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2023年8月19日土曜日

フランスの学校でのいじめ問題 被害者ではなく、加害者を転校させる法律発令

  


 8月も半ばを過ぎ、9月からの新年度に向けて、文部科学省は深刻になっているフランスの学校でのいじめ問題にメスを入れる新しい法令を発令しています。

 最近は、学校内でのいじめ問題も自殺者が出るほど深刻化しているため、今回の法令では、このいじめ問題から被害者を守る対策の一環として、いじめられている被害者ではなく、加害者の方を学校から追い出し、転校、あるいは、退学の措置をとれるようになることを法的に定めています。

 いじめの被害に遭っている子供たちが、不登校になったり、転校をせざるを得ない状況に追い詰められるということは、これまでにも多々、あったと思いますし、いじめられている子供の親にとったら、これ以上のいじめにあって苦しむくらいだったら、学校には行かなくてもいいし、転校させようか?と考えてしまうのは、あり得ることです。

 ましてや、いじめの果てに自殺してしまった子供の親にとったら、そんなに苦しんでいたのなら、もう学校なんて、辞めさせたってよかったのに・・と後悔しているに違いありません。

 しかし、これは、考えてみれば、おかしな話で、いじめられている人が学校から姿を消し、いじめている側がそのまま学校に残ることは、再び、次の標的を探すことにもなりかねないどころか、充分に考えられることで、本来、学校を去るべきなのは、加害者側の方なのです。

 今回の法令では、意図的、ならびに反復的ないじめ行為が他の生徒の安全や健康に危険を及ぼすことが証明されている生徒を別の学校に転校、あるいは退学させることが可能になります。

 学校でのいじめに対するこの措置は、被害者である生徒にこの学習環境の変更を強いることを避けるために導入されました。しかし、別の学校に移ったところで、ネットいじめの場合は、学校をまたいで継続される可能性がありますが、別の学校の生徒からのネットによるいじめの制裁は、別に検討中で、追って発表されることになっています。

 とりあえずは、去るべきなのは、いじめの加害者側という至極、まっとうなことが、今後は法律のもとに、行われることになるはずで、少なくとも、いじめられている側にとったら、少しは救われるであろうことで、また、どの学校も「いじめ行為をする生徒はいらない!」という頑とした態度をとることができるようになるのは、前進です。

 この懲戒規則は2023学年度の初め(9月)から適用され、小学生だけでなく中学生、高校生も対象となります。

 ただし、このいじめ加害者追い出しについては、あくまでも、義務教育の場合は、受け入れる学校がある場合の話で、公立学校が自治体に1校しかない場合は、他の自治体がその生徒の入学に同意するという条件でのみ転校が可能になります。

 つまり、問題児を引き受けたくない学校は当然、多いであろう中、そのような子供の「たらいまわし」が起こることになります。

 また、今の時代、携帯を持っていない、ネットを利用していない子供はいないため、学校内だけのいじめに留まらないことは、明白で、被害者に対する誹謗中傷などのいじめは、あっという間に拡散され、多くの人の間で共有されることになり、単に学校から追い出した程度では、解決にならない可能性も大きいのではないかと思います。

 SNSは、いつでも、どこでも簡単に情報を得ることができ、また、必要な情報を拡散できるという面では、大変、便利なものではありますが、悪用された場合の弊害もまた、ここのところ、かなり浮き彫りになってきているような気もするので、この利用についても指導が必要なところもあるし、また、プロバイダーもあらゆる悪用されるケースに対応したサービスを検討していくことが求められていると思います。

 フランスでは、毎年、80万人から100万人の子供たちが学校でのいじめの被害者となっていると言われています。


フランスの学校でのいじめ加害者に制裁を加える法律


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2023年8月3日木曜日

不良少年たちも本当は優しいんじゃないかと思う・・

  



 人を見かけで判断するのは、悪いとは思うのだけれど、いわゆる、パリやパリ近郊で見かけるちょっとヤバい感じの少年たち(いわゆる不良っぽい感じ)のファッション?はだいたい決まっている気がします。

 Nike(ナイキ)などのいわゆる、ちょっといい感じのスポーツメーカーのブランドのスニーカー?、靴を履いて、フード付きのパーカーかトレーナーに、携帯片手に、ホンモノか偽物か怪しいようなハイブランドものの小さなポーチというか、ポシェットのようなものを持っていたりしている子が多く、ちょっと、どこか不安を抱えている落ち着かない目というか、不安定なものが潜んでいる感じの顔つきで、この子たち、ヤバい感じかな?という少年たちには、どこか共通するところがある気がします。

 このところ、世間を賑わせていた暴動は比較的低年齢層が多く、暴動が終わってからも、なんとなく、この子たちも、あの中に混ざっていたのだろうか?と思ってしまうことがあります。

 しかし、最近、すごく暑くて参って、ヘロヘロしている時や、買い物の帰りに荷物が重くて、ちょっとへばりかけていたりする時に、彼らは、優しく、全然、知らない私に「Ça va ?(サ・ヴァ?)」(大丈夫?)と、声をかけてくれたり、席を譲ってくれたりすることが、ここのところ、何回か続けてあって、(それだけ、私も簡単にへばる老化というか体力の衰えを感じる今日この頃・・)、それがちょっと意外というか、「この子たち、心底腐っているわけではなくて、本当は優しい子たちなんだな・・」などと感じる機会に恵まれて?います。

 こう言っては失礼だし、偏見だと思うのですが、そういう感じの子が心配そうに声をかけてくれることが意外で、一瞬、「えっ?」とびっくりしつつ、「Ça va・・merci・・」(大丈夫です。ありがとう」と答えると、それでも、「ほんとに?大丈夫?」と心配そうにしてくれる様子がすごく印象に残るのです。

 こうして、心配されたりすると、少々、恥ずかしかったりもするし、また、こう言っては何なんですが、ちょっと見の印象と、子の優しさのギャップというかが余計、印象に残るのかもしれません。

 おそらく、多くのフランス人と一緒で、弱っている人や、弱い立場の人には、優しいのだと思いますが、それが、どうして、あんな騒ぎを起こしちゃったりするようになっちゃうんだろうか?と、なんか残念な気がします。本当は一人一人はきっと優しい子たちなのに・・。

 まあ、一人一人になると、ある程度はまともで、優しくても、そんな子たちがつるんだり、集団になると、また変わってしまうのかもしれませんが、なんだか、こういう子供たちもまるっきりどうにもならないわけではないんじゃないか?とそんな甘いことを感じたりもします。

 この少年たちの多くは、若気のいたりのようなところもあって、歳をとって、いいおじさんになっていけば、それなりに落ち着いていく人が大部分ではあると思うものの、心底、腐りきっていない部分が見えたりすると、それでも、どこかに救いがあるんじゃないかとも思います。

 そういえば、この間の暴動のきっかけになった警察官に射殺されてしまった男の子も、かなりやんちゃをしていて、警察にマークされたりしていた一方で、その子のおばあさんが、入院している時も「頻繁に連絡をくれたり、病院に来てくれたりしていて、とっても優しい子だった・・」とインタビューに答えていたのを思い出しました。

 なんとなく、この子ヤバいんじゃないか・・という偏見が私にもたしかにあるのですが、それを向こう側から、飛び越えて優しくしてくれたりすると、こちらの目が、心が曇っているのだろうか?などと、ちょっと思ってしまうこともあるのです。


パリの不良少年


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2023年7月26日水曜日

いろいろなバカンスの過ごし方

  


 ある世論調査によると、今年はフランス人の60%はバカンスに行かないという話も聞こえてきたりして、これが、インフレの影響を受けてのものであるとか、年金改革問題で、各所、けっこうなボリュームでストライキをしていたために、結果的にその家庭の財政をひっ迫させ(ストライキをしている日数の分は、給料が支払われない)、バカンスの予算が削られる、または予算が取れないなどというケースもあるのだとかいう話が聞こえてきています。

 そのわりには、肌感として、やっぱりパリの人口は、バカンス期間中は減っているような感じがするのですが、その代わりに、いつもは見かけない組み合わせの家族連れをあちこちで、見かけます。

 今日、バス停でバスを待っていたら、小学生くらいの女の子から、小さい子は、まだバギーに乗せられている子まで含めた見事に女の子ばっかりの4人の孫を連れたパピーとマミー(おじいちゃんとおばあちゃん)がいて、どうやら、彼女たちを連れて、これから動物園にでかける様子。

 マミーの方は、カジュアルではあるけど、ストライプの襟付きシャツにソフトニットを合わせた、ちょっと、小洒落た格好をしていて、女の子たちもおそらく普段、学校に行く服装とは違う、いかにも年配の女性が好みそうな上品な服装をしていて、そういえば、実家の母もワンピースにエナメルの靴、髪型はルノワールの絵に出てくる女の子のような前髪だけを束ねてリボンをつける・・感じの服装をうちの娘にもさせたがっていたなぁ・・などと思い出しながら、どこか遠くにバカンスにでかけなくても、こういうパピーやマミーとのお出かけも、そんな服装も含めて、きっと良い思い出になるんだろうな・・と、なんだかあったかい気持ちで眺めていました。

 メトロの中でも家族連れと思われる人たちをけっこう見かけ、パリにバカンスに来ている家族というのもいるんだな・・と思ったり、ランチを食べに入れば、どこか、ちょっとよそよそしい感じの中高生くらいの娘2人とパパとか、お年頃のこのくらいの女の子はダイエットを気にしてか?フライドポテトは残すんだな・・と思ったり、息子と2人連れで、お昼から、ゆったりワインなんか飲んじゃってるパパとかの子連れとはいえ、どことなく、男同士の感じとか・・いつもは見かけない感じの組みあわせの人々を見かけて、やっぱり、みんな、いつもとはちょっと違うことしてるんだな・・と思います。



 かと思うと、パパもママも働いている人のためにある サントル・ドゥ・ロワジール(Centre de loisir(夏の間、日中、子供を預かってくれる機関)の子供たちが移動のためなのか、黄色いベストを着せられて街中を移動していて、娘もサントル・ドゥ・ロワジールに行かせてたことあったなぁ~と思ったり・・。

 バカンスに出かけた人の話だと、現在、ギリシャとか、南欧はうだるような暑さでものすごい人だとか・・。どういうわけか、5月から6月初旬にけっこう暑かったパリは7月はあんまり暑くなくて、今のところ楽勝の夏。

 昨夜などは、ちょっと肌寒い気がしたりもするくらいでしたが、これで夏が過ぎるわけはない・・といつくるかわからない猛暑に怯えつつも、やっぱり、どっか行きたい悔しい気持ちはちょっとよぎりますが、子供の学校のバカンス期間が関係なければ、バカンスは7月・8月は避けるべし・・などと、世間のバカンスの光景を眺めつつ、少し空いてきたパリを楽しんでいます。

 今年は5月から6月にかけてイタリアに行けたので、また、イタリアに行きたい病にかかり、人に会うごとに、「イタリア行くんだったら、どこがいい?」と聞き歩いていますが、皆、口を揃えて言うのは、イタリアは7月8月は避けた方が良いよ!・・と。

 ともあれ、この時期、スタンダードなバカンスではなくとも、いつもと違ったそれぞれのバカンスをみんなが過ごしているようなのも、それはそれで、よいバカンスなのではないのかな?と思えるのでした。


バカンスいろいろ


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2023年7月10日月曜日

夏休み・夏のバカンス短縮で不公平は是正できるか?

