2024年7月31日水曜日

オリンピックでフランス人の英語力が上がった?

  


 ここ数日、お天気がよくなって(ちょっと良くなりすぎで暑いけど・・)、パリでのオリンピックの風景を見て歩いているのですが、まあ、街の中が(といってもオリンピックに関係のある場所ですが・・)華やかで、どこかウキウキとしている感じで楽しいです。

 もともと美しい街ではありますが、それがオリンピックのデコレーション?と上手く調和して、上手いこと街をオリンピックバージョンに変身させたものだな・・と感心しながら歩いています。

 いつもならば、そんなに人に道を聞かなくても歩けるのですが、現在は依然として道路の一部が閉鎖されていたり、またオリンピックのために設置されているものを見に行ったりするため、道を尋ねたくなるケースが多いわけです。

 そんな時でも、まず、街中には警察官はちょっと引くほどいるうえに、ボランティアもたくさんいて、駅にもおそらくRATP(パリ交通公団)の臨時職員と思われる人々がたくさん待ち構えているので困ることはありません。

 自分の方から声をかける場合には、フランス語で話すのですが、向こうからも「なにか困った事はありませんか?」などと声をかけてくれることもけっこうあって、そういう場合は英語であることが多く、このフレンドリーに英語で助けの手をのばしてくれる感じに驚いています。

 まあ、街中に配置されているボランティアは、ある程度、英語が話せるということで選ばれている人々であるとは思うものの、パリでこんなにたくさんのフランス人が親し気に英語で話しかけてくれる場面に私は初めて遭遇しました。

 また中でも10代後半から20代前半くらいの女の子たちの英語が想像以上に上手でびっくりしています。おそらく学生なんだと思いますが、考えてみれば、彼女たちにとって、同じような話を繰り返し説明するとはいえ、英語を話す良いトレーニングで、実に清々しい気持ちのよい女の子たちでした。

 そもそも、フランス語と英語は似て非なるものではありますが、読み方や発音は違ったりもするものの、重なる単語などもけっこうあって、日本人が最初から英語を学ぶよりはずっと楽なのではないか?なのに、なんでフランス人は英語を話したがらないのか?と思ったこともあります。

 以前はフランス人は英語を話してくれずに感じ悪く・・駅などで英語で質問している観光客に対して、「ここはフランスなんだからフランス語で話しなさい!」などとフランス語で言っているのを何度見かけたことか?本当に感じ悪いな・・と思ったことも一度や二度ではありませんでした。

 しかし、オリンピックで湧くパリ市内の様子を見ていると、もうそんなことはパリでも通用しないし、むしろ、若い子たちは、本当に感じがよくて、英語のレベルもなかなかなもので、なによりもオープンマインドな感じになって、以前の無駄にスノッブな感じのフランス人のいやらしさが全然、感じられなくなりました。

 もちろん、フランス語も大切ですが、このような世界の人が集まるような場ではやっぱり英語です。日常、ふつうに生活していれば、逆にあまり英語に接することはないものの、やっぱり、ここぞというタイミングでは英語も話してくれる若い優しい感じのよいフランス人が増えていることに「いいぞ!若者たち!」と応援したくなるのでした。


パリオリンピック 英語


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2024年7月30日火曜日

最後までグタグタ・・セーヌ川の水質問題 トライアスロンがデュアスロンになる可能性

  


 危険視されていたセーヌ川上でのオリンピック開会式もなんとか事件も事故も起こらずに済み、今回のオリンピックで終始、疑問視されていたセーヌ川でのトライアスロンが最後の最後までセーヌ川の水質問題で未だに動向が不明となっています。

 セーヌ川で開会式のパレードを行うことも、ちょっと前代未聞の荒唐無稽な話ではありましたが、またそのセーヌ川を利用してトライアスロンの競技を行うという決定も、リスクの種類は違っても、同様にちょっと考えられない発想でした。

 セーヌ川の水質を改善させることは、長いことパリ市の課題でもあり、このオリンピックを機に、浄化させることを目標としてきました。

 パリ市は、このためにオーステルリッツに水を浄化するための巨大な貯水池を落成したりしたものの、今年に入って以来、イル・ド・フランス(パリを含む周辺の地域)は極端に天候の悪い日が多く、降水量も増えて、ギリギリまで水質検査の結果がオリンピック基準にパスできないまま、5月末から6月にかけて、大雨のために5万リットルの汚水がセーヌ川に流出するという事態まで起こっていました。

 このセーヌ川の水質問題が浮上するたびに、マクロン大統領やパリ市長が、絶対に水質には、問題がなくなると確信している!なんなら、オリンピック前に自分が泳いで見せる!と言い放ち、現に、オリンピック開催のギリギリ直前の7月17日に本当にセーヌ川で泳いで見せるという体当たりのデモンストレーションを行い、水質改善をアピールしていました。

 ところが実際にオリンピックが始まってみると、セーヌ川の水質検査は数回、続けて水質検査の結果に問題があり、トライアスロンのセーヌ川での事前トレーニングが2回連続で延期され、いよいよ日程が差し迫り、まさかの事態には、トライアスロンではなく、デュアスロンになるかもしれないという可能性がでてきています。

 こうなってくると、遡ってパリ市長が泳いだ日も実は水質検査はパスしていなかったのでは?という話まで出てきて、パリ市長は、「あの日はたしかに水質検査はパスしていた!」と火消しに必死。この期に及んで、まだ、競技当日には、水質は改善されるはずと言っています。

 そもそもオリンピック開会式の日は残念ながら、パリはかなりの雨で、そのうえセーヌ川はパレードのために選手たちが乗った船だけでも85隻にのぼる数の船、それに加えて警備用の船も含めたら、少なくとも100隻以上の船が雨の中を時間をかけてセーヌ川を通っているわけで、加えて、翌日も雨の一日。セーヌ川の水がきれいなわけがありません。

 セーヌ川の水質問題については、専門家が出てきて、「セーヌ川が泳げるようになるには、あと4年くらいかかる」などとも言っています。

 はっきり言って、セーヌ川がきれいかどうかは一目瞭然で、誰も好んでセーヌ川で泳ぎたい人はいないはず。同じくウォータースポーツでサーフィンなどの映像を見ていると、タヒチの海は本当に美しく、トライアスロンの選手からしたら、恨めしく感じることと思います。

 そもそも、こんなにギリギリまで、事前のトレーニングも現場でできないなど、もうこの時点で選手には申し訳ない話。まだ結果は出ていないとはいえ、トライアスロンがデュアスロンになろうものなら、そのために、何年間も人並み外れた訓練を積んできた選手にとったら、痛恨の極みです。

 火曜日の朝8時に行われる男子のトライアスロン競技は当日の朝4時に採取した水質検査の結果にかかっており、これにパスしない場合はまた延期、競技日程の最終リミットは金曜日(8月2日)の朝8時。当日、再び朝4時の水質調査の結果、パスできなかった場合は、この日が緊急事態宣言日となり、トライアスロンではなく、デュアスロンになる可能性があると見られています。

 試合当日に向けて体調を合わせていく選手にとって、これは酷い話です。

 水質検査がパスできなかったとしても、またパスしたとしても、いずれにしても、この水質検査ギリギリのセーヌ川で泳ぐのは、どんな罰ゲームなのか?という気がします。

 開会式のセレモニーにしてもトライアスロンにしても、どうしてそこまでセーヌ川にこだわるのか? そもそも最初から問題視されていて、代替案があるとも言っていたのに、結局、最後までグダグダでギリギリまで引っ張るカタチになってしまいました。

 単純に言って、水質検査をしなくても、「泳げるかどうかは、見ればわかるでしょ!」っていう気がするんですけどね・・。


パリオリンピック セーヌ川の水質問題


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2024年7月29日月曜日

オリンピックを開催している街ってこういう感じなんだ・・

  


 パリオリンピック開会式の日は、交通手段も限られていたし、その翌日もお天気が悪く、なんとなく、街中に出てみようという気もしなかったのですが、2日後、ようやく、ちょっとオリンピック色に染まった街の様子を覗いてみようか?と、パリにあるいくつかのスタジアムのうちの一つの近辺を少し歩いてみました。

 相変わらず、我が家の周辺のバスは通常運転にはなっておらず、「え~~?まだダメなの~~?」と正直ウンザリもしたのですが、セーヌ川へのアクセスは、場所にもよるのでしょうが、再開されていて、久しぶりにセーヌ川沿いも歩くことができました。

 スタジアムの近くの駅は、やはり警備は相当なもので、「メトロ、結構、混んでる?」と思ったら、警備隊(私が見たのは憲兵隊でしたが・・)がメトロの中にまで乗り込んでいました。


 おそらく、セーヌ川近辺に取られていた人員が今度は市内、メトロの中にまで配置されるようになったものと思われます。まあ、こんな警備隊がメトロの中にまで乗っているのは、多少、緊迫感もありますが、よく考えてみれば、安心なわけで、おそらく、日常のパリよりは、数段、治安がよくなっているのではないか?と思われます。

 お天気が良いだけで、パリは本当に格段に美しく感じられ、また、オリンピックのための表示や看板などが周囲の風景や緑の木々など、計算しつくされたようにマッチしていて、路肩に何気なく置かれたブロックなどまでもが、今回のパリオリンピックカラー(オリンピックの五輪の色とは別のパステルピンクとペパーミントグリーンなどなど・・)にペイントされていて、とってもいい感じです。



 開会式のための警備のための、あまりの規制の厳しさに逃避してしまったパリジャンも多かったわけですから、すべてのフランス人がオリンピックに好意的、またオリンピックに興味あるというわけではないとは思いますが、それにしても、やっぱりオリンピックを開催している街がなんとなく、次第に湧いてくる、なんとなく多くの人がワクワクしている感じというものを少しずつ感じています。

 テレビのオリンピック中継なども、いつもは要所要所に少しずつフランス人の分だけ・・という感じが多いのですが、今回は、時差もなく、何より開催国ということで、夜20時のニュースの時間なども、ほぼ一般的なニュースは最小限でオリンピックの中継やオリンピック関係の報道に割かれています。

 私は、オリンピックといえば、やっぱり日本人を応援したくなるのですが、ふだんはあまり日本人の分は放送してくれないので、日本人がいない競技はフランスを応援します、

 昨日はちょうど、水泳の生中継をしていて、フランス人も日本人も出てきた男子400メートルメドレーの試合でした。

 これは珍しいタイミング!と思って見ていたのですが、満席の会場の応援はほぼほぼフランス人の応援で、テレビ越しからでも伝わってくる観客席の大熱狂。各国からの応援団はそれぞれいるとはいえ、これはフランス人にはずいぶん有利、気持ちの上がりかたはずいぶん違うのではないかと思いました。

