2021年3月31日水曜日

集中治療室の患者5,000人突破 フランス全体でも100%超え

   感染の急激な悪化により、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)を始めとする16の地域でのロックダウン(実際には、ゆるゆるのロックダウンとなりましたが・・)が発表されたのが、3月18日のことでした。 結果的には、外出許可証が複雑でわかりにくいなどの混乱を生んで、外出許可証は廃止になり、ロックダウン・ライトなどという呼ばれ方をしながら、それでも数種類の店舗が営業停止になり、10㎞以上の外出には、特別な理由がいるなどの規制が敷かれて、はや、2週間が経ちました。 イギリス変異種が拡大する中、本当にこんなゆるゆるな規制で大丈夫なのだろうか?と心配していましたが、やはり、その心配は杞憂に終わる...

2021年3月30日火曜日

ティーンエイジャーの暴力事件が急増しているのは、ロックダウンが影響している

     私が初めて出産した時(最初で最後だったけど・・)、私は正直、嬉しいというよりも、「これは、大変なことをしてしまった・・」と思いました。もちろん、子供は欲しかったし、可愛かったし、嬉しかったのですが、それ以上に、私の意志で、これまで存在しなかった命を誕生させ、一人の人間が育っていくということは、大変な責任を負うことだと、あらためて、感じたのです。 娘が生まれたのは、もう20年以上も前のことになりますが、当時は、日本でも子供・若者の犯罪(金属バット事件などの家庭内暴力や小さい子供を誘拐して殺してしまったりした犯罪など)が起こっており、もしも、自分の子供がそのような犯...

2021年3月29日月曜日

すでにトリアージュ(命の選別)の準備はできているパリ公立病院連合(AP-HP)

             先週25日の夜遅くに行われたマクロン大統領の会見は、主にヨーロッパのコロナウィルスワクチン確保対策に関するものでしたが、その会見の中で、フランスの感染対策・対応について、「1月末の段階(1月29日)でロックダウンしなかった決断は正しかった!」「なぜなら、感染爆発は起きていないのだから・・」と、自信満々の発言に、私は、大いに引っかかり、首を捻ったのでした。 EU間の話し合い、取り決めにより、滞っていたワクチンがこれからスムーズに届くようになるから、これで私たちは乗り切れる・・ワクチン接種が拡大するまで、できるだけロックダウンを回避して、時間稼ぎをしてきた自分たちの選択は正しかったと言っているのです。 しかし、何を持って、感染爆発が起こっていないと言っているのかが、私には、甚だ疑問です。 すでに、現在のイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の集中治療室の占拠率は、127.7%(3月28日現在)(フランス全体でも96.3%)と、毎日毎日、増加を続け、とっくの昔に100%を超えているのです。 これって爆発状態ではないのだろうか???そして、この数字でさえ、すでに、行われるはずの手術の予定などを40%以上組み直し、可能な限り、他の地域に患者を移送してもなお127.7%という数字なのです。フランス全体でも96.3%ということは、もう他の地域に移送することさえできなくなるのです。 この医療現場の状況から、AP-HP(L'Assistance...

2021年3月28日日曜日

パンデミック開始以来、保護者20名が死亡している高校が閉鎖を求める悲鳴

    現在、最も感染状況が案じられているイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)のセーヌ・サン・ドニのドランシーにあるユージーン・デラクロワ高校の教師の一人が同校の深刻な状況を訴え、対策改善までの学校の一時閉鎖を求める手紙を大統領宛に送ったことから、この高校の深刻な状況が浮き彫りになってきています。 この高校では、この一ヶ月間で、約60人の学生、20人の教師、3人のスタッフが感染し、パンデミック開始以来、学生の保護者20人がコロナウィルスのために死亡しています。 経済的にも恵まれない家庭の子供が多く通うこの高校は、2,000人以上が校内で行き交い、両親も感染の危険に晒されている...

2021年3月27日土曜日

ロックダウンの19地域では、クラスに一人でも感染者が出たら、学級閉鎖 

   ジャン・ミシェル・ブランケル教育相は3月26日金曜日に、ロックダウン?されている19の地域では、来週から、幼稚園から高校までの「すべての学校レベル」において、1クラスに一人でも陽性者が発見された場合は、学級閉鎖にすること(これまでは3名以上発見された場合だった)を発表しました。 これは、フランスの現在の感染状況からも、今後、数日で、あっという間に学級を閉鎖せざるを得なくなるケースが続出することを意味しています。 教育省によると、先週一週間で、新型コロナウィルスに感染した学生は、1,240万人中、21,183人、0.17%(一週間前は0.13%)にのぼり、学校スタッフの感染者数も、1,809人から2,515人へと増加しており、0.22%となっています。 あくまでも、学校は閉鎖しない政府の方針は、変わらず、あくまでも学校閉鎖は最終手段であるとしているものの、すでに、3,256学級(一週間前は2,018学級)、148校が閉鎖されています。 SPF(Santé...

