世界9ヵ国の消費者の予算選択を比較した大規模調査によると、フランス人はお金を使うことに対して最も悲観的で倹約家であることが明らかにされています。
この消費減少は、政治的、経済的不安定性によるものと説明されています。
もともと、意外と倹約家と言われているフランス人、インフレ傾向は数年前に比べて鈍化しているにもかかわらず、消費は回復しておらず、近い将来にこれが回復する可能性も低いと見られています。
来たる2026年の購買意向を調査した結果では、フランス人の43%が来年の消費量を減らす意向を示しており、消費量を増やす予定の人はわずか10%、残りの47%が現状維持と答えています。
この購買意欲をスコアに表したものが購買意向スコアとして発表されていますが、フランスのこのスコアは-33%。他のヨーロッパ諸国ではドイツー21%、スイスー20%、イタリアー17%とやや低い数字。これに対して湾岸諸国などの一部の国ではサウジアラビア+4%、アラブ首長国連邦+6%とプラスの数字になっています。
したがって、この消費量の減少は、世界的な傾向ではなく、ヨーロッパ、しかも特にフランス特有の現象ということもできます。
これは極めて不安定な政治が原因であるという見方も強く、ここ数年、あらゆる予算を削減するために来年度の予算編成がなかなかできず、社会保障もいつ削られるかもわからない状況下、消費者は将来の生活をはじめ不安を感じると、慎重かつ防御的な姿勢をとり、貯蓄を増やし、購入を延期し、支出を慎重に管理するようになる・・という鉄則どおりにフランス人は動いている・・感じです。
一方、フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、「フランス人は10年前に比べて9%裕福になっている(最富裕層は23%増加)」という報告もあります。
INSEEによると、2024年には50%の世帯が20万5000ユーロ(約3,700万円)を超える総資産を保有しているそうで、その大部分は不動産61%、金融資産22%、事業資産11%、その他の資産6%で構成されています。
しかし、留意すべき点は、46%の世帯が未払いのローンを抱えており、その半数は49,200ユーロを超える金額であることに留意すべきです。これらのローンを差し引くと、純資産の中央値は148,100ユーロ(10年間で9.7%増)となります。
富裕層上位10%の資産は15%増加しています。
INSEEの報告を簡単に要約すれば、全世帯の半数が総資産の93%を保有し、最富裕層10%が48%を保有しているということで、簡単に言えば、再富裕層の資産が増え、数字を引き上げているだけで、格差がより広がったとも言えます。
この見解は、会計検査院傘下の機関である強制課税評議会が最近発表した報告書とも一致しています。同評議会は、現行の富裕税制度を「重税、複雑、不平等、そして非効率」と評しています。
というわけで、数字の上では豊かになったと言われるフランスも実質上、一般庶民の富が増えているわけではなく、むしろ、将来に不安を感じているからこそ、消費を控え、貯蓄にいそしむ傾向にあるというところ。
ケチと言われるフランス人はますますケチになっていきそうです。
フランス人は倹約家
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