、60ユーロに、また、児童精神科などの特定の専門分野に関しては、2回に分けて(次回の値上げは7月1日)予定されています。(54.70€→67.00€→75.00€)

 その他、婦人科医は現在の33.50ユーロから40ユーロ、老年病専門医は31.50ユーロから42ユーロ、神経内科医は51.70ユーロから57ユーロに値上がりします。

 いずれにせよ、高齢化と科学の進歩により、増え続ける国家医療費の支出は保険システムを構造的に見直さない限り崩壊すると言われる中、医療費の値上げと、この直接には、見えにくくなっているミューチュエルが補完する割合を増加させていくことが、医療の民営化の一歩であるとも言われています。

 一方、私自身、年齢を重ねていっているからか? 年に数回、様々なガンに関する検診(無料)のお勧めのような通知を頂くのですが、この予防医療という部分がどのくらい医療費の支出を軽減しているのかも知りたいところでもあります。

 また、同時に値上げはともかく、一般診療は(私の場合は)別として、専門医となると、値段云々の前に予約が取れないのが実状で、まず、診てもらうまでに数ヶ月、待たなくてはならないので、これにも、もう慣れましたが、この予約が数カ月先・・と言われるたびに、本当に重篤な病気だった場合は、死ぬな・・と思うのです。


医療費値上げ


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2024年12月23日月曜日

環境活動家 ポール・ワトソン フランスに亡命申請と国籍申請

 


 国際環境保護団体「シーシェパード」の創立者であるポール・ワトソンがグリーンランドで逮捕されたのは、今年7月21日のことでした。主に捕鯨を非難しているこの活動家には、日本からの国際手配申請を受けてインターポールの赤通知が出ていました。

 この環境活動家の身柄をグリーンランド(デンマーク)が引き渡すのかどうかは、当初は8月15日には、明らかになると言われながら、様々な方面からの賛否両論があがり、長い間、その行方が注目されていましたが、結局、デンマークは彼の身柄の引き渡しを求める日本の要請には応じませんでした。

 釈放後に彼が明らかにした内容によると、彼がグリーンランドに拘留中には、彼は4,000通以上の手紙を受け取っていたが、そのうちの3,000通はフランスからのものだったと明かしています。

 それだけ、この環境活動家に対するフランス人の関心と支持は大きく、マクロン大統領は、彼の身柄の日本への引き渡しに対して、デンマーク当局に圧力をかけていたと言われています。

 今年の10月の段階で、ポール・ワトソンは、マクロン大統領に直接宛てた書簡の中で、彼のフランスへの亡命を申請しています。彼の家族はフランスに在住しており、今回、釈放された後、すぐにフランスに到着しています。

 フランスでは、この環境活動家を支持する声が大きく、彼のグリーンランドでの逮捕は、このフランスの環境活動家たちの団結を高めたとも言われています。

 フランスに到着後の彼は、「自分は海の熱烈な擁護者であり、海のためには命を賭ける用意ができている!それだけの価値のあることだ!」としつつ、「ここまで、長期間、拘留されることは、自分にも予想外のことであったし、日本に身柄を引き渡されることも厭わない覚悟ではあったが、日本に行けば、家族に会うこともかなわなくなる、もう帰ってこれないと思った」ことも同時に明かしています。

 彼は調査捕鯨という名目で日本が捕鯨をし続けていることを非難し続けており、逆に自分の逮捕は、日本がどれほど違法行為を行っていたかを示す機会となったとも述べていますが、これは日本国民に対して何ら敵意を持っているわけではないことも付け加えています。

 ポール・ワトソンがフランス到着後にパリ・レピュブリック広場では彼の釈放を祝った集会が開かれ、そこで彼は、「フランスでのサポートは信じられないほど素晴らしかった!私をサポートしてくれるだけでなく、私の大義をサポートしてくれる多くの人々に出会えて、非常に興奮した!」と挨拶しています。

 実際にこの彼の処遇に対するデモは、かなり頻繁にパリでも行われ続けていたのは、事実で、一定数のこの種の環境活動家はフランスにはいるもので、また、その環境活動家が逮捕され、また、家族と会う権利も剥奪される日本に身柄を拘束されかねない!という事実がこの人々を団結させたというシナリオは、フランスには充分起こり得ることであったと思います。

 彼は、フランスに亡命申請と国籍申請をしているそうで、彼は現在、アメリカ、カナダの国籍を保有していますが、これにフランス国籍が追加されるかもしれません。

 釈放された74歳のポール・ワトソンは、来年もアイスランド、オーストラリア、そして日本の海に向かう準備ができていると意気揚々としています。

 日本はこの一連の動きに対して、どう反応するのか?知りたいです。


ポール・ワトソン釈放 国際手配反故


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2024年12月22日日曜日

フランスの債務 3兆3,030億ユーロの記録的な水準

  


 フランスの財政が大きな赤字を抱えていることは、もうここのところ、頻繁に話題にのぼっていたので知らない人はいないくらいの話なのですが、具体的な数字「3兆3,030億ユーロ」と聞くと、もはや数字が大きすぎて、逆にピンとこないくらいの桁違いの数字であっけにとられています。

 来年度の予算作成に600億ユーロの財政赤字を削減案の審議中に不信任になった前首相ですが、3兆3,030億ユーロの債務と600億ユーロの削減・・それでさえ、ペンディングになっているので、今後、どうするんだろう?どうなるんだろう?と心配になります。

 先週末に、複数のメディアが伝えたINSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、フランスの公的債務は2024年第3四半期末時点で3兆3,030億ユーロという目もくらむような額に達する見通しで、この記録的な水準はフランスの経済健全性について、多くの懸念を引き起こしています。

 このフランスの債務は、GDP(国内総生産)の113.7%に相当(6月末時点では、112%だった)し、わずか3ヶ月間で710億ユーロ以上増加しています。

 2,000年初頭以来、フランスの公的債務曲線は上昇し続けており、この20年間でその額は、3倍以上にも膨れ上がり、悪いことにこのペースは近年、明らかに加速の一途を辿っています。特にマクロン大統領が就任した2017年から2024年の5年間だけでも、その額は1兆億ユーロ以上増加しています。

 この原因のひとつとして挙げられているのは、金利上昇と債務膨張による複合効果により、債務返済コスト(利息)も爆発的に増加し続けている点が指摘されています。債務返済コスト(利息)が雪だるま式に増えているというのは、憂慮すべき状況です。

 また、短期的な予算調整に加えて、何よりも必要なのは、公共支出がGDPの65%を占めると言われているフランスの社会経済モデル・構造改革とも言われています。フランスは戦後当初から、高レベルの社会保障と再分配を基盤としてきましたが、それが立ちいかなくなっているのです。

 経済成長の鈍化、極度の財政赤字、制御不能の公的債務の間で行政は苦渋の決断を迫られています。

 ただし、現在のように、すでにかなりの緊張状態にあり、不安定な政府では、この舵取りは、国会内のみならず、国民との間のコンセンサスを見つけるのは、至難の業です。

 実際にこの状況に、「今、フランスには何が必用か?」との問いに、財務省高官や財務専門家などがコメントを寄せたりもしていますが、なぜか?匿名を条件に答えており、それだけ、緊張状態であることがうかがえます。

 いずれにせよ、これを何とかしなければいけないフランス政府の課題は、財務調整を急ぎすぎると景気回復が中断され、遅すぎれば市場制裁にさらされるという状況下で微妙なバランスを保ちながら適切なペースを見つけることだと言われています。

