2025年12月15日月曜日

フランス人は豊かになったはずなのに、倹約の傾向も高い

  


 世界9ヵ国の消費者の予算選択を比較した大規模調査によると、フランス人はお金を使うことに対して最も悲観的で倹約家であることが明らかにされています。

 この消費減少は、政治的、経済的不安定性によるものと説明されています。

 もともと、意外と倹約家と言われているフランス人、インフレ傾向は数年前に比べて鈍化しているにもかかわらず、消費は回復しておらず、近い将来にこれが回復する可能性も低いと見られています。

 来たる2026年の購買意向を調査した結果では、フランス人の43%が来年の消費量を減らす意向を示しており、消費量を増やす予定の人はわずか10%、残りの47%が現状維持と答えています。

 この購買意欲をスコアに表したものが購買意向スコアとして発表されていますが、フランスのこのスコアは-33%。他のヨーロッパ諸国ではドイツー21%、スイスー20%、イタリアー17%とやや低い数字。これに対して湾岸諸国などの一部の国ではサウジアラビア+4%、アラブ首長国連邦+6%とプラスの数字になっています。

 したがって、この消費量の減少は、世界的な傾向ではなく、ヨーロッパ、しかも特にフランス特有の現象ということもできます。

 これは極めて不安定な政治が原因であるという見方も強く、ここ数年、あらゆる予算を削減するために来年度の予算編成がなかなかできず、社会保障もいつ削られるかもわからない状況下、消費者は将来の生活をはじめ不安を感じると、慎重かつ防御的な姿勢をとり、貯蓄を増やし、購入を延期し、支出を慎重に管理するようになる・・という鉄則どおりにフランス人は動いている・・感じです。

 一方、フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、「フランス人は10年前に比べて9%裕福になっている(最富裕層は23%増加)」という報告もあります。

 INSEEによると、2024年には50%の世帯が20万5000ユーロ(約3,700万円)を超える総資産を保有しているそうで、その大部分は不動産61%、金融資産22%、事業資産11%、その他の資産6%で構成されています。

 しかし、留意すべき点は、46%の世帯が未払いのローンを抱えており、その半数は49,200ユーロを超える金額であることに留意すべきです。これらのローンを差し引くと、純資産の中央値は148,100ユーロ(10年間で9.7%増)となります。

 富裕層上位10%の資産は15%増加しています。

 INSEEの報告を簡単に要約すれば、全世帯の半数が総資産の93%を保有し、最富裕層10%が48%を保有しているということで、簡単に言えば、再富裕層の資産が増え、数字を引き上げているだけで、格差がより広がったとも言えます。

 この見解は、会計検査院傘下の機関である強制課税評議会が最近発表した報告書とも一致しています。同評議会は、現行の富裕税制度を「重税、複雑、不平等、そして非効率」と評しています。

 というわけで、数字の上では豊かになったと言われるフランスも実質上、一般庶民の富が増えているわけではなく、むしろ、将来に不安を感じているからこそ、消費を控え、貯蓄にいそしむ傾向にあるというところ。

 ケチと言われるフランス人はますますケチになっていきそうです。


フランス人は倹約家


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2025年12月14日日曜日

世界的大ヒットと言われている インターマルシェのコマーシャル

 


 2分30秒という長い「インターマルシェ」のCMが世界的に大絶賛を受けているらしいのです。

 これは、フランスのスーパーマーケット インターマルのシェ今年の冬のクリスマスバージョンのCMで、12月初旬に公開されるやいなや、3日で2,000万回再生されたという世界的大ヒットと言われているCMです。

 100%フランス製でAIは一切使用していないというこのCM制作は、広告代理店ロマンスとモンペリエを拠点とするスタジオIllogic Studiosが約100人を動員し、1年にわたるクリエイティブプロセスを経て完成されました。

 「愛されなかった者」と題されたこのCMは拒絶されたオオカミが森の動物たちに受け入れられるために、より良い食生活を学び野菜を調理し始め、ついには、、森の動物たちのクリスマスディナーに受け入れられていく物語を実写とアニメーションを融合させながら描いています。

 この世界的な大絶賛は、昨今、多くのCMクリエイターたちが生成型AIに取って代わられるのではないかという不安を表明している中、クリエイターたちは、「機械にアーティストの代わりはできない!」、「人間の感情や感受性を伝えるには、手作業による作品が重要である」という一種のムーブメントによるものもであると言うこともできます。

 このCMの大ヒットにより、インターマルシェはこのCMに登場する「オオカミのぬいぐるみ」の発売を予定しているそうです。

 一方、同時期にAI広告を発表したコカ・コーラは大バッシングを受け、また、オランダのマクドナルドのAI広告も猛烈な批判にさらされ、同社は広告を削除する事態に陥っています。

 思わぬ大成功を遂げた「インターマルシェ」は、私たちの「愛されていなかったオオカミ」が世界中に愛されている!と喜びの声を表明しています。

 CMに関しては、フランスでは、細かな禁止事項なども多々あり、また、日本のCMのように大々的に有名タレントや俳優が登場することはないCMが基本となっており、全然、色合いが違うものです。

 たまに見かける日本のCMは、日本人としては、それはそれなりに懐かしい感じがするものではありますが、今回の大ヒット作品のように、広い世代に優しく何かを訴えかける芸術的なCMというものにも、日本の広告業界も挑戦してほしいと思っています。


インターマルシェの大ヒットクリスマスCM


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2025年12月13日土曜日

ユーロスターでハムとバターのサンドイッチが禁止に!

  


 「ユーロスターでハムとバターのサンドイッチが禁止に!」最初、そんな見出しを見て、正直、「何それ??」と思いましたが、これは、2025年4月から英国が禁止しているルールの具体例のひとつだそうです。

 しかも、ユーロスターは、「ハムとバターのサンドイッチ、あるいはチーズが含まれたサンドイッチは、乗車前に食べるのならOK!しかし、乗車後には食べないでください」と、なんだかよくわからないことを言っています。

 英国が最近、科しているルールをシンプルに説明すれば、英国当局はヨーロッパ大陸での口蹄疫(こうていえき・牛、豚、羊などの偶蹄類(ぐうているい)が感染するウィルス性の家畜の伝染病)の症例増加を受け、英国の家畜保護のため、この規則を導入しました。

 これは、ユーロスターに限った話ではなく、EU加盟国からの旅行者が手荷物に肉(生肉・乾燥肉を問わず肉製品全て)や乳製品を英国国内に持ち込むことを禁止したもので、包装済、真空パック済、免税品を問わず、個人消費用の肉製品と乳製品の持ち込みを禁止したもので、これらの製品を持っている場合は、国境検査の際にこれらの品物は税関職員に引き渡さなければならず、違反した場合は最高5,000ポンド(約5,900ユーロ)(約104万円)の罰金が科せられます。

 この規則は今年の4月に制定されたようですが、ユーロスターの中という国境の境がはっきりしない乗り物の中については、これまで曖昧にされていたものを、つい最近、ユーロスターが具体的に「ハムとバターのサンドイッチ」をホームで食べるのはOKだが、車内はNGというおふれを発表したのです。

 ハムとバターのサンドイッチが特に名指しされているのは、ハムとバターのサンドイッチ・・いわゆるフランスでいうところの「サンドイッチ・ジャンボンブール」はフランスのもっとも伝統的?というか、シンプルでポピュラーで比較的安価でお手軽なサンドイッチの代表で、サンドイッチの王道(バゲットにバター、大ぶりのハムが挟んであるサンドイッチ)のような存在だからだと思います。