2021年3月26日金曜日

フランスの新規感染者数 一気に4万5千人超えの恐怖

    今や定例会見となっている木曜日の夜の会見は、誰が記者会見に登場するかで、その発表内容の深刻度が測れるようになってきました。 今回の会見には、マクロン大統領でも、カステックス首相でもなく、オリヴィエ・ヴェラン保健相一人の会見だと知らされていたので、大きな動きはないものと予想されていましたが、事実、そのとおりで、大きな発表はありませんでした。 前日から、ニエーヴル県(ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏)、オーブ県(グラン・テスト地域圏)、ローヌ県(フランス南東部の地域・リヨンなど)など3地域の急激な感染状況の悪化が問題視され始め、この3地域が先週発表された16地域のロックダ...

2021年3月25日木曜日

イル・ド・フランスは、イースターのバカンスを前倒しにすべきか?

   イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の感染状況が日々、深刻になってきています。特にイル・ド・フランスの中でも、セーヌ・サン・ドニの状況は、危機的な状況で、10万人あたりの感染者も700以上まで拡大しています。 セーヌ・サン・ドニは、治安も悪ければ、感染状態も最悪で、これまでもできるだけ近寄らないようにしてきた地域ですが、ますます、恐ろしい場所になってしまいました。 しかし、サン・ドニばかりではなく、イル・ド・フランス全体が危険な状態であることを示すように、昨日は、もう家にいても、ほぼ1日中、救急車のサイレンの音がBGMのように四六時中、聞こえてきて、病院の様子を目の当た...

2021年3月24日水曜日

ロックダウン・ギリギリアウトで娘がスタージュ先から帰ってきた!

   そもそも昨年の9月から、本来は日本の大学の大学院に留学することになっていた娘ですが、もちろんコロナウィルスの影響でしたが、ギリギリになってのドタキャンで、急遽、留学に代わるフランスでの受け入れ先のスタージュ(インターンシップ)探しに追いまくられて、一時は焦りまくる羽目になりました。 それでも何とか受け入れ先が見つかったはいいものの、それが、ブルターニュのしかも、かなりの田舎町で、引越し先も確定しないままに、バタバタとパリを離れたのが半年前のことでした。 その時点では、一応、日本への留学は、4月に延期ということにしたのですが、結果的には、その半年間の間に、ますますフランスの感染...

2021年3月23日火曜日

マルセイユでカーニバル もう気が狂ってるとしか思えない

  21日の日曜日、マルセイユで6,500人もが集まるカーニバルが行われた衝撃的な映像がその日の夜から、マスコミに大々的に流され、大きな波乱を呼んでいます。 「イカれている」という言葉がこれほど似合う画像があるでしょうか? マルセイユは、今回、政府の発表したロックダウンする16地域には、入ってはいないものの、決して油断できる感染状況ではなく、屋外とはいえ、この人混みで、マスクをしていない人がほとんど、その上、カーニバルということで、多くの人が仮装したり、ボディーペインティングをしているため、世紀末感を倍増させられます。 この映像には、もうため息も出ません。 このカーニバルは、およそ2週間ほど...

2021年3月22日月曜日

並ばないフランス人が戻ってきた!

   昨年のロックダウン以来、フランスで見られた思わぬ好意的な現象の一つは、これまで、きちんと並んで順番を待つということが、極めて不得手だったフランス人にちゃんと並ぶという習慣ができたことでした。 日本では、並んで順番を待つということは、当たり前のことですが、これまでフランスでは、隙をついて横入りする人がいるのは、珍しいことではありませんでした。東日本大震災の際には、震災直後の避難所の映像などが大々的にフランスでも流されましたが、非常時の皆が少しでも早く配給を受け取りたいと思うであろう避難所のような場所でさえも、日本人が争うこともなくきちんと並んでいる姿にフランス人も驚いたくらい、フランスの...

