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2022年5月18日水曜日

カンヌ国際映画祭開幕セレモニー サプライズゲストはウクライナのゼレンスキー大統領

  


 パンデミックのために2020年には、開催が延期されたり、今ひとつ盛り上がりに欠けていた2022年カンヌ国際映画祭が開幕し、久しぶりにコロナ前の人出に沸き、ようやく取り戻したこの国際的なイベントの盛況ぶりに、カンヌの街、ホテルやレストラン、映画関係者は、祝祭ムードに包まれていることで喜びに湧いています。 

 昨日、今年が75回目にあたるこのカンヌ国際映画祭の開幕セレモニーが行われ、レッドカーペットが敷き詰められた会場は、満席状態、華やかな服装にマスク姿はもうどこにも見当たりません。

 煌びやかにセレモニーが始まって、まもなく、司会の女性に、「今日はスペシャルゲストが登場します」と紹介されて、スクリーンに登場したのには、なんと、ウクライナのゼレンスキー大統領、これには、会場も一斉に立ち上がり、彼は大きな拍手で迎えられました。



 最初は、少々、緊張した面持ちだったゼレンスキー大統領も、すぐにいつものスピーチモードに入り、彼はこの晴れやかなカンヌ映画祭のオープニングで「チャーリー・チャップリン」の映画を引き合いに出し、映画と戦争の密接な関係について語りました。

 そして、彼は、チャップリンと1940年に公開された映画「偉大なる独裁者」に賛辞を送り、語り始めました。

「この物語では、始まりではなく、終わりが最も重要なのです」とこの物語の終わりとは、主人公が広場で行った演説のことを指していると思われます。それは大勢の兵士の前で、自由と寛容、人種の壁を越えた融和を訴えるもので、希望を捨てないことをラジオを通して語りかけるシーンです。

 そして、同時に「映画は沈黙ではないことを証明する新しいチャップリンが必要だ」とも語っています。

 20世紀の最も恐ろしい独裁者たちは映画を愛していました。以来、「人類は数々の素晴らしい映画を作ってきました。皆が、戦争の恐怖に続編はないと思っていましたが、当時も今も、再び、独裁者が現れました」

「現在の私たちの毎日に拷問を受けない日はありません。皆さんも、マリウポルの市立劇場がロシアの爆撃を受けたのをご覧になったことと思います。その劇場は、今日、皆さんが集まっている劇場と同じような感じでした。そこに避難していたのは、民間人でした」

 中略

「しかし、我々は戦い続ける、他に選択肢はありません、私は「独裁者」が負けると確信しています」

 そして、最後に彼は「私の話を聞いてくださっている全ての方々、絶望しないでください、憎しみはやがて消え、独裁者は死ぬでしょう・・私たちは、この目的を達成するために、常に自由の側に立つ映画を必要としているのです」と、楽観的な言葉で締めくくりました。

 元俳優でもあるゼレンスキー大統領ですが、こんな形でカンヌ映画祭に参加することになるとは、彼自身、俳優時代には、想像もしていなかったでしょうが、彼の発信力は、甚大なもので、今や彼をテレビで見ない日はないほどです。

 しかし、まさかカンヌ映画祭にまで登場するとは・・驚きで、本当にサプライズでした。フランスでは、カンヌ映画祭のオープニングセレモニーそのものよりも、ゼレンスキー大統領のスピーチばかりがクローズアップされる皮肉なことになっています。

 あらゆる国で、あらゆるツールを使って、彼は世界中に語りかけています。

 カンヌ国際映画祭には、ジャーナリストだけでも世界90カ国から4,000人以上が集まっています。この彼のカンヌ映画祭での演説も世界中でまた、報道されることになるでしょう。

 長期化する戦争の中で彼は世界中からの関心が失われないように発信し続ける役割を見事に果たし、世界中の協力を求めています。

 この彼の演説の数時間前、ゼレンスキー首相は、当日もマクロン大統領と電話会談をしています。この演説に臨むにあたって、彼らがどんな話をしたのか、気になるところでもありますが、マクロン大統領は、この電話会談の直後に、「ゼレンスキー大統領に対しては、防衛装備品、人道支援、経済・財政支援、燃料など、ウクライナのニーズに応えるとともに、司法の仕事を支援していくことを再確認しました」

 「ウクライナの人々の勇気は尊敬に値するものであり、私たちの連帯を期待するものです。これまでにフランスからウクライナに送られた人道支援物資はすでに800トンに達しています。我々はゼレンスキー大統領と、ウクライナの主権と領土保全の尊重を確保するための国際協定の枠組みの中で、フランスがウクライナに提供できる安全保障について議論しました」と発表しています。

 マクロン大統領は、プーチン大統領との電話会談では、一向に話が進展していきませんが、ゼレンスキー大統領との連携は頑強にとれているようです。


カンヌ国際映画祭 スペシャルゲスト ゼレンスキー大統領


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2022年5月11日水曜日

プーチン大統領に続いて、習近平国家主席と電話会談するマクロン大統領

  



 今月に入ってからのマクロン大統領のスケジュールを見ると、一体、いつ寝ているのか? 大統領2期目の組閣や次から次へと湧き起こる出来事、大きな会議などに臨むにあたって、いつ、どうやって考えをまとめているのか?と不思議になるくらいです。

 今月3日の約1ヶ月ぶりのプーチン大統領との電話会談を皮切りに翌日には、インドの首相、さらに、その翌日には、トルコ、南アフリカ、セネガル、モーリタニア、エジプト、アルジェリアの大統領(あるいは首相)と電話会談。

 そして、また次の日には、チュニジア、チャド、アブダビの首脳、そしてビルゲイツ、イギリスのジョンソン首相との電話会談。

 その間、電話会談だけでなく、国防会議などが挟まり、大統領就任のセレモニー、戦勝記念日のセレモニーを経て、G7の会合、ストラスブールでの欧州議会、ベルリンへ飛び、ドイツのショルツ首相との会談と強行スケジュールをこなしています。

 ベルリンから戻ってきたと思ったら、今度は習近平国家主席との電話会談というなかなかな緊張がありそうな電話会談に臨みました。

 この習近平氏との電話会談については、なぜか、仏紙では、この二人が話し合った内容について、特にコロナウィルス対応についてを取り上げていて、「ゼロコロナ戦略」のために、厳しい感染対策をとっている中国に対して、中国でのフランス人の懸念に配慮するよう要請したとし、具体的には、「フランスへの航空便を維持し、空港への渡航を許可し、いかなる状況でも親から引き離すことを避け、子どもたちの最善の利益を守る」ことを主張したと報じています。


 しかし、マクロン大統領自身は、習近平氏との電話会談について、「私たちは習近平国家主席とともに、ロシアの侵略によってウクライナの人々が経験している劇的な状況について把握しました。我々は、停戦、ウクライナの領土保全と主権の尊重という目的を共有している」

 「ウクライナ戦争は、世界的な食糧危機の危険をはらんでいる。フランスの対応策である食糧危機に対するFARM(Food and Agriculture Resilience Mission)を成功させなければならない」

 「中国国家主席は私に、両国のパートナーシップを引き続き深化させ、互恵的にバランスをとっていきたいと表明されました。その思いは私も同じです。航空や民生用原子力のプロジェクトでは、我々の力を結集し、さらに前進していくことになるでしょう」とツイートしており、中国との電話会談の本題がウクライナ問題にあったことが伺えます。 

 エリゼ宮もまた、同様の内容を同日発表しており、上記の内容に加えて、北朝鮮問題についても、外交努力の調整のために議論されたことを記しています。 

 以前、マクロン大統領は「中国の言うことをバカ正直に信用してはいけない!」と声高に叫んでいたことがありましたが、その中国の国家主席との会談さえも、こうして前向き?に発信しているのは、やはり現在のロシアに対する対応のために他なりません。

 ロシアへの制裁に関しては大きな鍵を握ると思われる中国ですが、「我々は、停戦、ウクライナの領土保全と主権の尊重という目的を共有している」と言っても、都合のいい解釈である可能性も低くない気もします。

 もっとも、今のところ、この会談は少なくともフランスのテレビなどの報道ではほとんどスルー状態で、まともに受けとられていないのかもしれません。

 そもそも、プーチン大統領とはさんざん話をしてきたマクロン大統領、信用できない相手との会話もお手のもの・・たとえ裏切られても、少々のことでは、今さら応えないのかもしれません。


マクロン大統領と習近平国家主席の電話会談


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2022年5月10日火曜日

ロシアの戦勝記念日とマクロン大統領の「欧州政治共同体」提案

   


 未だかつてないほど世界中が注目していた今年のロシアでの戦勝記念日は、様々な予想をよそに、あまり例年と変わらなかったどころか、例年よりは控えめでした。危惧されていたような特別なことも起こらず、プーチン大統領も開戦宣言をすることもなく、航空機によるパレードも天候のために中止ということで、予行演習の際には登場していた「週末の日の飛行機」と呼ばれる特別機「イリューシン80」も登場することはありませんでした。

 今回のロシアの戦勝記念日は、身構えていた世界中をまた逆に驚かせ、それでも、戦争が終わるわけではなく、フランスの報道でも喧々轟々と議論されており、プーチン大統領の内向きな演説を読み解こうと、在仏ロシア大使館のロシア政府報道官や在仏ウクライナ大使などにもインタビューを行いながら、今後の戦争の行方を話し合っていました。

 各国に駐在しているロシア大使館の外交官のインタビューなどを時々、目にしますが、苦し紛れの言い訳が、見るに堪えない感じがしていましたが、昨日のフランスのテレビでは、インタビュアーの方から、途中で、「今日はインタビューに答えていただきありがとうございました」と打ち切ってしまう潔さ?これ以上聞くに堪えない視聴者の気持ちを代弁してくれたような感じで、それはそれで妙に納得がいく気がしてしまいました。

 海外からの要人が訪れることもないロシアの戦勝記念日にロシアの孤立化が鮮明になったとの声も上がっていましたが、一方、戦禍のウクライナには、アメリカ大統領夫人やカナダの首相が電撃訪問など、世界からのVIPが来訪している様子は、まことに皮肉なものを感じます。

 プーチン大統領の真意はわかりませんが、今回のような戦勝記念日のセレモニーで開戦宣言もしなかったのは、世界中から孤立している中、ロシア国民に背を向けられたら終わりという気持ちからだったような気がしています。

 一方、マクロン大統領は、ストラスブールの欧州の将来に関する会議で再選後初の欧州に関する演説を行い、EUをより効率的で独立したものにするための欧州条約の変更に賛成であり、それなくして我々の民主主義の正統性はない」と述べています。

