ラベル <日本> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル <日本> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年8月24日火曜日

パリに日本の駄菓子屋さんみたいなお店ができた!MANGA CAFE KONBINI

   


 ここ2〜3年、ロックダウン等であまり出歩けなかったこともあって、久しぶりにパリの街を歩いていると、「あれ?ここに、こんなお店あったっけ?」と思って、ひょっこり物珍しい気持ちでお店に立ち寄ってみたりしています。

 パンデミックの影響はもちろんのこと、フランスでは、それ以前からテロだのデモだのがあまりに頻繁に起こっていたために、徐々に観光客の足も減少しつつあったところに、パンデミックの大打撃!ロックダウンによる営業停止に対しては、フランス政府の補償はあったものの、ロックダウンが解除になった今、政府からの援助は打ち切られ、かといって、以前のように観光客が戻ってきたわけでもなく、特に日頃は顧客の大半を観光客が占めるお店などは、衰退の一途を辿るのみで、閉店、倒産して、お店を畳まなければならなくなった店舗も少なくありません。

 きっと、パリのガイドブックなどは、大幅に書き換えをしなければならないのではないか?と思うほどです。

 そんなわけで、当然、閉店したお店の後には新しい違うお店がいつの間にかオープンしていて、久々にパリの街を歩いてみると、思いがけないお店を発見したりもするのです。「えっ?ここ前、何のお店だったっけ?と考えてみても思い出せない・・」という私に、「そういうお店だから潰れるんでしょ!」と娘の冷たい一言。

 しかし、みんなに愛されながらも泣く泣く閉店したお店もあるはずです。

 と同時に、消費者側としては、「えっ??こんなお店ができてたんだ!」という新しい喜びもあり、先日、パリを歩いていて偶然、「日本の駄菓子屋さんみたいなお店」を見つけたのでした。

 お店の看板には、「CONCEPT STORE JAPONAIS(コンセプトストア・ジャポネ)」と書いてあったので、日本のコンセプトストアって何だろう?と思って、あまり期待もせずに入ってみたのです。

 なるほど、狭い店内は日本製品に溢れていたのですが、その半分は日本の駄菓子というか、お菓子で、日本の駄菓子屋さんを思わせるような細かいお菓子が所狭しと陳列されていて、懐かしいというほど駄菓子屋さんというものに行った記憶がない私でさえ、思わず懐かしさを感じてしまうような・・それでいて、こんなお菓子あるんだ・・というような新しいものもあったりして、なかなか楽しい空間でした。


  


 日本のポッキー(フランスではMIKADOという名前で出ています)や日本ならではのフレーバーのキットカット、しゅわしゅわっとするラムネの飴やサクマ式ドロップス、ドラえもんやポケモン、スーパーマリオのガム、今フランスで流行っているおもち(mochi)のお菓子、カラムーチョなどのスナック菓子や、カップラーメンやカップ焼きそば、日本のドリンク類、ねるねるねるねやうまい棒まであります。





 半分以上はお菓子などの食品類で、残りの半分は、日本のお弁当箱(近年、フランスではBENTOブームが起こりました)、日本のお箸、靴下、招き猫などの小さなオブジェ、おにぎりを作るケースや保温マグ(魔法瓶)、日本語の教材までおいてあります。


 


 このお店のオーナーはフランス人だそうですが、もともとパリ市内に他に2件、マンガカフェをやっていて、この駄菓子屋さん(だと私は勝手に思った)は、日本のマンガ、アニメ、ゲーム等をコンセプトにしたお店だそうで、そう言われれば、同じお菓子でもマンガやアニメのパッケージのお菓子が多く、そこから商品構成が広がっている感じでした。

 日本の駄菓子屋さんみたいだ!と思った私は、勝手に現地に在住している日本人が多いのかと思いきや、意外にもお客さんはフランス人ばかりでびっくり!しかも、結構な盛況ぶりでした。

 先日、フランス政府がフランスの文化復興のためにフランスの若者向に発行した「カルチャーパス」の使い道のほとんどが「日本のマンガ(MANGA)」で、「カルチャーパスはマンガパスと呼ばれるようになった」という現実からも、このような、日本のマンガ・アニメ・ゲームなどのキャラクターを使ったお菓子にまで人気が及ぶようになっているのには、驚きです。

 日本に一時帰国した際には、いつ行ってもお菓子一つをとっても次々と新製品が新しいフレーバーが登場しているのが楽しみな日本の一部がパリで垣間見えることは、たとえお菓子といえども、なかなか在仏日本人としては、嬉しいお店の発見でした。

 パリにいらした際には、フランス人にウケている日本のものを覗いてみるのも楽しいかもしれません。

 



パリの日本の駄菓子屋さん<MANGA CAFE KONBINI>

営業時間 11:30~19:30(火〜土)、12:00~19:30(日)、月曜休み

61 Rue des Petits Champs 75001 Paris

メトロ 7・14番線 Pyramidesから徒歩3分




<関連記事>

「フランス政府が若者に発行したカルチャーパスがMANGAパスになった!」

「フランスの弁当(BENTO)ブーム」

「パリで今、大人気のラーメン屋さん KODAWARI RAMEN TSUKIJI こだわりラーメン築地」 

 







2021年8月9日月曜日

東京オリンピックの閉会式 パリではみんなが大熱狂だった!