2021年3月21日日曜日

ロックダウンがロックダウンではなくなった 外出証明書もいらなくなったロックダウン

                                            とうとうロックダウンになってしまった・・と思っていました。 木曜日の夜に発表されたロックダウンの知らせに、恐れおののき、パリを脱出する人でTGV(新幹線)は瞬く間に満席、道路は大渋滞になり、多くの人がロックダウンを逃れて行きました。 しかし、実際にロックダウンの当日を迎えてみると、ロックダウンはちっともロックダウンではなく、外出許可証さえ携帯すれば、10㎞以内であれば、買い物でも散歩でも運動でもなんでも理由をつけて外出は可能なもので、天気が良かったことも手伝って、いつも問題になるセーヌ川沿いなども、なかなかな人出で、一体、この状態のどこがロックダウンだったのか?と思わざるを得ない状況でした。 しかも、その外出許可証でさえ、「条件が複雑すぎて、わけがわからない!」という苦情が殺到し、第一日目にして、あっさり、10㎞以内の外出に関しては、外出許可証は必要ないことになり、身分証明書の提示のみで済まされることになりました。 正直、わけがわかりません。なんだよそれ! 営業が許可される店舗もさらに拡大され、食料品、薬局はもちろんのこと、通信機器、大型電気店、園芸用品、DIY用品、書籍、銀行、郵便局などから、美容院、花屋、靴屋、チョコレート店、不動産屋まで追加され、もはや営業禁止の店舗のみを上げた方が早そうです。 これだけの店舗の営業許可が降りれば、当然、不公平感は高まり、これだけの店舗の営業が許可されながら、感染のリスクは同等だと思われるものの、なぜうちは営業できないのか?と訴える店舗が続出、そんな気持ちもわからないではありません。 しかも、これまで施行されていた夜間外出禁止も18時から19時に引き伸ばされたため、外出はむしろ、しやすくなったわけで、7days/...

2021年3月20日土曜日

アストラゼネカのワクチン接種再開 首相自ら接種のデモンストレーション

  ヨーロッパのいくつかの国で、アストラゼネカ社のワクチンが関連している可能性がある血栓症(非定型例)の症例が確認されたことから、先週末から週明けにかけて、ヨーロッパ各国で軒並み、各国でこのワクチン接種が停止されました。 フランスも例にもれず、急に月曜日の午後から、EMA(欧州医薬品庁)が安全性についての確認ができるまで、アストラゼネカのワクチン接種を停止しました。 そして、木曜日の午後に、EMAは、アストラゼネカのワクチンは、現在、蔓延している新型コロナウィルス、イギリス変異種等の変異種のコロナウィルスに対しての有効性と安全性を確認したとし、問題となっている血液凝固や血栓症などの...

2021年3月19日金曜日

フランス・3回目のロックダウンの衝撃と実質的な制限

                      1月末頃から、いつロックダウンになるかと思っていました。その時がとうとうやってきました。毎日毎日、感染状態を気にしながら、いよいよヤバいと思っていました。 ロックダウン発表の前日の段階で、感染状態が特に深刻なイル・ド・フランス(パリ近郊の地域)、オー・ド・フランスは、これまで以上のさらに厳しい制限が敷かれることが発表されていたので、ロックダウンもあるとは思っていました。 しかし、ここのところの政府のやけに強気なロックダウン回避の対応に、週末のみのロックダウンかと思っていました。今年に入ってからというもの、ロックダウンは最終手段と言い続けてきたフランス政府は、とうとうその最終手段を取らなければならない状態にまでなってしまったということです。 結局、感染状態は、想像以上に深刻で、すでに集中治療室も満床状態のイル・ド・フランスの発生率は一週間で23%も増加しており、すでに第2波のピーク時の数字を超え、イギリス変異種が感染の75%以上を占め、もう生半可な対応では済まなくなっていたのです。 とうとう19日金曜日の夜、午前0時から、正確には20日の午前0時から4週間、イル・ド・フランス、オー・ド・フランスなどの16の地域は、最低4週間、ロックダウンされることになりました。 いつかいつかと思ってはいたものの、実際にロックダウンとなると、やはり、ショックです。 いみじくも、結局、昨年と同じ時期にロックダウンになってしまったわけです。 一時は、この深刻な状況にも関わらず、4月には、レストランの営業が開始されるという噂もちらほらしていただけに、急転直下のこのロックダウンには、まだまだ先の道のりが長いことを再確認させられた形になりました。 これで3回目のロックダウン。対象地域2000万人、23万店舗の営業がストップします。 しかし、学校は継続され、外出証明書携帯の上、10㎞以内の明確な理由のある外出(買い物、散歩、運動)(しかも時間制限なし)は許可されます。 よくよく考えてみれば、ロックダウンという言葉は充分に衝撃的である反面、なんだかんだと理由をつければ、かなり外出はできるわけです。 しかも、これまで行われていた夜間外出禁止は、これまでの18時から19時に延長されます。 昨日のカステックス首相とオリヴィエ・ヴェラン保健相の会見では、1月29日の段階で、科学評議会(Conseil...

