2024年7月17日水曜日

パリ東駅でのナイフによる兵士襲撃事件

  


 オリンピックを目前に控えて、パリ市内及び近郊周辺には、日に日に警察官や憲兵隊の姿が増えている気がします。だいたい、パリでの警察官や憲兵隊の警備は、4~5人で固まって行動していることが多いので、彼らの持っている武器や装備を含めて、かなり威圧感があり、物々しい気配を漂わせています。

 街中でさえも、そういった警察官が増えているので、大きな駅などの人の往来が激しい場所だと、閉鎖空間であることもあり、さらに警戒は厳しくなっているようです。

 先日、パリ東駅で警戒にあたっていた憲兵隊の兵士がナイフを持った男に刺されるという事件が起こり、この厳重な警戒体制にもかかわらず、またオリンピック目前に起こってしまった事件として、大騒動になっています。

 この東駅にいた憲兵隊の兵士たちは、サンチネル作戦と呼ばれるテロ対策を目的とした警備隊で、警察関係者によれば、容疑者は自分はクリスチャンだと主張しており、襲撃時には、「神は偉大だ!」と叫んだとされており、「軍が自国で人々を殺害しているため行動した」と主張していると伝えられています。

 つまり、彼の主張によれば、少なくとも、彼は無差別に人を狙ったわけではなく、軍に対しての制裁を加えようとしたということになります。

 しかし、この男、すでに2018年にパリ市内 RERのシャトレ・レ・アール駅で殺人事件を起こしていましたが、精神疾患のため刑事的に無責任であるとされ、当時は、その時点で精神科に入院、治療を行っていたとされていました。

 精神疾患のために刑事責任に問われないということはともかくとして、殺人事件まで犯してしまう危険な人物であるということには変わりなく、その時点から6年が経過しているとはいえ、その危険人物が結果的に野放しにされていたということには、どうにも承服しかねないところがあります。

 今回も東駅で一人の兵士を刺した後、容疑者はすぐに同行していた他の兵士たちにとり抑えられ、逮捕されていますが、即刻、彼の身元が割れ、過去、殺人事件を起こしていた精神疾患を抱える人物であったことが判明し、すぐに精神科に入院しています。

 これが一般市民ではなく、緊急時に身の処し方を心得ている兵士であったことは不幸中の幸いで、大事には至らず、命の危険はないとのことですが、やはり、そのような危険人物が少なからず野放しになっているということは恐ろしいことです。

 今回の事件では、精神疾患のために殺人事件を起こしていた容疑者がなぜ、入院とはいわないまでも、責任のある監督下におかれておらずに、再び凶悪な事件を起こすに至ったのか? このような人物の医療体制における管理問題や、このような判例に対する管理責任問題が問われています。

 オリンピックの警戒のために、フランスには、欧州31カ国を含む約40のパートナー国から集まった合計1,800人近くの外国からの警察官が警備に加わり、オリンピック競技大会警備国家調整(CNSJ)の監督の下、フランス指令の4万5千人の部隊を支援すると言われています。

 彼らの大部分は鉄道駅、空港、そして39のオリンピック会場やスポーツイベントの周辺に配備される予定ということなので、何もパリだけに4万5千人の警察官が集結するわけではないにせよ、狭いパリ市内、いつもにも増して、相当数の警察官が溢れることになると思われます。

 それにしても、このようなナイフによる襲撃事件は、駅とか空港とかで定期的?に起こるようなのですが、容疑者たちは、より警備が厳しいこのような場所をなぜ選ぶのでしょうか?


パリ東駅 ナイフ襲撃事件


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