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2024年2月3日土曜日

伊東純也選手への性加害報道 所属先のスタッド・ド・ランスが公式リリース発表

 


 フランス・スタッド・ド・ランスに所属する日本人サッカー選手 伊東純也氏の性加害スキャンダルを受けて、所属先のスタッド・ド・ランスは、この事件に対する公式プレス・リリースを以下のとおり発表しています。

 「スタッド・ド・ランスは、今週水曜日に日本のメディアが伊東純也選手について行った報道と、同選手が起こした名誉毀損の告訴状に注目し、留意している」

 「日本人ストライカーの人間的資質と行動がクラブによって疑問視される必要があったことは一度もなかった。よって、彼は引き続き、スタッド・ド・フランスのメンバーとして在籍します」

 「メディアの報道を裏付ける司法調査が行われるまで、スタッド・ド・ランスは当局による調査を裏付ける情報を持っていません。 現段階でも現在に至るまで、クラブは伊東選手との団結を示している。 したがって、スタッド・ド・ランスは、疑惑の事実を明らかにする具体的な要素を待っており、関連する法的進展を細心の注意を払って追跡する予定である」

 「しかし、スタッド・ド・ランスはこのような重要なテーマを無視することはできず、この件に対して何のアクションも起こさないこと、あるいは沈黙を保つことを望んでいません」

 「クラブはここ数シーズンにわたってプロフットボールリーグと共同で実施してきた「女性に対するあらゆる形態の暴力との戦い」への取り組みを改めて表明し、すでにシーズンに向けて新たな啓発活動に取り組んでいる」と発表しています。

 日本でこのスキャンダルが報道されたのが水曜日、翌日には、伊東選手は、逆告訴し、スタッド・ド・ランスはこのようなプレスリリースを発表しています。早々に彼が逆告訴したのも、クラブへの説明と話し合いやアドバイスによるものとも思われますが、とにかく対応が早かったのには、驚き・・少し前に起こった性加害報道に対する日本の芸能事務所の反応と比べてみても、事実関係も異なるとはいえ、慣れているというか、賢明というか・・。

 実際に捜査、裁判の結果がどうなるかわかりませんが、彼がスタッド・ド・ランスに移籍したのは、2022年7月のことで、まだ彼がクラブに所属して1年半ほどです。しかしながら、「人間的資質と行動がクラブによって疑問視される必要があったことは一度もなかった」、「クラブは彼への団結の意を表している」とすぐに公式発表してくれることは、選手にとって、何よりも心強いことだと思います。

 これほどにクラブからの深い信頼を寄せられている彼が無実であることを祈るばかりです。


伊東純也性加害報道 スタッドランス フランス


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2024年1月28日日曜日

松本人志騒動はフランスでも報道されていた・・

  


 昨年末から日本で大騒動になっているらしいダウンタウンの松本人志さんの性加害問題については、時々、YouTubeで解説している映像などを見ていました。

 海外に出てから、ほとんど日本のテレビ番組を見ないために、知らないタレントさんが多くなってしまっている私でさえ、ダウンタウンは知っていたので、なんとなく気になって、そんな解説をしているYouTubeを目にしていました。

 何人かのユーチューバーがここぞとばかりに、次から次へと出てくる告発者の証言などを紹介しているなかに、「ついに、この話題はフランスでも報道されているようです!」という説明していて、「えっ?フランスでもやってるの? 夜のテレビのニュースでは見てないけどな・・」(私は、テレビはほとんどニュース番組くらいしか見ていないので・・)と思ったら、本当にいくつかのメディアで報道していました。

 いわゆるゴシップ紙ではなく、大手仏紙 ル・モンド、フィガロまで書いているのにはビックリ! その他、TF1(テレビフランス1)のテレビ番組やラジオフランスの番組でもやっていました。

 テレビの方は、10分強の扱いでしたが、日本での松本人志氏が大変、人気のある30年以上のキャリアを持つコメディアン、俳優、プロデューサーでもあることを説明したうえで、週刊文春の報道の内容や社会の反応など、やはり昨年、BBCの報道以来、大騒動を巻き起こしたジャニーズ事務所の性加害問題にも触れつつ、これまでこれらの問題には、口をつぐんできた日本にも、ようやく#Me Too 運動の波が巻き起こり始めていると紹介しています。

 映像は、多くのこの件に関する日本の番組の映像が切り取りで使われており、巻き沿いを食って仕事を失いたくない彼の事務所の仲間(と辛口な説明)が曖昧なコメントをしている様子や、加えて、これは過去の話でも被害者の立場にたって、きちんと扱うべきであると証言している指原莉乃さんの証言や、吐き気がすると話している上沼恵美子さんが証言している映像も併せて使われていました。

 新聞となると、もう少し広い視点での扱いで、日本の芸能事務所の在り方やマスコミについても疑問を投げかけている内容で、これらの報道に対して、テレビはこの告発報道に対して消極的であることの理由も説明しています。まさにフランスだとそれはそれで、別に騒ぎになりそうな「言論の自由」についてです。

 どうも、フランスの新聞は、この日本のマスコミの在り方については、以前の別の問題、例えば、安倍元総理の襲撃事件の際の報道についてなどについても、マスコミが機能していない問題を厳しく指摘しており、日本の言論の自由、報道の在り方については手厳しく批判的な書き方をしています。

 彼の所属する事務所「吉本興業」は約6,000人のアーティストを抱える日本のテレビ・エンターテイメント業界に大きな権力を持つ事務所であり、テレビチャンネルはこの会社に大きく依存しており、彼らなしには多くのテレビ番組が存在しなくなるために、彼らの中には、真のオメルタ(沈黙の掟)があると説明しています。

 日本の芸能事務所がこのアーティストたちを全て管理する準封建的な歪な制度であることとともに、日本のテレビはこの巨大化した権力に対しての扱いに四苦八苦している・・と。

 また、日本では、この性加害に対する告発は、非常に少なく、警察に届け出がなされる件数も年間1,300件ほどしかなく、日本の刑法が合意のない性行為を強姦と認めたのは、ほんの数カ月前のことである・・と。

 フランスでもついこの間、有名俳優ジェラール・ドパルデューの性加害問題で彼からレジョンドヌール勲章を剥奪するか否か?という問題で大騒動になったばかりです。

 しかし、フランスのマスコミは、彼に関する報道をテレビでも忖度なしに報道しています。

 #MeToo 運動は日本で軌道に乗るまでに多くの困難を伴いましたが、ここ数週間でこの運動は一気に加速していると被害者の女性が声をあげたことに対して好意的に報じています。

 他の国での報道についてはわかりませんが、ここまで有名になっては、少なくともフランスに進出しているメーカーなどは、おそらくスポンサーから外れることは間違いありません。


松本人志性加害


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2024年1月27日土曜日

長年の夢だったことをちょっとだけやってみた・・

 

 私が初めて、海外生活を送ったのは、イギリスのロンドンで、それも、もうかなり昔の話になりますが、最初の頃は、様々な文化の違いにいちいち、「は~~っ!は~~っ?」と驚くことがたくさんありました。

 ロンドンの後は、しばらく、日本に帰国して、日本で働いていたのですが、その後、パートナーの都合から、なんとアフリカ(コートジボアール)で生活することになり、まあ、アフリカは、想像どおりにロンドン以上に驚くことばかり、まるで別世界で、以前の日本の人気番組であった「なるほどザ・ワールド」をライブで見ているみたいだ・・と思いました。

 その後、夫の転勤のために、パリでの生活が始まったわけですが、その時は、もう子供もいて、初めての子育て、しかも、海外で・・ということで、国の文化がどうこう以前に、もう必死な毎日でした。

 イギリスとフランスを一緒にすることはできませんが、それでもアフリカや日本と比べれば、似ているところも多いのです。

 最初にロンドンで「ほ~っ!」と思ったことの一つは、人々が公園に寝転がったり、散歩したり、本を読んだり、ピクニックをしたりと、気楽にとてもくつろいでいて、彼らにとって公園がとても楽しそうな場所であることでした。

 東京で、忙しく暮らしていた私にとっては、公園というものは、ほとんど無縁の場所で、公園で楽しそうに過ごしている彼らが、理解できないような、でも、反面は羨ましいような、不思議な気持ちでした。

 ロンドン市内には、ハイドパークとかリージェンツパークとかグリーンパークとか、けっこう大きな公園がありますが、そんな公園を人々はけっこう憩いの場にしていて、冬でも芝生が緑だったり、ちょっとした噴水や池などにも、いい大人が水遊びしていたり、時には行水までしていて、ちょっとしたカルチャーショックでもありました。

 パリに来てからは、たまにヴァンセンヌの森に行ってボートに乗ったり、チュイルリー公園などを散歩したりもしましたが、それは、子連れということもあって、とにかく娘の有り余るエネルギーを発散させるためで、私にとっては、思い起こせば楽しい思い出ではありますが、とてもリラックスして・・いう感じではありませんでした。

 一度、チュイルリー公園に行った時に、勢いよく走りだした娘について行けずに、遠くから、「気をつけてよ~~!」と叫びながら、娘の姿を追いかけていたら、高い石垣の上から娘が落っこちて、ギャ~~~ッ!もうダメだ!と思って、全速力で駆け寄って下を覗いたら、危機一髪、娘はその下に生えていた木にひっかかってぶら下がっており、その下に居合わせた男性が助けてくれて、「ほんとにラッキーでしたね・・」と言われ、肝を冷やしたことがありました。

