2024年8月31日土曜日

8月のインフレ率は3年ぶりに2%を下回る・・を勝手に誤解した・・

  


 「8月のインフレ率は3年ぶりに2%を下回る」という見出しを見て、勝手に「えっ?値下げ??」と勘違いしました。

 しかし、これは価格が下落していることを意味するのではなく、以前よりも上昇のペースが鈍くなっているという意味でした。がっかり・・。

 その後、記事を読み進めるとINSEE(国立統計経済研究所)は今週末、フランスの8月の消費者物価指数が1年間で1.9%上昇したと発表・・とあり、物価上昇率が2%を下回ったというだけで、依然として上昇を続けているというものでした。

 これは価格が下落していることを意味するのではなく、以前よりも上昇のペースが鈍くなっているというだけでした。

 国立統計経済研究所は、主な原因は「エネルギー価格の明らかな減速」にあると説明しており、エネルギーコストは、2023年8月1日から適用された規制電力価格の値上げにより、1年前には7%近く跳ね上がっていたのに対し、2024年8月には1年間でわずか0.5%しか上昇しなかったことによるもの」としています。

 いずれにしても、上昇率が緩やかになったというだけで上昇し続けていることは確か・・一度、上がった値段が下がるということはまずないのがふつうなのです・・まったく甘かった・・。

 以前、ある有名なフランスのブランドの時計部門の人が「スイスフランが上昇したために、値上げをします」と説明していたので(フランスのブランドでも時計はスイスで作っているため)、「それなら、スイスフランが下がったら、値下げするんですか?」と半分嫌みを込めて聞いてみたら、その人は苦笑しながら、「いや、値下げはしません」・・と。

 今回の「インフレ率、2%を下回る・・」のニュースを見て、そんな話を思い出しました。

 残念ながら、一端、上がった物価は戻らないのがふつうなのです。

 しかし、国立統計経済研究所によると、石油製品と工業製品の価格は下落しているそうで、エネルギー価格とかなり近い部門では、価格が下がっているようです。

 これに比べて、著しく上昇したのは、サービスの価格で、1 年間で 3.1%も上昇。これにはパリオリンピックが大きく関わっており、ホテルや交通機関の価格の一時的な値上げがかなり響いていると言われています。

 ホテルや交通機関の値上げならば、3.1%どころじゃなかろーが!と、思うのですが、全体的に、また、年間で平均をとるとこの程度になってしまうのかもしれません。

 これに対して、「一方、家計にとっては、このインフレの上昇率の低下は新鮮な空気の息吹となるはずです。2024年には、賃金上昇率がインフレ率を上回るでしょう!」という楽観的な見方をしている専門家もいないではありません。

 しかし、現在のフランスは、国会の解散と政府の不在によって引き起こされる政治的不確実性が加わり、まことに不透明な近未来にどう考えても、この状態よくないよな~と思うのです。

 普段は、経済問題について、真剣に考えることは、あまりない私でも、生活に直結し、またここ数年は特にめまぐるしく変化する状況は無視しきれない感じになっています。


3年ぶりのインフレ率低下


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2024年8月30日金曜日

フリージュの着ぐるみを着る俳優たち

  



 先日のパラリンピックの開会式では、舞台上にもあがり、そのパフォーマンスが思わぬ話題を呼んだりして(残念ながら、テレビでは放映されなかったため、余計におタカラ感が生まれたかも?)、注目された今回のオリンピック・パラリンピックのマスコットキャラクターのフリージュくんたち。

 私は開会式でダンスしているのを見て、「さぞかし暑くてしんどいだろ~な・・」と思って見ていました。

 マスコットキャラクターとして発表された当初は、一体、これのどこが可愛いいのか?と賛否両論だったこのキャラクターも一年の間にすっかり定着、浸透し、ぬいぐるみから、Tシャツや帽子からあらゆるオリンピックグッズに登場し、キャラクターとしては大人気で、街を歩いていても、Tシャツを着ている子どもたちや、グッズを持っている人々を想像以上に多くみかけるようになりました。

 私もなにか記念に一つくらいは欲しいかな?と思って、マグカップを一つだけ買いました。

 しかし、キャラクターグッズだけでなく、パリでは、もう登場すれば、スターなみの人気のこの着ぐるみを着た動くフリージュくんたちはオリンピックでは33体、パラリンピックでは、22体活躍しているそうです。

 私もオリンピックが始まる少しまえに、偶然、シャンゼリゼにいるこのフリージュくんたちに遭遇し、なんだか思いのほか興奮して、一生懸命、追いかけてしまいました。

 このフリージュの着ぐるみを着て活動しているのは、俳優さんたち(男女ともに)なのだそうで、常にマネージャーが同行し、装備やタイミングを管理し、相棒の着替えを指導し、群衆の中を移動し、写真を待つ列を管理しているのだそうです。

 このフリージュを演じていた一人の女優さんは、「当初は批判されましたが、今ではオリンピックの冒険において最も象徴的なキャラクターとなり、人々が遠くにフリージュを見つけると、幸福感に駆られ、誰もが私たちに向かって突進してくるようになりました!」と人々に歓喜を呼び起こしていることに喜びを感じています。

 また、このフリージュの目となり活躍しているマネージャーを務めた青年のミッションは、フリージュに寄り添い、どこにでも目を向け、周囲の観客の流れを管理し、子供を押しつぶさないように、観客の飲み物、食べ物、化粧品で衣装を汚さないように、あるいはフリージュ自身が落ちないように注意することで、大変な体力と緊張を要するものであったと語っています。

 また、彼自身は決して目立ってはいけないわけで、実際、私がフリージュに遭遇したときも、そのような人がそばにいたことは、気が付きませんでした。

 そして、実際の着ぐるみ?は、それほど重くないそうですが、視界と聴覚が低下、目や口を通してメッシュ効果があり、着装した感じはバックパックに似ており、体の周りで膨らませると、それでもかなり堂々としたものになるので、動き回るにはその体積を理解する必要があります。

 暑さに関しては、若い女性は、長時間、振りつけどおりに踊った後は、頻繁に汗をかくとしても、耐えられる程度のものだそうで、これは実際には小さな送風機のおかげで空気で膨らむフェルト生地が使用されているため、内部に大きなスペースが残っているのだそうです。とはいえ、その送風機をもってしても、ある程度は熱がこもるであろう着ぐるみを着るのは楽なことではなかろうに、思わぬ人気ぶりに暑さも厭わない・・そんな感じなのかもしれません。

 空港、駅、各競技大会の会場や、観光スポットなど、ありとあらゆるところに彼らは神出鬼没に登場し、多くの人々から写真撮影を求められています。



 小さな子どもたちは、もちろんのこと、大人の観光客も、皆が彼らと写真に写りたがり、その度にポーズをとって撮影に応じます。中でも、けっこう意外に写真撮影の希望が多かったのは、警察官など警備にあたっていた人々だそうで、「子どもや孫たちのために・・」と写真撮影を求められたそうです。

 このオリンピックを支えた警察官たちもバカンス期間中に働いた記念写真としては、絶好のものだったかもしれません。

 日本だったら、そんな記念写真を撮影していたら、警察官たるものが職務時間中に何ごとだ!などと言いだす人がいそうですが、このおおらかで緩い感じが私は好きです。

 日頃、事件などが起こったりして、警察官の個人情報!などと騒いで、警察官等の撮影は、絶対にいけない!などと言われているものの、意外にも、この警察官たちと写真撮影したがる観光客もいるようで、また、それに嬉しそうに彼らが応じているのも、なんか微笑ましい気もしました。

 この小さなフリジア帽にスポーツを通じてフランス革命の使命を伝えたかったというこのマスコット・・革命なのかはともかく、人気は上々なようです。

 

フリージュの着ぐるみ


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2024年8月29日木曜日

パラリンピックの開会式は晴れ

  


 恥ずかしながら、私はこれまでパラリンピックの開会式というものを見たことがありませんでした。どちらにせよ、見るといってもテレビで見るだけなのですが、それさえも、今回のパラリンピックの開会式は私にとって初めて目にするものでした。

 開会式直前の時間にテレビをつけると、これまでオリンピック仕様だったスポンサーのコマーシャルはあたりまえですが、全てパラリンピック仕様のコマーシャルに切り替わっていて、それぞれのスポンサーのコマーシャルも興味深く拝見しました。

 パラリンピックの開会式当日は、オリンピックの開会式と違って晴天に恵まれたものの、31℃というパリにしたら、けっこうな暑さで、その日にバスに乗って出かけたら、冷房もなくむんむんの暑さで、かなり厳しい暑さでした。

 当日、パラリンピックの開会式のパレードが行われたシャンゼリゼやコンコルド広場近辺には、近寄らなかったので、どの程度の警備であったのかは、わかりませんが、オリンピックの時に比べると、範囲も限られるので、そこまでのことではなかったと思います。

 今回、オリンピックにしてもパラリンピックにしても屋外での開会式にこだわり、セーヌ川上のパレードほどではありませんが、シャンゼリゼの上から下まで歩くというのも、パレードではなくともなかなか時間がかかるものです。

 全体的には、パリ祭の感じに近いので、オープニングにトリコロールの噴煙を撒きながら飛んでいく飛行機の様子がテレビで映ったので、あわてて、窓の外を覗くと、遠くに青、白、赤の噴煙が見えて、任務を終えた8機の飛行機が家の近くを通って帰って行ったので、手を振ってみるという子供じみたことまでしてしまいました。

 選手のパレードは20時から始まって、最後のフランスチームまでが出揃ったのは22時とすでにもう2時間。夜になってもけっこう気温が高いため、オリンピックのマスコットの着ぐるみを着て踊り続けている人などは、さぞかし地獄の暑さで大丈夫かい!とか一人で思いながら、見ていました。

 この選手入場が始まるときに、「アルファべティックフランセーズの順番で入場します」と解説が入ったので、「フランスのアルファベットってなに?」と思ったら、どうやら、国の名前がフランス語名のアルファベット順というこらしいです。

 日本はどちらにしても「J」なので、中盤くらい・・日本は白いコスチュームで品よく、選手たちの表情も穏やかでとても好印象でした。オリンピックの時は、ほぼほぼ一瞬しか映らなかったけど、今度はしっかり見れて良かったです。

 なにせ、パラリンピックの開会式など初めて見たので、パラリンピックも、ものすごくショーアップされている感じが、こういうものだったのか・・と新鮮な気持ちと、オリンピックの開会式のように、また何かやらかすのではないか?とちょっとドキドキしながら見ました。特にパリオリンピック・パラリンピック組織委員会会長が「アムールと革命の国へようこそ!」と挨拶したのですから、なおさらのことです。

 参加している選手をはじめ、周囲のボランティアなどの様子を見るに、オリンピック以上にお祭り感があって、ボランティアの人々も踊り続けながら選手を迎えていたのには、頭が下がる気がしました。

 22時15分くらいにようやくショーのオープニング、それからお偉いさんたち?の挨拶などが続き、それから本格的なショーが始まるのですから、とにかく長い長い・・。

 時間どおりには、いかないところは、むしろ、フランスの通常運転ですが、実際に開会式が終わったのは、予定をかなりオーバーした23時50分頃でした。

 しかし、やはりパリの中心、凱旋門からシャンゼリゼ、コンコルド広場、そしてエッフェル塔までがライトアップされて画角に入る景色は美しく、むしろ、セーヌ川の開会式よりも見やすく、わかりやすかったのではないか?とも思います。

 今回、セレモニーが行われたコンコルド広場のオベリスクがトリコロールをはじめ、様々なライトアップがなされて、こんな風にもなるのか?と新鮮な気がしました。

 式典の終わりにはチュイルリー公園が装飾の一部となり、水盤の照明が点灯し、聖火が点火され、気球が上がっていく様子は幻想的でとても美しかったです。これでようやく終わりかと思ったら、そこからは、コンコルド広場にはまるでディズニーランドの花火みたいな色合いの花火があがりました。

 オリンピックの成功により勢いづいて、パラリンピックチケットの販売は、250万枚のうち200万枚がすでに売れているという状況になっているとかで、このうち20万枚は、9月2日の新学期開始までの期間に学童に割り当てられるそうです。

 合計 165 のテレビ チャンネルがこのイベントを中継する予定になっており、これはパラリンピック史上の最高の記録だそうです。


パラリンピック開会式


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2024年8月28日水曜日

夏のバカンスが終わると・・フランス人は・・

  



 8月も残りわずかとなり、バカンスに出かけたパリジャンたちが戻ってくる・・つまり、メトロも混み始めるし、渋滞も戻ってくる・・と覚悟していたのですが、少しずつは戻ってはいるのでしょうが、まだ閉まっているお店も多いし、いつもほどには、メトロの混雑や道路の渋滞もまだまだ本格的には戻って来ておらず、どうやら、みんなギリギリまでバカンスを楽しむつもりなのだな・・と感じています。

 今年はオリンピックがあったり、まだまだこれからパラリンピックが控えていることもあり、パリジャンのバカンスのとり方もイレギュラーだったとは思いますが、とはいえ、学校が始まり、フランスでは9月からが新年度の開始なので、さすがに9月に入れば、多くの人がパリに戻ってくるのだと思います。

 もう一つ、今年の夏がイレギュラーだったのは、今年はオリンピックのために、観光客が増えるどころか、どうやら減ってしまった感じ(オリンピック関連以外)で、いつもは夏の間、パリジャンがいなくなっても観光客がけっこういる感じなのにもかかわらず、例年のようには、観光客が来なかったことです。

