フィッチに続き、S&P グローバル・レーティング(旧スタンダード&プアーズ)は、フランスのソブリン格付けをAA-からA+に引き下げました。
これは、フランスの財政に関する不確実性が高いことを理由としており、格付けは「高品質」から「平均以上の品質」に変更されたのです。
この格下げに関し、ローラン・レスキュール経済相は、「これは透明性と責任を求める声であること」を認め、「この不確実性を無視することはできない」と語りました。
S&Pは、プレスリリースの中で、今回のフランスの格付け決定の主な要因は、「年金改革の停止」であることを明かし、「年金問題は、フランス財政の長期的な悪化の主要要因のひとつである」と見ており、「この改革の後退は絶対に避けるべき一線である」と警告していたため、当然の結果であるとも見られています。
また、S&Pは、フランスの政情不安にも焦点を当てており、政情不安は財政再建の可能性に大きな不確実性をもたらしており、財政再建は予想よりも時間がかかると見ています。
さらに、S&Pは、この政情不安とそれに伴う不確実性が成長を阻害していると考えています。来年の成長見通しも1%に下方修正しています。
この決定が市場に与える影響は、即時にフランス国債の金利が急騰する可能性は低いと見る見方もありますが、中長期的には問題となる可能性があります。
フランス国債の金利がさらに上昇した場合、それに伴って公的債務による国債債務による政府予算への負担も増加する可能性もあり、具体的には、利払いに充てられる数十億ユーロが引き続き増加し、教育、防衛、司法、環境問題への有益な支出が損なわれることになります。
しかし、今回のS&Pの格付け格下げは、既に投資家が認識していることを単に確認しているだけのことであるとも言えます。
年金問題、財政悪化、政情不安は、それぞれが混ざり合って、悪循環に作用していますが、財政赤字削減の政府の予算案、長いこと定まらずに、何回も短期間で退任する首相、政府、今回は年金改革を一時停止することで、ようやく首相不信任案を一端回避できたものの、これがいつまで続くのかも不透明で、そのうえ、大手各付け会社からは、「年金改革停止を主要因」とする軒並み格下げの烙印を押されています。
年金改革の停止をしなければ定まらない政府と年金改革停止でさらに悪化する財政。
その結果、さらに国債の金利の上昇から、ますます赤字増大。
これはフランス政府に対する圧力となる可能性もあり、国の利益のために、財政健全化を可能にする予算を策定するために、誰もが妥協し、譲歩しなければならないということを警告されているとも言えます。
ちなみに、この格下げとなった「A+」という格付けは、スペイン、日本、ポルトガル、中国と同等の格付けなのだそうです。
フランス S&P 格下げ
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