  


 

 東京オリンピックの開催が決定したのは、2013年のことで、「お・も・て・な・し・OMOTENASHI」が流行語のようになったのが、つい昨日のことのように思い出されます。

 翌年に日本に行った時に、滝川クリステルが行ったフランス語のスピーチを「ちょっと、この人のフランス語には、独特なアクセントがある・・」などとのたまった娘が(私には、わかりませんでしたが・・)日本で集まってくれた親戚のおばちゃんたちの前で「おもてなしスピーチ」を披露してくれたりしたこともありました。

 結果的に、周囲のおばちゃんたちには、フランス語が全く通じず、全くウケませんでしたが、日本に行って、わざわざそんなことをするほど、あの時は、東京で開催されるオリンピックを楽しみにしていました。

 すったもんだの挙句に、オリンピックが始まり、あれよあれよという間に閉会式を迎えた今は、「おもてなし」どころか、海外からどころか国内の観客もシャットアウトされ、選手でさえも、ほぼ選手村から出ることができない、一般の日本国民にとっては「おもてなし」のしようがないオリンピックでした。

 東京オリンピックの開催が決まった後に、その次のオリンピックがパリに決まった時には、私にとっては、私の人生の大部分を占める東京とパリが続いてオリンピック開催という状況に、特にオリンピックが大好きというわけではない私でさえも、なんだかすごくラッキーな感じがしたものです。

 しかし、正直、今回のオリンピックを私は、開会式の模様はライブ放送で見たものの、なんだか競技自体は見そびれ続け、競技の結果を見て、「あ〜今日は、これやっていたのか〜!」などと思うことが続いている間にあっという間に終わってしまいました。

 感染状況が日々悪化していく日本のニュースなども見ていたので、どこか、オリンピックを手放しで楽しめる気がしなかったということもあったと思います。

 閉会式の日時はわかっていたので、閉会式は見ましたが、競技内容をほとんど見ていないこともあったのか、セレモニーも開会式同様、なんとなく纏まりも見どころもなく、晴々しいはずのオリンピックの閉会式は、なんとも不完全燃焼のような感じが拭いきれず、「日本は、本当は、もっとちゃんとできるはずなのに・・」と涙ぐんでしまいました。

 オリンピックを通じて、再びコロナウィルスが、パンデミックが憎いと思いました。

 しかし、閉会式の最後にオリンピック旗が東京都知事からパリ市長の手に渡り、東京もパリもどちらのトップも女性なんだな・・などと眺めていたら、マルセイエーズ(フランス国歌)が流れ出し、2024年のパリオリンピックのプロモーションビデオに切り替わり、美しいパリの景色を見ながら、現金なことに、どこかこちらも私のホームであるような、ちょっと誇らしい気持ちになったことも、不思議な感じでした。

 この閉会式の模様をフランス人のオリンピックのメダリストを中心にトロカデロ広場に設置された巨大スクリーンに集まり熱狂しているフランス人の模様は、もはや東京オリンピックの閉会式というよりは、パリオリンピックの開会式のようでした。

  


 このトロカデロ広場での熱狂ぶりが中継されて、「めっちゃ密!」「同じ世界なのか?」「過去の映像かと思った・・」などの声が日本のネット上に上がっていたようですが、この広場に入場するには、「ヘルスパス」のコントロールがあり、これに参加できたのは、ワクチン接種者、PCR検査陰性の人だけで、コロナ禍でも日常を取り戻しつつあるフランスの象徴的な一場面でもありました。

 終いには、エッフェル塔に向けて、トリコロールカラーの噴煙をはきながら飛行機が飛んでくる様子に「まさか、これ、合成じゃなくて、本当に今、飛んでいるの?」と家の窓から、遠くに見えるエッフェル塔を見たら、本当に飛行機は、トリコロールの飛行機雲を放って飛んでいて、ちょっと感動しました。

 閉会式が終わらないうちに、フランスのTwitterのトレンドのトップは東京オリンピックではなく、#Paris2024になっていて、フランスは、早くも2024年のパリオリンピックに向けて大盛り上がりになっています。

 きっと、閉会式の行われている東京では、パリのように巨大スクリーンを設けて、皆で盛り上がることなどできない状態であろうに、パリでは、ヘルスパスのおかげで、こんな光景に誰も驚くことはありません。

 ヘルスパスに反対している人々は、なぜ、パリでこんなことが可能なのか?考えて欲しいです。そしてまた、日本もせっかくのオリンピックをもっと楽しめる方法があったのではなかったか?と考えてしまいます。

 4年毎に行われるオリンピックも東京オリンピックが一年延期されたことで、パリオリンピックは3年後です。いつまで続くパンデミックかわかりませんが、パリオリンピックの時は、普通に何のわだかまりも不安もなく楽しめるようになっていることを心の底から思います。