 口蹄疫はヒトには感染しない病気だそうなので、ユーロスターの車内での食べ物にまで厳しく規制する必要があるのだろうか?と思いますが、規則ならば仕方ありません。

 私は、つい先月、ユーロスターでロンドンに行ったばかりでしたが、その時には、そんな話はまるで知らず、駅でもずいぶん、このジャンボンブール・サンドイッチを売っていたような気がするし、ましてやロンドン到着後の手荷物検査など全くしていなかったので、今、こんな規則を聞いても、俄かに信じ難い気がしないでもありません。

 だいたい、1日、何十便というユーロスターがパリ⇔ロンドン間を走っていますが、ただでさえ、混雑が大変なところ、こんな規制までして、大丈夫?とさえ思います。

 とはいえ、日本入国の際も肉類(ハムやサラミ・ソーセージなど)の持ち込みは禁止されており、かつてはお土産に生ハムやサラミなどを持って行っていったのが一切、持っていけなくなってしまいました。

 この禁止がどれだけ意味のあることなのか?よくわかりません。

 もっとも、パリからイギリスに行く場合に、なにもわざわざユーロスターの中でジャンボンブールのサンドイッチを食べなくてもいいかな?私はおにぎりの方がいい!などと思いますが、フランス人にとったら、もっともお手軽に食べられるハムやチーズのサンドイッチを車内で食べられない・・(考えてみたら、ハンバーガーなどもダメですね・・)のは、残念なことなのかもしれません。


ユーロスター車内の食べ物制限


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2025年12月12日金曜日

アラン・ドロン 没後も続く家族の泥沼劇

  


 フランスの大スターであった俳優アラン・ドロンが亡くなってから、もう1年以上が経過しました。

 彼の晩年から亡くなるまでの彼の周囲(主に彼自身と子どもたち)のドタバタ劇は彼の名声を汚しまくり、見るに堪えないものでした。

 あれから時間が経って、そんなドタバタ劇も忘れ去られようとしていたと思っていたら、また、彼の子どもたちがマスコミを巻き込んで相続争いをしている様子がまた、再燃しています。

 彼をめぐってのドタバタ劇が表沙汰になり始めたのは、彼の子どもたちが、当時、すでに認知機能が危うい状態であったアラン・ドロンまで抱き込んで、当時、一緒に生活していた日本人女性の追い出しを憲兵隊まで動員して始めたことから始まりました。

 亡くなる5年ほど前に脳卒中を起こし、身体機能をはじめ、一人で生活することはままならない状態であった彼にずっと寄り添って介護し、アラン・ドロン自らもパートナーと公言していた女性をです。

 この女性を兄弟そろって追い出したのち、その後、家族は落ち着くかと思いきや、今度は子どもたちの間で、アラン・ドロンの病状(認知機能検査にパスできなかった)をアラン・ドロンが一番可愛がっていたといわれる長女が兄と弟に隠しており、アラン・ドロンを治療のために、スイスに移した・・とかなんとか・・・。

 これらのゴタゴタの争いごとも、全て、もう先が長くなさそうな父親の没後の相続争いの序章であることは明白で、特にこの長男がいちいちマスコミを使って、この醜い争いを煽るため、かつての大スターの晩年はハタから見るだけでも気の毒な、心穏やかな最期ではなかったであろうと思われます。

 彼の相続については、生前に彼は遺言書を残していたようなので、さすがに粛々と相続手続きが行われたのだろうと思っていましたが、ここへ来て、また、この長男が、父親の遺言状に異議を唱え、「妹を相続人から外すことを求めて訴訟」を起こしています。

 また、マスコミを巻き込んで・・。

 彼はマスコミに対して、「金銭の問題ではない、父親の無視された遺志が尊重されるようにしたい」とし、「悪意のある人々が父の弱みに付け込んで、金銭的に利益を得ようとしている」、「夜も眠れない・・」と。

 たしかフランスでも相続手続きの期限は6ヶ月、フランス国外で死亡した場合は1年延長されるとなっていますが、彼が死亡したのは、フランス国内。もうとうに相続手続きは済んでいるはずです。

 とすると、一度、分配されたものに対して、申し立てを起こしているということなのでしょうか?わかりませんが、ものすごい執念です。

 たしか、彼の遺言によると、長女に50%、他の男の子二人に25%ずつということだったと思うのですが・・。

 庶民からすれば、たくさんあるんだから、そんなに争わなくてもいいじゃない・・と思うところですが、たくさんあるほど、争いごとが起こるのかもしれません。

 アラン・ドロンは、彼が晩年済んでいたドゥシー(ロワレ県)の自宅の庭に建てられたチャペルの墓地に埋葬されているそうですが、静かに彼が眠れる日はまだまだ遠そうなのです。


アラン・ドロン相続争い


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2025年12月11日木曜日

メトロ15号線全線開通までの遠い道のり

   


 パリの新しい地下鉄15号線は、パリの首都圏ネットワークで建設中の路線で、全長75㎞、36駅の予定。通称グラン パリ エクスプレス プロジェクトと呼ばれているそうです。

 この地下鉄15号線は西、東、南の3つの区間で結ばれる予定になっています。このうちの南の部分の2025年末に予定されていた一般供用区間の運行開始が2026年の夏頃に延期されたということです。

 そもそもメトロ15号線の開通については、あまり記憶が定かではなく、延期と言われても、「あれ?そんなのあったっけ?」と思う程度なのですが、まあ工期がずれ込むのはフランスではよくある話です。

 むしろ、延期が半年くらいで大丈夫?そんな気さえしてしまうくらいです。

 この新しい路線の管理を担うイル・ド・フランス・モビリテスによれば、「最適なレベルの技術的パフォーマンスを保証するために、テスト段階を深化させる必要がある」とのことです。

 そもそも工期というものは、技術的パフォーマンスを保証するためのテスト段階も含めての工期だったはずで、これは理由にはなっていません。

 実際のところは、すでに行われていたテストにおいて、大きな問題が発生したために、それに対する対応には時間が必用だった・・というのが正しい説明のようです。

 そして、このグラン・パリ・エクスプレスプロジェクトの理事会のメンバーの一人は、この延期について、「テストの最初の段階で、この複雑さが私たちの判断が正しすぎることを意味していることがわかった」と述べており、結局のところ、延期することになったことまでも、「私たちの判断が正しすぎる」という超ポジティブな言い訳。あまりの言いぐさに眩暈がしそうになったほどですが、この発表に怒りを爆発させている人々も少なくありません。

 怒りを表明しているのは、イル・ド・フランス・モビリテスや15号線南が位置するシャンピニー・シュル・マルヌ市長などです。「私たちの民主主義社会において、公の言論や公約に対する敬意の欠如は公の意思決定者に対する不信感を増大させるだけである!」と極めて真っ当なことを言っています。

 しかし、言わせてもらえば、「もともと誰も信用などはしていないよ・・(とくに工期に関しては・・)」というのが正直な気持ちです。

 怒っているのはRATP(パリ交通公団)をはじめとする首都圏のタイムテーブルを組み立てている人々。この路線が加わってくるか否かで予定していたタイムテーブルが組み直しになるのです。

 個人的には、あまり広範囲に移動しているわけではないので、今のままのメトロで十分で、このうえ拡張してくれたりすると、逆に混雑するようになったり、問題が引き起こされる原因が増えるので別にこれ以上工事してくれなくてもいいのにな・・という気持ちです。

 一応、このメトロ15号線、最終的には2030年に完成する予定だそうですが、これもまだまだ当てにはならず、私の生きているうちにできるかな?くらいの気持ちです。


メトロ15号線


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2025年12月10日水曜日

パリ13区の児童養護施設での「罰として坊主頭にされた8歳の少年」をめぐる問題について

   