  


 日本で生まれて、日本で育った私にとって、海外で生活していれば、否応なしに感じるのは、文化の違いですが、その中でも「バカンス」に関しては、感覚が大きく違うものの一つでもあります。

 なんといっても、フランス人のバカンスは長い!

 私はフランスに来て、ちょうど1年後くらい、娘がちょうど1歳になるかならないかくらいの時に仕事を始めたので、フランスで学生生活を送ったことはありませんが、代わりに娘の長い夏休みやその他の時期のバカンス(学校のお休み)の多さには、つくづく辟易してきました。

 ヨーロッパの人は大胆に長期間のバカンスをとるということは、なんとなく知ってはいましたが、実際に体験してみると、なかなか大きな違いです。

 職種によっても違うかもしれませんが、普通に会社務めをしている場合、約1ヶ月間の有給休暇は仕事を始めて、1年後からとれるようになっていますし、当然の権利として考えています。

 日本の会社で長期間の有給はとりにくいとか・・有休を消化しきれないとかいうのは、フランス人にはそれこそ、逆に意味のわからないことだと思います。

 しかし、それ以上に学校のお休みは長いし、多いし、夏は2ヶ月強、その他、約1ヶ月おきくらいに2週間くらいのバカンス(トゥーサンやノエル、冬休み、イースターなど)があり、おまけに小学校までは、水・土・日が休みです。

 あまりにお休みが多いので、一度数えたことがありましたが、これらのお休みの合計は1年のうちの約3分の1に相当します。つまり、自分の有給休暇だけでは、なんとかできるはずもなく、子供の長い学校のバカンス期間(特に夏)をどう都合をつけるかは、大変な問題だったのです。

 夏休みの場合、多くのフランス人は、子供の長いバカンスの半分は、子供をパピーやマミー(おじいさん、おばあさん)のところに行かせて、半分は家族でバカンスへ・・という家庭が多い気がしていましたが、それができない我が家はもっぱら、コロニー(スポーツなどを体験させてくれる合宿のようなもの)のお世話になり、むしろ、コロニーをやっていない時期に私はバカンスをとるようにしていました。

 学校のお休みとコロニーとをパズルのように組み合わせて予約をして(また、この予約がかなり前から必要)埋めていく作業は、私の仕事の都合でバカンスをとれる時期が限られていたこともあって、母子家庭だった我が家にとっては常に頭の痛い問題でした。

 それが、最近、マクロン大統領が学生間の不平等を是正し、また日常のキツ過ぎる授業日程を緩和するために、授業を年間を通じて、より適切に分散するために、夏の学校のバカンス期間を短縮したいと言い始めました。バカンス期間が長いだけあって、日常の学校の授業は、小学校から16時半まで、エチュード(宿題や補修の時間(希望者のみ)も含めれば18時までと長いのです。

 特に送り迎えが小学校が終わるまでは必要なフランスで(高学年になれば、必須ではないものの、一応、多くの家庭では送り迎えをしている)、これは、共働きが多い親の都合に合わせてくれているのかとも思いますが、子供によっては、かなりキツい日程かもしれません。

 子育てが終わってしまった我が家にとっては、「遅いよ~今頃・・」という話なのですが、特にこの長期間のバカンス期間に旅行や文化、スポーツ活動をする財力に乏しい家庭の子供たちの不公平感を是正するという考え方には、少々、疑問を感じます。

 とにもかくにもバカンス期間が長すぎるという意味では異論はないのですが、バカンス期間を短縮することで、不公平感を是正できるというのは、あんまり納得できません。

 そもそも、それぞれの家庭、様々な事情があるのは当然のことで、そもそもは世の中は公平ではないものだし、公平というものは、なかなか測りきれるものでもありません。

 むしろ、何かあるたびに不公平だとか騒ぐ方が私には抵抗があります。バカンスが長いにしろ、短いにしろ、平等に与えられているのは時間で、その時間をそれなりにどのように有意義に子供に過ごさせるかは、必ずしも経済的なことに依存するばかりではありません。

 むしろ、フランスは援助の手を辿っていけば、現時点でも結構な援助が受けられるようになっています。

 結局は、全ての問題が格差社会の問題につながっているような気もするのですが、バカンス期間を短くしたとて、これが緩和されることはなく、もっと別の問題なような気がします。

 また、このバカンス短縮問題は、逆に言えば、長いバカンス期間を享受している教職員組合からは、ブーイングが必須であろうし(一般的に、教師は低賃金で、バカンスが長いということが取り柄と言われている)、観光関係者連盟(CAT)もバカンス期間が短縮されれば、それだけ、短い期間にバカンス客が集中することになり、価格の高騰を招きかねないとの見解を発表しています。

 これだけ多くの人が長期間にわたり、バカンスに出て、お金を使うフランスでは、観光産業は決して侮れない金額、200億ユーロが動く産業で、GDPの13%を占めていると言われています。

 これまで、過去の大統領、サルコジ政権、オランド政権などの時にもこの夏のバカンス短縮の声は上がっていましたが、結局のところ、現実化はしませんでした。

 短縮するどころか、「フランスはヨーロッパの中でも夏休みが最も少ない国の一つ」、アイルランド、ポルトガル、ラトビアなどは13週間休む・・など、ホントかウソかわかりませんが、そんなことを言いだす人までいます。

 どちらにしても、フランス人にとって、重要な位置を占めるバカンス問題、増やすならともかく、短縮となれば、そんなに簡単なことではありません。


夏休み 夏のバカンス短縮計画


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2023年7月9日日曜日

フランス国家安全保障名目でTikTok停止の危機 6ヶ月間の最後通告

  


 「フランスでTikTok廃止?」というニュースを聞いて、ようやくおさまりつつある今回の暴動劇にもTikTokが利用されていたせいなのか? それにしても、リアクションが早いな・・と思っていたら、この話は、もっと前から調査が続けられていたものでした。

 フランス上院調査委員会は、4ヶ月間にわたる調査と専門家、研究者、学者、政治指導者、TikTok側のフランスの代表らとの約30回の公聴会を経て、ソーシャルネットワークの利用と個人データの利用に関する報告書の結論を発表しました。

 この報告書によると、現在、フランスでのTikTokのユーザーは特に低年齢層に爆発的に浸透しており、11歳~13歳の45%がTikTokに登録していると言われています。SNSは大変、便利なツールであると同時に、多くの時間を人々から奪います。

 「なかでもTikTokは、非常に中毒性が高いアルゴリズムを有しており、ユーザー、主に子供や十代の若者たちを何時間も画面上に留めておく」と報告されています。

 また、中国で誕生したこのサービスは、中国当局との強力な連携の上に成り立つものであり、ユーザーに関する情報がアルゴリズムファイリングを通じて全て中国当局に収集されていることに対する懸念も報告されています。

 もう 1 つの非常に懸念すべき観察結果は、危険なコンテンツや過度に性的なコンテンツが強調されていることです。 TikTokのアルゴリズムは、ユーザーを時には危険なフィルターバブルに閉じ込めることにつながると調査委員会は警告しています。 

 デジタルヘイト対策センターによる2022年12月の調査によると、このアプリケーションは「弱い立場にある人々により危険なコンテンツを提供する傾向があり、標準的なプロフィールと比較して、メンタルヘルス問題に関心を示しているユーザーには12倍の自殺関連動画が提供される」と報告されています。

 個人的には、今の時代、携帯なしというものは、考えられないのも事実ではあり、全面的に否定するつもりはありませんが、特に低年齢の子供には、せめて時間制限があってよいと思っています。1日24時間をSNSにその大半を侵略されて過ごすのは、その年齢にしかできない体験が削られるということで、心身ともに不健康だと思うのです。

 このフランス上院調査委員会は、これまでTikTokに対して、年齢制限、時間制限、危険なコンテンツについて扱いなどについて、少なくとも21項目に関して、再三、要請を行ってきましたが、回答があったのは、その20%ほどで、残りの80%に対しては、なんら対策がとられていない状態ということで、今回は、6か月間の猶予期間を設け、2024年1月までに、これが改善されない場合は停止措置をとると発表しています。

 また、1500万人以上のフランス人が利用するサービスの停止の可能性は、欧州の新たな規制であるデジタルサービス法(DSA)に基づき、引き続き政府、さらには欧州委員会の主導で行われることになります。

 フランス政府の要請に対して、80%が無回答というのは、あまりに不透明で、反論するよりもたちが悪く、フランス側にしてみれば、今回の暴動などのツールとしても使用されていたことがわかっていることから、「弱い立場にある人々により危険なコンテンツを提供する傾向がある」などという調査結果が上がってきている、ということもあり、もう待ったなしの状態に来ているのかもしれません。

 SNSを利用しているつもりが、これに支配され、先導されかねない状況、そのうえ、情報までが吸い取られているとなれば、それこそ国家安全保障に関わる大問題です。

 これをTikTok側が海外の声をどこまで受け入れるか? 一部ではTikTokはファーウェイの二の舞になるのではないか?との声も上がり始めています。いずれにしても、ものすごい速さで浸透していくSNSの世界、野放しにしているわけにはいかない時が来ています。


TikTok フランス国家安全保障名目で停止の危機


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2023年6月30日金曜日

フランスに住んでいる日本人の2回の成人式のステップ

  


 パリにいる友人の息子さんが20歳になり、成人になったという話を聞いて、そういえば、成人という区切りが我が家にも2回あったな・・ということを思い出しました。

 フランスでは18歳で成人となり、一応、大人として扱われるようになるので、日本のような成人式はないにせよ、家族や親戚を集めて、派手にお祝いをしたりする家もありますが、我が家では、たしかお兄ちゃんたちがお誕生日のお祝いに来てくれたくらいで、まだ、受験を控えていたこともあったりで、特別なことはしませんでした。

 日本人の私にとっては、どうしても成人=20歳というあたまがあって、18歳はフランスでは成人でも、20歳になるまでの2年間はまだ、どことなく、娘はまだ成人ではないような気分が半分以上ありました。

 とはいえ、フランスで18歳となれば、一番に思いつくのが犯罪などの際の扱いなど、日本よりも一足先に法的に成人です。同じ人がフランスでは成人、日本では未成年と妙な2年間です。