東京オリンピック閉会式

パリオリンピック


<関連記事>

「東京オリンピックの閉会式はパリオリンピックの開会式みたいだった」

「フランスで見ていた東京オリンピックの開会式」

「柔道は意外とフランスに浸透しているスポーツ フランス人 女子柔道家 クラリス・アグベニェヌ金メダル <フランスの柔道>」

「日本のワクチンパスポートの不思議」



2021年7月29日木曜日

日本のワクチンパスポートの不思議

   


 日本で、7月26日から「ワクチンパスポート申請受付」を開始したというニュースを見て、???と思いました。

 調べてみると、「ワクチンパスポート」の申請には、「申請書」「パスポート(旅券)」「接種券のうち(予診のみ)部分、(接種済証または接種記録書)」の4点セットが必要で、マイナンバーあるいは、本人確認のための書類が必要となるそうです。

 どうやら日本のワクチンパスポートは、「海外渡航者」の利用を前提としており、発行条件として、「実際に海外渡航予定がある人」に限定されているものであり、フランスで言う「ヘルスパス」「ワクチンパスポート」とは、性質が少し異なるようです。

 とはいえ、フランスでは、ワクチン接種をした時点で、すぐにその場でワクチン接種証明書を配布してくれるので、そのQRコードを自分の携帯に読み込めば、それがそのまま「ヘルスパス」にもなり、「ワクチンパスポート」代わりにもなるので、あらためて申請する必要もなく、あっという間に取得できます。

 日本での、ワクチン接種をして、さらにその証明書や他の書類を揃えて、再び申請しなければならないという方法は、渡航希望者の利用が前提とはいえ、ワクチンパスポートを多方面にも活用することを考えなかったのでしょうか?

 すでにワクチン接種が開始されて時間が経っている今からでは、遅いのかもしれませんが、今後、いつ終息するかわからないパンデミックにおいて、さらに多くの人出を介して、「ワクチンパスポート」の申請をしなければならないというのは、なんとももどかしい感じがします。

 本来の日本のパスポートは、世界一のパスポートと呼ばれていますが、現時点で、この「日本のワクチンパスポート」を受け入れる国は、イタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5ヶ国と、隔離免除書発行に必要な書類のうちの1つとして認めるという韓国、エストニア(現時点では、入国後の隔離やPCR検査の必要性がないため実質的には意味なし)だけです。

 フランスは、日本側がフランスのワクチン証明書を認めない(実質的にワクチンをしていても隔離期間が必要とされる)ために、不公平を理由に、現在のところは、日本のワクチンパスポートを認めないという姿勢をとっているようです。(もっとも、フランスでは、日本からの渡航に対して72時間以内のPCR検査の陰性証明書があれば、隔離期間は求めていません)

 日本側では、現在は、オリンピック・パラリンピック関連の入国者対応に追われているために、できるだけ、外国からの入国はしてほしくない、感染対策を強化しているために、たとえ、ワクチン接種済みの人でも、2週間の隔離を強制しているのだと思うのですが、フランスだけでなく、多くの国が日本のワクチンパスポートを受け入れないのは、フランス同様の理由だと思います。

 それにしても、ワクチン接種に際して、ワクチン接種券だのワクチン証明書やワクチンパスポートが紙の書類であったり、最新テクノロジーを誇る日本であったはずなのに、いつの間にか、手間暇も時間もかかるこんな方法を取るようになってしまったのか?と、日本の衰退ぶりが少々、ショックでもあります。

 フランスでは現在、「ヘルスパス(ワクチン2回接種証明書か48時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)」について、色々と揉めていますが、今後、日本は、これ以上感染が拡大し、ワクチン接種も進んでいった場合に、ワクチン接種をした人のみに入場を制限する場所や飲食店のためにワクチンパスポートとは別に、ワクチン証明書が必要になるのでしょうか?

 それとも、そんな制限を設けなくても、日本は再び感染を抑えていくことができるのでしょうか? 

 私は、フランスが「ヘルスパス」を作って、ロックダウンせずにワクチンをしていない人だけをロックダウン状態にして、経済を回していこうとしているやり方は良い方法だと思っていますし、もうそれでさえ、急がなければ、再び深刻な状況になってしまいそうなことも予測されています。

 私がフランスに来た20年前には、「日本だったら、なんでもさっさと色々なことが進むのに・・」とどれだけ思ったかわかりませんが(未だにどうしようもないことも多いフランスですが・・)、どうにも最近の日本、「どうしちゃったんだろう?」と思うことが増えました。

 ことに、ワクチン接種関連に着いては、オリンピックという大きなイベントが行われる、実際にもう始まってしまっているのに、なんで、こんな時間のかかることをやっているのでしょうか?