 その試合では、なんとフランス人が金メダル!日本人が銅メダルを獲得していました。

 ちょうど、その日には、たまたま行ったスタジアムの近くに時計メーカーのOMEGA(オリンピックの公式タイムキーパー)のパビリオンができていて、実際にオリンピックで使われているタイムを測るための装置や実際のプールの中の装置がどんな風になっているのかなどを見てきたばかりだったので、「ほんとに、あれ、使ってるんだ!」あの展示場に出ていた写真の人(奇しくも当日金メダルをとったフランス人選手)だ!などと、いつもよりは、興味深く見ることができました。






 このオメガのパビリオン、実際に自分で走ってみてタイムを計ってくれるゲームなどもできるし、わりとふらっと見て回れるので、機会があれば覗いてみるのも楽しいかもしれません。Parc de Bercyの中にあります。入場無料です。

 まだまだオリンピックは始まったばかりではありますが、街がオリンピックでなんとなく高揚していく感じというものは、こんな感じなのか・・というのを少しずつ感じています。

 と、同時に無観客のまま行われた東京オリンピックは、本当に残念だったな・・とも思うのです。


Paris 2024 パリオリンピック


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2024年7月28日日曜日

フランスにとってのオリンピック開会式セレモニーの意味

 


 4時間以上にも及ぶ2024年パリオリンピックの開会式セレモニーは、悪天候の中にもかかわらず、大きなトラブルに見舞われることもなく、無事、終了しました。

 マクロン大統領は、翌日、会見で、このイベント前から警備にあたった人々、ボランティアをはじめ、2024年パリオリンピックの成功に貢献したすべての人、特に大会の安全を確保した人たちに感謝したいと述べました。

 また、X(旧Twitter)には「誰もが不可能だと言った・・しかし、私たちはやり遂げた!それは集団の力、国家の投資、そして私たちを守ってくださる皆さんの並外れた動員のおかげです。ありがとう!」とポストしています。


 彼は今回の開会式セレモニー開催のための異例の動員に対して国の感謝の意を表明しているのです。

 まさに今回の警備のための動員は、まさに「異例」の動員で、日常から他の都市に比べて格段に警察が多いパリでさえも、こんなに連日、大所帯の警備隊を目にする日々は(特に最後の1週間)あり得ないことで、日々、パリの住民は減っていき、終いには、「ここ、警察官の方が多くない?」と思う場所もあるくらいでした。

 そもそもバカンス命のフランス人にとって、バカンスに行かずに夏の間も仕事をしろ、オリンピックのために働け!というだけでも大の難題であったのに、なんといっても、このセーヌ川上をパレードするという警備上、この上ない難題をかかえて、一体、どうするのだろうか?それこそ、「誰もが不可能だ」と思ったはずです。

 しかも、世界情勢も不安定でフランス国内でさえも決して安定した政情ではなく、ましてや、6㎞にわたる川岸、水を挟んで両岸を1週間まえから閉鎖して、テロの可能性のあるものを排除し、海外からの動員も受けながら、警備を続け、その間にオリンピックのための仮設会場やセレモニーのためのセーヌ川沿いのデコレーションや観客席まで作り上げたのですから、これは日常のフランスを知っている身からしたら、本当に快挙です。

 だいたい、工期というものがあってないような日常のフランスにもかかわらず、これをなんとか間に合わせただけでも驚きのことです。

 セレモニーのパフォーマンスに関しては、賛否両論、色々あるようですが、それですら、大胆といえば、大胆、かなりやり過ぎというか、極端なパフォーマンスはありましたが、論争が起こることを恐れずにやってしまう、むしろ、論争を歓迎するというか、堂々と受けて立とうとしているところがそれぞれの演出などをしたアーティストにはある気もします。

 敢えて、誰にでも受け入れられそうな無難なものには仕上げずに、このなんでもありな感じを敢えて出していくのがフランスでもあり、また一方では、同時にものすごく保守的な部分ももっているのがフランスなのだと思っています。

 特に、フランス(マクロン大統領)にとっては、この「セーヌ川沿いのパレード」からの開会式という「誰もが不可能だと言ったことをフランスがやり遂げた!」という部分の方が重要なことで、特に集団的な努力を強調することで、レジリエンス(不利な、困難な状況の中で対応する力)を示し、オリンピックを国民の団結を強化できる象徴的なプロジェクトとして見据えており、この大会のプラスの効果(成功体験)が国中に広がることを願っていました。

 同時にこの規模のイベントを組織するフランスの能力を強調しているとも言えます。

 とはいえ、現段階では、最もリスクがあると言われた開会式が一応、テロなどの標的にはならずに終了したというだけで、まだまだオリンピックはこれからです。

 もっとも、この開会式の成功が「国が総力を併せて団結すれば不可能を可能にできる!」と必ずしもそう簡単に国民は思わないことも明白なことで、このあたりが、マクロン大統領が国民と嚙み合わないところでもあります。


パリオリンピック開会式セレモニー


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2024年7月27日土曜日

大雨のオリンピック開会式当日 前夜の事件とセレモニーあれこれ

 

 

 朝、目覚めて外を見たら、雨が降っていました。前日の天気予報でも雨の予報だったので、「やっぱり雨か・・」と思いました。この日は、近所のバスなども全て運行休止。コマーシャルセンターまでクローズになっていて、最後のとどめか・・と思いましたが、ここまでされるともうその日は外出は断念、ロックダウンしていました。

 オリンピックの警備のための様々な交通規制や制限のために、パリを脱出してしまった人も多いなか、私は、オリンピックの開会式などを見に行くことはしなくても、自分の住んでいる街でオリンピックをやるなんていうことは滅多にないこと!と思って、この期間は、パリに留まることにしていたのです。

 しかし、実際に住んでいる街でオリンピックをやられるということは大変なことだと実感!、また今回の開会式がセーヌ川上6㎞にわたってパレードを行うなどという荒唐無稽?なことを実現させようとしたために、その1週間以上前から警備が異常に厳しく、広範囲にわたることになりました。

 私は、オリンピックに関わる仕事をしているわけではありませんが、ここまで住民の犠牲を強いたからには、やっぱり素晴らしいものにしてほしいと思っていました。

 それが雨に加えて、朝一番のニュースはSNCF(フランス国鉄)のTGVネットワークへの大規模攻撃による交通網大混乱のニュース。


 あわやテロ?と思いましたが、報道機関は慎重で「テロ」という言葉は使いませんでしたが、オリンピック開会式当日という日にちを選んで数か所、同時攻撃というのは、穏やかではありません。この攻撃により被害を被った人の数は80万人を超えていると言われています。この事態にSNCFは、かなり早い段階で全額返金を発表。事態の混乱を少しでも抑えるためか、異例の早期の全額返金の発表となりました。

 オリンピックの開会式は結局は家でテレビで見るのが一番よく見えそうで、カウントダウンしながら生中継している様子を見始めると、パリは世界の中心!とか、世界中の注目がパリに!とか、また臆面もないタイトルがつけられています。




 この種のイベントがあるたびに、また今回はオリンピックという特別なイベントとはいえ、この聞いている方が恥ずかしくなるほどの自国を誇る様子には、おそれいっちゃいます。

 聖火リレーが最終地点まで到達する様子をドラマ仕立てにしてあったり、今回のオリンピックのメダルの意味をさりげなくドラマの中で説明し、フランスの高級宝飾店ショーメデザインのメダルがルイ・ヴィトンのケースに入って、ダンサーの中をうやうやしく登場する。ダンスの中には、パリ・オペラ座のスターも登場。ムーランルージュの踊り子たちがフレンチカンカンを披露する!

 実況しながら、YES!と悦に入る感じのジャーナリストもいるくらい・・。しかし、現場は、残念ながら、けっこうな雨が降っていて、船上から声援にこたえる選手たちが雨ざらしになっている(そんなことは感じさせないけど)のが気になりました。

 修繕中のノートルダム大聖堂さえも使ったダンスの演出、ほんの数日まえまでストライキを警告していたダンサーはこの中の誰だったんだろうか?などと思いながら見てしまいました。

 まあ、多少、首を傾げるような演出はあるものの、やはり、見事な祭典ですが、しかし、それにしても長いセレモニーに現場で見ている人も大変だろうな・・と思ってしまいます。



 もう日本の選手団が登場してきたら、どうでもいいや・・と思いきや、それまでが長いこと長いこと、そして、やっと出てきたと思ったら、日本の選手団の紹介の時間が短い!

 かねてから感じることですが、オリンピックやスポーツに関する日本の選手に対する扱いがフランスはどうにも雑というか、冷たいような気がしてなりません。日本の文化に対しては、格段に上質のものとして扱ってくれるのに比べて、これはどういうわけなのか?と思ったりもします。ちょっと意味のわからないパフォーマンスに延々と時間を割くんだったら、それぞれの国にもっと注目してよ!と思ってしまうのです。

 とはいえ、パリ住民にとっては、大変なお騒がせだったこの開会式が終わってくれて、私にとっては、オリンピックの半分は終わったような気分です。

 この開会式さえ終われば、市内の規制も日常とは言わないまでも、ずいぶん緩和されると思うので、悪いですが、正直、少しホッとします。

 しかし、昨日まではあんなに晴れていたのに、パリだけピンポイントでこんなに雨とは・・。

 それにしても、テレビとはいえ、こんなにオリンピックの開会式を長時間見たのは、初めてでした。



 しかし、フランスが国力を見せつけたかっただろうと思われるこのセレモニー、セレモニーが始まってすぐに、マクロン大統領がX上で「世界が私たちを見ている!」とポストしたり、全体的にメッセージ性が強く、フランスアピールが濃くて、フランスの選手が最後に登場するのは、開催国だから仕方ないとしても、その時だけ、エッフェル塔や橋がカラリングされてピカピカしたりするのはなんだかな~?と思ってしまったのです。




 しかし、最後のオリンピック開会宣言をするマクロン大統領が珍しく、ちょっと緊張していたのには、ちょっと驚きました。

 これで、やっと終わり!と思ったら、まだまだで、ジダンやナダルが出てきたと思ったら、今度は、また聖火が船乗っちゃって、コマネチやカールルイスまで出てきた!もうホント、詰め込みたいものが多すぎたのはわかるけど、まとまりない感じ・・簡潔に話すことができなくて、いつまでも話し続けるフランス人っぽい感じがよく出てました。

 本当に、どこまで引っ張るのか?って感じ。あらら聖火がルーブルに戻っちゃった・・もうルーブルは聖火は通ったはずなのに・・。

 でも、最後のセリーヌディオンは感動したな~~。

 ともかく、良いところも悪いところもフランス感満載でした。でも、なんだかんだいっても、私はそんなフランスが好きです。

 それにしても、パリでこんなに本格的に雨が降り続けることも珍しい。

 全てが終わったあと、みんなが「やっぱりフランスは世界一!」と讃え合うところもフランス。



パリオリンピック開会式セレモニー


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2024年7月26日金曜日

あれだけいたパリの露天商はどこへ行ったのか?