 しかし、日本で生まれ育った日本人の私としては、どうしても二十歳が成人という気持ちが強く、それが私の中では区切りではあったのです。

 とはいえ、フランスでの成人というのも、我が家にとっては大きなことでもありました。

 それは母子家庭であったということが関係しています。

 夫が亡くなったのが娘が10歳のときのことで、誰が通報したのか?夫が亡くなって、まもなくして、児童裁判所に呼び出されたことがありました。

 子供を取り上げられてしまうのでは?という懸念があり、夫の元同僚の女性が裁判所には付き添ってくれて、よく説明してくれたので、子供を取り上げられることはありませんでしたが、それから、成人するまでの間、私たち親子は一応、市の児童裁判所の監督下におかれることになり、私になにか落ち度があれば、娘は取り上げられてしまうという恐怖が私にはいつも付きまとい、娘が18歳になるまでは絶対死ねないし、絶対に子供を1人にして放置して出かけたりすることはできないし、うっかり病気をして入院もできないし・・と大変な気負いがありました。

 年に一度、裁判所から送られてくる、報告書のようなものを提出しなければならなかったし、私の中で、娘が18歳になるまでは・・という気持ちも大きくあったのです。

 一応、18歳になった時点で、児童裁判所からも解放され、私は大きく肩の荷を一つおろした気持ちになったものの、娘はまだ学生で、日本ではまだ未成年。成人式のために日本に帰国することはできなくても、一応、娘には振袖を着せて、写真屋さんでちゃんとした写真を撮ってもらい、私の大好きだった祖父母のお墓まいりに行き、ごくごく近い日本の親戚に挨拶に行き、それをもって、成人式の区切りとしたのでした。

 真夏の暑さの中、私の希望で振袖を着せられる娘も気の毒でしたが、そのために私が成人式の時に来た着物は、その後、従妹のところを転々としたあと、行方不明になってしまっていて、実家をひっくり返したら、母が結婚式の時に着た振袖が出てきたので、それを娘には着てもらい、また別の意味で感慨無量でした。

 できることなら、母に見せたかったけど、私の中ではこの娘の真夏の振袖姿が娘の成人の区切りになりました。

 2回の成人式を通過する海外在住の日本人の子供、2段階の成人式も悪くないような気もしているのです。


フランスの成人式と日本の成人式


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2023年6月11日日曜日

日本に帰っていった娘 親離れ・子離れ

 


 転職を機に、パリに一時帰国?していた娘が日本に帰っていきました。2週間程度の滞在でしたが、その間、彼女は時間を惜しんでパリにいる友人と会ったり、私とも一緒にパリで買い物して歩いたり、食事に行ったり、イタリアに旅行したりと私にとっても、楽しい時間でした。

 私は子育ての過程において、かねてから、子供は、ある程度の年齢になったら、家を出て、独立した生活を経験するべきだと思っていたし、娘の場合は、彼女のエコールがボルドーにあったために、以前にも1人暮らし(といってもシェアハウスのようなところでしたが・・)をしていた期間がありました。

 途中、パンデミックで予定が狂ったりして、海外への留学がキャンセルになったりして、その間は、ボルドーを引き払って家に帰ってきて、パリでスタージュをしたりしている間は、家に戻っていましたが、就職先に日本にある会社を選んだことで、パリの家からは、出ていくことになりました。

 彼女が最初にボルドーで一人暮らしを始めるときは、親元を離れて生活するということが初めてだったので、日本っぽいとか、少々、親バカかとも思いつつ、どんなところで彼女がこれから生活するのかも見ておきたかったし、大家さんにも一応、挨拶をしておこうと思って、日帰りですが、一緒についていったし、また、日本で生活を始めるにあたっても、日本には何度も行ったことがあるとはいえ、日本で生活するのは初めてのことなので、住民票のこととか、銀行のこと、また、空き家になっていた私の実家で生活するために、家に不具合はないかとか、周囲の親戚や、私の友人など、色々な人に一応、声をかけておこうと、親として、私が彼女にしてあげられる最後のこと・・と思って、最初だけ一緒に日本に行き、その後、私は1人でパリに帰ってきました。

 彼女が日本で仕事をし、一人暮らしを始めて、1年とちょっとが経ち、今回、彼女がパリに帰ってきて、普段、時々、電話で話したり、メッセージを送りあったりしているものの、ゆっくり話をするのは、久しぶりで、彼女の様子から、日本とフランスの違いを肌で感じながら、着々と1人での生活を確立していっている様子が見えて、もともとしっかりした娘ではありましたが、またワンステップ、人として、成長した様子が見えて、やっぱりよかったな・・とそんな気持ちでいます。

 経済的にも、今の彼女はけっこう稼いでいるにもかかわらず、旅行などはけっこうしているらしいものの、実生活は、かなりガッチリとしていて相変わらずのケチケチ生活をしているようで、そんなところも、自分の生活を自分で営んでいるところが垣間見えて、微笑ましい限りです。

 正直、夫が亡くなって以来、親一人子一人の生活をずっと続けてきて、私は、これまでは何よりも娘のことを優先に生活してきたし、当初は、私も自分だけのために何かをするというリズムをすっかり忘れていましたが、今では、すっかり自分のリズムで生活することに慣れてしまいました。

 多少、寂しい気もすることはありますが、やっぱり、ある程度の年齢になったら、親から独立することは、必要なことだと思っています。

 私が彼女くらいの年齢の時は、時代も国も違うので、必ずしも、比較の対象にはなりませんが、父親がうるさくて、女の子が一人暮らしをするとか、あり得ない感じだったし、夜、出かけるにも、旅行に行くにも、いちいち親がうるさくて、かといっても、なんだかんだいって、自分は親がかりの生活を抜け出す勇気もなかなかなくて、どこか不満に思いながらも中途半端だったなぁと思います。

 日本は成人しても親元に居続けることが珍しくもないし、親の方も子供を独立させたがらないので、その時は、そのことをあまり、おかしいとも思っていなかったのですが、こうして海外に出てみると、子供が成人したら、わりと普通に独立していくのを見るにつけ、ある程度の年齢になったら、男女問わず、親離れ・子離れしていくことは、親にとっても、子供にとっても、人間として大事な成長の過程であると思うようになりました。

 海外での子育ては本当に大変でしたが、思い返すと本当に楽しかったし、子供がいなければできなかったであろう、このうえない経験を沢山させてもらいました。本当に楽しかったし、子供を産んで育てるという経験ができて、本当に有難い経験でした。

 しかし、この先もズルズルと親も子も、もたれかかりあう生活はどちらのためにもならないとも思い、区切りをつけることも必要だと私は自分に言い聞かせるようにしています。

 私の両親はもう他界してしまっているので、私は親の介護という問題からも卒業?し、今のところは、私が介護してもらうような状態でもないので、今は私は一応、子育ても卒業し、自分自身の生活を有意義に過ごせるように楽しみながら生活し、娘は娘でこれから彼女が自分自身の家庭を持つまでは、独身生活を謳歌しながら送っていくと思います。

 もともと、私は、彼女が生まれた時から、娘には国際人になってほしいと思っており、彼女には、日本にも海外にも共通に存在する名前をつけました。日本語も必死で一生懸命教えてきたし(英語はほんの少しだけだったけど・・)、こうして、今、色々な国の人々と仕事をし、海外を自由自在に行き来している彼女の姿は私の理想にかなり近かったかもしれないとも思います。

 彼女の今回の来仏は、できるだけ安いチケットを探したと言っていて、ベトナム経由のフライトを選び、ついでにベトナムにも数日、滞在するとかで、その体力とバイタリティには、感心するやら羨ましいやら・・。今、私にもそんな自由はあるものの、とても体力的に無理になってしまいました。

 とはいえ、離れて生活している以上、いつ何があるかもわからないし、「あれが最後だった・・」なんてことにもなりかねないため、空港までは送って行って、「次は私が日本に行くね・・元気でね・・」とお見送りをしてきました。

 今回、彼女がパリに着いた時に、エスカレーターが壊れていて、「フランスに帰ってきたなぁ・・」と実感していた彼女でしたが、彼女を見送って、早々に電車で帰ろうとした私は、不審な荷物があるとのことで、空港の駅が閉鎖・・。

 どうにか、違う駅まで移動して、もう娘の飛行機は出ている頃だろうな・・ヤレヤレ・・と家に帰ってくると、娘からメッセージで「飛行機が遅れていて、まだ出ていない・・」と。飛行機は結局1時間半も遅れて離陸し、彼女は、行きも帰りもフランスらしさを満喫することになったようです。

 彼女の選んだフライトは、ベトナムエアラインで日本への直行便ではないのに、「日本人観光客がいっぱいで、乗り継ぎに間に合わなくなると日本人が騒いでいる!」と・・。

 多くの日本人観光客も同じエアラインを選んでいるということは、やっぱり今、ベトナム経由が安いのかも??などと、思ったりしました。

 そんなわけで、彼女は今、フランス、イタリアに次ぎ、ベトナムでのプチバカンスを楽しんでいます。パリを出る時にスーツケースの計量とともに、自分の体重を測りながら、「ヤバい!4キロも増えてる!」と焦っていた娘・・ベトナムに着いても、「食べ物が美味しくて、しかも安い!これで4ユーロ!」などと写真を送ってきています。

 彼女のダイエットは日本に帰ってからになりそうです。


親離れ 子離れ


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2023年6月6日火曜日

シャンゼリゼでのディクテ(書き取り)大会 参加者5000人 ギネス記録樹立

  


 6月のある日曜日、パリ・シャンゼリゼでは、ディクテ(書き取り・口述筆記)大会が行われていました。このディクテというもの、私が中学生の頃、英語の授業の中でディクテーションというものがあったような微かな記憶がありますが、フランス語、特に正確にフランス語を読み書きするのが大の苦手・・というより、ほとんど無理なレベルの私にとっては、まるでフランス語の難易度をひけらかされているようにさえ感じる嫌みなイベントです。

 しかし、フランス人にとっては、幼い頃から慣れ親しんだ?それなりに苦労してきたディクテには、郷愁のようなものを感じるところもあるようです。

 毎年のように、このディクテの大会はどこかで開催されている話を耳にしますが、今年はシャンゼリゼで行われ、5000人が参加するというので、シャンゼリゼがディクテ会場として、どんなふうにセットアップされるのかだけでも、見ものだと思い、散歩がてら、シャンゼリゼに出かけてみました。

 久しぶりにパリに来ている娘にとって、シャンゼリゼは、なかなか誘惑の多い場所でもあり、洋服などを見ていたら、実際のディクテ会場に到達するのは、遅くなってしまって、下手をすると、もう終わっちゃってる?と思いきや、ディクテ大会は3部構成になっていて、私たちが見に行った時には、ちょうど3部目が始まるところでした。