 オリンピックが終わっても、観光客はそれほど戻っておらず、メトロなどの交通機関の値上げもパラリンピックが終わるまでは据え置きで、その他、便乗値上げしているところも多いために嫌われたのだと思っています。

 しかし、オリンピックのときから比べると、異常な警戒状態は緩和され、露天商や路上生活者たちは、パリに戻ってきて、スリや置き引きなどの犯罪集団もパリジャンよりも一足先に戻ってきている感じです。

 夏のバカンスが終わると、皆、仕事に戻りますが、それと同時にまたデモが再開されます。まったく現金なもので、通常は、毎週のようにどこかで必ずデモをやっているのに、バカンス期間になると、デモもぴったりと止まり、デモもバカンスに入ります。

 バカンスの終わりを告げるのは、デモの再開でもあり、デモの予定がさっそく告知されたりして、ああ~もうバカンスも終わりだな~という気分になります。

 例外的にヘルスパスがないとどこへも行けないことになった2021年の夏はこのヘルスパス(ワクチンパスポート)反対のデモがバカンス中にも続いたことがありましたが、この年は例外で、通常はフランスのデモはバカンスで休みます。

 昨日、ニュースを見ていたら、燃料費が若干、値下げになるという話をしていて、ガソリンを入れながら、インタビューに答えていた若者が、ガソリン価格が下がることについて、どう思いますか?と聞かれていて、彼は開口一番、「もちろんうれしい!もうすぐノエルなので、少しでも予算ができて助かります!」などと言っているのを聞いて、「ああ~そうそう!フランス人は夏のバカンスが終わると、「もうすぐノエル」のマインドになるんだな・・」と苦笑してしまいました。

 彼らにとって一番大切なイベントは夏のバカンス、そして次はノエルなのですが、いみじくも、この青年は、まだ8月の最終週から、テレビのインタビューに答えて「もうすぐノエルだから・・」などと言っちゃうところが、なんか、素直で可愛いなぁ~と思ったのです。


夏のバカンスの終わり デモ ノエル


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2024年8月27日火曜日

テレグラム社長逮捕報道で疑問に思うこと

  


 このニュースを私が知ったのは、マクロン大統領のXのポストで、「テレグラム社長の逮捕は、進行中の法的捜査の一環として行われたものであって、これは決して政治的な決定によるものではありません」というもので、「えっ?テレグラム社長の逮捕ってなになに?」というか、「テレグラム社長って誰だれ?」とこの件に関しての報道を探し始めました。

 今回の主人公?テレグラム社長は、パーヴェル・ドゥーロフという若手の起業家で、テレグラムのメッセージングの創始者であるロシアの億万長者のようです。

 先週末にアシスタントとボディーガードとともにアゼルバイジャンへから帰国した39歳の起業家は、フランス憲兵隊に伴われて、フランス警察による取り調べのため、ル・ブルジェ空港で逮捕されたとのことです。

 世界中に視聴者を持つソーシャルネットワークの管理者の逮捕は、フランスでは初めてのことで、彼が逮捕されたのがテレグラム社の社長としてだったのか、個人として逮捕されたのかは明らかにされていないものの、しかし、フランス当局には、彼のプラットフォームで盛んに行われている違法行為に関連するいくつかの捜査で彼を尋問する理由があると言われています。

 テレグラムは新しい会社ですが、これまでにもフランスでは数々の話題に上がってきました。例えば、バタクラン攻撃の際、テロリストが攻撃の準備のためにテレグラムで通信していたことが発覚したときなどは、かなり話題になりました。

 新しい会社ながら、注目されるのは、その躍進の速さで、あっという間にこのプラットフォームには現在、世界中で約10億人のユーザーがいると言われており、ヨーロッパでは4,100万人がこのプラットフォームを利用しており、来年にはニューヨーク証券取引所でのIPOを計画しているそうです。

 彼はいわゆる自称リバタリアンであり、最大限主義的な意味での表現の自由の支持者であり、検閲に反対し、個人のプライバシーの権利を擁護し、読まれずにメッセージを交換する自由を保証することを目的としてこのテレグラムのメッセージングサービスを行っています。当然、これが麻薬密売、児童ポルノ画像、リベンジポルノ、フェイクニュース、武器販売、テロリズム、詐欺などのさまざまな違法行為にとって重要な通信手段にもなってしまい、国家間、特に戦時下にある現在、双方の通信手段としても利用されているようで、彼の逮捕が政治がらみのものではないか?という疑問が湧いたのもわからないではありません。

 しかし、彼の逮捕は未成年者保護局からの捜索令状の対象であるとも言われており、同組織はプラットフォーム上での児童ポルノコンテンツの拡散を懸念して、2023年から調整していた予備調査により組織犯罪、詐欺、テロリズムに対する謝罪、サイバーハラスメントなどのいくつかの犯罪に対する広範な司法調査が開始されることになったという話もあります。

 一方で、彼の逮捕で問題になっている一面というのが私は、気になっています。彼は、サンクトペテルブルク生まれのロシア人でありながら、彼は3年前にフランス国籍を取得しています。ここまでならば、そこまで不思議な話ではないのですが、彼のフランスでの国籍取得名は、ポール・デュ・ローヴという名前で、しかも不可解な条件のもとであると言われている点です。

 しかし、調べてみると、フランス国籍を申請する際に、正当な理由があれば、出生証明書に記載されている姓名の変更をも申請できることになっています。その正当な理由の中には、侮蔑的であると認識されているため、受け入れるのが難しい姓名である場合、また、メディアで有名になり、悪い評判を持っている場合・・というのもあります。

 しかしながら、彼のようなケースの場合、結局は、元の名前で出ているわけで、この名前を変えて国籍申請した意味がよくわかりません。

 いずれにせよ、今回の彼の逮捕は、たとえハイテク億万長者であっても、法を超越する者はいないという見せしめ的なものもあるのではないか?という声もあります。


テレグラム社長逮捕


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2024年8月26日月曜日

日本を褒めてくれるのは、いつでも嬉しい

  

 

 先日、買い物から帰ってきたら、家のエレベーターの入り口あたりで、アパートの住民の女性に呼び止められました。

 彼女は同じアパートの住民の女性で、顔見知りとはいえ、顔を顔を合わせれば、挨拶をする程度で、実際に彼女が何階に住んでいるのかも、どんな家族構成なのかもよく知らないような感じなので、特にアパートで何か問題があったりした場合(そんなことも、まずないけど・・)くらいしか話をすることは、ありません。

 一応、ああ同じアパートに住んでいる女性だな・・という認識はあるという程度です。

 私が現在、住んでいるアパートは、私たちが引っ越してきて以来、20年くらいの間に、考えてみれば、ずいぶん住民もいつの間にか入れ替わって、わりと親しくしていた隣人のおばさんも引っ越してしまったし、あとは、たまに会えば、少し話をするのは、娘と同じ幼稚園に通っていた男の子のママくらいなもので、最近では、同じアパートの住民の人とは顔を合わせれば、挨拶する程度になっています。

 なので、誰かに呼び止められることなど、滅多にあるものではないので、先日、ちょっと食い気味に彼女に呼び止められたときには、「えっ?なんかあったの?」とドッキリしたのです。

 なんか揉め事?と思った私に彼女は、「あなた日本人ですよね・・」と・・。「実は私の息子が今、日本に行っていて(旅行で)、とにかく日本が素晴らしい!って大感激しているのよ・・!」と。

 パンデミック前には、日本行きの飛行機に乗ると、その大半はフランス人だったくらい、日本に行く(観光で)人が多くて、その頃には、日本に行ってみた感想を述べてくれ、日本を大絶賛してくれる人にけっこう出会う機会もあったのですが、ここのところ、最近は、あまりそんな話を耳にすることも少なくなったので、なんか、この日本を褒めてくれる感じが久しぶりな気がしました。

 彼女の息子さんは夏休みのバカンスでアジアを旅行しているらしく、台湾に行った後に日本に行って、もう、とにかく、何もかもが近代的で、きれいで清潔だし、メトロはピカピカだしパリよりもずっときれいで、きちんとしていて、人は親切だし・・食べ物は美味しいし、安いし・・色々な種類のものがあって・・!」と、まるで自分が行ってきたみたいに興奮して、その日本の素晴らしさに触れて感激している様子を私に伝えてくれました。

 その彼女が私に伝えてくれる一つ一つの、人々が親切とか、清潔、近代的とかいうことに、一つ一つ、「そうだろそうだろ・・」と内心思いつつ、しかも、「パリよりも・・」、とつくところで、さらに大きく頷きたくなるのでした。

 彼女の息子さんは、今、東京にいて、この後、京都などもまわるということで、今さらのなから、フランス人にとって、日本は非常に近代的な面と歴史が共存するフランスとは全くの異文化を感じられる魅力的な国であったということを思い出させてくれた気がしました。

 おそらく多くの日本人がフランスを異文化と感じる以上に実際に日本に行ったフランス人が感じる日本のインパクトはすごいんだろうな・・と思います。

 最近は、オリンピックのおかげ?もあって、パリのメトロもずいぶんきれいな路線などもできましたが、そうでないところも、まだまだ多く残っていて、未だに手動ドアのメトロなんかもあって、それはそれでよいとは思いつつ、清潔さという面から言えば、清潔であったのは、オリンピックの一時だけで、その時でさえも、むしろ、あまりの清潔さにパリジャンがびっくりしていたくらいです。

 東京は、人の多さも桁違いで、にもかかわらずあの清潔さを保ち続け、また、どこでも人が親切に対応してくれる奇跡のような街なのです。それでも、東京で生まれ育ち、今でも定期的に日本に行っている私などからしたら、最近、なんかトゲトゲしている感じの人が増えたな・・などと思うこともあるのですが、それでも、パリと比べれば桁違いに皆、感じよくて親切で、清潔で安全できちんとしていて・・と、あらためて、フランス人から賛辞を受けて、なんかやっぱり、日本って良い国なんだな・・となんか、嬉しくなってしまったのでした。

 逆に考えれば、そんないつもみんなが無意識にあたりまえのことと意識していない、親切で感じよい日本の中で生活している日本の人々がパリに来たら、「フランス人ってほんと感じ悪い!」と思うのも当然といえば、当然かもしれません。

 何をきっかけに彼女の息子さんが日本に興味を持ったのかは聞くのを忘れましたが、日本語の勉強もしているそうで、もしかしたら?マンガやアニメ?がきっかけなのかな?と思ったりもしました。

 うちの娘も今、日本に住んでいるの・・と言いながら、なんとなく、彼女との距離が少しだけ縮まったような気がしたのでした。


 

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2024年8月25日日曜日

ラ・グラン・モットのシナゴーグでのテロ 深刻化する反ユダヤ主義

  


 ラ・グランド・モット(モンペリエとニームの間あたりの都市)のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の前で2台の車両が放火され、うち1台の車には、ガスボンベが入っていたため、車は爆発炎上するという惨事になりました。

 内務相は、フランスの全知事に対し、「ユダヤ教の礼拝所の前での警察の静的な駐留を直ちに強化する」よう要請し、国家対テロ検察局はテロ暗殺未遂事件の捜査を開始しました。

 ガブリエル・アタル氏(首相を辞任しているものの、次期首相が未だ定まらないために、任務を留任中)はこの事件を「反ユダヤ主義的攻撃」と表現し、「私たちは絶対的な悲劇を免れた」と宣言したものの、「この襲撃者からは決意が極めて強いことが感じられる」と語りました。

 「もし当時シナゴーグが礼拝者でいっぱいだったら、最初の数分で人々が建物から降りてきて、おそらく多くの犠牲者が出ていただろう」とも付け加えました。

 しかし、思うに、襲撃者はむしろ、人の集まっていない時間帯を選んで警告の意味で爆発を起こしたとも考えられ、絶対的な悲劇を免れたのではなく、襲撃者は、むしろ、そのように計画をしたのではないかという気がしないこともありません。

 車内のガスシリンダーが爆発した衝撃で突き飛ばされ、地面に投げ飛ばされた市の警察官1人が負傷し、モンペリエ大学病院の緊急治療室に搬送されていますが、生命に別条はなく、夕方には帰宅できたと言われていますが、近隣住民の証言によれば、建物が倒壊するのかと思ったほどの爆発と火災だったようで、犠牲者が出ていないとはいえ、衝撃の大きさは計り知れません。

 容疑者は指名手配されていますが、パレスチナ国旗を掲げている姿が監視カメラで撮影されており、明らかに反ユダヤ主義の抗議の意味を明確にした攻撃であることは、明白です。

 ここのところ、次期首相をはじめ、選挙後の内閣がなかなか組織されずに大統領と各党の間で不穏なムードが続いていますが、この反ユダヤ主義行為に対する非難は全会一致であり、左から右まで、政治家全員が列をなして、深くショックを受けたユダヤ人コミュニティに対する今回の攻撃を非難しています。

 このように、即刻の対応が必用な事件が次々と起こるのですから、一刻も早く、内閣はしっかり結束してほしいものです。

 それにしても、反ユダヤ主義の事件は明らかに増加しているようで、つい先日もパリのメトロの中で暴言を浴びた女性が危険を感じて、告訴状を提出したことから、大小併せて、反ユダヤ主義の事件がかなり増加していることが公になったばかり。