 また、彼は、ウクライナのEU加盟には「数十年」かかると警告し、その間にイギリスのような国も受け入れることができる「欧州政治共同体」を提案し、後にベルリンでオラフ・ショルツ氏との共同記者会見を行い、「もう一つの協力の形」を提供できるだろうと述べ、「我々の一連の価値観を信奉する民主的な欧州諸国が、政治協力、安全、協力のための新しい空間を見つけることができるだろう」と語りました。

 「この組織は、我々の一連の価値観を信奉する民主的なヨーロッパ諸国が、政治的協力、安全保障、協力のための新しい空間を見出すことを可能にする」と説明しています。

 また、「この組織に参加することは、将来のEU加盟を妨げるものではないし、EUを脱退した人々に対して閉鎖的になるものでもない」とも述べました。

 マクロン大統領は、来月23日と24日に予定されている欧州首脳会議で、加盟27カ国の首脳とともに「必要な大胆さと自由さをもって」この問題に対処することを望んでいます。

 しかし、さすがにこれは、そう簡単に通る話でもなさそうで、これには、すでに13カ国が「EUにさらなる権限を与えたり、その機能を修正したりするような、取得が複雑なこのような変更に反対する意向」をすでに示しています。


 

 ポーランド、ルーマニア、フィンランドを含むこれらの国々は、署名国であるスウェーデンが月曜日に配布した文書によると、「我々は、熟考されていない早まった手続きを開始しようとすることに賛成しない」と発表しています。

 EU(欧州連合)、NATO(北大西洋条約機構)など、さまざまな組織が重なって存在している中、さらにまた新しい組織というのも、より複雑で収集がつきにくくなるような気もするのですが、今、ヨーロッパ全体の在り方を見直す必要があるということは、必須なのかもしれません。

 あくまでも今後の話し合いのための提案であるので、この提案により欧州の国同士が険悪になるとは思いたくはありませんが、マクロン大統領がヨーロッパをより強靭なものにしたいという前のめりな気持ちがこの提案から伝わってくるような気がします。

 この戦争を見ていると、各国の政治家の話すチカラに驚かされます。マクロン大統領の口がたつのは有名ですし(時には、それが過ぎて、逆に反感もかってしまうこともある)、国によっては、失言としか思えないような発言が気になるところもありますが、全世界に発信を続けて味方につけてしまうゼレンスキー大統領などのアピールするチカラ、牽引力は見事なものだと思っています。

 それを考えてみると、日本には、世界に向けて説得力のある話ができる政治家がいるかな?と思ってしまうとともに、「理論立ててしっかり話をして相手を説得する」というような教育が日本にも必要なのではないか?とも思うのです。

 

ロシア戦勝記念日 欧州政治共同体


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2022年5月9日月曜日

5月8日のフランスでの戦勝記念日とG7の会議

  


 翌日には、世界中が注目しているロシアの戦勝記念日の前日の5月8日はフランスは1945年の戦勝記念日として、凱旋門の下でセレモニーが毎年、行われています。

 ロシアの戦勝記念日には、軍事パレードが行われるようですが、フランスの軍事パレードは7月14日のパリ祭(革命記念日)で、シャンゼリゼを華やかにパレードする光景は華やかで美しく、沿道には大勢の人々が集まります。

 パリ祭に比べるとフランスの戦勝記念日はこじんまりとしたものではありますが、やはり、華やかで美しいことには変わりはありません。

 しかし、今年ばかりはウクライナでの戦争中ということもあり、美しい騎馬隊に先導されて車をマクロン大統領の乗った車が凱旋門に向かっていく様子には、いささか、もやもやとした気持ちを感じずにはいられませんでした。

  


 第二次世界大戦のために犠牲になった何百万人もの人々に対して今でも最大の敬意をもって悼むという意味では、美しいセレモニーは尊いものであるには違いないのですが、テレビやネットなどの報道とはいえ、毎日のように、悲惨な戦禍を目にしている現在は、美しく身なりを整えている騎馬隊や兵隊を見ていると、戦争は決して、こんなにきれいなものではない・・という抵抗を感じてしまうのです。

 セレモニーは午前中の1時間程度で終わり、同日午後には、ウクライナ情勢に関するG7の会議が行われていました。今回のG7の会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加しています。

 エリゼ宮は、同日中にこの会談で話し合われた内容について、17項目にわたって詳細を発表しています。

 第二次世界大戦終戦から77年、ロシアのプーチン大統領とその政権は、主権国家に対するいわれのない侵略戦争として、ウクライナに侵攻することを選択しました。G7は、ロシア大統領の行動は、ロシアとその国民の歴史的犠牲の上に不名誉をもたらすものであり、ロシアは法の支配に基づく国際秩序、特に第二次世界大戦後に戦争の惨禍から将来の世代を守るために起草された国連憲章に違反しているという確認を致しました。

 プーチン大統領と、ベラルーシのルカシェンコ政権を含むこの侵略の立案者と共犯者に、国際法の下で責任を取らせるために、国際刑事裁判所の検察官、国連人権理事会が委任した独立調査委員会、欧州安全保障協力機構の専門家ミッションなどによる、この分野での継続的な調査と証拠収集の作業を支持いたします。

 G7は、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナが自由で民主的な未来を確保できるよう支援し、同国が今日の自衛と将来の侵略行為を抑止できるよう、新たな約束を引き続き行う意思を再確認し、ウクライナ軍への軍事・防衛支援を継続するとともに、ウクライナのネットワークをサイバーセキュリティ事件から守るための支援を継続し、情報セキュリティも含めた協力関係を強化し、ウクライナの経済とエネルギーの安全保障を強化するために、引き続き支援を行うことを約束しました。

 プーチン大統領の戦争は、世界のエネルギー供給、食糧および肥料の供給、そしてより一般的に世界のサプライチェーンの機能に影響を与え、深刻な世界経済の混乱を引き起こしており、最も脆弱な国が最も大きな打撃を受けています。私たちは、世界中のパートナーとともに、この紛争がもたらす否定的で有害な影響に対抗するための努力を強めることで同意。

 ロシアの石油の輸入を徐々に削減または禁止するなど、ロシアのエネルギーへの依存を段階的に解消することを約束し、世界が代替エネルギー源を見つける時間を確保し、クリーンエネルギーへの移行を加速させることを含め、安定的かつ持続可能な世界のエネルギー供給と消費者にとって手頃な価格を確保するために、お互いに、またパートナーと緊密に協力することを確認。

 これらは、ロシアが依存する重要なサービスの供給を禁止または阻止するための措置をであり、経済のあらゆる分野でロシアの孤立を強化するものです。

 内容的には、これまでのG7の発表と大きな違いはありませんが、つまりは、ロシアの侵略行為を徹底的に非難し、ロシアに対する制裁、ウクライナへの支援を強化するということです。

 決して遠くはないところで起こっているこの戦争が一体いつまで続くのか、わかりませんが、子供の頃に戦争を知らない世代と言われていた私も、現在、戦地で暮らしているわけではありませんが、「戦争を知らない」という意味を今になって、深く思い知らされる気持ちです。

 自国を守るために軍隊が必要なのは理解できますが、これまで華やかで美しいパリ祭の軍事パレードなどを見るにつけ、これが見られてフランスにいてよかった!などと思って見ていた自分が今は少し恥ずかしいような複雑な気持ちです。

 シャンゼリゼをパレードする戦車なども、人を攻撃すための兵器で、これまでのように単純に美しく華麗なパレードをうわ〜っ!かっこいい!素敵!などという気持ちでは見られなくなりそうな気がしています。


G7  戦勝記念日 軍事パレード


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2022年5月4日水曜日

約1ヶ月ぶりのマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談

 


 ロシアによるウクライナ侵攻が開始される前後にかけては、かなり頻繁にプーチン大統領と電話会談していたマクロン大統領ですが、ウクライナの首都キエフ近郊ブチャにおけるロシアが行っていると見られる残虐行為が公表されて以来(3月29日以来)、プーチン大統領との電話会談がパッタリと行われなくなっていました。

 この間、フランスは大統領選挙があったこともあるとは思いますが、あまりに凄惨な状況に言葉を失ったのかもしれません。

 プーチン大統領と直接、話のできる人は、今、世界中にそんなにたくさんいるわけではなく、たとえ、説得が叶わなかったとしても、対話を続けることができる人がいることは大切なことで、これでマクロン大統領が、プーチン大統領とのコミュニケーションを絶ってしまうのではないかと少し心配でもありました。

 しかし、大統領選挙に再選が決まった直後に、「来週早々にもプーチン大統領とは話をする準備がある」と語っていたとおりにマクロン大統領は、昨日、プーチン大統領と約1ヶ月ぶりの電話会談を約2時間にわたって行いました。

 マクロン大統領は、ロシアがウクライナに対して行った侵略戦争がもたらす結果の極めて深刻さを改めて強調し、マリウポリとドンバス情勢について深い懸念を表明し、ロシアに対し、ここ数日始まったアゾフスタル製鉄所からの避難を人道支援団体と連携して継続させ、国際人道法に従って避難民が行き先を選択できるようにするよう要請しました。

 また、世界の食料安全保障への影響を考慮し、黒海を経由するウクライナの食料輸出に対するロシアの封鎖を解除するために、関連する国際機関と協力する用意があることを表明しました。

 そして、ロシアに対し、この壊滅的な侵略を終わらせることで、国連安全保障理事会の常任理事国としての責任を果たすよう求め、平和とウクライナの主権と領土保全の完全な尊重を可能にするための交渉による解決に向けて努力する意志を引き続き表明しました。

 一方、プーチン大統領は、「西側諸国はウクライナが行っている残虐行為を無視している。止めるように圧力をかけるべきだ」と主張。また、「西側諸国はドンバス地方の町や集落に対する戦争犯罪および大規模な砲撃を終わらせる手助けが可能である」と提案。

 「西側諸国がウクライナ当局に適切な(ロシアにとって)影響力を行使し、ウクライナへの兵器供給を停止すれば、これらの残虐行為に終止符が打てる」と語りました。

 ウクライナが残虐行為を止めるために圧力をかけよと言いながら、ウクライナへの兵器供給を停止すれば、残虐行為に終止符が打てるという支離滅裂な話。

 そもそもロシアがウクライナに侵攻しなければ、西側諸国もウクライナへの兵器供給などしないわけで、ロシアが停戦しない限り、西側諸国も兵器供給を止めるはずはないのです。こうして、二人の電話会談がなされている間にも、マリウポリでは、国連と赤十字の支援により、アゾフスタル製鉄所から民間人を一部避難させた後も、民間人が避難している建物を含む原発の領土に発砲し続けています。

 先日、ロシアのラブロフ外相の「ヒットラーにはユダヤ人の血が入っていた」との発言(ウクライナのゼレンスキー大統領がユダヤ系であるのに非ナチ化のために戦うか?ということについての正当化しようとする稚靴な言い訳)にイスラエルが激怒した話が伝えられていましたが、このラブロフ外相の発言によって、イスラエルはエストニアに対してイスラエル製スパイク対戦車ミサイルのウクライナへの供与を許可しています。