 司会は、テレビでよく見かける女性司会者で、「世界一美しい通り・シャンゼリゼにようこそ!」と始まりました。このシャンゼリゼで何かが行われる時には、必ず司会者あるいは、解説者が口にする「世界一美しい通り・シャンゼリゼ」という文句には、何度聞いても、「まあ、そうかもしれないけどね・・」とちょっと苦笑させられます。

 この日の参加申し込みには、なんと5万件を超える応募があったとかで、その中から抽選で選ばれた10歳から92歳の約5000人が参加したそうです。(3部構成で、1回につき1779人が参加)

 シャンゼリゼには、凱旋門の目の前にステージと大型スクリーンが用意され、そのステージに向かって、学校で使うような机と椅子がきれいに並べられているという、ちょっと珍しい光景です。

 よくよく考えるならば、このディクテという大会が成立するのも、日本語でいう単に感じの書き取りのようなものではなく、文章の口述筆記で、フランス語の文法や余計?な記号の多さ、複雑さが、このような大会が成立する所以であり、多くの人、ネイティブのフランス人でさえも、正確にフランス語の文章をしっかりと間違いなしに書き取ることがどれだけ難しいかということなのです。

 まあ、私がいつまでもフランス語が苦手な言い訳でもありますが・・。

 最初、フランス語を知らなかった頃、どうして大の大人がちゃんとフランス語を書けるかどうかの大会などが存在するのかと思いましたが、いざ、フランス語を学び始めると、ミスなしにフランス語を書くことが、どれだけ大変なことかがわかります。

 幼少期からの全ての教育をフランスで受けてきた娘は、「ちょっとやってみたいかも・・」などと言いつつ、「学生時代だったら、少しは自信があったけど、最近、あまりフランス語を書いていないから、今だったら、どうだろう?」と言っていました。

 学生時代、幼い頃は、学校でディクテの練習をさせられたこともあったけど、大きくなってからは、論文形式のテストなどの場合は、この綴りや記号、文法に誤りがあると、減点されるので、点取り虫だった彼女はとても気を使ったのだとか・・。それも、文章そのもののテストではなく、本題は、内容のある論文の方に気を取られがちなため、大変なのだとか・・。

 だいたい、フランスの学校のテストというものは、やたらと論文形式のものが多く、長々とした文章を書かされるテストが多いのです。

 そもそも論じることが好きなフランスの国民性は、こんな教育も関係しているのかもしれません。

 英語に比べると文法も記号なども格段に複雑なフランス語は、発音しない文字も多く、しかもアクサンテギューだのなんだの、記号も多く、どうしてもっと簡単に進化していかなかったのか?と恨めしいくらいですが、フランス人はその難しいフランス語に誇りを持っているようなところもあります。

 まあ、考えようによっては、基本的に使われているのは、アルファベットのみ、日本語はひらがな、カタカナ、漢字と文字の種類は格段に多いはず。

 外国人からしたら、それなりに日本語の読み書きは難しいとも思いますが、少し話すことさえできれば、平仮名だけでよければ、とりあえず、書くことはできることを考えれば、日本語って上手くできているなぁ・・などとも思うのです。

 最近は、日本語でさえ、パソコンやら携帯やらで、自分の手で文字を書くということをさっぱりしなくなっているので、実際に自分の手でペンを使って文字を書くということがとても億劫になっていますが、たまには、日本語の文章を紙に書くということも悪くないかな?とこんなイベントを目にして、感じないでもありません。

 なお、このシャンゼリゼのディクテ大会は世界で最も多くの人がディクテを行った(1400人(一部につき)ギネスブックの記録を樹立したそうです。


シャンゼリゼ ディクテ大会 ギネス記録


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2023年5月26日金曜日

娘の友人関係に見るフランスの社会構造

  


 現在、日本で就職した娘がフランスに一時帰国しており、彼女は久しぶりのフランスで日頃、会うことができていない友人に会ったり、買い物をしたり、私が日本に一時帰国した時と同じようなことをして楽しんでいます。

 まあ、違う点といえば、彼女はそもそもフランスで育ったというのに、フランス料理はあまり好きではなく、圧倒的に日本の食生活に満足しており、私が日本に行った時のように、ここぞとばかりに日本の食料を買い集めて持って帰ろうとするようにフランスの食べ物を買い集めたりすることはなく、日本では、探すのが難しい、彼女の体型に合った洋服などを悠々と探していることで、私が日本に帰った時のように食べ物に対してガツガツした姿勢がないことくらいです。

 日本で生活を始めて約1年半が経ち、日本でもそれなりに友人ができ始めたようで、当初は私が心配していた人間関係も概ね好調のようで、彼女にとっては、特に彼女とほぼ同じような境遇、フランス人と日本人のハーフでパリ育ちで現在、日本で就職して、日本で一人暮らしをし、親はフランスにいる・・という女の子と仲良くなったことは彼女にとっては大きなことだったようです。

 今後のことはわかりませんが、現段階では、フランスで育ってきた彼女にとってはフランスの方が長く知り合っている友人はフランスの方が多いわけで、そんな友人たちに会えることは、何より楽しいことのようです。

 彼女は小学校から高校までは、近所の私立の学校に通っていたので、その学校での友人との付き合いは長く、また、その後、プレパー、グランエゼコールと進む中でも、それなりに友人ができていったのですが、彼女の友人たちの近況を彼女から伝え聞くにつけ、世の中で騒いでいる生活が苦しい学生の話や貧しい若者たちの話などとは、まるで無縁の世界に突入していて、すべて、うまいように人生が転がって行っている感じで、人生は早い時点でその道筋がついてしまっているのかもしれない・・と思わずにはいられない感じがしています。

 とはいえ、皆、仕事を始めて、まだそんなに経っていないので、これからどんな落とし穴が待っているかはわかりませんが、彼女の友人たちは皆、よい就職先に就き、けっこうな高収入を得て、順調にキャリアを積んでいるようで、特にグランゼコールを卒業した子たちなどは、話には、聞いていましたが、普通の人たちが何年もかけて昇格していくところをいきなり管理職だったりするのには、唖然とさせられます。

 私自身は、フランスの学校のシステムをよく理解していたわけでもなく、特に唯一の頼みの綱だった夫が亡くなってからは、彼女にそれらしいアドバイスができていたわけでもなく、なので当然、それを目指して教育してきたわけではないのですが、結局、彼女を小学校から通わせていた私立の学校へ入学させたことが、今から思い返せば、大きな分かれ道だったような気がしています。

 彼女たちは、まだ、20代前半(中盤?)なので、これからも色々なことがあるでしょうが、教育というものは、大変なものだ・・良くも悪くも、人生を全く違うものにするものなんだな・・と実感しています。

 彼女が通っていた私立の学校は、とりあえず、家から近いということで選んだ学校だったのですが、これが、たまたま結構な受験校(フランスには実際に受験らしい受験はないので、受験校という言い方はふさわしくなく、教育熱心な学校という方がよいかもしれない・・)高校卒業時点でプレパー(グランゼコール準備学校)に進む人も少なくないような学校だったのです。

 ですから、そんな学校の中で育てば、負けず嫌いな娘は上を目指すようになったのですが、実際のところ、世間一般の社会の中では、フランス人でもグランゼコールというものを知らない人もいるのには、驚いたことがありました。

 むしろ、在仏日本人の方が、結構、子供がグランゼコールに行っていたとか、ポリテクニック( École polytechnique)に行っていたとか、シアンスポ(Sciences-po)に行っていたとかいう話は、そこここで、よく聞く話なので、そんな学校の存在をフランス人でさえ知らない人がいるということは、もっと知らないはずの日本人の私にとっては、びっくりだったのです。

 ということは、もうその親からして、まるでそういう学校とは無縁の人生を送ってきたということで、家族もろとも、別世界を生きているのだと思わざるを得ません。

 これまでのフランスでの生活で、私自身は、ロクにフランス語もできていないような状況なので、圏外みたいなものですが、話には聞いていた格差社会は根深いものだという裏付けが娘やその友人たちを通して見えるような気がしています。


フランスの社会構造 格差社会


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2023年5月24日水曜日

しばしの娘の帰省と早々の転職

 


 日本で就職した娘が半年ぶりぐらいにパリに来ています。

 娘が日本で就職して、1年とちょっとが経ちました。昨年の夏頃に一度、友人の結婚式があるとかでパリに来ていたのですが、その時は、「就職して、まだ半年くらいしか経っていないのに、そんなに長くお休みが取れるの?」とビックリしたのですが、娘の仕事は、ほぼリモートで、実際に出勤することはほとんどないので、移動中の日程だけの分のお休みをとれば、あとは、パリに来ても、日本時間に合わせて起きて仕事をすればいいのだとかで、仕事柄ということもあるのでしょうが、まぁ時代も環境も変わったものだと感心していました。

 しかし、日本のリモートでの会議に合わせて夜中に起きたりしていたので、ほぼ、私まで時差ボケ状態で、その合間を縫って、彼女は友人の結婚式に出席したり、友人に会いに行ったり、いくらリモートワークができるとはいえ、若いからこそなせる業だと、その体力とバイタリティが羨ましい気がしていました。

 あれから、さらに半年と少しが経ったころ、日本にいる彼女から電話があって、「ちょっと報告することがある・・」と。ちょっと私はドッキリしたのですが、現在の会社に就職して1年数ヶ月経ったところで、もう次の転職先を見つけたとかで、転職することにしたとか・・。

 理系の彼女の仕事に関しては、私はよくわからないので、何も口を出す気もないのですが、まあ、彼女が就いた仕事を一生続けるともハナから思っていなかったし、今の時代、転職をしてキャリアアップしていくのは、珍しくない話だし、転職先がフランスなら誰でも知っているようなフランスの大手の製薬会社ということもあり、転職先としては文句なしで、しかも、その会社の日本支社ということで、日本に居続けることもできて、まことによいお話で「よかった!よかった!おめでとう!」ということになったのです。

 そんなわけで、最初の就職先を退社して、次の会社との契約が始まるまでのひと月ほどの間が空くので、その間にパリにも行くから・・と。

 だいたい、これまでも、ある程度、時間の自由が利く仕事で、ここぞとばかりに日本に行って以来、なんだかあちこち旅行して歩いて、大いに人生を楽しんでいる様子の娘。

 小さい時から、とにかく日本語をしっかり教えることにこだわってきた私にとっては、娘が日本で仕事ができていることは嬉しい限りですが、これまでの会社は英語圏の会社で、仕事は日本語と英語の職場で、彼女にとって母国語であるフランス語を仕事を使えないのは、なんとも残念なことだと思っていたのです。

 しかし、今度の仕事は日本語、英語に加えて、フランス語も使う機会がありそうなので、ヤレヤレよかったよかった・・と思っています。

 とにかく、今回は、転職する間の本当のお休みで来ているため、前回のような、日本時間での生活をする必要はないわけで、それはちょっとホッとしています。

 日本の便利な生活にすっかり慣れた娘は、パリのCDG(シャルルドゴール)空港について、いきなりエスカレーターが壊れているのに遭遇して、「あ~~フランスに帰ってきたな・・」と実感したとか・・。