  


 オリンピックの警備が厳しくなって、住民でさえも、通行は厳しく制限され、現在、パリの街には、警察官や憲兵隊が溢れています。特にここ数日では、警察官も海外からの警察官もけっこういて、物々しいこと極まりない感じです。

 そんな警察官の警戒に気をとられて、しばらく気が付かなかったのは、日常、パリに数千人はいると思われる露天商がいつのまにか、姿を消していることです。



 そもそも違法の商売なので、日常から摘発してもよさそうなものなのですが、通常は見て見ないふりをしているというか、見過ごしているというか、特に観光地と言われるような場所には、ものすごい数の露天商がいるのです。

 一時、エッフェル塔の近くの露天商は、マンホールを貯蔵庫がわりに使っており、クレープの生地や水などが大量に押収された・・などというニュースが出回っていましたが、その露天商そのもの自体は、このオリンピックの警戒が始まる少し前までは、ふつうに存在していました。

 露天商がもっとも多いと思われるモンマルトルの丘(サクレクール寺院近辺)などは、ふだんは、所狭しと丘の途中にエッフェル塔の置物などの店を広げています。

 それがぴったりと、まったく姿を消したのも、ちょっと怖いくらいです。彼らは一体、どこへ消えたのだろうか?と思います。

 また、パリ市の街中に住んでいるホームレスなども、いつのまにか見かけなくなりました。これは、大々的に発表されてはいなかったものの、オリンピック前にフランス政府は、何千人もの移民のホームレスたちを地方都市にバスで移送していたようです。

 彼らには、地方都市などでの長期的な住居や社会福祉が提供されるものと思っていたものの、当の受け入れ先の都市とは、話がしっかりついておらず、場所を変えて、そのままホームレスとして生活を始めたり、パリに舞い戻ってきてしまう人もいるようで、実際、ここ数日、荷物をゴロゴロひいたホームレスらしき人をパリ市内でも、たまに見かけるようになっており、また、市内や駅などは厳重な警備で警察官の警戒が厳しいために、メトロの車内でお金の無心をするホームレスが登場しています。

 市内や駅などには、あれだけ警察官がいるのに、メトロの車内には、なぜか警察官は見かけないので、その隙をついて彼らは戻ってきている感じです。

 オリンピックの警戒は最も厳しいのはセーヌ川上で行われる開会式のパレードのためと聞いていますが、この開会式後は、どのくらい緩和されるのかわかりませんが、このまま恒久的に露天商というものがパリから消えるのかどうかはわかりません。

 今日は、街中で演奏をしているミュージシャンなども撤退勧告を強いられ、違反切符をきられていました。若い好青年だったこともあり、これくらいはいいんじゃないの?と思いましたが、例外を認め始めるとキリがないのかもしれません。

 パリは欧州内でも観光客が一段と多い場所でもあり、観光客とともに、これらの露天商なども近隣の欧州の国々から出稼ぎにやってくるケースも多いと聞いており、また、その商売自体も違法ではありますが、さらにスリやひったくりなどの明らかな犯罪行為の出稼ぎも多いわけで、この警戒を続けるのは、無理としても、この移民問題は、捨て置けない問題であるに違いありません。

 華やかなオリンピックの影には、やっぱり伏せられている問題が潜んでいるのです。


パリの露天商


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2024年7月25日木曜日

空いているパリを満喫する1日

  


 オリンピックまでのカウントダウンが始まり、今週に入ってから、公共交通機関や通行止めなどの不便さに腹を立ててばかりいるのもバカらしく、代わりに予想外に空いてきたパリを満喫することにして、いつもは、混んでいて断念してしまうレストランに行ったり、買い物(といっても食べ物・・)に行ったりして、それなりに空いているパリを満喫しています。

 メトロやバスなどの公共交通機関は前もって予告されていたところ以外でも運行していなかったり(特にバス)、途中までしか行かなかったり、これには少々閉口し、移動に時間もかかるのですが、その代わりにというか、その分、パリに人が少ないので、半分は、「そりゃそうだよな・・」「こんなに迂回しなければならなかったりするのは面倒くさいもんな・・わざわざみんな出かけないよな・・」と思いつつ、「いやいや、こんな機会はまたとない!」とその空いているという部分を楽しむことにしたのです。

 オデオン界隈(サンジェルマン・デ・プレ界隈)にお気に入りのレストランがあるのですが、そこは、いつも、行きたいな~行こうかな~?と思って覗いてみると、いつもすごく混んでいて、そうでない場合は時間を外してしまったりとなかなか行けていないお店があって、「そうだ!今なら、あそこも空いているかも?」と思って、行ったのです。

 それでも、行ってみるまでは、「今日はもう混んでいるかもしれない・・」とか、「あそこは、例外的にやっぱり混んでいるかもしれない・・」と目の当たりにするまでは、どうかわからないな・・と思っていたのですが、類にもれずにそこもやっぱり空いていました。

 このお店がお昼時にこんなに空いているのを初めてみましたが、ラッキーでした。地元のパリジャン・パリジェンヌにも大人気の、とっても美味しいお店です。久々のお気に入りのレストランのランチにとっても満足し、ゆっくり、ゆったりと食事をして出てきたら、サンジェルマン大通りがなんと通行止めになっていて、通りの向こうには行けなくなってしまい、帰りに生ハムを買って帰ろうと思ったのに買えず、「もう今日はやめておきなさいということだな・・」と自分に言い聞かせました。



 この近くでいつもは大混雑しているお店といえば、シティファーマ(CITY PHARMA)というビオコスメのお店があるのですが、そこもいつも大混雑していて、最近では、もう人にぶつからずに商品を見るのが大変なくらい大人気のお店なのです。たしかに品揃えが豊富なうえに、明らかに他よりも安いので無理もないのですが、今回の空いているパリの状況で、さすがにどうかな?と思って行ってみたら、空いている・・というほどではありませんでしたが、やはりいつもよりはずっと人が少なくて、いつもは10個くらいあるレジに行列ができていないことはないのですが、今日は、並ばずに会計ができました。こんなのはじめてです。



 そして、調子にのった私は、「だったら、デパートとかも空いてるかも?」とギャラリーラファイエット(といってもラファイエットグルメですが)にでかけ、やっぱり、いつもよりは、格段に空いている店内で悠々とお買い物・・といってもクロワッサンなどを買っただけですが・・。



 さらに調子にのった私は、パリで(このあたりで)あと、混んでいる場所は・・とセドリック・グロレを通ってみたところ(ここでは買わず・・)、さすがにここは行列ができていたものの、行列の長さがいつもよりも全然短く、やっぱりいつもよりも空いている・・と確信しました。



 人が少ないところは、例年の8月のパリといった感じではありますが、全然、違うのは人が少なくても、お店がちゃんとやっていることで、こんなにいいことはないな・・と思うのでした。8月のバカンスの際には、人出が少ないのを見越して、また、自分たちもバカンスに出かけてしまうために休みのお店も多いのですが、現在は、みんなやっています。

 一時は、テロを警戒して、オリンピック時にはお店は閉めようか?とか言っていた人もけっこういたと思うのですが、実際は、ほとんどのお店がオープンしています。

 しかし、今日は、スーツケースを引いて、来ないバスを待っていて、どうやってホテルまで行ったらいいか困っている観光客を見かけました。運航休止にするなら、ちゃんとアナウンスまたは、せめて張り紙くらいはしたらいいのに、それもなく、途方に暮れていました。

 GoogleMapなどには、通行止めになっている道などもあたかも通れるように出てくるし、タクシーなども簡単につかまる状況ではないので、本当に土地勘がない人には、大変なことだろうと思います。

 しかし、幸いにも暑すぎず、寒くもなく気候のよい日々が続くなか、思いのほかこんなに空いているパリを楽しめていることはラッキーなことです。

 去年までは、この時期までに猛暑・酷暑などと言われるような日があったと思うのですが、今年のパリは幸いなことに、そこまで耐えきれないほどの暑さにもなっていません。

 ところが肝心?の開会式の日、現在の天気予報では今のところ雨・・天気予報もあまりあてにならないし、よく変わるのでわかりませんが、こればかりはどうしようもないですね・・。


オリンピック前のパリは空いている


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2024年7月24日水曜日

環境活動家ポール・ワトソン逮捕で注目される日本の人質司法

  


 今週初めのグリーンランドでの環境活動家ポール・ワトソンの逮捕はフランスで憤りと支持の波を同時に引き起こしています。この男性の環境活動家としての歴史は長く、1977年シーシェパード保護協会(主に反捕鯨)を設立して以来、様々なアクションを起こし、過去にも、数回、数か国で逮捕されています。

 彼のアクションはよく言えば、なかなかパンチがあるもので、捕鯨やアザラシ捕獲などの妨害行為や漁船乗り込みを始め、この反捕鯨を訴えるために、フランス人女優ブリジット・バルドーをカナダ北部の流氷に連れて行き、アザラシの赤ちゃん狩りを非難するアピールを行ったりと広報活動にも長けています。

 しかし、その行動はなかなか強引で時に破壊的、暴力的でもあったりしていることから、1979年には、カナダのセントローレンス湾で1000頭のアザラシの屠殺を阻止した際に暴力をふるったとして逮捕、1983年、ポール・ワトソンと彼のチームはシー・シェパード2号でニューファンドランド州セント・ジョンズ港を封鎖。

 10 年後、シーシェパードはクリーブランド・アモリー号を購入し、ニューファンドランド島のグランドバンクからキューバとスペインのトロール船を捕獲。

 その度に逮捕され、裁判が行われ、懲役刑などが課されていますが、結果的には、裁判所側が告訴を棄却したりしています。

 その後、1997年には、オランダで再び逮捕。ノルウェーは捕鯨船ニブレナ号沈没の罪で同氏の身柄引き渡しを要求し、彼は120日間拘留されましたが、オランダの裁判所が彼の引き渡しに反対したため最終的に釈放。