 現在の状況は、数十年にわたる予算の変動と改革拒否の結果でもありますが、それにしても、「こんなになるまでに何とかならななかったの?」と思うばかりです。


フランス債務記録 3兆3,030億ユーロ


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2024年12月21日土曜日

モディリアーニ展 ザッキン美術館 exposition MODIGILIANI/ Musée ZADKINE

  


 美術館や博物館に行くのは、最近のちょっとした私のマイブームで、若い頃は本当に歩くのが嫌いだった私が、ここのところ、健康のためにとにかくできるだけ歩くことを心掛けていて、ふだんは、もっぱら、美味しいものを探して歩いていることが多いのですが、だんだんパリも寒くなってきて、寒い中、外を歩くのもだんだん辛くなってきて、美術館や博物館の中だったら、適温で、しかも退屈することなく、けっこう歩けるので、ここのところ・・といっても、たまに・・ですが、美術館や博物館に行くようになっています。




 といっても、そんなに美術的な見識があるわけでもなく、なんとなく、この絵好きだな・・とか、私の好きな小説家の話の中に出てくる美術館とか・・比較的、家から行き易い場所を選んで行くことが多いです。




 先日、散歩には、歩いてまわるのに、ちょうどいい大きさ?のオランジュリー美術館に行ったら、モディリアーニの絵があって、「やっぱりモディリアーニの絵は、けっこう好きだな・・」と思って、同時に、そういえば、どこかのメトロの駅に広告が出ていて、どこかでモディリアーニ展やってたな・・と思って、探して出かけました。




 美術的な評価とか、価値とか、そういったものはよくわかりませんが、単純に好きか?嫌いか?という程度ですが、好きなものを眺めて歩くのもまた、楽しいことです。



 現在、モディリアーニ展をやっているのは、パリ6区にある「ザッキン美術館(Musée ZADKINE)」モンパルナスの近くにあります。とてもこじんまりとした美術館だし、ちょっとわかりにくい場所だし、そんなにメジャーでもないし、と思いきや、平日、昼間でもけっこうな人が集まっていました。とってもいい感じの美術館です。


 モディリアーニとザッキンの友情に焦点をあてた展覧会とかで、両者の作品が上手く融合していました。

 驚いたのは、美術館というのは、それぞれにずいぶん趣が違うもので、また、この展覧会の客層は、けっこう落ち着いた感じの人が多く、それも心地よさのひとつでした。



 モディリアーニの絵は、顔と首の長い肖像画が特徴的ですが、彼自身がどんな顔をしている人なのか?どんな人だったのか?ということは全く知らなかったのですが、彼は35歳という若さで亡くなっており、彼自身の写真も展示されており、あまりに若くて、今でもどこかにいそうな感じでビックリしました。

 どんなかたちでさえ、どの程度であれ、知らなかった世界やしらなかったものを見たり、知ったりすることは楽しいことです。

 このモディリアーニ展は、2025年3月30日までやっています。




モディリアーニ展 ザッキン美術館 exposition MODIGILIANI/ Musée ZADKINE

 Musée ZADKINE 100 bis rue d'Assas 75006 Paris


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2024年12月20日金曜日

当分、無理だと諦めていたノートルダム大聖堂 あっさり入れました!

  


 12月8日に一般公開を再開したパリ・ノートルダム大聖堂は、「当分は、大混雑が予想されるため、「予約が強く推奨されます」とのことだったので、じゃあ、予約取ってみようか・・と何回かチャレンジしたのですが、結局、全然、予約がとれなくて、まあ、どこかに行ってしまうわけでもなく、まあ、少し落ち着いてからでいいや・・と諦めていました。

 ところが、X(旧Twitter)で、予約がなくても入れた!そんなに待たなくてもよかった・・などという投稿が上がり始めて、「えっ?なら、行ってみようかな?ノエルのバカンスに入ると、さすがに混むかも・・?」と急に思い立って、とりあえず出かけてみました。

 朝はあんまりお天気がよくなかったのですが、うっすら晴れ間が広がる中、久しぶりのノートルダム大聖堂。といっても、この間、オープンの前日に寄ってみたのでそんなに時間は経っていませんが、祝賀セレモニーのために囲われていたスペースは全て取り払われ、いつもの広場のような場所に戻っており、以前のように、正面入り口から入れました。

 入口の少し手前には、「予約ありの方」、「予約なしの方」という2つの通路ができていましたが、私が行った時には、どちらも数人しかいなくて、待ち時間ゼロで入れました。

 なんと、拍子抜けしたことか・・。




 正面の壁の彫刻などを仰ぎながら、いよいよ久しぶりに足を踏み入れる段になって、なんだか急に感慨が沸き起こってきて、うるうる涙があふれだしそうになり、自分でもビックリしました。



 私は別にクリスチャンでもないし、特別の思い入れがあるわけでもなかったので、自分でも意外でしたが、歳をとって涙もろくなったのかもしれませんが、「よくぞ、ご無事で・・」というか、「ご無事じゃなかったから、5年も閉まっていたのよね・・」とか、一人で心の中で思いながら、つい先日、テレビで見たノートルダム大聖堂に足を踏み入れたのでした。

 いずれにせよ、想像外な感情に思わず涙が溢れてしまうような心を揺さぶられる経験は、滅多にないことで、遥か昔の若い頃、留学したばかりのロンドンのセントポール寺院の礼拝い遭遇した時にあったことで、信仰のあるなしにかかわらず、教会というものは、不思議な力があるものだと、思いました。



 テレビの中継では、あの日は照明も特別であったためか、なんだかやけに真っ白な感じがしたのですが、そこまででもなく、でも、火災のあとは、全く感じられず、それこそ、中にある彫刻や特に奥の方にある壁画や祭壇近くの古い木造の彫り物の絵などは、「よくぞご無事で・・」という感じでした。




 ところどころに、ノートルダム再建に関わった人々を讃える展示物や全世界から寄せられた寄付への感謝などがつづられている場所も見られました。



 この中でも、おそらく今だけなのは、クレッシュ(キリストの誕生シーンを表現した模型で馬小屋の中に、赤ちゃん(イエスキリスト)とマリア様、父ヨセフ、牛、ロバ、羊飼いなどがいる模型のようなもの)の飾り物なのですが、これが、なかなか見事で、主要人物以外の登場人物がたくさんいて、おまけに、そのクレッシュが置かれている背景には、大聖堂そのものの彫り物が上手く活きるように飾られていて、なかなか見事です。

 これは、クリスマスのための飾りなので、今時期にしか見られないので、これを見たい方は、年末年始のうちに行った方がよいと思います。


 正面右側の奥には、宝物展のようなスペースがありますが、この中は有料(一般10€)です。せっかくなので、入ってみましたが、19世紀からノートルダムに保存されている宝飾品、金銀の食器類や衣類、彫刻品や礼拝堂の一部など、ついこの間、再開のセレモニーの時に司教が着用していた色鮮やかな祭服や最初にノートルダムの正面扉を叩いていた杖のようなもの?も一緒に飾ってありました。



 念のため、大聖堂そのものの入場料は無料です。

 大聖堂の中は、そんなに混雑しているという感じでもなく、私が滞在している途中に礼拝が始まりましたが、さすがに、礼拝の席はほぼ満席。とても穏やかで和やかで、ここで礼拝を受けている人々にとっては、ようやく日常が戻ってきたという静かな感じがしました。