2021年3月18日木曜日

フランスは完全に第3波の波に乗った

   もういつロックダウンになっても仕方ない状態がずっと続いていたフランスは、これまで、あくまでもロックダウンは、最終手段であるとし、ロックダウン回避の姿勢をとってきました。 ロックダウン回避のためにできることは、全てやると言って、人気YouTuberにまで協力を呼びかけたりしてきた政府も、結局のところ、年明けから変わったことと言えば、警備が多少、強化された程度で、今から考えると、直接、感染を減少させる追加対策は、取られていなかったような気がします。 10月末に迎えた第2波によるロックダウン以来、レストランやバーなどは、ずっと閉店したまま、18時以降の夜間外出禁止も続いたままにも関わらず、感染は一向に減少しないどころか、イギリス変異種の拡大により、ジワジワと感染は増加してきました。 ジワジワとはいえ、すでに年明けの段階で、1日の感染者数が2万人超えの状態でのジワジワですから、毎日2万人以上も増えている感染者から感染がさらに広がっていくのは、当然です。 つい先日のテレビのニュース番組に長時間のインタビューに答えたカステックス首相が言っていたように、第3波を迎えつつある状態で、「フランスは、予防のためにロックダウンはしない」という対策、つまり、最悪の状態になった場合にだけロックダウンということです。 そして、その最悪の時が来つつあります。 最終的なロックダウンの決定をするのは、マクロン大統領ですが、マクロン大統領があくまでもロックダウン回避の方針に大きく舵取りを始めたのは、高等教育機関(大学以上)の学生からのマクロン大統領への手紙のやりとりが話題になった頃からで、この学生を始めとする若者の声の高まりが彼を動かしたような気もしています。 これを機に、学校はとにかく継続、貧窮する学生への食事の援助(1ユーロで供給されるキャンティーンなど)も始まりました。 医療崩壊さえ起こらなければ、ロックダウンはしないという言葉どおり、集中治療室の占拠率が90%を超えて、逼迫し始めた段階で、できる限り、集中治療室の空きを作るために、まだ少し余裕のある病院への患者の移送をすることを発表しました。 少しずつ患者の移送が始まりはしたものの、実際のところは、リスクも伴う移送に患者や患者の家族が同意しない場合も多く、政府の算段どおりには、移送は進まず、逆にそれ以上の集中治療室に入る患者数が大きく上回り、問題となっていたイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の集中治療室の占拠率は、患者の移送を開始してすぐに、100%を超えてしまいました。 さらに、1日の新規感染者数もこれまで2万人台に止まっていたものが、昨日(17日)には一気に38,501人までに跳ね上がり、これまで高い数字とはいえ、なんとか微増の状態で持ち堪えていた状態が、一気に第3波の波に乗ってしまった感じです。 第2波がおさまらないまま続いているのだから、これは第3波ではないと失笑してしまうコメントを出している人もいましたが、大きな波に乗ってしまったことは間違いありません。 失笑するコメントには、「悪いのはフランス人じゃない!マスクの性能が悪いんだ!」なんていうのもあって、ずっこけました。 ここへきて、悪いことにアストラゼネカのワクチンの安全性をめぐって、ワクチン接種もほとんどストップしている状態で、まさに待ったなし、崖っぷちの最終手段を取らなければならない状態です。 とはいえ、フランス全土がこの危機的な状況であるわけではなく、これまですでに週末のみのロックダウンが施行されているニース・アルプマリティーム県やダンケルクに加えて、オード・フランス、イル・ド・フランスが今後、週末のみ、あるいは、2回目のロックダウンと同様の制限(学校は継続)になることは、確実です。 フランスの現在の感染拡大は、イギリス変異種が全感染の70%まで達して、猛威をふるっていることが、大きな原因ですが、そもそもイギリス変異種が警告されて、慌てて、イギリスとの国境を閉鎖したのが、昨年のクリスマス直前のことでした。 あまりの急な国境閉鎖にたくさんのトラックが国境付近で足止めを食い、PCR検査をしないと入国できなくなったトラックの運転手がクリスマスどころか、トラックで数日間、寝泊まりする事態にも陥りました。 イギリス変異種の感染の勢いと重症化から、マスクがこれまでのサージカルマスクでは充分ではなく、FFPマスクでなければイギリス変異種の感染は避けられないのではないか?などとFFPマスクについても話題にもなりました。 しかし、年が明けてから、何回も、もうこれはヤバいのではないか?という状態でも、あくまでもロックダウンはしないという政府の姿勢から、イギリス変異種への危機感も何となく、認識が薄れてきてしまったのが現実です。 実際に、1月半ばの段階で、Inserm...