 今回の事件は、その中でもテロとして捜査が開始される規模の大きな事件が起こってしまったわけで、今から考えれば、オリンピックの時のここまでする?という警戒ぶりや、イスラエルの選手団だけは、24時間体制で警備がついていたという話などにも頷けてしまうような気がします。

 指名手配されている今回の事件の容疑者は、現在のところ逮捕されていませんが、たとえ、この人物が逮捕されたとしても、その反ユダヤ主義の裾野はかなり広いものと思わずにはいられません。


反ユダヤ主義テロ


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2024年8月24日土曜日

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題

  


 Acting for the Environmental (APE) (住みやすい地球を求める声を広めることを目的として環境保護を支持する市民動員のためのフランスの団体)が行った調査結果によると、現在、販売されているコカ・コーラ オリジナルの 1 リットルボトルとシュウェップス インディアン トニックの 1.5 リットルボトルから6種類のプラスチックの微粒子が発見されたことを公表し、消費者が無意識にマイクロプラスチックを飲むことは容認できないと考えており、「これは厳格に規制されていないため、フランス当局はこの問題を取り上げ、公衆衛生と環境保護の優先課題とすべきだ」と訴えています。

 このActing for the Environmental (APE)という協会は、協会と市民の大規模なネットワークを結集してキャンペーンを主導することで、政治的および経済的な意思決定者に圧力をかけています。活動の独立性を維持するため、公的機関からの資金提供を一切拒否しています。

 今回、この協会が挙げているのは、ポリエチレン (PE)、ポリエチレン テレフタレート (PET)、ポリ塩化ビニル (PVC) に加えて、少量のポリアミド (PA)、ポリプロピレン (PP)、ポリウレタン (PU) も含まれており、メーカーが飲料と接触するポリマーは2種類のみと発表しているのに対して、6種類の異なるポリマーが特定されたことに警鐘を鳴らしているのです。

 そして、ボトルの開け閉めの回数が増えるほど、ボトルに含まれるプラスチックの量が増えることが確認されています。

 さらには、ボトルに混入されているのはプラスチックの微粒子だけではなく、微粒子より小さいナノ粒子が大量に存在することを指摘。このナノ粒子は非常に不規則な輪郭を持ち、非常に大きな総表面積を持ちます。これにより、いくつかのポリマーの効果が組み合わされて、他の粒子との相互作用が促進される可能性があります。さらに深刻なのは、摂取後にヒトの粘膜の細胞との接触と細胞への取り込みを促進する可能性があることを伝えています。

 これに対して、コカ・コーラ社は、自社の安全性と品質基準が「業界で最も厳格なものの一つ」であり、製品の安全性を保証していると断言。 「当社では、飲料の組成に使用される水から不純物を除去するために高度な濾過システムを使用しています」とただちに反論しています。

 シュウェップスブランドもまた、同社が市場に出すすべてのパッケージは、PETプラスチック素材を含めて「フランスとヨーロッパの保健当局が定める厳格な食品グレードの品質要件を満たしている」、さらには、問題は炭酸飲料だけに限定されるものではないとし、「プラスチックは、飲料水、果物、野菜から、あるいは合成繊維の衣服を着ているときでも、日常的に摂取されており、毎週、一人当たり 0.1 g から 5 g を摂取しますが、これは銀行カード 1 枚分に相当する」と開き直っているかの回答もしていますが、同時に、微粒子の健康への影響はまだ十分に解明されていないとも説明しています。

 話は逸れますが、コカ・コーラはともかく、シュウェップスというのは、不思議な会社で、アメリカでは、ドクターペッパーが、また、イギリス、アイルランド、ブラジル、香港、ニュージーランド、ルーマニア、日本ではコカ・コーラ社が、フランスでは、なんとサントリーグループ・オランジーナ・シュウェップス社が販売しているという不思議な会社です。

 今年の初め頃にネスレグループのミネラルウォーターが違法精製水を販売していたということが明らかになり、大スキャンダルとなったことがありましたが、フランスでは「水の次はソーダかよ!」と騒ぎになっています。

 個人的には、これらのソーダ類は飲まないので、関係ないといえば関係ないのですが、プラスチックボトルのキャップの開け閉めにより、よりプラスチックの微粒子が多く混入するというのなら、なにもプラスチックボトルに入っているのは、コカ・コーラやシュウェップスだけではないわけで、なんなら、問題はコカ・コーラやシュウェップスの飲料そのものよりもプラスチックボトルに問題があるのではないか?と思わないでもありません。

 

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題


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2024年8月23日金曜日

アラン・ドロンは日本での驚異的な人気を誇りにしていた

  


 アランドロンの訃報が聞こえてきて以来、アランドロンに関する逸話が続々と語られているなか、アランドロンが日本で驚異的な人気があったということについての話があったので、少し興味深い気がして読みました。

 実のところ、アランドロンの全盛期、日本で最も人気のあった頃を私は知らないのですが、それでも、なんとなく美形の代名詞のように語られている感じは知っている・・それくらいだったので、当時の日本でのアランドロン人気について、彼の没後にフランスで語られているのを見て知るという、不思議な感じでした。

 私の記憶にはなんとなく彼の全盛期のイメージの面影があったので、フランスに来たばかりの頃、初めてフランスのテレビ番組(なんかのトークショーのような番組だったと思う)で彼を見かけて、あまりの変貌ぶりに驚いた記憶がありますが、それも20年くらい前の話、今から考えれば、あの時は、まだまだ良い方だったのです。

 ある、フランスの番組でのインタビューで、「あなたは、世界的なスターですが、とりわけ日本では驚異的な人気があることについてどう思いますか?」などと尋ねられたりもしていて、彼はフランスでも日本で驚異的な人気を得ていることが有名であったことがうかがえます。

 フランスでは、一時、彼はフランスよりも日本での方が人気があると言われることもあったようで、また、彼自身も自分を「日本における生きる神」のような存在であることを公言することを好んでいたとも言われています。

 彼自身はインタビューの中で、自分が日本で人気がある理由について、「日本人にはある種の白人に対する憧憬のようなものがあり、それに自分の美貌と理想的な男性像、映画の成功が重なった結果であり、人々は私の手に触れるだけで、私が指にキスするだけで、大きな喜びを感じている・・」というようなことを語っています。

 これだけ冷静に聞くと、ちょっと小馬鹿にされているというか、鼻もちならない嫌みな感じがしないでもありませんが、彼はまた、映画「太陽がいっぱい」の成功によって、その容姿と神秘的で野心的な側面だけでなく、哀しく孤独で冷笑的でもある暗い側面が、敗者を励ますことを好む日本の観客にとって非常に魅力的に映った結果でもあると、日本人の国民性も考慮した分析もしています。

 彼は日本での人気を映画の興行だけではなく、ビジネスとしても充分に活用し、1970代には、日本で販売するフレンチ シックの大使のような存在となり、日本のメンズスーツブランド・ダーバンやマツダ車のCMに登場し、後には、自身のブランド「アラン・ドロン」を立ち上げ、ファッションアイテムやアクセサリーを自分の名前で販売しました。

 彼は度々、訪日していますが、当初は映画の宣伝のためであったものが、のちには、彼自身の人気を日本で維持し続けるために、また彼自身のブランドを盛り立てるために、テレビのバラエティ番組や社交イベントに参加、1980年代と1990年代には、日本の旅行会社が企画したアランドロンも出席するパリでの晩餐会​​ツアーなどもあり、有料オプションとして、花束を贈ったり、一緒に記念写真を撮ったりできるサービスもあり、これには、5万人以上の日本人が参加したと言われています。

 当時は日本も景気が上向きの時代で、彼の人気は日本のそんな時代にハマったのだなぁと思います。

 彼の没後、彼の子どもたちの間の諍いの種の大きな原因の一つであると思われる彼の巨額な遺産の詳細については、公表されないながらも、相当なものであると思われますが、彼が築いた財産の一部は確実に日本で稼いだ部分も大きいのではないか?と思ったりもします。


アランドロンと日本


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2024年8月22日木曜日

新千歳空港でハサミ紛失のための欠航・遅延についてのフランスの報道

 


 「日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺した!」というニュースの見出しに驚きました。というより、このことがフランスで複数の報道機関で取り上げられていることに驚いたのです。

 「先週末、日本の新千歳空港の国内線の出発待合室にある店舗からハサミが紛失し、数時間フライトが中断されました。合計 36 便が欠航し、200 便以上が遅延しました。日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺したのです」と報道内容の大枠はこんな感じです。

 この事件により、空港では数時間にわたる捜索が行われ、その結果、36便が欠航し、201便が遅延し、出発ラウンジの乗客は再び保安検査を受けることを強制されたと報じています。

 考えてみれば、空港では、国内線、国際線に関わらず、保安検査場で手荷物や金属探知機などを通されて、最近では時には、靴まで脱ぐように命じられたりすることもあったりもして、窮屈な思いをすることも多いですが、一方、空港内にある店舗やレストランなどでは、ハサミだって、ナイフだってあるのですから、この新千歳空港の保安当局が懸念したように、テロリストがこれらのハサミを入手し、飛行機内で武器として使用するという可能性は、考えられないこともない話ではあります。

 飛行機が定刻どおりに出ないことは、むしろ、日本よりも海外の方が多いような印象がありますが、今回の新千歳空港の件のような理由でフライトが遅延、またはキャンセルになったという話は聞いたことがありません。

 この事件?の発端は、出発待合室にある店舗から「ハサミ紛失」の警報が発せられたことによるものだと言われていますが、そもそも、日本の空港の店舗には、ハサミ等の凶器になり得るものを紛失した場合には、届け出なければならないというマニュアルがあるのでしょうか? だとしたら、かなり徹底した管理体制をとっているところは、さすがに日本、すごいな・・と思うのですが、おそらく、フランスなどの空港内の店舗でもし同様の紛失事件が起こったとしても、そんなに大騒ぎをしないのではないか?というより、そんなに厳重に管理をしていないのではないか?と思ってしまいます。

 だからこそ、今回の新千歳空港の事件がこんなに報道されているのだろうと思うし、それが良いとか、悪いとかのジャッジは報道の中ではしていません。

 むしろ、今どき、ハイジャックのような割に合いそうもないことをやらかすことも少なかろうと思う反面、テロや諍いが世界中で起こっているなか、まったく危険性がないとも言えないし、今回の報道では、むしろ、その手があったか!と思いついてしまった人がいそうな気もしないでもありません。

 空港運営者は声明で「店舗従業員の適切な使用、保管、管理体制の欠如が原因で事件が発生したと認識している」とし、謝罪したそうですが、この夏休みの最も多くの人が交通機関を利用する時期に、フライトをキャンセルされた人々からしたら、お金を返してもらうだけではおさまりのつかない思いをしているのではないか?と思います。

 結局、ハサミは、翌日、同店舗内で見つかったそうですが、大した人騒がせなことです。非難ごうごうなことはもちろんですが、一方では、 「乗客として、安全を確保するためにこれほど厳格な措置を取ってくれていることに感謝しています」と空港の判断は正しかったと支持する声も上がっているとのこと。

 次回、空港に行ったら、保安検査を過ぎたところにある店舗にハサミなどの凶器になりうるものはあるかどうか?探してしまいそうです。


新千歳空港


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2024年8月21日水曜日

パラリンピック開会式はコンコルド広場で・・パレードはシャンゼリゼ

 


 ついこの間、シャンゼリゼのあたりに行った時、オリンピックのフラグなどは、そのままだし、オフィシャルグッズショップなども、まだ相変わらず、盛況で、まだパラリンピックもあるからなんだろうな・・とぼんやりと思っていました。

 そして、凱旋門の脇あたりが工事中で、なにやら、ステージのようなものを作っている模様で、あらら・・パリ祭も終わったし、オリンピックも終わったし、パリ祭もとっくに終わっているし、こんなところにステージを作って何をやるんだろう?と思っていました。

 帰ってきて、調べてみたら、どうやらパラリンピックの開会式はコンコルド広場が会場となり、選手たちは、シャンゼリゼをパレードするんだそうです。

 開会式会場がコンコルド広場で、パレードがシャンゼリゼとなれば、まさにパリ祭の時のような感じが予想され、選手たちは、シャンゼリゼをおりてきて、コンコルド広場に集結する感じになると思われます。

 この間、シャンゼリゼからコンコルド広場の方を眺めたら、その向こうにあるチュイルリー公園のオリンピック聖火のために設置された気球がまだ、そのままになっていて、あれ?あの気球は、このまま記念碑のようにずっと据え置きになるのかな?などと思っていましたが、どうやらパラリンピックのためのようです。

 でも、シャンゼリゼからも見える光り輝く気球は美しく、またチュイルリー公園の方から見ても気球の向こうにシャンゼリゼ、凱旋門が見える景色はなかなか幻想的で美しいので、このままずっと残したら、パリの名所のひとつになるのでは?とも思います。

 夏のパラリンピックをパリで行うのは初めてのことだそうで、このパラリンピックの開会式にもまた、付加価値をアピールしている感があり、シャンゼリゼ通りとチュイルリー公園の間にあり、国会議事堂やグラン パレのすぐ近くにあるパリ最大の広場であるコンコルド広場、フランスの歴史において重要な場所を選び、歴史的、文化的な意味付けを持たせています。


 また、スタジアムの中ではなく、もっと開かれたオープンスペースを選んでいるというところを強調しています。そういえば、早々に取り付けられていた五輪のマークはエッフェル塔、パラリンピックのマークは凱旋門に取り付けられていたのは、こういうことだったんだと今さらのように思います。