 どうか、この本来は神聖な祈りの場である大聖堂が政治に汚されることがありませんように・・と思うのでした。

 大聖堂をゆっくり一回りして、外に出ると、さきほど私が入ったときには、なかった行列ができていました。私はとってもラッキーだったようですが、わりと列は早く動くので、けっこう並んでいるようでも、そこまで待ち時間はないのでは、せいぜい20分程度なのではないかと思います。

 サクレクール寺院などでは、けっこう厳重な荷物チェックがあるのですが、今のところ、ノートルダム大聖堂では、そんなこともやっていませんでした。


ノートルダム大聖堂


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2024年12月19日木曜日

サルコジ元大統領に懲役3年の有罪判決 

  


 フランスで元国家元首に実刑判決が出たのは、初めてのことで、このことが大きく報道されています。

 サルコジ元大統領に関しては、これまで長い間、裁判が行われてきたので、彼が法廷の場に立っているのは珍しくない話で、正直言って、まともには、実刑判決が出ることはないのでは?と思っていましたが、今回の判決はサルコジ氏が上訴したものが棄却されて刑が確定したということなので、事態はなかなか深刻な話です。

 これにより、サルコジ氏は、電子ブレスレットによる懲役1年に加えて3年間の公民権停止(選挙権、被選挙権の剥奪と公職につくことができない)が課されることになります。

 同氏の弁護士によると、「判決には、潔く従うが、この問題を欧州人権裁判所(ECHR)に付託する」とのことで、彼が欧州人権裁判所に訴えれば、フランスの国自体が責任を負うことになるだろう・・とも語っています。

 いずれにせよ、彼は、20日以内にパリの刑執行判事(JAP)に召喚され、ブレスレットが装着される日程も決定されます。ブレスレットの装着予定日には、刑務所管理局直属の監視員が自宅を訪れ、現場でシステムを調整し、装着。この瞬間から、有罪判決を受けた人物が自宅(あるいは、申請した外出先)にいない場合には、アラートが発動します。

 フランスで最も多く使用されているこのような電子ブレスレットは足首に装着するもので、収監されている96,569人のうち、15,591人に装着されています。

 しかし、サルコジ氏のような特別な人の場合は別だと思いますが、よくこの電子ブレスレットを装着しているはずの人がなにか、別の事件を起こして逮捕された時には、この人物の電子ブレスレットによる監視は作動していなかったとか、装着しているはずのものが装着されていなかったなどと言う話は、よく目にするような気がします。

 今回の有罪判決は「ポール・ビスマス事件」と呼ばれている盗聴事件とそれにかかわる弁護士と判事と汚職協定を結んだとされる事件への判決ですが、サルコジ氏は、これ以外にも数件の裁判を抱えており、2025年早々、1月6日にも出廷する予定になっているのですが、今後の裁判に関しては、彼はすでに有罪判決を受けている者として扱われるために、他の裁判への影響が考えられると言われています。

 この判決に対して、サルコジ氏は、X(旧Twitter)上で、12年間にわたる司法による嫌がらせと重大な不正義を非難。自分の責任は引き受けたいとしつつも、この決定に至った企業情勢や政治情勢には疑問を抱いており、最終的には、真実が勝利すると述べています。

 この真偽はわかりませんが、大統領職にあった者にでも有罪判決は下るという事実で、多くの政治家が襟を正してくれる手助けになってくれればと思っています。


二コラ サルコジ元大統領に有罪判決


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2024年12月18日水曜日

2030年フレンチアルプス冬季オリンピックはありか?なしか? 大幅に増額され得る大会費用に警鐘

  


 2030年の冬季オリンピック開催地が決定したのは、2024年7月24日のIOC総会、パリオリンピックの最中のことで、「え~~??また、フランスでオリンピックやるの?」と驚いた記憶があります。

 しかし、国際オリンピック委員会は、「フランスが財政赤字の可能性を補填することを約束しなければ、オリンピックは開催されない」という条件を設定しています。

 現在、莫大な赤字を抱えるフランスにとって、単純に考えれば、これは、「ふつうに無理でしょ!」と思うところですが、政府では、この2030年の冬季オリンピック開催について、意見が割れているようです。

 マクロン大統領は、2030年フレンチアルプス冬季オリンピックが決定した場において、この大会をフランスで開催させるために、「次期首相には、この予算の保証を盛り込むだけでなく、新政府でオリンピック法を交付するように求めるつもりだ!」と宣言しています。

 オリンピック法とは何なんでしょうか?

 現在、フランスの赤字が一体、どこまで膨らんでいるのか正確にはわかりませんが、前首相が掲げていた来年の予算では、600億ユーロの赤字を是正すると言っていたので、少なくとも600億ユーロは、切り詰めなければいけない状況で、結局は、首相の退陣により、現在は、宙づりになっていますが、公務員の削減(4,000人教職員削減)や健康保険自己負担拡大などの様々な予算削減案が提案されていた状況です。

 これに対して、オリンピックの予算は、20億ユーロ未満(この段階ですでに当初の計画の2倍に膨れ上がっている)に抑えるようにという通達がでているそうですが、それにしても、国民の生活を犠牲にしてまで行うべきものとも思えません。

 このオリンピックの予算問題は、IGF(財務総監察局)が作成している2種類の機密報告書の中に挙げられているもので、「2030年フレンチアルプス冬季オリンピックの会計は、大幅な赤字になることが確実視されており、現在、作成されているオリンピック組織委員会が作成している予算を大幅に上回る可能性が高く、この予算作製に関しての再調査が必用である」と警鐘を鳴らしているのです。

 それに加えて、フランス・オリンピック・スポーツ委員会会長は、夏季オリンピックに比べて、冬季オリンピックの収入は、少ないため、国家からの支援は不可欠であると述べ、チケット販売だけでも、およそ夏季の6分の1以下であることを明かしています。

 このオリンピックへのGOサインの署名は、当初、当時の首相であったガブリエル・アタル氏が行うはずでしたが、彼は現在のフランスの財政状況から鑑みて、あまりに障壁が大きすぎたために、多くの圧力がかかりましたが、サインしたくなかった・・と語っています。

 3ヶ月という短い就任期間ではありましたが、前首相のバルニエ氏は、すでにこのオリンピックについて、深く関わっており、首相退任後の今、この冬季オリンピック組織委員会のトップに据えられるのではないかと言われています。

 このIOCに対する回答、もしくは、開催を約束する署名を行う期限が7月24日(開催地が決定した日)の6ヶ月後ということで12月24日のクリスマスイブなのだそうです。

 そういえば、これに関して思い出したことがあるのですが、つい先日、首相任命にものすごく時間がかかって、なかなかどうなるのか?国民が固唾をのんでその行方を見守っていた時、首相任命の当日、マクロン大統領と、現首相のフランソワ・バイルー氏が朝から2時間近くも会談した後、実際の首相任命までのわずかな時間にマクロン大統領は、トーマス・バッハ氏(IOC会長)にレジオンドヌール勲章を授与していました。

 なぜ?このタイミングにIOC会長にレジオンドヌール勲章??と、ちょっと疑問も感じたのですが、予め決められていたスケジュールだったら、変えられないのか・・とも思っていました。しかし、この冬季オリンピック開催問題が微妙に絡んでいたとは、なかなかいやらしい感じがしました。

 そもそも夏季オリンピックであったパリ・オリンピックでさえも、成功した!とだけ、一方的に言っていますが、どれだけ国がこのために支出したのか?あの異常な警戒体制やド派手な開会式、にもかかわらず、期待していた観光客はむしろ減少という、もっともっと儲かるはずだったのに、その収支は、全体的には明らかになっていません。