 パリ13区にある児童養護施設で8歳の少年が罰として頭髪を剃られ、その様子を同施設の職員が撮影し、その映像をSNS(What’s App)のグループチャットで共有され、少年を嘲笑の対象として弄んでいた・・という事件で、パリ検察庁の少年検察局は、「権力者による15歳未満の未成年者への故意の暴力」の容疑で捜査を開始しています。

 いくつもの問題を孕んでいるこの事件は、今年2月に起こっていた事件です。

 まず、「罰として坊主頭にする」などということがフランスでもあるのか?と私は単純に驚いたのですが、これが児童養護施設内で8歳の少年一人に対して起こったことで、しかも、それを動画撮影して、職員のグループチャットで共有し、少年を嘲笑するという行為に、呆れかえりました。

 この事件は児童養護施設内の一室で起こっています。8歳の少年は一人上半身裸で両腕を抱え込むようにして椅子にすわっています。動画の1つでは、バリカンを手にした施設の擁護員が子どもの後ろに立っており、少年の頭の半分がすでに剃られています。撮影している擁護員は少年に向かって「二枚舌!」とののしっており、その光景を目にした他の子どもが「アラジンみたい!」と言っており、少年の頭を剃っている女性は、「すごくかっこいいわ!」と満足気にカメラに向けて語っています。

 今の時代、特に児童養護施設のような場所において、罰として坊主頭にするということもアウトだと思いますが、それを撮影してグループチャットに投稿して嘲笑するというのは、ある種の公開処刑のような残酷な行為。

 その後、数ヶ月間、少年は坊主頭のまま帽子をかぶって学校に通うことになるのですが、教師も授業中でも帽子をかぶることを許可していたというのですが、クラスメイトからからかわれ、いじめられるようになりました。

 事態を知った少年の母親は説明を求めましたが、当初は、美容師がミスをして、カットを均一にしようとしただけだと説明を受けていました。

 母親が真実を知ったのは9月末、この動画を発見したときのことで、この彼の頭を剃った施設の擁護員は、彼の頭を罰として剃ったと告白し、また、この剃髪に関しては、彼の両親もグループホームの責任者も誰も同意しておらず、彼女一人の判断で行われたことであることが判明していますが、少なくとも、この映像が撮影されていることから、彼女一人だけで行われたことではないことは、明白です。

 この少年は児童裁判所の命令により、この施設で生活しているということですが、施設の他の職員によれば、「この少年は愛情を渇望している子ども」ということで、親から離れて生活することを余儀なくされているだけでも、厳しい状況であるうえに、施設内でもこのような扱いを受けていることに言葉がありません。

 それでも、この少年はこんな事件があったにもかかわらず、施設での生活に安らぎを感じていると話しているというのですから、もうなんといっていいのやら、わかりません。

 本来、児童を擁護し、保護する立場にある施設の職員がたった8歳の少年を辱めているということは、大変な問題です。

 少年の頭を剃った擁護員はその後、病気休暇を取り、独自に調査をしていた母親に電話して、「起こったことは母親の責任ではないこと、これは一連の不幸な出来事であり、ビデオに写っているものは、実際の出来事を反映していないこと」を説明していたそうですが、到底、納得のいくものではありません。

 事件が表面化したのは、母親がパリ市に対して苦情を申し立てたことから始まりました。

 この事件が最初に私の目にとまったのは、そもそも「坊主頭」=罰という、昭和の時代を彷彿とさせるようなことが今の時代にもあるのか?しかもフランスで・・と思ったことがきっかけでしたが、それが児童養護施設での出来事ということで、問題の本質がもっと根深く、たちの悪いものとして、浮き彫りになってきたのです。

 今の時代、坊主頭は坊主頭になるということだけでなく、それを撮影して拡散するというさらに陰湿で悪質なものになっているということが、痛ましい気がしてなりません。


パリ養護施設 坊主頭の罰


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2025年12月9日火曜日

パソコンの買い置きをして失敗しました

 


 私はデジタル機器というものの扱いが非常に苦手で、かといって、パソコンや携帯電話などには、とても依存している生活なので、これが壊れることは私にとっては、本当に恐怖なのです。

 娘がまだ家にいた頃はこの手のことに関しては、完全に彼女に頼りきりだったのですが、彼女が独立してからというもの、徐々にこれらの通信機器が壊れたときに備えるようになっています。

 まず、突然、壊れるということが一番困るので、早め、早めに買い替えて、突然、壊れるというリスクを減らすようにしています。

 全く壊れてしまってからだとデータの移行などが、より難しくなる気がしていて(本当はできるのかもしれないけど・・)、まだ、もうそろそろヤバいかも・・となる前に換えてしまいます。

 携帯電話は昨年、新しいものに換えたのですが、その際にパソコンも・・と思って、今、使っているものが壊れたときのために・・と思って、一台、買い置きをしてあったのです。

 私は、パソコンはもともとはAppleの製品を使っていたのですが、後にWindowsのものが必用になり、新しいものを買って、現在は、それをメインに使っています。

 しかし、以前から使っていたAppleのパソコンも必要に応じて使い続けており、次回、Appleが完全に壊れてしまったときのために・・とこのAppleのパソコンを買い置きをしてあったのです。

 それで、私はパソコンに関しては、「大丈夫・・あるある・・ストック?が・・」となんとなく安心しており、しかし、これまで使っていたAppleはそのストック用を買ってからもう1年以上も壊れる兆しがなかったので、封も開けずにそのままになっていました。

 しかし、先日、そのAppleの方が急にカーソルが動かない兆しが表れ始め、これはヤバい!とようやく、買い置きをしてあったAppleをセットアップしてデータの移行などをし始めたのです。

 私としては、自分一人でそんなことをやってのけるだけでもドキドキでしたが、データの移行等のセットアップは無事完了し、あとは、充電しておけばいい・・と思っていました。

 ところが、いつまでたっても充電されることはなく、これはさすがにおかしい・・と・・「だって、買ったばっかりのパソコンが故障なんて、あり得ないでしょ!」とさっそくパソコンを持って、シャンゼリゼにあるAppleストアに行ったのです。

 すると、バッテリーがダメになってしまっているとかで、修理が必用とのこと・・パソコンを預けてきました。店員さん曰く、「パソコンのバッテリーも車と一緒で、長い間、使わないでいると、バッテリーがダメになっちゃうんですよ・・」と。

 私としてみれば、全然、立ち上げる前だったら、長い間使わなくても大丈夫だと思っていたのですが、パソコンというものは、長いこと買い置きをしておくことはダメなようです。

 この歳にして、こんなことを初めて学びました。

 しかし、久しぶりに行ったシャンゼリゼのAppleストア・・相変わらず、キレイで店員さんみんながとても感じよく、この人ダメそう・・という人は一人も見当たらず(たいていどのお店でも、そういうダメそうな人っていそうなもんですが・・)、完璧だな・・と思いました。

Appleストアの店内の中庭


 修理に関しては、サービス・テクニックというセクション(2階)に行くのですが、通常ならば予約が必用とのことでしたが、当日だったので、その場で予約を入れてもらい、1時間半くらい待ちましたが、全然、退屈しませんでした。

 私の担当をしてくれたお兄さんは、たまたま2週間後に日本に旅行に行くんだ!ということで、とっても日本に好意的な感情を持っていてくれる人で大変、良い人でした。

 フランスは、本当に日本に好感情を持ってくれている人が多いことは、とても生活しているうえで嬉しいこと・・助かることでもあります。

 しかし、壊れたときのために買っていたパソコンが長いこと保管していたために、最初から、修理が必用とは・・全く、自分の愚かさが情けなくなりました。


パソコンのバッテリー


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2025年12月8日月曜日

フランスの社会保障費はGDPの31.7%で欧州トップ

  