 そのうえ、電車に乗ったら、途中で何度も電車が止まって、さらにその実感が増したとか・・。

 私はと言えば、とりあえず、さらにたくましく成長している彼女の顔を久しぶりに見れて、とても嬉しいのですが、それに加えて、自分が長距離フライトに苦しむこともなく、山のような日本の食料が手に入って、とってもごきげんなのでありました。


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2023年5月20日土曜日

フランス最大の移動遊園地 フォア・デュ・トローヌ・パリ(Foire du Trône)

  


 フォア・デュ・トローヌ(Foire du Trône)は、春になるとパリにやってくるフランス最大の移動遊園地で、フォア・デュ・トローヌの看板を見かけたりすると、「もうそんな季節か・・」と思わせられる季節限定・期間限定(4月・5月のみ)のお祭り的存在でもあります。

 今年は、350のアトラクションと80の乗り物が出ています。

 娘が小さかった頃は、何回か連れて行ったことがありましたが、勇ましいくせに、遊園地の乗り物があまり好きではなかった娘は、ハッキリ言って、それほど喜んでくれるわけでもなく、そんなに頻繁に行くわけではありませんでした。

 考えてみれば、狭いパリの中で、常設の遊園地というものは思い当たらず、たいていは、季節限定の移動遊園地で、ノエルの前くらいになると、チュイルリー公園の一部などにも遊園地がやってきますが、それ以外の常設の遊園地となると、ディズニーランド・パリをはじめとして、だいたいパリ郊外になります。

 このフォア・デュ・トローヌもパンデミックのために2年間は開催されなかったようで、なんとなく存在自体も忘れていたのですが(昨年はやっていたようです)、今年は、「フォア・デュ・トローヌのアトラクションで子供が落下事故!」というニュースを見て、「ああ、そういえば、今やっているんだ・・」と思い出しました。

 このフォア・デュ・トローヌは、パリ12区のヴァンセンヌの森の一画にあり、天気のよい休日の日は、これが森の人出かと思うほどの人出で、もう近づいていくだけで、それぞれのアトラクションなどが流している音楽や効果音などの爆音が遠くからも聞こえてきて、バーバパパ(綿菓子)や賞品でゲットした大きなぬいぐるみを抱えて歩いている子供などもいたりして、皆が少し、ウキウキしている感じが伝わってきます。

 入場料は無料ですが、入場するには、以前はなかった荷物検査、ボディチェックをされるようになっていて、時代の移り変わりを感じます。


入場にはけっこう厳重なボディチェック


 乗り物なども、以前よりは、規模が大きくなっていて、これを移動してくるの大変だろうな・・と思うような大掛かりなジェットコースターや観覧車がいくつもあり、かと思うと、サッカーボールを蹴って、積み重ねてあるドラム缶を倒すようなシンプルなゲームにさすが、サッカー大好き国民だ・・と思ったり、金魚すくいならぬ、お風呂に浮かべるようなアヒルちゃん釣りだったり、クレーンゲームなどのマシーンもけっこうあり、ポケモンなどが入っていました。



 このような催し物にはつきものの、食べ物屋さんもたくさん出ていて、チュロスや綿菓子、アイスクリーム、ゴーフル、ベニエなどの甘いものから、フライドポテト、チキン、ソーセージ、ケバブなどなど、食事ができるスペースもあります。


ハズレなしのぬいぐるみ釣り


ボールに入って水の上を歩く



アーチェリー


サッカーボールでドラム缶を倒すという・・


クレーンゲームではピカチューが人気


 何よりも、ひとつひとつのアトラクションの色合いが、なかなかケバケバしくて、およそパリらしくないところも珍しいといえば、珍しい空間ですが、これだけの人が集まって、楽しんでいるのを見ると、インフレだの、食事の回数を減らすほどお金がない・・とか言っているのがうそのようで、こういう遊興費を含めてお金が足りないということなのか?などと、ちょっと皮肉なことを感じたりもしました。

 ヴァンセンヌの森という広大な敷地には、場所もあり、これだけ人気ならば、期間限定でなくてもいいかもしれないと思いつつ、期間限定だからこそ価値があって、この期間だけだから、行こうと思うのかもしれません。

 このフォア・デュ・トローヌはパリ市が主催しており、今年は5月29日まで開催されています。この時期にパリを訪れる方は、パリのちょっと違った風景を楽しめるかもしれません。


フォア・デュ・トローヌ・パリ(Foire du Trône)

Pelousse de Reuilly 75012 Paris


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2023年3月14日火曜日

10年間で2倍に増加した子供への向精神薬の投与 

 


 家族、子供、年齢に関する高等評議会 (HCFEA) は、子供や青年向け(6歳~17歳)の向精神薬の処方が劇的に増加しており、何万人もの子供が危険に晒されていることを報告しています。

 報告書は、子どもたちの向精神薬の消費が10年間で2倍になったことを強調しており、HCFEAが収集したデータによると、子供と青年の向精神薬の消費は、2014年から2021年の間に抗精神病薬で49%、抗うつ薬で63%、催眠薬と鎮静薬で155%増加していることが明らかにされており、政府はこの問題への対応策をとるべきであることを警告しています。

 2021 年だけでも、抗不安薬で +16%、催眠薬で +224%、抗うつ薬で +23% の増加です。この過剰投薬の現象は、特別なケースではなく、何万人もの子供に関係しているのです。また、これらのレベルの増加率は、一般人口レベルに見られる増加率とは明らかに不釣り合いで、成人人口に比べても明らかに高い数値であるようです。

 HCFEAによると、パンデミック、戦争、生活環境への不安が続く状態の中、小児科、児童精神科の需要が増加しているにもかかわらず、児童精神科および医療社会的サービスが不足、衰退しており、受診しようにも半年から1年待ちになることが多く、この状況は、「子どもの健康状態の悪化」、「子どもや若者の緊急入院、自殺行為、自殺の増加」につながりかねないために、一般開業医にかかり、とりあえず、最悪の事態を回避するために向精神薬を投与することが一般的になりつつあるということなのです。

 私がフランスに来て驚いたことの一つに医者が比較的簡単に向精神薬を処方してくれることで、日本にいた頃は若かったこともあり、あまり医者にもかからなかったし、ましてや医者に抗うつ剤や睡眠薬を処方してもらうということを考えもしませんでした。

 フランスに来てからは、ずっと近所のかかりつけのお医者さんに親子共々かかっていましたが、私が最初に抗うつ剤や睡眠薬を処方してもらったのは、夫が亡くなった直後で、今から思うに、あの時期は、かなり強い抗うつ剤を日中に服用し、夜には睡眠薬を飲んでいました。

 まあ事情が事情だったので、そんなに不自然な処方でもなかったかもしれないのですが、精神状態と向精神薬(抗うつ剤や精神安定剤など)いうものは、恐ろしいもので、今なら、一瞬で気を失いそうな薬を飲んでいたにもかかわらず、正気?を保って仕事をしていたのですから、すごいことです。

 しかし、時間が経って、少しずつ落ち着き始めた頃から、この薬を飲み続けてはいけないだろう・・という不安があり、日中の抗うつ剤は減らしていったものの、夜の睡眠薬は眠れなくて翌日働けないのが怖くてなかなかやめられずに、お医者さんに相談したことがありましたが、「絶対に無理はしないで・・慌てなくて大丈夫だから・・無理してやめなくていい・・」と睡眠薬を処方し続けることにためらいはありませんでした。

 そんなお医者さんの対応には、むしろ私の方が驚いたくらいでしたが、結局、私はとりあえずは、今でも、いつも処方してもらう薬の中に向精神薬や睡眠薬が含まれています。一応、他の薬に関しては3ヶ月分まとめて出してもらうことができますが、オーバードーズを防ぐために、1ヶ月分ずつしか出してはもらえないことになっています。

 私のような大人に対してでも、えっ??と思っていたことが、子供に対しても起こっているということは、やはりちょっと心配です。私が子育てをしていた頃と今とでは、考えてみれば、ほんの数年で世界の情勢はかなり変わってきてしまっているので、一概には言えませんが、子供を健全に育てるのは、スポーツなど身体を動かすことをさせることが一番なのではないか?と思っています。

 一時、ロックダウンやマスクの義務化などで、それもなかなか難しい期間がありましたが、身体を動かすことが、精神的にも健全で、夜もしっかり眠れるようになる最良の薬なような気がしています。


子供への向精神薬の投与激増


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2023年3月13日月曜日

フランスの出生率低下にフランス人が提言する言葉 人生は美しい「la vie est belle」

  


 「フランスでは、日本やアルゼンチンと同様、出生率の低下が懸念されています」

 フランスの大手新聞社のそんなタイトルの記事を見つけて、やはり出生率の低下といえば、真っ先に例えにあげられるのは、日本なんだな・・と思いながら、興味深く記事を読み進めました。

 ここで挙げられていたのは、日本とアルゼンチンとフランスの出生率を比較しながら、出生率の低下について、いかにフランス政府の対応が充分ではないかを語っています。

 2022 年、アルゼンチンは 4,640万人の住民に対して 818,000 人の出生を記録しており、これは、1,000 人の住民あたり 17.64 人の出生、つまり100 万人のアルゼンチン人につき 17,640 人の赤ちゃんが生まれたことを意味していて、世代の更新が保証されている状態であると述べています。

 一方、「1 億 2,500 万人の人口に対して 80 万人の出生率を誇る?日本には、同じことは言えません。1,000 人あたり 6.40 人の出生率は、このままだと日本人数の減少と劇的な高齢化につながります」

 「日本は、その小さなサイズにもかかわらず、経済的および文化的に非常に重要な役割を果たしてきました。 私たちは、日本人が団結することに期待したいと思います!」と事実だけを客観的に述べて、大変危機的な状況を説明しながらも、日本を腐すことなく、頑張れと比較的ソフトにしめています。

 そして、1000 人あたりの出生数が 10.43人 のフランスは、日本とアルゼンチンの間にあります。

 フランスでは、2022年、687,000人の赤ちゃんが誕生しましたが、年間70万人の出生数のしきい値を下回っており、これは出生率1.76に相当します。

 第一次世界大戦はフランスで記録的な出生率の低下を引き起こし、1915 年には 1.52 にまで低下しましたが、この歴史的な低さは、戦闘と一般動員の激しさによる非常に特殊な状況に起因しています。 

 現在のフランスの出生率の低下は、私たちの指導者によって解読されるべき警告信号であるにもかかわらず、彼らは、十分な数の子供がいなければ、国の将来を確保することは困難であることを忘れている・・と述べています。