 そんなわけで、公園といえども、私にとっては、たとえパリであっても、全くリラックスできる場所ではなく、また、娘が学校に行きはじめてからは、仕事と休みの日には、日常の買い物やお稽古事の送り迎えに追われ、公園どころではなく、バカンス期間は、どこか別の場所に旅行に出てしまうという公園とは無縁の生活を送っていました。

 最近になって、娘も独立し、たまに散歩がてらに大きな公園を歩いてみたりもするのですが、公園の様子は相変わらずで、休日はもちろんのこと、平日でさえも、そこそこ大勢の人が楽しそうにゆったりと時間を過ごしていて、私もたまには、天気のいい日に本でも持って、オープンエアの空間でゆっくりしてみよう・・とずっと思っていました。

 今回は、わざわざ読書するために行ったわけではなかったのですが、たまたま近くに行くついでがあって、リュクサンブール公園の近くを通ったので、ふと思いついて、ちょっと歩いて、ベンチに座って持ってる本でも読んでゆっくりしよう!と公園に入っていったのです。

 天気はよかったものの、やっぱり冬真っ盛りで、春や夏には緑に覆われている木々の葉っぱもなくなっていて、少々寂しい気もするのですが、その枝の張り方やその隙間から見えるパリの建築がまた、この季節ならではな感じでそれはそれで美しく、ゆっくり空いているベンチを探しました。

 備え付けのベンチと移動可能な椅子2種類があり(一つは座る用、もう一つは、背もたれがちょっと斜めになっていて、ちょっとうたた寝ができそうなもの)、そのうちの一つを見つけて座って、本を開きました。

 平日とはいえ、椅子はほぼ満席です。おしゃべりをしている人も多いのですが、昼寝をしている人もいれば、本を読んでいる人も絵を描いている人もひたすらボーっとしている人もいます。

 私はとても本が好きで、若い頃は常に本を1~2冊持っていないと不安なくらいでした。フランスに来たばかりの頃は、住まいがパリ郊外で通勤にも時間がかかっていたのですが、電車の中ではもっぱら本を読んでいましたが、パリに引っ越してきてからは、通勤時間が短くなったものの、逆に電車に乗っている時間が減ったために、読書量ももっぱら減ってしまいました。

 家に早く帰れるようになったので、その分、時間ができたわけですが、家に帰ったら帰ったで、じっくりと落ち着いて本を読む時間がとりにくくなるのも皮肉なものです。

 そんなことを思いながら、お天気の日に公園で暑くもなく、寒くもない時期に、ほどよい雑音の中に身をおいて、本を読むのは、想像以上に気分のよいものです。

 久しぶりにリラックスして本を読んでいると、やっぱり心が落ち着いてくるような・・そういえば、長い間、本は私にとって精神安定剤のような役割を果たしてきたんだったな・・と思いだした気分にもなりました。

 聞こえてくる言語を聞いていると、けっこう外国人も多いみたいで、なるほど観光客も来るところなんだな~と思いながら、しばし、午後の優雅な時間を過ごしました。

 あっという間に時間が経って、気が付けばうすら寒くなってきて、早々に引き上げることにしましたが、こんな感じの時間の過ごし方もなかなか良いな・・と思いながら、バスで帰ってきました。

 帰りのバスが事故のために渋滞し、途中でバスをおろされるというハプニングはありましたが、よい週末の午後でした。


リュクサンブール公園 


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2024年1月26日金曜日

今さらだけど、とっても大切な挨拶とありがとう ボンジュールとメルシー

  


 私が子供の頃は、誰かの家を訪れたりすると、母親に必ず、「ちゃんとご挨拶した?」と念を押されるのがとっても嫌でした。私は、子供の頃はとても内気で、人見知りで、あまり、知らない人に会ったり、人に溶け込むことが苦手でした。

 それでも、誰かのお宅にお邪魔したりした時には、「ちゃんとご挨拶しなさい・・」という母親の言いつけはちゃんと守っていて、言われたとおりにしているのに、そのたびに、これ見よがしに「ちゃんとご挨拶した?」と言われることに、いつまでも挨拶ができない子供のように扱われていることがとても嫌で、母としたら、あたりまえのことを言っていて、悪気はなかったとは思うのですが、そんな風に、毎度毎度、確認されるために、なおさら、他人の家を訪れたりすることが、ますます嫌いになったのです。

 どんな親でも、しっかり挨拶をすることや、「ありがとう」、「ごめんなさい」を言うことは、一番に子供に教えることだと思うのですが、これが、大人になると、意外とおろそかになりがちなところもあるけど、シンプルだけど、とっても大切なことなんだな・・と最近、あらためて、思うのです。

 特にフランスにいると、挨拶は、ほんとに大事だな・・と思うことも多く、また、その機会も多く、まあ、簡単に言えば、「ボンジュール」の一言なのですが、例えば、見知らぬお店に入ったりしても、お店側はもちろん、「ボンジュール」と言ってくれますが、お客さんの側も「ボンジュール」と挨拶するし、この「ボンジュール」を言わないのは、微妙な感じに受け取られるような気がします。

 見知らぬ人と目が合っても、さすがにボンジュールとは言わなくても、ニッコリ微笑みがえしてくれるのは、感じのよいものです。

 ごくごく親しい人に対しては、「サリュー!」とか、「サヴァ?」とか、気安く声をかけることもありますが、「ボンジュール○○(相手の名前)!」、それほど親しくない場合は、「ボンジュール マダム」とか「ボンジュール ムッシュー」と挨拶します。

 このボンジュールにマダム・・とか、ムッシューをつけるのは、娘が小学校の面接試験のときに、「ボンジュール!」と元気よく挨拶した娘に、大変、厳しそうな女性のディレクトリス(校長先生)に、「「ボンジュール」ではなく、「ボンジュール マダム」と言うのですよ・・。」と静かに諭されたという話を聞いて以来、お行儀よく、丁寧にあいさつする場合は、きちんとマダムあるいは、ムッシューをつけて挨拶しなければならないんだな・・と親の私があらためて肝に銘じて学んだことでした。

 私は、バスを利用することが多いのですが、バスに乗るときに運転手さんに「ボンジュール」と挨拶をする人も多く、すごい人だと降りるときにわざわざ、「メルシームッシュー!」と運転手さんに声をかけて降りる人もいます。

 この「ボンジュール」と挨拶することで、ちょっと空気が和らぐような気がするというのもちょっと大げさではありますが、小さなほんの一瞬の人間関係でも基本です。

 ちょっとでも関わる人との人間関係の基本はこのほんの一言、「ボンジュール」と「メルシー、メルシーボクー」、これを言われて嫌な気がする人はいないし、もしも、フランスに旅行に来ることがあったら、たとえ、フランス語ができなくても、これだけは、心がけた方が過ごしやすいかもしれません。

 元気にあいさつができて、ありがとうって言えて、ごめんなさいと素直にあやまることって、今さらこんなおばさんになって仰々しく言うことでもないけど、にっこりと、これができれば、けっこうなチカラを発揮するもんなんじゃないかな?と思うのです。



ボンジュール メルシー


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2024年1月25日木曜日

フランスのニュースでも取り上げられている明治神宮外苑森林伐採問題

  


 今年は、能登半島での地震や羽田空港での飛行機事故のために、年明け早々から、フランスのニュースに日本が登場しました。

 その後、フランスでは、自国の洪水などの災害や内閣改造、また現在も次から次へと起こるニュースに日本の地震のその後の模様を追随するニュースは、あまり表だっては浮上してきていませんでした。

 それが、どういうわけか、ゴールデンタイムのニュースの枠の中に、東京の明治神宮外苑の森林伐採問題が取り上げられていて、ちょっとビックリしました。

 「東京の神宮外苑の銀杏並木はたいへん歴史のある場所で、銀杏の葉は東京のシンボルにもなっている。東京は、新宿区、港区、渋谷区にまたがる大規模な再開発計画で商業施設の入る高層ビルを建築するために、この場所に広大に広がる森林を伐採する計画になっており、多くの反対があがっているにもかかわらず、これを強行するようだ・・」といった内容のもので、この計画に対する反対の(おとなしく、大変、行儀のよい)デモの様子や、またミュージシャンなども反対メッセージを込めた曲を発表したりしていると、桑田佳祐さんが歌っている映像が一部、流れたりしました。

 インタビューを受けているこの計画に反対している人によると、「これは、公共の場でありながら、開発は民間企業が主導しているものなので規制が難しい・・」というようなことを話していましたが、これは、ちょっとフランス人には理解しがたい話で、フランスでは、たとえ民間の事業であっても、その再開発が公益が損なわれるものであってはならないために、政府のチェックはとても厳しく行われ、まず、政府の許可は下りないのがふつうです。

 だいたい、今は、環境問題が何よりも厳しく叫ばれる中、緑化していく方向ならばともかく、古く歴史のある森林、樹木を1,000本近くも伐採するなど、どう考えても世界的にも時代に逆行する話です。新宿区、港区、渋谷区には、もうすでに商業施設はあり過ぎるくらいあり、今、必要なのは、森林であるのは明白なことなのです。

 そもそも、日本はCO2排出量トップ5に入っている国、中国、アメリカ、ロシア、インドなどの大国に比べて、日本はとても小さい国なのに、この不名誉なトップ5に入ってしまっているという現実をどう考えているのでしょうか?