 この署名の期限まであと1週間、結局、現政府はどのような答えを出すのか、楽しみというか、大いに不安でもあります。


2030年フランス冬季オリンピック


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2024年12月17日火曜日

まだ、解決していなかったネスレグループ ミネラルウォーター問題 ペリエ水源汚染

  


 ネスレグループのミネラルウォーター問題が再度、大炎上したのは、今年の初めのことでしたが、当時は大いに腹立たしくもあり、危険性も感じたのですが、喉元過ぎれば・・というか、さすがにこれだけ騒動になれば、ネスレもそれなりの対応措置をとって、改善されたのだろうと、勝手に思っていました。

 ところが、この問題、まだまだ解決には程遠かったようで、前回はネスレグループのミネラルウォーターの数種類が問題ありとして挙げられていましたが、今回は、その中の特に「ペリエ」が話題の中心になっています。

 ル・モンド紙とラジオフランスが入手したガール県(フランス・オクシタニー地域圏)ARS(地域保健局)の機密報告書では、ガール県ヴェルジェーズにあるペリエ工場の水源地の汚染についてが報告されており、ネスレウォーターズに対して、この水源地でのミネラルウォーターの生産中止を求めています。

 今年(2024年)1月には、ネスレグループがヴィッテル、エパール、コントレックス、ペリエなどのブランドに禁止されている処理を行っていたことが明らかにされていましたが、今回の新しい報告書では、処理以前の水源地の水質そのものを問題にしています。

 この報告書はネスレウォーターズがこの水源地の水質が低下していることから、「生産停止」を真剣に検討しなければならないことを警告し、これまで以上の追加の安全保証を提供することを条件に「現在のミネラルウォーター集水域の活用による別の食品利用の可能性を戦略的に検討」するように警告しています。

 昨年4月、ガール県は、法令により、ヴェルジェーズ敷地内にある7つの井戸のうちの1つの開発を禁止、非常に激しい雨の後、ガードの敷地内にあるボーリング孔の1つが糞便由来の細菌(大腸菌群)だけでなく緑膿菌の細菌によって汚染されていることが確認されたためです。

 その結果、ヴェルジェーズにあるペリエ工場は数百パレットにも及ぶボトルを廃棄することになりました。本来ならば、これは一時的な水質悪化と考えられ得るはずでもあるところ、ネスレウォーターズが開発した地下水面の全体の水質悪化が関連していることが、発覚しています。

 ネスレウォーターズのミネラルウォーター問題が最初に公になったのは2020年の内部告発によるもので、それ以来、数度にわたり、ネスレグループは、精密濾過、UVフィルター、マイクロフィルター、活性炭などを使用していることで、危険性を回避していると主張してきましたが、これらの処置がウィルスを除去するものではないことも指摘された時点で、政府との話し合いになっていたそうですが、当時のボルヌ政府は、マイクロフィルターの使用を許可。事実上、政府はその安全性に目をつぶったという事実も衝撃的な話でした。

 今回の騒動に関して、ネスレウォーターズは、「これは矛盾したアプローチの一環としてARSが作成した暫定報告書で全く問題を構成するものではない。ヴェルジェーズのミネラルウォーター施設の運営条件に関する最終的な推奨事項のため、現段階ではこれ以上はコメントはできません」と強気に開き直っています。

 食品メーカーならば、その安全性に疑問をもたれ、警告が放たれるくらい恐ろしいことはないと思われるのですが、もう鼻から県やマスコミを舐め切っているとしか思えない態度に、唖然とさせられます。


ペリエ水源 水質汚染


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2024年12月16日月曜日

日本人がこのまま愛し合うことをやめ続けたら100年以内に日本は絶滅するだろう・・という記事を見つけた

  


 私は時々、フランスのメディアで日本について報じられている記事をチェックしています。それは、フランス人が日本をどのように見ているか?捉えているか?それが、全くの見当違いのこともあれば、なるほど、こんな風に見えるのね・・などということもあり、ちょっとしたエゴサみたいな感じでもあります。

 日本についての記事の中では、もはや定番のような感のある「少子高齢化問題」は、フランスでも、まるで無縁の話ではないため、フランスのより先を行く日本の実態とその行方は、定期的に報じられるテーマでもあるのでしょう。

 しかし、今回のタイトルは、「日本は100年以内に絶滅するだろう」という、これまでよりもさらにパワーアップしたものでした。

 その記事によると、「日本は、容赦なく人口が減少し、現在、日出ずる国では、出生数の2倍の数の死亡者を記録している・・日本は出生率の低下と死亡者の増加が結びついたスパイラルに陥っており、それが着実な人口減少を引き起こしている」と。

 また、いくつかの研究では、この出生率の低下の原因のひとつは若い世代の間での恋愛やセックスへの関心の欠如の結果であるとも指摘しており、「草食男子」というワードなども併せて説明しています。政府は財政的奨励策を含む出生率向上を目指す新たな計画を立ち上げ、東京都は、この対策のために週4日勤務を定めようとしている・・とも。

 出生曲線が2%ずつ低下し続け、同時に死亡率が1.5%で増加し続けた場合、「日本は97年以内に人口ゼロに到達する」のだそうで、これは、AIによる計算上のもので、2121年に世界で最後の日本人が亡くなり、千年続いた文明が終わりを告げるというのは、憶測に過ぎないことであるとしつつ、やはり問題は深刻であることに違いはありません。

 一方、在日フランス人の証言として、「逆説的ではあるが、日本ではセックスが偏在している。婚姻関係にある男女、それぞれに恋人や愛人がいることが珍しくはなく、この件に関して、社会がとても寛容でラブホテルがどこにでもある」、「日本では、多くの結婚は、社会の目から見た静けさの保証を含んだ夫婦間の一種の相互扶助契約のようでもある」と語っている談を掲載しています。

 そして、最後には、「しかし、最も大きな原因は国の不況であり、それが本当の問題であるとし、政府は不況にもかかわらず、このために230億ユーロを投じて、学費の引き下げ、出産時の経済的援助の増額、育児休暇の報酬、両親手当の増額などに取り組み始めた・・」と締めくくっています。

 これがどこまで本当のことなのかは、わかりませんが、フランスも放っておいたら、日本みたいになってしまうよ・・という警告の意味もあるのかもしれません。

 日本人として、これを読むとき、なかなか複雑な気持ちになります。


日本絶滅


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2024年12月15日日曜日

アンジェリーナは相変わらず行列 やっぱりモンブランはアンジェリーナが安定の美味しさ

  


 パリの街は今、クリスマスのイルミネーションやデコレーションがきれいです。家からわりと行きやすくもあるので、この時期にチュイルリー公園にできている移動遊園地などもあるマルシェ・ド・ノエルもひととおり見ておこうと思って出かけました。


 すると、今年は、コンコルド広場にもマルシェ・ド・ノエルのようなスペースができていて、そういえば、オリンピック以来、コンコルド広場には、来ていなかったと思いつつ、オリンピック当時は、大きな囲いの中に隠されていた、その周りにある噴水などがお色直しされて、え??こんな色になってたの?と驚きました。

 チュイルリー公園のマルシェ・ド・ノエルは、パリ市内では、大きいマルシェ・ド・ノエルのひとつですが、移動遊園地のインパクトが大きくて、例年とあまり変わらず、あまり感動はありませんでした。

 食べ物の屋台などは、ソーセージやラクレットのサンドイッチなどが人気のようで、あとは、季節柄、ホットワインやホットチョコレート、オニオンスープなどに加えて、チュロスやワッフルなどのスイーツ類、そして、冬ならではの焼き栗のお店などが並んでいます。


