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2022年5月23日月曜日

全仏オープンテニス ローランギャロス平常モードで開幕 ロシア選手は出場するか?

   



 フランスで毎年、行われる国際的なイベントの一つとして、毎年5月に開催される全仏オープンテニス・ローランギャロスがあります。

 パンデミックのために2020年には、5月開催を延期し、さらに感染状況が悪化した9月に開催したり、昨年は、感染対策が厳しくとられる中、例年どおりの5月に開催されました。

 今年の全仏オープンは、マスクの義務化もワクチンパスも撤廃された例年どおりの大会を取り戻しています。観客も100%入ります。2年間のパンデミックの規制がこの大会では全て、取り払われ、まだ、始まったばかりというのに行列ができています。

 ローランギャロス観戦は、もともと感染対策以外の警備も厳しいことで知られており、荷物のチェックもうるさく、持ち込めるバッグの大きさ(15ℓ以下)から、禁止項目は、アルコール飲料やヘルメット、応援用の旗のサイズや楽器類から、セルフィースティックまで詳細にわたっています。

 さんざん、感染対策用の規制ばかりを見慣れてきた身としては、逆にこのようなセキュリティーのための規制が新鮮に感じてしまうのは不思議です。




 感染対策への規制が撤廃され、ほぼほぼ平常が戻ってきている雰囲気の中、今年は、新たな問題が登場しています。それは、ロシア、ベラルーシからの選手の出場可否についての問題です。

 これについては、世界中でロシアに対する様々な経済措置がとられる中、大会開催前から、物議を醸してきましたが、今回の2022年の全仏オープンテニス大会では、今年3月9日の時点で欧州連合をはじめとする36カ国のスポーツ大臣の共同宣言の署名文書に沿ったものとして、ロシア・ベラルーシの選手が中立的な旗の下で競技に参加することを認めています。

 この共同声明によると、ロシア・ベラルーシの選手に関しては、出身国に関するいかなる表示もしないという厳しい中立性制度を尊重しなければならないとされています。このため、ロシア・ベラルーシの選手は出場は許可されているものの、国旗、国歌の掲揚は禁止されています。

 実際にローランギャロスの出場選手のリストを見ると、世界ランキング2位のダニール・メドベージェフ選手や、世界ランキング7位のアンドレイ・ルブレフ、同8位のアリナ・サバレンカはロシアの国旗を掲げることが許されず、各選手の国旗が記されているスペースはブランクになっています。

  



 出身国に関するいかなる表示もしないという厳しい中立性制度を尊重しなければならないというのは、こういうことなのか・・と思わせられます。

 この大会ディレクターのアメリー・モーレスモは、「これは非常にデリケートな問題で、正しい判断が何かはわからない。しかし、国としての代表選手の場合は出場できないが、個人として中立な立場をとる者の出場は制限しない。しかし、これらの選手がメディアを通して、プーチン寄りの発言をした場合には、必ず制裁をとる」としています。

 また、FFT(フランステニス連盟)会長のジル・モレトン氏も「すべては進化している」とし、ロシア人選手のプーチンに対する立場について、「我々は、一人ひとりの家庭の事情に余計に左右されることを知っているので、個々の個人的な状況の詳細に踏み込むつもりはない」と語っています。

 これに対して、6月に開催が予定されているイギリスのウィンブルドン大会では、すでに「ロシアが自らの利益のためにイベントの成功を利用しないように、また選手や家族の安全のためにロシア・ベラルーシからの選手を排除する」決定をしているようです。

 全仏オープンとウィンブルドン、2つの大きなテニスの国際大会で、異なる選択をしたフランスとイギリス。

 本当にこの状況で何が正解なのかは、わかりませんが、とりあえず、私は、全仏オープンに関しては、フランスらしい選択をしたような気がしています。


全仏オープンテニス2022  ローランギャロス2022


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2022年5月21日土曜日

ヨーロッパで相次いで症例が報告されているサル痘がフランスにも上陸した

   


 これまで聞いたことがなかった「サル痘」(Monkeypox)という病気が、ここ数日でヨーロッパで広まっているというニュースを聞いて、ギョッとしています。

 正直、また、ヨーロッパを中心に感染拡大・・と思ったら、カナダやアメリカ、オーストラリアでも、症例が報告され始めて、これは、欧州だけではないらしいことがわかりました。

 もともと、西アフリカの風土病であったサル痘がアフリカ大陸の外で拡大するケースは稀なことで、WHO(世界保健機構)は、このサル痘に関する緊急会議を召集しています。

 しかし、私が以前、西アフリカにいた時、サル痘なんて、聞いたことありませんでした。あの時は、とにかくマラリアが怖くて・・夫は数回、マラリアにかかって苦しんでいました。

 この病気(サル痘)は、最初の段階で、発熱、頭痛、関節や筋肉の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、第2段階では、水疱を伴う発疹ができ、多くの場合、顔から始まり、手のひら、足の裏、性器など体の他の部分に広がるとのこと。特定の治療法はないようですが、天然痘のワクチンが有効であるとも言われ、大多数の患者は隔離され、自然に回復するとされています。しかし、一方で、一部の疫学者の間では、「サル痘の死亡率はコロナウィルスよりもはるかに高い」と警告しています。

 今回のサル痘の蔓延は、5月6日にイギリスで確認されたのを皮切りに、5月14日以降、ヨーロッパでは、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イタリア、ベルギーでの症例が報告されており、とうとうフランスでも、5月20日に、イル・ド・フランス地方で初めてサル痘の患者が確認されたと、保健当局とSanté publique France(SPF)が発表しました。



 このフランスでの患者は29歳の男性で、過去にウイルスが流行している国への渡航歴はないと、保健当局が発表しています。患者は、感染症が疑われた時点ですぐに保護され、現在のところ、自宅で隔離されています。

 ウイルスは、病人の皮膚病変部や粘膜に直接触れたり、飛沫を介したりして感染し、また、病人の生活環境(寝具、衣類、食器、バスタオルなど)との接触でも感染するとされています。

 また、現段階での感染経路の追跡によると、感染者やその体液(唾液など)との接触による感染が目立ち、「感染が疑われる症例は、性交渉の際に粘膜を介して感染が起こった例が多い」ことが指摘されていますが、現段階では「感染のダイナミクスをより理解するために適切に調査する必要がある」とされています。

 潜伏期間は5日から21日。発熱期は1〜3日程度続きます。通常は軽症で、2~3週間後に自然に治癒することが多いということです。

 しかし、総じて、この病気は人間同士の感染力はそれほど強くないことから、コロナウィルスのようなパンデミックには陥りにくいだろうと予測されていますが、一方では、にもかかわらず、明らかなアウトブレイクが多発していることに、WHOや欧米各国の保健当局は警戒を強めています。

 マスク、手洗いなどの最低限の感染対策の日々はまだまだ続けなければならないようです。

 まったく、次から次へと未知の病気が出てきて・・という風にも思いますが、逆にコロナウィルスによるパンデミックを経験して、これまでよりも感染症に対する警戒が強まったために、このような報告が浮上してきているのかもしれないとも思うのです。


サル痘 Monkeypox 


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2022年5月12日木曜日

公共交通機関でのマスク義務化も解除へ フランスのコロナウィルスに対する規制撤廃

  


 すでに、公共交通機関利用の際以外は、屋内、屋外もマスク着用義務は撤廃になっていましたが、来週から、フランスはその公共交通機関でのマスク着用義務も撤廃になることになりました。

 メトロ、バス、電車、飛行機、タクシーなど全ての公共交通機関がこれに該当します。

 パリの街の中の様子などを見ていると、もうほぼほぼコロナ前の日常とほとんど変わりないくらい、日常生活に戻っており、それでも、これまでは、よくもこの人々がルールを守ってるな・・と逆に感心するほどに、メトロやバスの中では、ほぼほぼ全ての人がマスクを着用していました。

 やはり罰金135ユーロの威力は恐るべしです。

 ここのところ、フランスの感染状況は、かなり減少してきており、ここ一週間の1日の感染者数の平均は3万7千人程度にまで下がってきており、それにつれて、集中治療室の患者数も確実に減少してきています。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「パンデミックは終わっていないが、流行状況は改善しており、日々の新規患者数は減少しており、マスク着用義務を維持することはもはや適切ではないと考える」「しかし、ウィルスの感染は無くなったわけではないため、高齢者や持病のある人に対しては引き続きマスク着用を推奨する」と発表しました。

 また、公共交通機関でのマスク着用義務解除後も、高齢者施設や医療施設へのアクセスにはマスク着用が義務付けられたままで、一部の制限は維持されます。また感染者(陽性だった場合)には少なくとも1週間の隔離が課されます。

 医療施設では、現在、ワクチン未接種の医療従事者は働くことはできませんが、これらの人々に対しても、すぐには復職できないが、政府は彼らの状況を考慮するとして、近々、保健衛生局の意見を求める意向を明らかにしました。

 保健相は重ねて、秋に新しいワクチン接種キャンペーンを行う可能性についても言及しましたが、詳細は明らかにせず、すべては新種の出現と、その危険性や既存ワクチンに対する耐性プロファイルの多寡に依存すると説明しています。

 実は私のところにも「2回目のブースター接種(4回目のワクチン接種)のお知らせ」という通知が届いています。私には、心臓疾患があるために届いていると思われますが、強制ではないけど、2回目のブースター接種をしませんか? 希望すればできますよ・・くらいの緩い感じのものなので、「そんなに何回もしても大丈夫なのだろうか?」という不安も少々あり、現在の感染状況を見る限り、自分で感染対策をきっちりしていれば、今のところはいいかな・・と保留しています。

 折りしも、今週、来週とパリはもう夏のような暑さで、マスクがなかなか苦しくなっている気候。この公共交通機関でのマスク義務化解除のニュースを受けてのインタビューを見ていると、「いやいや、まだまだ、マスクは外さない・・」などと答えている人もいるにはいるのですが、フランス人の気質から考えるとこれで、マスクは一気に消えていくことは明白です。

 先日も買い物に行ったら、マスクをしている人に、「おまえ、いつまでマスクしてるんだ!」と、いちゃもんをつけている人を見かけたばかり・・私自身は、まだまだ怖くて、当分、マスクはし続けるつもりですが、たとえ、気をつけたいと思っても、マスクなんかやめろ!と言われかねないのも少々心配です。