 私は日本と比較してしまうので、フランスの少子化対策はなかなか大したものだと思うのですが、この記事では、まだまだそれが充分なものでないことを指摘しているのです。

 .現在、大家族を持つことは、生活水準が仕事から同じ収入を持つ人々が達成する平均よりも低くなることを見て、かなり質素に生活することを意味しており、 家族手当は、ある程度の規模で存在するものの、生活水準の低下を補うにはほど遠く、養うべき人数が増加し、両親のフルタイムの仕事が困難または不可能になる場合もあり、国の手当は、子供の数が増えても相対的な貧困に陥らないようにするために必要なレベルにはほど遠いものであると指摘しています。

 日本の現状などからすれば、まさに異次元の問題提起です。

 そして、現在の状況の主な原因は、子供たちを世に送り出し、可能な限り育てることが、特に公的機関によって、不可欠な責務として感じられていないという事実によるものであると述べています。

 年金の権利を分配する際に、子供の誕生と教育のために投資せずに、彼らに効果的な年金基金に支払われる拠出金に比例して退職者を維持するための投資として扱っており、立法レベルにまで引き上げられたこのような知的混乱に直面している私たちは、愚かで不当な法律を取り除くことができる制度改革の到来を願うしかないと言っているのです。

 しかし、この政府に対する指摘とともに、これからの世代を担っていく若者たちによびかけている言葉があまりにフランスらしくて、私は感動したのです。

 「あらゆる困難にもかかわらず、人生は美しいものです。楽観的に生きましょう!」「la vie est belle(ラ・ヴィ・エ・ベル)」で、結局、そこ???とフランス人らしいな・・とクスッと笑ってしまいました。

 しかし、結局のところ、色々な困難があっても人生は美しい・・楽しい・・と思って、自分の家族を作って生きようと思うことが、シンプルな少子化対策なのかもしれない・・とも思うのです。

 私の場合、海外で生活することになったり、途中、若くして夫に先立たれたり、トラブル満載でしたが、どうにか生き延びてこられました。これという仕事を成し遂げたわけでもなく、大したこともしてこなかった人生でしたが、一応、子供を一人育てたということは、何より私にとっての喜びで、楽しかったです。子育てをしたことで、何もしてこなかった私でも、ちょっとは生まれてきた意味があったかな・・と思うのです。


フランス出生率低下 少子化対策 la vie est belle


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2023年2月24日金曜日

16歳の高校生が授業中に教師を刺殺する異常な事件

  


 サン・ジャン・ド・リュズ(バスク地方)の高校で、授業中に16歳の少年が教師を刺し殺すという衝撃的な事件が起こりました。

 事件は、まじめで穏やかな校風で知られる静かな私立のカトリックの高校のスペイン語の授業中に起こったことで、事件を起こした少年は、授業中、突如として席を立ち、おもむろに出入口であるドアを塞いだのち、無言で教師に近付き、紙に包んで用意していた刃渡り20㎝ほどの大きなナイフを胸に突き刺したと言われています。

 現場にいたクラスメイトの証言によると、事件を起こした本人は、ひどく落ち着いていたものの、教室内はパニック状態になり、悲鳴が響き渡り、この少年がドアを開けるまでは、どうしたらいいかわからず、凍りついていたものの、彼がドアを開けるとともに、みんなが我先にと逃げ出し、慌てて、窓から飛び降りて逃げようとする生徒までいた模様です。

 彼は警察に身柄を拘束される前に学校で、「何ものかに憑依され、とりつかれて犯行に及んだ」というようなことをつぶやいていたそうですが、同時に、「これで人生がめちゃくちゃになってしまった」というようなことも話していたと言われています。

 少なくとも、これまでに、このスペイン語の授業の間にこの教師と生徒の間に問題が起こったことは一度もなかったと言われているため、ますます不可解な事件であるとも言えます。

 この少年は、明らかに知的で勤勉な少年で成績もよく(スペイン語以外)、いわゆる警察や学校からマークされるような不良少年ではなく、ビデオゲームや友人との外出など、同年代の若者として典型的な行動をしていたとクラスメイトは証言しています。

 しかし、一面では、他人との関係がぎこちなく、精神的に不安定な傾向にあり、うつ病の病歴があり、昨年10月に薬物による自殺未遂の、抗うつ剤を服用していたようです。

 このような、未成年、異常な行動による犯行の場合は、精神鑑定により、その責任能力が問われることになりますが、身柄拘束後の検察による1回目の精神鑑定によると「統合失調症型の精神疾患は認められず」、「急性精神疾患による脱力感も認められない」と診断されているものの、1年前からうつ病の要素があることも判明しています。

 どちらにしても、彼が自分自身で用意して、犯行に及んでいることは、明らかなことで、計画的な殺人事件として、捜査が進められていきます。

 この少年がいわゆる常日頃から素行の悪いいわゆる不良少年ではないことは、かえって事件を複雑にしているようなところがあり、犯行動機というものは、成績優秀な彼が唯一苦手な教科がスペイン語であったということくらいしか見当たらないのですが、まさか苦手な教科の教師だから殺すということも考え難いことでもあります。

 しかし、多くの人の目の前で行われた殺人は、冷静に、なんのためらいもなく、ひと突きのみで確実に致命傷をおわせたものであることはなおさら、恐ろしく感じられます。

 こうなると、被害者の53歳のスペイン語の教師の人となりが注目されるのですが、これまたちょっと聞いたことのないような評判のよい先生で、「並外れて献身的な人・・」、 「とても穏やかで親切でとても良い人で、誰からも愛されていた・・」、「彼女は休暇中であっても、少なくとも 80 ~ 90% の時間を学校での仕事に費やしていました・・」というおそらくフランスの学校ではなかなか耳にしない評判のいい先生だったようです。

家族関係も良好で、夫婦や家族も、とても仲が良かったとのことで、彼女の周囲の人々は、やるせない気持ちのやり場に苦しんでいるのではないかと思われます。

 いずれにせよ、これが公の場で行われたもので、事件の捜査は、この少年の精神障害についてが、掘り下げて行われることになります。

 この現場に居合わせたクラスメイトをはじめ、同校の生徒たちのショックは大きく、そのケアのための心理的サポートのためのユニットが設置されました。

 パンデミック後、パンデミックのためにうつ病が急激に増加した(特に若い世代)と言われていましたが、まさかこんな事件が起こるとは・・。彼が単なるうつ病だけであったとは、思えないのですが、彼の善悪の識別能力を妨げるものが病気として判断されるのか?それとも彼の人格として判断されるのか? 今後の捜査で少しずつ解明されていくと思います。

 しかし、私にとって、少なからずショッキングだったのは、この事件が起こったのが私立のカトリックの学校だったということで、娘の学校選びに際して、知人や先輩方から、「フランスではクズは限りなくクズ・・学校は絶対、私立にするべき!」と言われて、私も、たしかにそう感じて、娘は、小・中・高校と私立のカトリックの学校に通わせていました。

 この事件の起こった学校のように、静かで穏やかに見える学校で子供たちの顔つきも違っているような気がしたものですが、実際には、かなり進学校で、高校生の頃は、試験が終わるたびに、生徒たちは、慌てて成績の順位をチェックするために携帯に釘付けになると異様な話も聞いていて、うつ病で学校に来なくなっちゃった子がいる・・などという話もそういえば、聞いたことがあったのでした。

 とりあえず、私立の学校の方が安心と思っていた私にとって、この事件は、私立とて、例外ではない・・と思わされる事件でした。

 殺された教師やその家族はもちろんのこと、この少年の家族とて、どれだけ打ちひしがれているかと思うとやるせなくなります。


16歳の高校生 授業中に教師を刺殺


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2023年2月12日日曜日

赤ちゃんを抱っこしてメトロに乗る女性

  


 メトロの中で小さい子供を抱きかかえて、愛おしそうに我が子をのぞき込んでいる女性を見て、なんとなく、ふんわりとした気持ちと、大変だろうな・・という気持ちと、懐かしいような気持ちになりました。

 しかし、よく考えてみれば、懐かしい気持ちがしたというのは、ほぼ私の勘違いで、私はメトロにこのように子供を抱きかかえて乗ったことはありませんでした。

 娘が生まれたのは西アフリカのコートジボアールという国でしたが、娘が生まれて3ヶ月後には、フランスに引っ越してきたので、私の子育て期間はほぼフランスでのことでした。

 考えてみれば、娘をこのように抱きかかえて乗り物に乗ったのは、コートジボアールからパリに来るときの飛行機だけで、飛行機に搭乗前にベビーカーを預けてしまったために、生後3ヶ月だった娘は抱っこして、乗らざるを得なかったのです。

 娘はようやくお座りができるようになったばかりの頃で娘の席は、中央部分の壁のある部分に取り付けてくれるバスケットだったのですが、夜間フライトなので、おとなしく寝てくれるかと思いきや、フライトの間中、バスケットの上に座り込んで、周囲に愛想をふりまきながら、ちっとも寝てくれずにこちらも全然、眠れなかったのを覚えています。

 夫は、家探しのために一足先にパリに行っていたので、初めての一人での子連れの長旅でした。直行便が取れずに、ブリュッセル経由の飛行機で、ブリュッセルまでの飛行機の到着が遅れたために、パリ行きの飛行機の乗り換え時間がギリギリになり、ベビーカーもなしに、荷物と娘を抱えて、ブリュッセルの空港を必死の思いで走ったのを覚えています。

 ブリュッセルからパリまでのフライトはそんなに長くありませんから、そのまま娘を抱っこしていた気がします。

 しかし、後にも先にも、私は他にこのように娘を抱っこして乗り物に乗った記憶はなく、夫が比類の車好きということもあって、家族での移動はたいてい車だったので、(もちろん、通勤には、電車やメトロを使っていましたが・・)娘は2歳くらいまでは、ほとんど電車もメトロも乗ったことがありませんでした。

 考えてみれば、このように小さい子供を連れてメトロに乗っている人はあまり見かけることはなく、だからこそ、私もなんとなく、珍しく眺めてしまったのですが、時々、ベビーカーを押して乗ってくる人はいるものの、子供を抱っこして、乗っている人はあまり見かけないような気がします。

 娘が歩けるようになってからは、エネルギー有り余る娘になんとか疲れてもらうために、私は、ほとんどベビーカーというものを使うことがなく、ベビーカーを使うときは、あちこち歩き回ってほしくない場合や、買い物をしたときに、荷物をベビーカーの手すりにぶら下げる際の重しとして乗せていたくらいでした。

 考えてみれば、娘は、このように出先で寝てしまうということも一度もなかったので、このように抱っこして歩いたという経験は一度もなかったのです。

 今から考えれば、子供を抱っこして歩くなどという愛おしい行為を少しはやっておけばよかったと、ちょっと残念に思うくらいなのですが、あの頃は、娘は出先で寝てしまうどころか、昼寝というものでさえも、一度もしたことがなく、たまの私のお休みの日などに一緒にお昼寝をさせようと思って横になっていても、寝てしまうのは私だけで、「寝ないで~~起きて~~」と揺り起こされる地獄のような拷問に耐えながら、なんとか娘のエネルギーを消費させることばかりを考えていたのです。

 おそらく、メトロで小さい子供を連れている人をあまりみかけないのは、ほとんどの場合、お母さんも働いているので、自宅の近くの保育園に子供を預けて、仕事に行くのが普通で、それこそ休みの日には、車で出かけるか、自宅近辺で過ごすというのがスタンダードなのかもしれません。

 日本だと、それこそママチャリに子供を乗せて移動している人をよく見かけますが、いくらフランスで自転車が増えたとはいえ、まだ子供を乗せて走るほどにはなってはいません。

 それにしても、小さい子供を育てるということは、つくづく大変だなぁ・・と赤ちゃんを抱っこしてメトロの座席に座っていた女性にエールを送りたくなったのでした。


メトロ 赤ちゃん 子供


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2023年1月13日金曜日

フランスの学校に制服は必要なのか?