 フランスと日本では国民性も違い、これまでも日本は、フランスのようなロックダウンをせずに感染を抑えてきた実績があるので、日本には日本のやり方があって、それはそれで回っていくのかもしれませんが、どうにも、もどかしく思えてならないのです。


日本のワクチンパスポート


<関連記事>

「フランス(ヨーロッパ)でのワクチン接種と日本でのワクチン接種」

「ワクチンが驚くほど進んでいないのにオリンピックを開催する日本 オリンピックは「やった者勝ち?行った者勝ち?」

「フランスは、ヘルスパスがないと身動きが取れなくなる! 義務化という言葉を使わない事実上の義務化」


 





2021年7月24日土曜日

フランスで見ていた東京オリンピックの開会式

   


 東京オリンピックの開会式は、フランス時間で午後1時から生中継されていました。

 これまでフランスでは、ギリギリまで開催中止もあり得るとも言われていたせいか、オリンピックの話題に、あまり盛り上がりはありませんでした。

 とはいえ、当日は、エッフェル塔の目の前の広場には、パブリックビューイング会場が設けられ、多くの人で賑わっていました。

 しかし、この場所もヘルスパスなしには、入場できない制限された状態でしたが、この会場では、アルコールの提供も飲食も許され、日本の開会式の様子を「本当に無観客でやっているんだ・・」と驚いている人も多いようでした。

 でも、「ワクチン接種が進んでいない日本では仕方ないのかもしれない・・」と、日本の事情の一部も理解されている様子でした。

 フランスのテレビでも、その1時間ほど前から特番が組まれ、フランスの選手を紹介する映像が流されたり、開会式に参加するために東京に到着したばかりのマクロン大統領がインタビューに登場したりしていました。

 短いインタビューでしたが、マクロン大統領は、相変わらず饒舌によく喋ること・・視聴者のほとんどはフランス人なので、当然といえば、当然なのでしょうが、東京オリンピックについては、申し訳程度で、ほとんどは、フランスについて話していました。

 考えてみれば、私は、これまでオリンピックの開会式というものをテレビでさえ、ライブで見たことはなく、正直、とても複雑な思いで、初めて、私の祖国である日本で行われているオリンピックの開会式をライブ放送で見ていました。

 オリンピックの公用語がフランス語であったことも今さらのように思い出し、アナウンスがフランス語で始まってから、英語、日本語と続くことに、「あ〜、そうだった・・」と思ったくらいでした。

 多くの日本人が反対する中で開始されたオリンピックも開会式を迎えれば、もう、とうとう後戻りができない・・始まったんだ・・というような、どこかしっくり来ない気持ちや、それでも私は、日本に住んでいるわけではないので、日本人のような行動制限や交通制限を加えられているわけでもなく、きっと、私も日本に住んでいたら、また、さらに違う感情を持っていたんだろうな・・と思ったりもしました。

 また、逆に、衛生環境が世界的にも最も優れた日本だからこそ、こんなパンデミックの状況でオリンピックの開催に踏み切ることもできたのではないか? そんなことを思ったりもしました。

 無観客でありながら、無観客であることが目立たなく映るように工夫された場内の客席も、時折、映る、使われることがないであろう座席に備え付けられた飲み物のホルダーなどに虚しさを感じたり、開会式そのものを楽しむということに集中できずに、ぐるぐると色々なことを考えながら見ていました。

 開催までの流れを振り返るフィルムで、オリンピック招致が決定した時の映像などには、さらに複雑な思いを掻き立てられました。そもそもあれが不幸の始まりだった・・と思いながら見た方も少なくないのではないでしょうか?

 特に開会式に登場する組織委員会の面々の誰にも笑顔が見られないことも不自然なような、当然なような妙な思いでした。

 日本語で挨拶する橋本聖子委員長の挨拶の中の「このオリンピック開催を受け入れて下さった日本国民の皆様、開催実現のために、ともにご尽力をいただいたIOC、日本国政府、東京都、関係者の皆さま、ありがとうございます」が「Merci à tous」(皆さん、ありがとう)とだけ、訳されていたことにも、「まあ、そうだけど・・」となんだか、伝わらない気がしたりもしました。

 個人的には、なんとなく纏まりのない流れの演出のような気がしましたが、まあこの際、ギリギリまで色々な騒動があって仕方ないな・・とも思いました。

 おおよそのプログラムと解説は、報道機関には配布されていたのでしょう、フランスのテレビでも進んでいくプログラムを説明していましたが、その中で、「エモーション」という言葉が多いことも、単なる「感動」とは受け取れない、複雑な感情の動きが表れているようで、ことさら耳に残りました。

 フランス人にとって、この開会式で一番印象的であったのは、その後の報道から見ても、1,824個のドローンが東京の夜空に舞いながら、東京オリンピックのエンブレムを描きながら、地球の形を描いていく様子で、「これが日本のテクノロジーだ!」と大絶賛を送っていました。

 そして、報道陣にも知らされていなかった様子のオリンピック聖火の最終ランナーに大坂なおみ選手が登場したことも、これは、様々な意味で素晴らしい人選だったと評されています。  