    


 パラリンピックは8月28日から9月8日まで、開会式は28日の20時から23時までというまたまた長時間です。

 そもそも、オリンピックの開会式をこの場所にしても良かったのではないか?と思わないでもありませんが、また、どんな開会式を見せてくれるのか楽しみです。

 この開会式のチケット・・いくらくらいなのかな?と思ったら、なんと450ユーロから700ユーロ(約7万3千円から11万5千円程度)ということで、なかなかなお値段のようです。


パラリンピック開会式


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2024年8月20日火曜日

戻ってきたRATP(パリ交通公団)の検札官とバスのチケット

  


 パリオリンピック期間中は、 パリ市内のバスやメトロで全くチケットのコントロールの検札官の集団を見かけることはありませんでした。おそらく、オリンピックのための駅の警備や案内係等のために多くの人員を割かなければならなかったのと、混雑時の混乱を避けるためではなかったかと思われます。

 パリオリンピックの開会式の一週間ほど前から、パリのバスやメトロの料金は、通常の倍近くに値上がりしましたが(月額、年額のNavigo(定期券のようなもの)購入済みの場合を除く)、このオリンピック料金は、オリンピックが終わった現在もまだ続いています。

 パラリンピックを控えているということもあるのでしょうが、「オリンピックが終わって、パラリンピックが始まるまでの期間も値上げしたままなのは、酷いではないか!どういうことになってるんだ!」という声も上がっているようですが、技術的な問題を理由に価格は元に戻っていません。

 私は、Navigo(定期券のようなもの)を持っているので、この値上げの影響は受けていないのですが、オリンピック期間中のことを考えれば、この期間は駅が閉鎖されていたり、迂回を余儀なくされたりと、通常よりはずっと不便で、これでいつもの2倍の料金のチケットを購入しなければならない人々は気の毒だな・・と思っていました。

 現在は、未だ閉鎖されている駅もあるものの、私がよく利用するバスなどの迂回経路などは元どおりになり、昨日、バスに乗ったら、久しぶりにコントロールと呼ばれる検札官が乗っていたのでビックリしました。

 そもそも日本(東京)のバスには検札なんていうものはないわけで、皆、入口から乗る時に運転手さんがチェックして済むわけなのに、パリではみんなが入口から乗るとは限らないし、そのうえ、入口から乗っても、平気でチケットなしに乗って行く人までいるからこういうことが必用になるというところなどは、日本とは民度が違うと言わざるを得ません。

 運転手さんの方も注意をしようものなら、逆ギレされてボコボコにされる・・なんてことも無きにしも非ずなわけなので、多くの場合は、この逆ギレされないように口で注意せずに、あらかじめ録音されたものを随時、流すというケースが多いような気がします。

 昨日は、どういうわけか、その検札官たちは、バスの入り口付近にいたので、もし、チケットを持っていない人がいれば、その場で何食わぬ顔をして、運転手さんからチケットを買えばよいので、なんだかあんまり意味がない?ような気もしたのですが、そこに乗ってきた小さい旅行用のキャリーバッグを持った明らかに観光客らしき子連れの女性がチケットを買おうとして、運転手さんに10ユーロ札を出したら、お釣りがないと言われていて、小銭がないなら、ネットで買ってくださいと言われて、苦労していました。

 バスに乗るときにその場で運転手さんからチケットを買っている人というのは、時々、見かけるのですが、お釣りがないと断られているのは初めて見て、観光客相手にネットで買えというのは、そりゃないでしょ!いつもの倍額取ってるのに・・この冷たい対応は何なの?と思ったわけです。お釣りを用意していないのは、明らかに運転手さんの不備なのに、申し訳ないという感じは微塵もなしです。

 観光客の場合、必ずしもネット環境が整った携帯を持っているとも限らないわけで、私がもし、外国で言葉もよくわからない国でそんなことを言われたら、どうしよう?と思ってしまうと思うのです。

 こういうことがあるから、パリは感じが悪い!と言われてしまうのだろう・・と思った次第です。

 現在はまだパリはいつもよりも空いているので、バスもメトロもあまり混雑することもなく、駅などもオリンピックの余韻?でまだ清潔さを保っているので、やっぱり今の季節はよいな・・などと思うのですが、やっぱりところどころで、こういう場面に出会うのがパリ・・だって、カード払いもできなくて、お釣りを用意しないで何かを売るって、ちょっとあり得ないことです。

 駅ならばともかく、バスの場合は、チケット売り場がバス停にあるわけでもないのですから、やっぱり酷い話です。

 こうして観光客の立場にたってみれば、やっぱりまだまだパリには、困ったところがけっこうあるのかもしれないな・・と思った日でした。


パリのメトロとバス


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2024年8月19日月曜日

アラン・ドロンの訃報 「サムライは死んだ・・」

 

         


 ここ数年、アラン・ドロンについては、彼の子どもたちどうしの家族のいざこざばかり(父親の治療をめぐって弁護士を介して衝突したりしていた様子)が大きく報じられてきました。

 本当のところの真相はわかりませんが、かなり彼自身がすでに心身ともに正常な状態ではなかったようで、最後には彼の財産等も含めて、司法監督下におかれていました。

 彼がフランスの映画界における偉大な存在であることは当然、知っていましたが、その度に流れる、彼が公に姿を現した2019年のカンヌ映画祭の名誉パルム賞を受賞した時の様子には、すでにかなり痛々しい印象を受けました。

 子どもたちが彼の人生の最後の数年に寄り添ったパートナーを追い出し、その後は子供たちの間で諍いを起こす様子は、カンヌ映画祭で見た痛々しい彼の様子を考えるに悲惨としか言いようのない感じがしていました。

 死の8か月前には、彼は後見判事によって司法的保護下に置かれており、この措置は春に「強化保佐権」に変更され、財産管理の完全な自由を剥奪され、自身の医療についてのみ一定の決定を下すことを認める追加措置となるというドロドロ劇にまで突入していました。

 昨日、彼の訃報を知ったのは、朝、Xのタイムラインでしたが、それを見て、不謹慎ではありますが、一瞬、ようやく自由になれたのだな・・と思ってしまったくらいでした。

 彼がフランスの映画界における大スターであることはわかっていましたが、それにしても、その日のXのトレンドは1日中、彼がダントツ1位、フランスの全てのテレビ局は大幅にスケジュールを変更し、特番を組み、もう彼の訃報と彼の功績を振り返る映像で溢れかえり、20時のニュースもほぼ彼のニュースに終始したくらいでした。

 彼は享年88歳、フランス映画の黄金時代を担ってきた国民的だけではなく、世界的スターで、考えてみれば、他のメディアがあまりなかった時代の彼のような存在は、もう今後、生まれ辛くなってくるのかもしれないと思うと、アラン・ドロンはフランス最後の世界的大スターであったと言えるかもしれません。

 彼に関する報道は、現在、溢れかえっていますが、そのどれもが長いこと長いこと・・。彼の死は、日常から饒舌なフランス人をさらに饒舌にさせるようなエモーションを巻き起こすほどの存在であったことに、あらためて驚いています。

 もちろん、私も日本にいた頃から、詳しくはありませんでしたが、一応、名前と顔が一致するくらいの認識はあり、とにかくハンサムな男性の代名詞のような感じでもあり、実際に美しく、逆に整いすぎていて、むしろ現実感がないような感じがしていました。

 日本人にとって、まだフランスが今よりももっともっと遠い存在であった頃、フランス人の男性はみんなアラン・ドロンみたいなハンサム・・そんなイメージがあったかもしれません。実際に世界的に人気があったアラン・ドロンですが、特に日本ではその人気がすさまじかったという報道もあり、また彼自身にもその自覚があったそうで、彼の訃報を世界中が悼んでいるという映像の一部には、日本での一般市民に向けたインタビューまで報道されていて、「昔、若い頃は彼に似ていると言われたことがある・・」などと答えている男性がいて、思わず吹き出してしまいました。(だって全然、似てない)

 彼の生い立ちから、90本近い彼の出演した作品を振り返る映像が一日中、テレビでは流れていますが、彼の生い立ちは決して裕福ではなく、4歳で両親が離婚してからは、刑務所の看守であった里親に預けられていた時期があり、彼の遊び場は、フレネス刑務所の中庭であった・・とか、「私が本当に幸せだったのは、軍隊にいた時だけだ・・」と語っていたり、美しく整った顔立ちにどこか哀愁を感じさせる影のような部分は、そんなところだったのかもしれない・・と思ったりもしました。

 彼は、人生の終盤に自分の最期については、かなり具体的に考えていたようでもあり、50年以上も所有し続けたロワレ県ドゥーシーにあるブリュレリーの邸宅には、両親のお墓とともに自分を埋葬してもらう場所まで用意しており、行政手続きも取っています。

 もうずいぶん前のインタビューにおいて、「自分が死んだら、そこで、やっと私たち親子は一緒にいられるようになる・・」と語っている場面もありました。

 また、自分自身が亡くなった場合の訃報のタイトルは?という、なんとも大胆な質問に対しては、「サムライは死んだ・・」がよい・・とあっさり答えて周囲を納得させたりもしていました。

 彼の訃報は、「ドゥーシーの自宅で、3人の子供たちと家族に見守られながら安らかに亡くなりました」という子どもたちと愛犬の連名でプレスリリースされました。

 その人の存在の大きさというものは、生前には計り知れないものなのだと、今回も痛感しましたが、フランスでは、彼の訃報は、近来、稀に見る大きな扱いです。


アラン・ドロンの訃報


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2024年8月18日日曜日

WHOが最高レベルの世界的警戒を発令した今回のサル痘はどのくらい危険なのか?

  


 数日前にWHO(世界保健機構)が「サル痘」に関する最高レベルの世界的警戒を発令したというニュースは聞いていました。しかし、まあ、そのうちおさまるでしょう・・と、正直、あまり関係ないような感じもしていて、そのままスルーしていました。

 ところが、このサル痘の世界的流行のニュースはフランスでは、けっこう引き続き報道し続けていて、なんだか不穏な気がしてきました。そもそも毎日毎日、いくらでもあるニュースの中で、特にテレビのニュースの時間枠は限られており、そのニュースに毎日のように食い込んでくること自体、ふつうの話ではありません。

 今は、バカンス中で多くの人々が世界中、あちこちの国を行き来することもあり、このような感染症が拡大する危険性は高いかもしれません。

 特にオリンピックの後、パラリンピックを控えているフランスにとっては、まだまだ世界中から人が集まる場所でもあり、特に警戒しなければならないことなのかもしれません。

 サル痘は2022年にも流行し、その後、今年、再流行の波を迎えており、始末の悪いことに、今回流行しているのは、以前のサル痘よりも新しいクレード 1b 変異種というもので、感染力と致死性がより高いということです。

 コロナウィルスの際も次から次へと現れる変異種というものに、恐れおののいた記憶がありますが、サル痘の場合もまた威力を増した変異種の登場が今回の騒ぎの原因のひとつのようです。

 アフリカ連合保健局がまず、「公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、これに続いてWHOも翌日、最高レベルの世界的警戒を発令。そして、アフリカ以外での最初の症例はパキスタンとスウェーデンで検出されましたが、今後数日から数週間のうちに欧州でも新種の輸入症例が出現すると予想されているとWHOは警告しています。新しい変異種は感染力と致死性がより高く、世界的な蔓延の懸念を引き起こしているというのです。

 2022年には、これまでウイルスが流行したことのなかった先進国を中心に、世界の他の地域に広がり始めましたが、今回の変異種はさらに感染力、致死性がより高くなって流行しているというのですから、WHOが警戒を呼び掛けるのもわからないではありません。

 そして、先週末、ついに、フランスでも、ガブリエル・アタル首相がフランス保健当局はサル痘に対しての最大限の警戒状態をとり、すでにあらゆる事態に対応できるように準備していると発表しています。

 サル痘は、動物から人間に広がるウイルス性疾患ですが、ウイルスに感染した人との濃厚な物理的接触によっても伝染するそうで、以前の株は口、顔、または性器に発疹や局所的な病変が現れるのが特徴でしたが、現在問題となっているクレード 1b 株は全身に発疹を引き起こすようです。

 アフリカで前例のない数の感染者が発生していることに加え、WHOが懸念しているのは新たな変異種の出現で、この新株は以前のものよりも重篤な疾患を引き起こすという点にあるようです。

 また、感染者に幼児が多いことは、主な媒介者として男性同性愛者コミュニティとの性的関係を介して広がった以前の株よりも、汗や唾液などの体液を介して感染がより容易に起こることを示唆していると言われています。

 現在までのところ、比較的、患者は若く、おそらく免疫システムが未熟なため、死亡率ははるかに高くなります。成人(15歳以上)の2.4%と比較して、乳児では8.6%、1歳から4歳までの子供では7.4%、5歳から15歳では3.7%となっています。

 汗や唾液などの体液を介して感染するとなれば、全く油断ならない話です。

 このサル痘のワクチンはデンマークの研究所バイエルン・ノルディック社が製造しており、また、このワクチンは新しいクレード 1b 変異種にも有効であると製造元は発表しています。

 フランスでは1月から4月までに107件の感染者が発生しているそうで、4月以降は毎月20人から25人の感染者を出し続けているようです。この数を多いと見るべきなのか?少ないと見るべきなのか?ちょっと見当がつかない気がしていますが、致死率が高いという点から考えれば、特に常に多くの疾病のリスクにさらされている幼児、高齢者、病人、妊婦などは、注意が必用だと呼びかけています。