2021年3月17日水曜日

PCR検査で検出できないブルターニュ変異種の出現

           フランス保健総局は、15日、コロナウイルスの新しい変異種がブルターニュのクラスターに出現し、少なくともこの変異種に8人が感染していることを発表しました。 これは、2月22日に確認されたブルターニュのコートダモールの病院内のクラスターから特定された79例の感染のうち、3週間後に8例の新しい変異種が発見されたものです。この新しい変異種は典型的な新型コロナウィルスの症状を示していますが、厄介なことは、鼻咽頭サンプルによるPCR検査では陰性を示していた点です。つまり、PCR検査では、検出ができなかったわけです。 現在の段階で発見されている、この新しい変異種の感染者は、...

2021年3月16日火曜日

アストラゼネカのワクチン使用停止が招く混乱と不信感

    アストラゼネカ社のワクチンについては、先週、すでにその安全性が確認できるまで使用を中断することをデンマーク、ノルウェー、アイスランド、ブルガリア、アイルランド、オランダ、スペインが発表していました。 いずれの国も同社ワクチンによる副反応(血栓症)への懸念によるものです。 今週になって、ドイツが血栓ができるリスクは低いものの、リスクを排除することはできないとして、ポール・エーリッヒ研究所(PEI)の助言に従い、アストラゼネカのワクチン接種を中止することを発表しました。 このドイツの発表から雪崩式に、フランス・マクロン大統領が欧州医薬品庁(EMA)によるアストラゼネカ製ワクチン...

2021年3月15日月曜日

コロナウィルス セルフ検査キット発売開始

     今週から、フランスの薬局やスーパーマーケットでは、コロナウィルス感染を自宅で自分でチェックできる検査キット(Auto Test Covid)の発売が解禁になります。 これには、偽陰性、偽陽性の科学的な信頼性への懸念もあり、また、陽性の場合のフォローアップが難しいために、長いことフランス政府では、この発売許可を保留、検討し続けてきましたが、最近、これと同種の市販のデバイスが、スイス、スロベニア、オーストリア、イギリスなどの他のヨーロッパの近隣諸国で採用され、数日間、子供たちの学校への復帰などをサポートしている実績も踏まえ、フランスもこの検査キットの販売許可に踏み切ることにな...

2021年3月14日日曜日

フランスはアストラゼネカのワクチン接種は続行 アストラゼネカのワクチンの安全性への波紋

  デンマーク、ノルウェー、アイスランドの3ヶ国は、アストラゼネカのワクチンが血栓を形成する懸念があることから、このワクチン接種を当面の間、停止することを発表しました。 まだ、開発されて間もないワクチンで、疑心暗鬼になりやすい中、いくつかの副反応例が報告されていましたが、オーストリアでの49歳の看護師がワクチン接種後に重篤な出血性疾患を起こして死亡したことがワクチン接種の停止決定の引き金を引いたようです。 しかし、同様の問題が起こったイタリアでの症例等も合わせて調査した結果、この問題が、アストラゼネカの同じロットから起こっていることが判明し、同じロットから配送されたワクチンを使用していた、他...