 イスラエルはこれまで、このウクライナ戦争に関して、ロシアへの経済制裁も武器供与も行わず、中立な態度をとってきましたが、ロシアはこのイスラエルをも怒らせてしまいました。

 やることなすこと、すべて裏目裏目にでて、さらに残虐行為を加速させている感のあるロシアですが、残念ながら、マクロン大統領との会話は平行線のままのようです。

 しかしながら、マクロン大統領は、今後も交渉による解決に向けて努力する意志を示しているので、一時中断していたマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談は続くものと思われます。

 今回も2時間以上にもわたる長い電話・・仲の良い友人となら、2時間の長電話もなんのことはありませんが、明らかに意を反する相手とこんなに長時間、怒らせないように、また、自分も怒らないように電話を続けることは、大変な緊張状態です。

 いみじくも、大統領に再選された際にプーチン大統領は、マクロン大統領に対して、「新しい任期での成功とともに、健康をお祈りします」という不気味なメッセージを送っています。

 しかし、プーチン大統領も大変なストレスの中、心身ともに健康ではない気がします。


マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談


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2022年5月1日日曜日

止まらないロシアの威嚇とマクロン大統領とゼレンスキー大統領の電話会談

  


 毎日、毎日、戦争のニュースで気持ちが滅入ってきて、正直、このニュースを避けたくなる気持ちがあります。ウクライナの様子は、本当に日々悲惨な光景で、同じ瞬間に、しかも地続きの国がこんなに悲惨な状況にあることが信じ難い気がしてしまうこともあるのですが、これはやはり現実なのです。

 私は昔の戦争を知っているわけではありませんが、オンタイムの戦地の状況が流されるのは、現代の戦争というものなのかと不思議な気もしています。

 今回の戦争は、どうやらロシア(というよりもプーチン大統領)の目論見の甘さが戦争を長引かせているようですが、彼の意に反して、フィンランドやスウェーデンまでをNATO(北大西洋条約機構)加盟に導き、欧米の力の拡大を引き起こし、どうにも引くに引けない状況を招いています。

 この戦争の報道を見ていると、戦争のルールとも言われる戦争犯罪とか国際人道法などという言葉が出てきて、民間人への攻撃や虐殺について、問題にしていますが、そもそも民間人を攻撃しなければよいというルール?も腑に落ちないところではあります。

 もはや敵国の民間人どころか、自分に相反する者であれば、自国民の命さえも何とも思わないような人が、今さら、何かを躊躇するようなことがあるのだろうか?と思ってしまいます。

 先日、ロシアのテレビ番組で第三次世界大戦と核兵器について報道され、現在のウクライナ紛争が第三次世界大戦にエスカレートする可能性が「現実的」な危険であるとの警告を強め始めました。 

 ロシアの外交官セルゲイ・ラブロフの「危険は深刻であり、現実であり、過小評価することはできない」と警告、この強い発言以来、ロシアのテレビは、核兵器使用の可能性をこれまで以上に強調するようになりました。

 番組では、カリーニングラードからパリ、ロンドン、ベルリンに向けて発射されるサルマット・ミサイルの飛行時間を示すインフォグラフィックを発表し、 プーチンが最近「比類なき」と賞賛したこの新世代の超長距離ミサイルは、フランスとイギリスの首都に約3分20秒、ドイツの首都に約1分45秒かかると説明しています。 

 同番組では、「サルマット・ミサイルが1発あれば、もうイギリス諸島はなくなる」と解説しています。ロシアのテレビは、西側諸国を核攻撃で脅し続け、ウクライナへの支援を続けることを必死に思いとどまらせようとしているのですが、西側諸国は、この脅しで引くはずはありません。自分から攻撃を始めておいて、なんだか変なお願いです。

 ロシアがウクライナを攻撃しなければ、西側諸国とて、援助などしません。だいたい、世界中がウクライナへ支援するといって提示している金額に、そんなにお金出せるんだ・・とちょっとびっくりするほどです。



 先日、マクロン大統領は、大統領選挙後、初めてゼレンスキー大統領との1時間にわたる電話会談を行い、軍事装備と人道支援という観点からフランスのウクライナ支援を強化することを約束しました。

 ゼレンスキー大統領は、この電話会談の後、「ウクライナはEUの一員であるように心強く感じている」とインタビューで語っています。同い年であるこの二人、ゼレンスキー大統領はマクロン大統領を「真の友」と呼び、多大なる信頼を寄せています。

 この戦争の一部は、情報合戦とも思えないでもない部分もあり、どんどん過激になって行く中、この悲惨な状況に目を背けそうになるところもありますが、この現実にはやはり目を背けてはいけないし、報道は続けられなければならないと思っています。

 先月、日本に一時帰国していた際は、フランスに比べて日本はこの戦争についての報道が少ないことに驚き、ともするとバラエティー番組ばかりを目にすることになってしまいそうで、日本滞在中は、情報はもっぱら、ネットに頼っていました。

 結局は、バラエティー番組の需要が多いということなのかもしれませんが、日本のテレビ番組の編成にも少々疑問を感じました。(ほとんどテレビをつけてはいなかったのですが、つけるとバラエティ番組ばかりでちょっとガッカリしました)

 現在のところは、欧米諸国が直接攻撃をしているわけではなく、ウクライナへのさまざまな支援をしているだけではありますが、現在の状況では、ロシア側は、もはや、この支援さえも攻撃として受け止めつつあるということです。

 プーチン大統領は、「どうせ、いずれは皆死ぬ」とか、「それでも我々は天国に行ける」とか、新興宗教の教祖のようなことを言い始めているそうです。予言めいたことを言って、それを自らが実行して、自分達が被害者のように訴える・・なんか、日本で同じことをやっていた教祖がいたな・・と思ったりもするのです。


ロシアの核戦争威嚇


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2022年4月19日火曜日

ウクライナに招待されているマクロン大統領 ジェノサイドという言葉

  


 フランス大統領選挙が間近に迫ってきて、一時はウクライナ戦争一色になっていたフランスの報道もさすがに大統領選挙に関わる報道も同時に報道されるようになってきました。

 政治の話題が大好きなフランス人にとって、また国民投票で採択される大統領選挙は、本来ならば、もっと全面的に報道されているはずの話題です。

 自らがロシアに出向き、プーチン大統領との直接会談に及んだにも関わらず、ウクライナ戦争が勃発し、その後もほぼ毎日のように、ロシアとウクライナ双方の大統領との電話会談を続ける中で、選挙の立候補の公示はギリギリまで行わず、書面にて立候補を表明したマクロン大統領は、このウクライナ戦争への外交対応が評価されたこともあり、当初は圧倒的に優勢な状況だと見られてきました。

 ところが4月に入ってからは、対抗馬のマリン・ルペン氏の追い上げを受け、マクロン氏も、いよいよ本格的に最後の追い込みをかけ、現在のところ、依然としてマクロン大統領が優勢だと見られています。

 2月末から3月にかけては、大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueにも、連日のように、ロシアやウクライナをはじめとする世界各国の首脳との電話会談の内容が記されてきましたが、4月に入ってからは、国内の閣僚会議の内容がポツポツと記されているのみに留まっています。

 実際に彼が何もしていないわけはないのですが、大統領選挙を目前にして、また、戦況も沈静化せずに、ロシアとウクライナの仲介も進展しないことから、記載を控えているものと思われます。

 先日、ウクライナでの悲惨な映像が公開されたことから、米国バイデン大統領がロシアのウクライナ侵略への残忍性を訴え、「ジェノサイド」という言葉を使ってロシアを非難したことについて、マクロン大統領は、「国の指導者は、言葉に注意を払うべきだ」という発言をしたことが話題になりました。

 このマクロン大統領の発言は、少なからず、電話会談を続けてきたウクライナのゼレンスキー大統領を失望させたようで、同大統領は、マクロン大統領に「実際に目の当たりにすれば、これは戦争ではなく、ジェノサイド以外のなにものでもないことを納得してもらえるだろう」と、機会があれば、ウクライナを訪問してほしいとお願いしたと語っています。

 しかし、現在のマクロン大統領は、大統領選挙を目前にしたタイミング。日程的にも無理なだけでなく、彼自身は、ジェノサイドという言葉は、国の指導者としては、慎重に使わなければない言葉で、この言葉を使って非難することが、戦争終結のためにならないと考えています。

 マクロン大統領は、このロシアが一方的に残忍な戦争を仕掛けたことや、ロシア軍が虐殺行為、戦争犯罪を行っていることは狂気の沙汰であり、信じがたいほど残忍な行為だという事実自体は認めているものの、現時点で欧州の一国の国家元首として、このジェノサイドという言葉を使って非難することは、プーチン大統領を追い詰めて、さらに戦争を悪化させると考えているのです。

 これは、プーチン大統領がウクライナに対して戦争を始める理由にも自分たちが被害者として使っていたワードでもあり、かなりプーチン氏の中でもキーワードになっている言葉でもあるからです。

 現在はどの程度の頻度で話しているのかは、わかりませんが、一時は毎日のように、4時間、5時間とプーチン大統領と会談し続けてきたマクロン大統領にとって、ジェノサイドという言葉は、プーチン氏を過度に刺激させないためのNGワードなのだと思われます。

 実際にあのプーチン氏を怒らせず、言いたいことを伝えようと電話会談を続けてきたマクロン大統領がとる当然の姿勢のようにも感じています。

 どちらにしても、もしも、マクロン大統領が再選されなければ、ウクライナ訪問もあり得ないことであり、もし、訪問したとしても、彼の発言の重さはまったく違うものになります。

 もし、彼が再選されて、ウクライナを訪問して、実際の戦況を目の当たりにしたとしても、ジェノサイドという言葉を使ってロシアを非難することは恐らく、ないであろうし、だからこそ、現段階で、彼がウクライナを訪問することもないのではないか?と私は思っています。


ジェノサイド マクロン大統領ウクライナ訪問


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2022年4月5日火曜日

ちょっとひと段落と思ったら、もう帰国の心配 帰国便欠航

 


 

 トラブル続きの今回の一時帰国も、あっという間に半分以上が過ぎてしまいました。今回は、往復チケットを予約した時に、往きは、直行便がなかったので、他に選択の余地はなく、ロンドン経由ロシア上空回避迂回便を取りました。

 もうすでに、一度、キャンセルをしているので、キャンセルする可能性のあることを念頭において、JALの予約サイトで直接、往復便を予約していました。

 そもそも私は、フランスに居を移してから、これまで数十回、フランスと日本を往復してきましたが、一度、エアフランスのストライキのために、勝手に予約していたフライトを変更されて、慌てたことがありましたが、それ以外はただの一度も予約したフライトを変更したり、されたりすることはなく、一度予約すれば、予定の日が来れば、行って帰ってくるのが普通で、フライトのことで、こんなに一喜一憂することはありませんでした。