  


 フランスの公立の学校での制服着用案が議会に提案されているという話を聞いて、ちょっと驚いています。フランスの学校では、ほとんど制服というものを目にすることはなく、また、それが話題にあがることさえ、不思議な気がするほど、フランスの学生の服装は自由でラフな印象があったからです。

 ところが、制服着用を義務化しようという声もあるらしく、また、ブリジット・マクロン(マクロン大統領夫人)がこれに賛同するようなインタビュー記事が流れたりしたことで、この制服論議がにわかに注目されています。

 彼女はこの制服導入に肯定的な立場をとっている人で、自分自身が学生時代に制服を着ていたことは良い経験であった・・「違いをなくし、時間の節約に役立つ」と説明し、彼女自身は、学生時代、15年間、紺のスカートに紺のジャンパーを着用していたと語っています。

 時に、制服は社会的な格差を覆い隠すような役割を果たしたり、服装を管理することで、学校と外の世界との境界を再構築することができるという意見もあるようですが、現実的にフランスの現状を見る限り、制服を導入するには、人々の意識はあまりにかけ離れていて、かなりハードルが高いような気がします。

 だいたい、フランスの場合、義務化する場合は、国がそれを負担するか、援助するのが当然のことで、個人負担で制服導入などということは、ちょっと考えにくく、また実際に、そのためにかかる莫大な費用を考えると、公金を学校教育に使うとしたら、もっと別の方法があるのではないか?という意見もあります。

 そもそも、教師が不足していると言われているのは、公立の学校の教員の給与が低いこともあり、もう少し給与を上げて、質の高い教員を確保することの方が有効なのではないかとも思います。

 私は、日本で生まれ、日本の教育を受けて育ってきましたが、制服のある学校には行ったことがなく、どちらかというと、皆が同じ服を着ているという制服というものには、抵抗があるので、時間や経済的に節約したければ、個人的に学校に行くための服を決めればよいし、制服を着ることで社会的な不平等が埋められるものではないと思っています。

 それでも、やはり、中・高校生くらいになると、子供(学校?)によっては、ハイブランドとまではいわないものの、そこそこのそれなりのブランドのトレーナーや靴、バッグなどを持っている学生も私立の学校などだと、まあまあいて、フランスの学生は質素でシンプルでラフだという印象を持っていた私は、なるほど、ラフでシンプルの中にも、それなりのブランドがあるのだな・・と妙に感心したりしたこともあります。

 しかし、むしろ、自分が着る服ぐらい自分で選ぶ時間も機会もあってよいと思うし、人と違うことを認める、受け入れることも必要なことではないかと思うのです。

 以前、娘が高校生だったころに、日本に一時帰国をしていた時に、電車のホームでたむろする制服姿の日本の高校生を見て、もしも彼女が日本に住んでいたら、こんな制服を着る機会があったかもしれないと彼女の制服姿を想像してみたら、どう考えてもコスプレをしているようにしか思えないだろうな・・と思ったことを思い出します。

 ブリジット・マクロンについては、ちょっと世代も違い(今年70歳)、考え方も違うかもしれないと思いつつも、むしろ、フランスにもそんなことを言い出す人がいることに驚いた次第です。

 そもそも、彼女の本業は教師なので、学校の問題に対しては、特に考えるところがあるのかもしれないと思いつつ、そもそも彼女はファーストレディという微妙な立場。議会で討議されることに対して、公に発言するということにも少々、疑問も感じます。

 しかし、一方では、もしもフランスの学校に制服があったとしたら、もしかしたら、すごくセンスのいい制服ができあがるのでは?と見てみたい気もします。


フランスの学校制服導入法案


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2022年12月23日金曜日

日本の教師とフランスの教師

  


 フランスで日本の学校の先生の過労死についての報道されていて、なるほど、フランス人から見たら、日本の学校の先生の驚異的な忙しさと負担の多さは驚愕すべきことなのだろうと思いました。

 私自身は、ほぼすべての教育を日本の学校で受けてきたので、先生というものは、こんなもんなんだろうな・・という感じがあったので、逆にフランスに来て、娘をフランスの現地校に通わせていて、逆に「え??フランスの学校ってそうなの?」とびっくりすることは、多々ありました。

 今回、フランスで報道されている内容は、「日本の学校の先生の仕事は夜中まで終わらない・・」という説明から始まり、授業だけでなく、課外活動の指導などまでしなければならない・・」と説明しています。

Japon : le ras-le-bol des enseignants, victimes de surmenage #AFP pic.twitter.com/DzGZbrry7F

— Agence France-Presse (@afpfr) December 22, 2022 >

 私が娘をフランスの学校に通わせて、驚いたのは、まさにその逆の驚きで、フランスの学校は、日本人からするとびっくりするほど分業制で、先生は授業を担当し、勉強を教えるのが仕事で、例えば昼食の時間はキャンティーンに子供たちが移動して、食事の指導?監督をする先生は別にいるので、子供たちにも給食当番のようなものもありません。また、部活のような課外授業のようなものもありませんし、学校の掃除は掃除の仕事をしている人がやることなので、掃除当番のようなものもありません。

 一般の授業が終わった後に、宿題などをするエチュードという時間がありますが、それは、生徒も希望者だけで、先生はまた別の先生が担当します。

 だいたい、入学式とか、始業式、終業式、卒業式などのセレモニーもありませんし、日常は、父兄も校内には、気軽には入ることはできませんし、いわゆる日本のPTAのようなものもありませんでした。

 以前、娘が小学生の頃に授業中に気分が悪くなった子供がいて、子供が申し出たら、先生が「私はあなたの医者じゃない・・」と言ったとかで、さすがにこれは、保護者たちが学校に苦情を申し立てたようですが、そんなことを言う教師がでてくるほど、全くの分業体制をとっているのです。

 学校外で起こったことに対しては、基本的に学校は関知しないというのが基本的な姿勢で、よほどの深刻な問題が起こらない限り、学校の先生が解決に走るようなこともありません。つまり、フランスでは、金八先生はあり得ないことなのです。

 そのうえ、公立の場合は学校でも、堂々とストライキをするので、日本のような教師の過労死などという問題がおこれば、教職員組合をはじめ、社会がそんなことは許されないと大問題になると思われます。

 日本の先生のように授業以外にも関わりを持ってくれる体制は温かみがあって、よいところも多いにあるとは思いますが、しかし、その実、考えてみれば教師の負担というものは、大変なもので、もう少し分担したらよいのではないか?とフランスの学校を見ていると思います。

 逆に自分たちの学校を自分たちできれいにする掃除当番のようなものは、あってもいいことではないのかとも思って、娘を日本の小学校に夏の短い期間、行かせてもらったときは、お客さん扱いしないで、そういうこともやらせてくださいと先生にお願いしたくらいです。

 要は、教師の仕事を分業制にするには、そのための予算がないということや、そのような体制に変える原動力もないのかもしれませんが、子供の将来を担う教師というのは、日本にとっても大切な存在。子供の将来を考えても、もう少し、なんとかするべきではないか?と思うのです。

 そんなフランスでも学校の先生は不足しています。

 我が家の娘は、学生時代に私立校のエチュードの先生のアルバイトをしていて、話を聞いていて、なかなか厳しい先生だな・・と思ったものの、わりと向いているんじゃないかな?と思って、先生になったら?と言ったことがあったのですが、「有意義な仕事だとは思うけど、あまりにお給料が安くて、とてもできない・・」と言っていました。

 フランスでの教師不足は、何よりも給料が安いのが原因なようです。

 しかし、今回、フランスでも取り上げられている日本の先生の過労死問題、日本人の私でもびっくりするのですから、フランス人が聞いたら、狂気の沙汰と思うに違いありません。


日本の教師の過労死 フランスの教師


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2022年11月23日水曜日

子どもの学校のバカンスの多さに追いまくられるフランスでの子育て

  


 「家族で旅行に行きたいけれど、平日に小学生の子どもを1日だけ学校を休ませて行ってもいいものだろうか?」という疑問を投げかけている人がいて、ヤレヤレ・・子どもの学校とバカンス問かか・・と、子育てが終わった今でも、思い出すたびに、ウッとくる気持ちです。

 私は日本で子育てをしたことがないので、今の日本の事情はわかりませんが、私が子どもの頃は、母も日常的に通勤が必要な仕事はしていなかったので、特に学校がお休みであっても、母が子どもの処遇に苦労していた記憶はありません。

 しかし、そういえば、私には、田舎というものがなく、夏休みにはおじいちゃん、おばあちゃんのいる田舎に行くという友達をうらやましく思ったことがあったので、そういう習慣にしていた人もけっこういたのだな・・と今になって思います。

 私がフランスで仕事を始めたのは、娘がちょうど1歳になった頃だったので、それから娘が成人するまでの間、どのように子どもの学校のバカンスと自分のバカンス(休暇)を調整するかは、常に大問題でした。

 保育園に行っている頃は、それでもバカンス期間中もほぼ関係なく、預かってくれるので、まだまだ全然マシでしたが、学校(フランスでは幼稚園から学校扱い)が始まってからは、約2ヶ月間の夏休み、その他になんだかんだと、ほぼ1ヶ月おきくらいに2週間ずつのバカンス(トゥーサン(ハロウィンの期間)、ノエル、冬休み、イースターなど)がやってきて、当然、いくらフランスの会社はバカンスが取れるとはいえ、自分が会社で取得できるバカンスの期間はせいぜい1ヶ月で、とても子どものバカンスをカバーできるものではありません。

 そうでなくとも、子供の学校(小学校まで)は、水・土・日とがお休みで、この日常のお休みとバカンスを合わせると、フランスの学校は1年の3分の1はお休みということになります。そのうえ、学校のストライキなどまであるのですから、もう親はたまったもんではありません。

