2024年7月13日土曜日

6歳少女誘拐事件とフランスの誘拐警報システム



 セーヌ・マリティーム県(ノルマンディー地域圏)で6歳の少女が姿を消し、母親が警察に通報。事情を説明している、母親によれば、少女はおそらく彼女の元パートナーに誘拐されたであろうと証言していることから、警察はこれは恐らく母親の元パートナーによる誘拐事件である可能性が高いと判断し、捜査を開始、当日、午後6時からは、約100人の憲兵が動員され、機動憲兵や数名の犬隊も出動して捜索にあたっています。

 この警察・憲兵隊の捜索活動に加えて、内務省は、セーヌ・マリティーム川で誘拐された可能性のある6歳児に対し、「誘拐警報システム」が作動したと発表しました。

 警告状には、「セリア、06歳、ヨーロッパ型、ミディアムレングスのダークブラウンの髪、茶色の目、身長1.10メートルの黒いユニコーンドレスを着て、直前の2024年7月12日にサン・マルタン・ド・リフ(76190)の自宅から姿を消した。午後 6 時」と表示されています。

 この「誘拐警報システム」というものは、米国とカナダの AMBER 警報モデルに基づいて、2006 年 2 月にフランスで設立されたシステムで、未成年者の誘拐が判明した場合に、複数のチャンネルで警報をブロードキャストすることができます。

 これは、法務省と主要メディア、大手旅客輸送会社、高速道路会社、港湾、空港、被害者団体との間で締結された協定に基づくものになっています。

 このシステムは、捜査官との協議、控訴裁判所の検察官および法務省刑事・恩赦局からの情報を経て、検察官の決定によって発動されるというなかなかのハードルがあり、時間がかかりそうでもありますが、事件の性質上、緊急性が必須とされるために、通報から3時間以内という一応の規定があるようです。
 
 警報は、司法警察の中央指示、国家憲兵隊、または警察本部によって開始され、警察本部は警報メッセージをさまざまなメディアや公共スペースに送信することになるわけですが、母親の通報、警察・憲兵隊の捜査開始を午後6時とされているので、この情報が流れ始めたのが午後9時過ぎだったので、この規定の3時間以内という規定には、だいたい当てはまっているものだったように思います。

 また、この少女を連れ去ったと見られている母親の元パートナーは、「42歳、1.80メートル、非常にやせた体格、茶色の髪、青い目、ネイビーブルーのゴルフ登録番号7189 WM 76で移動中の男性」と示されています。

 詳細な真実はわかりませんが、彼女の母親によると、彼女はこの元パートナーに刺されて、家を飛び出して、彼から逃げたと説明しており、その後、憲兵隊が現場(彼女の自宅)に到着した時には、事件現場(刺傷事件の現場)にいたはずの6歳の娘が姿を消しており、彼女の元パートナーの男が少女を連れて立ち去ったとみられています。この男は少女の父親ではないということです。

 憲兵隊はセーヌ=マリティーム県内だけでなく、隣接する県にも大規模なネットワークを展開し、県外へのルートを遮断していますが、この3時間以内に彼がどこまで逃げたのか?は不明です。

 いずれにせよ、彼女の証言が真実であるならば、時々、耳にする元パートナーによるDVの狂暴化したケースではありますが、少々、訝しく感じるのは、そのような危険な男のもとに、6歳の娘を置き去りにするものだろうか?という点です。

 幸いにも、私はそのような目にあったことがないので、自分が刺される恐怖というものを体験したことがないので、当人にしかわからないのかもしれませんが、そのような危険な状況に娘を置いてきてしまう・・というのは、ちょっと理解できない気もするのです。

 いずれにせよ、この男が非常に危険な人物であることは、間違いなさそうで、「少女は潜在的に危険にさらされている」と説明しており、誘拐警報では、「子供を見つけたら、介入せず、すぐに 0 800 36 32 68 に電話するか、電子メールを送信してください。alert-enlevement@gendarmerie.interieur.gouv.fr」と呼びかけています。

 夏休みが始まったばかりのこの時期に、こんな危険な目に遭ってしまっている少女がどうか無事で見つかってくれることを祈るばかりです。


フランスの誘拐警報システム


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