 この公共交通機関には、飛行機も含まれており、先日、日本に一時帰国した際に、長距離フライトでマスクをし続けているのが、けっこう苦しかったことを思い出します。

 この飛行機内でのマスク着用義務撤廃も、国際便となると、また物議を醸しそうで、例えば、フランスから日本に行く場合、相変わらず、迂回便とはいえ、やっと直行便も少しずつ復活し始めたものの、エアフランスで行けば、マスク着用義務はなく、JALかANAだとマスク着用は義務のままであると思われます。

 日本人なら、おとなしくマスクをしていそうな気もしますが、6月には入国制限を緩和すると言っている日本が、外国人観光客も受け入れ始めるとなると、結構、あがらう人もいそうです。

 しかし、フランス側は、国際便については、「最終的には航空会社の判断」としています。

 日本側にとっては、やれやれ、ようやく鎖国が緩和・・と思ったら、また新たに出現しそうな機内でのマスク着用問題・・日本は日本で毅然とするところは、毅然と日本のやり方を通しつつも、こんなことで怯まずに、日本の鎖国は一刻も早く解除してほしいと願っています。


公共交通機関マスク着用義務解除


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2022年4月17日日曜日

コロナウィルス感染対策 フランス(ヨーロッパ)と日本の違いは大きくなった

  



 日本に一時帰国していて、しばらくフランスのニュースはほとんど見ていなかったので、フランスでのコロナウィルス感染の様子は、なんとなく感染者数がまた、少し増加しているな・・くらいには、見ていたのですが、詳しいニュースを見ることはありませんでした。

 しかし、新型コロナウィルスに対する感染対策のフランス(ヨーロッパ)と日本の感染対策の違いについては、身を持って感じてきました。

 まず、日本入国の厳しい入国の際の何重にもわたる書類チェックと空港での検査、その後の隔離措置などには、それにかけられている人員の多さや手続きの煩雑さに少々辟易していました。

 いざ、日本の街中に出ても、屋外でさえもマスク率はほぼ100%で、2週間強の滞在期間中、マスクをしていない人を見たのは、片手で足りるほどで、パリでも「日本人だからマスクは苦にはならないだろうけど・・」などと言われてしまうだけのことはあり、本当にみんながマスクをしていることに正直、あらためて感心してしまったほどでした。

 日本を出国する際、飛行機に搭乗する際には、PCR検査が求められるのかと思いきや、出ていく人には、関係ないとばかりに、あれほど厳しかった入国のためのチェックをよそに、ワクチン接種証明書が求められただけでした。

 しかし、羽田空港のガランとした様子は、少なからずショッキングでもあり、渡航する人が格段に少ないのだということを思い知らされた気がしました。渡航したとしても、日本に帰国する際に、これだけ面倒な手続きがあったら、そりゃ、渡航は思い留まるよな・・とも思うのです。

 今回は、ロンドン経由のフライトで、経由のために到着したヒースロー空港は、早朝というのに羽田とは別世界のなかなかな人出で、もう別世界、ロンドンに至っては、空港内でさえもマスクをしていない人もけっこう見られました。

 そして、さらに驚いたのは、パリ・シャルル・ド・ゴール空港でフランスに入国した際には、さすがにマスク着用が義務付けられてはいましたが、入国手続きは通常と同様のもののみで、検査どころか、ワクチン接種証明書のチェックさえありませんでした。

 日本からフランスへの入国はたしか、3回のワクチン接種証明書があれば、その後、検査も隔離もなし・・という話は聞いていましたが、まさかのワクチン接種証明書のチェックもなし・・アトランダムにはチェックはしているようではありますが、現実はほぼスルー。

 まあ、飛行機に搭乗する際にワクチン接種証明書のチェックはされているので、その時点でチェックは済んでいるものとみなしているのか?だとすれば、合理的といえば、合理的ではあります。

 感染対策規制は、その国の感染状況に準ずるものであることはわかりますが、パンデミック開始以来、2年以上が経過して、日本とフランス(ヨーロッパ)は、感染対策について、全く違う道を歩み始めていることを感じました。

 現在のフランスの1日の新規感染者数は、13万5千人前後(ここ1週間の平均値)、日本は5万5千人程度で、相変わらずフランスでの感染状況は決して安心できるものではないのですが、コロナウィルスに対する危機感は、格段に薄らいでいます。

 ウクライナ戦争が勃発して以来、すでにコロナウィルスのニュースはすっ飛んでいましたが、現在は、それに大統領選挙のニュースが加わり、とてもコロナウィルス感染に関するニュースが入り込む隙はありません。

 あえて、コロナウィルスに関するニュースを探せば、ある程度は出てきますし、それなりにフランス公衆衛生局(SPF)の科学局長が、「我々は、長い流行を経て、SARS-CoV-2ウイルスの循環が非常に激しい、特別な時期にある」などと、依然として感染に関する警鐘を鳴らしているという報道も見つかるのですが、テレビのニュースなどの一般的なニュースでは報道されていません。

 街中は、私が日本へ発った3月と比べると、気温も上がったこともあり、街中のマスク率も一段と低くなったようです。

 しかし、コロナウィルスが絶滅したわけではないので、現時点では、どちらが正しい対応なのかは、わかりませんが、この感染対策に対する姿勢が全く異なる姿勢で動いていることだけは明白です。

 ただ、全てのフランス人が緩んでいるのかといえば、そういうわけでもなく、先日、帰仏後に会ったフランス人は、自分も当初、感染して苦しい思いをしたこともあるせいか、「まだ、コロナは無くなったわけではない・・」などと言いながら、新しく改良されたマスクを自慢しながら、「4回目のワクチン接種をする機会があれば、自分はやるつもりだ・・」と言っていましたし、それなりに警戒している人もいるようです。

 しかし、一般的には、気候が良くなっていることも手伝って、コロナウィルスに対する警戒は激減していると言わざるを得ない感じで、今後、再び壊滅的な被害が拡大しない限り、フランスでは、この緩んだ空気を引き締めることは難しそうです。

 もっとも、フランスは12月末から1月にかけて、驚異的な感染者数を記録したために、これにより、かなり多くの人が免疫を持ったと考えることもできます。

 それにしても、同じウィルスに対して、これだけ違う対応を取っていると言うこと自体が驚きで、この対応の違いにより、再びフランス(ヨーロッパ)が壊滅的な感染状況に陥ってしまうのか? はたまた、日本での経済停滞が進むばかりになるのか・・いずれにしても、コロナウィルスが消滅する兆しはまだまだ見えない中、どちらの心配も解消することはできません。


コロナウィルス感染対策


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2022年4月6日水曜日

2年ぶりの日本 街を歩いていて気付くフランスとの違い

  

もう散り始めてしまった・・けれど、都内の桜並木は美しい



 一時帰国中の日本滞在もカウントダウンに入った感じで、もうこの期に及んで、到底、やりきれないことは諦めて、久しぶりに友人と食事をしに、都内の中心地にでかけてきました。

 話には聞いていたし、当然そうだと思っていましたが、日本のマスク率はものすごく高くて、たとえ、屋外で誰も人がいないところでも、飲食店内でさえも、食事をする時以外は、マスクをしている人がいるのに、あらためてびっくりしています。

 また、駅構内とビルとが繋がる地下道が知らないうちにたくさん増えていて(私が知らなかっただけで、もうとっくの昔からあるのかもしれない・・)、その地下通路などが、きれい、美しいというよりもまず、どこもがとても清潔で、おかしな言い方ではありますが、どこも臭くない・・。

  

これがパリだったら、すんごい臭いことになっている・・


 逆に言えば、もし、これがパリの地下通路だったら、どんだけ臭いことになっているかどうか?と、ちょっと想像してしまったくらいでした。

 久しぶりの東京の地下鉄内に流されているオンタイムのニュースや位置情報や天気予報にどうしても視線が上の方に偏ります。また、車内のアナウンスなども、駅で停車する度に乗り換えの情報などがあり、黙って止まって、黙って発車するパリのメトロに最初は驚いたことを思い出しました。

 また、駅で停車するにあたっても、この駅では「1分停車します」などと、断わりを入れるあたりも「日本だ!東京だ!」とびっくりさせられるのでした。 

 そして、2年前に比べて、日本人って小さくなった?なんだか私が巨人になった気がするのも妙な感じでした。もともと日本人は小柄で華奢(特に若い女性)なのは、わかってはいましたが、なんだかみんなとても小さくなった・・まさか、本当に小さくなったのだろうか?などと考えてみたのですが、2年で小さくなるはずもなく、よくよく観察してみると、その秘密は足元にありました。

 ほぼ、大多数の人がヒールのある靴ではなく、スニーカーを履いているために、ひとまわり小さく感じられるのです。逆にパリではスニーカーを履いている人も多いには、多いのですが、ブーツなどヒールのある靴を履いている人も少なくないのです。

 このスニーカー履きが今の日本の流行なのかな?と思ったりもしました。

 そして、何よりこの季節の中で、あらためて驚かされるのは、洗練された都会の高層ビルの間に上手く調和している桜の木が、都内には、こんなにもあったのか?と驚かされるのでした。

 この近代都市に桜の花が見事に開いている様子は、世界には大都市がたくさんあるとはいえ、日本ならではの風景で、これが、まるでビルだけが聳え立つ景色だったらば、ずいぶんと違ったものに映るのだろうと、あらためて、日本の美しさを感じるのでした。

 桜の花が咲く時期は、本当に短いですが、都内どこの桜もほぼ一斉に咲き乱れ、ほぼ一瞬にして散ってしまうのに、この桜を育て続ける、またこれを楽しむ日本の文化をあらためて、「いいなぁ・・」と思うのです。

 日本には、桜前線とか、桜予報とか、そんなものがありますが、一時帰国した際にこの時期にあたるのは、なかなかないことで、今回、コロナや戦争で色々なトラブルが重なりましたが、ラッキーな面もあったのです。

 今は、フランスから日本への観光客はパンデミックを皮切りに激減していますが、一時は、フランスから日本への直行便などは、ほぼフランス人で埋まっていた時期もあり、フランス人が日本を「一度は行ってみたい国」と思う人が増えたのも、この近代化された空間に歴史と日本の文化を感じられる点でもあったことを、この都会の中に、ところどころに神社仏閣などがあり、どこに行っても桜の花が見事に調和して見られる風景を見て、「なるほど、なかなか美しい」と感じたのでした。

 パリの街並みは、その建物や街並みなどは、おしゃれで美しいのですが、どちらかというと公園は公園、東京のように近代的な空間の中に調和した桜・・という景色とも違います。