2021年3月13日土曜日

フランスのコロナウィルスによる死亡者数9万人突破

   マクロン大統領によるコロナウィルス感染対策の最初のスピーチがあったのは、昨年の3月12日、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学とフランスの全ての学校を閉鎖するという内容のものでした。 生まれて初めての経験で、私は、その頃は、まだまだパンデミックという状況をはっきりとは自覚していませんでした。 しかし、それから数日後、生活必需品の買い物以外は、一切、外出禁止という厳しいロックダウンが発表され、しかも、発表の翌日の正午から・・という急転直下の展開でした。 人々は、買いだめに走り、街には、「ソーシャルディスタンスを取れ!」とがなり立てる警察が闊歩し、軍用車が走り、マクロン大統領が「我々は、今、戦争状態にある」と言った、その通りの状況に国中が一変しました。 あの頃は、ウィルスに関する情報も充分ではなく、厚生相が堂々と公の場面で、「一般の人には、マスクは必要ではない」などと言っていたのでした。今から考えれば、なんと恐ろしい情報発信だったことでしょう。 少なくとも今の時点では、マスクなしの生活は、考えられません。 それから2ヶ月ほどのロックダウンを経て、感染が減少し始め、夏のバカンスシーズンには、まさかの結構な人数の人がバカンスに出かけ、秋になると案の定、感染は再び増加し始め、10月末には、再び、ロックダウンでした。 2回目のロックダウンは、学校は閉鎖せず、工場なども稼働したままのロックダウンで、最初のロックダウンほど厳しいものではありませんでしたが、1ヶ月のロックダウンで、ある程度、感染は減少したため、フランス人が命とバカンスの次に大切にしているノエルを家族と過ごすことは許されました。 しかし、ノエルの時期を前後して登場したイギリス変異種を始めとする変異種の拡大により、再び、フランスは危機的な状況を迎えています。 いみじくも、最初のマクロン大統領のスピーチから、ちょうど一年のこの日、フランスのコロナウィルスによる死亡者数は9万人の王台を突破(90,146人)、集中治療室の患者数は、4,000人を突破(4,033人)、これまでの総感染者数が400万人を突破(4,015,560人)しました。 一年間で9万人の死亡者(ちなみに日本は8,451人です)とは、あらためて、恐ろしい数字です。そして、これは、まだまだ終わってはいないのです。 特にイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の感染状況は深刻で、すでに90%以上は埋まっている集中治療室の患者を100人以上、週末の間に他の地域に移送することが決まり、大移送作戦が始まっていますが、想像以上の混乱状態で、移送するそばから、新たに入ってくる患者の対応におおわらわです。 それもそのはず、ただでさえ、人員不足の病院で、患者の移送には、一人に対して数名のスタッフが付き添わなければならず、新たに入ってくる患者と交差する状況が混乱を生むのも当然のことです。 また、これは、イギリス変異種による感染の特徴として、入院=ただちに集中治療室へ直行という重症化へのスピードが早いため、病床、しかも集中治療室の占拠率が必然的に高くなるわけです。 そして、イギリス変異種感染のもう一つの特徴は、これまでの感染者よりも低年齢化しているということです。比較的、若い世代の急激な病状の悪化は、最低でも2週間は集中治療室での治療が必要なだけでなく、一旦、症状が治っても、症状の満ち引きを繰り返す長期コロナ感染症(COVID...

2021年3月12日金曜日

イル・ド・フランス 崖っぷちの政府の対応策は患者の他地域への移送

   フランスのコロナウィルスの感染状況は、夜間外出禁止、ニースやダンケルクなどの地域的な週末ロックダウンの対策をとりながらも、急激な感染増加は避けられているものの、確実に悪化を続けています。 急激な感染増加はしていないとはいえ、すでに先日も1日の新規感染者数が3万人を突破し、年明けには、2,634人だった集中治療室の患者数も約50%増加し、3,918人にまで達しています。 すでに、フランスは、ヨーロッパ内で、最も感染が悪化している国になっています。 中でも、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の集中治療室の占拠状態は、最も深刻な状況で、すでに90%以上が埋まっている状況、現...

2021年3月11日木曜日

東日本大震災から10年・マクロン大統領の日本へのメッセージ

   東日本大震災から10年、「FUKUSHIMA」は、世界中に知られる有名な場所になり、フランスでも、おそらく「FUKUSHIMA」を知らない人はいないでしょう。 あの日、朝、起きて、習慣のようになっていたテレビの朝のニュース番組をつけると、まだ、ぼんやりとした頭に「ジャポン・TSUNAMI・・」という声が聞こえてきて、「えっ?」と思って、画面に目を向けると、流されていく車や家の映像に、思わず二度見して、果たしてこれは、現実の映像であるのだろうか?と、座り直して、テレビに釘付けになったのを覚えています。 「TSUNAMI」という言葉は、あれ以来、フランスにもしっかりと定着し、今回コロナウィルスの感染状況を表すにあたっても、「TSUNAMI」がやってきた・・などの言い方をしているのを時々耳にします。 フランスでは、現地のニュースで日本のニュースが流れることはあまりありませんが、あの時ばかりは、連日連夜、FUKUSHIMA・・FUKUSHIMA・・と、何日も特番が組まれ、荒れ果てた被災地の様子や被災者が避難所でもきちんと並んで配給を受けている様子なども逐一、報道されていました。 その頃、通っていたスポーツジムなどでも、居合わせたフランス人に、「あなた、日本人でしょ、あなたのご家族は大丈夫だった? 大変だったわね・・日本人は、あんなに大変なことがあっても、慌てず、礼儀正しく、我慢強くて、きちんと並んで・・スゴいわね・・フランスであんなことがあったら、みんな殺し合いになるわよ・・」などと話しかけられることが何回もありました。 あの時は、「なるほど、フランスであんなことがあったら、みんなパニックになって、さぞかし大変なことになるだろうな・・本人たちもちゃんとわかっているのだな・・」などと、心の中でこっそりと思ったりしていたものです。 そして、形は違いえども、昨年から、コロナウィルスによるパンデミックというなかなかな困難な局面に世界中、ほぼ同時に直面している今、震災などの危機をくぐり抜けてきた日本とフランスはやっぱり違うんだな・・とあらためて感じています。 それをどこまで実感しているかは別として、抜かりのないマクロン大統領は、3月11日、ツイッター上で震災から10年に際しての日本へのメッセージを発表しています。(以下全文) 「Mon...