 少し前に、自宅周辺の再開発計画があるので、周辺住民に説明の集会があるというので、「えっ??まさか、工事期間は追い出されたりするわけ?」と心配になって、参加したのですが、これは、現在、在住している人には、迷惑が及ばないように工事は進められるということで、ホッとしたのです。

 それでも、一体、こんな工事、どうやって一体いつになったらできるのやら?と思うほど、美しく再開発された完成予想図のようなものを見せてくれたのですが、「このあたりがこんなになるの?」と緑があちこちに増やされていることにもビックリしたくらいでした。

 たとえば、パリ市内にあるリュクサンブール公園やチュイルリー公園、また、ブーローニュの森やヴァンセンヌの森の森林を伐採するなどは、絶対にあり得ないことで、住民、環境保護団体はもちろんのこと、国も絶対に許可する話ではありません。

 昨今の地球温暖化、異常気象を考えれば、今、必要なのは、どう考えても商業施設の入る高層ビルではなく、森林なのです。これを増やすならともかく、伐採するなど狂気の沙汰で、海外の国々が口出しできる話ではないとはいえ、日本という国の現在の地球環境問題に対しての認識の低さを露呈する話になります。

 すでに、フランスでもゴールデンタイムのニュース番組でも扱われているということは、遠く離れた国とはいえ、やはり問題意識を持って注目されているということです。

 様々な問題において、「海外では絶対に許されない!」と言われることで、日本もそれにならって、態度を改めていくことが、最近は、よく見られるようなので、この森林伐採問題についても、海外のメディアも、すでに目を光らせているということを日本政府も少しはわかっておいた方がよい気がします。

 あまりに常識外れなことをしていると、G7のメンバーなどと大きな顔をしていても、軽蔑されて、対等にお付き合いしてもらえなくなります。


明治神宮森林伐採問題


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2024年1月24日水曜日

ブーランジュリー ワールドカップ 16年ぶりのフランス優勝

 


 今年、行われた「クープ・デュ・モンド・ブーランジュリー」でフランスが優勝したそうで、しかも、優勝は16年ぶりということで、「あらら・・パンの国 フランスがそんなに優勝していなかったの?」と、そっちの方にちょっと驚いた次第です。

 その書かれ方が今年は、「フランスチームが日本、韓国を押さえて堂々、優勝!」とあったので、日本も入っていたのか・・と思ったら、今年、日本チームは3位だったようです。

 このいわゆるパンのワールドカップのような催し物は、ヨーロッパ見本市の一環として、2年に一度、開催されているそうです。

 そうでなくとも、バゲットコンクールとか、クロワッサンコンクールなど、毎年、行われているコンクールもけっこうあって(多分、パリ市がやっているものだと思いますが・・)、正直、このワールドカップの方は、これまで見逃していました。

 というのも、おそらく、フランスが優勝しなかったために大々的に取り扱われなかったため、なんとなく見逃してしまったのかもしれません。

 この職人技を競うような大会には、どの分野でもめっぽう強いイメージのある日本ですが、やはりパンの世界でも、その力量をふるっているのは、間違いないようです。

 この大会は、2日間にわたるもので、各チームがパン、ヴィエノワズリー(ペストリー系?)、芸術作品の3つの項目を披露するもので、今回優勝したのは、フランスのリヨン出身のパン職人だったようです。

 しかし、美食の国フランス、その中でもパンはある種、象徴的な存在でもある国としては、こんなにも長い間、優勝できなかったことは、フランス人のプライドが傷つけられる不快なものであったことは、想像に難くないところでもあります。

 ある記事には、パンは私たちの一部であり、キリアン・ムバッペやエッフェル塔と並ぶ国家の誇り! その最も美しい象徴であるバゲットは、2022 年にユネスコによって無形文化遺産に登録されている!

 にもかかわらず、この30年間で、フランスがカップを持ち帰ったのはわずか3回だけ、しかも、2008 年以来、フランスのチームがこのタイトルを獲得できなかったこの不快感をどう説明すればいいでしょうか? 」と書かれています。

 その原因として、この間に躍進してきた日本や韓国などのアジア勢のパン職人に対して、「彼らは私たちが想像もしないようなことをするのです」とフランス人にとっては伝統があるがゆえに思いつかない創造性に長けていると説明しています。

 また、物価の上昇や困難な労働条件などから、パン職人を志す人が減少しており、優れた職人が育ちにくくなっていることも原因の一つに挙げています。

 たしかに最近、日本に行くたびにパン屋さんが増えていることに驚かされますが、日本で売っているパンとフランスで売っているパンは、タイプが違うように思いますが、個人的には、フランスは、やっぱりパンはかなり美味しいお店が多いので、充分、満足しているために、日本に行った時に、他に食べたいものが山積みのキツキツのスケジュールのなか、わざわざパンを食べることがほとんどないので、日本のパンがどれほど美味しいのかは、正直、わかりませんがパン職人が減少していると言われるフランスに比べて日本はパン職人は増えているのではないか?と思うのです。

 しかし、フランスのブーランジュリー協会にとっては、「このフランスチームの優勝により、パン屋のノウハウを強調し、エネルギーや原材料の価格高騰、持続可能な開発、人材採用など、多くの課題に直面している業界全体を勇気付けることができます」と前向きに述べています。

 同時にフランスパン・ベーカリー・パティスリー全国連盟会長は、日本、韓国、台湾などには、非常に良い際立っている職人がいることも認めています。

 もともとあるものを真似して、それに新しい創意工夫を凝らして改良するのは、日本人の得意とするところでもあり、小麦粉と水という基本的な材料に地元のシリアルやオリジナルの食材を使って無限の創造性の息吹を吹き込み独創的なものを創り出す。

 彼らには想像力が豊かで異なる食文化を持つからこそ生み出す力があり、それこそが、フランスチームに欠けているもので、それがこれまで優勝から遠ざかっていた原因でもあると指摘しています。

 しかし、一方では、「フランスでは、依然として並外れたレベルの店舗が存在する」と豪語もしており、それには、私もやっぱり大きく同意するところでもあります。

 

ブーランジュリー ワールドカップ フランス優勝 


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2024年1月20日土曜日

フランス政府 電気自動車リース 月額100ユーロのオファー

 


 マクロン大統領が3週間で90,000人月から額100ユーロの電気自動車リースの申し込みがあったことを報告したことから、そういうサービスがあったことを知りました。

 欧州議会は、昨年の段階で、2035年には、内燃機関搭載の新車販売を禁止し、EU圏内のガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売を事実上停止し、欧州全体で、本格的に電気自動車に切り替えていく方針を決定しています。

 そんなこと言ったって、そもそもフランス人は、リッチな人は別として、一般的には車を探すのは、中古車から探すのがふつうで、 こんなこと決めても、そんなに簡単に変わらないだろうな・・と私は思っていたのです。

 そもそも、パリに住んでいれば、メトロもバスもあるし、車で出かければ、かえって駐車スペースを探すのに苦労するくらいだし、また駐車した車がいつどんな目に遭うとも限らないので、車の必要性を感じません。

 それでも、夫は、車が好きだったので、ほんの短距離にもかかわらず、車で移動したがる人だったので、車を持っていましたが、夫が亡くなってからは、車は手放してしまいました。

 大荷物で旅行する日本へ行く時などに頼む車の運転手さんなどは、車を持つのは、ほんとうにお金がかかりすぎるので、絶対、必要ないよ!などと力説する人だったりもしたし、実際、日常的に車は全く必要性を感じないので、私は車は持っていません。たまに旅行したりした時にレンタカーを借りるくらいです。

 しかし、郊外や地方に住んでいる人にとっては、車なしには、通勤できない場合もけっこうあり、娘が一時、日本の大学への留学をパンデミックのためにドタキャンされたために、ブルターニュのド田舎にある研究所でスタージュをしていたことがあって、本当に通勤に大変な思いをして通っていたことがあり、その研究所に併設された工場などでは、ほぼ全員が車で通勤しているとかで、そういう地域では、車は必需品なのです。

 これまでも電気自動車を購入する場合は補助金が出るということも行われてきたのですが、今回のリースはさらにお手軽感があり、そういった車が不可欠な地域などの人々にとっては、月額100ユーロの電気自動車リース(ファミリータイプの車の場合は150ユーロ)は、なかなかメリットがありそうな制度です。

 しかし、現在のところは、低額所得者を対象としているようで、このリースを利用できるのは、収入が15,400ユーロ未満であり、通勤に必要な場合は、自宅から15km以上離れたところに住んでいることなどの雇用主からの証明書が必用であり、そうでない場合はセキュリテソーシャル(社会保障制度)の証明書が必用になります。

 この契約期間は少なくとも3年間以上、契約終了時には、車を返却するか、残金を支払えば、その車を購入することもできます。

 現在、フランス政府は、いくつかの車のレンタル会社と車のメーカーとの契約を締結しているそうで、車は、シトロエン、フィアット、ジープ、日産、オペル、プジョー、ルノーが揃っているそうです。

 ここで、気付いたのは、トヨタが入っていないこと・・トヨタが電気自動車に遅れをとっている話は、聞いていましたが、こんなところにも表れているとは、ちょっと愕然とします。

 ともかくも、最も車が必用な人々で、しかも低所得者層で電気自動車に手を出しにくそうな人々をこのように電気自動車に誘導していくことで、フランスでの電気自動車の割合は、増加していきそうな気がします。

 2035年という目標を絵にかいた餅にしないように、色々な取り組みを行っていて、未来に向けて、どんどん変わっていくんだな・・ということを実感しています。 


電気自動車リース 月額100ユーロ


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「フランス人と車」












2024年1月18日木曜日

ゼロユーロ紙幣発売 ゼロユーロはいくら?