サル痘 WHO最高レベル世界的警戒


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2024年8月17日土曜日

フランスの新首相候補の女性 ルーシー・カステッツ 

  


 オリンピックムードの盛り上がりで、一時の騒ぎが嘘のように搔き消されてしまった感のあるフランスの首相任命、新内閣の組閣問題がそろそろ、取り上げられるようになってきました。

 そういえば、マクロン大統領は、ガブリエル・アタル首相からの辞表は受理したものの、オリンピックを滞りなく行うことにまず注力するということで、首相の任命はオリンピックの終わる頃に発表するとしていました。

 そして、フランスでは、大いに盛り上がったパリオリンピックのために、国民のこの内閣組閣への関心も少し逸れた感じもあり、マクロン大統領自身もオリンピック後半になってくると、中継されている試合の会場には、「えっ?マクロン大統領また来てる?」と思うほど足しげく、オリンピックの試合会場に姿を見せており、私が言うのも何なのですが、「仕事してる?」と思うほどでした。

 そして、オリンピックは一応、無事に終了して、一息ついたかと思われるようになった今、ようやく、そういえば、首相はどうなった?とばかりに首相任命問題が取りざたされ始めました。

 どうやら、フランスの次期首相は、ルーシー・カステッツという女性を第一党となった新人民戦線(NFP)が推しており、マクロン大統領もこれに依存はないようで、8月23日には、各会派の議長や党指導者らをエリゼ宮に招き、話し合いを行ったうえ、首相任命の運びとなるようです。

 このルーシー・カステッツという女性は1987年生まれの37歳(さすがにガブリエル・アタル氏には負けますが、やはり若い!)、パリ科学院(通称シアンスポ)、国立行政学院に学び、上海のフランス総領事館(文化武官補佐)勤務を経て、世界銀行のマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策部門のコンサルタント、秘密金融回路、マネーロンダリング、テロ資金供与との戦いを担当する諜報機関である Tracfin、パリ政治学院で経済学教授など、若いながらに、多くの職責をこなしてきた才女のようで、財政、金融に強い人のようです。

 経歴を聞くだけでも、かなりの秀才ぶりがうかがえますが、これに加えて、彼女は約10年間テニス、そしてハンドボールやテコンドーもやってきた、かなりのスポーツウーマンでもあるようです。

 まだ確定情報ではないようですが、マクロン大統領の側近の話として、「それが集団的な要請であり、NFPの政治勢力が意見交換が建設的なものになるのに有益であると判断するのであれば、大統領は明らかにそれに反対しない」、「マクロン大統領は、ルーシー・カステッツを首相に迎える準備はできている」と報道されています。

 しかし、あくまでも負けず嫌いのマクロン大統領らしく、彼自身は、「誰を首相に据えること以上に議会の多数派を築くことが大切である」と語っているようで、その点においては、ルーシー・カステッツ氏もRN以外の国会議員に書簡を送り、「NFPの枠を越えて議会の多数派を築くよう説得する」つもりであると説明しています。

 どちらにしても、もうあっという間に8月も半ばを過ぎ、あと2週間ほどで、もうフランスは新年度が始まり、新たにやらなければならないことが山積みなはず。

 マクロン大統領にしても、さすがにもうこれ以上は引き伸ばせないギリギリのタイミングなのだと思います。

 新年度になれば、皆がバカンスから戻り、学校も始まり、仕事も再開するとともに、フランスではデモも再開されます。

 フランスの首相は、大統領が任命するというカタチになっているし、日本の首相とはまた、位置づけが異なります。このルーシー・カステッツという方がどんな感じの方なのかはまだよくわかりませんが、とりあえず、それが37歳の女性らしいというだけでも、ずいぶんと違うものだな~と思っているのです。


フランス新首相 ルーシー・カステッツ


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2024年8月16日金曜日

パリのメトロ9号線の車内で侮辱された女性が告訴状提出

  


 オリンピック期間中は平和だったかに見えていたパリのメトロの中で、一人の男がユダヤ人の女性及びその家族を攻撃する暴言を吐き、つばを吐きかけるという事件が表沙汰になりました。

 事件は、早朝のメトロ9号線の車内で起こり、一人の男がユダヤ人に向け反ユダヤ主義的攻撃を続けていたところ、この女性は、恐怖を感じつつも、勇敢にも携帯で撮影しながら、「黙りなさい!やめなさい!と言いながら、この男が暴言を吐き、彼女たちを攻撃し続ける模様を撮影し続け、警察に苦情を申し立てる!」とその言葉どおりに彼女は本当に警察に告訴状を提出しました。

 イシー・レ・ムリノー警察署(オー・ド・セーヌ)はこの女性からの告訴状を受理し、この男は現在、指名手配されています。

 直接、本人には関わりのないことで侮蔑を受けたりすることがあり得ないことではないパリではあり、実際に、コロナウィルスが発症したばかりの頃に、中国がその拡散元であったことが公になり始めた頃、いわれのないアジア人差別が沸き起こったことがあり、私自身は、直接そのような被害に遭ったことはありませんでしたが、アジア人が人々の嫌悪の攻撃の対象となったこともありました。

 今回のユダヤ人への非難や攻撃は、明らかにハマスとイスラエルの問題が影響していると思われ、この被害者の女性の撮影した動画の中で、この男は、「あなたたちは子供を殺している」、「あなたたちは人道に対する罪を犯している」、「ヒットラーは正しかった、君たちは皆、命を奪われなければならなかった・・」などと物騒なことを叫んでいます。

 メトロの中にはこのような直接的な侮辱行為ではなくとも、時々、おかしな人をみかけ、なんとなく、怖いな・・と思うこともありますが、パリでも多くの場合は、皆、なんとなく気にしつつも見て見ないふりをしているのがふつうです。また、パリのメトロの車内は比較的狭い場合が多いので、このような明らかにおかしな人物がいた場合は、恐怖感も大きく感じられると思います。

 若い女性ながら、ものすごく勇敢な女性だ・・と感心していたら、実にこのような反ユダヤ主義的な攻撃は1,200件以上も報告されており(ハマス・イスラエル問題以来)、内務大臣ジェラルド・ダルマナン氏は、2024年上半期だけでも「887件の反ユダヤ主義行為」が記録され、これは昨年の同時期のほぼ3倍であると述べています。

 争いがまた別の場所で争いを呼び、放置すれば、エスカレートしかねないこの争い。私だったら、このようにののしられても、黙って我慢してしまいそうなのですが、もしかしたら、この女性、これが初めてのことではなかったのかもしれない・・度重なれば、自分たちの命も危険にさらされるという危機感を覚えていたのかもしれません。


メトロ内での侮辱行為


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2024年8月15日木曜日

オリンピックの終わった8月のパリはいつも以上に空いている

  


 今年の夏のパリは、当初、オリンピック効果を目論んで、ものすごい数の観光客を期待して、1年前にオリンピック期間中のホテルの予約が始まった当初は、おそらくパリ及びパリ近郊の宿泊施設が足りなくなるであろうと見込み、それにつれて、パリ市内のホテル価格は、2倍、3倍どころか、10倍以上にも価格が吊り上がる異常な事態になっていました。

 ところがオリンピックが近付くにつれて、予約が思ったほど入らず、ホテル業界は、冷水のシャワーを浴びている・・ともっぱらの評判になりました。

 実際に、オリンピックのための観客どころか、通常、夏の間に来ていた観光客までもがパリを避け、パリ市民たちも警備のための厳しい規制を避けてパリから逃げ出してしまい、「こんなの見たことない!」と思うほどのどこへ行ってもガラガラのパリになりました。

 オリンピックが始まってみると、それでも、オリンピックがけっこう盛り上がり始め、結果的には、ホテルの予約も少しずつ上向きになったようでしたが、結果的にパリのホテルは平均、約85%程度の稼働率になったようです。

 これはあくまでも平均なので、人気の地域(つまり価格が妥当であり、許容範囲内であるところ)は、100%超のところもあったようなので、酷いところの結果はあまり公にはされていないと思います。

 おかげさまで、オリンピック期間中は大した混乱も起こらず、多少、規制のために不便な思いをしたものの、住民にとっては今までにない7月の空いているパリを楽しむことができましたが、はて?いつもは、フランス人のバカンス本番はなんといっても8月で、オリンピックのために前倒しに7月にパリを去ってしまったパリジャンが8月には戻ってくるのでは?と思っていたのですが、どうやら、あんまり戻っていないようです。

 また、もう海外の観光客からも、今年の夏のバカンス先からパリは排除されてしまったようで・・観光客もいつもの夏よりも少なく、オリンピックの警戒も緩和されて、現在のパリは空いています。

 オリンピック騒ぎでまったく忘れていたのですが、8月のパリはお店も閉めてしまうところが多く、昨日は、最近、お気に入りのパン屋さんにいったら、9月まで休みと書いてあって、「あ~8月のパリはお店もけっこう閉まっちゃうんだった・・」ということを思い出したくらいです。

 オリンピック期間中は、あんなにいた警察官や憲兵隊も大幅に減少しましたが、昨日、メトロに乗ろうと思ったら、警察官の軍団が下りてきて、「えっ?まだ、メトロの中にまで警察官が乗ってるんだ・・」とビックリ!、主要な駅には、まだ憲兵隊等も通常よりは多くの人数が配置されているようです。

 まだ、パラリンピックが控えていることから、このオリンピックからパラリンピックへの移行期間も一定以上の警戒体制は保っている模様です。

 なんだか、パリでは、オリンピックのボランティアのユニフォームがすごい人気らしく、パラリンピックのボランティアにも応募が殺到しているとか、このオリンピックボランティアのユニフォームがフリマサイトに高額で出品されているとかいう話で、フランスのスポーツメーカーDecathlonが一般向けの商品化を検討しているということです。

 昨日もこのオリンピックのボランティアのユニフォームを着た人を見かけたので、「あれ?オリンピック終わったのに、なんであの人、あんな恰好しているんだろう?」と思ったばかりです。

 とはいえ、私は、人の少ない8月のパリが大好きで、パリジャンはパリからいなくなり、せいぜいいるのは観光客くらいなものなので、8月には、ぜったいにパリに留まりたいと思っているのですが、今年はその観光客でさえも、少なめというのですから、天国です。

 ホテルの価格を吊り上げたり、メトロのチケットも2倍近くに値上がりし、そのうえ、オリンピックのために様々な規制を設けられて自由に動けないとなったら、パリを避けようと思うのは当然のことです。

 しかし、住民にとっては、なにはともあれ、これからしばらくの間は静かなパリが楽しめそうです。


8月のパリ


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2024年8月14日水曜日

クロスボウの矢を頭に受けた女性が危篤状態

  



 パリオリンピックが終わって、堰(せき)を切ったように凶悪事件が報道され始めて、残念ながら、通常モードのフランスが戻ってきたことを実感しています。

 最初に目にしたのは、ヴィルジュイフ(ヴァル・ド・マルヌ県・イル・ド・フランス・パリ近郊)の寺院で、32歳の女性が頭に矢が刺さった状態で発見されたというもので、またその犯行に使用された凶器(武器)がクロスボウという私にとってはあまり聞きなれないもので、調べてみたら、「西洋で用いられた弓の一種、洋弓銃」というものらしく、その凶器に使われたものが、耳慣れないものであることは、余計に不気味に感じられるものでした。

 被害者は発見後、頭に矢が貫通した状態で病院に運ばれ、手術を受け、矢は頭蓋骨から取り出すことができたそうですが、生命予後は依然として危険な状態にあると言われています。

 ナイフとか、銃などなら、まだよくある話ではありますが、矢で頭を射抜かれるというのは、初めて聞きましたし、被害者を発見した人は、ちょっと信じ難い光景であったのではないかと思います。

 このクロスボウという洋弓銃というものは、どんなものなのか?そんなに出回っているものなのか?不安になります。

 この事件の容疑者3人は被害者が発見された翌日には逮捕され、取り調べが続いていますが、クロスボウが使用されたという状況と動機はまだ正確に解明されていないということです。というのも彼らは、障害のある人々のようで、全員が就労支援サービス事業所(Esat)で働いていました。この施設は障害のある者が医療の恩恵を受けながら専門的な活動を行えるようにするものです。

 この障害が精神障害であるかどうかは明らかにされていませんが、このような場合は、まず責任能力の問題が登場し、一定の期間、入院施設に保護されますが、いつの間にか、また世に解き放たれてしまうのが、よくあるケースだという印象を受けてしまいます。

 捜査はヴァル・ド・マルヌ司法警察に委託され、当初は配偶者による殺人未遂容疑で開始されましたが、被害者も同施設に所属していた者だったようです。

 事件の取り調べとともに、同時に彼らの精神鑑定も進行中とのことです。

 いずれにしても、パリオリンピックが終わった途端に、このような事件が堰を切ったように出てくるにつけ、オリンピック開催期間中は、このような事件がたとえ起きていても伏せられていたのか、または、報道されなかったということ?