 彼の環境活動家としての活動には、その都度、賛否両論の嵐が起こってきましたが、2000 年、タイム誌は彼を 20 世紀の最も優れた環境擁護者 50 人の中に「エコロジーの英雄」として選出しています。

 彼の訴えによれば、「動物を殺そうとしている人の装備を破壊するのは、非暴力行為だ」そうです。

 しかし、2012年コスタリカのサメ漁船に対する航行妨害容疑のためにドイツで再び逮捕されますが、保釈中に彼を強く支援する者と出会い、逃亡していました。

 そして、彼は2024年7月21日にグリーンランドで逮捕、コスタリカはこの訴えをすでに放棄していますが、日本は調査捕鯨を妨害した容疑で海上保安庁から国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配中でした。

 俗にいうインターポールの赤通知が出されていたわけです。

 2016年の段階で、ポール・ワトソンは日本の国際手配について、「日本は違法捕鯨活動で国際司法裁判所から非難されているにもかかわらず、私を国際刑事警察機構のレッドリストに載せる経済的・政治的権力を持っている」と逆に日本の国際手配を非難しています。

 日本での彼の調査捕鯨妨害というものがどのようなことであったのかは、わかりませんが、彼については賛否両論がある中、グリーンランドが彼を日本に引き渡すかどうかが注目されています。

 捕鯨問題といえば、日本が矢面に挙げられることが多い気がしますが、今回はこの捕鯨問題云々以前に、日本の司法制度と刑務所制度は人権NGOによって非常に定期的に非難されており、2023年5月に発表されたヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書は、日本の「人質司法」制度は、容疑者から適正な手続きと公正な裁判を受ける権利を奪っていると指摘されています。

 ポール・ワトソンは8月15日まで拘留されますが、グリーンランドはデンマーク自治領であるため、デンマーク法務省が日本に引き渡すかどうか決定します。マクロン大統領は、彼の引き渡しを阻止するために状況を注意深く監視し、デンマーク当局に介入しているとエリゼ宮が発表しています。

 つまり、この環境活動家の逮捕と同時に日本の人質司法制度が痛烈に非難されているという状況でもあるのです。


環境活動家 ポール・ワトソン 日本の人質司法


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2024年7月23日火曜日

パリは想像以上にガラガラ・・パリジャンはパリにいない・・観光客もあんまりいない・・

  


 いよいよオリンピックを今週末に控えて、パリは一層、動きづらくなり、私も昨日、通行証を用意していなかったために通してもらえず、行こうと思ったところに行くのを断念し、まあ、どうしても行かなければならないというわけでもなかったので、急遽、予定を変更して、別の場所に行きました。

 一時、アラート(エリアによっては通行証なしには通れなくなるので、通行証を取っておくようにというお知らせ)が来た時に、通行証を取ろうとしたのですが、通勤用などならいざ知らず、いつ、どこに行くという明確な場所や理由が必用で、その時々に自分の都合で動いている私はあらかじめ予定を決めきれず、この通行証をとっていませんでした。



 「パス(通行証)がないなら、少し待ってください・・」と警備にあたっていた警察官に言われたので、「いつまで待つのですか?」と聞いたら、ニッコリ「土曜日までね・・」とのこと。ずいぶん、待たなければなりません。

 この通行止めのちょっと手前にコカ・コーラがやっているフードフェスのような大きな会場があったので、「じゃあ、せっかく近くまで来たのだから、こっちを覗いて行こうか・・」と思って入ってみたら、大きな会場に人がまばらでガラガラ・・。これ?ほんとにフェス???






 それでも入口には警備の人がいたので、「あんまり人が来てないですね・・」と言ったら、苦笑いしながら、「19時からはDJが来る予定だから、もう一度、夜に来てよ!」と。

 せっかくこんなに大きな会場を用意してフェスとかやっているのに、こんなに人が来ないなんて、コカ・コーラも大赤字だな・・と思いつつ、どうやら、パリは本当にかなり人が少ないようで、メトロも空いているし、その割に、駅などには、行列対応の赤いテープが貼られていたり、やたらと警備用の警察官が控えているのですが、通常よりも全然、人がいなくて、なんだか手持ち無沙汰な感じで携帯を眺めて話したりしています。むしろ、お客さんよりも警察官の方が多そうな感じの駅というのも、なかなか微妙です。

 例年、夏になるとパリジャンはバカンスにでかけて、多少、パリも空いてくるのですが、それも本格的に空くのは8月の話。しかも、それともちょっとまた違う不気味な感じです。まだオリンピックは始まってはいないとはいえ、オリンピック目当ての観光客がそろそろ増え始めてもよさそうなのに、そんな兆しもまだありません。

 我が家の近所にあるホテルなども、さぞかしお客さんがいっぱいになって大変だろうと思っていたのですが、未だにそんなにお客さんが増えている感じもしません。パリのホテルが満杯になるには程遠いとの報道もあります。


 特にパリの中心部はそんなふうに通行止めになっていたりするために身動きもとれないので、レストランやお店などもほぼ開店休業状態のようで、大打撃を被っているようです。

 

 観光客とて、やたらとホテルなども値上がりし、メトロなどの交通機関も倍近く値上がりし、こんなに身動きとれないとすれば、今週は特に来なくて幸いだったことでしょう。

 これを見越して、バカンスに逃避行したパリジャンたちは、想像以上に多くて、彼らもまた、正解だったかもしれません。

 なんだか報道では、いよいよオリンピックを盛り上げようと聖火リレーの行方を追ってみたり、マクロン大統領が選手村を訪れて、選手たちと選手村で食事をしてみせたりして、激励している様子を映し出したりしていますが、「そんなことなら、通行止めの煽りを受けて、閑古鳥が鳴いているレストランに行ってあげなさいよ!」などと思います。

 予定していた場所に行けなかったので、従姉妹がこんなのパリでやってるよ!と教えてくれた「La Plus Grande Peinture au Monde PARIS 2024」(世界で一番大きな絵)という日本がやっているという催し物に行ってみたら、案の定、こっちもガラガラで、ほとんど人がいませんでした。



 まあ、それこそコロナ時のロックダウンの時に近い今のような状況というのは、そんなにないタイミングで、ここまでパリから人が消えることを予想できなかったのは仕方がないですが、それにしても、かなりお金もかけているると思うのに、こんなに人に見てもらえないのも、いかにも気の毒。

 しかも、オリンピックの開会式の前日に終わってしまうとのことなので、このオリンピックロックダウンとまるかぶり・・さきほどのコカ・コーラのフードフェスは9月8日までらしいので、オリンピックロックダウンが解除された後は、そこそこお客さんの入りも期待できると思いますが・・それにしても、1週間以上の売り上げが大幅赤字というのは大打撃にちがいありません。

 私としても、ふだん、利用しているバスが極端に本数が減り、ルートも変わっていたりするために、どこかにでかけるのも、ものすごく遠回りして時間もかかるのですが、その分、メトロなどは空いているのは、少しだけ気分はよいです。

 この際、このタイミングを逆手にとって、いつもは混んでいて、行くのを断念しているレストランなどに行ってみようかと思っています。


パリ オリンピックロックダウン


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2024年7月22日月曜日

フランスでの甘いお醤油と辛いお醤油

  


 私が別で書いた記事の中でお醤油の話がちょっとだけ登場していて、フランスのお醤油には大きく分けて?甘いお醤油と辛いお醤油というものがあって、お寿司にまで、その甘いお醤油をかけて食べる人もけっこういて、しまいには、その甘いお醤油をご飯にかけて食べる人もいる・・という話を書いたら、それにビックリしたという感想をもらって、もうなんか、私の中では、驚かなくなっていることに反応があって、「そうか・・いつのまにか、慣れてしまったけど、そういえば、最初はビックリしたな・・」と思い出したので、その時の話とお醤油にまつわる話を書こうと思います。

 私がフランスに来たばかりの20年くらい前は、お醤油というものは、フランスの一般的なスーパーマーケットでは、あんまり存在感がなくて、よ~く探してみれば、中国製のよくわからないもの(知らないもの)があるくらいで、日本食材店やアジア系のスーパーマーケットにいけば、キッコーマンもあるかな?というくらいでした。

 それからしばらくして、フランスにもSUSHIブームがやってきて、ある時期から、お寿司屋さん(といっても中国系の人の経営するチェーン展開のお店でいわゆる日本のお寿司屋さんとは、ちょっと違うサーモン中心の焼き鳥なども置いている感じのお店)が一気に増えてきて、当時は、珍しくもあり、また日本食恋しさも手伝って、たまに行くことがありました。

 その手のお店では、お寿司に焼き鳥が組み合わせてあるセットのバリエーションがけっこうありました。

 これ以上、小さく切れるか?と思うほど小さく、さいの目に切ったお豆腐の入った薄いお味噌汁にこちらの固いキャベツを機械で細~く千切りして、小学校の時に家庭科の授業の調理実習で作ったようなドレッシングがかけてあるサラダがついていて、なぜかお寿司なのに白いご飯もついてくるという不思議なセットメニューがけっこうありました。(最近は、その手のお店には行っていないので、今はどうなのかはわかりませんが・・)

 その手のお寿司屋さんには、甘いお醤油と辛いお醤油(辛いといっても甘くないお醤油ということで、ふつうのお醤油)が置いてあり、甘いお醤油は焼き鳥のたれのように焼き鳥に追いダレのように使うものなのかな?と私は思っていました。

 ある時、娘と二人でそのお寿司屋さんで食事をしていたところ、近くにいたフランス人が甘いお醤油をお寿司につけようとしていたので、「えっ??違う違う!教えてあげた方がいいかな?」と思ったのですが、「まあ、一つ食べれば気が付くだろう・・」と、ちょっとビックリする様子を半ばちょっと楽しみに見守っていたのでした。

 すると、その女性は、何も驚くことなく、次のもう一つのお寿司からもその甘いお醤油をつけて食べ続けたのには、こっちがビックリでした。そして、最後には、お寿司なのに、なぜかついてくる白いご飯に、その甘いお醤油をかけて、美味しそうに平らげていたのです。

 もともと、フランス人は一つ一つのお皿を順々に食べ進めていくという食べ方をする人が多いので、お味噌汁を飲んで、サラダを食べ、お寿司、焼き鳥、そしてご飯という風に順々に食べることが多く、どれも同時にちょっとずつ食べるということをあんまりしないので、最後に甘いお醤油でご飯ということになるのかもしれません。