 フランス研究・調査・評価・統計局(Direction de la Recherche, des Études, de l'Évaluation et des Statistiques / Drees)の調査によると、8,880億ユーロに上るフランスの社会保障費支出(年金、医療費、家族手当等)は、フランスのGDPの約3分の1(31.7%)を占め、公的支出の中で最大の項目であると発表しています。 

 フランスは約15年前、GDP比28.9%で2位でしたが、2007年から2023年の間に社会保障費支出がGDP比2.8%増加したことで、フィンランド(GDP比31.1%)、オーストリア(30%)を上回り、社会保障費支出が国民の富に占める割合がもっとも高い国としてトップに躍り出ました。

 ただし、フランス以上にこの割合が爆発的に上昇しているのは、フィンランドだそうで、今後1~2年の間にフランスを追い抜くと予想されています。

 個人的には、社会保障の良い国のイメージとしては、なんとなく北欧の国々をイメージしていたのですが、フランスのこの社会保障費の割合が高いのには、正直、驚きました。

 とはいえ、これはあくまでもGDP比の話、具体的な内容の話ではありません。

 フランス政府がこれを発表したのは、予算削減のために、なんとか、この社会保障費を削るためのことだと思いますが、この社会保障費の中でももっとも多くの割合を占める年金と医療費に関して・・特に年金問題に関しては、過去に政府が改革しようとしても、何度も失敗しているうえ、そのたびに大暴動のような騒ぎが起こるために、そう簡単なことではないかもしれません。

 しかし、この社会保障費の支出というのも、どのような計算の仕方をしているのかわかりませんが、フランスの場合、もともと国民が支払っている社会保険料等は高く、特に事業主の負担はかなり大きなものであることも忘れてはなりません。

 なので、それを受ける側の国民からしたら、けっこうな金額をすでに徴収されているために、受給する権利は当然あるはずだ・・となるのでは・・とも思います。

 私は、もうフランスに来て長くなるため、同時期に日本の社会保障がどのような状況であるのかはわかりませんが、実際にフランスで生活していて、特に夫が突然、他界してしまったりしたこともあって、この社会保障には、ずいぶんとお世話になってきた気がするので、フランスの社会保障は決して悪くない気はしています。

 一方、この社会保障費の削減に成功している国もあるわけで、ハンガリー、デンマーク、スウェーデンなどの国々が挙げられています。中でも、デンマークは年金支出を削減しながら、高齢者の貧因率を低下させた唯一の国として注目されています。

 ちなみに社会保障費の対GDPの割合、日本はどうなのか?と調べてみたら、日本は22.4%ということでした。


フランスの社会保障費


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2025年12月7日日曜日

マクロン大統領の中国公式訪問と中国からフランスへの対日外交支援の要請

 


 マクロン大統領は、ウクライナ問題、貿易問題などを中心としたフランス・中国間の関係再構築のため、2017年以来4度目となる中国公式訪問を行いました。

 マクロン大統領は、主にウクライナ問題や貿易に関する欧州の期待などを中心とした

テーマにおいて、有益な議論が行われたと表明しており、習近平国家主席に「安定と平和に貢献する意欲」を感じたと述べていますが、実のところは、あまり具体的な進展は見られていません。

 また、最近では、SHEIN問題などにもみられるように、中国との貿易問題については、フランス国内でも物議を醸しているところではありますが、実際にフランスの対中貿易赤字が2024年には470億ユーロに達しており、フランスの貿易相赤字のほぼ半分(46%)を占めていることから、経済関係のリバランスの必要性を訴えたようです。

 エアバスの発注に関してや、コニャック、乳製品、豚肉などに関する関税問題、また中国の電気自動車問題などについても話題に上がっていたようです。

 ウクライナ問題にせよ、貿易問題にせよ、いずれも具体的な進展が見られなかったものの、今後、数週間から数ヶ月の間に外相間の外交対話を強化し、共同文書を作成することで合意したと報道されています。

 そんな中、マクロン大統領の中国公式訪問の数日前に中国はフランスに対し、「対日外交支援」を要請したという話も伝えられています。

 これは台湾問題と戦後合意の解釈をめぐり、中国と日本の間の緊張が高まる中、行われた措置のひとつです。

 高市首相の発言に端を発した中国と日本間の問題が、どんどん他の国をも巻き込んでいる事態に発展しているということです。

 ブルームバーグ(米)によれば、中国が国際フォーラムで日本の立場を孤立させるためにフランスと連携したいと明言し、日本が台湾に関してなされた歴史的合意を曖昧にした非難しており、日本は自らの立場を明確にし、戦後の国際秩序を尊重しなければならないと主張していると言います。

 2026年6月にG7サミットを開催するフランスはまさに外交の最前線に立たされており、マクロン大統領は、このデリケートな問題に対するフランスの立場を迫られています。

 これに対し、マクロン大統領は、2026年6月のG7サミットへの中国の習近平主席の招待を検討していると言われています。

 日本は既に、習近平国家主席のG7招待について、同国の出席が中国に対する議論を制限する可能性があるとして、フランスに対して慎重な姿勢を示すよう要請していると言われ、一方、中国はフランスに対して日本の立場に異議を唱える上で積極的な役割を果たすことを求めています。

 これに対して、フランス政府からの公式な発表はなされていませんが、マクロン大統領からしたら、とんだお土産を持ち帰ってきたことになっています。

 フランスは習近平主席をG7に招待するんでしょうか?

 日本はこの問題、放置しておくんでしょうか??


中国のフランスへの対日外交支援の要請


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2025年12月6日土曜日

永遠の汚染化学物質PFASのひとつTFA(トリフルオロ酢酸)がフランスの水道水の92%に存在している

  


 フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)は今週、飲料水中に人体への潜在的有害性を持つという残留性汚染物質が含まれているという調査結果を発表しています。

 この調査はANSES(フランス食品環境労働安全庁)が2023年から2025年にかけて実施した飲料水中のPFAS(フルネームでパーフルオロアルキル化およびポリフルオロアルキル化)濃度測定のための全国キャンペーンの結果をもとに発表されています。

 まず、このPFASですが、これは私たちの日常生活の中、鍋、肉、薬品、化粧品、水、その他食品など、どこにでも存在する「残留性汚染物質」通称「永遠の汚染化学物質」とも呼ばれる危険で耐性のある物質です。

 このキャンペーンは原水および水道水における新興化合物に関する理解を深めることを目的として行われたものでした。

 その結果、分析された35種類のPFASのうち、原水サンプルで20種類、水道水サンプルで19種類が検出されています。

 今回、特に問題視されているのは、その中の「TFA・トリフルオロ酢酸(TFA、化学式CF₃COOH)」という物質で、これが分析された水サンプルの92%という非常に高い割合で含まれていたというものです。

 この数値はフランス本土および海外領土を含むフランス全土で採取された647の原水源(河川、池、湖、地下水、井戸など)と627の水道水サンプルから得られたものです。

 このTFAは大きく言えば、PFAS類に属する残留性汚染物質の中の一つなのですが、92%ということは、フランスのほぼ全ての水域に存在しているということになります。

 これまでこのTFAは、あまり注目されていなかったこともあり、長期データが存在しないということですが、動物実験によると、TFAは、肝臓や生殖能力に有害である可能性があり、先天性欠損症を引き起こす可能性もあると言われています。

 欧州全体で行われる来月からの義務的なモニタリングの対象となる20種類のPFASには、TFAが含まれておらず、フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)はTFAをこのリストに追加することを勧告しています。

 TFAについては、あまり知られていないのですが、非常に小さく、移動性が高く、残留性の高い物質であり、ろ過が非常に困難で、実質的に分解できません。TFAは冷蔵に使われるフッ素化ガスの大気分解や除草剤フルフェナセットの製造業者からの排出など、複数の産業および農業起源です。