  


 2月にゼロユーロ紙幣が限定発売されるという話を聞いて、「へっ?ゼロユーロっていくらなんだろう?」とへんな感想を持ちました。

 今回は、ノルマンディー上陸作戦80周年を記念したものということで、3,000枚が発行されるそうで、従来の紙幣と同じ品質を維持し、透かし、セキュリティスレッド、特殊インク、さらには、固有のシリアル番号などのセキュリティ機能が供えられているゼロユーロながら、ホンモノの紙幣?なのだそうです。

 2月販売開始で7月発行予定ということですが、当然、ゼロユーロということで、法定通貨ではありますが、金銭的な価値はなく、使用することはできませんが、コレクターの間では、人気を呼んでいるもののようで、希少性があるために、後に、コレクターの間で、高値をつけることがあるかもしれません。

 私は全く知らなかったのですが、このゼロユーロ紙幣は2015年から存在しているそうで、これまで2,500を超える異なるデザインのゼロユーロ紙幣が30ヵ国で発行されているようです。

 現在のところ、ゼロユーロ紙幣の価格は発表されていないようですが、これまでの前例からすると、1枚5~10ユーロ程度のようです。

 これまで記念切手や記念コインなどの類は見たことがあり、現在は、パリオリンピック記念コインなどがオリンピックオフィシャルショップやネット上などでも販売されていますが、どれも実際に使用できる値段がついているもので、この「ゼロユーロ紙幣」という発想は、ホンモノなのに使えないという、紙幣であって紙幣ではないような妙な存在です。

 フランス向けのこのゼロユーロ紙幣の見本には、「我が国を解放するために団結したすべての国の男女に敬意を表します」というマクロン大統領の口から出てきそうな一文が書かれています。

 フランスやヨーロッパはこういった過去の歴史を讃えるようなものを造ることが好きなんだな~と思いますが、フランスとヨーロッパの歴史におけるこの出来事の重要性を非常に詳しく説明しており、ド ゴール将軍、ナポレオン、ヴェルサンジェトリクスからパンテオンなどに特に敬意を表するデザインなのだそうです。

 販売は先着順ということで、3,000枚限定なので、あっという間に売り切れるものだと思いますが、個人的には、せめて20ユーロ紙幣とか50ユーロ紙幣にすれば、もっと高く売れるし、使用することもできるのに・・(パリオリンピックの2ユーロの記念コインは5ユーロで売っていた・・)とい、の歴史的遺産を使うことなく、過去の遺産の断片として、この遺産を保存することなのだそうで、なんだか独特な美学というか、ヨーロッパらしい気もするのです。

 しかし、ここ数年、両親亡きあと、実家の片付けをしている私は、「へ?なんでこんなものがあるの?」というものに紛れて、記念切手や記念コインなどの部類のものを見つけても、そのうち、どっかで売れるかな?などと思って持ってきてはいても、結局は、また、どこにしまったかわからなくなってしまっているという・・この連鎖は私がいなくなった後も続くような気がしているのです。


ゼロユーロ紙幣


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2024年1月17日水曜日

マクロン大統領の大規模記者会見生中継の圧倒的な存在感

  


 マクロン大統領が記者会見を行うという予告は、数日前から公表されていました。しかし、プレス・カンファレンスというだけで、それが一体、どのようなものなのかは、具体的にイメージしていませんでした。

 この記者会見は夜20時15分からというゴールデンタイムに行われ、驚くことに、主要各局は、ほぼ全局、生中継、加えて、X(旧Twitter)、YouTube、Instagramなど、ほぼあらゆるメディアで同時生配信とそれは、それは大規模なものでした。

 約百人の報道陣をエリゼ宮に招いての記者会見は、その会場自体も煌びやかで華やかでもあり、絶対的な威厳を感じさせるものでもありました。

         


 マクロン大統領は、ほぼ予定どおりの時間に登場し、まず、冒頭に「これまでの6年半の大統領としての歩みを経て、私たちは、どこから来て、どこへ行くのかを国民の皆様に伝えるためにこの機会を設けました」と話しはじめ、「わたしたちは、もっと団結していけば、フランスはこの激動の世界でさらに強くなるでしょう」と軍事力強化について語り、また、子ども、市民教育の重要性、教育部門の強化、学校での演劇の授業の必修化、制服導入の試験的試みや、原子力、再生可能エネルギーの増加、購買力増加、税金、インフレ問題などについて、饒舌に20分程度、語りました。

 マクロン大統領は、大変、お話が上手なのには、もう国民も慣れ過ぎている感じもあり、まあ、正論だし、そうなったらよいけど、現実はそう簡単にうまくはいかないよね・・と思ってしまうところがあって、今回もそんな感じに終わるかと思っていました。

 しかし、実際は、その後がマクロン大統領の本領発揮の見せどころだったのです。

 結局、彼が何人の記者からの質問に答えたのかは、数えていませんでしたが、相当数の質問に答え続けたこと、トータルで2時間15分程度、ある程度の想定質問に対する答えは用意していたであろうものの、どこからでもどうぞ・・とばかりに、あらゆる質問に対して、淀みなく余裕でしっかりと自分の言葉で答え続け、ここのところ、大抜擢されたフランス史上最年少のガブリエル・アタル氏に注目が集まっていたところに、大統領として、絶対的な能力をこれでもか?とばかりに見せつけた感じになりました。

 最初は、新しく任命された首相や大臣の面々も控えていたので、途中、助け舟を出すこともあるのかと思いきや、全く彼一人で対応し続け、大統領が全てを統治していることを圧倒的に披露したような感じでもありました。

 おまけに、これは、SNSも含めたフランス全メディアで生放送、失敗は許されない大勝負でもありました。

 これに臨むということは、なんという自信!そして、この会見のあいだ中、本人もかなり楽しんでいるようにも見える・・実際に彼は、こういう舞台が楽しいのではないかと思います。

 準備はしているだろうとはいえ、もう喋り出したら、勢いづいて止まらないとばかりにものすごいテンションで語り続ける話術は、やっぱりすごいな・・と感心させられた次第です。

 日本の総理大臣も国民の信頼を回復したいのなら、一度でいいから、こんな記者会見をやってみせてもらいたいものです。


マクロン大統領記者会見


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2024年1月14日日曜日

2024年 フランスは年間1億人以上の観光客を目指す

  


 フランスは世界一の観光客数を誇る観光大国で、昨年も堂々、観光客数第一位にの座を獲得したことをマクロン大統領は誇らしげに公表し、特に今年は、オリンピックを機にフランスの美しさ、素晴らしさを大々的にPRして、さらなる観光業界の飛躍を期待しています。

 ここ数年では、2019年に観光客数約9,000万人を記録して以来、パンデミックのために、ガックリと低下していましたが、2022年には、約9,300万人(INSEE発表)と2019年を上回る好調な盛り返しを見せ、2023年分はまだ、はっきりとしたデータが出ていませんが、それ以上の数字が見込めるのではないか?と見ています。

 2024年はオリンピック・パラリンピックを控えている年でもあり、マクロン大統領は声高らかに1億人以上の観光客を!と宣言しています。

 1億人と聞いて、まあ、なんとまた大仰なこと!と思ったのですが、オリンピック・パラリンピックでは1,600万人以上の観光客を見込んでいるために、昨年、一昨年の数字を維持できて、プラス1,600万人を加えれば、1億人は下らない計算になるので、あながち大風呂敷を広げたわけでもないようです。


 マクロン大統領は、自らのSNSでこのフランス観光をアピールする投稿をして、フランスの観光業界を一層盛り上げていくことを宣言しています。なんとも、目がチカチカするような映像ですが、心意気は理解できます。

 フランスの観光収入は決して侮れないもので、フランスの年間観光消費額は、約2,000億ユーロ(約31兆4,000億円)、GDPの 約7.5%以上を占め、その 3 分の 1 は海外からの観光客によるものと言われています。

 また、この隆盛をもって、フランス政府は、毎年1億人の観光客を呼ぶフランスの観光業界をフランスのダイナミズムを示すものであるとし、観光客を呼び込むだけでなく、多くの海外投資家に対しても、さらなる投資を呼び掛けています。

 年間1億人といえば、フランスの人口の 1.5倍相当にあたるので、これだけの人々が、フランスに来てお金を消費していってくれるということは、凄いことです。

 今年は、オリンピック・パラリンピックもあるだけでなく、大惨事で焼け落ちたノートルダム大聖堂の公開も再開されます。

 ここのところ、工事のために不便な思いをすることも多いのですが、フランスが人気のある国になって、多くの人が訪れてくれることは嬉しいことです。

 以前は、「パリなんて、行ったことあるし・・もういいかな・・」などと、言われてしまうことも多かったのですが、ここ数年でパリもずいぶん変わりました。一度来たことがある人でも、見どころはたくさんあるし、昔なら、「ここはフランスなんだからフランス語で話せ!」なんて言われている観光客を見かけたのも、うそみたいに、多くの人が英語でも話してくれるようになりました。

 日本からだと、時間もお金もかかると思いますが、どちらも余裕がある方はぜひ、パリに来てください!