 その後、その手のお店に行く度に、フランス人はこんな風にお寿司セットを食べているのを見かけることが多くて、いちいち、そんなことにも驚かなくなっていました。

 お寿司ブームがさらに進むと、どこのスーパーマーケットに行ってもお寿司が並んでいるようになり、それと同時にあたりまえのように日本のお醤油もスーパーマーケットに並ぶようになっていったのです。

 今では、それに乗じて、甘いお醤油、辛いお醤油だけでなく、TERIYAKIソースとか、YAKITORIソースとか、中にはポン酢までおいてあるところも出てきました。

 スーパーマーケットでお寿司の試食販売をしている際などは、ひとくちサイズのお寿司とともに、2種類のお醤油があって、「試食しませんか?お醤油は、甘いお醤油、辛いお醤油どちらにしますか?」と聞かれます。

 ということは、フランス人には、かなりの割合でお寿司に甘いお醤油をかけて食べる人がいるということです。

 私自身、個人的にはお寿司に甘いお醤油をかけるのは、ちょっと受け付けられませんが、まあ、人それぞれ、好きなように食べればいいので、別にそれを推奨することはしませんが、否定もしません。

 世界各国のお料理は、その土地のそのままのものが伝わっているとは限らず、少なからずその国の嗜好に寄ったものになっているということはあることですが、お寿司に甘いお醤油というのもフランスの定番として、定着してしまったと思われます。

 また、蛇足ですが、娘が日本で一人で生活を始めてすぐに、一番、驚いていたことは、「お醤油ってこんなに安いものだったの??」ということでした。

 それくらい、フランスではお醤油は高いのです。


フランスの甘いお醤油と辛いお醤油


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2024年7月21日日曜日

オリンピック開会式のセレモニーに登場予定のダンサーたちが当日のストライキを予告

  


 今回のパリオリンピックは、パリ住民はもちろんのこと、それに関わる人々に大きな負担を強いていますが、特に開会式当日のセーヌ川を舞台にした壮大なパレード計画は、ことのほか、この負担を大きくしているように思います。

 このパレードが行われる周辺の通行止めや交通規制は、このセレモニーのために、広大な範囲に及び、パリ市内は、厳戒体制に近い、移動が制限されている状態にあります。

 先日、セーヌ川を200隻のボートが行進するリハーサルが行われたようですが、たしかに、これがとどこおりなく成功すれば、素晴らしいものになるに違いないと思いつつ、その1日のために、これだけ不自由な思いをしなければならないのか?とも思ってしまいます。

 そもそも、この警備にあたっている警察官や憲兵隊なども、もうずいぶんと早い段階で、オリンピック期間中に働くことを盾に様々な要求をつきつけ、ストライキなどを行った結果、賃上げや特別ボーナスなどを獲得し、関係する公的機関などは、すでにほとんど、この手のストライキを伴う交渉は終了しているものと思っていました。

 ところが、ここに来て、舞台芸術家組合(SFA-CGT)は、(オリンピック開会式に出演する予定のダンサーたちのギャラ等の不平等な扱いへの抗議)パリオリンピックの開幕日である7月26日、また8月28日のパラリンピック開会式のリハーサルのためのストライキを通告しています。

 オリンピックまで1週間を切った段階でのストライキに、さすがにこのタイミングで要求を突きつければ、通らないわけはないな・・さすがフランス、すごいな・・と思ったのですが、この労働条件のバラつきは、実際に、なかなか深刻な状態であったようです。

 舞台芸術家組合がAFP(仏報道機関)に訴えた報告によれば、断続的に募集されていた3,000人のダンサーのうち、250人から300人が無報酬で雇われているほか、その報酬は60ユーロから団体交渉の恩恵を受けた人の1,610ユーロまでとバラつきがあり、強い不平等、差別的扱いについても批判しています。

 7月初めに2回の交渉会合が行われたが、目立った進展は得られなかったということで、すでに交渉の機会がもたれていたにもかかわらず、状況は改善されていないという、このままなあなあに進められてしまいかねない、切羽詰まった状態であったことがうかがえます。

 これに対し、2024年パリオリンピック組織委員会は、労働条件の問題を非常に真剣に受け止めており、パナメ24(このセレモニーの舞台のサービスプロバイダー)はダンサーの労働協約を尊重しており、報酬は従来の最低額よりも高くなるだろうと断言。 

「検証の結果、サービスプロバイダーのパナメ24は、ダンサーという職業に適用される労働協約を適用することで、法律を厳格に遵守していることが確認できました」と主催者の代表者は付け加えていますが、ハタから見ている私でさえ、「それができていないから、抗議しているのでは??」と思ってしまいます。

 オリンピック開催にあたっては、巨額の費用が費やされていることは言うまでもありませんが、正直、こんなもの必用、こんなこと必用?ということにも、相当な金額が割かれており、それでも、それで賄えるならばともかく、ダンサーを無報酬で雇う?(無報酬の場合はふつう雇うとは言わない)、末端?の労働者に払うべきものを払わずに費用を削るのは、あり得ない・・もしかして、そのプロバイダー業者の中抜きでは???などと日本のオリンピックの後の騒動を見ていて、想像してしまいます。

 どちらにしても、これだけの騒ぎになれば、実際に彼らがストライキを実施してセレモニーに支障をきたすということはないとは思いますが、声をあげなければ、隙あらば、弱者が痛い目に遭う可能性が高いということが表面化した一例ではないか?と思うのです。


オリンピック開会式セレモニーダンサー 当日ストライキ予告


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2024年7月20日土曜日

エマウス(フランスの慈善団体)の創始者 アベ・ピエールからの性的暴力が発覚

  


 今、フランスはさすがにオリンピック開催まで1週間を切って、オリンピックにまつわる話題が続々と持ち上がっているし、同時に国民議会がどうにもしっくり落ち着かない話題などのニュースに湧いています。

 しかし、そんなニュースの中に見過ごせないニュースがあったので、様々なニュースに埋もれてしまわないように書いておくことにします。

 フランスにいて、おそらく「アベ・ピエール」という名前を知らない人は少ないと思いますが、彼のもともとのルーツはカトリックの司祭でその後、修道院長を経て、現在、フランスでの慈善活動の大きな柱の一つとなっているエマウスやアベ・ピエール財団を設立した人物です。

 彼は、すでに2007年に94歳で亡くなっていますが、この財団は今もフランスの慈善団体の代名詞のような存在で、現在でも、貧しい人々の司祭として多くの人々の共通の記憶に残っている、長い間フランス人に人気の人物であり、ホームレスや劣悪な住居の人々の擁護者という聖人・偉人に相当する人物でした。

 しかし、ここへきて、彼から性的暴行を受けていたという女性の証言が公になり、現在のアベ・ピエール財団の代表がこの事件について発表しています。

 ことの発端は、昨年2月、「ピエール修道院長による女性への性的暴行を報告する証言」の報告書が提出され、この事件を解明するために、暴力防止を専門とする独立系企業が内部調査を依頼されています。

 この調査により、現在7人の女性が証言しており、「1970年代末から2005年にかけてアベ・ピエールが犯した性的暴行またはセクハラ行為」を報告しています。本人がすでに他界していることから、本人からの事情聴取は不可能であることは言うまでもありませんが、この犠牲者たちや周囲の人々の証言から、報告書は、「年齢差、ピエール修道院長の地位、そして一種の「偶像崇拝」によって培われていた支配の一形態、彼と民衆との間の従属的な関係が存在していたこと」、「隠蔽されていた可能性」も指摘しています。

 どこか、日本のジャニーズ事件にも通ずるところがあるような気もするこの事件ですが、彼が貧しい人々、弱い立場の人を救う聖人のような存在であっただけに、その弱者に対して行っていた行為は、余計に許しがたいものです。

 現在のアベ・ピエール財団の代表がインタビューに応じ、沈痛な面持ちで彼に対する怒りと悲しみを語っていますが、独立系企業の内部調査によれば、この問題は、すでに財団の中では既知の事実で、1992年、告発者の一人が当時の指導者らに通報、「秘書たちがピエール修道院長に注意するよう警告されていた」と報告されており、また、この事実に関して、内部職員は、まったく動じず、アベ・ピエールは「年をとり、本能を抑えるのが難しくなった」と本人も認める発言をしていたと記されています。

 1970年代末から2005年にかけての長期間にわたる告発者が存在する以上、犠牲者は、今回証言している7人だけということは考え難く、結果的に周囲も本人に注意できずに、この犯罪が続いてしまっていたことを示しています。

 アベ・ピエールは亡くなる2年前、著書「神様…なぜ?」の中で「自分の人生を神に捧げても、欲望の強さは何も減りません。私はたまたま一時的に欲望の強さに負けてしまったことがある」と意味深な告白をしています。

 神に最も近い存在と思われ、ほぼほぼ絶対的な地位を確立したとき、やはり彼は神ではなく、最も卑劣な人間であったと言わざるを得ません。

 「私たちが特定した被害者たち、そしておそらく名乗り出るであろう被害者たちを全力で支援したい」と現エマウス代表は語っていますが、本当に真剣に彼女たちの支援に取り組んでほしいと思います。


アベ・ピエール エマウス 性的暴力


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2024年7月19日金曜日

特別警戒中のパリ 驚異的な数の警察官・憲兵隊と交通機関の混乱と・・

  


 ここ数日のパリは、驚異的な警察官、憲兵隊の数で、特に通行証がないと立ち入れなくなったセーヌ川沿い近辺だけでなく、いわゆる中心地といわれる地域には、警察官(や憲兵隊)の数が半端ありません。

 それだけの警備隊がいるのだから、当然、警察車両や憲兵隊の車両などの展示会のようで、交代勤務なのか、チラッと中を覗いてみると、これまたけっこうな数の警察官や憲兵隊が待機しており、昼休みだったのでしょうか?けっこう和気あいあいとトランプをしたり、チェスをしていたりして、意外に和やかな雰囲気なんだな・・と思いましました。



 とにかく、中心地を歩いていると、30mおきくらいに7~8人の警察官の軍団とすれ違うし、もちろん、メトロの駅の構内でも、四六時中、警察官が巡回しています。



 昨日、パリ市庁舎の近くで、そんな様子の警察官を半分、おっかないな・・という気持ちで見ていたら、すれ違うときに、警察官の一人がいたずらっ子のように「わっ!」と大声をあげて私を驚かし、まんまと私がそれに反応して、「ひゃ~~!」と叫び声をあげたら、一緒にいた女性警察官が「サバ?マダム?」と手を握って、落ち着かせてくれました。まったく小学生みたいなことをする警察官までいます・・。