 一方でこのTFAは、「植物保護製品や医薬品(抗糖尿病薬、抗ウィルス薬、抗HIV薬、がん治療薬などの製造における原料」でもあり、まさに毒にも薬にもなる物質であるとも言えます。

 しかし、水道水にまでその汚染が及んでいるとなれば、知らない、わからないでは済まされません。

 多くのミネラルウォーターの水源での汚染がもうこれまでのろ過では済まなくなっているということは、水道水にも影響が出ているのは当然のこと。

 そして、問題は、今までは存在しなかった汚染物質が生じてきて、安全のための規制がそれに即したものではなくなっているということなのかもしれません。


永遠の汚染物質PFAS TFA


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2025年12月5日金曜日

パリは世界で最も汚い観光都市トップ5にランクイン

  


 アメリカの企業 Radical Storage による最近の調査で、フランスの首都パリは世界で最も汚い観光都市のトップ5にランクインしました。

 2025年11月末に発表されたこの調査は、Googleで英語で投稿された約7万件のレビューを分析したものです。

 これらのコメントは、ユーロモニターが発表した「トップ100都市観光地」ランキングに掲載されている主要100都市で最も多く利用されている観光スポット10件に関するものです。

 評価基準はユーザーからのフィードバックに「汚い」とか、「不衛生」といった言葉がどれだけ含まれているかどうかということです。

  Radical Storage によれば、このアプローチにより、都市衛生に関してネガティブなイメージを持つ観光地を特定することが可能になるといいます。

 パリはこのリストの中で堂々5位にランクインしており、調査対象となったレビューの28.2%が観光地の衛生問題について言及しています。

 上位3位はブタペスト(37.9%)、ローマ(35.7%)、ラスベガス(31%)となっています。フィレンツェは4位で29.6%、パリはフィレンツェに続いて5位(28.2%)になっているのです。

 つまり、栄えある?1位に輝いたのはブタペストらしいですが、上位5位の都市は全て衛生に関するネガティブなレビューが4分の1という基準を超えています。

 最も人通りの多いエリア(エッフェル塔、モンマルトル、ノートルダム寺院、シャンゼリゼ通り)には、観光客が集中し、日常的なメンテナンスが困難になっていると言われていますが、私の印象としては、むしろ、これらの観光地、特にシャンゼリゼ通りなどは、さすがにいつもきれいにしているな・・というイメージなので、私もずいぶん、ズレているのかもしれません。

 しかしながら、私が思うにパリでもっと汚い場所は、それこそ一般的な観光客があまり訪れない場所や、メトロの駅やホーム、通路、メトロの車内など(これは路線によっても差がありますが・・)の方がよっぽど不衛生で汚いと思っています。

 でも、実際に、このようなコメントが多い以上、それは真摯にパリ市も受け入れるべきであるとは思います。

 一方、よくあることですが、この調査自体に異議を唱える見方をする者もいて、この調査が英語のコメントのみを抜粋しているということで、偏りがあるものであるという声があることも事実です。しかし、言語が何であろうと、汚いと感じる人が多いということには、かわりありません。

 街路の清潔さ、公衆トイレの状態、悪臭、ネズミの存在など、パリの不衛生な面は上げ始めたら、きりがないほどです。

 それでもなぜか、パリの国際的イメージは、華やかで美しいパリであり、そのイメージとのギャップがこのようなネガティブなコメントに繋がっているのかもしれません。

 それにしてもパリ・オリンピック前には、パリジャンたちですら、ビックリするほど、いたるところが清潔にきれいになっていたパリです。やればできるじゃん!と思ったのですが、もう今はすっかり元どおりになっています。


パリ世界で最も汚い観光都市5位


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2025年12月4日木曜日

フランスにはピンクのナンバープレートができる

  


 パリにいると、以前よりは車が少し減ったような印象を受けていますが、それでも、車に関する問題は後を絶たないようです。中でもナンバープレートの問題は数々あり、詐欺や盗難、非正規のナンバープレート使用など、政府はその対策に追われているようです。

 そんな中、今回、仮登録に関する不正行為に対抗するため、新しいピンクのナンバープレートが制定されました。

 対象となる車両は、「本登録前の新車」、「フランスでの登録を待つ海外登録車」、または、「路上試験を受けている専門業者の所有車」です。

 道路安全に関する省庁間代表団は、「仮登録車両をより明確に識別するため」、新しい専用のピンク色のナンバープレートが導入されると発表しています。

 この認識性の高いナンバープレートは、「仮登録車両」に取り付けられます。

 これまでの新車、または輸入車の仮登録ナンバープレートは標準ナンバープレートに似ており、「WW」の文字で始まり、その後に数字と文字が続いていました。一部のドライバーは仮ナンバープレートが別の車両に割り当てられたにもかかわらず、最大4ヶ月の有効期限を超えて仮ナンバープレートを使用し続け、新しい所有者が前の所有者の罰金を課せられるリスクをかかえるハメになっていました。

 内務省は、「この種の犯罪行為は年々増加傾向にある」としており、道路安全省長間代表団によると、「これらの容易に認識できるピンク色のナンバープレートの導入により、路上で仮登録された車両の識別と管理が向上する」としています。

 ピンクのナンバープレートには、これまでの地域識別番号と県番号に代わり、有効期限の月と年が表示されるそうです。

 また、ナンバープレートに関して、さらに頭の痛いことは、ナンバープレートの盗難や偽造複製問題。もう盗難や偽造となると、ピンク色のナンバープレートができたところで、代わりはないと思うのですが、これらの偽造や盗難されたナンバープレート使用によって、様々な道路交通上の違反を本当のナンバープレート保有者に転嫁することができたり、犯罪に車を使用した際などの追跡を逃れることができてしまうのです。

 なんとフランスでは40万枚以上の偽造ナンバープレートが流通していると言われています。

 仮に自分の車のナンバープレートが複製された場合、真の車の所有者は自分の無実を証明するための煩雑な行政手続きが待っているのです。

 もう、あらゆるリスクを考えるなら、車は持たない方がいい・・と思ってしまうのも無理からぬことですが、これは特に自家用車がなくても生活に支障がないほんの一部の都市に限られるわけで、車に関する犯罪とは、常に政府は新しい対策を取り続けることを余儀なくされているのです。

 しかし、このピンク色・・なかなか標識等にこれまで使われていなかったタイプの色で、なんかインパクトあります。


ピンクのナンバープレート


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2025年12月3日水曜日

大晦日のシャンゼリゼのコンサートは安全上の理由から中止

  


 毎年、恒例となっているシャンゼリゼでの年越しには、ここ数年、凱旋門を背景にした大がかりな花火に加えて、コンサートが行われていました。

 個人的には、花火だけで充分じゃない?と思っていましたが、これが本当に安全上の理由からということで、大晦日のシャンゼリゼでのコンサートは中止になったようです。

 これは、パリ警察長官からパリ市長に向けて要請されたもので、パリ市長はこれを受け入れたそうです。

 というのも、昨年の大晦日のコンサートの際には、あまり公にはなっていませんでしたが、過去2年間のこのコンサートにはシャンゼリゼ周辺に100万人以上が集まり、特に、このコンサートが行われていた2時間の間におこった危機的状況は、オリンピックの開催時よりも多かったと言われています。

 まあ、オリンピック時の厳重警戒は、本当にもの凄いレベルのものだったので、比較するのはあまりふさわしくないとは思いますが、ただでさえ年越しのイベントということで、かなり盛り上がっている人々が音楽やダンス、そしてお目当てのアーティストがすぐそこに・・となったらば、ヒートアップするのも当然といえば、当然です。

