2025年10月17日金曜日

メトロ10号線で運行を開始した新車両 MF19とパリの鉄オタくんたち

 


 未来の地下鉄車両がメトロ10号線で運行を開始するというので、ちょうど、その日は予定がついたこともあって、運行開始当日に、野次馬根性で見に行ってきました。

 私は特別、電車にもメトロにも興味があるというわけでもないのですが、「未来の地下鉄」とか、「将来的にはこの新世代の車両がパリの地下鉄路線の半分を占めることになる」とかいうので、どんなハイテク?どんな新車?と気になったのです。




 あとになってわかったことですが、この車両、まだ、あんまり本数も多くなく、当面は午前9時から16時まで、走行区間も10号線のほんの一部(ポルト・ドートゥイユ駅とラ・モット・ピケ・グルネル駅間)だけだそうで、何時にその車両がやってくるのかもわからず、まあ、見れたら、ラッキー!くらいの軽い感じでした。




 個人的には、以前RER E線がサンラザール駅まで開通した頃に見た、なんだかキラキラした感じなのかな?と思っていましたが、技術的なことはわかりませんが、わりとふつう。

 やっぱり私みたいな野次馬がけっこういると見えて、けっこう車内も混んでいたので、実感できなかったのかもしれませんが、大きく、これまでの他線の新車と思われるものと、そこまで大きく変わった感じはありませんでした。




 しかし、さすがに乗ってみると、新車の匂い(電車にも新車の匂いっていうものがあるのですね・・)、なんとなく、プラスチックというか、なんかケミカルな感じの匂いがしました。

 行く先の表示の電光掲示板が今までよりも広く、長く、おそらく見やすくできているんでしょうが、今のところ、「Bienvenue ligne 10」(10号線にようこそ)としか表示されていませんでした。




 細かいところは、なんとなく、ポールなどが全体に丸みを帯びている感じ、窓が大きいこと、ドアが幅広なのが特徴的かな?と思います。携帯のチャージができたりするUSBポートがところどころにあるのは、他の車両にも既に登場しているので珍しくはありません。

 正直、日頃、10号線というのは、ほぼほぼ乗る機会がないため、これまでの車両というものを知らなかったのですが、帰りに折り返しの電車に乗ってみたら、なかなかな年季が感じられ、椅子の布は擦り切れ、落書きを消した形跡があったりと、まあまあ汚くて、なるほど・・と思いました。

 なにせ、ふだん、ほとんど行ったことがない駅なので、折り返しはどこ?とまず出口を上がっていくと、駅の窓口に小さな人だかりができていました。のぞき込めば、何やら、大きな紙のようなものを配っていて、パリの鉄オタくんたちが、集結しています。

 さきほど、ホームでも写真を熱心に撮っている人たちがいて、パリにも鉄オタくんっているんだな・・と遠巻きに眺めていたのですが、思いがけずに彼らの固まりの中になんとなくすっぽり入ってしまうかたちになりました。

 駅の窓口では、新しい車両の紙の模型とステッカー、クッキーなどを配っていて、「せっかくだから、私も欲しいな・・」と並んでいると、近くにいた男の子が「これ欲しいんでしょ!ひとつどうぞ・・」と分けてくれました。

 すると、周りにいた男の子たち、そして駅員のおばさんまでもがクッキーやステッカーも欲しいでしょ・・とMF19のマーク入りのクッキーを出してきてくれました。




 きっと、鉄オタくんたちにとったら、またとない貴重品をこんな見ず知らずの野次馬おばさんにまで分けてくれるなんて・・ととっても感動しました。

 私は、これまで日本でもフランスでも鉄オタくんと呼ばれる人々に接したことはなかったので、初めて、ちょっとだけお話しましたが、彼らがとっても優しい目をした人たちで、優しいのは目だけではなく、本当に優しくて、しかもとても繊細そうで、(余計なお世話ですが・・)この人たち、こんなに優しくて普通の社会を渡っていけるのだろうか?とちょっと思いました。

 ちょっとこれまで出会ったことのない独特な世界観を持った不思議な雰囲気(決して悪い意味ではない)の人々でした。

 彼らの情報によれば、この新車両の中には、1台だけ、茶色いおタカラ車両があるそうで、残念ながら、その日は、もう運行は終了して車庫入りしているとのこと。

 せっかくだったら、そのレア車両も見てみたかったのに残念でした。

 でも、正直、この日、私は、未来の新車両を見れたことよりも、ふつうに生活していたら、絶対に接点がありそうもない、この鉄オタくんたちと、ちょっとだけでも触れ合えたことが感動的な1日でした。


メトロ10号線 MF19


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