2021年3月10日水曜日

嫉妬による嫌がらせから起こった14歳の殺人事件 セーヌ川に捨てられた少女

   このところ、フランス各地で、10代の半ばのティーンエイジャーの事件が続発しています。 その多くが地域のグループ同士による抗争がエスカレートした乱闘から、ナイフなどの凶器による傷害事件や殺人事件です。 昨日もパリ16区の高校前で数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。ここのところ、このような傷害事件が続いているので、正直、またか・・という気持ちもありますが、これがパリ16区という高級住宅街で起こっていることはショッキングなことでした。 この事件がこの高校の生徒が関係しているものかどうかはわかっていませんが、この高校(Lycée...

2021年3月9日火曜日

フランスの労働者保護の悪循環

    私は、長いこと、フランスで働いてきましたが、その間、良い意味でも悪い意味でも、日本にいたら、決して出会うことはなかったであろう人にずいぶん会ってきました。 厳しい職場で、会社に言いたいこともたくさんありましたし、結構、言ってもきましたが、フランスで会社を良くしていくのは、大変なことで、特にできるスタッフの確保は大変なこと、話し合いをしても、結局、経営者に同情してしまう面も少なくありませんでした。 というのも、フランスでは、法律で労働者が手厚く守られていて、一度、採用したら最後、社内で働かない人を解雇するのは、容易なことではないからです。 雇用形態にもよるのですが、CDD(Contrat...

2021年3月8日月曜日

海外在住者の本人確認はパスポートではできない不思議

 私が日本に一時帰国するのは、家族や親戚、友人に会うためだったり、大量の日本食材の調達だったり、銀行などの用事だったり、その時々で色々あるのですが、その一つに、運転免許証の更新手続きがあります。 もはや、たまに日本に行った時もほとんど日本で運転することはないのですが、私がどうしても日本の運転免許証を更新し続けなければならないのは、日本に行った時の身分証明書代わりに運転免許証が必要だからです。 おかしなことに日本では、日本のパスポートを持っているのに、「パスポートでは本人確認ができません」と言われることが多いのです。 パスポートを作る時には、戸籍謄本やそれなりの書類が必要で、その上で発行されているものでありながら、本人確認がその書類でできないというのは、どうにも意味がわかりません。 身分証明するものは、「保険証」か、「運転免許証」あるいは、「マイナンバーカード」なのだそうです。 長期間、日本にいない場合は、住民票を抜いているため、普通「保険証」はありませんし、「マイナンバーカード」を持っている人もあまりいないのが現実です。 私自身も、「保険証」も「マイナンバーカード」も持っていないので、必然的に「運転免許証」が必要になるのです。 パスポートではダメだと言われることはわかっているので、そこで無駄な押し問答をするのも嫌なので、「運転免許証」を更新し続け、身分証明書代わりに使っているのです。 しかも、運転免許更新の期日間近のタイミングに必ずしも帰国できるとも限らないので、更新する必要のある年に帰る時には、期日前、半年くらい期限が残っていても、早めに更新してしまうので、その分は無駄にしてしまいます。だから、積算すれば、日本に住んでいる人よりも私は、多く免許証の更新をしていることになります。 パスポートは、大使館でも更新できますが、運転免許証は更新できないので、えらく高くつく更新になりますが、仕方ありません。 今は、簡単に日本に行くこともできず、免許証を更新できずにいる海外在住者もきっといるのではないかと思います。一度、失効すると手続きも面倒になってしまいます。 しかし、私など日本で運転免許証を取っていたからまだ良いようなもので、免許証を持っていない人はどうしているのだろうか?と思います。一時的にでも、住民票を戻して保険証をもらうか? マイナンバーを登録してカードをもらうかしかありません。 戸籍謄本まで提出して作られていて、おまけに写真までついていて、そもそも本人確認をするために存在するはずのパスポートです。しかも、日本のパスポートは世界一のパスポートなどと言われているのです。しかし、そのパスポートでは、日本国内では、本人確認ができないのですから、日本というのは不可思議な国です。 フランスでは、全国民、また私のような外国人でさえも、IDカード(Carte...