 フランスでは、今年の全仏オープンで記者会見を拒否して結果的に途中で棄権してしまった曰く付きの大坂なおみ選手でしたが、フランスでは、自分の意思を通した彼女には、わだかまりは感じられず、多くのメディアのオリンピック開会式の報道には、「大坂なおみが聖火を灯し、オリンピックが開幕した!」と見出しに彼女が登場していました。

 おそらく、東京オリンピック開会式のフランスのイメージは、「夜空に舞うドローンでライトアップされた地球」と「大坂なおみ選手」の聖火の灯火として記憶に残ったと思われます。

 さすがに、各国の選手団が入場し始め、選手たちは、満面の笑顔で救われましたが、中には、マスクを誰も着用していない国の選手団も見られて、恐らくマスク着用が義務付けられているであろうに、誰もマスクをしていない選手団に、スタートからこれでは、どうなるんだろう?と思ったりもしました。

  


 フランスの選手団が登場したのは、次回のオリンピック開催国であるためにかなり終盤、それでも、他の国が登場するのとは、全然、違った嬉しさがあり、フランスは私にとって特別な国になっていることも感じました。

  




 そして、最後に登場した日本の選手団に対しても、やはり自分の祖国が登場する嬉しさを当然のように感じ、まるで私が二つの祖国を持っているような気持ちになりました。

    


 この開会式の中継から、フランスのテレビコマーシャルは、一気にオリンピックバージョンのCMに切り替わりました。日本では、オリンピックバージョンのCMは中止することを発表していたTOYOTAもフランスでは、しっかりオリンピックバージョンのCMが流れています。

 日本では放送できない分、海外ではここぞと巻き返しをするTOYOTAの気持ちもいかばかりかとこれまた妙な気分です。

 しかし、フランスでは、華やかな開会式の様子だけではなく、日本国民が未だオリンピック開催に反対してデモが起こっている様子もしっかりと報道しています。

 長いオリンピックの開会式をテレビで見守っていた私は、ちょうど開会式が終わるタイミングを見計らっていたように、新しいメールの着信に急に現実に戻されたような気がしました。

 それは、在フランス日本大使館からのメールで、翌日の「ヘルスパス反対のデモ」のお知らせでした。フランスは、オリンピックをやっているわけでもないのに、新規感染者は2万3千人を突破する急増ぶりで、第4波の波は確実に上昇中のデモです。


<関連記事>

「日本のオリンピックで日本のバブル方式が通用しない理由」

「無観客になった東京オリンピックについてのフランスでの報道」

「フランスの感染状況再び上昇へ転換 今のフランスに感染が減少する理由はない オリンピックは本当にヤバいかも?」

「大坂なおみ 全仏オープン(ローランギャロス)トーナメント撤退発表」

「夏休みの日本への一時帰国」


2021年7月21日水曜日

日本のオリンピックで日本のバブル方式が通用しない理由

  


 遡れば、コロナウィルスがこの世に登場し、それがこんなパンデミックにまで広がる前、最初に世界でコロナウィルスについて騒ぎ出したのは、横浜から出港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗客で香港で下船した男性が新型コロナウィルスに感染していたことが発覚してからのことでした。

 クルーズ船内での感染が拡大し、乗務員・乗客併せて3,713人のうち、712人の感染が確認され、当時は、コロナウィルスの正体もよくわからないままに、クルーズ船内でのクラスターに、日本(アジア)で起こった新しい感染症くらいにヨーロッパでは捉えられていました。

 ちょうど、そんな騒ぎの最中に日本に帰国していた私は、フランスに帰国する際に飛行機に乗せてもらえるかどうか? はたまたフランスに入国できるかどうか心配したくらいでした。

 しかし、帰国当日、恐る恐る羽田空港に行き、ANAのチェックインカウンターに行き、「フランスへの入国は、問題ありませんか?」と確認したところ、「今のところ、フランス側からは、特別な入国条件は提示してきていません」とのことで、飛行機に乗ったものの、それでも疑心暗鬼でいましたが、フランスへの入国は、全くノーチェックで何の問題もありませんでした。

 ただ、フランスに帰国してみると、やはり、日本から感染を運んできているのでは?と感じている人はいるようで、現に留守の間に猫の世話を頼んでいたフランス人などは、家の鍵を返しに来ると、いつもは延々とおしゃべりをして帰るのに、鍵を渡すと早々に退散していきました。

 しかし、それから間もなく、感染が爆発的に拡大したのは、フランスの方で、あっという間に前代未聞の完全なロックダウン状況に陥り、一日中、閉ざされた家の中で救急車のサイレンが絶え間なく聞こえ続く異常な生活が始まりました。

 「日本も油断していると危ない・・コロナを舐めていてはいけない!」などと思っていましたが、日本は、これまでに一度もフランス(ヨーロッパ)のような、深刻な感染拡大に至ることはありませんでした。

 日本では、法律上の問題などもあるのでしょうが、一度もフランスのような完全な罰金を課せられる厳しいロックダウンをすることなしに、感染を抑えられてきたことは、海外から見れば、奇跡的なことです。