 まあ、たくさん警察官がいても、そんな悪ふざけができるくらい平和な感じなんだな・・と思っていたら、たまたま私は、危険な目に遭遇していないだけで、やっぱり、そこそこ色々な事件が起こっているようで、警備が厳しいから危険な人が発見されるのか?過剰反応を起こすのかわかりませんが、昨日もシャンゼリゼ近くのルイ・ヴィトンの警備員が危険人物を見つけて通報したところ、その危険人物が通報されたことで興奮し始め、駆け付けた警察官の耳をナイフで切りつけたというものです。


 あれだけ警察官がいるのですから、そんな中、なにかをやらかそうと思うこと自体、どうかしているとも思いますが、だからこそ凶器などを取り出して攻撃的になる人もいるということで、どちらにしても物騒ではあります。

 また、パリ市内のナション駅で爆発物ベルトを装備した可能性のある男がいるとの通報で警察が出動し、大騒ぎになり、乗降客に避難命令が出て、一時は、交通機関もストップするという事件が起きましたが、約1時間、駅構内での捜索が行われた結果、不審な人物はおろか荷物さえも発見されず、結果的には、腕にギプスを巻いただけの男がいたということだったようで、明らかに過剰反応というか、ピリピリなところもあります。

 また、昨日から閉鎖されているメトロの駅や通行止めとなっている場所が多々ありますが、事前に発表されていた交通機関の閉鎖だけでなく、知らされていなかったバスが運行停止になっていたり、迂回になっていたりするところも多々あるようで、私も思っていたバスに乗れずにエラい目に遭いました。

 違うルートのバスに乗ろうと延々とバスを待っていたら、当然、同じようにバスを待っている人が山ほどいて、皆、くちぐちに、「オリンピックのおかげで・・まったく、やってられない!!」と話していました。

 パリの街中は、今のところは、まだ、むしろ、例年よりは、人が少ないかも?と思うような場所もけっこうあるのですが(まあ、これだけ動きづらければ、当然のような気もしますが・・)、これが、いつ?グワッと増えて、収拾がつかなくなるのか?と思うと空恐ろしい気もします。

 現在のところは、住民でえさえも、具体的なオリンピックによる不便さを実感していなかったままの多少の混乱・・といった感じなのですが、これにオリンピックのための観光客が急激に増えた場合、ちょっと恐ろしいことになるのでは?と懸念しています。


パリ特別警戒中


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2024年7月18日木曜日

約束どおりセーヌ川で泳いだパリ市長とセーヌ川周辺の今

  


 選挙のために延期されたとされていたパリ市長のセーヌ川での水泳デモンストレーションが約束どおり7月17日の朝に行われました。幸い好天に恵まれ、水温20℃という条件の中、パリ市長アンヌ・イダルゴは、パリオリンピック組織委員会会長トニー・エスタンゲ氏らとともにセーヌ川に飛び込み、泳いでいる様子がマスコミに公開されました。

 彼女が「セーヌ川で泳いで見せる!」と公言したとき、妙な話ですが、私は、彼女はどんな水着を着て現れるのだろうか? 水着姿を見せるの?と思ったのですが、彼女が着ていたのは、半そで、膝まであるウェットスーツでした。

 とはいえ、彼女はゴーグルをつけて、顔を水につけてクロールで泳いで見せたりして、また、その泳ぎっぷりもなかなか泳ぎ慣れている感じの泳ぎ方だったのには、水の安全性云々よりも思わず注目してしまった感じでした。


 問題にされていたセーヌ川の水質については、7月に入ってからは、危険とされていた基準値を下回るようになったとのことで、この日は、パリ市長だけでなく、地域の水泳クラブのメンバーが招待されて、一緒に泳いでいました。

 こういうご招待もなかなか受けた方は微妙な気がしそうです。

 その同日に、セーヌ川近くを少し歩きましたが、本当にお天気がよい日のパリはきれいで気持ちよい!と思いましたが、セーヌ川に目を落とすと、天気の良い分だけセーヌ川の濁った水の色が強調される感じで、「彼女は本当にここで泳いだのか・・・」とギョッとする気もちにもなり、まさに、パリ市長として体当たりのデモンストレーションだったな・・と感心させられました。

 セーヌ川沿いは、例年ならば、パリプラージュとなっているところは、ほとんどの場所が通行止めで工事中になっており、遠くから川に向かって歩いていたら、建設中の観客席が見えて、「あんなところに観客席?」何の競技をこんなところでやるんだったっけ?と思ったら、セーヌ川の橋の上にできているセーヌ川で行われる開会式のパレードを見るための客席、また、セーヌ川の川岸にもこのパレードを見るための観客席がたくさん建設中でした。



 橋の上の客席は赤、川岸の客席は白、これでセーヌ川がブルーだったら、もっときれいなのでしょうが、セーヌ川の色はよく言えば、緑、というか深緑??まあ、天気がよければ空はブルーなので、これでトリコロールになるでしょうか?

 しかし、しつこいようですが、安全性が一応、保障される数値に下がったとはいえ、ここで泳ぐのは、なかなかアドベンチャラスな感じ・・開会式はともかく、フランスにはもう少しきれいな川もあるだろうに、トライアスロンをはじめ、ここで泳ぐ選手には、かなり気の毒な気がしてしまいます。

 ところで、マクロン大統領もセーヌ川で泳ぐと公言していたのに、彼の水泳大会はまだ行われていません。現在は、選挙結果のために、内閣が事実上のストップ状態で、それどころではないのかもしれませんが、黙ってスルーするのも何だろな?とちょっと、いじわるに思ってしまいます。


セーヌ川 パリ市長 


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2024年7月17日水曜日

パリ東駅でのナイフによる兵士襲撃事件

  


 オリンピックを目前に控えて、パリ市内及び近郊周辺には、日に日に警察官や憲兵隊の姿が増えている気がします。だいたい、パリでの警察官や憲兵隊の警備は、4~5人で固まって行動していることが多いので、彼らの持っている武器や装備を含めて、かなり威圧感があり、物々しい気配を漂わせています。

 街中でさえも、そういった警察官が増えているので、大きな駅などの人の往来が激しい場所だと、閉鎖空間であることもあり、さらに警戒は厳しくなっているようです。

 先日、パリ東駅で警戒にあたっていた憲兵隊の兵士がナイフを持った男に刺されるという事件が起こり、この厳重な警戒体制にもかかわらず、またオリンピック目前に起こってしまった事件として、大騒動になっています。

 この東駅にいた憲兵隊の兵士たちは、サンチネル作戦と呼ばれるテロ対策を目的とした警備隊で、警察関係者によれば、容疑者は自分はクリスチャンだと主張しており、襲撃時には、「神は偉大だ!」と叫んだとされており、「軍が自国で人々を殺害しているため行動した」と主張していると伝えられています。

 つまり、彼の主張によれば、少なくとも、彼は無差別に人を狙ったわけではなく、軍に対しての制裁を加えようとしたということになります。

 しかし、この男、すでに2018年にパリ市内 RERのシャトレ・レ・アール駅で殺人事件を起こしていましたが、精神疾患のため刑事的に無責任であるとされ、当時は、その時点で精神科に入院、治療を行っていたとされていました。

 精神疾患のために刑事責任に問われないということはともかくとして、殺人事件まで犯してしまう危険な人物であるということには変わりなく、その時点から6年が経過しているとはいえ、その危険人物が結果的に野放しにされていたということには、どうにも承服しかねないところがあります。

 今回も東駅で一人の兵士を刺した後、容疑者はすぐに同行していた他の兵士たちにとり抑えられ、逮捕されていますが、即刻、彼の身元が割れ、過去、殺人事件を起こしていた精神疾患を抱える人物であったことが判明し、すぐに精神科に入院しています。

 これが一般市民ではなく、緊急時に身の処し方を心得ている兵士であったことは不幸中の幸いで、大事には至らず、命の危険はないとのことですが、やはり、そのような危険人物が少なからず野放しになっているということは恐ろしいことです。

 今回の事件では、精神疾患のために殺人事件を起こしていた容疑者がなぜ、入院とはいわないまでも、責任のある監督下におかれておらずに、再び凶悪な事件を起こすに至ったのか? このような人物の医療体制における管理問題や、このような判例に対する管理責任問題が問われています。

 オリンピックの警戒のために、フランスには、欧州31カ国を含む約40のパートナー国から集まった合計1,800人近くの外国からの警察官が警備に加わり、オリンピック競技大会警備国家調整(CNSJ)の監督の下、フランス指令の4万5千人の部隊を支援すると言われています。

 彼らの大部分は鉄道駅、空港、そして39のオリンピック会場やスポーツイベントの周辺に配備される予定ということなので、何もパリだけに4万5千人の警察官が集結するわけではないにせよ、狭いパリ市内、いつもにも増して、相当数の警察官が溢れることになると思われます。

 それにしても、このようなナイフによる襲撃事件は、駅とか空港とかで定期的?に起こるようなのですが、容疑者たちは、より警備が厳しいこのような場所をなぜ選ぶのでしょうか?