 どちらもそれぞれに美しいのですが、その双方を気軽に行き来できる時が早く戻って、フランス人にも再び、こんなに美しい日本を訪れてほしいな・・と思うのです。


日本の桜


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2022年4月5日火曜日

ちょっとひと段落と思ったら、もう帰国の心配 帰国便欠航

 


 

 トラブル続きの今回の一時帰国も、あっという間に半分以上が過ぎてしまいました。今回は、往復チケットを予約した時に、往きは、直行便がなかったので、他に選択の余地はなく、ロンドン経由ロシア上空回避迂回便を取りました。

 もうすでに、一度、キャンセルをしているので、キャンセルする可能性のあることを念頭において、JALの予約サイトで直接、往復便を予約していました。

 そもそも私は、フランスに居を移してから、これまで数十回、フランスと日本を往復してきましたが、一度、エアフランスのストライキのために、勝手に予約していたフライトを変更されて、慌てたことがありましたが、それ以外はただの一度も予約したフライトを変更したり、されたりすることはなく、一度予約すれば、予定の日が来れば、行って帰ってくるのが普通で、フライトのことで、こんなに一喜一憂することはありませんでした。

 エアフランスのストライキは、ストライキ大国のフランスの航空会社ということで、コロナ、戦争がなくとも、欠航や予約した便の変更は、いつでもあり得ないことではないため、直行便とはいえ、避けていたくらいだったのです。

 それが今回、まさかのウクライナ戦争のためにJALやANAでさえもパリ直行便は欠航。往復のチケットを予約する際には、往きはもう選択肢がなかったにせよ、帰りの便は、直行便という選択をすることもできたので(しかも、直行便も経由便も同額だった)、戦争の状況が改善される見込みは薄かったにもかかわらず、「それなら、普通、直行便でしょ!」と、一縷の望みを託して、直行便を予約してしまっていたのです。

 しかし、案の定、パリ行きの直行便は欠航のままで、昨日、JALから「ご予約内容変更のお知らせ」というメールが届き、やはりロンドン経由の便に変更に・・。しかも、予定より1日前に帰仏することになりました。

 今回の誤算は、返す返すも超長時間フライトが今ひとつピンときておらず、日本滞在期間が想像以上に短くなって(まぁ、今から考えてみれば当然なのですが・・)、結局、帰りの便も前倒しになってしまったことで、ますます最後の予定をギチギチに入れざるを得ない結果となりました。

 その中でも幸いだったことは、日本からフランス、イギリスに帰る便に関しては、入国先でのワクチンパス(ワクチン3回接種済み)(ワクチン証明書)を持っていれば、日本でPCR検査がいらないということで、日本でのPCR検査は高額だと聞いていたし、当然、必要だと思い込んでいたPCR検査を受けにいく必要がなくなったので、日程的には、その分が少しだけ楽になったことです。

 ただ、JALのサイトでは、羽田→パリ便のフライトの変更にもかかわらず、羽田→ロンドン区間の予約しか、表示されていなかったので、まさか・・とは思いましたが、やはり、あまりに直前になる前に確認したくて、結局、繋がりにくい予約確認の電話を延々と繋がるまでトライすることになり、電話で予約を入れ直してもらうという気が揉めることになりました。

 結果的には、延々、電話が繋がるのを待って、やっとどうにか電話がつながり、予約をとることができましたが、もう、今回の帰国に関しては、最初の最初から二転三転と状況が変わり、もういいかげん、振り回されるのも疲れて、逆に少々早くなってしまったとはいえ、これではっきり決まっただけでも、少し気楽になった感じもするくらいです。

 正直、もういいから、無事に帰ってこのドタバタから解放されたいという気もしているのです。

 考えてみれば、一時帰国の際には、いつも、帰仏が差し迫れば日程がギチギチになって、あっぷあっぷになるのは、いつものこと。これに加えて、コロナや戦争のためのフライト変更。

 このところ、帰国の度に年齢を実感していますが、今回は色々なハプニングも重なって、一段とそれを深く思い知らされることになりました。多少、最後の数日を無理して乗り切ればなんとかなると思ってはいたものの、今年に関しては、無理は無理なんだということを実感しています。

 フランスに戻るまで、あと1週間を切りましたが、どうか無事に過ごせて、パリの家にたどり着きますように・・と願っています。

 しかし、一先ず、一番大切な用事の何件かは済み、念願だった日本の美容院にも行けて、美味しいものも食べられて、何人かの大切な家族や友人とも会うことができ、パリに持って帰る日本食材の買い物もできて、このコロナ・戦争のさなかにしては、上出来であったのかもしれません。

 とりあえず、パリからの直行便が回復するまでは、日本への一時帰国はもうしないと思っています。


航空券予約変更 直行便欠航


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2022年4月2日土曜日

コロナ禍の一時帰国のストレス再び トラブルはまだまだ続く・・

   


 今回の日本への帰国は一難去って、また一難、もともと、新型コロナウィルス感染の水際対策の厳しさから、見合わせていた日本への帰国。日本側の対策が少し緩んだところで、チケットをとったものの、今度はウクライナ戦争のためにパリー羽田便の直行便のフライトがキャンセル。

 2度変更して、今度は、ロンドン経由便を予約し、実際に出発するまで、いつキャンセルになるとも限らないと心配しつつ、ようやくパリを出発。20時間近いフライトは想像以上にキツく、この長時間の間にも感染しないでもないので、ヒヤヒヤ・・。

 羽田到着後の検査も結果が出るまで、もしかしたら・・と、どうにもホッとすることはできませんでした。

 羽田到着後の検査もどうにか、クリアし、ようやく入国できて帰宅。想像以上に辛かった長距離フライトの疲れがあるものの、そんなにゆっくり休んでいるわけにも行かずに翌日から始動。

 ところが、移動先で突然、娘の携帯に機内で陽性になった人との濃厚接触者の通知が来て、なんと行動制限をされる状況に・・。

 しかし、3月末から規則がかわったとかで、数日後には行動制限が解除になり、日本での活動?は再始動し、一体、これに振り回された時間は何だったんだろうと思いながら、外食なども帰国後、数日経ってから、ようやく開始。

 だいたい、食べることが何より大事な私たち、日本に来ているのに、外食ができないなんて、日本での楽しみが半減したといっても決して過言ではありません。

 そして、週の前半を行動制限で過ごし、後半から食事に出かけたりし始めました。

 週末には、ウィークデイは仕事で忙しくしている親友と食事をして、2年ぶりのおしゃべりの時間を楽しむつもりでいました。

 ところが、今度は、彼女の方が、職場で長時間一緒に引き継ぎをしていた同僚がまさかの発熱、コロナ陽性となり、濃厚接触者に・・。海外からの入国者ではないので、濃厚接触者という括りはなく、特別な行動制限等はないようですが、(これもまた不思議な話・・)たとえ、制限されていないとはいえ、かなりリスクは高い状態に・・。

 彼女からは、「大丈夫だとは思いますが、気になるようだったら、お約束を延期しますか?」というお知らせ。私も考えた末に、現在、日本にいる私の周囲は、伯父・叔母などを含めて高齢者が多く、やはり彼女と約束しているのも食事の場ということもあって、今回は約束を延期、というか、今回、会うのは諦めることにしました。

 さまざまなハードルを乗り越えてやってきたのに、これでもか・・というくらい、まだまだある落とし穴。今回の帰国は、他に大切な用事もあって来ているので、仕方ないといえば、仕方ないのですが、やはり、「え〜〜??まだ、こんなことが起こるんだ!」と思う事件が勃発。

 普通にチケットをすんなりとって、直行便にのって、パスポートのチェックだけで入国し、時差ボケはあるものの、どこにでも自由にでかけられ、会いたい時に、会いたい人に会える、そんな一時帰国がどんなに気楽だったかと思い知らされています。

 海外からの入国、水際対策、機内感染などなどに直面して来ましたが、今度は、まさかの日本国内での感染からの余波を喰らうとは・・、まだまだ油断ができなかったのでした。

 こうなったら、日本にいる間、できることを精一杯やるのみ・・。ですが、今度は自分自身が感染しないように、気を引き締め直し、できる範囲で日本滞在を楽しみたいと思っています。


濃厚接触者


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2022年3月30日水曜日

海外からの入国者の濃厚接触者に対する行動制限について

  


 先日、日本に入国した私たちですが、帰国後、翌日に日本政府が海外からの入国者にインストールを義務付けている「My SOS」アプリに通知が来て、娘は濃厚接触者としてアプリに監視されることになってしまいました。

 すでに、数日が経過していますが、帰国後早々にやらなければいけないこともたくさんあり(そもそも、そのために帰国している)、一方的に隔離を強いられる、まことに不自由な生活を送っています。

 濃厚接触者に対する隔離というのは、日本居住者にもとられている対策とはいえ、そのアフターケアーについて、疑問を感じ始めています。

 今日、私たちの日本での滞在先の市区町村の保健所から、再度、連絡のメールが届いたことから、娘の怒りが爆発しています。

 海外からの入国者にとっての濃厚接触者認定?は、(だいたい飛行機に搭乗する段階で、ワクチン接種3回の証明書や陰性証明書を提示した者だけに限られており、)「帰国便の機内において、新型コロナウィルス陽性者の前後2列を含む5列以内の座席に搭乗されていた方」とされています。

 飛行機がかなり空いていたとはいえ、このためにかなりの人々が娘同様、濃厚接触者として、自宅待機を強いられていることは、いささか、やりすぎとしか思えないのです。

 一応、濃厚接触者として、行動制限をかけておけば、なんとなく安心という程度のものです。

 間隔をおかずに隣に座っていたというならば、いざ知らず、私たちの乗っていた便は(少なくとも娘の座っていた座席の列は、全席となりが空席だったことは、空席を探していた私は、確認していたことです。

 しかも、全員がマスク着用で、誰とも口もきいておらず、座席に隔たれて座っている状態で、濃厚接触者として、1週間もの個人の自由を奪うことは、あり得ないと思うのです。しかも、何もせずにただひたすらの待機状態。

 一方で、濃厚接触者のPCR検査については、「希望される方は、保健所で予約をとれば、行うことができます」という任意形式のもの。

 しかも、通知には、「濃厚接触者は待機期間緩和の対象外です。入国翌日から7日目までアプリの通知に応答し、待機を継続してください。違反した場合は見回り対象となります。陽性者の検体解析結果は判明次第、お知らせしますがオミクロン株以外であった場合は14日目まで待機継続となります。」という威圧的な内容。