 フランス人にそのことを話しても、「日本人は、マスクをする習慣があるからね・・」などと、軽く受け止めていますが、日本で感染をある程度、抑えてこれたのは、マスクだけではなく、日頃からの日常的な衛生的な生活、衛生観念、清潔に身を保つ習慣、規律正しく、規則を守る真面目な国民性などなど様々な要因に支えられてのことです。

 その習慣的に衛生管理に気を配る生活や、はっきりした規則(罰則)がなくとも自粛するということが外国人には、きっと想像もつかない世界です。

 ある意味、日本の方が特別な国なのです。

 ですから、外国人にとっては、日本で非常事態宣言が出ていると言っても、「お店はやっているし、人は街に出ているし、日本の非常事態宣言ってなに??」と意味がわかっていません。

 その上、感染者数は、ヨーロッパなどとは比較の対象にすらならないほどに少ないし、どれだけ日本人がオリンピックのために自粛生活をしているかは知らずに、この程度の感染者数なら、全然OK(あくまでフランスその他ヨーロッパの基準ですが・・)と思ってしまうのです。

 菅総理大臣は、「日本の状況は数字に表れているので、世界に発信すべきだ」と言っているようですが、ただ、数字を発表しても、世界的に見れば、数字だけでは、全く響かない数字で、世界に発信するならば、日本人がどのようにして、これだけ数字を抑えられてきたのかを具体的に説明しなければ、数字だけを発表しても意味がありません。

 むしろ、逆に受け取られかねません。

 オリンピックは、バブル方式とかいう対策がとられているそうですが、これは、あくまでも日本人の常識の範囲内ならば、通用するものであって、世界各国から集まるそれぞれのウィルスに対する衛生対策への感覚や、規則というものをどのように受け止めるかという民度?は、日本人とは全く違うのです。

 これまでは、日本がある程度、感染を抑えることができていたのは、ことさら、この日本人の民度の高さに支えられてきたところが大きく、世界中から人が集まるオリンピックにこれは、通用しません。

 「日本人は政府の意向を示すと多くの人が従ってくれる」と菅総理は言っていますが、(日本人だって、もう我慢の限界に来ているというのに・・)多くの外国人が入ってくるオリンピックでは、それは通用しません。

 オリンピック選手ならば、自分の体調には少なからず、気を配り、もしも感染すれば、出場できなくなることを考えればまだマシかもしれませんが、選手団のスタッフ、マスコミ関係、IOC関係者に関しては、規則をきっちり守るとは、思い難いのです。

 ましてや、オリンピック関係者やマスコミ関係者などは、とかく「自分たちは特別扱い」に慣れている人々で、周りはダメでも自分たちはOKと思って生活している人が多いのです。

 このオリンピック開催にあたっては、海外の人の日常の生活様式や考え方、行動を予測しなさすぎています。日本の中だけでなら通用する素晴らしい日本人の生活の仕方(衛生対策)は、ある意味、世界的には、かなり特別であるという認識に欠けています。

 日本でオリンピック開催反対のデモなどが起こっている様子はフランスのニュースでも報道されていますが、日本のデモは、お行儀がよくて、常日頃からフランスで起こっている激しいデモを見慣れているフランス人にとっては、恐らく日本人の怒りのほどは伝わっていません。

 残念ながら、第4波を迎えているフランスは、1日の感染者数が1万8千人を超え、一週間で感染者数は、2.6倍に増加しているとはいえ、人々は、バカンスを謳歌し、一部の感染が悪化している地域で、レストラン・カフェの営業が23時までの時短営業になっただけで、大ブーイングが起こっています。

 先日、発表されたヘルスパスに反対するデモも度々、起こっており、数万人の人がほとんどマスクなしで、街を練り歩いています。

 多少、厳しい規則でも、はっきりとわかりやすい規則を提示しなければ、バブルには、穴が飽き続けることは明白です。厳しすぎると言われても、一生それが続くわけでもあるまいし、日本人でも今はなかなか行きづらい日本に行っているのだから、日本はオリンピック関係者に対して、もっと毅然と対応すべきです。

 外国人に対して、曖昧な規則は通用しません。

 オリンピックは、2週間とちょっとで終わりますが、ウィルスを撒き散らし、オリンピックのために自粛を強いられ続けている日本がオリンピック後にも、さらに感染拡大に苦しめられるのは、見ていられません。

 オリンピックはやっていないのに、ものすごい勢いで感染が再拡大しているフランスから見れば、オリンピックは恐怖でしかありません。


<関連記事>

「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

「フランス人は、マスクさえしていればいいと思っている・・フランスで感染が拡大する理由」

「コロナ禍で、日本では可能でもフランスでは不可能なこと フランス人に黙食はあり得ない」

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

2021年7月10日土曜日

無観客になった東京オリンピックについてのフランスでの報道

   



 オリンピックを目前に控えた日本で非常事態宣言が発令され、その直後に今年の東京オリンピックが無観客で開催されることになったことは、フランスでもすぐに報道されました。