観光大国フランス 観光客1億人


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2024年1月10日水曜日

フランス新首相にガブリエル・アタル氏就任 史上最年少34歳の首相

  


 エリザベス・ボルヌ氏の首相辞任が伝えられていた日の段階で、次期首相は翌日、発表されるとのことでしたが、大方の予想では、彼が新首相に任命されるであろうとの予想でしたが、そのとおりになりました。

 若干34歳という若い首相は、フランスでは、以前37歳で首相になったローラン・ファビウスの記録を大幅に更新する若さです。しかも彼はどちらかといえば童顔で、歳よりも若く見えなくもありません。



 エリゼ宮での首相交代のセレモニー?で、どちらかといえば、年齢よりも老けて見えなくもないエリザベス・ボルヌ氏と並んでいる様子を見ると、親子?ともすると、孫?くらいの年齢差に見えなくもありません。

 彼が、2018年の国民教育・青少年大臣の国務長官として政府の中枢に登場したのは、若干28歳の時です。その後、政府報道官などを経て、首相に任命される前までは、昨年7月から国民教育・青少年大臣として、学校内でのアバヤ着用問題や、いじめ問題などに、かなりわかりやすい形で、どんどん新しい取り組みを進めていました。

 私が彼の存在を認識したのは、2020年、彼が政府報道官として公の場に立つことが増え始めた頃でしたが、当時は、「なんだか生意気そうな男の子だな・・」という印象でした。

 しかし、そのようにして、公の場に立つ機会が増えるにつれて、彼の言葉の力強さやエネルギッシュな姿勢、特に、その後、別の報道官に代わってから、逆に、「あら?彼の方が話が上手だったかも・・?」などと、私が言うのもおこがましいのですが、なんとなく、彼を見直すような感じを受けたのを覚えています。

 なんといっても、彼はマクロン学校の優秀な生徒と言われるほどの人物で、大統領の大筋を外れることはないところが、彼が首相に任命された大きな理由の一つでもあると言われていますが、一方では、彼は、現在、世論調査によると、フランスで最も人気のある政治家と言われており、マクロン大統領が今後の任期を遂行するために、彼の人気を取り込もうとしたという見方もされています。

 発信力、行動力も抜群で、力強く、エネルギッシュではありますが、若いだけあって、どこか危うさを感じないでもありませんが、とにかく若い人材が力強く国を動かしていく人材として登用されるフランスが日本人としては、非常に羨ましい気持ちです。

 また、彼は同性愛者であることを公表している政治家でもあり、先代の女性の首相登用に続いて、LGBT問題に対するマクロン大統領のアピールもあるかもしれないとも思うのです。

 これから新しい政権の人事(大臣級クラスの人事)が続々と発表されますが、間違いなく、彼のもとに続く大臣の面々は、間違いなくほぼ全員、彼よりも年長なはず。

 内心では、おもしろくない気持ちのある人もいるだろうし、嫉妬もあるかもしれません。

 しかし、若い人材が政府の中枢に入り、様々なことを学びながら、力強く将来のフランスを担う一人になってくれる機会が得られたことは喜ばしいことだし、日本も少しは、若い人材が活躍できる政治の場を築いてくれたらいいのに・・と思うのでした。


ガブリエル・アタル首相 34歳


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2024年1月9日火曜日

エリザベス・ボルヌ首相辞任 

  


 女性として2人目のフランスの首相に就任したエリザベス・ボルヌ氏の辞任が発表されました。年が明けて、内閣改造を目論んでいるとされていたマクロン大統領は首相を交代させるという噂はありましたが、現実のものとなりました。

 フランス初の女性首相エディット・クレソンはミッテラン政権のもと、それまでの数々の大臣経験や率直な発言が評価されて、1991年に首相に指名されましたが、首相になるや否や、性差別的な非難や物議を醸す発言で安定した地位は保つことができず、10ヶ月ほどで辞任に追い込まれています。

 特に、ABCニュースのインタビューで、「同性愛は「ラテン」よりも「アングロサクソン」の風習に近い」と説明したことは致命的で、同性愛を認めるフランソワ・ミッテラン大統領を飛び上がらせたという逸話に加えて、同インタビューの中で、「フランスには日本のような黄色いアリはいらない」と答えたという話も日本人としては看過できない話でもあります。

 それから約30年後にエリザベス・ボルヌは首相に就任したわけですが、これは、彼女自身の力はもちろんのことですが、女性を首相に据えてイメージアップを図りたかったマクロン大統領の思惑が作用していたように思います。

 フランスのエリートにありがちな恵まれた家庭環境とは言い難い境遇に育ち、非常に努力してのしあがってきた彼女は、いわゆる真面目な優等生タイプの印象でしたが、首相就任に際して、女性として首相に任命されたことをとても喜んでいました。しかし、当初はやはり風当りが強く、早々に辞任届を提出か?などという噂も流れましたが、結局のところ、彼女は20ヶ月間、首相というポストを務めました。

 その間の道はとても険しく、特に年金改革に際しては、大暴動を引き起こした49.3条を採決せずに、首相の権限において発令するという大変な任務を結局は乗り越え、今から思うと国会において、青筋をたてて、がなり立てる彼女の姿は忘れられません。

 また、つい最近、改正された移民法についても、かなり反発も多かった中、どうにか、取りまとめた感じで、どちらもフランスにとって、大変な決定を大統領の盾となって成し遂げてきた感じがあります。

 マクロン大統領は、彼女の辞任に際して、「私たちの国への奉仕におけるあなたの仕事は毎日模範的でした。 あなたは、国家女性の勇気、献身、決意をもって私たちのプロジェクトを実行してくれました。 心から感謝します」と敬意を表しています。

 現在、停滞気味のマクロン政権ではありますが、これからのフランスも大きな問題が山積みのうえ、オリンピック・パラリンピックという一大イベントも控え、ここで仕切り直しをして、新しい年に挑みたいというマクロン大統領の思惑が透けて見えて、とりあえずの大問題であった年金改革や移民法改正という最も困難な問題の影を引きずる彼女は、ここで終わりだったというなんだか損な役割を引き受けることになった彼女がなんだか少々気の毒だった気もします。

 しかし、辞任を発表した彼女の表情は、これまで見たこともないような晴れやかな表情で、解放された喜びに溢れているような笑顔であったことは、素直に「お疲れ様でした・・」と言ってあげたいホッとするような気持ちになるのでした。


エリザベス・ボルヌ首相辞任


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2024年1月5日金曜日

マクロン大統領と岸田総理の年頭会見

  


 各国首脳が年始にあたって、演説や会見を行うことは、フランスでも日本でも同じですが、その方法は、かなり異なる印象です。

 私は、日本人ですが、フランスに住んでいるので、どうしてもマクロン大統領と岸田総理を比べてしまうのですが、今年の総理の会見は、日本人としては、どうにも、聞くにも、見るにも耐えないとしかいいようがない気持ちになりました。

 マクロン大統領の年頭会見は、年頭ではなく、大晦日の夜に一年を振り返りながら、新たな一年について語るという感じでしたが、意味合いは同じこと。しかも、会見というカタチではなく、一方的な演説のようなもので、エリゼ宮からの配信です。これは、毎年、同じです。

 まあ、どちらの国もどれほどの人が注目しているのかはわかりませんが、時間的には、双方ともに12分程度で同じではありますが、岸田総理はかなりゆっくり話しておられるので内容的には、少ないような気がします。もっとも、岸田総理の場合は、会見であるために、その後、記者からの質問に答えているので、少し補填されているので、一概には、判断できません。

 フランスでも国民がどの程度、この年末年始の大統領の演説を聞いているのかはわかりませんが、少なくとも、テレビのニュース番組などでは、このマクロン大統領の発言は一言一句といっていいくらい、考察され、これはどういう意味を持ち、どうなっていくのか?などという討論などが行われます。

 今年の日本は、元旦から起こった大震災のために、かなりイレギュラーなものとなったとはいえ、相変わらず、原稿をチラ見しながら、語る様子は、毎度のことながら情けない限りで、そもそも、最初に総理が登場したときに、スーツではなく、作業着のような姿で現れたので、これは、震災の話が中心になるのか?と思わないでもなかったのですが、総理が作業着が必用なような作業をするはずもなく、これは、単なる震災対応アピールの装いに過ぎないことは明白で、しかも、震災については、お悔やみやお見舞いなども含めて、冒頭1分ほどで、震災については他に会見も行われているという理由で、政治への信頼回復や憲法改正などについての話が中心になっていました。

 「装う」というのは、その場に応じた服装を身に着けるという意味と同時に、「ふりをする」という意味もあり、まさに、総理の装いは、震災対応やってますアピールに感じられて、空々しい印象の方が強い気がしてしまいました。

 やはり、国民が政治への信頼を失っているということは、ご自覚なさっているようですが、もしも、信頼を本気で回復したいのなら、今は、震災対応について、全力投球をするべきで、今、国民がしてほしいことは、今の瓦礫の下にいるかもしれない人や避難所で困難な生活をしている人にどうやって政府が救いの手を差し延べようとしているのかを説明し、国民全体が連帯して、この危機を乗り越えていこうと強く引っ張っていくリーダーとして、ぐんぐん進んでいく姿を見せてくれることの方がよっぽど信頼回復に繋がるのではないか?と思ってしまいます。

 作業着を着ただけでは、全然、伝わらないし、それこそ装っているようにしか見えません。

 マクロン大統領も、震災から数時間後には、お見舞いの言葉とともに、物的、人的支援を申し出ていましたが、フランスだけでなく、G7各国、中国、台湾など数十国からの支援の申し入れを受けているにもかかわらず、「態勢構築の作業や現地の状況を鑑みて、人的・物的支援は現時点で一律に受け入れていない」とのことで、何よりも、今、一時も早くに支援が必用なものを、上手く整理して、できるだけ支援を受け入れることができるように調整していくべきなのに、せっかくの申し入れを断ってしまうなど、信じられないことです。