 フランスでは、入国者については、地域別にその隔離等の段階が設けられていますが、少なくとも日本からの入国者に関しては、ワクチン接種3回以上している場合には、一切、隔離なし。入国後の監視や制限もありません。居住者の濃厚接触者については、アプリをインストールしている人には、「陽性者と接触しているので、検査を受けてください」と通知が入りますが、あくまで任意。

 「こんなこと、フランスではあり得ない!、見回り結構、人の行動制限をこんな理不尽なかたちで行うことは、全く納得がいかない! 制限をかけるなら、それなりに正当な理由が必要、人の自由を奪う以上、それに対する補償が伴うもの。見回り結構、来ていただいたら、とことん話す。むしろ、話したいくらい・・名前を公表するなら、それも結構!」と怒り心頭なのです。

 日本人であるとはいえ、フランスで育ち、教育を受けてきた彼女のキャラクターは、まったくもってフランス人なのです。

 しかし、多大な費用を費やしていると思われるこのアプリにせよ、入国の際の書類チェックに関わっている人件費等には、一体、どこに力を入れているのだ?と無駄も多く感じられ、ことに濃厚接触者に認定することは、あまりに容易に一方的に行っておいて、その後の検査は任意とは、なんだか、日本の杜撰な体質が凝縮しているように思えるのです。

 「なにとぞ、国民の方々のご理解とご協力をお願いします」という言葉をよく聞きますが、一方的にご協力を求めるそのやり方は威圧的で、従わなければ、見回りを寄越すとか、名前を公表するとか、脅しのような内容です。

 たしかに日本入国の際に「誓約書」なるものを求められてはいますが、これも一方的なもので、こんな理不尽な濃厚接触者認定の基準などは記載されていません。

 日本入国の際のさまざまな制限はこれまでも行われてきて、強制隔離機関での隔離など、ある程度は、効果はあったかもしれません。公共交通機関の利用禁止なども外国人は、守らないなどと言われてきたことにも、それは、そうだろうな・・くらいに思っていました。

 しかし、逆に言えば、こんなに一方的なやり方が通用するのは、日本くらいのものであることも日本の特殊性を垣間見える気も、実際にこうして当事者になってみると感じずにはいられないのです。

 いっそのこと、アプリに応答しない娘に見回り隊が訪れ、娘が見回り隊とどのような話をするのか、見てみたいような気もしています。


濃厚接触者


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2022年3月29日火曜日

機内模様から垣間見えた国民性と感染対策・衛生観念

   


 今回の一時帰国で、私が飛行機に乗ったのは、2年ぶりでした。旅行が大好きで、以前、日本に住んでいた頃から海外旅行が大好きで、空港に足を踏み入れただけで、飛行機を間近に見ただけで、税関を通過しただけで、ワクワクと心が踊るような気持ちになりました。

 今でも空港はある種、気分を高揚させてくれるものに違いはありませんが、あの頃の感覚とは違います。

 フランスに来てからは、時には、ヨーロッパ内を旅行することはありますが、やはり、最優先なのは、日本への一時帰国で、シャルル・ド・ゴール空港は、私にとっては、日本への扉のような感覚が強いです。

 まあ、極端に言えば、シャルル・ド・ゴール空港で飛行機に乗って、降りたら、もうそこは日本というあっという間に世界を飛び越えることができるもっと、容易で気軽?なものだったのです。

 今回は、それがコロナ禍、戦時下ということもあり、イレギュラーが重なり、ロンドン経由の長旅になり、2つの航空会社を利用することになったわけです。

 まず、パリ⇄ロンドン間の移動となったら、私にとっては、わざわざ空港に行かなければならない飛行機よりも、断然、ユーロスターを選ぶので、実際、パリ発ロンドン行きの飛行機に、今、こんなに乗客がいることも驚きでした。(日本だけでなく、他の地域への経由便として利用するだけでなく、ロンドンが目的地という人も・・)

 また、その後に乗った日本行きの飛行機内の航空会社と乗客の感染対策観念の違い、温度差にも、ちょっとビックリしました。

 パリからロンドン行きのブリティッシュエアーはほぼ満席、さすがに皆、マスクは着用しているものの、乗客は、かなりお喋りで、マスク以外は以前とあまり変わらない様子の機内模様。

 機内に搭乗してから、30分以上待たされるハメになったことも、通常運転の証。考えてみたら、機内に乗客を満席に詰め込んだ状態で待機させること自体、ちょっとどうかと思う上に、また、静かに黙って待っていられる人々ではありません。

 特に私たちが座っていた後の座席のフランス人の男性2名とその2人に挟まれている日本人の女性は、出発前から、もうお喋りが止まらない・・その中の一人の男性がどうやら、あとの二人を巻き込んでいる様子で、飛行機が怖くてたまらないから、しゃべらずにはいられないと言いながら、話しているのです。

 最初は、両端の男性が話している間に挟まれている女性が気の毒な感じで、「なんなら座席を端のどちらかの男性と座席を変わってあげたら?」などと前で聞いていて思っていました。

 しかし、その2人の男性はそのうち、間に座っている日本人の女性を巻き込み始め、その女性がフランス語が話せないにもかかわらず、今度は、英語とフランス語を交えながら、話し始めるすごい勢い。

 控えめに相槌をうっている日本人女性は、時折、流暢な英語で話に加わっていましたが、見ず知らずの人をさえ巻き込んででも話し続けるフランス人の男性の妙に耳障りな声と英語とフランス語が混ざりながら話し続ける様子に、ちょっとうんざりもしていたのでした。

 そして、数時間のロンドンでの待ち時間を経て、今度は、日本行きのJALの機内は、超長距離フライトということもあり、思ったよりも乗っていた外国人でさえも、この時期に日本に行くということは、日本に住んでいるか、もしくは、ビジネスで日本へ行くかなり日本をよく知る人々。

 機内のスクリーンには、「食事以外の時間はマスク着用、できるだけ人と話をしないでください」という表示がされています。さきほど、パリ→ロンドン便に乗っていたおしゃべりに溢れていた機内と比べて、シンとして、座席も半分ほどしか埋まっていないガランとした静けさです。これが、噂に聞いていた、日本の「黙食」の一部なのか・・と妙に納得したりもしました。

 機内は、長距離フライトの中、本当に、ほとんど口をきく人もいませんでした。また、食事の時間にあらわれたCAは、まるで病院?と思わせるようなガウンを制服の上から身に纏っていて、これには、さすがにちょっとギョッとさせられました。

 フランスは、感染者が再びリバウンドの増加傾向とはいえ、次々と感染対策への制限が解除されているので、日常モードになっていることからも、この機内の緩い?雰囲気もわからないではありません。

 一方、日本に着いてみると、ふと気がつけば、街中でも話には聞いていたものの、マスク率は120%?という感じにあらためてビックリしている自分にもビックリ。

 感染がピークに達していた頃でもなお、顎マスクや鼻出しマスクの人が少なくなかったフランスは、今では屋外でのマスクも義務化ではなくなり、まるで別世界。

 日本人の衛生観念や規律正しさが優れているのはわかっていましたが、逆に久しぶりの、しかもコロナ禍の日本の様子を肌で感じている毎日です。


機内の感染対策 衛生観念


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2022年3月28日月曜日

入国後1日目、MY SOSアプリからの連絡 機内でまさかの濃厚接触者

   


 新型コロナウィルスによるパンデミックもまだおさまり切らず、まさかのウクライナ戦争での混乱で、パリからの直行便も欠航になっている中、パリーロンドン経由のフライトで現在、日本に一時帰国しています。

 出発ギリギリまで、フライトが予定どおり飛んでくれるかどうかも不安な中、日本入国のためのPCR検査やそれを日本オリジナルの書式に書き込んでもらったり・・、誓約書等、必要な書類を準備して、わずかばかりのお土産を揃えてバタバタと準備を進めて、シャルル・ド・ゴール空港からロンドンへ、そして、ロシア上空を避けての迂回ルートのロンドンー羽田便でパリの家を出てから、約20時間後に羽田空港に無事、到着いたしました。

 空港についてからの何重にもわたる書類やアプリのチェック、唾液検査などを経て、検査も無事陰性で、そのまま自宅に直行、久しぶりに日本の我が家に戻ってきました。実家に戻って、とりあえずはヤレヤレといった気分ではありました。

 日本にある実家の家は、両親が他界して以来、年に2度くらいやってきては、そのたびに、家の中のものを片付けているものの、まだまだ片付けは終わらないまま、今回のパンデミックのために、2年間は日本に来ることもできずに放置状態になっていました。

 幸い、同じ敷地内に従姉妹家族が住んでおり、時々、覗いてもらったりはしていたのですが、2年間放置していた家のあちこちは、埃やカビで大変な状態に・・。湯沸かし器がつかなくなっていたり、洗濯機が動かなくなっていたりと、まず、正常な状態に戻すのに、あっちこっちとかけずり回ることになりました。

 金曜日の夜に到着したものの、幸いなことに日本は土曜日も日曜日も営業しているところが多く、用事を1日にたくさん済ませることができるのは、助かります。

 ところが、日本に着いてから、バタバタと動き始めて、翌日、入国の際に入れることが義務付けられている感染対策アプリ「MY SOS」が突然、ぶーっ!ぶーっ!ぶーっ!と振動と鈍い音を立てて鳴り響き、なんと娘の方だけにアラートが!

