史上最短記録を樹立したセバスチャン・ルコルニュ首相に対して、マクロン大統領からは、2日間の間に最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を課せられていました。
この48時間の間、フランス国内は政界のみならず、世論も荒れに荒れ、各政党がここぞとばかりにマクロン大統領を攻め立て、もはや内閣というよりも、「大統領辞任」を求める声が強くなり、これまでマクロン大統領の腹心と言われていた人々からも、彼を否定するような発言が飛び出し、特にマクロン大統領を支持しているわけではない私でも、ちょっと見るに堪えない惨状となっていました。
これまでも、「マクロンやめろ!」の声は、けっこう上がっていたのですが、今回ばかりは、なかなか真実味が増してきたような気がしたのも事実です。
こんな混乱状態の中では、誰と誰が会ったとか、何を話したか?とか、憶測に過ぎない話なども、盛沢山に出没するわけで、全てを真に受けてはいけないと思っていましたが、そんな中、エリザベス・ボルヌ(元首相)が年金改革を一時停止にしてはどうか?というような発言をしたため、また、それが新しい火種になったりもしていました。
年金改革案を49.3条(首相の権限において、採択せずに法案を通すこと)を発令して、大暴動まで起こして、通した年金改革です。「自分たちの身が危うくなれば、あんなに強引に押し通した年金改革でさえも、あっさり取り下げるのか?結局は、自分が可愛いだけじゃないか!」などの声もあがって、これがまた逆効果になったのです。
そして、48時間が経過する間に、辞表を出しておいて、結局は続投するのではないか?とまで言われたセバスチャン・ルコルニュ首相は、夜のニュース番組で、この48時間と今後の展望を語りました。
彼は、予定どおり、首相は辞任すると断言。今後48時間以内に次の首相が任命される予定であると発表しました。彼は今日までの48時間の間の各政党の党首との話し合いから、「複数の政党が共通予算案で合意する用意があると考えている」、「特に左派政党はフランスの安定と予算を望んでいるが、条件を付けている」、「とても困難な状況ではあるが、道はまだ開けている」と大統領に伝えたことを説明しました。
首相は「党派的な思惑によって、政権構成は行き詰っている」と認め、ほんの14時間で終わった自分が行った組閣に関しては「いくつかの点を見落としていた」、「政権構成に関して一つ後悔があるとすれば、それは、次期大統領選への野心とは無関係なチームでなければならなかった」と告白しています。
実際に、そう遠くはない2027年の大統領選挙が今回の政治的混乱に無関係ではないことは、今回の騒動を批判して声を挙げている政治家の面々を見ても思い当たる発言がけっこうあります。
彼は、自分がもう首相を辞任しているということからか、どこかスッキリした顔つきでもありましたが、予算案は月曜日に提出されると話しています。
しかし、その前の大問題は、48時間後に任命されるであろう首相が一体誰なのか?どの党派の人物なのか次第で、また、問題はぶり返されることは確実。
また、マクロン大統領の陣営を置いたのでは、問題は繰り返され続けることは確実です。
セバスチャン・ルコルニュ首相
<関連記事>
「セバスチャン・ルコルニュ首相 辞任 史上最短の在任期間 フランス政府の危機」
「マクロン大統領の国民議会解散と選挙の危険な賭けの裏にあった別のシナリオ」
「 バイルー辞任の24時間も経たないうちに次期首相任命 セバスチャン・ルコルニュ 39歳」
0 コメント:
コメントを投稿