 エアフランスのストライキは、ストライキ大国のフランスの航空会社ということで、コロナ、戦争がなくとも、欠航や予約した便の変更は、いつでもあり得ないことではないため、直行便とはいえ、避けていたくらいだったのです。

 それが今回、まさかのウクライナ戦争のためにJALやANAでさえもパリ直行便は欠航。往復のチケットを予約する際には、往きはもう選択肢がなかったにせよ、帰りの便は、直行便という選択をすることもできたので(しかも、直行便も経由便も同額だった)、戦争の状況が改善される見込みは薄かったにもかかわらず、「それなら、普通、直行便でしょ!」と、一縷の望みを託して、直行便を予約してしまっていたのです。

 しかし、案の定、パリ行きの直行便は欠航のままで、昨日、JALから「ご予約内容変更のお知らせ」というメールが届き、やはりロンドン経由の便に変更に・・。しかも、予定より1日前に帰仏することになりました。

 今回の誤算は、返す返すも超長時間フライトが今ひとつピンときておらず、日本滞在期間が想像以上に短くなって(まぁ、今から考えてみれば当然なのですが・・)、結局、帰りの便も前倒しになってしまったことで、ますます最後の予定をギチギチに入れざるを得ない結果となりました。

 その中でも幸いだったことは、日本からフランス、イギリスに帰る便に関しては、入国先でのワクチンパス(ワクチン3回接種済み)(ワクチン証明書)を持っていれば、日本でPCR検査がいらないということで、日本でのPCR検査は高額だと聞いていたし、当然、必要だと思い込んでいたPCR検査を受けにいく必要がなくなったので、日程的には、その分が少しだけ楽になったことです。

 ただ、JALのサイトでは、羽田→パリ便のフライトの変更にもかかわらず、羽田→ロンドン区間の予約しか、表示されていなかったので、まさか・・とは思いましたが、やはり、あまりに直前になる前に確認したくて、結局、繋がりにくい予約確認の電話を延々と繋がるまでトライすることになり、電話で予約を入れ直してもらうという気が揉めることになりました。

 結果的には、延々、電話が繋がるのを待って、やっとどうにか電話がつながり、予約をとることができましたが、もう、今回の帰国に関しては、最初の最初から二転三転と状況が変わり、もういいかげん、振り回されるのも疲れて、逆に少々早くなってしまったとはいえ、これではっきり決まっただけでも、少し気楽になった感じもするくらいです。

 正直、もういいから、無事に帰ってこのドタバタから解放されたいという気もしているのです。

 考えてみれば、一時帰国の際には、いつも、帰仏が差し迫れば日程がギチギチになって、あっぷあっぷになるのは、いつものこと。これに加えて、コロナや戦争のためのフライト変更。

 このところ、帰国の度に年齢を実感していますが、今回は色々なハプニングも重なって、一段とそれを深く思い知らされることになりました。多少、最後の数日を無理して乗り切ればなんとかなると思ってはいたものの、今年に関しては、無理は無理なんだということを実感しています。

 フランスに戻るまで、あと1週間を切りましたが、どうか無事に過ごせて、パリの家にたどり着きますように・・と願っています。

 しかし、一先ず、一番大切な用事の何件かは済み、念願だった日本の美容院にも行けて、美味しいものも食べられて、何人かの大切な家族や友人とも会うことができ、パリに持って帰る日本食材の買い物もできて、このコロナ・戦争のさなかにしては、上出来であったのかもしれません。

 とりあえず、パリからの直行便が回復するまでは、日本への一時帰国はもうしないと思っています。


航空券予約変更 直行便欠航


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2022年3月27日日曜日

コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査

   

いくつものチェックポイントを通過するけど、流れはスムーズ


 コロナウィルスによるパンデミックでフランスから日本への入国には、長い間、強制隔離施設での隔離、あるいは、自宅隔離期間が設けられており、その間の移動も公共交通機関が使えないなど、さまざまな障害が立ちはだかっていました。

 それが、3月に入って、ワクチン接種3回済みの人に対しては、隔離措置が撤廃されました。フランスでは、わりとワクチン3回接種を済ませている人も多く、多くの在仏日本人がこの恩恵?に預かることができるようになったと思います。

 ただ、出発前72時間以内のPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられており、しかも、この検査陰性の証明書には、日本の求めている内容のチェックが記載されている必要があり、できれば、日本独自のフォームに書き込みをしてもらい、サインをしてもらうのが、日本入国のためには、明瞭で問題が起こりづらいものと思われます。

 フランス在住の人は、PCR検査は、Carte Vital(健康保険のカード)とワクチンパスがあれば、無料でやってもらえるので、私は、あらかじめ、この日本独自のフォームに書き込んでくれる場所を確認して検査を受け、当日、あるいは翌日には、検査結果がSNSで送られてくるので、その検査結果を持って、再び、その検査場に行くと、日本独自のフォームに記入してくれます。

 私が行ったところは、けっこう日本独自の陰性証明書に記入するケースをこれまでにも、いくつも請け負っていたとみえて、「あ・・日本のね・・」と手慣れた様子で証明書を書いてもらえました。

 パリ在住、あるいは、近郊にお住まいの方でこのPCR検査の証明書を書いてもらえるところをお探しの方は、ここは、便利かもしれません。私が検査をした時点では、予約の必要もありませんでした。

○Laboratoire FELIX EBOUE BIO LAM LCD Autorisation

   3-5 Place Félix Eboué 75012 tel.01.43.44.51.94


 それに加えて、ワクチン接種の証明書、日本政府への入国に関する誓約書、MySOSアプリ、COCOAアプリのダウンロード、あらかじめ質問事項を記入するとQRコードが出てくるので、そのQRコードをスクリーンショットしておく必要があります。

 羽田空港に到着すると、これらの書類やアプリを何重にもチェックするポイントを通過し、(これがけっこう、長くて、こんなに何重ものチェックが必要なのか?と思う)唾液検査のブースに進みます。

 この際に、「フランスから入国の場合は、自宅隔離期間が必要です」とあらかじめ、説明を受けましたが、「ワクチン接種3回済みの人は隔離は必要ないはずです」と3回のワクチン接種の証明書を提示したら、「ちょっと確認して参ります」と言われて、「すみません。やはり隔離は必要ありませんでした・・」となったので、ワクチン接種証明書は、常に携帯しておいた方がいいかもしれません。

 そして、唾液検査用のキットを渡されて、自分で唾液を採取するのですが、この容器のここの線まで入れてくださいという唾液の量が結構な量で、私の場合、「そんなに唾液、出ない!」と思いながら、結構、唾液の採取には苦労しました。

 唾液採取が終わると、検査の受付番号のシールが貼られた健康カードという紙を受け取り、待機場に移動して、自分の検査番号が電光掲示板に表示されるのを待ちます。

 私の場合は、ここでは20分ほど、待ったでしょうか? 自分のナンバーが表示された時点で、検査結果を受け取りのブースで検査結果を受け取ります。ここで陽性となったら、隔離状態になってしまうので、ドキドキして、結構不安でしたが、幸いなことに陰性でした。

 その後の流れは、通常の入国と同じで、自動認証機械によるパスポートチェック(この際はマスクを外して顔認証)をして、荷物(スーツケース)を受け取り、通関して、解放されます。

 飛行機が到着してから、1時間ほどだったでしょうか? 現在は、比較的、入国者も少ないため、思っていたよりも、早く解放されました。

 いよいよ、入国して空港内に解き放されると、すぐにコンビニにかけこみ、おにぎりとお茶を買って、「あ〜日本に帰ってきた!」と実感するのでした。

 いくつもの不安材料であるハードルを越えて、日本に入国、やっぱり日本はいいな・・あぁ〜羽田空港だ・・と、今まで、こんなに感慨深い帰国はなかったな・・としみじみしながら、日本に入国いたしました。

 


 この税関を通って、自動ドアが開かれた瞬間、キティちゃんの看板がお出迎え、「日本だ・・」とどこかホッとする瞬間です。

 今から早いですが、次回、日本に帰国する際には、直行便で、PCR検査の必要もなく、あっさり入国できるようになっていてほしいとつくづく思うのでした。


海外からの日本入国 空港での書類チェックと検査の流れ



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2022年3月24日木曜日

ゼレンスキー大統領のフランス国会での演説

  


 日本の国会で演説を行ったウクライナのゼレンスキー大統領は、同日、フランスの国会においても、演説を行いました。彼は3月1日の3月1日の欧州議会での演説以来、国際舞台での外交キャンペーンを精力的に続けています。

 アメリカ、ドイツ、スイス、イスラエル、イタリアの国会で連日演説を行った後、3月23日(水)は、日本に続いて、午後3時からフランスの国民議会と上院で演説を行いました。

 毎回、ウクライナからビデオ会議で、自国語(同時通訳)で、軍用カーキ服を着て自国の旗の前での彼の演説は、スタンディングオベーションを受けていました。

 すでに、彼の演説は、それぞれの国にあわせた歴史的な出来事や人物を組み込んでおり、言葉も語調もその聴衆にあわせて語られています。

 イギリスでは、ウィンストン・チャーチルやシェイクスピア、アメリカでは真珠湾攻撃や9•11のテロ事件、またドイツではベルリンの壁を引用したかなり強めな訴えと日本では、TSUNAMIという言葉を使ったり、震災における復興にあたった日本の力を讃えたりと、その内容は様々ですが、もともと俳優であった彼にとっては、人に訴えかけて話すことはかれの得意分野でもあります。 

 しかし、どの国においての演説でも共通することは、聴く人の感情に大きく訴えかけるものであり、今や世界中の誰よりも世界中で演説を行い、その聴衆を引き込んでいくチカラを持った大統領であるかもしれません。

 このコミュニケーションは、ウクライナの重要な武器の一つでもあります。真実が拡散するのを恐れて言論統制をしているプーチン大統領と真実を訴えかけるために自ら演説を続けるゼレンスキー大統領とは、まさに対照的です。

 フランス国会での演説では、まず、「我々はフランスの援助に感謝しています」と述べ、この戦争にあたって、真のリーダーシップを発揮してくれているマクロン大統領の努力を賞賛し、フランスとその指導者がウクライナの領土保全を維持することを期待している」と述べました。

 そして、マリウポルをベルダンになぞらえ、3月9日のマリウポリ産科病院への爆撃は「中世のような残酷な包囲攻撃」だと述べました。「怪我をした女性、足を切断した女性、赤ちゃんを亡くした女性、骨盤を骨折した女性・・医師は彼女を救おうとしたが、彼女は死なせてくれと言っていた。彼女はもう生きる理由がないと思って死んだんだ・・」語り、とフランスの過去の記憶に訴えました。