 今回のフライトは娘と一緒でしたが、予約の際に、かなり空いているであろうということを予想して、ふたり、たてに1席ずつ予約を入れていました。おそらく、隣に予約が入らなければ、それぞれが2席ずつ使えるだろうと目論んでいたのです。

 実際に飛行機に乗ってみると、娘の隣は空席でしたが、私の隣は、残念ながら、かなり体格のよさそうな外国人の男性が座っていました。

 「え〜〜〜〜?なんで?ついてない!」と思った私は、一瞬、娘の隣に席を移ろうとしたのですが、それ以外にも何席も空席の場所があったために、二人ともが横になって眠れるように、CAの人に頼んで、私は別の空席に席を移動させてもらったのです。

 結果的に、それが私には幸いしたのですが、娘の座席の前後2席以内に座っていた人が到着後に感染したことが判明。娘には、「あなたは濃厚接触者となりました。1週間は、自己健康管理に努め、自宅隔離してください」というメッセージが・・。

 なんともショッキングなことで「濃厚接触者は待機期間緩和の対象外です。入国翌日から7日目までアプリの通知に応答し、待機を継続してください。違反した場合は見回り対象となります。陽性者の検体解析結果は判明次第、お知らせしますがオミクロン株以外であった場合は14日目まで待機継続となります。」との通知で娘は到着早々、1週間の自宅隔離となってしまいました。

 座席は半分くらいしか埋まっていなかったにもかかわらず、濃厚接触者とは、なんたる悲劇!長いフライト中も私たちは食事時間以外はマスクを決して外すこともなく、ひたすら耐えてきたというのに、いくつものハードルを乗り越えて、せっかく入国できたのに・・・。

 私は、幸いなことに座席を空いている場所に移動させてもらったことで難を逃れましたが、本来ならば、濃厚接触者と常にいる私も通知は来ていないものの立場は同じはず。

 なんとも、残念な結果となりました。

 長距離フライトを利用される方は、もし、空席があるようなら、できるだけ、人を避けた場所に座席を移動させてもらうことをお願いした方がこのような1週間待機になるリスクが低くなるかもしれません。


機内濃厚接触者 1週間隔離


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2022年3月27日日曜日

コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査

   

いくつものチェックポイントを通過するけど、流れはスムーズ


 コロナウィルスによるパンデミックでフランスから日本への入国には、長い間、強制隔離施設での隔離、あるいは、自宅隔離期間が設けられており、その間の移動も公共交通機関が使えないなど、さまざまな障害が立ちはだかっていました。

 それが、3月に入って、ワクチン接種3回済みの人に対しては、隔離措置が撤廃されました。フランスでは、わりとワクチン3回接種を済ませている人も多く、多くの在仏日本人がこの恩恵?に預かることができるようになったと思います。

 ただ、出発前72時間以内のPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられており、しかも、この検査陰性の証明書には、日本の求めている内容のチェックが記載されている必要があり、できれば、日本独自のフォームに書き込みをしてもらい、サインをしてもらうのが、日本入国のためには、明瞭で問題が起こりづらいものと思われます。

 フランス在住の人は、PCR検査は、Carte Vital(健康保険のカード)とワクチンパスがあれば、無料でやってもらえるので、私は、あらかじめ、この日本独自のフォームに書き込んでくれる場所を確認して検査を受け、当日、あるいは翌日には、検査結果がSNSで送られてくるので、その検査結果を持って、再び、その検査場に行くと、日本独自のフォームに記入してくれます。

 私が行ったところは、けっこう日本独自の陰性証明書に記入するケースをこれまでにも、いくつも請け負っていたとみえて、「あ・・日本のね・・」と手慣れた様子で証明書を書いてもらえました。

 パリ在住、あるいは、近郊にお住まいの方でこのPCR検査の証明書を書いてもらえるところをお探しの方は、ここは、便利かもしれません。私が検査をした時点では、予約の必要もありませんでした。

○Laboratoire FELIX EBOUE BIO LAM LCD Autorisation

   3-5 Place Félix Eboué 75012 tel.01.43.44.51.94


 それに加えて、ワクチン接種の証明書、日本政府への入国に関する誓約書、MySOSアプリ、COCOAアプリのダウンロード、あらかじめ質問事項を記入するとQRコードが出てくるので、そのQRコードをスクリーンショットしておく必要があります。

 羽田空港に到着すると、これらの書類やアプリを何重にもチェックするポイントを通過し、(これがけっこう、長くて、こんなに何重ものチェックが必要なのか?と思う)唾液検査のブースに進みます。

 この際に、「フランスから入国の場合は、自宅隔離期間が必要です」とあらかじめ、説明を受けましたが、「ワクチン接種3回済みの人は隔離は必要ないはずです」と3回のワクチン接種の証明書を提示したら、「ちょっと確認して参ります」と言われて、「すみません。やはり隔離は必要ありませんでした・・」となったので、ワクチン接種証明書は、常に携帯しておいた方がいいかもしれません。

 そして、唾液検査用のキットを渡されて、自分で唾液を採取するのですが、この容器のここの線まで入れてくださいという唾液の量が結構な量で、私の場合、「そんなに唾液、出ない!」と思いながら、結構、唾液の採取には苦労しました。

 唾液採取が終わると、検査の受付番号のシールが貼られた健康カードという紙を受け取り、待機場に移動して、自分の検査番号が電光掲示板に表示されるのを待ちます。

 私の場合は、ここでは20分ほど、待ったでしょうか? 自分のナンバーが表示された時点で、検査結果を受け取りのブースで検査結果を受け取ります。ここで陽性となったら、隔離状態になってしまうので、ドキドキして、結構不安でしたが、幸いなことに陰性でした。

 その後の流れは、通常の入国と同じで、自動認証機械によるパスポートチェック(この際はマスクを外して顔認証)をして、荷物(スーツケース)を受け取り、通関して、解放されます。

 飛行機が到着してから、1時間ほどだったでしょうか? 現在は、比較的、入国者も少ないため、思っていたよりも、早く解放されました。

 いよいよ、入国して空港内に解き放されると、すぐにコンビニにかけこみ、おにぎりとお茶を買って、「あ〜日本に帰ってきた!」と実感するのでした。

 いくつもの不安材料であるハードルを越えて、日本に入国、やっぱり日本はいいな・・あぁ〜羽田空港だ・・と、今まで、こんなに感慨深い帰国はなかったな・・としみじみしながら、日本に入国いたしました。

 


 この税関を通って、自動ドアが開かれた瞬間、キティちゃんの看板がお出迎え、「日本だ・・」とどこかホッとする瞬間です。

 今から早いですが、次回、日本に帰国する際には、直行便で、PCR検査の必要もなく、あっさり入国できるようになっていてほしいとつくづく思うのでした。


海外からの日本入国 空港での書類チェックと検査の流れ



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2022年3月23日水曜日

WHO(世界保健機構)が警告 ヨーロッパの感染対策解除はあまりに急激すぎる!



 WHO(世界保健機構)は、フランスをはじめとするドイツ、イタリア、イギリスを含むいくつかのヨーロッパ諸国があまりにも急激に感染対策を解除してしまったことに警告を鳴らしています。

 WHOによると、ヨーロッパの新規感染者数は1月末にピークを迎えた後、急激に減少していましたが、3月に入ってから一転して増加傾向にあります。感染症専門家によると、このリバウンドは、特にオミクロンBA.2亜型の優勢によって説明されるといいます。

 この7日間で、WHOヨーロッパ地域で510万人以上の新規感染者と12,496人の死亡者が記録されています。「特に増えているのは、イギリス、アイルランド、ギリシャ、キプロス、フランス、イタリア、ドイツである」と指摘しています。




 しかし、一方では、WHO欧州ディレクターであるハンス・クルージ氏は「今のところ警戒してはいるものの比較的楽観的に見ている」とも発言しています。

 楽観的になれる理由としては、ワクチン接種の拡大による効果と、これまでの経過で爆発的に感染が拡大したために、ヨーロッパ市民にかなりの免疫がある点を挙げています。それに加えて「冬が終わるので、狭い場所に人が集まりにくくなる」という点もしています。

 そして、オミクロンの変異型は、「ワクチン接種の少ない国では、依然としてリスクの高い病である一方で、ブースター投与を受けた完全なワクチン接種者にとっては重症化するリスクが低い」とも指摘しています。

 しかし、現実のところ、これまで慎重な態度を取り続けてきたヨーロッパが現在のように感染対策の急激な緩和に踏み切ったのは、これまでの感染拡大回避のための規制による制限と経済復興のバランスをどう取っていくのかという面のみに注力していたことに加えて、「ウクライナ戦争による混乱」が加わり、正直、戦場はウクライナであるものの、いつ具体的な火の粉がふりかかるかもしれない地理的、政治的な関わりや、ロシアへの経済制裁の煽りからの急激なインフレ、数十万単位で押し寄せてくるウクライナからの難民や、ついには核兵器がつかわれるかもしれない恐怖は、ヨーロッパの人々にとっては、コロナウィルス以上のものであるという現実なのです。

 その結果が、この急激な感染対策緩和につながっているのですが、WHOとしては、おそらくヨーロッパの立場があまりピンときていないことから生まれるこの警告。

 ヨーロッパのコロナウィルス感染状況を鑑みれば、この感染対策規制の緩和は、客観的には、あまりに急激で唐突なものであるに違いありませんが、ある程度は、感染は増加しているものの、ピークは超えたと思われるコロナウィルスへの対応が少し緩くならざるを得ないのかもしれません。

 ワクチン接種に加えて、ヨウ素剤の準備などが行われるなか、ヨーロッパは、コロナウィルス感染対策に加えて、経済復興、戦争への対応という3つのバランスをとりつつ進んでいかなければならない結果がになっています。

 このバランスが多少、崩れていることは事実で、ワクチンパスやマスク着用義務を撤廃する一方で65歳以上の4回目のワクチン接種を開始。このアンバランスさにフランス政府の焦りも感じられます。

 とはいえ、コロナウィルスは、戦争でさえ容赦はしてくれないもの、少しでも気を緩めれば、またこの戦時下に再び新しい感染の波を迎えないとは言い切れず、ここは、冷静にどちらも対処してもらいたいものだと思っています。


WHO警告 ヨーロッパ感染対策規制解除 ヨーロッパ感染増加


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2022年3月20日日曜日

フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨

  



 フランスHAS(高等保健機構)は2回目のブースター接種、つまり4回目のワクチン接種を65歳以上の人々に推奨する(門戸を開く)ことを発表しました。

 これには、ちょっとびっくりで、4回目のワクチン接種に関しては、80歳以上の人々に対しての4回目のワクチン接種推奨が発表されたのが、3月14日、それから1週間もたたないうちに、この年齢の幅を急拡大するとは、ちょっと驚きでもあります。



 これまで、この4回目のワクチン接種に関してはかなり慎重な態度をとってきたフランスがここへきて、義務化ではないものの、この短期間で、年齢の幅を65歳以上にまで拡大することには、少々、疑問を感じています。

 現在のフランスの感染状況は、少しずつ上昇している軽いリバウンド状態にあり、気がついてみれば、1日の感染者数は再び、10万人を超える日が続いています。

 現在のところ、感染者数は増加しているものの、集中治療室の患者数は増加してはいませんが(コロナウィルスによる患者の占拠率34%)、3月10日現在、入院患者の80%を占めているのは、60歳以上であることが4回目のワクチン接種を推奨する理由の一つとして挙げられています。