 時間が経てば絶つほど、生存の可能性が薄れていってしまうというのに、いちいち、時間がかかり、「迅速に取り組む」などと言いながら、立派なのは言葉、口先だけ。

 総理は会見の中で、「世界が日本の安全と外交力の発揮を求めている」とおっしゃっていましたが、大震災というこの危機的状況の中で、総理がどのような対応をとっているかも注目されているわけで、それを作業着だけを着て、「国民の政治への信頼を回復する」と言いながら、海外からの支援をストップしているというのは、どうにも納得のいかない話で、これらも含めて、海外からの日本の外交力が欠如しているという烙印を押されかねないことです。

 一番、見るに堪えなかったのは、地震にまつわる原発問題について、記者からの激しい質問が投げかけられたところで、無理矢理、時間がないという理由で、無回答のまま、薄笑いを浮かべながら逃げるように立ち去ってしまったことで、「こんなこと、フランスだったら、あり得ない!」と、やっぱり思ってしまうのでした。

 この最後の質問を投げかけた記者の叫びのような「総理、聞く力はどこへ行ったのですか?」という言葉をスルーしてしまうなど、本気で国民の信頼を取り戻そうとしている態度には、どうしても見えないのです。


岸田総理年頭会見


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2024年1月4日木曜日

パリの美術館 軒並み過去最高来場者数記録

  


 パンデミックのために、一時はほぼ観光客が来なくなり、また、ロックダウンや感染対策のために、閉館になっていたパリの美術館も、すっかり活気を取り戻し、2023年は、概ね、どこの美術館も少なくとも前年を大きく上回る来場者を記録しています。

 なかでも、オルセー美術館は、年間来場者数390万人という歴史的記録を樹立しています。オルセー美術館の来場者数激増に大きく貢献したのは、「ゴッホ展」の開催で、この特設展は、高く評価されていました。

 また、オランジュリー美術館も120万人の来場者を記録しています。

 そして、なんといっても、パリで一番は、ルーブル美術館で、1日あたりの来場者数が3万人といわれ、こちらは桁違い、そもそも美術館自体の大きさも桁違いに大きいので、一度に入れる人数も全然違うので、簡単に比較することはできませんが、こちらは、年間来場者数が390万人と、過去最高記録とまではなりませんでしたが、前年比で14%増になっています。

 しかし、これらの美術館の来場者数の増加は、アメリカやヨーロッパからの観光客が大半を占め、依然として、アジア人観光客(日本、中国、韓国など)は戻ってきておらず、アジア人来場者は、ルーブル美術館来場者の 2.5%に過ぎないと言われています。

 かつては、日本人を含めたアジア人がかなりの割合を占めていたので、大きな変化です。

 パンデミック前にも、すでに日本人の観光客は、かなり減少傾向にありました。

 それまでは、大手旅行代理店のツアーで観光バスで大人数で押し寄せていた団体旅行客がいつのまにか姿を消しました。考えてみれば、以前は、パリの中心部には、観光バスがあちこちに停まっているのをみかけたし、ルーブル美術館の地下駐車場などには、ちょっとギョッとするほどの観光バスが常に停まっていたのです。

 それが、パンデミックを機にパッタリと止まり、それ以降も日本は長いこと感染対策が厳しかったこともあり、日本人が海外に出づらくなったうえに、戦争のために、ヨーロッパに来るには、一段と長い時間がかかるようになり、また、航空運賃も大幅に値上がりしたために、ますます日本人観光客の足は遠のいてしまいました。

 私が友人たちに、「パリにおいでよ!」などと誘っても、ただでさえ、休暇がとりにくい日本で、以前以上に往復移動の時間がかかるようになり、そのうえ、大幅な値上がりとなれば、足は遠のくのも当然かもしれません。

 パリには、大小併せて、約130以上の美術館があると言われていますが、うちの夫は、子どもを美術館に連れていくのが趣味という感じ?で、娘などは、一時、もう美術館には、食傷気味で、子どもの頃は、「また、ミュゼー???」と嘆く声をよく聞いた気がします。また、学校の美術の授業などで、ルーブル美術館に行ったりもしています。

 今から考えれば、我が夫にしては、なかなか上等な趣味で、あとから考えれば、つくづく贅沢な話だったと思いますが、身体を動かすことの方が楽しかった娘にとっては、厳しい修行だったかもしれません。

 しかし、小さい頃のそんな体験が役立ったのか、夫が亡くなった後でも、親戚や友人がパリに来てくれた時などで、私が仕事で休めなかった日などは、一緒に美術館に行って、案内をしてくれたりもしていました。

 娘も他人を案内したりして以来、一時、再び、美術館熱が高まって、やたらと美術館に行きたがり、しばらく、お休みのたびに、美術館巡りをしたこともありました。

 ルーブル美術館は、とにかく広いので、なかなか重い腰があがりませんが、それこそ、一度、パンデミックでしばらく閉館していて、やっと開館したばかりの頃、そして、まだ外国人観光客がパリに来ていなかった頃に、多くの人に、「行くなら今しかないよ!」と言われて、入場者よりも学芸員(美術館で働いている人)の方が多いような時期に行ったことがあり、ミロのヴィーナスを一人で鑑賞するという贅沢な体験もしました。

 しかし、後にも先にも、あんなことは二度とないだろうし、あってもらっても困ります。

 実際に、パリに観光に来る友人などは、ルーブルは広すぎて、時間もかかるし、大変なので、一応、外からだけ眺めるだけで、せいぜい、オルセーか、オランジュリーくらいにしておこうという人も多いです。

 今年は、いよいよオリンピックの年。オリンピック開催期間中も、パリの美術館は、通常どおりに、観光客は受け入れる予定にしているということです。


パリの美術館


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2024年1月3日水曜日

羽田空港での航空機衝突炎上事故にフランス BEA(民間航空安全調査分析局)が調査員派遣

 


 新年早々、2夜連続、フランスの夜のトップニュースに日本の話題が上がるなど、どうにも、やるせない気持ちになります。

 ふだんは、なんといっても、日本は遠い国で、ニュースに取り上げられることはあっても、トップニュース扱いということは滅多にないことなのです。

 前日の石川県能登半島での大地震でさえ、かなり衝撃的な取り扱いでしたが、翌日の羽田空港での民間航空機と海上保安庁の航空機の衝突による炎上はまさに炎が上がる・・✈が燃える映像は衝撃的で、民間航空機の乗客が事故直後に機内で撮影した映像も流され、機内の様子まで報道されていました。

 さすがに日本人、パニック状態でありながらも、客室乗務員の機内での支持は適切かつ的確で、暴れ出すような乗客も見えずに凄いな・・と思いました。

 飛行機は、ちょうど着陸するかしないかのタイミングだったとのことで、本来ならば、飛行機が着陸して、一応、ホッとするタイミングです。民間航空機の乗客は、全員、緊急脱出スライドから飛行機を脱出したとのこと。これがフランス人ばかり乗っている飛行機だったら、パニックの起こし方も桁違いに大変な騒ぎになっているだろうな・・などと想像したりもしました。

 消防隊がかけつけたものの、乗客全員が避難した後にあっという間に飛行機全体が焼けてしまったということなので、余計に冷静、迅速な避難で多くの命が救われたことを思うと、乗客の人々は、ほんとうに生きた気持ちがしなかっただろうと思います。

 飛行機に乗るたびに、酸素マスクの使い方や避難方法などがCAさんによって説明されますが、正直、私はロクに聞いたことがなかったのですが、やっぱりちゃんと聞いておくべきなんだな・・と思ったりもしました。

 衝突した海上保安庁の飛行機は、被災した石川県に数千人分の食料品や生活必需品などの救援物資を届けるところだったということで、余計にやるせない気持ちです。

 この事故に際して、フランスのBEA(民間航空安全調査分析局)(le Bureau d'enquêtes et d'analyses pour la sécurité de l'aviation civile)の専門家チームの調査員が派遣され、3日には日本に到着するという話を聞いて、なるほど、昨日の大地震に際して、マクロン大統領が被災した日本へのお見舞いと救助・援助を申し出ていたので、その一部が早々に実現するのか・・と、一瞬、思ったのですが、これは、飛行機事故の調査のためのもののようです。

 というのも、この事故機となった日本航空が使用していた飛行機エアバスA350-900型機は、フランスのトゥールーズで製造されたもので、そのために、BEA(民間航空安全調査分析局)の出動となったようです。

 このBEAは、通常はフランスで発生した重大な民間航空事故などについて、状況を解明し、原因と要因を特定するために、独自に安全調査を実施している機関なのですが、フランスで製造または設計された航空機に対して海外で事故が発生した場合に、国際規則で定められた条件の下で外国の対応機関が実施する調査にも貢献しています。

 調査の結果、セキュリティに関する推奨事項を伴うレポートを発行し、航空の安全性を向上させることを目的としているそうです。

 実際、この事故の原因等は、現段階では発表されていませんが、この年明け早々の災害に次ぐ、大事故、よもや、対応如何によっては、さらなる犠牲者も生まれかねなかった大惨事になるところだったことを思うと、大事故に接して妙な話ですが、日本の航空会社の方が信頼できるかも?とも思った事件でした。


羽田空港 航空機衝突炎上事故 フランスBEA民間航空安全調査分析局


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2024年1月2日火曜日

フランスでも石川県での地震は夜のニュースのトップ記事

 