 「ロシアの侵攻から数週間が経ち、マリウポルをはじめとするウクライナの街は、誰もが見たことのある第一次世界大戦の写真のようなヴェルダン廃墟を思わせる」と説明し、「フランスがベルモンドに別れを告げることができたように、私たちも互いに別れを告げることができなければなりません」と述べました。

 また、すでに数百社のフランス企業がロシアから撤退したものの、一部は今もロシアで活動を続けていることに言及し、「誰が罪を犯しているか、砂に頭を隠してロシアで金を見つけようとしているかは、皆さんがよくわかっているだろう」とオーシャン(Auchan・スーパーマーケットチェーン)、ルロワメルラン(Leroy Merlin DIYショップチェーン)、Renault(ルノー)グループを引き合いに出して、「フランス企業はロシア市場から撤退せよ」と呼びかけました。これらの企業は「ロシアの戦争マシンのスポンサーであることをやめなければならない」とロシアからのフランス企業の撤退をかなり厳し目に訴えました。

 同日、ルノーは、このプレッシャーのため、ルノーのモスクワ工場の操業停止を発表しています。

 そして、ゼレンスキー大統領は、「フランスは、真実を大切にし、それを守り続けている国であることをウクライナはよく知っている」と述べ、フランスのモットーとされている「Liberté, égalité, fraternité'(自由、平等、友愛)」という言葉を用い、「ウクライナ人が自由のために戦ってから1ヶ月になる」「我々の軍隊は数の上で勝るロシアに英雄的に対抗している 」と堂々と語り、「自由が失われないために、我々は、十分に武装しなければならない」とさらなる援助と物資支援を求めました。

 また、将来の紛争を防ぐために、フランスが「主導的な役割」を果たすべき欧州の「新しい安全保障システム」を構築することを期待していると述べました。

 おそらくフランス人に一番、ストレートに響く「自由」「真実」という直球の言葉を使った彼の演説は、どれだけ、フランス人の気持ちに響いたでしょうか?

 また、この世界中での演説を巧みに進めていくゼレンスキー大統領の様子を見ながら、日本のトップは、このような説得力のある演説を世界に向けてできるだろうか?とも思ったのでした。


ゼレンスキー大統領演説 フランス国会


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2022年3月23日水曜日

WHO(世界保健機構)が警告 ヨーロッパの感染対策解除はあまりに急激すぎる!



 WHO(世界保健機構)は、フランスをはじめとするドイツ、イタリア、イギリスを含むいくつかのヨーロッパ諸国があまりにも急激に感染対策を解除してしまったことに警告を鳴らしています。

 WHOによると、ヨーロッパの新規感染者数は1月末にピークを迎えた後、急激に減少していましたが、3月に入ってから一転して増加傾向にあります。感染症専門家によると、このリバウンドは、特にオミクロンBA.2亜型の優勢によって説明されるといいます。

 この7日間で、WHOヨーロッパ地域で510万人以上の新規感染者と12,496人の死亡者が記録されています。「特に増えているのは、イギリス、アイルランド、ギリシャ、キプロス、フランス、イタリア、ドイツである」と指摘しています。




 しかし、一方では、WHO欧州ディレクターであるハンス・クルージ氏は「今のところ警戒してはいるものの比較的楽観的に見ている」とも発言しています。

 楽観的になれる理由としては、ワクチン接種の拡大による効果と、これまでの経過で爆発的に感染が拡大したために、ヨーロッパ市民にかなりの免疫がある点を挙げています。それに加えて「冬が終わるので、狭い場所に人が集まりにくくなる」という点もしています。

 そして、オミクロンの変異型は、「ワクチン接種の少ない国では、依然としてリスクの高い病である一方で、ブースター投与を受けた完全なワクチン接種者にとっては重症化するリスクが低い」とも指摘しています。

 しかし、現実のところ、これまで慎重な態度を取り続けてきたヨーロッパが現在のように感染対策の急激な緩和に踏み切ったのは、これまでの感染拡大回避のための規制による制限と経済復興のバランスをどう取っていくのかという面のみに注力していたことに加えて、「ウクライナ戦争による混乱」が加わり、正直、戦場はウクライナであるものの、いつ具体的な火の粉がふりかかるかもしれない地理的、政治的な関わりや、ロシアへの経済制裁の煽りからの急激なインフレ、数十万単位で押し寄せてくるウクライナからの難民や、ついには核兵器がつかわれるかもしれない恐怖は、ヨーロッパの人々にとっては、コロナウィルス以上のものであるという現実なのです。

 その結果が、この急激な感染対策緩和につながっているのですが、WHOとしては、おそらくヨーロッパの立場があまりピンときていないことから生まれるこの警告。

 ヨーロッパのコロナウィルス感染状況を鑑みれば、この感染対策規制の緩和は、客観的には、あまりに急激で唐突なものであるに違いありませんが、ある程度は、感染は増加しているものの、ピークは超えたと思われるコロナウィルスへの対応が少し緩くならざるを得ないのかもしれません。

 ワクチン接種に加えて、ヨウ素剤の準備などが行われるなか、ヨーロッパは、コロナウィルス感染対策に加えて、経済復興、戦争への対応という3つのバランスをとりつつ進んでいかなければならない結果がになっています。

 このバランスが多少、崩れていることは事実で、ワクチンパスやマスク着用義務を撤廃する一方で65歳以上の4回目のワクチン接種を開始。このアンバランスさにフランス政府の焦りも感じられます。

 とはいえ、コロナウィルスは、戦争でさえ容赦はしてくれないもの、少しでも気を緩めれば、またこの戦時下に再び新しい感染の波を迎えないとは言い切れず、ここは、冷静にどちらも対処してもらいたいものだと思っています。


WHO警告 ヨーロッパ感染対策規制解除 ヨーロッパ感染増加


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2022年3月22日火曜日

ロシアとオウム真理教 独裁者の暴走

   



 オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こって、3月20日で27年が経ったという報道を見て、オウムとロシアとはダブるような感じがする部分があることを最近、感じています。

 地下鉄サリン事件は、日本で起こった事件の中でも、いつまでも忘れられない事件であり、今でも時々、資料を読み返したりすることがあります。

 当時、私は、日本の通信社で働いていたこともあり、1日中、当時のニュースはかなり詳しく目にしており、また、犯行の中心となったオウム真理教の幹部と言われた人々は、私とも年齢が遠くない人々で、どこか人ごとではないような気がしていたこともあったからです。

 最近、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースで、今まであまり、関心のなかったロシアという国を見ていると、以前にオウム真理教がロシアに目をつけて、教団武装化のための武器を大量にロシアで調達したり、ロシアにも教団支部を作り、その勢力を拡大しようとしていた理由がなんとなく、今になってわかるような気がしています。

 オウム真理教の胡散臭さはもちろんのこと、ロシアにしても、あまり裕福とは思えない生活をしている人も少なくない印象の国が宇宙開発などに力を入れ、たびたび、ロケットを飛ばしてみたり、なんとなくアンバランスなおかしな国だと思っていました。

 オウム真理教というのは、一応、宗教的な側面があるものの、ケチな私にとって、執拗にお金を要求する時点で、信用しておらず、そもそもお金で幸福になれれば、宗教など必要はないと思うのです。

 ロシアに関しては、ある程度の水準以上の生活をしている地域の人もいるのでしょうが、以前、パリで見かけたロシア人の団体旅行の一部には、陸続きとはいえ、大型バスでロシアからパリにやってくる人々もいて、その団体の人々(大人たち)が手に握りしめているのは、旅行会社から配られていると思われるビニール袋に入ったパンやお菓子で、子供の遠足じゃあるまいし、パリへ旅行するのに、こんなのってあるの?と思ったこともありました。

 最近のプーチン大統領の嘘だらけの発信を見ていると、歴史的な背景や規模は違うものの、あの時のオウム真理教に共通するものがあるな・・と度々、思うことがあります。

 「ウクライナ政権を「ネオナチ」であり、そこからウクライナを救済する」という理由もめちゃくちゃで、ゼレンスキー大統領がユダヤ人であり、実際に家族もナチスの犠牲者であるという事実からもあり得ない話で、周囲を騙すにしても、もう少しマシな理由が考えられなかったものか?と思うと同時に、自国民でさえも兵士を騙して戦争に行かせたり、国民を欺き、事実を伝えず、外からの情報を遮断してしまうというのも、信者を現実社会から遮断し、反抗するもの、邪魔になる者は、抹殺し、ついには、あの前代未聞の地下鉄サリン事件という凶行に及んだオウムと重なるところがあるような気もするのです。

 また、自分たちがやろうとしていることを、他から自分たちが攻撃を受けようとしていることとして、言い訳しようとするところも共通していて、オウム真理教が、当初、サリンについても、自分たちがアメリカなどからのサリン攻撃にあっていると釈明していたこともあり、(アメリカを異常に敵視するという面も同じ)、今回、ロシアは、「ウクライナが生物・化学兵器を使おうとしている」などと言い出していることから、彼らが生物・化学兵器の使用を検討していると受け取ることもできます。

 そして、壮大な計画のわりには、妙にそのやり方が杜撰である部分も少なくないことも、結果的に国民の犠牲も信者の犠牲も厭わないことも共通しています。国民を騙しながら、ロシア軍兵士にも決して少なくない犠牲者を出していることも何とも思っていない感じです。

 結果的に、まさかそんなことをするわけはないということをやってしまうところも、何のためにこんなことをやっているのか、理解ができないところも、同じです。

 しかし、オウム真理教には警察が介入して、それ以上の被害は食い止めることができましたが、今回の戦争は、今のところ、誰も止めることができずに、バイデン大統領などが、「プーチンは戦争犯罪人」などと強い言葉で非難しながらも、その犯罪人を誰も捕まえることはできず、被害は拡大する一方です。

 警察の強制捜査を撹乱するために、追い詰められたオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしたように、ロシアが生物・化学兵器や、ついには、核兵器の使用に踏み切ってしまうことも考えられないことではありません。

 フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は、昨日、「フランスは、原発事故や核攻撃から国民を守る十分なヨウ素剤の備えがある」と発表しています。そんなことを発表されても、「あ〜よかった・・これで安心!」と思えるわけではありません。

 なんとか、そんなものを使わなくても済むようにしてほしい・・と思いますが、こんな発表をすること自体、その危険性、可能性をフランス政府は十分に深刻に考えているということでもあります。

 現在、ロシアがウクライナに対して行っていることは、無差別な大量虐殺、もともとウクライナ政権がネオナチだと言い始めたことをまさに自身がやっているのです。

 テロ行為を起こす絶対敵な独裁者というものには、共通するものがあるものだと思うと同時に、独裁状態というものは、そもそもバランスがとれなくなり、その独裁者が暴走し始めた場合には、とんでもない事態を起こすのだということを地下鉄サリン事件から27年という3月20日を迎えて、あらためて、考えるのです。