 パリ検察庁の発表によれば、昨年の大晦日の年越しに関連してパリでは136人の逮捕者が出て、104人が拘束されたと言われています。

 警察側もこの状態では、アーティスト側と観客の安全を守り切れないと判断した模様です。

 しかし、この年末のシャンゼリゼの花火は、年々、派手になり、以前は単に大きな花火が打ち上げられる程度のものだったものが、レーザー光線を使ったり、映像を使った演出がされるようになり、ついには、コンサートまで始まって、そのコンサートはテレビ中継されていました。

 この安全上の理由から中止になったコンサートは、大晦日には事前収録(先日、すでにコンコルド広場で収録済)されたものが大晦日にはテレビで流されるそうです。

 とはいえ、花火だけでも、相当な人が集まることには変わりませんが、そのくらいで、充分なのでは・・と思います。

 考えてみれば、大晦日の年越しイベント+花火+屋外コンサート・・しかもシャンゼリゼ・・どう考えてもリスクは大きすぎるのです。

 シャンゼリゼの400本の街路樹は、すでにライトアップされており、毎日5時には点灯し、平日は午前零時、週末は午前1時に消灯しますが、12月24日と12月31日だけは、夜通し点灯し続けているそうです。

 このシャンゼリゼのイルミネーションは1月4日までということです。


大晦日のシャンゼリゼのコンサート中止


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2025年12月2日火曜日

旅先に届いた訃報で・・

  


 悲しいお知らせは私の旅行中に届きました。

 その時、私は友人とバルセロナを旅行中で、自分たちの旅行のスケジュールなど、どこで何を食べようか?とか、次はどこへ行こうか?とかいうことで頭がいっぱいで、LINEやメールをチェックしていませんでした。

 娘から電話がかかってきたのは、ちょうど遅めのお昼を食べようとバルに入って、食事を始めた時のことでした。娘は私がバルセロナを旅行中なのは知っていたし、それでもわざわざ電話してくるのは、なんか急用があるんだろうな・・くらいの軽い気持ちで電話に出るために、私はバルを出ました。

 すると、「LINEでもメッセージ送ったんだけど、となりの従姉妹(私の)の○○ちゃんからLINEが来て、おばちゃまが亡くなったって・・どうしよう?どうしたらいいのかな?」と。

 あわてて、私もLINEをチェックすると、私にも従姉妹から直に訃報が届いていました。

 とにかく、今日亡くなった・・その日ということで、娘も当惑し、「なんて返信していいかわからない、どうしよう?」というので、「とりあえず、今、家にいるなら、隣の家(従姉妹の家は隣)に行って顔を見て、話した方がいいから、とにかくすぐ行きなさい・・」とだけ言って、とりあえずは電話を切りました。

 そのあとは、食事を中断していたので、バルの中に戻ったのですが、もうなんだかその訃報のことで頭がいっぱいになり、私にもメッセージが来ていたのに知らん顔はできないし、なにしろ、同い年のずっと隣に住んでいる従姉妹です。

 この歳まで、結婚もせず、ず~っと一緒に暮らしてきた母親が亡くなって(介護が大変だとこぼしていたものの・・)、一人になってしまったのです。

 ついひと月くらい前に、とうとう家で立ち上がれなくなってしまった叔母を、なんだか、えらくお金のかかる介護施設(しかし、新設されたばかりのところなので、きれいでスタッフもとても親切だと言っていた)に入れざるを得なくなって、もういくらかかってもいいから、ずっと生きていてほしい・・と言っていたばかりでした。

 私のように日本を出たり入ったりしていた挙句に結局、遠い国に出てしまって離れて暮らしてきた私と違って、ず~っと一緒に暮らしてきた母親を亡くすって、とんでもない喪失感ではないか?と思ったら、なんだかいたたまれなくなったのです。

 また、亡くなってしまった叔母に対しても、さすがに幼少期からずっと隣に住んでいた親戚のおばさんではありますが、従姉妹が同い年ということもあって、ことさら、関わりは深く、また、娘が生まれて日本に帰国するたびに、娘は私の実家に着くや否や、隣の家に、その叔母や私の従妹に会いたくて、すぐに一人でも出かけていく・・そんな感じでもありました。

 性格も明るくて、誰とでもすぐに打ち解けられる温かく、ざっくばらんな人で、どこに行っても、お友達がすぐできて、ずっと通っていたリハビリの施設などでも人気者の存在でした。

 もう年齢も年齢(93歳)なので、さすがにお友達も少しずつ先に旅立たれたりしていて、葬儀はごくごく内輪の家族葬でということになったようです。

 とにかく、私も一言でも直接、従姉妹と話したい・・と思い、もう一度、食事を中断して外に出て、従姉妹に電話。すると、娘はもう従姉妹の側にいる様子でしたが、構わず、その日の様子などを聞き、叔母の話などをしていたら、もう次から次へと色々なことを思い出して、もう私もバルセロナのバルの中庭で電話をしながら、号泣。

 従姉妹も、「もうわざわざ、葬儀のために戻って来たりしなくていいからね・・」と言ってくれ、友人もパリに滞在中ということで、やっぱり帰れないよな・・と思いつつも、なんだかずっとモヤモヤしたままでいました。

 結局、葬儀のためには帰らないことにしたのですが、色々なことが片付いてきて、ホッとして、従姉妹の寂しさが募ってきた頃に帰ろうか・・という言い訳を自分の中で作り出し、自分を納得させました。

 私にしてみれば、もう自分自身の両親は他界してしまっているために、もうこんな思いはすることもないだろうな・・と思っていたのですが、想像以上にショックだったことは、驚きでした。

 海外で暮らしていれば、こうして身内の不幸などの際にすぐにかけつけられないことは承知しているつもりでも、いざ、そういうことが起これば、やっぱりあらためて、ズッシリ思い知らされるのです。

 代わりに娘が日本にいてくれることは、私にとってのせめてもの罪滅ぼしのような気持ちでもあります。

 こういうことがあるたび感じることは、どんな人の最期もやはり突然に感じられることだということです。


旅先の訃報


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2025年12月1日月曜日

偽の駐車違反切符詐欺にご注意ください

  


 半年くらい前に、リヨンでこの手の詐欺が横行しているために注意してくださいという記事を見た気がしましたが、今度はパリです。

 先週、パリ17区で警察が摘発したこの詐欺は、違反切符が発行されたと伝え、罰金を支払うための偽ウェブサイトにリダイレクトするQRコードをスキャンするように促すというものでした。

 これは多くの人を罠にかける可能性のある詐欺です。

 パリおよびパリ郊外やフランスの他の都市でよく知られている「偽の駐車違反切符」詐欺は手口はシンプルですが、非常に罠にはまりやすい形態をとっています。

 まず、 「フランス共和国」と刻印されたチラシ?に駐車時間制限超過で切符が切られたことを知らせ、QRコードを使って「35ユーロ」の罰金を支払うように促してきます。

 しかし、このコードは偽の政府ウェブサイトにリダイレクトします。「フランス共和国」のロゴと「amendes.gouv.fr」というアドレスが表示されており、公式(オフィシャル)の罰金支払いプラットフォームと見分けがつかないほど精巧にできているため、ホンモノだと思わされてしまいます。

 ここで敵の周到なところは「35ユーロの罰金は2日以内に支払わなければ、135ユーロに増額される」という文面も追記して、急いで支払いをさせようとするところです。

 では、このように公式(オフィシャル)のプラットフォームと見分けがつかない場合はどうしたらよいのか?といえば、とりあえずパリでは解決策はシンプルです。

 パリでは「スキャンカー」(市内を巡回し、ナンバープレートを自動で読み取る車両)の導入により、駐車違反切符はワイパーの下に挟まれるのではなく、車の所有者に直接、郵送されるようになっているそうなので、この手の車両に直接、罰金切符が置かれていることはないのだそうです。