 それでもまだ夫がいた頃は、二人でバカンスをずらしながら、騙し騙し、時には、バレエのスタージュやアートのクラスなどに通わせたりして、なんとか、少しでも有意義な時間を過ごさせてあげられる工夫をしてきたのですが、とにかく、四六時中、子どものバカンスに追いまくられていたイメージがあるのです。

 フランス人の家族だと、そこに登場するのは、マミーやパピー(祖父母)という助っ人なのですが、我が家の場合は、夫の両親はすでに他界しており、私の両親は日本と、全く親に頼ることはできなかったのです。

 一年間の子どものバカンス期間をどう調整するか?という問題、そのひとつひとつを乗り越えながら、あっという間に一年が過ぎる・・という感じだったのです。

 だいたい、子どもが小さい頃は学校は学校であると同時に託児所でもあり、私にとっては、ただでさえ多い学校の休みやバカンスを無駄にして、旅行に行くなどということは、全く考えたことはありませんでした。しかし、状況が許せば、家族の判断で学校を休ませて旅行に行くことは悪いことだとは思いませんし、フランスでも、実際に夏休みを前倒しにして、バカンスに出てしまう家庭もないことはありません。

 しかし、夫が亡くなってからは、さらに子どものバカンス期間のやりくりは、さらに大変なことになり、最初の1年目の夏休みには、娘を一人で日本に行かせて、叔母に預かってもらったのですが(母はすでに他界していたため)、当時、娘は11歳で、どんなトラブルがあったのかは未だにはっきりはわかりませんが、途中で叔母から電話があって、「もう預かりきれないから、飛行機が取れたら、フランスに帰ってもらいたい」などと言われて途方に暮れて以来、しばらく日本には行けなくなり、代わりに、コロニー(我が家の場合は財務省(夫の勤務先)主催の子供の合宿)をフルに活用することになりました。

 おかげで、娘はバカンスのたびに、冬はスキー、春は乗馬、夏はマリンスポーツとスポーツと旅行三昧の10代を送ることになり、学校での合宿や旅行や、私がバカンスをとれた時にする親子旅行を加えると、ほぼ1ヶ月おきにどこかを旅行して歩いている、見ようによっては、大変、贅沢な生活を送っていたのです。

 夫が亡くなった後は、ご親切なのか、いじわるなのか? 児童保護機関に通報してくださった方がおり、外国人一人親の子育てということで、児童裁判所から呼び出しを受け、よもや子供を取り上げられるかもしれないという怖い思いをしたりしたこともあり、結果的には、娘が成人するまでは、専任の判事がついて、「何があっても私がお嬢さんをお守りします」と言ってくれたのですが、私たちは児童裁判所の監視下にあり、そうでなくとも未成年の子供を一人で放置することは禁じられているフランスですが、私は特に子どもを一人で家においたりすることには、神経質になっていたのです。

 でも、振り返ってみれば、結果的には、大勢の人のチカラをお借りして、なんとかフランスの長いバカンス期間を乗り切り続け、いろいろな経験をさせてあげられて、よかったと思っていますが、当時は、もう娘の学校のバカンス期間をどうやって埋めていくかということに、常に追いまくられている気分でもうため息も出ない感じだったのです。

 今では、子どものバカンス期間とは関係ない時期に気楽に旅行ができる環境になりましたが、いつでも行ける、いつでもいいや・・などと思っていると、結局、なかなか行かなくなり、しかも、パンデミックや戦争・・などとなって、結果的には、あの忙しく子どものバカンスに追いまくられていた頃の方がよっぽど旅行していたな・・と思うのです。


フランスの学校のバカンス お休み


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2022年11月20日日曜日

離婚率も高いが再婚率も高いフランス 子育て期間も長くなる

  


 フランス人の友人、知人、同僚などには、子供の年齢が結構、離れていることがある場合があって、私とそんなに年齢が変わらないと思っていた人に意外とまだ小さい子供がいたりして、驚かされたりすることがあります。

 彼女たちと世間話をしていると、子供の話題になることも少なくないのですが、そんな子供の話になって、「えっ?まだ、そんなに小さい子がいたんだ・・」と驚くと、「私だって、ほんとは、もう子供はいらなかったんだけど・・」などと、こちらが恐縮するようなことを言い出したりするので、びっくりさせられるのです。

 また、そこまで詳細な家族構成がわからずにいて、子供は現在、同居している子供だけだと思っていたら、「これがこの間、ブルターニュで生まれた私の孫で・・」などと写真を見せられたりして、逆にそんなに大きい子供さんもいたんだ・・」と驚かされることもあります。当然、これは前の夫との子供の子供(孫)で、ママであると同時にマミー(おばあさん)でもあるわけです。

 というのも、年齢の離れた子供を持っている人は、たいてい再婚をしていて、最初の結婚での子供に加えて、再婚相手との子供もいるので、おのずと子供の年齢が離れていることになるわけで、それだけ長期間にわたって子育てをしているわけです。

 フランスは離婚率が高くても、再婚率も高いわけで、その全部の子供たちと同居しているかどうかは別として、一度、離婚しても、懲りずに再婚して子供もいる場合も多いのです。

 考えてみれば、娘の友人などでも、異母兄弟を持つ人は少なくなくて、そういう我が夫も再婚だったので、娘にも異母兄弟がいるので、その例外ではないかもしれません。

 娘の友人の両親で、3人の子供がいて、パパが浮気をしているのが見つかって、家を出て行った・・別居・・かと思うと、いつのまにか、またパパが戻ってきた・・と何度か別居と復縁を繰り返していたと思ったら、ついに離婚。かと思ったら、今度は、ママの新しい恋人があっという間に同居・・と、日本的?な感覚からしたら、子供たちは新しいママの恋人をどうやって受け入れているのだろうか?と思ったりもするのですが、それはそれなりに成立しているようで、やはり、ここまでするのは、バイタリティーあるなぁ・・と感心させられたりもするのです。

 私だったら、双方に気を使って疲れ果ててしまいそうで、そんな面倒臭いことはゴメンだと思ってしまいます。

 そもそも、フランスには、PACSのような事実婚の形態も存在しているので、結婚せずに子供を持つ場合も少なくないこともあると思いますが、一度の離婚くらいではめげない、よく言えばバイタリティや奔放さ、自由さがフランス人にはあるのかもしれません。

 それに比べて、日本にいる私の友人、知人は、再婚どころか独身の人も多く、もちろん彼女らには子供はおらず、結婚していても、子供がいない人が圧倒的に多く、逆に私に1人でも子供がいることが奇跡的に感じるほどで、なるほど日本は少子化の一途を辿るわけだ・・とも思います。

 私は、離婚したわけではなく、死別だったこともあるのか、もう懲り懲りで、(また死なれるのはたくさん)全く再婚するつもりはない私は、やっぱり日本人なのかもしれません。


フランス人の離婚 再婚 子供


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2022年10月31日月曜日

海外生活を送る日本人ママは頑張り屋さんが多い

  


 私がフランスで生活を始めてから20年以上が経ちますが、そんなにたくさんの日本人の知り合いがいるわけでもありませんが、それでもこれだけ長くいれば、そこそこに日本人を見かけることはあるわけで、海外生活を送る日本人ママは、みんな頑張り屋さんだなぁ〜と思うのです。

 だいたい、自分の育った文化とは違う国で生活するということだけでも大変なのに、異国で仕事をし、家庭を持ち、子供を育てながら家事もこなすということは、並大抵のことではありません。

 しかし、彼女たちは、言葉と文化の壁という障害を抱えながらも、たくましく仕事をし、子供を育てながら暮らしています。フランスの場合は共働きがあたりまえなので、日本人ママにしても、働いている場合が多いと思います。

 近くに子供の面倒を見てくれる実家があるわけでもなく、自分のルーツでもある日本の文化もできるだけ子供には伝えながら、(季節ごとの行事などもフランスのものと日本のものと両方・・)日本語を教え、フランスの学校に送り迎えをしながら通わせて、家事とて、手を抜くことなく、栄養のバランスを考えながら、手作りのものを食卓に並べます。

 日本食を作りたいと思えば、簡単にお惣菜を買ってきて食卓に並べるということもできないので、食材を買い集め、工夫しながら日本食も作ります。フランス人の家庭などは、日頃は、子供の食事は簡単に、ハム(あるいは肉でも焼いて)に茹で野菜やスープにパンとチーズなどの乳製品で終わりという家庭も少なくないので、それから考えると日本食などは、驚くほど手間がかかります。

 バカンスの多いフランスの学校の中で子供のバカンス期間のスケジュールの調整をし、お稽古ごとに通わせている人も多いです。

 海外で育つ子供に日本語を教えることは根気のいることですが、レベルも様々ですが、日本人ママのいる家庭で、全く日本語がわからない子供は少ないのではないかと思います。

 日仏家庭でも家庭それぞれで、子供の育て方も家事の分担もそれぞれだとは思いますし、概して、フランス人の男性は家のことには協力的な人が多いような気もしますが、それでもなお、日本人ママの負担はけっこう大きいのではないかと思います。それをさしてきびしい顔もせずに、あざやかにやってのけている人が多く、まさにスーパーママだな!と思うのです。

 そして、なぜか、日本人の子供は優秀な子供が多いような気もするのです。私の知り合いの子供は、なぜか、軒並み高学歴で、医者、弁護士、エンジニアなどの見事な仕上がりの子供が多いのです。

 一部には、子供の頃から、2ヶ国語以上の言語を使うことが脳の発達に影響するという話を聞いたこともありますが、基本的には、日本人が培ってきた真面目さにあると思っています。

 子供に日本人の基本的な生活習慣を教えながら、教育していくという観点からしても、それは海外にあっては、決して当たり前のことではなく、自分たちがあたりまえのように受けてきた教育をあたりまえのようにコツコツとこなしていくことは、海外ではすでに上レベルのことなのかもしれません。

 それにしても、彼女たちの日々の努力には、頭が下がることが多く、忙しいのに、そんなものまで手作り!?(自分で納豆を作ってみたり、お味噌を仕込んでみたり、ケーキを焼いたり・・)と驚かされることも多く、以前の職場にいた日本人の先輩のお弁当などを見るにつけ、彩ゆたかに品数も多く、家族の世話を細やかにやいていることは、そのお弁当からも垣間見られ、感心したものです。

 子供の教育に関しても、こういうことには気をつけた方がいいとか、日本語を教えるのは根気よく、諦めたらいけないとか、多くを彼女たちに教わりました。

 現在の私は子育ても終わり、全然、頑張らない生活になり、もっとずっと忙しくしていた頃には、逆にもっと、マメに色々なことをしていたような気もしていますが、現在、小さい子供を抱えて頑張っている日本人ママさんたちの様子を見るにつけ、やっぱり日本人ママってすごいなぁと思うのです。


日本人ママは努力家 頑張り屋さん


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