 「デルタ変異種の出現とともに、感染状況が悪化している日本は、非常事態宣言が発令され、20時以降のレストランの営業も制限(アルコールの提供も禁止)され、コンサート等も21時までに制限され、その上、ワクチン接種も国民の15%しか済んでおらず(2回の接種)、オリンピック選手だけでも1万1千人が全世界から集まるこの世界的な大会において、感染拡大回避のために、オリンピックを無観客で行うことに決定した」「入場できるいくつかの会場でさえも、観客の数は定員の半分を超えてはならない」と伝えられています。


 フランスの感染症の専門家などは、テレビのニュース番組で、「現在の東京の状況を鑑みると、これ以外の選択肢はないと思います」などと語っていたので、「ちゃんと日本が危険な状態は理解されているんだ・・」とちょっとホッとするような感じもしましたが、このオリンピックについては、なかなかの辛口の報道も目立ちます。

 見出しだけでも、「東京オリンピック・どこまで失敗が続くのか?」、「歴史上、最も高額な負債を負ったオリンピック」「密室でのオリンピック」「オリンピック無観客を発表・イライラする決定」などなど、見出しだけでもわかるオリンピックの失敗を匂わせる内容です。


<以下、フランスでのいくつかの報道の内容>

 2011年の津波から10年後に「完全復興大会」を公言してきた彼らにとっては、パンデミックのために、歴史上初めて1年延期になった時点で、一回目のダメージ。そして、延期を決めた時点で、彼らは、「一年後には、コロナウイルスに対する人類の勝利の証としてオリンピックを開催する」と声明を発表しましたが、今年の3月の時点で、海外からの観客をシャットアウトした時点から、再び、影を落とし始めました。

 オリンピック開催は、ギリギリまで決定されず、強引な国際オリンピック委員会(IOC)や煮え切らない菅政府の対応に、国民の多くが最後までオリンピック開催に反対し、オリンピックの開催が「人々を結びつける」どころか、日本列島を分断しました。

 オリンピック開催にもかかわらず、ワクチン接種にアクセルがかかり出したのは、今年の5月に入ってからで、2回のワクチン接種が済んでいるのは、未だ国民の15%程度。

 オリンピック延期を決定して以来、16ヶ月間もの間の全てが不確実な期間をジリジリと過ごした挙句に決定したのは、無観客開催。

 さらに観客をシャットアウトしたことで、チケットは払い戻し、これは、オリンピック収益の15〜20%が失われることを意味しています。これに加えて、無観客になることで、スポンサーが撤退する恐れが加わりました。

 キヤノンや食品大手の味の素を含む十数社の日本企業は、すでにプロモーションイベントをキャンセルし、会場のブースを閉鎖すると述べています。

 この国がオリンピックで呪われたのはこれが初めてではない。1940年、第二次世界大戦のために東京はすでにオリンピックをキャンセルしなければなりませんでした。

 この無観客オリンピックの発表は、8月22日まで東京で緊急事態宣言を復活させるという日本政府の決定の数時間後に行われ、オリンピックの全期間を網羅する措置となります。同時に日本政府はこの期間中に感染を減少させ、緊急事態宣言を解除させるという課題も負ったことになります。

ーーーーー

 フランスでの報道は、概ねこのような内容ですが、つくづく始まる前から「大失敗感」満載のオリンピックが「やれやれ、終わってみれば、めでたしめでたし・・」となる日が来るのかどうか? それとも、この大失敗ストーリーに続編が続くのか、歯に衣着せないフランスの報道は、恐ろしいのです。



<関連記事>

「開催が迫った東京オリンピックについてフランスで報道されていること」

「東京オリンピックについて、フランスでは、日本国民の80%以上が反対していると報道している」

「ロックダウン最終ステージから取り残されたランド県でデルタ株感染が拡大した皮肉な理由 日本も危ない」

「世界中が警戒し始めたデルタ変異種」

「フランスのニュース番組を見ていて思うこと フランスの政治家の話すチカラ」

2021年7月2日金曜日

自分の落としたゴミを拾ったら、びっくりされて、すごく感謝された!

   



 フランス人が日本に行って、びっくりすることの一つに、「公共の場にゴミ箱が少ない」というものがあります。そして、さらに彼らがびっくりするのは、「ゴミ箱が少ないにもかかわらず、街には、ゴミが落ちていない」という点です。

 彼らは言うのです。「あんなにゴミ箱が少ないのに、街にはゴミは落ちていない。一体、日本人はどこでゴミを捨ててるんだろう?」と。

 私自身は、日本にゴミ箱が少ないとは感じませんが、そういえば、パリ市内は、やたらとゴミ箱はたくさんあるような気がします。日本は、地下鉄サリン事件以来、保安上の問題で、確かにゴミ箱は以前よりも減ったようです。

 私自身は、あまり気づいていなかったのですが、最近、ここ数年(といっても、コロナ前の話ですが・・)周囲のフランス人で、日本に行く人が増え、私が日本人だと知ると、日本へ行ったことがある!という人や、知人や家族が日本に行ったことがあるという人が必ずいて、これまで遠い東のアジアの国の一つでしかなかった日本に触れる機会が増え、こぞって日本を褒めてくれるのです。

