こんなに政局が急速にガタガタと崩れていくものかと、フランス人ではない私でさえも、驚愕する事態がフランスでは起こっています。
前首相のフランソワ・バイルー氏が辞任して、24時間も経たないうちに任命されたセバスチャン・ルコルニュ首相は、首相任命から、なんと組閣人事発表まで26日もかけて、ようやく10月5日(日)の夜に内閣人事が発表されました。
私は、そのニュースをなんとなく、サラッと眺めて、明日、じっくり見てみよう・・と思っていました。
ところが、その14時間後の月曜日の朝、今度は、突如、首相が辞表を提出して、マクロン大統領がそれを受け入れたというビックリニュースが飛び込んできて、「なんなの?これは?どうなってるの?」とビックリした次第です。
この1ヶ月未満という記録的なスピードでの首相辞任は、当然、国全体を揺るがす大騒動になっており、朝早くに発表された首相辞任のニュースで株価は急落。SNS上だけでなく世論が大炎上しています。
この首相のスピード辞任、特に組閣人事発表からの速攻辞任には、組閣人事に対する各政党や世論からの大反発によるものと見られており、この組閣人事の構成が前政権からの引継ぎ、つまり大統領陣営がかなりの割合で含まれていること、特にブルーノ・ル・メール氏(長年、マクロン政権で財務相を務めてきた人物で国防・軍事に関しての経験はないらしい)の国防相という人事への反発であるという声も大きいと言われています。
ブルーノ・ル・メール氏に関しては、マクロン政権がかなり崩れ始めた頃に、自ら財務相を辞任し、どこかの大学の教授として、若者と意見をかわしつつ、フランスの将来について考える・・というようなことを言っており、私としては、まことに清々しい引き方だ・・と感心していたのですが、さらに混乱した状況において、なぜ、政界に復帰することを了承したのでしょうか? 彼は、今回の人事を受け入れるにあたって、「政府に参加するという私の決断は専ら使命感から下したものでした。私の決断が一部の人々から、理解不能で虚偽で不相応な反応を引き起こしていることを承知しています」と述べていました。
とにかく、この組閣人事発表から、首相退任による組閣取り消しにより、前日の夜に任命された大臣たちは、公式に任命が交付されているために、何もしない14時間のおかげで、各自(大臣たち)が3ヶ月間の給与28,000ユーロの給与が支払われることになり、この任命の総費用だけでも、約50万ユーロかかることなども、報道されています。
あまりの世間の怒りに慌てているマクロン大統領は、辞表を受け取ったものの、セバスチャン・ルコルニュ首相に対して、2日後の夜までに最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を委任したと大統領府は発表しています。
ここまでグダグダになって、今さら解決策などあるのだろうか?と思ってしまいますが、今後、しばらくは、離せなくなりそうです。
今回の首相に関しては、「来年度の予算を通すまでに何人の首相が必用か?」などと嫌みな見出しの報道などがされていましたが、冗談ではなくなってきました。
1ヶ月未満で職を放棄してしまった新(前)首相に対して、国民の反発もさぞかし強かろう・・と思いきや、世論調査によると4人のうち3人のフランス人は、セバスチャン・ルコルニュ首相の辞任は正しかったと答えているそうです。
仏首相 1ヶ月未満のスピード辞任
<関連記事>
「バイルー辞任の24時間も経たないうちに次期首相任命 セバスチャン・ルコルニュ 39歳」
「内閣不信任決議案可決 首相辞任 大混乱は避けられないフランス」
「フランス新首相にガブリエル・アタル氏就任 史上最年少34歳の首相」
0 コメント:
コメントを投稿