 しかし、フランスは、同時にワクチンパスとマスク義務化を撤廃していることが、さらに解せないことで、「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」としながらも、その「有効性と安全性」について、未だはっきりとしたデータが確認しきれていないまま、どんどんその年齢も拡大され、この勢いで年齢層が拡大されていけば、じきに、私の番も回ってきそうで、義務化ではない分、自分で判断しなければならない場面が訪れます。

 結果的に3ヶ月ごとにワクチン接種を続けなければならなくなる前に、ワクチン以外で感染回避できる方法(マスク義務化やワクチンパス)を排除するのは、戦争による緊張状態やインフレへの反発や、間近に迫ってきた大統領選挙の人気取りのためだという声も上がっています。

 そもそも衛生観念や規律正しさを語りだせば、日本とは比べものにはならないフランスではありますが、あらためて、原点に戻れば、この基本的な衛生管理がきちんとしている日本では、感染状態が悪化した時期があったとしても、それは、世界からみれば、比較にならないほど感染者数や被害は少ないのであって、この日頃からの衛生的な環境がどれだけ、感染対策として有効なものであったかは、明白です。

 しかし、義務化されなければできないフランスで今、この縛りを解いてしまって、一気にまたさらにワクチンへと向かってしまうのには、どうにも腑に落ちない気がしてなりません。

 現段階では、65歳未満の人々は、4回目のワクチン接種は対象外としており、HAS(高等保健機構)は、対象外の人々(65歳未満)に対する4回目のワクチン接種は「適切ではない」としています。

 つまり、基本的には4回目のワクチン接種には、依然として懐疑的にもかかわらず、罹患した場合に重症化するリスクと4回目のワクチン接種によるリスクを天秤にかけた結果と考えることができます。

 私が3回目のワクチン接種をしたのは、昨年の12月、3ヶ月後には、有効性が減少しはじめるというならば、そろそろワクチン接種の有効性は下がり始めているはずです。

 マスク着用義務化が撤廃してから、そろそろ1週間、最初は思ったよりもマスクをしている人は多いな・・という印象でしたが、それもやはり、日に日に減少してきている印象で、本来ならば、公共交通機関の中では未だマスク着用が義務付けられているにもかかわらず、メトロやバスの中でもマスクをしていない人がちらほら目につき始めました。

 ウクライナでの戦争対応と選挙対応、コロナウィルス感染に対する対応に揺らぎが感じられる最近のフランスです。2月半ばに3月中旬にマスク着用義務化の撤廃に関して、一定の基準を設けた頃を境に、その後、ガラガラと感染対策のための規制が崩れ始めました。

 戦争があろうと、選挙があろうとウィルスは容赦してはくれないのです。


4回目ワクチン接種65歳以上


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2022年3月15日火曜日

マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力

  



 フランスでは、一部の例外(公共交通機関や医療施設、高齢者施設等)を除いて、今週からマスク着用義務とワクチンパスポートが撤廃されました。

 フランス人の気質から考えると一気に「やった〜!!!」とマスクを外す人が多いと思っていましたが、思ったよりは今はまだ、屋外でさえもマスクをしている人はいるな・・という印象です。

 とはいえ、まだマスク撤廃は始まったばかり、公共交通機関などは、未だにマスク着用は義務化のままなので、その度に、マスクをつけたり、外したり・・というのが面倒だということもあるのかもしれません。

 しかし、会社内など、1日中、同じ場所で過ごす人々にとっては、マスクの義務化が撤廃されたことは、息苦しさとコミュニケーションのとり辛さから解放されたと喜ぶ人は少なくありませんが、依然として、マスクをしている人も思ったよりは少なくありません。

 実際に現在のフランスの感染状況は、オミクロンBA2による、ちょっとしたリバウンド状態にあり、正直、本来ならば、きっと解除はしていなかった状況なはずで、マスク義務化が撤廃されることを疑問視する声もあり、また、このマスク義務化撤廃の決定がマクロン大統領の大統領選挙立候補公表の前日に行われたこともあり、選挙のキャンペーンに利用されたという声まであがっており、マスク義務化の撤廃を手放しで喜べる状況ではありません。

 実際には、当初、予定されていたマスク撤廃のための基準値には達していない段階で、このマスク義務化の撤廃に踏み切ったのは、ウクライナ戦争のための緊張状態や物価の高騰などの人々の不安や不満を少しでも軽減することや、このウィルスの変異による感染形態などを考慮してのものとは思われますが、個人的には、とても、マスクを外す気にはなりません。

 マスク義務化の撤廃は、マスクを禁止されたわけではなく、義務化がなくなっただけなので、引き続き、マスクをし続けることは自由ですが、そんな中で、早くも一部で登場しているのが同調圧力とも思われる「マスクをしている人に対する嫌がらせ」問題です。

 元来、あまり周囲と違うことを厭わず、日本と比べると、服装などに関しても比較的自由で、誰がどんな服装をしていようと、フランス人は、我関せずの印象があるのですが、このマスクに関しては、また違う一面もあるようです。

 もともとマスク嫌いのフランス人、マスクをしている人がいるだけでも、せっかく解放された気分が損なわれて不愉快だという部分もあるのかもしれませんが、そもそも同調圧力というものは、少々、自分に自信がない場合に、他人を引きずり込んで自分を正当化して安心したいという気持ちのあらわれでもあり、そうでなければ、他の人がマスクをしようがしまいが、関係ないはずなのです。

 不安が人を攻撃的にするという意味では、このパンデミックが始まった頃、コロナウィルスの根源となったのは、中国で中国人=アジア人とばかりに、ネットなどで、「アジア人狩り」が呼びかけられて、アジアの人を攻撃しようとする人々が現れたことを思い出します。

 現在は、1年半も続いたマスク生活に慣れてしまって、マスクをしないで歩くことに、どこか心許ないような、違和感さえ感じるとかいうフランス人もいますが、マスクなしの生活が定着して、もとどおりの生活に戻るのには、きっと時間はかからないと思います。

 マスクを外せば、きっと、挨拶がわりのビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすぐに復活するでしょうし、エスカレートするのは目に見えるような気もします。

 この中途半端な状況でのマスク義務化撤廃がマスクをしている人に対する嫌がらせが横行する原因の一端でもあります。

 これまで、フランス政府は、感染対策規制の緩和を段階的に行なってきたのですが、ここへきて、ワクチンパスもマスク義務化も一気に撤廃するということを、私はちょっと疑問に思っているのです。

 せめて、今、まだ感染の懸念があるうちは、マスクをしづらくなる風潮にはなってほしくないのですが・・。


マスク義務化撤廃 同調圧力 


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2022年3月14日月曜日

そういえば、同窓会というものに行ったことがない私

   


 最近、学生時代の友人というものは、いいものだなぁ・・とあらためて感じています。学校を卒業してから、長い時間が経っている私ですが、その後に色々な国での生活も体験し、たくさんの人にも出会ったけれど、学生時代の友人というものは、瞬時に時間を超えて、打ち解けられる・・そんなチカラを持っているものだな・・と思います。

 昔、母が急に同窓会を始めた時期があって、何やらとても楽しそうに友人と連絡をとりながら、「じゃあ、男子には私から連絡しておくから・・」などと言っているのをそばで聞いていて、「いい年して、男子・・ってなに?」などと苦笑しながらも母が楽しそうに同窓会に行く様子に、当時の私は、「そんな子供の頃の友達に会うのって楽しいのかな???」と不思議な気持ちでした。

 日常は、子育てと家事と仕事に追われて、滅多に友人と遊びに行くということもなかった母でしたが、ある時期を境に同窓会には、そんなふうに積極的に出かけていたことを今になってわかるような気がしています。

 しかし、私は、20代に一度、留学のために日本を離れ、その後30代になってから本格的に海外での生活を始めたために、同窓会というものには一度も行ったことはなく、以前に実家の方に同窓会の連絡をいただいたりしていたこともあるのですが、それこそ、海外で子育てと仕事に追われて生活していた私には、同窓会に合わせて帰国するなどということはできるはずもなく、また、あまり興味もなかったのです。

 しかし、子育ても一応、一区切りがついて、ましてやこの数年間、パンデミック、そして戦争とまさかの異常事態が続く中、あたりまえのように、無駄なことやバカなことをたくさんしてきた学生時代がとても貴重なものであったと感じるようになったのです。

 もう3年目に入るパンデミックのために、そんなあたりまえだったはずの学生時代を過ごせずにいる子供たちも、3年間マスクで学校に通い、マスクを外した顔を知らないなどという話を聞くと本当に失われている時間の大きさを思います。

 ほんの小さな子供たちも10代の青春を謳歌するはずの年代の子供たちも、現在、通常以上に大変な思いをして子育てをしている人々にも、そしてあとどれだけ、元気に残りの人生を送れるかわからない年長の方々にとっても貴重な時間をパンデミックに引き続いて今度は戦争という事態に身動きがとれなくなっている時間が過ぎていくことに焦燥感を感じています。

 もちろん、戦禍の真っ只中にあるウクライナの人々の状況とは比較にもならないほどですが、ヨーロッパ内でのこの戦争に対する緊張感は、日々高まっています。

 スイス連邦政府は、核戦争が発生した場合に住民を保護する実際の対策となる一連のガイドラインをウェブサイトに公開し、スイス国民に向けて「十分な食糧と水を蓄えておくように」と政府が警告したり、他のヨーロッパ諸国でも食糧備蓄のための買い占め対策のために、スーパーマーケットが購入制限をかけ始めるといった事態にまで及んでいます。

 誰も望まない戦争が一体、いつまで続くのか?いつまで私たちの時間が失われ続けるのか?はたまた、核戦争にまで発展してしまうのか? 不安な生活が続く中、ふと思い出されて幸せな気持ちになる学生時代の何気なく過ごしてきた友人たちとの時間の貴重さを、最近、あらためて噛みしめているのです。

 


同窓会 学生時代

 

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2022年3月13日日曜日

80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾

 


 フランスでは、コロナウィルス感染がリバウンドし始めていることを受け、ジャン・カステックス首相が、3回目のブースター接種から3ヶ月以上経過している80歳以上の人々への4回目のワクチン接種を開始することを発表しました。

 このコロナウィルス感染のリバウンドの現象は、フランスだけではなく、フィンランド、イギリス、オランダ、スイス、イタリア、ドイツなどの周囲のヨーロッパ諸国でも起こり始めている見過ごすことのできないものでもあります。