パリ東駅 ナイフ襲撃事件


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2024年7月16日火曜日

オリンピックが始まる前からすでに渋滞 PARIS 2024 オリンピック関係者専用レーン

  


 オリンピックを目前に控えているとはいえ、まだオリンピックは始まっていないのに、パリ及び、パリ周辺の道路は渋滞が始まっています。

 少しまえから見かけるようになった環状道路や高速道路上の「PARIS 2024」の表示に、これ?どうなるんだろうか? どういう意味なんだろうか?と思っていたら、7月15日から、この表示のあるレーンは、オリンピックのための特別車両専用のレーンになったようで、当然、一般車両は、このレーンを使うことができなくなったために、オリンピック前からすでに渋滞が起こっていると言います。

 ちなみにこの「PARIS 2024」オリンピック専用レーンは、スポーツ選手、認定ジャーナリスト、公式代表団、緊急車両、警備車両、タクシー、救急車、公共交通機関の輸送に認定された車両のみが通行することになります。

 そもそも、空港からパリに入ってくるような、これらの道路等は、何もない状態であっても、ほぼほぼ、いつもどこかで渋滞にぶつかるわけで、それが1レーンが使えなくなっているとすれば、すぐに渋滞になることは、目に見えています。

 この規制は、オリンピック期間が終了するまで続き、周辺道路 約185㎞が該当します。おかしなことに、これにVTC(タクシーとは区別されている運転手付きの移動車両・日本でいうハイヤーのような位置づけ)が入っていないことに、VTCのドライバーたちは、憤っています。

 利用者側もむしろ、タクシーよりもハイレベルのサービスや快適さを期待しつつ、予約するわけですから、VTCを予約したばかりに渋滞に巻き込まれるという皮肉なことになり、予約が減少するのは、目に見えていると嘆いています。

 ちなみにVTCの場合は、事前に金額が設定されており、諸経費がすべて含まれており、また一般的に車も高級車であることが多く、サービスもドリンクがついたり、ネット環境が整っていたり、ハイレベルのサービスであると同時に値段も高く設定されています。

 ただでえさえ、オリンピックなど、付き合いきれないとパリを脱出するタクシーの運転手が続出していると予想されていたのに、ますます、この渋滞問題は複雑になりそうです。

 本来ならば、この際、荷物だけを送って自分は公共交通機関で移動するというくらいが、この時期、一番スムーズに空港からパリ市内に入る最適な方法かとも思いますが、残念ながら、空港から荷物だけ別送するというサービスをパリでは聞いたことがないし、あったところで、これはまた別にその荷物が無事に到着するかどうかで気を揉みそうです。

 このオリンピック専用ルートを無許可で走行している車両が摘発された場合、135ユーロの罰金が課せられます。また、当然のことながら、監視カメラが休みなく稼働しているため、その時は無事に通過できたとしても、後で罰金の請求が来る可能性もあると言われています。

 しかし、一時は、オリンピック関係車両以外は通行止めになるという話もあったので、それに比べれば、まだマシかもしれませんが、とりあえず、この時期、パリに来られる方は、VTC車両の使用には、気を付けた方がよいかもしれません。


PARIS 2024 オリンピック専用レーン 渋滞


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2024年7月15日月曜日

いつもと違うパリ祭からのオリンピックへの一日

  


 フランス人ではない私ですが、パリ祭のパレードは毎年、けっこう楽しみにしています。とはいえ、実際にシャンゼリゼまで見に行くわけではなく、テレビを見ながら、家の窓から見えるトリコロールの噴煙や飛び去って行く飛行機などをテレビやネットと同時に見ながら、喜んでいるだけなのですが、何回、見ても感動します。

 この種のパレードらしきものを他にあまり知らないということもあるのですが、自分がたまに歩くことのあるシャンゼリゼであんな大規模な美しいパレードが行われているのかと思うとなんかワクワクするという、単なる野次馬というかミーハーな楽しみです。

 今年のパレードはコンコルド広場がオリンピックの競技会場に使われるためのスペースになってしまっているので、シャンゼリゼが使えずにアヴェニュー・フォッシュで行われました。

 数日前にこのパレードの受け皿とでもいうべく客席のようなものを工事しているところを見たばかり、全体的には、シャンゼリゼのパレードよりは若干、縮小されている感じで、この観客席からは、凱旋門が正面にはならずに、若干斜めに見える感じになります。

 この通りも充分に美しい通りではあるのですが、やはり、正直、シャンゼリゼのような圧巻な感じに欠ける気がしました。しかし、今回のパリ祭のパレードはもう目前に迫っているパリオリンピックとの融合を目指すと言われてきたので、どんなふうになるのかが見ものだと思っていました。





 パレードの終盤、パリ祭のパレードのハイライトと言われる騎馬隊が表れたと思ったら、そのあとに聖火を持った騎士が表れたと同時にオリンピックカラーのスポーツウエアを着た人々が入場し、五輪の人文字を描きました。




 パレード自体はこのあたりで終わりなのですが、実にここから、この聖火リレーはまだまだ続き、この日は、グランパレ、リュクサンブール公園、オランピア、ヴァンドーム広場、ルーブル美術館、ポンピドーセンター、パリ市庁舎までを悠々と廻っていきました。

 特にルーブル美術館の中を悠々と歩き、時にはオペラ座のダンサーが聖火を受け取り、著名な絵画の前を聖火を持ちつつ優雅に踊りながら進むというなんとも芸術性の高い聖火リレー、それらを「どうだ!」と言わんばかりの(いや、言っていた・・)解説付きで放映していくのですから、フランス人の美意識の高さと誇りを見せつけられている感じがしました。

 この日の聖火リレーの最終ポイントとなっているパリ市庁舎前では、夕刻からオペラなどのコンサートを開催しており、パリ祭とオリンピックというお祭りを一気に盛り上げる感じが満々です。

 一方、この晴れやかなお祭りのときに、落とすようで何なんですが、パリ祭の日には、あちこちで花火があがるとともに、車が燃やされたりもするパリでもあります。今年は、すでにオリンピックの警戒がかなり厳しくなっているので、そのようなことが起こりにくいとは思いますが、最悪の場合は、オリンピックのために準備している施設などが危険な目に遭う危険もないとは言えません。

 先週あたりは、むしろ、パリがちょっと空いてきた?とも感じることもあったのですが、こうしてお祭り騒ぎになってくると人がちゃんと集まってきて盛り上がっているので、パリ祭からオリンピックが終わるまで、何ごともなく、無事に楽しく過ごせるといいなと思っています。


パリ祭2024 オリンピック聖火リレー


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2024年7月14日日曜日

パリのスーパーマーケットで拡大し始めた日本みたいなお弁当

  


 日常の食料品の買い物は、大方、近所のスーパーマーケットで済ませてしまうことが多いのですが、私の場合は、一番近いというだけでカーフールに行くことが一番多いです。

 でも、食品によっては、これは、あそこのがいいとか、そんなものもバラバラとあるので、他のスーパーマーケットに行くこともあります。パリ市内だとおそらく一番ポピュラーなのは、MONOPRIX(モノプリ)なのですすが、このモノプリも場所によってはおいてある商品が違ったり、値段も違うので、あまり行かない地域に寄ったりしたときは、一応覗いてみると、意外な発見もあったりするので、こまめに覗いてみるようにしています。

 モノプリとは別に、先日、出かけた先に、新しめの Intermarche(インターマルシェ)ができていて、ちょっと入ってみたら、ほぼ、テイクアウトの食品が中心のお店で平たく言えば、日本のコンビニにもちょっと似た感じでビックリしました。

 その近辺には新しいオフィスビルもできていたりするため、そこで働く人々のランチ用のお客さんがターゲットなのかな?とも思いましたが、そのランチ用のテイクアウトのランチボックスの種類がけっこう豊富なうえに、そのランチボックスの中身が「えっ?ここパリだよね?」と思ってしまうほど、日本のお弁当に近い「ご飯とおかず」みたいなラインナップが多いことにビックリしたのです。

 日本食ブームで一番、先にパリ?に広まったのは、やっぱり「SUSHI」で、少々、日本のお寿司とは違うフレーバー?のものも多いのですが、今やどこのスーパーでもお寿司を置いていないお店はないくらいになりました。

 しかし、ここ最近、それがまた一段階ステップアップした感じで、まるで日本のお弁当?みたいなものを置いているスーパーが増え始めています。

 先日、出先でたまたま、モノプリを通りかかったら、まあ、見事なお弁当の勢ぞろいでさらにビックリしました。そのモノプリ(パリ中心部)は、地上階は、ほぼテイクアウトの食品になっていて、サンドイッチなどよりも、むしろ、お寿司、ポケボウル、トンカツ弁当のようなものや焼きそば弁当のようなもの、サラダ、パスタなどなどの方が多くて、でも、そこはフランスらしく、やっぱりヴィエノワズリーやデザート用のちょっと小さめなケーキなどなどがよりどりみどりな感じでちょっと興奮しました。

 むしろ、日常の食料品売り場は地下になっていて、場所柄というものもあるのでしょうが、このテイクアウトのランチボックスのスペースの拡大は目を見張るものがあります。

 ちょっと前、といっても、5~6年まえくらいでしょうか? フランスに「BENTO」ブームというものがやってきて、パリにもお弁当屋さんというものが増えたり、やたらと「BENTO BOX」とかいって、お弁当箱がやたらと売れるようになったり、ランチは、自分で家からランチボックスに入れて持ってくる・・という人も増えました。

 日本から上陸した「BENTO BOX」は、そのうち、カタチを変えて、フランス人使用のもっと大きなサイズ(フランス人が家で作ったパスタやサラダなどをざっくり入れてくるため大きなものが必用)で、それにフォークやナイフやスプーンがついているものが出回るようになりました。

 それが、ここに来て、スーパーで日本みたいなお弁当の進出・拡大にパリのランチ事情が変化している気がするのです。


パリのスーパーで買える日本みたいなお弁当


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2024年7月13日土曜日

6歳少女誘拐事件とフランスの誘拐警報システム



 セーヌ・マリティーム県(ノルマンディー地域圏)で6歳の少女が姿を消し、母親が警察に通報。事情を説明している、母親によれば、少女はおそらく彼女の元パートナーに誘拐されたであろうと証言していることから、警察はこれは恐らく母親の元パートナーによる誘拐事件である可能性が高いと判断し、捜査を開始、当日、午後6時からは、約100人の憲兵が動員され、機動憲兵や数名の犬隊も出動して捜索にあたっています。

 この警察・憲兵隊の捜索活動に加えて、内務省は、セーヌ・マリティーム川で誘拐された可能性のある6歳児に対し、「誘拐警報システム」が作動したと発表しました。

 警告状には、「セリア、06歳、ヨーロッパ型、ミディアムレングスのダークブラウンの髪、茶色の目、身長1.10メートルの黒いユニコーンドレスを着て、直前の2024年7月12日にサン・マルタン・ド・リフ(76190)の自宅から姿を消した。午後 6 時」と表示されています。

 この「誘拐警報システム」というものは、米国とカナダの AMBER 警報モデルに基づいて、2006 年 2 月にフランスで設立されたシステムで、未成年者の誘拐が判明した場合に、複数のチャンネルで警報をブロードキャストすることができます。

 これは、法務省と主要メディア、大手旅客輸送会社、高速道路会社、港湾、空港、被害者団体との間で締結された協定に基づくものになっています。

 このシステムは、捜査官との協議、控訴裁判所の検察官および法務省刑事・恩赦局からの情報を経て、検察官の決定によって発動されるというなかなかのハードルがあり、時間がかかりそうでもありますが、事件の性質上、緊急性が必須とされるために、通報から3時間以内という一応の規定があるようです。
 
 警報は、司法警察の中央指示、国家憲兵隊、または警察本部によって開始され、警察本部は警報メッセージをさまざまなメディアや公共スペースに送信することになるわけですが、母親の通報、警察・憲兵隊の捜査開始を午後6時とされているので、この情報が流れ始めたのが午後9時過ぎだったので、この規定の3時間以内という規定には、だいたい当てはまっているものだったように思います。