 つまり、このような切符がワイパーの下に挟まれていたとしたら、それは詐欺だということです。

 また、このような通知を郵送で受け取ったとしても、支払いは「https://stationnement.gouv.fr/fps」で行わなければなりません。

 先週、摘発されたパリ17区での駐車違反罰金詐欺については、パリ検察庁の金融犯罪課に委託されたとのことです。

 この手の罰金詐欺に関しては、駐車違反に対する罰金だけではなく、スピード違反等の通知がかなり無尽蔵に送られてきているという話もありますので、充分にご注意ください。

 詐欺にも色々ありますが、警察の名をかたられたり、罰金などと言われると、ついビビってしまいがちではありますが、常に気を抜いてはいけません。


駐車違反切符詐欺


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2025年11月30日日曜日

年々加熱するブラックフライデーの落とし穴

 


 ここ1ヶ月ほどの間、やたらと「BLACK FRIDAY(ブラックフライデー)」の広告をやたらと目にしていて、もう少々、鬱陶しく感じるほどで、いったいブラックフライデーっていつよ!と私は思っていました。

 なんだか世間がやたらと「ブラックフライデー・ブラックフライデー」と騒いでいるので、私はむしろ、なんだか少々、胡散臭いとまでは言わないものの、あまりに踊らされている感じが嫌で、特に何かをこの時期に買物しようという気にはなっていませんでした。

 しかし、この「ブラックフライデー」・・フランスでも年々、クリスマス前の年間最大のショッピングイベントとなっていて、オンラインでも実店舗でもかなりの広告を打ち、多くの人が少しでも割安な買い物をしようと待ち望んでいるイベントになっているようです。

 ボストン・コンサルティング・グループが11月中旬に発表した調査によると、フランスでは10人に7人以上の人々がブラックフライデーに買物を計画しており、2025年には平均345ユーロを支出する予定で、これは昨年の平均315ユーロ(約62,000円)を上回る数字になっています。

 中でも衣料品、電化製品、美容製品などが特に人気なようです。

 そういえば、数年前に娘が携帯電話を買うのにブラックフライデーを待って買おうかな?などと言っていたことを思い出します。

 ところが、消費者が期待しているこのブラックフライデーの破格の割引というのは、必ずしも大したことがないことが明らかにされてきています。

 衣料品・電子機器などが30%、40%、50%、ときには70%オフ?などとのふれこみでアメリカで始まったことのブラックフライデーはフランスでも非常に注目され、小売業者は時に破格の値下げをうたいます。しかし、現実の割引は大きく異なり、消費者擁護団体UFC Que-Choisirの調査によると、実際の値下げは0.5%から3%ほどのもので、消費者が期待している割引からは程遠いものでした。

 消費者擁護団体UFC Que-Choisirの調査によれば、携帯電話の価格はわずか1.6%、テレビは3.7%、パソコンの場合は1.9%でした。

 ブラックフライデーでのショッピングの場合、注意が必用なのは「参考価格」というもので、この参考価格は例えば競合他社の価格や過去の価格と比較してブランドが自由に設定できる価格で、政府によると、2023年には当局の検査を受けた1,000店舗のうち、約3分の1に価格設定に異常が認められ、これには偽の割引、水増しされた参考価格、在庫状況に関する誤解を招くような表示、虚偽広告などが含まれていました。

 本来ならば、ノエルの前の時期には、一番、買い物をすると言われてきたフランス人にとって、業界では、クリスマス前には、絶対に値下げをしなかったはずの季節です。そして、クリスマスが終わると、バーゲンが始まって、一気に値下げする・・これが今までのパターンだったのです。

 それを易々と一番高く物が売れていた時期にそんなに値下げをしてしまうイベントが登場するとは、時代も変わっているのでしょうが・・実はブラックフライデーとは名前だけで、実は大して値下げしていない・・そんなものも紛れているのです。

 あまりに騒がれすぎているブラックフライデー まさにブラックな部分もあるようです。


ブラックフライデー BLACK FRIDAY


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2025年11月29日土曜日

来年度から高校での携帯電話使用禁止

  


 マクロン大統領は、11月末に行われた自身の演説の中で、「来年度から高校での携帯電話の使用は間違いなく禁止される」と発表し、中学校ですでに禁止されている措置を拡大することを明かしました。

 この演説の中で、マクロン大統領は、スクリーン中毒の危険性を強調し、「高校は、学ぶ場所であり、コミュニケーションをとる場所でもある」と説明しています。

 すでに実施されている中学校においての「校内における携帯電話禁止」のプログラムはまだ、全ての学校において実施されているものではないものの、大統領はこの禁止措置は概ね上手く機能していると考えています。

 長年にわたり、マクロン大統領は、15歳未満のソーシャルメディアの使用を規制、あるいは禁止することを支持してきました。

 携帯電話は2018年の法律により、幼稚園・小学校・中学校での校内での使用はすでに禁止されていますが、この法律の施行は実際には簡単なことではないのが現状で、必用に応じて、授業中にロッカー、ブリーフケース、ポーチなどに入れておくことを学生に義務付けることでその適用を強化しています。

 しかし、実際問題として、その管理、受け渡し、保管等の問題で、時間と手間、リスクなどの諸々の問題に直面する各学校がそれに対応しきれていないという問題もあります。

 携帯電話どころか、凶器を持っていないかどうかのチェックまでを抜き打ちで行っている学校まである中で、生徒の手荷物、ひとつひとつをチェックしきる対応が容易なことでないのは、想像に難くありません。

 実際に、すでに全国学校管理者組合(SNPDENーUNSA)の代表は、高校生というこの年齢特有の複雑な状況のため、また、中学校とは違って高校には大人の監視の少ないプライベートなエリアがいくつかあるため、そこでは高校生たちが携帯電話禁止を回避できてしまうため、非常に難しい状況であることを説明しています。

 また、それをおして携帯電話禁止を高校内で取り締まる?となれば、さらなる人員が必用となるであろうと述べています。

 私の高校生の頃などには、影も形もなかった携帯電話がすでに、その使用を校内で禁止することすら、容易なことではなくなっているという事実。携帯電話なんてなくても全然、楽しかったのに・・それがある時代になると、それを禁止することも難しくなってしまうのですね・・。

 日本の学校での携帯電話の扱いってどうなっているんでしょうか?


高校内携帯電話使用禁止


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2025年11月28日金曜日

フランスが2026年から実施する志願制兵役・国家奉仕活動とは?

  


 マクロン大統領が来年から実施される志願制兵役の実施を発表し、具体的にフランスの軍事化に単に金銭的なことだけではなく、具体的な人的資源を集める手段に進み始めたことに衝撃を受けています。

 マクロン大統領の発表によれば、これは2026年夏から開始されるもので、大統領はこれを「国家奉仕活動」と呼んでいますが、これは、志願制に基づく純粋な軍事奉仕活動であり、志願者はこの10ヶ月間、最低月額800ユーロ(約 14,5000円)の手当に加え、その間の宿泊、食事、装備が提供されます。

 2026年には3,000人、2030年には10,000人、2035年には50,000人の若者を募る予定になっています。

 マクロン大統領が、『「国民奉仕活動」は我々を守るために動員されるため、国民奉仕活動は「国家の領土内」でのみ、奉仕活動を行う』と明言しているとおり、奉仕活動を行うこのプログラムに参加する者は、10ヶ月間の訓練プログラムにおいて、国内でのみ奉仕活動を行うことが基本となっていますが、「重大な危機が発生した場合」議会が志願者だけでなく、他の若者の参加を承認できるようになる・・という意味深な文言もついています。