独裁政権 オウム真理教 地下鉄サリン事件



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2022年3月21日月曜日

フランス国内のオリガルヒ資産の凍結とフランスの税務署

   


 ブルーノ・ル・メール経済・財務相は日曜日、フランスは国内にあるロシアのオリガルヒ(プーチン大統領と緊密な繋がりのある新興財閥)の資産(ヨット、アパート、銀行口座など)8億5000万ユーロ近く(約1,121億円)のオリガルヒの資産(ヨット、別荘、一戸建てアパート等の不動産物件、銀行口座)を凍結したと発表しました。

 資産の凍結とは、その所有者が「もはや使用、転売、収益化できない」ことを意味します。「しかしこれは、国が所有者となり、転売できるという意味での凍結ではなく、差し押さえるためには、刑事犯罪がなければならない」と説明しています。



 すでにロシアのウクライナ侵攻に対して、EU、アメリカ、カナダ、日本などの国々が経済制裁としてロシアの主要銀行をSWIFTからの排除を開始していますが、同時にプーチン大統領と共に巨大な富を成してきた彼の周辺のオリガルヒの海外資産の凍結の作業を躍起になって進めているといいます。

 フランス財務省は、オリガルヒとよばれるメンバーをリストアップしながら、生年月日等を照会しながら、その人の財産ファイルや税金ファイルを調査し、お金の流れを確認して、その個々人の銀行口座の数や保有する財産の推定値などの資産の評価をしています。

 「フランスにあるロシアの全資産について、正確な数字はほとんどなく、この調査によって、ロシアの権力とその権力に付随する関係性などを調べ上げる地道で大変な作業には、分権化されたサービスも含めて、数百人がこの仕事に携わっている」としています。

 しかし、多くの金融資産や財産が特に不透明なタックスヘイブンに保管されており、フランス行政の調査官の仕事を非常に複雑にしているため、国際的な情報交換と協力があってこそ成り立つものであり、フランスは、この財産の根拠を検証するための国際的なネットワークを持っていると発表しています。

 とりあえず、フランスが凍結したという8億5千万ユーロの資産がオリガルヒのメンバーにとって、どの程度の痛手を与えるものなのかは、わかりませんが、プーチン大統領の取り巻きの気持ちを挫き、彼に背を向ける力となってくれることを祈っています。

 最近は、フランスでは、税金の申告なども全てオンラインで済むようになっていますが、まだ、手書きの税金申告の書類が郵送で送られてきた頃から、税金の請求だけは漏れなくきっちりやってきて、その他の数々のお役所仕事がズルズルなことが多いフランスも、「税務署だけは、きっちり仕事をする・・・フランスでも税務署だけは、ちゃんと働く・・」と苦々しく思ったことがありましたが、私の税金などとは、まさに桁違いの次元の違う話ではありますが、世界の平和がかかっているこの局面、今回ばかりは、フランス財務省に本領を発揮してもらいたいと、思っているのです。


オリガルヒ資産凍結



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2022年3月19日土曜日

ウクライナへの援助・寄付は、どこにすべきか?

  



 最近、スーパーマーケットに行っても、ウクライナに支援をしませんか? という張り紙がしてあったり、実際に買い物の支払いの際にカードで支払おうとすると、ウクライナに寄付しませんか? という画面が出てきて、ちょっと戸惑うこともあります。時には、募金箱のようなものが置かれていたり、私が口座を持っているフランスの銀行からも、「ウクライナ支援のための寄付をしませんか?」などというメールが送られてきたりもしています。

 ついには、先日、フランス版メルカリサイトVinted(ヴィンテッド)まで寄付しませんか?というメッセージを送ってきました。

 カードを使ったり、実際に口座を管理している銀行からのメールで、寄付はこちらから→(多分、そこをクリックすれば、)スムーズに寄付できるようになっていると思うのですが、素直にそれを信用すれば、簡単に寄付できるようになっていることは、悪くはないとも思うのですが、私などが寄付するにしても、そんなに大金ではないとはいえ、なんとなく、このお金がどんな風にどこに行き、どのように使われるのか? これは本当にウクライナの人にちゃんと届くんだろうか?懐疑的に感じてしまう部分もあります。

 調べてみれば、ウクライナへの寄付を募っている団体や組織は山ほどありますが、気をつけないと、これに乗じた詐欺などもあり、こんな時にとても残念なことではありますが、せっかく寄付をするならば、納得いくところを選ばなければ、おかしなところにお金が行ってしまう可能性もあるし、現実にうまくお金が運用されるかどうかもわかりません。

 この戦争とは関係はありませんが、以前、私がコートジボアールに住んでいた頃に、首都アビジャンからそう遠くない所に、日本政府がお金を出して設立した病院があるというので、見に行ったことがありましたが、行ってみると、そこには、「Japon × Cote d'Ivoire(コートジボアール)CO-OPERATION」と書かれた大きな看板が立っており、(内心、これって、CO-OPERATIONなのか?とも思いましたが・・)病院の外郭はできあがっているものの、工事は途中で頓挫し、廃墟のようになっていて、びっくりしたところ、聞いてみると、実際に病院を稼働するための人材がいないとのことで、一体、日本政府は、何のために少なくないお金をこの国に投入したのか?これも日本国民の税金だ・・と、うんざりしたことがありました。

 日本の国家予算からしたら、大した金額ではないのかもしれませんが、それにしても、国民の税金が、このような中途半端な使い方で無駄にされていることを私はたまたま目にしたのであって、ほとんどの国民は知らずにいるのです。

 こんな様子を目にしたこともあって、全てを信用しないわけではありませんが、名の知れた大きな団体ならば、寄付したお金が正当に使われるだろうとは限らないと、なんとなく私は思ってしまうのです。

 例えば、人道支援NGOケア・インターナショナルは、ウクライナの住民や難民への緊急支援を行うため、オンライン緊急募金フォームを提供しています。フランスのNGO「ACTED」は、ウクライナに人道的輸送隊を組織し、難民に食糧援助や生活必需品を配布していますが、以下のような説明もしています。

 ウクライナの人たちを支援するために、物資の収集に参加したいという声が多く寄せられていますが、各協会によると、ほとんどの場合、金銭的な寄付が最も効果的であるとしています。現地の協会が必要なものをその場で購入し、支援することができ、そのお金で現地調達が可能になり、地域経済が活性化するとしています。

 そして、それは、事実でもあるとも思います。

 現物支給には、誰もがすぐに具体的な形で連帯感を表すことができるなどの利点がありますがフランスでは、例えば、赤十字の支部が毎日食料や衣類を集めていますが、赤十字の緊急・救援活動責任者は「国際的には、さまざまな理由から現物支給は行っていない」と説明しています。

 寄付にもそれを管理するための体制が必要で、今回の戦争で国連があまり機能していないように、国際的な支援団体も必ずしもうまく機能しているかどうかにも少々、疑問を抱いてしまう部分もあります。

 もちろん、多くの団体が有効に寄付を何らかの援助のために使っているものとは思いますが、団体が大きければ大きいほど、それが現地に届くのに時間がかかるかもしれません。

 そんな時、たまたま上がってきたユーチューブで日本語も堪能なウクライナ人がウクライナについて語り、彼自身が寄付を募って、直接現地の人に物資を提供しているという動画を見ました。下に貼った動画は、少し長いものですが、他に収支報告の動画なども掲載しています。

 


「キエフ在住ボグダンさんのYouTube」

 

 日本でも生活していたことがあるという彼は、現在、戦渦の中、ウクライナで生活しながら、日本から寄付を募って、現地の人々を直接、援助する活動をしながら、現地の様子を発信し続けています。

 大きな支援団体と違って、大々的な内容ではありませんが、少なくとも確実に現地の人に寄付が伝わっている様子が伝わります。

 寄付に関しては、それぞれの自由で、様々な考え方があると思いますが、現地在住の人目線で、直に寄付が反映されている様子が伝わる彼のような人に寄付を託すのも悪くないかなとも思いました。


ウクライナ寄付金


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2022年3月17日木曜日

マクロン大統領のゼレンスキールック

   


 今週の始めにマクロン大統領がSNSに、明らかに今やウクライナの英雄的存在となっているゼレンスキー大統領を意識したと思われるラフな出立ちで登場したことが話題になっています。

 目の周りの隈、髭も剃らずに乱れた髪、ジーンズと黒いパーカー姿のマクロン大統領は少なくないインパクトを国民に与えています。

 共和国大統領の公式カメラマン、ソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が自身のインスタグラムアカウントで、エマニュエル・マクロンの一連の写真を「日曜日 13/03/2022 - 夜遅く - エリゼ宮 - 国際電話中の @emmanuelmacron」というキャプションとともに公開したのです。

 マクロン大統領は、オルレアン近郊に拠点を置く空軍第10軍(CPA10)のロゴが入ったパーカーを着ています。

 パリッとしたシャツにダークスーツという、マクロン大統領に慣れ親しんでいるクラシックなスタイルとはかけ離れたカジュアルな服装には、いろいろな憶測が飛び交い、大統領選の第一ラウンドまで1カ月を切った今、選挙戦に臨むアピールとも思われ、何よりも、この彼の出立ちは、最近、SNSを巧みに利用し、世界に向けて発信を続け、英雄的な存在となっているウクライナのゼレンスキー大統領を彷彿とさせるものがあり、「ゼレンスキールック」と揶揄する人もいます。


 このSNSの投稿には、「ゼレンスキーを気取っているつもりか!」「バカバカしさの極み!」「2日前はEUのVIPたちとヴェルサイユ宮殿で宴会をしていたのに、今度は3ヶ月間雪の下で戦っていたかのように振る舞っている!」「フランスを動かしているのは、この知恵遅れでナルシスト!」などなど、厳しい非難の声も多数、上がっています。

 かねてより、コミュニケーションの達人と呼ばれ、自らツイッター、インスタグラム、TikTokのアカウントを持ち、あらゆる発信を続け、人気ユーチューバーのチャンネルに登場したりと、SNSを広範囲で利用してきたマクロン大統領ですが、戦渦で命を狙われながら鬼気迫る強力な発信を続けるゼレンスキー大統領にのっかるようなこのゼレンスキールックの発信には、反発を感じる人も少なくなかったようです。

 しかし、実際に、これは、休日であるはずの日曜日の夜のこと、戦渦を逃げ回ることはなくとも昼夜、休日問わずに働き続けているマクロン大統領の目の下の隈は、リアルなのではないか?と思います。

 いずれにせよ、これだけ話題をさらうということは、彼のアピールにはつながっているのだし、口の達者なマクロン大統領なら、「ウクライナとの連帯の気持ち」などと、容易にかわせるものであるでしょうが、彼自身は、沈黙を保っています。