 どのお店もいつもと同じような感じですが、違っているのは値段で、サンドイッチ(バゲットに焼き立てのソーセージやトロッと溶かしたラクレットなどを挟んだもので15ユーロ前後と、ファストフードと考えたら、けっこういいお値段です。


 せめて、焼き栗くらい買おうかな?とも思ったのですが、小さい包みで5ユーロ、大きい包みで8~10ユーロとちょっと焼き栗にこの値段??と思ってしまったので、同じ栗なら、近くにあるアンジェリーナでモンブランを買って帰る方がいいな・・と久しぶりにアンジェリーナに寄りました。

 アンジェリーナは相変わらずの人気で、お店の前には、大行列ができていて、さすがの人気です。もっとも、この行列は、アンジェリーナの中のカフェに入るための行列で、ケーキを買うだけなら、行列に加わる必要はありません。

 以前は、モンブランはけっこうマイナーで、モンブランを作っているパティスリーは少なかったのですが、最近、秋から冬にかけては、モンブランを置いているパティスリーは少しずつ増えてきた気がします。

 いつでもどこにでもあるわけではないため、モンブランを見つけると食べてみているのですが、なかなかこれは!というものには、あたりません。久しぶりに覗いたアンジェリーナのショーケースには、なんとモンブランが2種類になっていて、一つはオリジナルのモンブラン、もうひとつは、まっ白い新作のモンブランができていました。


 ショーケースを覗いて、真剣に悩んでいた私は、お店の人に、「この新しいモンブランってどんな感じですか?」と聞いてみたら、「新しいものは、土台がサブレでできていて、オリジナルに比べて、少し軽い感じです・・基本的にこれはモンブランというよりもタルトです」と。それでも、悩んでいた私に、お店の人があっさり、「私はオリジナルの方が好きだけどね・・」と背中を押してくれたので、やっぱり、私はオリジナルのモンブランを一つ買って帰りました。

 久しぶりに食べたアンジェリーナのモンブランは、やっぱり安定の美味しさで、やっぱり、人気なだけあります。ちょっと久々にその美味しさに再感動しました!やっぱりモンブランはアンジェリーナだ!と・・。

 これまで私がパリで食べたモンブランの中ではやっぱりアンジェリーナが一番、そして、別枠でMORI YOSHIDAという日本人パティシエのお店のモンブランもとても繊細なお味で美味しかったです(若干、お値段高めですが・・)。



 行列のできるお店というのは、一時的に人気が沸騰して・・という場合もありますが、長年、行列ができ続けているお店・・というのは、もはや殿堂入りという感じですが、アンジェリーナはもはやその殿堂入りしている感じです。

 以前は、「でも高いからな~」と思ってもいたのですが、今となっては、ここよりもずっと高いお店はいっぱいあるわけで、こうなってくると、そこまで昔と変わらない値段な気がしてきて、むしろ、良心的とさえ思えてくるから不思議です。

 しっかりとしたマロンクリーム、そしてマロンクリームに包まれた生クリーム、メレンゲ・・安定の美味しさでけっこう食べ応えもあります。

 帰りに近くの道を歩いていたら、またまた行列ができているお店を発見!何のお店??と思ったら、セドリック・グロレのカフェ(ホテル・モーリス)でした。こっちも相変わらずのすごい人気です。


アンジェリーナ モンブラン


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2024年12月14日土曜日

思いっきりジタバタした感じのフランスの首相任命劇 新首相はフランソワ・バイルー氏 73歳

  


 思い返せば、このゴタゴタは、マクロン大統領が欧州議会選挙の結果を受けて、誰もが驚く国民議会の解散を宣言したことから始まっています。

 マクロン大統領が2期目を迎えてからの首相任命は、当時の世論では、新しい首相には、女性を!と望む声が多かったこともあってか、女性で史上2人目である「エリザベス・ボルヌ氏」が任命されました。 

 彼女の就任期間中にマクロン大統領は、「年金改革」に取り掛かり、ボルヌ首相は、憲法49条3項を発令(首相の権限において、採決せずに発効するという手段を取り、フランス中がデモや暴動で大荒れになり、パリでもあちこちに積みあがるゴミの山が燃やされる大変な騒ぎになりました。

 結果、彼女は20ヶ月で退陣、彼女の次には、今度は、史上最年少34歳のガブリエル・アタル氏が首相に就任しました。これも、当時、彼はフランスの政治家の中で一番人気!などと騒がれていたので、(そもそも彼はマクロンが政界での育ての親的存在でもある)彼の人気に乗っかったというか利用した感がないこともありませんでしたが、実際に彼は、マクロンの教え子?だけあって、非常に弁がたち、抜群の行動力の持ち主でもありました。

 しかし、そんな彼もマクロン大統領の突然の国民議会解散宣言により、首相在任期間は8ヶ月で終わってしまいました。

 そもそも、マクロン大統領の突然の宣言は、当時の内閣の面々もウンザリしている感じがあり、彼はますます求心力を失っていく感じになったのです。

 そして、選挙の結果は、ますますマクロン大統領を難しい立場に追い込むものになり、新たに首相を任命する段になって、彼は大いに悩み、間にパリ・オリンピック・パラリンピックが挟まったこともあるとはいえ、首相任命までに2ヶ月近くを要してしまったのです。

 2カ月近くもかけて熟考したはずの首相は、わずか3ヶ月で不信任案が持ち上がり、あっさり可決し、退任に追い込まれ、その翌日にマクロン大統領は国民に向けての演説で数日以内に首相任命を約束しましたが、約束から大幅に遅れ、1週間経過した時点で、あと48時間以内には、任命すると発表して、もう最後の1日は、分刻みでその動向が注目されていました。

 新首相が任命された当日は、首相候補として名前が挙がっていたフランソワ・バイルー氏宛に早朝5時にマクロン大統領から「首相候補からは外れた」という電話が入ったという話が入ったと報じられてもいました。

 また、午前8時30分にエリゼ宮に表れたバイルー氏はマクロン大統領と1時間45分にも及ぶ会談が行われ、フランステレビジョン閣僚担当者は「このやりとりは、非常に緊張したものであった・・」と交渉が難航しているかのように伝えられていました。

 その後、マクロン大統領は、日程がずらせなかったのか?エリゼ宮にて、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長にレジオン・ド・ヌール勲章を授与。

 マクロン大統領は、前日夜にポーランドから帰国したばかり。朝5時にフランソワ・バイルー氏に電話したとすれば、一体、いつ寝ているの?という感じでもあります。

 いずれにしても、これでようやく首相が任命されたわけで、フランソワ・バイルー氏の力量は、これから厳しく注目されていくと思いますが、昨日、首相官邸で行われた首相交代のセレモニーでの新旧両首相の挨拶を見ると、フランソワ・バイルー氏の方が人に訴えかけるものをもっていて、鉄仮面のような前首相よりも人間味が感じられる気がしました。

 しかし、退任させられた首相はともかくも、結局はマクロン大統領がぐらついているのは、この首相任命がこれだけジタバタしているのを見ても明白なことで、世間の目から見れば、マクロン自身が行き詰っているという見方が強く、「ノートルダムが再開しても、奇跡は起こらない!」などと言われ、マクロン大統領の信頼度は、彼が政権を握った2017以来、最低レベルに陥っていると言われています。

 縁起をかつぐわけではありませんが、この首相任命が行われたのは、奇しくも「13日の金曜日・・」なんだか不吉な感じがしないでもありません。


フランス新首相 フランソワ・バイルー


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2024年12月13日金曜日

HAS(高等保健局)が16歳からの性転換への無料アクセスを検討

  



 性転換という、なかなかセンシブルな内容なうえに、これを無料で行えるように、そのうえ、その該当年齢を16歳から・・ということを、HAS(フランス高等保健局)が提案しているというのは、なかなかセンセーショナルではありませんか?

