全国医師会協議会(CNOM)の報告書によると、2024年には、約2,000件の医師に対する暴力事件が報告されており、これは、1年で26%増加という数字、特に2021年以降の3年間を見ると、95%増となっており、確実に懸念されるべき増加の傾向を顕著に示しています。
これらの暴力事件の影響を最も受けているのは、一般開業医で事件報告数の約4分の3(63%)を占めています。しかし、実際に被害を訴える医師は少ないのが現状となっているようです。ということは、実際の暴力事件の数は、これを遥かに上回る数字であるということで、これは深刻な状況であると言えます。
暴力は現在、都市部、地方都市にかかわらず、多くの専門分野とあらゆる診療現場にも影響を及ぼしています。
この患者(あるいはその家族などの同伴者)の暴力行為の原因は、「治療に関する非難(32%)」、「処方箋の拒否(17%)」、「待ち時間や予約時間の長さについて(8%)」などが挙げられていますが、近年は特に処方箋や証明書などの偽造が著しく増加しており、事例の4分の1を占める結果となっています。
また、医師に対する暴力には、様々な形態があり、最も多く見られるのは個人的な暴行であり、暴言や脅迫(61%)、窃盗または、窃盗未遂(8%)、身体的暴行(5%)などが挙げられています。
医師に対する暴力が急増している背景には、特にパンデミック後に急増している背景から考えるに、このパンデミックという時期を境に、社会的にも経済的にも精神的にも鬱屈したものが沸々と湧き出している感があり、医師が不満の受け皿になっていると見ることもできます。
ただでさえ、医師不足が叫ばれている世の中で、こんな暴力事件に巻き込まれるとなれば、さらに医師は不足し、医師が不足する事態は、さらに事件を増加させる原因になりかねない負のループを辿ることに繋がっていきます。
私個人の立場から考えると、かかりつけのお医者さんはもちろんのこと、ここ数年で、今まで行ったこともなかった専門医にも診てもらう機会が増え、なかば自分の命を預けているような存在の人々で、このような人々に対して、暴力行為など思いも拠らぬことで、また、私がお世話になっているお医者さんたちがこのような目に少しでもあっているとしたら、絶対に許せない思いでいっぱいです。
しかし、世の中におきている事件や現象などを見るにつけ、明らかに、不安定で奥底には怒りが潜んでいるようなことが多い気がするのは、辛いことです。
また、この全国医師会協議会(CNOM)の報告書では、「この医師に対する暴力事件の増加は一時的なものではなく、永続的な現象になりつつあり、このような現象は、医師業界全体にとって構造的な問題となっている」と指摘しています。
医師への暴力事件急増
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