 このような反応にいちいち応えているほど、彼も暇ではないでしょう。

 私は、むしろ、このような休日のラフなスタイルが逆にしっくり似合っている若くてエネルギッシュな大統領を単純に羨ましく思っています。

 以前、コロナウィルスの感染対策のためにステイホームを呼びかけるために、日本の元首相が流したSNSでの発信に比べたら、どれだけカッコいいか?と思ってしまうのです。

 しかし、休日には、ゼレンスキールックに身を包んでいるマクロン大統領のもとには、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ前大統領からキエフへの招待状が・・。

「マクロン大統領のキエフ訪問は、非常に大きな連帯の象徴となるであろう」「彼が勇者であることは知っている」と・・。

 激務に追われるマクロン大統領が危険を冒してキエフを訪問することは、あまり現実的な話ではありませんが、こんなSNSが流された直後のことで、なんだか、ちょっと皮肉な感じも受けてしまう結果となりました。


ゼレンスキールック マクロン大統領の休日



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2022年3月14日月曜日

そういえば、同窓会というものに行ったことがない私

   


 最近、学生時代の友人というものは、いいものだなぁ・・とあらためて感じています。学校を卒業してから、長い時間が経っている私ですが、その後に色々な国での生活も体験し、たくさんの人にも出会ったけれど、学生時代の友人というものは、瞬時に時間を超えて、打ち解けられる・・そんなチカラを持っているものだな・・と思います。

 昔、母が急に同窓会を始めた時期があって、何やらとても楽しそうに友人と連絡をとりながら、「じゃあ、男子には私から連絡しておくから・・」などと言っているのをそばで聞いていて、「いい年して、男子・・ってなに?」などと苦笑しながらも母が楽しそうに同窓会に行く様子に、当時の私は、「そんな子供の頃の友達に会うのって楽しいのかな???」と不思議な気持ちでした。

 日常は、子育てと家事と仕事に追われて、滅多に友人と遊びに行くということもなかった母でしたが、ある時期を境に同窓会には、そんなふうに積極的に出かけていたことを今になってわかるような気がしています。

 しかし、私は、20代に一度、留学のために日本を離れ、その後30代になってから本格的に海外での生活を始めたために、同窓会というものには一度も行ったことはなく、以前に実家の方に同窓会の連絡をいただいたりしていたこともあるのですが、それこそ、海外で子育てと仕事に追われて生活していた私には、同窓会に合わせて帰国するなどということはできるはずもなく、また、あまり興味もなかったのです。

 しかし、子育ても一応、一区切りがついて、ましてやこの数年間、パンデミック、そして戦争とまさかの異常事態が続く中、あたりまえのように、無駄なことやバカなことをたくさんしてきた学生時代がとても貴重なものであったと感じるようになったのです。

 もう3年目に入るパンデミックのために、そんなあたりまえだったはずの学生時代を過ごせずにいる子供たちも、3年間マスクで学校に通い、マスクを外した顔を知らないなどという話を聞くと本当に失われている時間の大きさを思います。

 ほんの小さな子供たちも10代の青春を謳歌するはずの年代の子供たちも、現在、通常以上に大変な思いをして子育てをしている人々にも、そしてあとどれだけ、元気に残りの人生を送れるかわからない年長の方々にとっても貴重な時間をパンデミックに引き続いて今度は戦争という事態に身動きがとれなくなっている時間が過ぎていくことに焦燥感を感じています。

 もちろん、戦禍の真っ只中にあるウクライナの人々の状況とは比較にもならないほどですが、ヨーロッパ内でのこの戦争に対する緊張感は、日々高まっています。

 スイス連邦政府は、核戦争が発生した場合に住民を保護する実際の対策となる一連のガイドラインをウェブサイトに公開し、スイス国民に向けて「十分な食糧と水を蓄えておくように」と政府が警告したり、他のヨーロッパ諸国でも食糧備蓄のための買い占め対策のために、スーパーマーケットが購入制限をかけ始めるといった事態にまで及んでいます。

 誰も望まない戦争が一体、いつまで続くのか?いつまで私たちの時間が失われ続けるのか?はたまた、核戦争にまで発展してしまうのか? 不安な生活が続く中、ふと思い出されて幸せな気持ちになる学生時代の何気なく過ごしてきた友人たちとの時間の貴重さを、最近、あらためて噛みしめているのです。

 


同窓会 学生時代

 

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2022年3月12日土曜日

フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘

 

 

 フランスのコロナウィルス感染状況は、最悪の時期を過ぎて、以来、段階的に着々と感染対策措置を緩和してきました。

 2月に入ってテレワークの義務化が撤廃され、2月16日からはディスコ・ナイトクラブの営業が再開され、2月末には、ワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所(公共交通機関や医療施設・高齢者施設は除く)でのマスク義務化が解除されました。

 それでも、しばらくの間は、感染率も減少し続け、以前の予定を前倒しにして、3月14日からは、あれだけ騒いで施行したワクチンパスポートは、一部の場所(公共交通機関や医療施設、高齢者施設など)を除いて、撤廃されることになっています。

 ところが、ここに来て、フランスの感染者数は一転して増加傾向に転じはじめ、11日には、1日の新規感染者数が72,399人を記録しています。これは、1週間前と比較すると25%増加している数字です。

 これまでの感染の推移を考えると、感染対策措置の緩和から、感染増加には、2週間程度のタイムラグがあり、この経緯を見る限り、2月半ばのディスコ・ナイトクラブの営業再開ならびに2月末のワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所でのマスク着用義務化の撤廃の影響が表れ始めていると考えることができます。

 また、ウクライナ戦争が始まり、国民の関心は一気に戦争に集中し、コロナウィルス感染についてもほとんど報道されなくなり、感染に対する注意も自ずと軽減しているのかもしれません。

 昨日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、このコロナウィルス感染のリバウンド状態に関して、病院の負担は引き続き減少しているものの、この減少のペースは鈍り始めており、非常に警戒が必要な状態であることを発表しています。

 感染者数の増加が病院の医療状態に影響してくるのは、これもまた、2週間ほどのタイムラグがあり、この感染者の増加が再び、どの程度まで医療状態を逼迫させてしまうのかは、わかりませんが、現在の段階では、すでに発表されている3月14日からのワクチンパスポートの提示義務やマスク義務化撤廃は、公共交通機関などの一部の場所を除いて、予定どおり行われるとしています。

 この感染のリバウンドという事態に直面し、警鐘をならしつつも、フランス政府が予定どおりのワクチンパスポートやマスクの撤廃に踏み切るのには、このウクライナの戦争によるヨーロッパ全体の緊張状態や現実的に燃料費、電気料金などの高騰(特にガソリンの値上げ率はコロナの感染の増加率以上)により、国民の生活が圧迫されていることも理由の一つです。

 フランスではデモが行われない土曜日はないといってもよいほどで、ウクライナ戦争反対のデモなどもかなりの人数を動員していますが、そのデモの内容がウクライナ戦争反対のデモ以上に「黄色いベスト」による呼びかけのガソリン・燃料費・電気料金値上げ反対のデモの割合が増加しはじめ、このデモが過激化することが心配され始めています。

 暴走するロシアへの経済的制裁といえば、理解できないことではありませんが、実際にその経済的制裁の結果の煽りを受け、国民の生活に跳ね返ってくることに対して政府の対策が何もとられないことに国民が怒り始めているのです。

 この国民の社会不安に対する状況をおさえるためにも、政府はできるだけ、国民を締め付けることから解き放ちたい思いと、一方では、本来ならば、今一度、感染対策をきっちりとる必要があるこのリバウンド状態への懸念が、この中途半端な警告を生んでいます。

 正直、戦争が始まって以来、戦禍の悲惨な映像とともに、原子力発電所まで占拠され、核兵器までちらつかせられている、決してウクライナからも遠くはないヨーロッパの人々は、正直、今は、コロナウィルスよりも「核兵器」を恐れる状態で、このオリヴィエ・ヴェラン保健相の警告がどの程度、国民に響いているのかといえば、ほとんど響いていないのが現状です。

 マクロン大統領が「我々は戦争状態にある」とパンデミックの始まりとロックダウンを宣言した時には、これまで経験したことのない異様な光景が広がり、「これが、戦争というものなのか・・」と思ったりもしましたが、実際に本当の戦争の映像が流されているのを見ると、それは、想像をはるかに超えた悲惨なもので、コロナウィルスへの恐怖とは桁違いのものであることを感じます。

 たしかにコロナウィルスも依然として、脅威ではありますが、ワクチン接種である程度は、病状の悪化は防げるようですし、感染対策により、ある程度は感染を回避できます。

 あまりの戦争の悲惨さを目にして、コロナウィルスへの危機感を忘れそうになっていることもこのリバウンドの一因であるかもしれません。実際に話題になっているのは、ワクチン接種以上に核兵器により被爆した場合の「ヨウ素剤」について・・コロナウィルスに対する危機感が薄れるのも致し方ないのかもしれません。


フランス コロナウィルス感染リバウンド


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2022年3月11日金曜日

美しすぎるヴェルサイユ宮殿でのEU首脳会議

  


 3月10日〜11日の2日間にわたり、ベルサイユ宮殿でEU(欧州連合)首脳会議が開かれています。

 今回のEUサミットは危機管理サミットとも呼ばれ、ロシアのウクライナ侵攻で浮き彫りとなったその弱点をより主権的なものにするための基礎作りと言われています。

 このサミット開催に先駆けて、エリゼ宮は「プーチン大統領によって開始されたウクライナ戦争とそれに関する次のステップをこのサミットの夕食会で議論することを発表。

 27カ国の首脳は、ウクライナ戦争がもたらす経済・安全保障上の課題について議論し、2月24日に始まったロシアの侵攻の衝撃に対する経済的・軍事的対応を図るために話し合いをし、欧州全体としての方針を統一し、ヨーロッパ全体の連帯を強めていくとしています。

 マクロン大統領は、「ヨーロッパはパンデミックの打撃を受けて変化したが、戦争の打撃を受けてより速く、より強く変化するだろう」と宣言しました。



 2週間にわたる紛争の後、欧州諸国の制裁はロシアに降り注いでおり、ヨーロッパ諸国では、すべてまたは一部の関係を切断する企業が増えるなど、影響が拡大しています。 しかし、ウクライナのEU加盟が加速することはなく、ウクライナのEU加盟について、オランダのマーク・ルッテ首相は「迅速な手続きはない」と述べています。

 キエフは「遅滞なく」加盟することを希望して申請していますが、欧州連盟は、「ウクライナと集中的に協力したい」ということを再確認するにとどまっています。

「戦争をしている国に、今すぐに、加盟手続きを開始することができるのか? それは現実的な話ではありませんが、この戦争によって、27カ国は「ヨーロッパの構造を完全に再定義するための「歴史的な決定」を下すことになるだろう」と、マクロン大統領は述べています。