 性転換については、HAS(フランス高等保健局)は、実は3年前より「連帯保険省から性転換を望む人に対応する際に医療専門家が採用すべき適切な実践方法を決定するように委託」されていました。

 そして、今回、ル・フィガロ紙によって、同機関が作成した医師と介護者向けの実践に関する推奨事項が公表されています。

 内容は、基本的には、「16歳からの性転換に無料で対応する」ということで、まず、これを希望する人々の「リクエスト」から始まり、「トランスジェンダーの人々に適応した歓迎的な環境、専門的知識を持つ訓練された医療専門家によって受け入れられる必用がある」と説明しています。

 HASは、この性転換に時間がかかりすぎることを避けるために、「充分な情報を得たうえで、希望するトランスジェンダーの人々にまず、ホルモン剤を投与すること」を推奨しています。また、同時に希望するトランスジェンダーの人々が遅滞なく、性別適合手術を受けられるようにすること」も推奨しています。

 ただし、16歳から18歳の未成年者の性別変更に関しては、HASは他の専門家と相談して決定することを推奨してはいますが、同時に「親が子どもの性転換に抵抗している場合は、親権の喪失や解放に繋がる可能性もある」ことも付け加えています。

 これは、まだ提案されているという段階ではありますが、この試みの根底には、「トランスジェンダーは、もはや病理とは考えられていない」という理論が存在します。

 しかし、この提案はなかなか詳細な広範囲にわたるもので、検討されている手術の中には、「顔の女性化または、男性化を目的とした鼻整形、顔面輪郭整形、毛髪移植」、などのほか、「乳房切除術や乳房インプラントなどの胸部手術」、「生殖器」、「音声」などの手術も含まれています。

 現在、フランスでは18歳未満の性器手術は行われておらず、このHASの提案が通過通れば、この年齢が引き下げられることになります。

 よく言えば、なかなか進歩的だとは思いますが、現在、政府は深刻な財政難に直面し、一般診療の自己負担が増え、保険適用率が低下しているなか、一気に無料という話は、なかなか抵抗の声もあがりそうな話です。

 しかも、16歳から18歳となると、ますます話は複雑かつ深刻です。

 ヨーロッパでは、この問題に関して、フランスよりも慎重な対応をとっている国もあり、イギリスは、未成年に対する思春期阻止薬の処方を中止し、スウェーデンも同様の措置を採用しています。

 いずれにしても、現状では、性転換どころか、フランスでは専門医へのアクセスには、2~3ヶ月は余裕で待たされるのがふつうで、そんなに簡単にこのサービスが一気に進むとも思えませんが、全額補償というのは、他にはなかなか見られないことです。

 今、フランスの医療費で全額補償で思い浮かぶのは、「ガン治療」(一般標準治療)に関してですが、このトランスジェンダーは、それに匹敵する扱いということなのでしょうか?


16歳から性転換無料


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2024年12月12日木曜日

Navigo・RER/RATP 値上げと特別暫定財政法案

  



 はっきり言って、現在のフランスは歴史的と言われる首相退任と内閣解散により、ガタガタの状態で、もう年末まであと半月くらいだというのに、来年からは、こうなる・・と決まりかけていたことが、全て?ストップして、何がどこまで変わることになったのか?よくわからない状態が続いています。

 突如、退任することが決まったバルニエ政権が提案していた予算案の中にあった連帯税が大幅に引き上げられる(3倍)話なども、ペンディングとなったために、この連帯税の値上げを見込んで航空券を販売していたエアフランスなどが、連帯税値上がり分の金額を払い戻すという話や、逆にこれまでインフレ対応として、行われてきたレストランチケット(多くの会社が使用している昼食代の補助のチケット)での食料品のお買い物(2024年末までという期限付きだった)の期間延長なども、決定しないままにとりあえず終了するということで、お買い物には使えないようになってしまったり・・こんな話もあんな話も出ていたけど、あれらは、結局、どこまでが決まって、どこまでが決まっていないのか?よくわからず、混乱状態になっています。

 首相の辞任が決まったのが12月4日の夜、翌日、マクロン大統領が国民向けに演説を行い、首相は数日中に任命することと、特別暫定財政法案を提出することを発表していました。

 しかし、1週間経っても首相は決まっておらず、昨日、特別暫定財政法案だけは提出されたようです。

 この特別暫定財政法案は、とりあえずの公共サービスを継続することを保証するためのもので、12月31日までには、とりあえず、この特別暫定財政法案を発効できるようにするためには、来週には、議会で検討されるまでに持っていかなくてはなりません。

 今回、提出された法案の内容は、主に3つの項目で、

① 既存の税金を徴収する権限(新たな税制措置は組み込まれないもの)

② 財務省が公共サービスに資金を提供するために債券を発行する権限

③ 4つの社会保障機関に対する借入の認可

 そんな中、Navigo(定期券のようなもの)が88.80ユーロに値上げされることや、鉄道・RERは2.50ユーロ、バス・路面電車が2ユーロの均一料金になることは決定したというので、値上げだけが決まるのは、なぜ?と思ったら、これは、イルドフランスモビリテ(イルドフランス圏内の公共交通機関)の決定事項で、つまりは、地方議会の管轄で国会で審議される話ではなかったということです。

 ともかくも、この首相退任・内閣解散の波紋はやっぱり大変なことで、まず首相が決まったとしても、それから組閣、この特別暫定財政法案を年内に発効するまでで恐らくギリギリで、2025年の予算案は、2025年に入ってから本格的に審議されるという不安定で、効率の悪いことになります。


Navigo値上げ 特別暫定財政法案


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2024年12月11日水曜日

娘へのクリスマスプレゼント

  


 この時期、パリの街中に出ると、クリスマス商戦とも言われる感じの、もういかにもクリスマスプレゼント用の商品が山積みになっていて、どうにも煽られている感じが否めないのですが、そんな様子を見て回っているのも楽しいです。見るだけですが・・・。

 娘がまだ、サンタクロースを信じていた頃はそんな娘がクリスマスの当日に目を覚ますと同時にクリスマスツリーに突撃して、目を輝かせてプレゼントを開けていく様子が可愛くてたまらなくて、夫とともに、いそいそと準備して、前もって相談して他からのプレゼントと被らないようにして、きれいにパッケージして当日まで戸棚の奥の方に隠していました。

 あの頃は、私からと夫から・・そして、夫の職場などや日本の私の両親や叔父や叔母たちなどからも娘宛てにクリスマスプレゼントが届いて、いったい一人にどれだけプレゼント??と思うほど、プレゼントが山積みになっていた時期もありました。

 しかし、正直なことを言えば、この時期、クリスマスプレゼントに!と日本から送ってくれた小包は、何回か盗難に遭って、受け取れなかったまま紛失・・という目にも遭っています。

 今は娘も独立し、本来はクリスマスなどの行事はあまり好きではない私は、静かにいつもと同じ一日を過ごしているのですが、さすがに離れていても娘は娘。プレゼントくらいは、なにか送りたいな・・と思っていました。