 どの国も、程度の差はあるにせよ、感染対策を緩和しつつある中で、その結果が感染のリバウンドとしてあらわれているものと思われますが、第1波の際に壊滅的な被害を受けた謂わば前科者のヨーロッパとしては、十分に危惧すべき状況でもあります。

 この「4回目のワクチン接種開始」のカステックス首相の発表も、先日、オリヴィエ・ヴェラン保健相がリバウンド状態にあることに警鐘を鳴らした発表と同様にどこか、しっくりこない中途半端な印象が拭えず、80歳以上という限定された年齢層向けとはいえ、同時に「マスク着用義務化の解除やワクチンパスポート解除は予定どおり行う」という、ともすると矛盾した内容を確認したうえでの発表であったことに、疑問を感じずにはいられません。

 「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」と4回目のワクチン接種開始を説明していますが、そもそも、4回目のワクチン接種に関しては、これまでは、かなり慎重な態度をとっていたはず、最も早くに4回目のワクチン接種を開始したイスラエルの免疫学者も、その「有効性と安全性に関するデータ」が不足していることを認めており、「疑問点も多く、ちょっとした賭けであり、必ずしも推奨できるものでもない」と述べています。

 それをワクチンパスポートや多くの場所でのマスク着用の義務化を撤廃しながら行うというのは、どうにも納得のいかないものです。しかも、もともと「ワクチンパスポートや多くの場所でのマスク着用の義務化などの制限撤廃」は、「流行の進行がなく、コロナウィルスによる集中治療室の患者数が1500人未満になった場合」という一定の条件を満たした場合という条件つきだったにもかかわらず、その条件を満たしていないにもかかわらず、撤廃に踏み切ったことも腑に落ちません。

 思いもよらぬ形でウクライナでの戦争が勃発し、ロシアへの経済制裁のために、燃料費をはじめとする物価の急上昇や原子力発電所や核兵器への脅威からの国民の反発や動揺を考えて、少しでも国民のストレスを軽減するためであると思われますが、コロナウィルスは戦争の有無に関係なく感染を拡大させます。

 最も弱い立場の人々を守るために、安全性が疑問視されている4回目のワクチン接種を開始することにするくらいなら、せめて、マスクぐらい義務化しておけばよいものの・・と思うのです。

 戦争による混乱状態であることはわかりますが、この戦禍に再び、コロナウィルス感染が深刻に悪化すれば、さらなる混乱を引き起こすことは必須です。

 これまでも、感染は最悪の状態を脱したとはいえ、今年に入ってからも、コロナウィルスによる死亡者数が100人を下回った日はほとんどないのです。


80歳以上に4回目のワクチン接種開始


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2022年3月12日土曜日

フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘

 

 

 フランスのコロナウィルス感染状況は、最悪の時期を過ぎて、以来、段階的に着々と感染対策措置を緩和してきました。

 2月に入ってテレワークの義務化が撤廃され、2月16日からはディスコ・ナイトクラブの営業が再開され、2月末には、ワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所(公共交通機関や医療施設・高齢者施設は除く)でのマスク義務化が解除されました。

 それでも、しばらくの間は、感染率も減少し続け、以前の予定を前倒しにして、3月14日からは、あれだけ騒いで施行したワクチンパスポートは、一部の場所(公共交通機関や医療施設、高齢者施設など)を除いて、撤廃されることになっています。

 ところが、ここに来て、フランスの感染者数は一転して増加傾向に転じはじめ、11日には、1日の新規感染者数が72,399人を記録しています。これは、1週間前と比較すると25%増加している数字です。

 これまでの感染の推移を考えると、感染対策措置の緩和から、感染増加には、2週間程度のタイムラグがあり、この経緯を見る限り、2月半ばのディスコ・ナイトクラブの営業再開ならびに2月末のワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所でのマスク着用義務化の撤廃の影響が表れ始めていると考えることができます。

 また、ウクライナ戦争が始まり、国民の関心は一気に戦争に集中し、コロナウィルス感染についてもほとんど報道されなくなり、感染に対する注意も自ずと軽減しているのかもしれません。

 昨日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、このコロナウィルス感染のリバウンド状態に関して、病院の負担は引き続き減少しているものの、この減少のペースは鈍り始めており、非常に警戒が必要な状態であることを発表しています。

 感染者数の増加が病院の医療状態に影響してくるのは、これもまた、2週間ほどのタイムラグがあり、この感染者の増加が再び、どの程度まで医療状態を逼迫させてしまうのかは、わかりませんが、現在の段階では、すでに発表されている3月14日からのワクチンパスポートの提示義務やマスク義務化撤廃は、公共交通機関などの一部の場所を除いて、予定どおり行われるとしています。

 この感染のリバウンドという事態に直面し、警鐘をならしつつも、フランス政府が予定どおりのワクチンパスポートやマスクの撤廃に踏み切るのには、このウクライナの戦争によるヨーロッパ全体の緊張状態や現実的に燃料費、電気料金などの高騰(特にガソリンの値上げ率はコロナの感染の増加率以上)により、国民の生活が圧迫されていることも理由の一つです。

 フランスではデモが行われない土曜日はないといってもよいほどで、ウクライナ戦争反対のデモなどもかなりの人数を動員していますが、そのデモの内容がウクライナ戦争反対のデモ以上に「黄色いベスト」による呼びかけのガソリン・燃料費・電気料金値上げ反対のデモの割合が増加しはじめ、このデモが過激化することが心配され始めています。

 暴走するロシアへの経済的制裁といえば、理解できないことではありませんが、実際にその経済的制裁の結果の煽りを受け、国民の生活に跳ね返ってくることに対して政府の対策が何もとられないことに国民が怒り始めているのです。

 この国民の社会不安に対する状況をおさえるためにも、政府はできるだけ、国民を締め付けることから解き放ちたい思いと、一方では、本来ならば、今一度、感染対策をきっちりとる必要があるこのリバウンド状態への懸念が、この中途半端な警告を生んでいます。

 正直、戦争が始まって以来、戦禍の悲惨な映像とともに、原子力発電所まで占拠され、核兵器までちらつかせられている、決してウクライナからも遠くはないヨーロッパの人々は、正直、今は、コロナウィルスよりも「核兵器」を恐れる状態で、このオリヴィエ・ヴェラン保健相の警告がどの程度、国民に響いているのかといえば、ほとんど響いていないのが現状です。

 マクロン大統領が「我々は戦争状態にある」とパンデミックの始まりとロックダウンを宣言した時には、これまで経験したことのない異様な光景が広がり、「これが、戦争というものなのか・・」と思ったりもしましたが、実際に本当の戦争の映像が流されているのを見ると、それは、想像をはるかに超えた悲惨なもので、コロナウィルスへの恐怖とは桁違いのものであることを感じます。

 たしかにコロナウィルスも依然として、脅威ではありますが、ワクチン接種である程度は、病状の悪化は防げるようですし、感染対策により、ある程度は感染を回避できます。

 あまりの戦争の悲惨さを目にして、コロナウィルスへの危機感を忘れそうになっていることもこのリバウンドの一因であるかもしれません。実際に話題になっているのは、ワクチン接種以上に核兵器により被爆した場合の「ヨウ素剤」について・・コロナウィルスに対する危機感が薄れるのも致し方ないのかもしれません。


フランス コロナウィルス感染リバウンド


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2022年3月4日金曜日

フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由

   


 昨日行われた国防会議の結果、フランスは、3月14日からワクチンパスポートを撤廃することを決定しました。あれだけ大騒ぎして起用したワクチンパスも、オミクロン株への移行や、それによる感染の急激な減少と、何より「戦争」のために、想像以上に早い撤廃になり、あの騒ぎは一体、なんだったのか?と、なんだか拍子抜けな気もします。

 ここのところ、フランスの報道は、「ウクライナ戦争」でほぼ一色となっており、コロナ関連のニュースはほとんど報道されないようになっていました。それだけコロナ問題はおさまる方向に進んでいたということでもありますが・・。

 年末年始にかけてのフランスは、1日の新規感染者数が30万人超えまでになり、本当に一時はどうなってしまうのか?と思っていましたが、その後、ブースター接種も比較的、順調に進み、感染状況は、どんどん改善してきました。

 2月に入ってテレワークの義務化が撤廃され、2月16日からはディスコ・ナイトクラブの営業が再開され、2月末には、ワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所(公共交通機関や医療施設・高齢者施設は除く)でのマスク義務化が解除され、その時点では、ワクチンパスの廃止は、医療状態が平常状態に戻った場合には、3月末か4月に可能になるかもしれないと発表されていました。

 当時、フランス政府はカナダで起こっていた「ワクチン接種義務化に反対する大規模なデモ「自由の車列(Freedom Convoy)」がフランスに飛び火しそうになっていた状況を非常に警戒しており、それまでの予想以上に早い制限の撤廃の予定を発表したのですが、その時点では、まだ、慎重な態度も崩さず、政府報道官のフライング気味の発表に、慌ててオリヴィエ・ヴェラン保健相が「屋内マスク義務化を撤廃するには、集中治療室の患者数が1,500人を切った場合」と具体的な基準を示し、「ワクチンパスポート撤廃はさらにそれ以降、科学的な検証に基づいて慎重に行う」としていたのです。

 一時の状態が酷すぎたこともありますが、現に感染状態が改善しているのは事実、しかし、集中治療室の患者数は、減少したとはいえ、未だ2,400人前後に留まっている現段階では、目標数値には達しておらず、政府の本意ではなかったはずです。

 しかし、今度は、カナダでの大掛かりなデモどころの話ではない、ウクライナとロシアの戦争に、それどころではなくなったというのが正直なところであると思われます。

 「ワクチンパスポートの廃止」は、戦争の影響による緊迫する政情やエネルギー価格をはじめとする、さらなる物価の上昇で、国民の不満、不安が爆発することが考慮されたのだと思います。

 幸いにも感染状態は急激に改善しているために、ワクチンパスによる抑圧から国民を早めに解き放つことで、少しでもストレスを減らそうと予定を前倒しにしたと思われます。

 ただし、ワクチンパスポートは全面的に撤廃されるわけではなく、公共交通機関や医療施設、高齢者施設等では、ワクチンパスポートの提示が義務付けられ、公共交通機関でのマスク着用義務は据え置かれます。