 いずれにしても、オリンピック関係者や観客がこのような事件に巻き込まれることがなかったことは、全く、日常のパリ、パリ近郊、フランスからしたら、奇跡的なことだったと今さらながら思っています。


クロスボウ殺人事件


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2024年8月13日火曜日

38℃に怯えて過ごした一日

  


 もう数日前から、来週の初めには、38℃まで気温が上昇すると聞いていて、身構えていました。最近、体力にめっきり自信をなくしていることもあり、これはもう無駄な抵抗はやめようと、この日は、出かける予定は入れずに終日、家にこもっていることにしていました。

 出かけた先には、最近では大抵は冷房が入っていることがほとんどではあるものの、そこへ到達するまでの炎天下の路上を歩くことも、もう恐怖に近く、公共交通機関も必ずしも冷房車ばかりとは限らないのがパリなので、もう無駄な抵抗はしません・・という気持ちでした。

 この間、暑いときに、プールに出かけて泳いでいる間にめまいを起こして、立ち上がれなくなって以来、今まで以上に臆病になっています。

 とはいえ、我が家にはエアコンもないので、涼しくはないのですが、朝のうちに部屋の空気を入れ替え、ベランダの野菜に水をたっぷりとあげて、あとは窓を閉め切って、光を遮断した薄暗いなかで過ごせば、まあまあ耐えられないこともありません。

 もちろん、熱を発するお料理はしたくないので、朝、早いうちにサンドイッチを作って冷蔵庫にいれておき、あとはフルーツやヨーグルトやゼリー、アイスクリームなどで凌ぎます。

 パレオを濡らして、肩からかけて身に纏い、時々、それが熱くなってくれば、また水の中をくぐらせては、身体にまとい、しまいには浴槽に水を張って、そこでパソコンやタブレットを持ち込んで、静かに過ごしました。

 もう夏の間にパリが数日間は40℃近い猛暑に襲われるようになってからは、少しずつ対応策を自分なりに構築してきたのですが、年々、自分の体力は低下しているのは、最近、とみに自覚してきているので、もう絶対に無理はしないことにしました。

 いい加減、エアコンを買えばいいのに・・と思わないでもありませんが、まあまあ、こんな日は一年のうちにそんなにあることでもないし、暖房としては、セントラルヒーティングになっているので必用ないので、やっぱりもったいないな・・とけちな私は買わないのです。

 最近では、このような人間の体温よりも高い気温になる猛暑日が夏の間には、何日かあるために、オリンピックの期間にあたってしまっては、選手も気の毒だな・・と心配していたのですが、幸か不幸かオリンピックが終わった翌日のこの気温です。

 RATP(パリ交通公団)では、珍しくサービスよく、ペットボトルの水を配ったりしていたようですが、これも恐らく、オリンピックの際にこの猛暑日にあたった際のために準備されていたものではないか?と思われます。

 今回のオリンピックは、結果的には、ギリギリでこの猛暑を避けられましたが、なぜ?もう少し気候の良い時期にやらないのかな?と疑問です。しかし、これは、またオリンピックをパリでやってほしいという意味ではありません。

 今年はどういうわけか、7月に入っても、気温が上がらずにお天気もパッとしなかったので、いつもの夏ほどではありませんが、いずれにしても、パリでは、多くの人が家にはエアコンを入れていないし、どちらかというと家の中は暖房はキッチリしていても、冷房は完備していない場合が多いと思います。

 ようやく窓から涼しい風が入ってきたのは夜中の1時頃でした。

 


猛暑日


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2024年8月12日月曜日

やっと終わったパリオリンピック 

  


 今回のパリオリンピックが始まる直前までは、フランス人にとっては、突如として行われることになった選挙の方に注目が傾きがちで、また、パリでは数々の警備のための厳しい交通制限などが続いて、パリを脱出してしまった人も多く、また、観光客でさえも、通常よりも少なくなるという事態になって、オリンピックはあまり盛り上がらないのでは?とさえ疑いを持つほどでした。

 しかし、いざ蓋を開けてみれば、お祭り好きのフランス人。また、かなりフランスの選手がメダルを獲得したりして、日々、盛り上がりを見せてきました。

 まず、どうしても貫きたかったらしいセーヌ川での開会式は、けっこうな雨のうえ、演出なども、かなりぶっ飛んだ内容が織り込まれていて、賛否両論を巻き起こしましたが、そこはフランス。否定的な意見があることも充分、承知のうえで、ふつうのものでは終わらせないなにかを入れてくるところはフランスらしいところでもありました。

 また、選手の宿舎にエアコンがないとか、食事がマズいとか、色々と苦情もあったようですが、一般的な食事のレベルはそんなに高くはないし、エアコンがないのも現地の人間からしたら、そんなに驚くことでもありません。

 今回のパリオリンピックで指摘された悪い点は、そのままのフランスで、良いところも悪いところもそのままよく表れていたと思います。

 個人的には、あの、どう見ても、泳げるとは思えないセーヌ川でのトライアスロンを強行して、病人まで出してしまったのは、どうかと思いますが、概ね、日常のフランスからしたら、上出来なオリンピックであったと思います。

 何より、この世界情勢が決して穏やかとは言えないご時世のなか、テロのようなことがほぼ起こらなかったことは、何よりでした。常日頃から、他の都市に比べて格段に警察の多いパリでも、これほどの警察官や憲兵隊が、ほんの数メートル歩くたびに警察官の団体(あるいは憲兵隊)とすれ違うほどの警戒をこのオリンピック開催期間中続けていたことは、これまでもなかったことだし、今後もそうそうないことではないと思われます。

 しかも時期的には、フランス人にとって何よりも大事なバカンスシーズン、その期間にこれだけの人を動員できたということだけでも、歴史的な記録だと思います。

 私は、競技自体を見に行くことはありませんでしたが、それでもオリンピックのために設営された施設などは、ひととおり見て歩いて、それなりにいつもとは違った、今だけのパリの景色を楽しみました。

 そんな中、驚いたのはボランティアをやっている人々のレベルの高さで、ボランティアをどういう基準で選んでいるのかはわかりませんが、彼らには、ある種のカラーというか、ある一定以上のレベル(といったら失礼ではありますが・・)の人たちという印象を受けました。

 まだ学生?と思われる若い人々から、もう引退しているんだろうな・・と思うような人々まで、私が直に接したボランティアの人々は、ふだん、あまりパリでは目立たない感じ人なんだろうな・・と思いましたが感じの良い人ばかりでした。

 特にもう引退しているであろうおじさんやおばさんのボランティアなどは、やはりフランス人らしく、話好きで、けっこうおしゃべりしたりもしたのですが、地に足がついた感じの人が多いのには、大いに関心したところでもあります。

 しかし、私個人としては、やっとオリンピックが終わってくれた・・というのが正直なところで、通常の日常に戻り、とりあえず、ふつうにバスやメトロが動いてくれることにちょっとホッとしています。

 でも、同時にこの期間中、いつもは定期的に家にいても聞こえてくるパトカーなどのサイレンの音がこの間、ほとんど聞こえてくることがなかったことに気付いて、そういやそうだよな・・あれだけ交通規制して、警察が四六時中、街中にウヨウヨしていたら、事故も事件も起こりにくかっただろう・・と思うのです。

 逆に考えれば、あれだけの警戒体制をとらなければ、パリは安全ではない場所と言うこともできるのかもしれません。

 でも、とりあえず、無事に終わってヤレヤレというところですが、この間のパリを懐かしむ時がいつか来るかもしれません。

 しかし、閉会式も長かったなあ・・。トム・クルーズが出てくるまでが長い長い・・。


パリオリンピック閉会


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2024年8月11日日曜日

南海トラフ大規模地震 フランスでの報道にどっきりした・・

  


 ここのところ、とかくオリンピックに関する報道に偏りがちな中、日本での南海トラフでのかなり大きな地震について、フランスのニュースで専門家がかなり長い尺をとって、深刻な顔で解説をしているのを見かけて、ギョッとしてしまいました。

 日本でかなり大きな地震があったことは、ネットニュース等で見ていましたが、とかく地震が多い国、被害がそこまで大きくなかったことで、少しホッとしていました。

 しかし、テレビのニュースで見かけたこの日本での大きな地震についての解説には、「ほんとにそうなの?」、「日本の専門家もそんな風に言っているの?」と、少し不安に思いました。

 2011年の壊滅的な地震以来、日本で新しく設けられた「巨大地震警報」が発令されたとのことでしたが、それと同時にこの大地震等の災害に日常から準備や訓練を積み重ねている日本だからこそ、今回の巨大地震ではそこまでの被害が出ずにすんでいるので、それ以外の国であったらば、大惨事になっていたであろうと・・。

 耐震構造の建築物をはじめ、日本の避難訓練などの習慣を地震の被害が見込まれる国や地域では見習わなければならない・・ということがひとつ。

 また、日本人の国民性や地震に慣れているということもあるのだろうが、現地フランス人特派員が語っていたのは、この規模の大きな地震にもかかわらず、日本人はパニックをおこさずに冷静に行動できるということに驚いていました。

 しかし、そのように日本、日本人を称賛してくださる報道には、正直、日本人としては、少々、誇らしい気持ちもしたのですが、この専門家が説明するのは、この地震は、さらに大きい地震がそう遠くないうちに起こる可能性があるということを懇々と深刻な顔で説明するのには、正直、大丈夫かな?と心配になりました。

 この警報の中心となっているのは、日本の東にある長さ800kmの海底断層である南海トラフで、この場所は過去に、マグニチュード 8 から 9 の記録的な地震の起点となっており、南海トラフは「90~200年ごとに」目覚めると言われている。

 南海海溝は東京西部の静岡市と南の九州島の間の「沈み込み帯」に位置し、これは、フィリピンプレートが年間約10センチメートルで徐々に日本の下に滑り込んでいることを意味しており、これは世界でも最も速い速度の1つであり、これによりますます強い地殻変動が生じ、圧力に耐えられなくなると断層が破壊され、地震が発生するようです。

 この場所で最後に地震が発生したのは1946年で、つまり90年~200年という巨大地震の可能性の範囲内に突入しているということで、断層の一部はかなり規則的に破壊され、小さな揺れを引き起こし始めているということで、今回のかなり巨大な地震により、このシナリオが800kmのピットが同時に破断する危険があるという大幅に危険なシナリオに書き換えられたと言っているのです。

 この規模の大地震が1707年に日本史上 2 番目に強力な地震を引き起こしているそうで、つまり、それから200年以上がすでに経過していることになります。

 この壊滅的な地震は依然として予期することが困難で、当局は、それが1週間以内、あるいは長くても1か月以内に起こる可能性があると推定しているため、日本は今回の「巨大地震警報」発令に踏み切ったと説明しています。

 2019年の時点で、彼らはすでに30年以内にこの地域で巨大地震が起こる確率が70%であると予測しており、岸田首相は金曜日、サバイバルキットの作成、原子力発電所の状況確認、電車の速度低下など、いくつかの予防策を講じているそうです。

 この大地震とさらなる大規模地震が起こる可能性を鑑みて岸田首相が予定していた東アジア訪問を取りやめにしたということは、その可能性の深刻さを物語っていると言っているのです。また、このような「巨大地震警報」という国民がパニックを起こしかねない、その警報自体がリスクとなりかねない警報を発令するということは・・と続いたのですが、この辺りは、ちょっと日本人だったら、受け取り方は違うのかも?とは思ったものの、一方では、どこまで本当のことを国民が知らされているのか?とも思ったりして、ちょっと不安な気持ちにもなりました。

 いずれにしても、この地震のような大きなリスクといつも隣り合わせである日本だからこそ、日本に根付いている国民性のようなものも確かにあるんだろうな・・とそんなことを考えさせられたのでした。


南海トラフ大地震


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2024年8月10日土曜日

9月14日オリンピックアスリート シャンゼリゼ祝賀パレード

  



 もうすぐ終わろうとしているパリオリンピックにおいて、未だかつてないほどのメダルを獲得しているフランスチームの功績を讃え、みんなで祝おうと、マクロン大統領は、パリオリンピック・パラリンピック競技大会終了後の9月14日土曜日にシャンゼリゼ大通りでフランス選手のパレードを行うことを発表しています。

 このパレードは、具体的には、パリ2024大会組織委員会(COJO)、フランス国家オリンピック・スポーツ委員会(CNOSF)、フランスパラリンピック・スポーツ委員会(CPSF)パリ市との連携組織で行われるとエリゼ宮は説明しています。

 エリゼ宮・広報の説明によると、「大会の成功に貢献した人々、言い換えれば、さまざまな関係者らとともにシャンゼリゼ通りをパレードする」ということになっているので、ひょっとしたら、このパレードには、この大会を陰で支えたボランティアなども参加することになるのでは?とも考えられます。

 実際には多くのパリジャンがオリンピックから逃避してバカンスに出かけてしまいましたが、9月になれば、フランスは新年度が始まっているタイミングでもあり、実際のオリンピックが行われた時とは違う顔ぶれがこのパレードを訪れることになるのかもしれません。

 以前はオリンピックではありませんでしたが、シャンゼリゼはスポーツの勝利を祝う伝統的な場でもあり、1998年にフランスで開催されたサッカーワールドカップでフランスチームが優勝したときには、盛大なパレードが行われ、50万人もの人が集結したという記録もあります。


 しかし、一方でこれをマクロン大統領が発表することには、少々、政治的な企みが感じられないこともなく、オリンピックで皆がすっかり忘れかけている、ほんの数ヶ月前の欧州議会選挙の結果やそれに伴い急に行われた選挙、そして、首相が辞任し、現在は実は首相不在の存在であるような不安定な政情であり、このオリンピックというお祭り騒ぎが終われば、再び現実の社会問題が戻ってくるわけで、マクロン大統領がこのオリンピックの祝賀モードをなんとか、引っ張り続けたいと思っているのが透けて見える気がしてしまいます。