 娘は、若い女の子であるのに、あまり物欲がない方で、贅沢なものも好まないので、たいていは、一緒に旅行などをして、「これ、お誕生日プレゼントの代わりね・・とか、クリスマスプレゼントの代わりね・・」などと言って済ませてしまうのですが、今年のクリスマス近辺は一緒に旅行できる機会もありません。

 娘が二十歳になった時に成人式、これで一区切りというお誕生日でもあったために、私は何か記念になるような、長い期間使えるような、ちょっと良いものを送りたいな・・と思って、当時、仕事の関係で伝手のあったエルメスの時計を買ってあげようと思って、一応、娘にお伺いをたてたところ、「エルメスはあんまり好きじゃない・・」とバッサリ。

 それがあまりに衝撃的で、結局は何をあげたんだったか、覚えていないほどです。

 そして、今年、先日、電話で話をしていたときに、「クリスマスプレゼントに、なにか欲しいものない?」と聞いてみたところ、「あんまり思いつかないな・・」という返答で、「相変わらず、物欲ない娘だな・・」と思いながら、「そうそう!そういえば、携帯、そろそろヤバそうだって言ってたから、クリスマスプレゼントに携帯買ってあげようか?」と、私はとても良いこと思いついた!と思って提案したのです。

 ところが、娘が言うには、「携帯は、寿命がそんなに長いものではなくて、数年ごとに買い替えるような消耗品だから、そういうのは、ちょっと違うな・・」などというので、これまたビックリ!

 「でも、いつもは一緒に旅行したりして済ませているじゃない?」と言うと、「それはそれで想い出が残るからいいの・・」と、娘の中にはプレゼントへのこだわりがある模様。

 消耗品は違う・・ということは、私がいなくなってもずっと大事に使い続けることを考えてくれているのか?と思うとますますハードルが上がって難しくなるのでした。


クリスマスプレゼント


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2024年12月10日火曜日

メトロで見かけた高齢のおしゃれな女性に少し襟を正す気持ち

  



 最近の私は、外出する際など、絶対に危ない目に遭いたくないというのが第一で、おしゃれよりも安全が優先で、それでも、一応、見苦しくない程度の服装にはしているものの、できるだけたくさん歩けるように靴はスニーカー、バッグなども目立つものは避け、バッグ自体を持たずに、エコバッグよりはちょっとはマシかな?という程度のショッピングバッグを持って歩いています。

 友人とランチに行ったり、ちょっと良さげなお店に行ったりする時は、それでも一応、若干マシな格好をしているつもりでも、まあ、日本にいた頃(若い頃)の私からはちょっと考えられないほど、おしゃれはしなくなっていて、お化粧も5分ほどで済む程度の軽いお化粧しかしなくなっています。

 私は、これで、全く危ない目に遭わなくなって、パリを歩き回るのは、やっぱりこの程度がラクだし、狙われずに安心・・とすっかりそんな状態に慣れきってしまっています。

 しかし、季節柄もあるのか、たまにメトロの駅などで、年配の女性がちょっとこじゃれた着こなしで上質な感じのコートに素敵にマフラーを合わせていたり、先日は、全体的にシックな服装に赤いバッグと赤いエナメルの靴を合わせている上品そうなご婦人を見かけて、なんか、年齢を重ねても、こうしておしゃれをして(本人にとっては、ふつうのことで、特におしゃれをしている感覚ではないのかもしれないけど・・)出かける習慣を持ち続けるのっていいな・・大切なことだな・・と、私も安心、安全、快適性・・ばかりを言い訳にしないで、少しはおしゃれをしないとな・・と、ちょっと襟を正すような気持ちになりました。

 ちなみに彼女、うっすらと品のよいお化粧もちゃんとしています。

 パリは、若い人々も比較的、ラフな格好をしている人が多いですが、時々、真似したいようなおしゃれをしている人を見かけることもあります。特にかなり高い年齢層の場合、歩きやすいスニーカーが多い中、それなりにちゃんとした靴を履いている人も一定層存在します。

 健康のため、できるだけ歩くことを心掛けるようになって以来、私などはもっぱらスニーカー一辺倒で、最後にまともな靴を履いたのはいつだったか?もう思い出せないどころか、靴を履いて出掛けると考えただけで、ちょっと気が遠くなるくらいに憂鬱になる感じです。

 でも、そういえば私は、実は以前は靴というものが大好きで、若い頃は本当に父に「おまえの足は何本だ!」と怒られるくらい靴を沢山持っていたのです。

 いつの間にか、色々、理由をつけて、ラフでラクな服装にまっしぐらに向かっていましたが、歳を重ねていくからこそ、心して、たまには、まともな靴を履いて、ちょっとだけおしゃれな服装をしてでかける機会も持った方がいいな・・と、この高齢の女性からちょっと教えられた気がするのでした。


おしゃれ 


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2024年12月9日月曜日

フランスの教育レベル PISA(International Program for Student Assesement)ランキング

  


 PISA(International Program for Student Assesement)は、世界中の教育システムの有効性を測定するためにOECD(経済協力開発機構)によって国際的に実施される調査です。

 フランスはこのレポートでランク付けされる国のひとつであり、日本もまた、このランキングの中に登場する国のひとつです。

 PISAランキング(留学生評価プログラム、またはフランス語で学生の成績を監視する国際プログラム)はOECDのプログラムで15歳の学生の学力を読解力、数学、科学の3つのカテゴリーで分析し、これにより、さまざまな国の教育制度を評価および比較することができます。

 PISAの報告書は3年ごとに発行されていますが、最新のものでは、フランスは特に急激に数学の学力が低下していることが問題視されています。今回のものは、2022年のデータに基づいたものであると言われ、パンデミックによるロックダウンのために学校に通えなくなった期間の悪影響ではないか?とも言われていますが、ロックダウンになったのはフランスだけではないわけで、なにか別に原因があるような気もします。

 それでも総合的に見れば、参加国85ヵ国のうち、フランスは26位、読解力29位、科学でも26位となっており、フランスはOECD参加国の平均内にあります。

 この調査はフランスの335の教育機関が評価に参加し、これらの教育機関から無作為に選ばれた8,000人の学生のデータが使用されています。

 フランスが急激にそのポイントを落としているという数学に関しては、圧倒的にアジア諸国が上位を占め、1位シンガポール、以下、マカオ(中国)、台湾、香港、日本となっています。

 私は数学は好きではない科目でしたが、「日本人は数学が得意である・・」というイメージがあるらしく、大変、低次元の話ではありますが、アフリカにいた頃におつりの計算を暗算したら、家にいたボーイさんにひどく感心され、「あ~でも、日本人だから数学が得意なのは当然だね・・」と言われたことにビックリし、心の中でこれは数学ではなく算数・・などと思った(アフリカの人にも日本人は数学が得意だというイメージがあることを知ってビックリした)のを覚えています。

 ちなみに、ヨーロッパで最もこのランキングの上位にいるのは、数学では、エストニアとスイス(7位と8位)で、読解力ではアイルランドとエストニア(2位と6位)、科学ではエストニアとフィンランド(6位と9位)となっています。

 単にランキングだけだと、あんまりピンと来ないし、同じ国でも学校によって、ずいぶん違うので、一概には言えないと思うのですが、それでもきっと、けっこうな違いがありそうで、その内容にも興味が湧いてきます。



PISA(International Program for Student Assesement)


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2024年12月8日日曜日

ノートルダム大聖堂再開の記念式典を見て感じたこと

  