2021年3月7日日曜日

フランスで生活していく術 トラブル満載の日常を生き抜くために・・

   ひとくちに文化の違いと言ってしまえば、それまでですが、フランスで生活していくには、忍耐と粘り強さと押しの強さが必要です。旅行ならばともかく、生活していくとなれば、生活に関わる色々なトラブルに遭遇します。 生活していくために必要最低限のビザので続きや、銀行、保険、税金等の手続きから、ネット、電気・ガス料金、家賃、交通機関、日常の買い物や配送など生活のあらゆる場面において、あらゆる場面で、トラブルがつきまといます。 この上、フランスで仕事をしていくとなれば、さらなるトラブルは、計り知れません。 これまで、私が20年以上フランスで生活してきた中で、とりあえず、漏れなく、ひととおりの...

2021年3月6日土曜日

フランスの深刻な医療従事者へのワクチン接種の遅れ

    「ロックダウン回避のためにできるあらゆることをする」「ロックダウンは、あくまでも最終手段」という姿勢を取り続けているフランス政府は、取り締まりを強化したり、人気ユーチューバーにソーシャルディスタンスを呼びかける動画作成を依頼したり、様々な試みをしていますが、これ以上の感染拡大を止めるためには、なんと言ってもワクチン接種です。 ヨーロッパ各国では、昨年12月からワクチン接種が開始していますが、フランスは、第一波で最も多くの死亡者を出した「高齢者施設の住民」を最優先としたことで、スタートから、大きく、つまずき、年明けに周囲のヨーロッパ諸国からフランスが桁外れにワクチン接種で遅れ...

2021年3月5日金曜日

変異種61%に拡大・感染悪化もまだまだ粘るフランス 週末ロックダウン1県追加・特別警戒地域23カ所に拡大 

   もはや、ここ数週間、首相の定例会見になっている木曜日の夜、新たにフランスでは、パ・ド・カレー県(オー・ド・フランス地域圏)での週末ロックダウン(ニース、ダンケルクに続いて3県目)と、これまでの20地域に加えて3地域(エーヌ県、オーブ県、オー・ド・アルプ県)を特別警戒地域に追加することが発表されました。 今回、週末ロックダウン地域に加えられたパ・ド・カレー県では、感染率はもちろん、集中治療室の占拠率が102%と医療崩壊を起こしています。 国内の感染状況については、毎日のニュースで伝えられており、今週末には、パ・ド・カレー県と並んで、イル・ド・フランスも週末ロックダウンになるのではないかと...

2021年3月4日木曜日

久々にメディアに堂々登場 カルロス・ゴーン テレビ生出演

                                  カルロス・ゴーンがフランスのニュースチャンネルLCIの19時からのニュースのインタビューに答えるために生出演するというので、彼が今、何のために、何を話すのか? 注目していました。 カルロス・ゴーンが日本から信じられない逃亡をしたのは、2019年の大晦日のこと、それから、すでに一年以上が経過しています。 逃亡中の身でありながら、公共のテレビに出演するなど、なんと太々しいことかと思いますが、逃亡先のレバノンに到着の数日後には、全世界からメディアを集めて記者会見まで行ったのですから、今さら、中継とはいえ、フランスのニュース番組に生でインタビューを受けることなど彼にとっては、何のことはないことかもしれません。 とはいえ、インタビューということもあったのでしょうが、いつもの饒舌な彼の印象とはちょっと違い、かなり気をつけて話している印象で、あまり、フランス語が流暢とも言えない彼の妻が話す場面も多かったのです。 というのも、彼にとっては、これは、最近、彼が妻との共著という形で出版した、彼の逮捕から逃亡劇、その後の様子を綴った内容の本(「Ensemble...

2021年3月3日水曜日

フランス・「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」に指定

   フランスは、日本から「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」に指定され、3月5日午前0時以降にフランスから日本に入国する場合は、到着後、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設)に3日間隔離、3日後に改めて検査を行い、陰性と判断された場合は、入国後14日間の残りの期間を公共交通機関の利用を避けて、自宅等、別の場所で待機することが求められることになりました。 さすがに、これまでヨーロッパのようには感染が拡大していない日本だけあって、非常に厳しいです。 これまでの14日間の隔離だけでも、充分にハードルは高かったのですが、ここまででは、「はいはい、もう帰りませんよ・・」と、...