 プーチン大統領によって解き放たれた戦争は、冷戦終結後に27の加盟国が予算を大幅に削減したことによるヨーロッパの軍事力の欠如を浮き彫りにしています。

 またロシアへのエネルギー依存についても、EUが消費の40%を占めるロシアの輸入ガスに極度に依存しており、モスクワに対して行動する能力が制限されていることも浮き彫りにしました。

 現在のヨーロッパは、経済制裁を強める一方で、エネルギー購入を通じてロシアに資金を提供し続けているのです。

 このロシアへのエネルギー依存の現状は、コロナウィルスによるパンデミックという歴史的にも強い衝撃を受けたヨーロッパが、さらに強固な経済基盤を必要としているEU加盟国にとっての脅威でもあります。

 このサミットでは、今後数ヶ月の間に実施される政策ガイドラインが示される予定になっており、NATOの重要な役割を再確認した27カ国は、「軍事力により多く、より良く」投資する意志を強調し、防衛戦略は月末までに発表される予定です。

 具体的には、今年からロシアのガスへの依存度を3分の2に減らし、供給元の多様化や再生可能エネルギー、水素などの代替エネルギーの開発により、ロシアからの石炭と石油の輸入を削減するという計画も検討されています。 

 ガス貯蔵の強化はもちろん、スペインやフランスが求める「電力市場の機能最適化」にも言及し、欧州消費者のエネルギー価格上昇の影響を緩和するための新たな緊急措置にも取り組むとしています。

 現在、フランスでは、ガソリンが1リットル2ユーロ(約260円)を超え、過去?の「黄色いベスト」運動に見られたような社会不安が懸念されています。

 しかし、このサミットの内容はもちろんのこと、このサミットが行われた場所がベルサイユ宮殿で、ちょっとこれは、反則・・と思われるほどの美しさ。このサミットに参加した欧州各国の首脳も圧倒されたであろうし、この映像が全世界に流れることを十分に意識した会場のセッティング。

 フランスは、自国を美しく見せることにかけては天才的、パリ祭のパレードなどは、圧巻の美しさですが、このような全世界に発信されるイベント?の一つ一つにもその演出、ステージ作りはちょっとずるいくらい美しいのです。

 そもそも、ベルサイユ宮殿という、存在そのものがすでに圧倒的に美しい場所を使用し、最高の美しさを演出することを怠らないのです。

 おフランスのイメージは、こんな場面を見せつけられることの積み重ねで築かれ、保ち続けられているのだろうな・・とそんな下世話な感想も持ったのでした。

 この報道とともに流されていたのは、2017年にベルサイユ宮殿を訪れた時の映像で、マクロン大統領とプーチン大統領がナポレオンが侵攻していた頃の大きな何枚もの絵画が壁面に飾られたベルサイユ宮殿の中を歩いている様子。

 



 今回の侵攻にあたって、プーチン大統領の思考回路には、過去の歴史が根付いていることが語られている今、この空間を当時のプーチン大統領は、どんな気持ちで歩いていたのだろうか? などということまで考えてしまいます。


ベルサイユ宮殿EU首脳会談 EUサミット


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2022年3月10日木曜日

パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない

  


 

 私が最後に日本に行ったのは、パンデミックが始まりかけた2020年の2月のことでした。2月末にフランスに戻る際は、日本でのダイヤモンドプリンセス号でのコロナ感染拡大が騒ぎになっていた頃で、むしろ、日本からの入国を断られるかと心配だったくらいでした。

 その際に私が日本に帰国したのは、色々な用事があったのですが、特には、その後に日本に留学する予定になっていた娘が日本滞在時に使用できるカードを作りに行くのが目的でした。

 その後、すぐにコロナウィルスは、あっという間に広がり、特にヨーロッパの被害は甚大で、娘の留学のチャンスも2度キャンセルになった挙句に結局、実現せず、せっかく作ったカードも使われることもなく終わり、当然、私もこの間、日本に行くことはできませんでした。

 この間、親が危篤になっても、亡くなっても日本へ行けなかった在外邦人はたくさんいたはずです。

 そして、今年に入ってしばらくして、コロナウィルスもようやくおさまり始め(とはいっても、全く感染の心配がないわけではありませんが)、2月に入って、日本の入国規制が緩和され始めた時に、たまたま日本での用事ができて、フランスから日本への入国のための強制隔離施設での隔離が撤廃された段階で、日本行きのチケットを予約していました。

 先方から、「感染対策を含めて、日本へは直行便でお願いします」という縛りもあり、JALのパリ⇄羽田便を予約していました。(この時点で、すでにエールフランスの便は欠航を決定済み)

 予約した際には、ウクライナ問題は不穏な空気ではありましたが、まさか、これほどの状況にはなるまいとたかを括っていたのです。

 その間に、フランスから日本への入国はワクチン3回接種済みの人に関しては、隔離も撤廃され、これ幸いと思っていたのですが、ロシアのウクライナへの侵攻が日に日に悲惨になり、ヨーロッパ⇄日本便もロシア上空を飛べなくなりました。

 しかし、ロンドンからの便は、迂回経路を使って、直行便が飛んでいるにもかかわらず、パリ(欧州)からの便はキャンセル・・そのうち、パリからの便も迂回経路を飛んでくれるようになるだろうと思っていたのに、私の予約した便は、1週間前になって、まさかのキャンセルになり、呆然。

 予約を変更しようにも、一体、いつになったら、この戦争がおさまるかもわからずに一体、いつに変更すれば良いのかもわからないので、とりあえずキャンセルする羽目になりました。

 今の戦況を見ていると、しばらくは悪化することはあっても、改善される希望は少ないです。

 ようやく日本への入国制限が緩和されて間もないというのに、今度はまさかの戦争のために日本への帰国は、また一層、難しくなってしまいました。しかも、イギリス、ベルギー、ドイツ、フィンランド、フランスなど18カ国への国際郵便でさえもストップしてしまいました。

 経由便でさえも、戦況の変化によっては、いつ欠航になるかもわからない、また、なんとか帰国できても、今度は、帰る頃に、無事にフランスに戻る便が飛んでいるかどうかもわからないのです。

 こんなことなら、隔離期間があっても、もう少し前に行っておくべきだったと思わないでもありませんが、一難去って、また一難、娘の留学の際にも受け入れ先の大学のドタキャン(コロナ対策のために留学生は受け付けないとのことでした)のために、チケットを紙屑にしています。

 一体、日本行きへの障害はいつまで続くのか?と、もう本当にうんざりしています。


JALパリ・羽田直行便キャンセル



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2022年3月9日水曜日

ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中

  


 在ウクライナフランス大使館が250万人分のヨウ素剤を用意したと発表されて以来、俄かに「ヨウ素剤」についての報道をちらほら見かけるようになってきました。

「原子力災害時のヨウ素剤の用途は?」、「ヨウ素剤服用の効用」、「ヨウ素剤服用の注意点」などなど・・。

 そもそも話題に「ヨウ素剤」が取り上げられる時点で、なかなかな物騒な状況です。

 「ヨウ素剤」など、日頃、話題にあがらない単語でもあり、そのような単語が話題に持ち上がること自体が受け入れ難い気がしていますが、同時に無視しきれない現実でもあります。

 「ロシアは最も強力な核保有国」と威圧し、実際にウクライナの原子力発電所の一部を占拠しているプーチン大統領の発言と攻撃は、これまでの各国首脳との話し合いがことごとく無視されている経過からも、「核を本気で使いかねない」というムードがフランスでも高まっているのです。

 そのムードがフランス国内でも「ヨウ素剤」が話題に上がり始める異様な状況を生み出しており、実際に、薬局にヨウ素剤を買い求めに行こうとする人まで登場しています。

 ヨウ素とは、そもそも健康に絶対必要な天然微量元素。甲状腺で作られるホルモンの成分で、吸い込んだり摂取したヨウ素と結合します。放射性物質を含まない安定ヨウ素剤は、放射能汚染から甲状腺を守る役割を果たします。

 原子力施設で重大事故が発生した場合、放射性ヨウ素が大気中に放出される可能性があり、この放射性元素を吸引したり、汚染された食品を摂取することで、甲状腺がんのリスクを高める放射線照射の一因となると言われています。 

 1986年のチェルノブイリ原発事故では、放射性ヨウ素が大量に放出され、ベラルーシ、ウクライナ、ロシア連邦西部の汚染地域に住む人々には、甲状腺がんの発生率が高いことが確認されています。

  甲状腺が放射性ヨウ素と結合するのを防ぐため、安定ヨウ素剤摂取が被ばく者の健康を守る一つの方法です。 スポンジのように安定ヨウ素で飽和した甲状腺は、放射性ヨウ素を固定することができなくなるのです。そのため、尿から速やかに自然に排出することができます。

 しかし、安定ヨウ素剤は、すべての危険を防いでくれるわけではなく、 原子力安全局(ASN)は、「安定ヨウ素剤が守るのは甲状腺という一つの臓器だけであり、原発事故が起きた場合、まず固い建物に避難することが第一の防御策である」との見解を示しています。

 また、この薬は、放射線防護ワクチンでも永久治療薬でもなく、放射能にさらされる1時間前、遅くともその後6~12時間以内に服用するのが理想的とされています。

 しかも、予防のために安定ヨウ素剤を服用しても意味がなく、役に立たないばかりか、アレルギーなどの副作用を引き起こす可能性があるとも伝えられています。また、過剰摂取は、甲状腺機能障害やある種の心臓や腎臓の副作用を引き起こす可能性もあり、これを無秩序に服用する危険性も説明しています。

 フランスでは、この放射能対応のヨウ素剤は、1997年以来、公的機関によって、原子力発電所周辺、半径20キロメートル以内の地域においては、配備されているようです。

 一般的に薬局で市販されているヨウ素剤(サプリのようなもの)は、放射能対策として使用される錠剤(130mg)に対して、150マイクログラムのみで、放射能汚染に有効なものではありません。

 昨日、たまたまかかりつけのお医者さんにいつも飲んでいる薬の処方箋をもらいに行った時、「この安定ヨウ素剤というものは、買うことができるの?」と聞いてみたところ、「パリでは、APHP(パリ公立病院連合)がまとめて管理していて、必要な事態になったら、配布される準備がなされているとのこと。

 しかし、彼女は、「でも、もしパリでそんな薬が配布される事態になったら、薬を飲む間もなく、私たちはもう生きていない・・」と絶望的なひとこと。

 コロナウィルス対応のワクチン接種が始まった当時は、副作用などを恐れてワクチン接種を躊躇していましたが、今回のヨウ素剤に関しては、どうやら12時間以内という待ったなしです。

 この狂気の戦争がこれ以上の悲劇を生まないうちに終結してくれますように・・。


ヨウ素剤 安定ヨウ素剤


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