 ノートルダム大聖堂の再開の日は、日中は晴れていたものの、夕刻から雨が降り出しました。この日は、午後から多くの局がノートルダム大聖堂についての報道を行っていましたが、この記念式典にアメリカ次期大統領であるトランプ氏が参加することや、それに加えて、ウクライナのゼレンスキー大統領までやってきて、この式典が始まる前に、マクロン大統領も交えて3者会談が行われるということで、中継はノートルダム大聖堂と同時にエリゼ宮の生中継が行われ、ノートルダム大聖堂という宗教的施設の再開というには、なんとも政治色の強いものになりました。

 エリゼ宮にトランプ氏が表れたのは、午後17時少し前、マクロン大統領がお出迎えして、彼らはすぐに中へ、その40分後くらいにゼレンスキー大統領が到着して、彼も急いでエリゼ宮の中へ、3者会談は、45分程度でそんなに長時間ではありませんでしたが、このスリーショットはかなりインパクトの強いものでした。

 その後、彼らは大勢の招待客とともに、大聖堂の最前列に座して記念式典に参加しました。ちなみに最前列は各国からの要人とフランスの政治家の面々。大勢が招かれたとはいえ、限られた招待客の中には、イーロンマスク氏の顔も見えました。

 セレモニーそのものは、宗教的な儀式ですが、5年前の大聖堂の火災の際に消火活動に参加した消防士たちの一部も招かれており、彼らの命がけの救済を讃える場面などもあり、大聖堂正面のライトアップには、「MERCI(ありがとう)」の文字が浮かびあがりました。

 ノートルダム大聖堂は、1789年11月以来、宗教的施設ではあるものの、国の所有物ということになっているのですが、それにしても、あまりにも政治色が強く、フランスの象徴的な建築物であるノートルダム大聖堂の再開という喜ばしい瞬間ではあるものの、あまりに国(政治家)が前面に出過ぎていて、げんなりする感じがありました。

 このセレモニーの前のセンセーショナルな3者会談も、この機会だからこそ集まった機会を利用したのは合理的といえば、合理的なのかもしれませんが、どうにもスッキリしません。

 マクロン大統領がこのセレモニーの始まる前から、終始取り仕切っている感じだったのも国の所有物であれば、当然なのかもしれないとも思いつつ、そこが宗教施設であることを考えると「政教分離」はどこへ?と思わずにはいられません。

 この感じを見ると、式典の招待を断ったと言われるカトリック教会の大司教の想いがわからないでもない気がしますが、それでも、「フランスにおける教会再生の預言的なしるしを期待している」とのメッセージが届いています。

 また、イエズス会も「ノートルダムへの訪問者を無料で歓迎し続けることを期待している」と訴えています。

 それもこれも、このノートルダム大聖堂再開を前にフランス政府(文化大臣)から、ノートルダム大聖堂に入場料5ユーロを徴収する・・などという提案があったりしたことがある経緯からのことで、宗教施設としての本来の位置づけへの危機感をこのカトリック側が感じているということでもあります。

 政教分離に関する1905年以来の法律では、ノートルダム・ド・パリなどの歴史的建造物に分類される教会や大聖堂へのアクセスは「無料」のままでなければならないと規定しており、この法律の第 17 条には、「建物の訪問および機密の動産の展示は公開され、いかなる税金や料金も発生することはない」となっていますが、政治家の手にかかれば、法律自体を変えてしまうこともできるわけです。

 この修復工事に関しても、ステンドグラスは火災の被害に遭っていなかったにもかかわらず、現代的なデザインのものに取り換えて、既存のものは博物館に移動させるというプロジェクトが多くの専門家の反対にもかかわらず、フランス政府によって、強引に進められていた経緯もあり(結果的にどうなったのかはわかりません)、力関係のバランスが政府に偏っている感じがあります。

 それに加えて、今回の外交の場と化したような式典になんだか素直に感動できないところがありました。

 ほんの2日前には、首相の辞任に際して、厳しい表情でスピーチをしていたマクロン大統領、この日は得意満面の笑顔で大変、満足そうでした。


ノートルダム大聖堂再開


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2024年12月7日土曜日

再開前日のノートルダム大聖堂に行ってきました

 


 約5年ぶりに再開するノートルダム大聖堂、当日は4万人の人出が見込まれており、おまけに天気予報は雨・・みたいなので、その前日、中には入れないだろうけど、まあ、近くに行く用事もあるので、ついでに見てきました。

 この週末は、むしろ、簡単にはアクセスできないのはわかっていましたが、前日もすでに、人出は大したことがありませんでしたが、すでに正面の広場には立ち入れなくなっており、祝賀会?が行われる仮設の会場が建てられていて、その周囲は立ち入り禁止、多くの警察官が周囲を取り囲んで警備していました。


 この囲いの中には、すでにフランステレビジョンの大きな車が控えていて、もうすでに、色々な国のテレビが取材に来ていて、私が通りかかった時には、スイスのテレビ局のジャーナリストがマイクを片手に撮影していました。

 警察官は警備とはいえ、けっこう愛想のよい人が多くて、写真撮影している人に笑顔で加わったりしているので、声をかけやすく、このバリケードみたいなの・・いつまであるの?と聞いてみたら、来週からは、このバリケードは取り払われるとのことでした。

 これまで5年間の工事期間中、そんなに度々ではないけれど、近くに行く用事があった時には、だいたい、どのくらい工事が進んでいるのかな?と覗いて見たりしてきたので、正面の部分はずいぶんきれいになったな・・と思うのですが、(中は見ていないので、全く実感がわきませんが・・)実のところ、セーヌ川とは反対の面から北側の壁面に関しては、正直まだ、絶賛工事中です。


 それにしても、工事中でも、いつ行っても、ノートルダム大聖堂から観光客がいなくなることはなく、中に入れなくても、ずっと人気を維持し続け、一時(夏の期間だったと思う)は、正面の広場に観客席みたいなものまでが設けられ、また、工事中の様子をパネルにして、外壁に飾ったりして、工事中でさえも、あくまでも見せ続ける姿勢を崩さなかったのは、見事なものです。

 パリには、モンマルトルの丘にあるサクレクール寺院もありますが、立地的には、ノートルダム大聖堂の方が立ち寄りやすく、やっぱり人気があるのだと思います。

 この週末のセレモニーは大混雑が予想されるために、周囲には、大きなスクリーンがいくつも設置されており、多くの人はこのスクリーンから中の様子を見ることになるのかもしれません。


 海外からも、アメリカの次期大統領のトランプ氏やイギリスのウィリアム皇太子、ウクライナのゼレンスキー大統領など、多くの要人が招かれているようで、なにやら、これが政治的な色合いを帯びる気がして、ちょっと嫌な感じがするためか、カトリックの総本山の教皇はいらっしゃらないようです。

 しかし、オリンピックの時と比べると、警備の人々も慣れたものという感じで余裕が感じられますが、パトカーのライト部分に鉄格子が設置されていたりするのには、「うわっ!すご!」と思わせられます。




 個人的には、中に入れるのはいつになるかわかりませんが、「あのマクロン大統領がゴリ押ししていた現代的なステンドグラスはいったいどうなったんだろうか?」ととても気になります。

 5年前の火災の少し前に、たまたま従姉妹がパリに来てくれていたので、一緒に中を見て歩いたのが、今となっては昔のノートルダム大聖堂の最後(私にとっては)でした。

 これは、実際に身を置いてみないと実感できないと思うので、予約がとれたら、今度はぜひ、中に入ってみたいと思っています。


ノートルダム大聖堂 再開前日


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