 同時にマクロン大統領は、「我々が追及する目標は軍事的なものである」ということも同時に名言しています。

 また、この国家奉仕活動の中核は18歳から19歳の若者を中心に構成されるということで、政府は若者たちが高校時代に軍隊でのインターンシップを完了することを奨励したいとしており、同時にマクロン大統領は、「防衛・国際安全保障」の授業期間をこれまでの1年から3年に延長することも同時に発表しており、「そのため、若者は各学校で少なくとも年に1回は記念式典に参加しなければならない」と教育の場面から変えていこうとしているところが、なんとなく、空恐ろしい気もします。

 入学式や卒業式などの記念式典のようなものさえ、ほとんどないフランスの学校で軍事関係の記念式典だけは行われるというのもなんだか奇妙な気がするところでもあります。

 しかし、現実的に考えれば、18歳から19歳といえば、高校卒業後のそれぞれの進路を構築していくために必死な年代(つまり大学受験の年代)で、振り返ってみれば、うちの娘などは、勉強ばかりしていた年代でした。

 その年代の若者たちがそのような「国家奉仕活動」に参加するかどうかは大いに疑問ではあります。

 しかし、経済的にひっ迫している家庭にとってみれば、これに参加せざるを得ないような場合もあり得るのではないか?とも思われることには、まさしく格差社会を逆手にとったやり方のような気がしないでもないのです。

 この「志願制兵役」、「国家奉仕活動」には、20億ユーロ以上の費用がかかることが見積もられていますが、これまで政府は、軍隊に追加の人員を提供するための最善の方法を検討し続けていたとも言われており、今年7月14日に発表された戦略レビューによれば、これは、「危機発生時に動員できる人材プールを構築するため」のものであると見られています。

 なんだか軍事化がどんどん進んで、正直、怖いです。


フランス志願制兵役・国家奉仕活動


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2025年11月27日木曜日

サルコジ元大統領に2度目の有罪判決

  


 フランスの最高行政裁判所である破毀院はピグマリオン事件に関する二コラ・サルコジ氏の上訴を棄却する判決を下し、これにより、サルコジ元大統領の刑事有罪判決が確定しました。これでサルコジ元大統領にとっては、盗聴事件(ポール・ビスマス事件)とそれに関わる弁護士と判事と汚職協定を結んだとされる事件に続く2度目の有罪判決の確定になります。

 今回のピグマリオン事件とは、2012年の大統領選に失敗した選挙運動への違法な資金提供を罪に問われていたもので、2024年2月にすでにパリ控訴院において、懲役1年(うち6ヶ月の執行猶予付)の判決が下されていたもので、これに対してサルコジ氏が上訴していたものが棄却されたということです。

 この事件に関しては、捜査の結果、サルコジ氏の選挙費用が急増した事実(認可上限額2,250万ユーロに対し、約4,300万ユーロに上っていた)を隠蔽するために、架空の契約を装い、集会費用の大部分をUMP(現LR)党に負担させる二重請求システムが構築されていたことが明らかになっています。

 共犯者とは異なり、サルコジ氏はこの虚偽請求書システムに関与したのではなく、候補者として違法な選挙資金の受益者として関与していた事実に基づいて判決が下されています。

 サルコジ氏は一審と控訴審の両方で刑事責任を強く否定し、告発内容は捏造であり、嘘であると非難していました。控訴審におけるサルコジ氏の判決は拘禁部分(電子タグの装着、半自由など)の調整を命じたもので2021年の第一審で言い渡された懲役1年よりわずかに軽いものにはなっています。

 とはいえ、今年の9月25日、2007年の大統領選において、ムアンマル・カダフィ独裁政権下のリビアから側近らが不正資金を募ることを容認したとして懲役5年の有罪判決を受けて、サルコジ元大統領は、パリ市内にあるラ・サンテ刑務所に収監されました。3週間後に保釈されていますが、彼は、この判決に対しても上訴しており、この控訴審が来年3月から6月にかけて予定されています。

 この他にも彼は、このところの裁判に関わる問題においても、数件の告訴事案を抱えており、これからもしばらくは、彼の有罪判決→控訴→確定判決・・の日々は続きます。

 彼のケースにおいては、ここまでのところ、全ての嫌疑は大統領選に関わるもので、そこまでして大統領になりたかったのか?大統領になるためには、手段を選ばなかったのか?などということをありありとつまびらかにされていくことで、まさに高齢者枠に入りつつある彼の後半人生は、大統領にまでなりながら、結局、その後の人生は、「晩秋を汚す」日の連続となっているようで、虚しさしか感じないのです。

 だって、有罪判決をいくつも重ねて行ったら、彼は前科何犯?って話ですよね・・。


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2025年11月26日水曜日

たかが1セント、されど1セント お釣りがないとお釣りをくれないモヤモヤへのささやかな抵抗

  


 最近は、ほぼほぼ現金というものを使わなくなったので、こんなことに遭遇することも減ったのですが、たまに現金を持っていて、少額ならば、現金で払おうかな?と思うこともあります。

 オートレジなどでは、たとえ現金で支払ってもそのようなことはないのですが、フランスでは、有人のレジだと、1セントや2セントなどの細かい小銭のお釣りがないと、お釣りを返してくれなかったりすることがあります。

 先日も、たまたま、9.99ユーロの商品を買おうと、10ユーロ札を渡して支払おうとしたら、1セントのお釣りがないから・・といって、平然とお釣りをくれませんでした。あまりに当然のようにお釣りをくれないでやり過ごそうとするので、内心、またか・・と思いつつ、「お釣りは?」と言うと、涼しい顔で「1セントの硬貨がないから・・」と言います。

 そこで、私は、「だったら、カードで払いますから、その10ユーロ返してください」と言ったら、慌てて、もう一度、レジの中の小銭を再び探し始めたのですが、やはりないものは、ない・・。逆に、そこで、「あ~やっぱりありました・・」とか言われたら、もっとムッとして、もう買いものをするのをやめていたかもしれません。

 お店の人の側はほとんど悪気はなく、逆に1セント硬貨がなくて、2セント硬貨でお釣りをくれたりすることもあるのですが、とにかく、そのあたりの数セントの扱いがとても雑なところがあります。

 そのへんのとってもルーズなところが私には、とってもモヤモヤするところでもあります。1セントくらいいいじゃないか・・せこいこと言っているようで嫌な気もするのですが、お釣りを用意せずにお店をあけること自体、なんか不誠実な気がしてしまいます。

 お釣りがないなら、だったら、9.99ユーロなどと言う表示はやめて、10ユーロと表示すればいいものを10ユーロじゃなくて、9.99ユーロという方がなんとなくその1セント差につられて、買いやすい気分になるのも私のケチなところなんですが・・。

 しかし、逆に何か買い物をしたくて、たとえ1セントでも足りなかったら、買えないのはふつうなのに、お釣りがないから、1セント返してくれないというのは、納得いかないのです。

 そんな時は、最近は、ささやかな抵抗ですが、お釣りがないと言われたら、それならカードで払います。と最近はカード払いにするようにしています。

 支払う私の方にしたら、表示どおりの金額を支払うだけなので、実際にはどちらで払っても変わりないのですが、お店の方にしたら、本当ならば、カード払いなら手数料をカード会社に支払うことなく現金で受け取った方がありがたいはずなのに、なんで現金での顧客に対して、こういう    雑な扱いをするのか?と思います。

 たかが1セントや2セントのことで、くだらないと思われる方も多いかとも思うのですが、そんないい加減なところを少しでも改善してほしいと願うささやかな私の抵抗です。

 この小銭(特に赤い小銭1・2セント)を返してくれないことは、そんなに珍しいことではなく、これがまかり通っているのは、それを多くの人が見過ごして、なんとなくやり過ごしている結果だと思うのですが、ケチなフランス人にしては、へんな習慣だな・・と思うのです。


1セントのお釣り


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