 こちらは、のんびりと元旦の一日を過ごしていて、友人たちに「あけましておめでとう」のメッセージを送ったりしていたら、日本の友人たちから、「石川県ですごい地震があって、大変らしい・・怖い・・」というようなメッセージが返ってきて、初めて、日本で大地震があったことを知りました。

 それから、しばらく、ネットのニュースを見たりして、津波の様子やニュースで、「すぐに逃げてください!家や財産よりも命が大切です!」などと、テレビで呼び掛けているのを見て、ほんとに怖いな・・地震って忘れた頃にやってくる・・しかし、しかも元旦なんて、あんまりだ・・と思っていました。

 パリにいると、地震というものはないために、地震というものを忘れがちになっているのですが、フランス人などには、体験がないために他の国の地震などの災害と比較して客観的に見るので、また違った見方をするようです。

 これだけ大きな地震ならば、フランスでも報道されるのだろうな・・と思っていたら、夜8時からのニュースでは、トップニュースとして石川県のニュースが扱われていました。

 地震での被害の様子、駅やコマーシャルセンターの中、一般の家の中、津波が押し寄せる海、地割れを起こしている場所などの映像が次々と流され、被害状況を伝えていました。

 それだけで終わりかと思っていたら、現在、日本当局の発表によると、死亡者は4人だけで(翌日の発表では55人、その後は増え続けているけれど・・)、なぜ、これほどの被害にもかかわらず、日本は最小限の被害に抑えられるのか?という解説もしていました。

 それによると、日本人は常日頃から、地震などの災害に対する訓練を欠かさずにしていて、学校などで行われる避難訓練で机の下に避難したり、落ち着いて行動する訓練をしており、緊急連絡先に問い合わせができたり、緊急避難先などを徹底しており、また、大きな建築物なども耐震構造になっているために日本は、このような大災害にもかかわらず、最低限の犠牲者に抑えることができるのだと解説していました。

 ニュースでは、日本駐在のフランス人などからの話を聞いていて、「日本人は、災害に慣れている・・自分よりもこどもたち(現地の学校に通っている)の方がよっぽど落ち着いて、適格な行動をしていた・・自分はただただ怖かった・・」などと語っていて、さもありなん・・日々の訓練や災害教育って大切なんだな・・と思いました。

 ちょっと日本が褒められたみたいで嬉しかったです。

 しかし、一方では、今回の震源地と言われている石川県志賀町には、原子力発電所があり、現在は、原子力発電所の敷地内に活断層があるという議論が続いていたために、稼働していなかったとのことで、大事にはならずに済みましたが、この原子力発電所を稼働させろと経団連がせっついていたとのことで、もし、これが経団連や政府の圧力により稼働していたら・・と思うと恐ろしい話です。そんな危うさが日本には、あります。

 地震などの自然災害は、戦争などとは違って、大自然が相手の予測も反撃もできない大変なことで、こういった大地震が忘れた頃にやってくる・・また、いつ、どこにやってくるのかもわからない災害を抱えている日本は、その国民性にも影響しているんだろうな・・とも思ったりもします。

 フランスでは、どちらかといえば、災害より人災が多く、それでも最近は、異常気象のためか? しょっちゅう、洪水という自然災害が増加しています。ここ数年で特に多くなってきた災害とはいえ、洪水を避けるとまではいかないまでも被害を少なくできるような防御策とか、対応策はないんだろうか?と思ってしまいます。

 パリのセーヌ川でさえも、毎年のように洪水とまではいかなくても、川の水位が上がり過ぎて、バトームーシュなどの遊覧船などの船が橋の下を通過できなくなる・・なんて話は、ずっと前からよく聞く話です。

 フランスも災害を回避、軽減する方法、日本から学んでほしいけど、日本もフランスから学んでほしいことはたくさんあります。


石川県能登半島地震


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2024年1月1日月曜日

2023年のフランスを振り返る

  


 毎年、恒例の大晦日の大統領の演説を聞きながら、そういえば、2023年も色々なことがあったな~と思い出しています。個人的には、どんどん時の経つのが早く感じられる中、この一年もまた、あっという間に経ってしまった気がするのですが、思い返してみると、大きな出来事がたくさんあったんだな・・とあらためて思い出されるのです。

 ここ数年は、パンデミックがあったり、突如、戦争が始まったり、世界的にも動乱のときとも言えるのですが、この一年は、フランス国内だけでも、なかなか激しいできごとが起こった年でもありました。

 マクロン大統領は、この年末の演説の中で、イスラエルやウクライナでの戦争にふれつつ、この大きな暴動が続いた一年を「フランスは間違いなく、最も多くの決断を下し、最も多くの変革を実行した西側諸国の一つだ!」と述べました。

 なるほど、たしかに事実ですが、上手い言い方です。

 たしかに、年明けからの暴動は、年金改革というか、定年延長、今では懐かしささえ感じる憲法49条3項についての少々、強引な推し進め方に反対のデモから暴動がおこりました。

 これは、あちこちで起こる暴動とともに、今までには例を見なかったゴミ収集業者のストライキという荒業のために、街中にゴミの山ができて、ゴミが溜まるだけでなく、そのゴミがあちこちで燃やされるという無残なものとなりました。

 また、夏頃には、検問を拒否した未成年の少年を警察官が射殺してしまったことによる公権力の暴走行為への抗議の暴動がエスカレートし、それがSNSにより拡散されるだけでなく、スナップチャットなどの機能を使って、いわばゲーム感覚のように競い合って行われる異常事態に発展し、見境なしに、夜中に店舗が襲われて、強奪行為が続出したり、一方では、市町村の議員の自宅が狙われたり、ついには、昼日中にもコマーシャルセンターに押し入って来たりと、私もすんでのところで巻き込まれそうになるという危うい思いもしました。

 そして、年末には、かねてから、予告されていた移民法の改正が採択され、不法移民をより厳しく取り締まるようになりました。

 マクロン大統領は、激動の一年を、国民には、不人気であること(特に年金改革)は、理解しているが、これらの決定は、未来のフランスのために絶対に必要なことであると確信していると述べています。

 これらは、将来の世代に対する私たちの義務であり、フランスは国のために行動する人々の側にたゆまぬ寄り添いを約束すると力強く語っています。

 2024年はオリンピック・パラリンピックが私たちの美しい国、フランスで開催され、12月には、パリ・ノートルダム大聖堂の公開が再開されます。

 こうして、マクロン大統領が年末の演説をするのも7回目ですが、こうして、いつもどおりフランスを誇らしい国として堂々と語る様子を見るにつけ、どうしても、日本の政治家と比べてしまいます。

 フランスの大統領って、つくづく大変だろうな・・と思います。受け入れがたいことがあれば、野党はもちろんのこと、国民も黙っておらずに、すぐにデモ、ストライキ、暴動へと発展します。

 マスコミへの回答にしても、日本の政治家のような「現段階での説明は差し控えさせていただきます・・」なんていう言い訳は絶対に通りません。国民だってそんな回答は納得しません。納得しないどころか、そんなこと言った時点で、政治家の資格はないと烙印を押されると思います。

 フランス人は、子どもでさえも、政治についての話をするくらい(家庭での大人の話題の影響だと思いますが)、政治への関心が高いのです。これはとても大切なことです。

 政治家の活動や発言に、国民が無関心ではないのです。だから、すぐにデモが起こったり、それがエスカレートして暴動が起こったりもするのですが、日本の政治家の現在の状況を見ているとそれさえも、大暴れするフランス社会の方が健全な気がしてくる一年でした。


2023年のフランス


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2023年12月29日金曜日

真似したいおしゃれ

 


 クリスマス前後は、どこのレストランもスペシャル・ノエルとか、スペシャル・レヴェイヨンとか、特別メニューになっていたりして、その値段からしても、また、ちょっと食べすぎる日々が続いていることもあるので、外食からは、ちょっと足も遠のく感じもするなか、日本から帰ってきてから、全然、外食してないな・・ランチくらいはいいかな?と、たま~に行くフレンチのレストランに出かけた時のことです。

 一見、間口はふつうでも、中に入ってみると、かなり奥まって広いレストランというのは、パリにはよくあることで、そのレストランも、かなり歴史のあるレストランで、歴史を感じさせる建物の造りや、調度品などに包まれている空間が心地よく、また、応対をしてくれるウェイターなどのスタッフもとても感じよく、礼儀正しくて気に入っているお店です。

 昼ならば、たいてい予約もいらないので、気が向いた時に好きに行けるところも気に入っています。ランチのメニューだと、そんなに高すぎることもなく、お値段もほどほどです。

 それほど、フォーマルすぎず、かといって、それほどカジュアルすぎる感じでもなく、ちょうどいい感じが気に入っています。

 その日は、今まで、入ったことのない部屋に案内してくれて(上階、中階、地上階と入り組んで部屋がたくさんあります)、「ほ~っ!ここの部屋、初めてだ!」と部屋の調度品などを眺めながら、メニューを選び、私には、ちょうどアントレが運ばれてきて、「う~ん!やっぱり美味しい~」と舌つづみを打っていた頃、隣には、50代後半くらいの3人連れの男女が案内されてきました。

 それとなく、様子を見ていると、上品な感じの人たちで、それほど着飾っているという感じではないものの、上質な感じの生地のシンプルなセーターに、控え目だけど、要所を押さえているようなアクセサリーを身に着け方で、とってもいいな・・と思って、何気なく、様子をうかがっていました。