 今のところ、屋外マスク義務化が撤廃されたわりには、マスクをしている人はけっこういるな・・という印象ですが、このワクチンパスポートの撤廃が、今後、どの程度、感染状況に影響するかは、未知数です。

 WHO(世界保健機構)は、パンデミックにより、コロナウィルスによる直接的な罹患だけでなく、メンタルヘルスにも大きく影響をおよぼしており、世界中で不安やうつ病のケースが25%以上跳ね上がったと発表しています。

 ほんとうに、パンデミックも終わらないうちに、毎日毎日、戦争での悲惨なニュースばかりで、ニュースを見るだけでもメンタルがやられそうになる感じです。私自身は、ワクチンパスを持っているし、マスクが撤廃されるよりも依然として感染の危険の方が怖いので、現状での感染対策を全く不満には感じてはいませんが、この戦渦に、少しでも抑圧から解放されるのであれば、今のフランスの感染状況ならば、悪くない決断なのかもしれません。

 実際に、これはフランスでは久々の明るいニュースで、本来ならば、大々的に取り上げられ、「よかった!」とか、「まだ、早すぎる!」などと、喧々囂々となるところなのですが、この朗報?でさえも、ニュースのほんの一部にしかならずに、ほぼほぼ、報道の中心は「ウクライナ戦争」です。

 この「ワクチンパスポート廃止」による感染再拡大・・なんてことになれば、戦争×パンデミックで、とんでもないことにもなりかねません。

 しかし、これは、あくまでも私の見解ですが、今回のウクライナ戦争に関しては、戦争から派生するフランス自国への被害はもちろん少なくはありませんが、フランス人にとって、民主主義の侵害という側面を持ったこの戦争に対しては、身を挺してでも戦うべきことでもあるわけで、その意味ではフランス政府がロシアに対して行う制裁のために起こるインフレよりも、ワクチンパスよりも「民主主義の侵害」「自由の侵害」は、根本的に許せないことであり、国民の怒りの矛先はプーチンに向かい、この敵を糾弾するエネルギーが勝るような気がしています。


フランス ワクチンパスポート廃止

 

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2022年2月19日土曜日

3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準

 


 すでに数日前から話題に上がっている「屋内でのマスク着用義務の撤廃」について、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、マスク撤廃に踏み切る具体的な基準値を発表しました。

 ワクチンパスの施行とともに始まった感染対策規制の緩和は、1週間後には、屋外でのマスク着用義務化とリモートワークの義務化が撤廃され、さらに、つい先日、ディスコやナイトクラブが再開され、カフェやバーでの立ち飲みの解禁と着々と進められてきました。

 フランスの感染状況は、劇的に改善し始め、1ヶ月前には、40万人を超えていた1日の新規感染者数も10万人を切り、現在は、8万人前後になりました。病院の集中治療室の占拠状態も非常に緩やかではありますが、減少し始め、一時は4,000人近かった集中治療室の患者数も3,000人を切り2,970人までになっています。

 この状況を受け、フランス政府は、3月中旬には「屋内でのマスク義務化」を撤廃できるかもしれない・・と言い始めていたのですが、今回は、コロナウィルスによる集中治療室の患者数が1,500人以下になったら・・」という、より具体的な数字をマスク撤廃の条件として発表したのです。

 元来は、大のマスク嫌いのフランス人にとって、これは朗報に違いありません。

 オリヴィエ・ヴェランは、「この3月中旬というタイミングは、決して無作為に選択された日程ではなく、現在の感染の減少の状況とリズムをもとに考慮されたものであり、無駄に過剰な目標を設定するのは意味がない」と説明しています。

 屋外でのマスク義務化が撤廃された後も、屋外でもマスクを着用している人が意外と多いことなども、現在の感染減少を後押ししているような気もします。

 彼は、「今後もウイルスはできるだけ循環させないようにしなければならないが、発症率は毎週ほぼ半減しており、このままの状態が続けば、4週間後には極めて低い発症率に戻り、流行が再燃するリスクを負うことなく、最後の手段を講じることができる」と述べています。

 これまで、フランスは、数ヶ月間にわたって、15日単位で段階的に感染対策を解除してきており、この段階的な対応は、感染にブレーキをかける対策の解除による悪影響がないことを確認するために必要な時間であったし、今後もそれだけの時間をかける必要があるということを説明しているのです。

 3月中旬の屋内でのマスク着用義務化撤廃には、病院が通常通り運営されていること、ウイルスの流行が非常に弱いことを条件にしています。

 そして、さらに次の段階では、ワクチンパスの解除が検討されるのですが、このワクチンパスの解除に関しても、一気に全廃という形をとらずに、特定の感染リスクの高い場所を最後まで残しつつ解除するという、もう一段階のステップを検討中のようです。

 いずれにしても、本当に一時は、ちょっと外出するだけでも、すぐに感染者追跡アプリのアラームが点灯し、「あなたは、感染者と接触しています。ただちに検査を行い、陽性の場合は、隔離してください」というメッセージが入り、その度にドキドキしながら検査に行くことを考えると、外出するのもちょっとウンザリしていたことを思えば、現在の感染状況の劇的な改善はうそみたいです。

 この現在の感染減少の状況がブースター接種によるものなのか?もしくは、もうひととおりの人々が感染して免疫を得たためなのかはわかりませんが、屋内マスクが撤廃されるという事実よりも、それだけ自由が戻ってくるという意味では、私にとっても嬉しい状況です。

 今や過去の映画などの映像を見ていても、マスクをしていない群衆などを見ると、思わずギョッとしてしまう奇妙な自分を発見したりもするのですが、一方、一部のメトロの駅や電車の中では、思わず「マスクがあってよかった・・」別の意味でマスクに助けられる(アンモニア臭など、あまりに匂いがキツいため・・)という場所もあるのが、パリでもあります。

 政府が屋内でのマスク義務化を撤廃しても、しばらくは、私は、やっぱり怖くてマスクをすぐには外せないような気がしています。そして、「やっぱり日本人は・・」などと言われるかもな・・と、そんなことまで考えています。


屋内でのマスク義務化撤廃


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2022年2月16日水曜日

次のステップに進むフランスの感染対策規制緩和 ディスコ・ナイトクラブ再開

   


 フランスでワクチンパスがスタートしたのは、1月末のことで、ワクチンパススタートの発表時には、同時にその後の段階的な感染対策緩和のスケジュールが発表されていました。

 それまでも、フランスでは、すでにヘルスパスによる制限が定着していたこともあり、その後の感染対策緩和の方に注目が集まっていました。

 その時の予定どおり、フランスは、ワクチンパスの施行の1週間後には、屋外でのマスク義務化やリモートワークの義務化を撤廃しています。

 1月末の段階では、1日の感染者が40万人前後もいた状態で、その後の感染対策の緩和については、正直、「本当に大丈夫なんだろうか?」と不安で、特にさらにその2週間後の「ディスコ、カフェやバーでの立ち飲み、スタンディングコンサートを解禁」という予定には、その時点では、私は、「とんでもない!」と思っていました。

 しかし、2月に入って少し経つと、フランスの1日の新規感染者数は、急激に減少し始め、いつの間にか、薬局での検査のために、あんなに行列していた人々も消え(セルフテストの拡大もある)、今週に入ってからは、なんとか、1日の新規感染者数も10万人前後にまで下がっています。もともとが酷すぎたこともありますが、この感染の急降下には、ちょっとびっくりしています。

 政府報道官ガブリエル・アタルは、15日、現在の状況を「ようやく光が見えてきたようだ・・」と表現し、「最後の制限を解除し、かねてよりの予定どおり感染対策制限を緩和することができる」と発表しました。

 2月16日からは、ディスコ・ナイトクラブが再開され、カフェやバーでの立ち飲みが許可され、スタジアム、映画館、公共交通機関での飲食が可能になります。

 そして、2月28日からは、交通機関を除くワクチンパス対象のすべての閉鎖空間でのマスク着用の義務化が撤廃されます。

 しかし、彼の発表は、感染対策規制の緩和に終始することはなく、現在の状況は、決して安心できる状態ではなく、「規制の緩和・撤廃は、警戒・注意の終了を意味するものではない」と述べています。

 実際に新規感染者数は減少しているものの、コロナウィルスによる入院患者数は、31,500人以上、病床を圧迫し続けていることに変わりはありません。新規感染者の減少は、今のところ病院の状態改善までには影響を及ぼしてはいないのです。

 予定どおりなのは、感染対策の緩和だけではなく、2月15日からは、2回目のワクチン接種から4ヶ月後にブースター接種をしない場合は、ワクチンパスが無効になるというルールもスタート。現段階では、400万人のワクチンパスポートが無効になってしまったと言われています。

 ここまでフランスの感染者数が減少してきたのは、ワクチン接種、ブースター接種の効果が大きいことは言うまでもなく、現在では、フランスのブースター接種率は、55%まで上昇しています。

 ところが、ここに来て、先日のカナダのワクチン接種義務化に反対する大規模なデモ「自由の車列(Freedom Convoy)」に触発されたフランス版ワクチンパス反対+もろもろの抗議デモ「Convoi de la Liverté」を警戒した政府が「ワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる可能性がある」と発言したことから、もう少しだけ我慢すれば、ワクチン接種は必要なくなる・・とワクチン接種をしない方向に傾き始める人も出始め、ワクチン接種・ブースター接種率の上昇はスピードが低下しています。

 戦車までが登場する異様とも言える警戒体制のため、このフランス版の自由の車列デモは、大事には至りませんでしたが、思わぬところで、違う影響が出ています。

 引き続き、フランス政府は、ワクチン接種の拡大に努め、「偽のワクチンパスポートを所持しながらも、ワクチン接種を希望する人は、起訴されるリスクなしにワクチン接種を受けることができる」と、(悔い改めようとする人には鷹揚な対応)思わず唸ってしまうようなルールまで提示しています。

 いずれにせよ、未だ綱渡りの状況が続きますが、先日発表された「3月末か4月初めに解除される可能性がある」ワクチンパスポートも現段階では、考えられず、「この最終的な措置は、病院の状況が十分に緩和され、正常化された時点で緩和する予定」としています。

 この件(ワクチンパスポート解除)に関してインタビューを受けたカステックス首相も「科学的な見解を得ることが必要である」と答えています。

 暦は立春を過ぎ、春はそこまで来ていますが、パンデミックの終わる本当の春が来るのは、まだまだ先かもしれません。


フランス感染対策規制緩和 ディスコ・ナイトクラブ再開


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