 また、この少女を連れ去ったと見られている母親の元パートナーは、「42歳、1.80メートル、非常にやせた体格、茶色の髪、青い目、ネイビーブルーのゴルフ登録番号7189 WM 76で移動中の男性」と示されています。

 詳細な真実はわかりませんが、彼女の母親によると、彼女はこの元パートナーに刺されて、家を飛び出して、彼から逃げたと説明しており、その後、憲兵隊が現場(彼女の自宅)に到着した時には、事件現場(刺傷事件の現場)にいたはずの6歳の娘が姿を消しており、彼女の元パートナーの男が少女を連れて立ち去ったとみられています。この男は少女の父親ではないということです。

 憲兵隊はセーヌ=マリティーム県内だけでなく、隣接する県にも大規模なネットワークを展開し、県外へのルートを遮断していますが、この3時間以内に彼がどこまで逃げたのか?は不明です。

 いずれにせよ、彼女の証言が真実であるならば、時々、耳にする元パートナーによるDVの狂暴化したケースではありますが、少々、訝しく感じるのは、そのような危険な男のもとに、6歳の娘を置き去りにするものだろうか?という点です。

 幸いにも、私はそのような目にあったことがないので、自分が刺される恐怖というものを体験したことがないので、当人にしかわからないのかもしれませんが、そのような危険な状況に娘を置いてきてしまう・・というのは、ちょっと理解できない気もするのです。

 いずれにせよ、この男が非常に危険な人物であることは、間違いなさそうで、「少女は潜在的に危険にさらされている」と説明しており、誘拐警報では、「子供を見つけたら、介入せず、すぐに 0 800 36 32 68 に電話するか、電子メールを送信してください。alert-enlevement@gendarmerie.interieur.gouv.fr」と呼びかけています。

 夏休みが始まったばかりのこの時期に、こんな危険な目に遭ってしまっている少女がどうか無事で見つかってくれることを祈るばかりです。


フランスの誘拐警報システム


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2024年7月12日金曜日

未だ逃走中のインターポールの赤通知も出ている凶悪犯の目撃情報募集

  



 どんな凶悪事件も時間の経過とともに風化してしまうものではありますが、この事件がたった2ヶ月前だったことに、もはや逆に驚いているくらいでもあります。個人的にはもっと昔のことのような気もするのです。

 ノルマンディーにあるルーアンの南にある高速道路のアンカービル料金所で護送車が襲撃され、刑務官2人死亡、3人重症者を出し、そのまま逃走した囚人モハメド・アムラはフランス国内の手配に留まらず、インターポールの赤通知のトップにのせられるほどの大きな指名手配者となりました。

 世間的に騒いでいたのは、このインターポールの赤通知が出た段階頃のことで、今回の目撃情報を募るという報道が再浮上した段階で、「えっ?まだ捕まっていなかったの?」と思ったくらいでしたが、実際に、未だ逮捕されてはいないようです。

 法務相をはじめとして、事件後比較的すぐの段階では、「捜査は順調に進んでいる」とのことだったのですが、その後に出てきた情報は、彼らは護送車からの逃走に少なくとも2回、車を乗り換えており、その2回の移動段階に使用された車は、その後、放火されており、その後の足取りはつかめていません(少なくとも公表されてはいない)。

 残念ながら、彼らの足取りや手口が少しずつ解明されていく中で、この逃走劇は極めて綿密に計画されていたもので、また、この逃走したモハメド・アムラが司法側が認知していた以上にいわゆる麻薬密売などの組織の中で大きな存在であり、巨大なチカラを持っている人物であったことがわかっています。

 警察側は、2ヶ月経った今、彼らが逃走に使用した車種を公表し、目撃情報を募っています。彼らが逃走に使用し、その後、放火され焼失した車は、黒のプジョー 5008 登録 EY-134-FY、白の AUDI S5 登録 CZ-328-HK と、 BMWブラックシリーズ4登録ED-398-RHであり、これが放火されたのは、ウエットヴィル (am11:20頃)、続いてゴーヴィル・ラ・カンパーニュ(am 11:50頃)であり、これらの車やこの車の周辺にいた人物の目撃情報を募り始めました。

 事件発生後、2ヶ月以上が経過した現在、彼らが逃走中である事実から、彼らはもう国外に逃亡していることも充分に考えられるためにインターポールへの要請まで出ているのですが、もちろん、主な目撃情報があれば、もうとっくに寄せられているであろうけれども、具体的な車種を公表するのが2ヶ月後というのもどうにも遅すぎます。

 事件の痕跡と記憶は時間の経過とともに消えていくなか、なにを今頃言っているのか?と思ってしまいます。

 そもそも、公に明らかになっているのは、モハメド・アムラ氏の独房には、何台もの携帯電話があり、外の世界とのアクセスを自由に行っており、彼は刑務所にいながら、麻薬密売を管理し、誘拐を組織し、刑務所からの武器購入の交渉を行っっていたということで、彼は、大変な危険人物であったにもかかわらず、司法側・刑務所管理者はまったく、この事実を把握していなかったという事実にも全く情けないとしかいいようがありません(警察が)。

 彼は麻薬密売組織の元締めのような存在でもあり、それに付随して武器・銃器の売買も自由に行い、最終的には、刑務所からの逃走を手配し、殺人を指示することもできる大悪党だったわけです。

 フランスでは、日本のように簡単な窃盗などで刑務所に収監されるということはなく、刑務所に入る時点でかなりの凶悪犯罪を起こしていることには、間違いないのですが、刑務所は刑務所で、その犯罪者にも慣れ過ぎていて、ずいぶん扱いが雑なうえに、囚人でさえも、すぐに人権問題などになるために、どこまで、適切に囚人が管理されているのかを疑問に感じるところでもあります。

 また、これだけ彼の凶悪ぶり、地下組織で大きな力を持つ存在であることが、公になってから、目撃情報を募っても、例えば、目撃情報を通告するのにも、彼らの組織の報復を恐れてしまうということもあり得てしまうのではないか?と思わずにはいられません。

 結果的に、彼が逮捕されるかどうかは、わかりませんが、彼の逮捕から逃走までの状況を見る限り、一貫して、彼らの方が警察よりも、ずっと上手(うわて)であった気がしてなりません。


モハメド・アムラ囚人逃走劇 目撃情報募集


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2024年7月11日木曜日

沈黙を破ったマクロン大統領が国民に向けて発表した手紙が波紋を呼ぶ

  


 選挙終了後、マクロン大統領の対応については、エリゼ宮を通して「国の安定をはかるため、現首相のガブリエル・アタル氏の辞表は受け取らず、当面の間、留任を依頼したこと」が伝えられていました。

 しかし、とりあえずは、次期首相が任命されるまで留任とはいうものの、事実上、空席のようなものでもあります。大きなイベントを前に混乱を避けたいのはわかりますが、あるべきものがないままの不安定な情勢は、それがおさまるまでは、「一体、どうなるんだろうか?」という議論が延々と続くことになります。

 そんな中、現在、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席のためにワシントンに滞在中のマクロン大統領は、フランスブルー及び、いくつかの地方紙を通じて、フランス国民に対しての書簡を発表し、それがまた大きな波紋を呼んでいます。

 マクロン大統領の手紙の内容は、第一に「どの政党も過半数に達していないため、誰も勝っていない」ということと、そのために、今後、「強固な多数派を構築するための対話が必用である」と国民に向けて訴えかけ、それが構築され、首相を任命するまでには、今しばらく時間が必用である」というような内容です。

 この中には、可能な限り最大の制度的安定を保証しなければならないため、また、国の主要な原則、明確で共有された共和主義的価値観、実用的で読みやすいプロジェクトを中心に構築され、選挙時に表明した懸念を考慮に入れなければならない・・と説明も加えて、薄めて?ありますが、一番、国民がこの手紙に反応しているのは、「マクロン大統領は、選挙の結果を受け入れていない」ということです。

 過半数には達していないとはいえ、一番、議席を獲得したのは、左派連合が勝ったのです。

 「フランス人が投票で選んだこと、つまり共和党戦線、政治勢力は自らの行動を通じてそれを現実にしなければならない」とも書いているのですが、どうにもすんなりと納得いかない内容でもあります。

 そもそも、誰も頼んでいなかった選挙を強行したのは、彼自身。その結果がたとえ、多数派が存在しないものであったとしても、優劣はついているのですから、どの政党も少数派であり、勝者ではないと彼が言ったとしても、この期に及んで、その話し合いを少数派の政党同士の話し合いに妥協案の構築を投げるのは、無責任だ!という声が上がっているのです。  

 もともと、二期目以降のマクロン大統領政権は、彼の政党が過半数を超えていなくなったことから、ぐらつきはじめ、年金改革などの際にも国民議会をすっ飛ばしての憲法49条3項を使用しての強行突破で、国内は大混乱しました。

 すでに国民議会に多数派がなくなったことは、今に始まった話ではありません。

 いつもは饒舌に国民に訴えかけることを厭わないマクロン大統領からしたら、このような重大な案件に対して、書簡で発表というのは異例のことです。たとえ、海外にいるとしても、同行している彼の陣営や記者たちも少なくないはず、映像で、彼自身の言葉で訴えかけることも、いくらでも可能なところがそれをせずに書簡で発表というのも姑息な感じがしてしまいます。

 なかには、この政党同士の話し合いを投げておいて、それに彼らが失敗するシナリオを国民に見せつけようとしているのでは?などと邪推する人もいます。

 X上などでは、「マクロン大統領は専制君主に変貌しつつある」とか、「気まぐれ!、権力の強奪、不機嫌…この国に住む国民のことなどまったく考慮していない!」とか、「オリンピック期間中にストライキを実施すれば、マクロン氏が動き、選挙後の権力維持のための悪ふざけを止めることができると思いますか?」など、彼を非難するポストが散見されています。

 しかし、彼自身、この国では彼への反感が本当に高まれば、X上の非難だけでは済まないことを身をもってよく知っているはずです。

 問題を先送りにしてよいはずはないのです。

 また、この手紙、問題を各政党に投げて置いて、「冷静かつ全員を尊重してこれらの妥協案を構築するために、政治勢力に少し時間を与える」と、あくまでも上から目線で時間がかかっていることを責任転嫁しているようなところも、国民のカンにさわる気もします。


マクロン大統領 国民への呼びかけの手紙


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