 とはいえ、お祭り騒ぎが大好きなフランス人、今年のパリ祭はオリンピックのためにシャンゼリゼが使えなかったので、9月14日のシャンゼリゼは、おそらくパリ祭以上の盛り上がりが見込まれ、また、大変なイベントとなりそうです。


オリンピック・パラリンピック アスリート シャンゼリゼ祝賀パレード


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2024年8月9日金曜日

最近、バスやメトロで気になって仕方ないこと

  


 バスやメトロの中で小さい子ども連れを見かけると、なんかホッコリした気分になります。なんか、可愛い子どもがニコニコしていると、こっちまでニッコリしてしまい、なんか暖かい気持ちで見守る気持ちになり、小さい子どもの様子をなんとなく目で追ってしまいます。

 特にベビーカーに乗っているくらいの小さな子どもだと、可愛くて仕方ありません。

 しかし、最近、気になって仕方ないのは、そんなベビーカーに乗っているくらいの小さな子どもが携帯でアニメのようなものを楽しそうに見ていたりするのをわりと頻繁に見かけるようになったことです。

 そんなの他人の子どもなんだから、よそのおばさんがお節介に言うことでもないのですが、「これは絶対によくないな・・」と思うのです。

 私が子育てしていた頃には、まだ今のようなスマホにはなっていなかったし、娘が歩くようになってからは、あまりベビーカーのようなものにも乗せることすらできるだけ避けていました。ベビーカーについては、もちろん、その子どもの体力にもよると思うのですが、とにかく、娘はエネルギーが常にありあまっている子どもだったので、小さい頃からお昼寝というものさえ、一切したことがなく、保育園でも、「○○と○○ちゃんは(娘ともう一人の女の子)お昼寝をしないで、他の子を起こしてまわるので、お昼寝の時間は別の部屋にいてもらいます!」と先生に言い渡されたくらいだったので、とにかくその有り余るエネルギーをいかにして消耗させるかということが第一だったのです。

 携帯はなかったものの小さなゲーム機を欲しがったりしたこともあったのですが、あくまでも私も夫も、子どもにはよくない・・と自ら買い与えることはしてきませんでした。

 たしかにバスの中などで、携帯で動画などを見ている子どもはおとなしく楽しそうにしているのですが、様々な場面で驚くほど色々なことを吸収できる子どもの目を携帯で塞いでしまうのは、大変な損失だと思うのです。

 大人でさえも、ついつい四六時中、スクリーンを覗いてしまいがちな昨今ですが、大人にとってさえもあまり、よいこととは思えないし、ましてや小さな子どもは外で公共の場で、色々な人や景色や社会のルールや色々なことを感じることは大切なことだと思うのに、長い時間、受動的に与えられるスクリーンに時間を奪われることは、絶対によくないことだ・・と思うのです。

 あまりに長いフライトとか、長距離移動などならば、退屈してしまうこともあるかもしれませんが、ちょっと街中を移動する間くらいの短時間まで、携帯に子守をさせてしまうことに、「これはダメだよな・・」とお節介おばさんは思ってしまうのです。

 もちろん、あかの他人の子育てに口出しはしませんが、そんなバスやメトロのベビーカーの中で、携帯を楽しそうに見ている子どもを見つめて、これはやめておいた方がいいのにな・・と思ってしまうのです。

 子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用については、政府も危機感を示しており、今年の4月の段階で、国民議会で、「保育園や保育所での3歳以下の子どものスクリーン(タブレットやスマホなどのデジタル機器)の使用を禁止する法案」が提案されていたりしましたが、保育園のみならず、小さな子どもを持つ親が家庭でも心がけるべきことではないかと思います。

 人工的に作られたもの以外にも、本来ならば、色々なことに興味を持ち、また、「そんなことが楽しいんだ!・・」と思うことまで楽しめるのが子どもなのに、そんな好奇心とか、なんでも楽しめる能力を摘んでしまうのは、本当にもったいないと思うのです。

 今やスマホは生活必需品になり、ないと生活に支障が出るほどになってはいますが、その使い方を間違えると、特に小さな子どもにとっては、発達障害や情緒障害など、すぐに目には見えないカタチで障害を生んでいくような気がして、他人事ながら、気になって仕方ない光景なのです。


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2024年8月8日木曜日

パリオリンピックのメダリストへの報奨金

  

 

 フランスにいると、あたりまえだけど、オリンピックもフランス人の選手が中心に報道されるので、日本人の活躍がほとんど見られないので、最初は少し見ていても、そのうち飽きてきて、結局、オリンピックはどうでもいい感じになって、結果的にあまり競技は見ないようになってしまうのですが、今年は、やはり、自国開催ということで、かなりオリンピックの報道が多く、また、フランス人がメダルを結構とっていて、その度に、ちょっと引くほど報道している人たちがフランス人選手のことをかなり興奮して褒めたたえるので、最初は微笑ましい気持ちで見ていたのですが、そのうち、もうちょっとおなかいっぱいな感じで、もういい加減、ゲッソリしてきてしまいました。

 長いこと、フランスに住んでいるので、フランスを応援する気持ちも少しはあるのですが、やっぱり日本を応援したいあたり、私は日本人だな・・と思う瞬間でもあります。

 なので、オリンピックの競技というものは、ほとんど関心がなくなってきてしまいました。

 もう今回のオリンピックは、色々な制限が開会式の1週間以上前から始まっていたこともあって、いつも以上にオリンピックが長く感じられ、もうそろそろ終わってよ・・と心の中では思い始めています。

 まあ、私がお願いするまでもなく、あと数日で終わるのですが、結果がほぼ出揃ってきたところで、今日は、オリンピックのメダリストへの報奨金の話がニュースに出ていました。

 メダリストへの報奨金の話は大昔に、けっこう貧しい国だったりすると、選手を鼓舞するために多額の報奨金を出すらしいという話を聞いたことがありましたが、フランスでも、選手への報奨金が支払われるそうです。

 金メダル8万ユーロ(約1,280万円)、銀メダル4万ユーロ、銅メダル2万ユーロだそうです。報奨金とはいえ、なんとなくオリンピック=お金というのは、いまひとつ、すっきりしない印象もないでもありませんが、今年のパリオリンピックでは、水泳で一人で4つの金メダルをとったレオン・マルシャン選手は32万ユーロを受け取ることになる!という報道でした。

 フランスはこのオリンピックのメダリストの報奨金を東京オリンピックの時(金メダル6万5千ユーロ、銀メダル2万5千ユーロ、銅メダル1万5千ユーロ)よりも大幅に値上げしています。

 これらの報奨金は選手のみならず、選手を支えた経営陣(チーム)にも選手と同額の金額が支払われる(これまでは、選手の半額だった)そうです。

 この報奨金は、11月中旬までに直接、スポーツ相とオリンピック委員会から支払われることになっています。

 ちなみに日本はいくらくらいなのかな?と思って見たら、日本オリンピック委員会から支払われる金額は金メダル500万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円だそうで、その他は各スポーツ毎に、その○○スポーツの協会から異なる額が支払われたり、全くなしのスポーツもあるそうで、一番報奨金が高いのはゴルフなんだそうです。

 私は個人的には、オリンピックというスポーツがお金で換算されるようで、興ざめな気もするのですが、そんなのはきれいごとなんでしょうか?


パリオリンピック メダリスト報奨金


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2024年8月7日水曜日

自分の体調に自信がなくなった・・

  


 学生時代はけっこうスポーツを続けてきて、「体力だけは自信があります!」というのが、唯一、私が誇れるところだったのに、ここ数年でとみに体力に自信がなくなってきて、具体的にも、検査の結果が悪くて再検査、再々検査でドキドキしたり、結果、しばらく薬を調整して様子をみましょうとかいう箇所が増えて、実際にもすぐに体調を崩したりすることが増えました。

 若い頃は、身体にいい食べ物・・とか言われるだけで、なんとなく「マズそう・・」などと思ってしまうあまのじゃくな性格だったのに、最近では、やたらと食べ物にも気をつけるようになり、野菜を多く摂るように心がけたりするようになりました。

 先日、久しぶりに娘がパリに来ているときに、「最近、すごく疲れやすくなって・・」とこぼしたら、「ママの食事は圧倒的にタンパク質が足りていないから、心してタンパク質を摂るように心がけた方がいい・・」と言うので、最近はタンパク質・・プロテイン・・と常に私の頭の中はタンパク質のことに憑りつかれています。とはいえ、そうそうなかなか摂れないのですが・・。

 言われてみれば、娘が家にいた頃は、娘のために、ちゃんと一食、一食、バランスのよい食事を用意していたものの、一人での生活になって、ついつい、自分の好きなものしか食べなくなり、また、簡単に済ませてしまうことも多くなって、これまでは、野菜をちゃんと食べなくちゃ・・とは思っていたのですが、極端な話、美味しいお漬物とご飯と佃煮・・とか、美味しいバゲットと美味しいバターやチーズでも、全然、満足でそんな食事で済ませてしまうことも多かったのです。

 そもそもすごく肉が好きというわけでもなく、かといって、日本のように美味しいお魚がいくらでもあるというわけでもなく、卵も一日に何個も食べるのはな~などと思ってしまっていたので、考えてみれば、本当にタンパク質が足りていなかったようです。

 それでも、ダラダラ過ごして、身体を甘やかせていると体力は衰える一方なので、運動も欠かさず、できるだけ歩くようにするとか、週一回はプールに行って泳ぐとか、身体を動かすことも欠かせません。

 ここのところ、オリンピックで色々、変わっている街の様子を見て歩いたり、またオリンピックが始まって以来、今までうすら寒いくらいだった気候が一気に晴天を通り越して、猛暑になりつつあり、疲れたな・・と思っても、それが暑さによるものなのか、それとも、実際に身体にダメージが来ているのか?自分でもわからなくなっています。

 家には、エアコンもないので、エアコンがないなりの午前中のうちに部屋の空気を入れ替えて、シャッターをおろして遮光して、室内の温度が上がるのを避けてでかけると、湿度は低いために、部屋の温度も上がらず、比較的快適に過ごせるという技も、ここ数年の猛暑の夏を過ごして、もう夏の間の日課のようになりました。

 先日、週1回は・・と決めているプールに行くと、夏休みということもあって、けっこうな人、でも暑いなかのスポーツとしては、最適です。だいたい1回行くと1㎞泳ぐことにしているのですが、900mくらい泳いだところで、急に空腹を感じ、みるみるエネルギー切れの感じになってきて、ちょっと泳ぎながらめまいを感じ始め、みるみる身体が言うことを聞かなくなって、あれあれ?なんだこれ?という感じになりました。

 でも1㎞泳ぐと決めているのに、途中でやめてしまうことが自分で納得いかなくて、あと100mをほとんど浮いただけのような状態で泳ぎ、急いであがりました。

 こんな妙な感覚は初めてだったので、「これって低血糖ってやつ?」とか思って、シャワーを浴びるまえに、ロッカールームに行って、バッグの中にあったお菓子をちょっとかじって、キャンディーを口に含んでシャワーを浴びに行きましたが、そこでとうとう座り込んで、しばらく動けなくなってしまいました。

 ちゃんと食事もしてきたし、考えてみれば、低血糖というのも考え難いのですが、あれは、何だったんだろう?と不気味な気持ちです。

 家に戻ってきて、水をたくさん飲んで、ヨーグルトなどを食べて、倒れ込むようにベッドに横たわるとしばらく眠ってしまいましたが、目が覚めると元にもどりました。

 健康のために、できるだけ歩こうとか泳ごうとか思っていると、たちまち、逆に体調を崩すという、もう痛い以外のなにものでもない状態に自分の体調にすっかり自信をなくしている最近の私であります。


体調不良


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2024年8月6日火曜日

フランス人同士でもパリジャンの悪口をいいたがる・・

 


 たまにイベントなどの催し物が行われるなど、駅でポスターを見かけたりするたびに、「ヴェルサイユ、きれいだよな~、今度行きたいな~」と、度々思うのですが、いざとなると、結局は行かないのがヴェルサイユです。

 そんなに遠くはないし、行こうと思えば、いつでも行けるのですが、なんとなく億劫で、ヴェルサイユに最後に行ったのは、母がフランスに来てくれたときに夫が車で連れて行ってくれたのが最後なので、もう10年以上、いやそれ以上も前のことになります。

 今回はヴェルサイユ宮殿でもオリンピック競技をやっているということで宮殿がどんな風になっているのか? 思い腰を上げるチャンスだと、オリンピック期間中に一度は行こうと思っていました。

 なんだかグズグズしている間にあっという間にオリンピックも終わってしまいそうで、せっかく行くならお天気の良い日がいいと、思い切って行ってきました。

 とはいっても、競技を観戦するチケットも取ってないし、炎天下で競技を観戦する気にもならないので、なんとなく雰囲気を味わいに行くだけなのですが、まあ久しぶりに訪れるヴェルサイユ宮殿はやっぱり美しくて、もっと頻繁に来てもいいのかも・・などと思いながら、歩きました。

 他の場所と同じように警察官やボランティアがたくさんいるのですが、なにせ宮殿の敷地内は広くて、それでも木々の緑のグラデーションや彫刻などを楽しみながら歩けるので気持ちよいお散歩になりました。