 しばらくして、彼らの注文を聞きに来たウェイトレスの女の子が、「フランス語を話しますか?」と彼らに聞いたので、「えっ?」とそばにいた私もちょっとびっくりしたのですが、彼らの一人が、ニッコリと、「私たちは、ホンモノのパリジャンですよ!」と返し、上手くニュアンスが伝わらないかもしれませんが、そのゆったりとした態度が余計に、なんだか、いいな・・ああいう大人・・と思ったのです。

 外国人観光客と間違えてしまった若いウェイトレスの女の子は恐縮して謝っていましたが、穏やかな空間が壊れることなく、逆に彼女にいたわりの言葉をかけていました。

 フォーマルに着飾るおしゃれより、こういう普段着での素敵なおしゃれができるのって、いいな・・そして、その言動や立ち振る舞いなども、その人の醸し出すおしゃれな雰囲気の一部でもあり、私もすでにいい歳ではありますが、こんな大人になりたいな・・こんな歳のとり方、こんなおしゃれができるようになりたいな・・と思いました。

 一方、同じレストランで、見かけたことがあるのですが、まるで、舞踏会にでも行くの?みたいに煌びやかに着飾って、やたらと写真を撮りまくって、豪華なメニューを注文してはしゃいでいたアジア人観光客らしきカップルをみかけたことがあったのですが、観光客で、なんとなくはしゃいでいる気持ちもわからないではないのですが、どう考えてもみっともないな・・と思ったことがありました。

 時と場合にもよりますが、あまり華美に着飾るのではなく、シンプルな服装でおしゃれができるようになりたいな・・と、最近の私は思っています。

 しかし、ここまで書いて思ったのですが、もしかして、おしゃれってもう死語ですか?


おしゃれ


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2023年12月28日木曜日

ジェラール・ドパルデューを消すな!50人以上の文化著名人が性加害俳優 擁護の署名



 現在、フランスでは、現在3件の性加害の告発状を受けている俳優ジェラール・ドパルデューについての大論争がどんどん膨らんで大騒ぎになっていきます。

 そもそもは今月初めに彼を特集した雑誌が発売されて、騒ぎが蒸し返されカタチになり、また、その後にその雑誌の盛り上がりをきっかけに、彼にターゲットをあてたテレビのドキュメンタリー番組が放送され、その中での彼の女性蔑視的、性的に侮蔑的な発言などがふたたび炎上、話は、彼が受賞していたレジオンドヌール勲章剥奪か?という話にまで発展しました。

 それにも増して、この騒ぎをさらに大きくしたのはマクロン大統領がテレビのインタビュー番組で、「彼はフランスの誇りである!」などと、「それ?今、言うこと?」と思われるような彼を擁護する発言をしたことで、さらに火に油を注ぐカタチとなりました。

 一応、判決が出ていないということで、「推定無罪」ということが前提での話であるとは思うのですが、一人ふたりではなく、しかも、同業の女優や海外のジャーナリストなど、著名人の被害者からの告発の数々は、告発する側も相当な覚悟があってのことで、推定無罪とはいえ、限りなくグレーです。(しかも、そのうち1件はすでに起訴されている)

 そんな状況で、ふつう「性加害など、絶対に許さない!」と言うのが、大統領としては、妥当だと思われるところを「彼はフランスの誇り」などと言ってのけるあたり、どうにも理解しがたい思いで聞いていました。

 しかし、そのように考えているのはマクロン大統領だけではなかったようで、仏紙ル・フィガロに掲載されたコラムの中で、約50人以上の文化人が「ジェラール・ドパルデューを消さないでください!」、「この偉大な俳優を自分たちから奪うことは悲劇であり、敗北だ!」、「それは、芸術の死を意味する!」などと声をあげています。

 著名人とはいえ、私は、あまりフランスの文化界については詳しくないので、そこに名を連ねているのが、どの程度の人々なのかはわかりませんが、ナタリー・バイ、ベルトラン・ブリエ、キャロル・ブーケ、カーラ・ブルーニ、ジャック・デュトロン、ピエール・リシャール、ナディーヌ・トランティニャン、さらにはジャック・ウェーバーなどが名前を連ねています。

 唯一、私がアッと思ったのは、カーラ・ブルーニ(サルコジ元大統領夫人)でした。

 今年、日本でジャニーズ事務所の性加害問題が大炎上した際に、「こんなこと!海外だったら、絶対に許されることではない!」と言われており、私もそうだと思っていましたが、ジャニーズの問題は、未成年への性加害でまた、ちょっと違うところもあるとはいえ、今回の問題とて、対象は異なりはしますが、弱い者に対する権力や立場を利用した性加害には違いなく、被害者感情を無視したような、この「芸術至上主義」、「芸術は全てに勝る」ような考え方が、こんなにも文化人や権力者の間に沁み込んでいることに、大変ショックを受けた次第です。

 当然、このような考え方には、大反発が生まれ、さらに大論争になっているわけで、また、この擁護する人々の立場をとる人などは、「だいたい、性加害など、何年も経ってから、告発するものではない!」などと言いだす人までいて、本当に開いた口がふさがりません。

 芸術だろうと何だろうと、人間、富と名声を得て、権力を持ち、それが長く続くと慢心をコントロールするのが難しくなり、また周囲もその権力にすがったり、恩恵に預かろうとして太鼓持ちをしたりと、醜悪極まりないことをしでかすような気がします。

 芸能界にせよ、政界にせよ、チカラを持つ者が弱い者を痛めつける構図は、ありとあらゆる場面で起こっていることです。

 しかし、司法の場では、公正に裁いてくれると信じたいし、芸能界や映画界の場合は、結局は、視聴者や観衆が判断することです。


文化著名人の署名


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2023年12月26日火曜日

パリ市の呼びかけ クリスマスツリーのリサイクル

  


 各家庭でのノエルのデコレーションを彩るのは、やはりクリスマスツリーで、プレゼントはクリスマスツリーの下に積み上げられて置かれるという習慣があり、その演出のためにも欠かせないものの一つでもあります。

 我が家でも娘が小さい頃には、夫の指導?により、娘はプレゼントのお願いの手紙をサンタクロースに送り、どういうわけか、家族それぞれの靴をツリーの下に置き、オレンジを添えるという行事を行い、25日の朝、娘がワクワクしながら、クリスマスツリーに駆け寄っていき、嬉しそうにプレゼントを開けていくのを、私たちは、娘以上にワクワクしながら、そんな娘を見守っていました。

 そんなクリスマスツリーを買ってきて、そのデコレーションを家族で始めることから、もうクリスマスを家族で楽しむことが始まっていて、やはり、クリスマスツリーは、我が家でも、以前は、ある種、象徴的で不可欠なものでもありました。

 クリスマスシーズンが始まると、生のモミの木がスーパーマーケットの前やガレージなどで売られていて、生の木だけに、当然、しまっておけるものでもなく、クリスマス、せめて、年明けの一連のお祭りが終わると、当然、捨ててしまうもので、これは、割りばし(以前、日本やアジアの割りばしはエコロジストの標的になっていたこともありました)どころではない、大変な廃棄物問題ではないか?と思ったこともありました。

 かねてから、フランス人のゴミの捨て方には、疑問が多いところでもありますが、このクリスマスツリーなどもまた、かなり、あからさまに、我が家のアパートのふつうのゴミ収集のゴミ箱にそのまま、無残にのせられているのを毎年、見かけます。

 まれに、夏ごろになって、ツリーが捨てられているのを見かけることもあり、「えっ?今ごろ?」と驚かされることもありますが、これを見ると、なぜか「お雛さまをいつまでも片付けないとお嫁に行けない・・」などと昔、言われたなあと思い出します。

 しかし、ここ数年、パリ市はこのクリスマスツリーのリサイクルとして、今年は12月26日から1月20日まで、176ヶ所の収集場所を設け、「クリスマスツリーに第2の命を吹き込もう!」と呼びかけています。

 第2の命を吹き込む?とは、どういうことなのか?と思ったら、回収されたモミの木は、粉砕され、緑地の植物を保護する役割を果たすそうです。 粉砕されたモミの木は雑草の発生を減らし、水の蒸発を制限し、土壌の寿命を最適化する地下微生物の発達を促進するため、天然の除草剤として利用されるのだそうです。

 モミの木は、酸性であるため、堆肥としての使用には適していませが、一方、その抗発芽特性は、環境に優しい方法で雑草の増殖を制限するのに最適で、自然の除草剤として作用するのだそうです。

 私が子供の頃は、季節になると、母がどこからか鉢植えのクリスマスツリーを買ってきて、飾っていたりしたこともあったのを覚えていますが、その処理はどうしていたのか? たいていは、枯らしてしまったのだと思いますが、ある年、枯らしてしまうのが可愛そうだからと、庭に植え替えたら、青天井でどんどん大きくなり続け、ある時期には、植木屋さんにこれ以上、伸びないように止めてもらったことを記憶しています。

 一方、両親がいなくなった実家では、庭もあまり手入れしなくなったために、放っておくと雑草が際限なく生えてくるために、一時は除草剤を撒こうかとも思ったのですが、それもなんだか躊躇われ、除草シートを貼ったりしていたのですが、まさかのモミの木の木くずが除草剤がわりになるとは、今度、日本に行ったら、試してみようかと思っています。

 常日頃のフランス人のゴミの捨て方を見ていると、あまり期待できないクリスマスツリーの回収場所設置ですが、昨年は意外にも 114,247 本ものモミの木が回収されたとのことで、さすがのフランス人もクリスマスツリーだけはちょっと特別扱いなのかもしれません。


クリスマスツリーのリサイクル


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