 と、同時にヴェルサイユに行くのに、拡張されたRER L線にも乗ってみたかったこともあって、キラキラ車内のきれいな電車に乗って行きました。ただし、到着後のことを全く考えていなかったのですが、この駅は、宮殿の反対側くらいの場所に着くため、ヴェルサイユ宮殿の敷地に入ってからかなり歩くことになりました。

 入口で荷物のチェックをしている警察官にオリンピックの会場の場所を聞くと、丁寧に、かなり流暢な英語で教えてくれたので、「ありがとうございます!」とお礼を言ってから、また英語で対応してくれたので、「最近、たくさんのフランス人が英語で話してくれるので、すごくビックリしています!」と半分、嫌みと半分、本音を込めて(英語で)言ってみたら、すごく満足気に「ありがとう!でも、パリでは、そうはいかないわよ!パリジャンは、絶対、英語でなんか話してくれないから!」と言うので、「え~~?」と驚いてしまいました。

 彼女は私がどこから来たのかも知らずにヴェルサイユを訪れているアジア人だと思って教えてくれたのだと思うので、まさか、「最近・・特にオリンピック期間中のパリはけっこういつもと違っているよ!」というわけにもいかず、別の意味で驚いていると思ったようで、そのまま、「ほんと、パリジャンって感じ悪いから・・」と言い続けるので、苦笑してしまいました。

 ヴェルサイユといったら、そんなにパリからも遠くないし、私としてはそんなに区別して考えない・・フランス人として一括りしてしまいがちなのですが、どうも彼らは同じだと思っていない模様です。

 たしかにパリジャンは、感じ悪いなぁ~と思うこともないではないのですが、私ももう慣れてしまって、もうあまり、そんなに感じなくなっているのですが、考えてみれば、パリに来たばかりの頃は、とにかく、いろんなことに、いちいち腹立たしい思いをしていました。

 もうパリでの生活も長くなって、それなりに少しでも嫌な思いをしない応対の仕方や、嫌なオーラの人はできるだけ避けるとか、かわし方をいつの間にか習得したのかもしれないし、何より、まずあまり期待していないので、嫌な感じの人にあっても、「ああ~こういう人、久しぶりだな・・」くらいに思うだけで、本気で腹をたてないようになっています。

 しかし、どうにもパリジャンというものは、フランス人から嫌われているようで、こうして、ヴェルサイユの警察官までもが、パリジャンは感じ悪い!などと言うだけあって、以前、仕事関係で全国(フランス各地)から、人が集まっている研修会みたいなものがあって、みんなで雑談していたら、「パリジャンって本当に感じ悪い!」、とか、「パリなんて人間の住むところじゃない!」とか、もうパリの悪口大会みたいになったのには、本当に驚きました。

 私はフランスではパリにしか住んだことがないので(来たばかりの頃、1年くらい郊外にいたこともあったけど・・)、あまり他の地域に知り合いもなく、地方の人と話す機会がなかったので、こんなにパリがフランス人から嫌われているのか?とビックリした覚えがあります。

 相変わらず、私はあまりフランスの中を旅行しないし、他の地域のフランス人と話す機会があまりないので、あの研修の時の悪口大会以来、あまりそういう話も聞くことがなかったのですが、久しぶりに思わぬところ、しかもヴェルサイユ宮殿でそんな話を聞いたのには、相変わらずなんだな・・と思って、苦笑してしまいました。

 なぜ、これほどまでにパリジャンが嫌われているのか? 本当に感じ悪いのかもしれないし、ちょっと嫉妬みたいなものもあるのかな?と思わないでもありません。だって、感じ悪い・・ということに、あんなにムキになって話す必要もないんじゃないかな・・と。

 とりあえず、一番、簡単だけど、けっこう大切だと思うのは、まずお店にしても、どこに行ったにせよ、なにか質問がある時などでも、まず「Bonjour(ボンジュール)」とにっこりと挨拶すること、ボンジュールもにっこりもどちらも大切です。

 そして、ちゃんと意思表示をすること・・お礼はちゃんと言うこと。もう幼稚園の子に言うようなことですが、これだけでもけっこう違います。

 しかし、また笑っちゃうのが、どんなに他の人から感じ悪いとか、悪口を言われたとしても、パリジャンは全然、意に介さないということです。


パリジャンの悪口


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2024年8月5日月曜日

問題続出のセーヌ川でのトライアスロン 参加選手が大腸菌感染で入院

  


 最初から物議を醸し続けているパリオリンピックのセーヌ川でのトライアスロンですが、予行演習は何度もキャンセルされ、本当に実施されるかどうかは、ギリギリまでわからず、下手したら、デュアスロンになるかもしれないとまで言われていましたが、ついに、競技が行われる直前の水質検査で衛生基準に達したということで、もはや、かなり強引な形で実施されました。

 参加する選手にとっては、まさに取りやめても、GOサインが出ても地獄の状況だったと思います。もう終わってしまったことは仕方ないけど、選手には、本当にお気の毒なことだったな・・と思っていましたが、案の定、実際に競技に参加した選手からは、「ゴミの中を泳ぐハメになった・・」とクレームが続出していました。

 もう競技は終わったのかと思ったら、まだ混合リレーがあるらしく、再び水質検査とのせめぎ合いが続いているようで、またギリギリまで泳げるレベルの水質に達していないとのことで、再び予行演習がキャンセルされ、実際に実施するかどうかは、直前の水質検査の結果にかかっていると言われています。

 すでにトライアスロン競技が行われた同じセーヌ川での水質検査が再び、基準値に達していない状態というのは、非常に不透明なことで、水質は天候によっても大きく左右されるとはいうものの、数日のうちにそのしきい値を行ったりきたりする状況での競技の実施には、大いに疑問が残ります。

 そもそも、この水質検査の具体的な数値について、オリンピック組織委員会は発表していません。報道機関の質問にも回答していません。

 そこで、民間検査会社が行ったセーヌ川の同じポイントでの特に大腸菌細菌の検出に焦点を当てた水質検査によると、常にデータは変化しているものの、決して推奨できる状態ではないことは明らかで、ワールド トライアスロンは、大腸菌レベルが水 100 ml あたり 500 未満である良好レベルの水質であり、逆に、濃度が 1,000/100 ml のしきい値を超える場合、遊泳エリアの質は低いとされているところ、月曜日には1,553/100 ml だった数値が火曜日に実施された分析では100mlあたり687/100 ml であったと報告していますが、その後にイル・ド・フランスに降った大雨などを考慮して、おそらく、次の火曜日には、大腸菌濃度が 868/100 ml から 2,870/100 ml の間で変動すると予想しています。

 しかし、こんな結果を予測する以前に、先週、パリオリンピック・トライアスロン競技に参加したベルギーのトライアスロン選手が、大腸菌感染症により、入院し、ベルギーのトライアスロンチームから、怒りの声が高まり、抗議の声明文が出ているそうです。

 何も、クレームを入れたいのは、ベルギーだけではないだろうけれど、実際に入院しなければならないほどの体調不良。しかも、アスリートにとっては、体調管理には、日頃から特別に気を使って生活しているだろうに、競技に参加したことで体調を崩し、その後の混合リレーを辞退しなければならない事態とは、大問題です。


 この体調不良を訴えているのは一人ではなく、一回目の競技に参加した他の選手にも胃腸感染症のために混合リレーを辞退する選手が複数人存在していると言われています。

 フランスがセーヌ川にこだわりたい気持ちはわからないでもありませんが、しかし、それは、せいぜい開会式のセーヌ川上のパレードまでで、選手の健康に明らかに危険が及ぶのは、一目瞭然のセーヌ川でのトライアスロンは、やはり、やり過ぎで、もはやこのオリンピックがフランスのためのものであると言われても仕方がない気がしてしまいます。


セーヌ川トライアスロン選手入院


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2024年8月4日日曜日

サン・ドニのオリンピックパークにドッキリ!・・選手村とは全然違う本当のサン・ドニ

  


 先日、サン・ドニのオリンピック選手村のあたりを見に行って、「ほんとに、これがサン・ドニ???」と思うほど、きれいなビルやきれいな街に仕上がっていてビックリしたばかりでした。

 しかし、一方では、現在は、ほぼほぼオリンピック関係者が占領しているうえに、ものすごい警戒で、この人たちがいなくなって、本来の住民が戻ってきたら、どうなるのだろうか?と懸念のようなものも同時に抱いていました。

 このオリンピックが始まってから、たまに駅のホームなどで「LE PARC DES JEUX」(オリンピックパーク)の広告が出ていて、なんか、屋外の緑の中の絵がなんか魅力的な感じで、オリンピック開催中、一度は行ってみたいな・・と思っていました。



 広告のイメージと「オリンピックパーク」という名前とで、「オリンピックパーク」=「オリンピック公園」、そして、その先はさらに私の勝手なイメージだったのですが、私にとってのオリンピック公園は、「駒沢公園」で、小さい頃から、「昔、ここでオリンピックが行われたのよ・・」などと言われながら、よくサイクリングコースに行ったり、プールに行ったりしていた馴染み深いものでした。
 
 今回のオリンピックパークも私にとっては、なんとなく、駒沢公園のフランスバージョンみたいな気分ででかけたのです。

 しかし、実際には、公園自体は、駒沢公園などより、ずっと広い森の中にある一部のスペースで、大きなステージができていたり、みんなでオリンピックを観戦できる巨大スクリーンが設置されていたり、エレベーターで登れる展望台ができていたり、実際のオリンピック競技を体験できるような施設がいくつもできていて、オープンエアの心地よい空間ではありましたが、あまりアクセスが良い場所でもないためか?そこまで混雑もせず、それほど賑わっている感じではありませんでした。

 ふだん、全く行かない地域のため、GoogleMapを頼りに出かけたのですが、駅からもけっこう歩くうえ、また、公園内も森の中にあるため、かなり歩きます。

 旅行などに行ったときに、ホテルなどを写真で見て予約した時に、実際に行ってみると、「あの写真、上手く撮ったもんだな・・」と思うような感じで、残念ながら、「オリンピックパーク」は、正直、期待外れでしたし、もちろん、駒沢公園を勝手にイメージした私は、「そりゃそうだわな・・」と帰途についたのでした。

 さて、帰ろうと思って、再びGoogleMapを開くと、いくつかの帰り道の提案が出てきたのですが、来たとおりの道を帰るのでは、つまらないし・・時間もあまり変わらないので、別の道(方法)で帰ろうと、別の駅までバスで出て帰る道を選択したのでした。

 バス停でバスを待っている人が数人いたのですが、その家族らしき人たちの服装を見て、一瞬、「ん??」と思ったものの、まあ、パリには色々な国の色々な人がいるしなぁ~、ああいう色の服、どこで買うんだろう?」などと思いながら、それよりも、「暑いな~早くバス来ないかな~?」とのんきに構えていて、少ししてやってきたバスに乗ったのでした。

 バスは私が乗ったときには、そこまで混んでいたわけではありませんでしたが、停留所を過ぎるたびに、少しずつ人が増えてきて、「ん??」と気が付いたときには、もうフランス人なんて、一人もいなさそうな感じでちょっとギョッとしました。もうそのバスの中だけ見たら、誰もここがフランスだとは信じられないだろうな・・と思いました。

 そして、「これが本当のサン・ドニなんだ・・」と実感したのでした。私自身も移民という立場なので、フランス人じゃないとか、移民は・・とか言えないことは重々、承知していますし、パリ市内にも移民はたくさんいるので、移民自体には驚いたりはしないのです。

 しかし、それにしても、そこは、ちょっといたたまれない空間で、ついこの間見た、オリンピック村のサン・ドニと、このサン・ドニ・・どちらが本当のサン・ドニかと言えば、きっとこっちが本当のサン・ドニなのだ・・と一人でバスの中でぐるぐると考えていました。

 いわゆる富裕層とは真逆の人々だけの空間で、また渋滞していて、なかなか進まないバスが通る道すがらには、「えっ?これ何時代の車両?」と思うような車両を使ったトラムが走っていて、あまりのパリ市内との違いに愕然としたのでした。
 奇しくもオリンピックのおかげで・・。

 日常、私は、パリ市内でさえも、自分の好きな場所に行きがちで、なかなかディープな感じの場所があることも知っているし(用事もないので行きませんが・・)、それにしても、そういうタイプ?の人が多めだな・・と思うことはあっても、ほぼほぼ、そのような移民しかいない感じの場所に来たのは、四半世紀もパリにいて、初めてのことでした。

 パリ市からは少し外れているとはいえ、そこまで遠くはない場所がこんなこととは・・むしろ、そう遠くないところが余計に残酷というか、衝撃的で、格差社会問題どころではなく、余計に闇が深い気もして、いつも事件報道などで、なにかと言えば出てくる「サン・ドニ」という場所は、これだったんだ・・と思いました。

 昼間だし、公共交通機関の中だし、特に危険な思いをしたわけでもないのですが、もはやパリではないどころか、フランスでもない・・そんな場所がパリからそんなに遠くもない場所にあって、その「サン・ドニ」という同じ町の中でさえ、天と地の差もある感じになっていることが、とてもショッキングだったのです。

 いつのまにか、パリから消えているあれだけいたのにどこへ行ったのか?と思っていた露天商もここにはいました。警察はいても、見逃している・・そこはいつものパリと一緒ですが、現在のパリとはまるで違います。まるで違う国のようです。

 聞くと見るとは大違いと言いますが、まさにそんな感じで、オリンピックパークのおかげで、そんなディープな本当の「サン・ドニ」の生の姿を見ることになったのです。


サン・ドニのオリンピックパーク


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