 日本人の私としては、お世辞が上乗せされていることは分かっていても嬉しいことです。

 おそらく日本人が知っているフランスの情報以上に、フランス人が知っている日本の情報は曖昧なもので、実際に行ってみると、そこは、まるで別世界の新鮮な体験が待っているのです。

 日本の街並みや文化、食事、生活の仕方、眠らない街、時間どおりにやってくる電車、ゴミ箱がないのにゴミの落ちていない街。彼らにとって、新鮮な驚きはたくさんあるのです。

 考えてみれば、私がフランスに来たばかりの頃は、その逆のことに、私もいちいち驚いていたんだと思いますが、今では、もう慣れ切ってしまって、フランスは、こんなもの・・と驚くこともなくなっていました。

 パンデミック以来、スーパーマーケットの入り口には、アルコールジェルや除菌スプレーが備え付けられるようになって、最近、私は、買い物に行くと、備え付けられたキッチンペーパーのようなものにアルコールのスプレーを多めに吹きかけて、買い物の最中にはそれを持ち歩いて、気に掛かるものを触った後には、手を拭くようにするようになりました。

 先日、買い物が終わって、セルフレジに行って、会計を始めようと思った時に、その持ち歩いていた紙をフワッと落としてしまったのに気づいて、その紙を拾ったら、その場を取り仕切っているスーパーマーケットの店員さんに、「ありがとう!」と、大げさに感謝されたのです。

 最初、私は、何に対して、お礼を言われているのか、よくわからなくて、「えっ??」と彼女の方を振り向いたら、「だって、あなたは、落とした紙を自分で拾ってくれたでしょ!そんなこと、滅多にないことよ!」と言われて、さらにびっくりしました。

 私は、自分が落としたゴミを自分で拾っただけなのです。

 このご時世、他人が落としたものを拾うのは、(しかも、他人が使った除菌用の紙などは特に・・)躊躇われるところです。ましてや除菌用に使った紙など、触りたくないに違いありません。

 当初、最初のロックダウンの時から、日常必需品を扱っているスーパーマーケットは、感染がどんなに悪化している状態でも決して閉鎖されることはなく、店員が感染して、死亡したというケースも何件も起こっていました。

 しかし、衛生管理に気を配りながら、きっと、落ちているゴミも拾いながら、彼女は仕事を続けてきたのでしょう。

 ここで、感激してお礼まで言ってくれるのが、フランス人らしいところではありますが、お礼を言われた方は微妙な気持ちになります。

 日本に行ったフランス人が「ゴミ箱がない!」と思うということは、少なくともゴミをゴミ箱に捨てようとしているから、感じることだとは、思うのですが、実際のパリはゴミだらけ。

 パリでの日常の、彼らのゴミに対しての無頓着さと、ゴミ箱がたくさんあるのに、ゴミだらけのパリをあらためて、納得させられる1シーンでした。



<関連記事>

「ゴミの捨て方に見るフランス人のモラル フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はない」

「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

「OSHIBORI - 日本のおしぼり文化がフランスにやってきた!」

「枯れ葉舞うパリのゴミ」

「フランスのシェアハウスでいつの間にか寮長のようになっていた娘」

「フランスのシェアハウスで二年目を迎えた娘は、今年も寮長を続けているのか?」


2021年6月21日月曜日

海外から見ると日本人の食卓はとてもレベルが高い

  


 以前、会社の同僚が子供が小さい頃に日本に子供を連れて行ったら、実家で出てきた朝食を見て、「お母さん、晩御飯みたいな朝ごはんだね・・」と言ったという話を聞いて、「さもありなん」な話だな・・と思ったことがありました。

 現在の日本の家庭の食事というものは、よくわかりませんが、いわゆる、よくありそうな日本の朝ごはんというものは、フランス人から見たら、朝から信じられないような食事です。

 一般的なフランス人の朝食は、パンにバター、ジャム、チョコレートペーストのようなものにコーヒーかカフェオレ、または、シリアル、せいぜいフルーツぐらいですから、日本のようにご飯にお味噌汁、焼き魚に副菜、漬物などの食事など、ちょっとあり得ないほどの手のかかり方です。

 日本だったら、洋食にしても、サラダや卵、ハムなど彩り豊かな食事が目に浮かびます。

 我が家も例にもれず、フランスでの朝食は、シリアルかパンで済ませてきましたが、仕事が休みの日だけは、日本のような和食の朝食を食べるようにしていました。

 しかし、海外生活を続けていれば、日本にいたら、きっと自分で作ることは決してなかっただろうな・・と思うようなものまで、手作りをしたりもしています。

 例えば、小さなベランダで日本の野菜を育てたり、パンとビールでぬか床を作ってみたり、納豆を作ってみたり、スポンジケーキやロールケーキを焼いてみたり、お団子を作ってみたり、・・こちらで何とか手に入る食品で、簡単には買えないものを何とか作ろうと暮らしています。

 フランスでは、女性も働いている人がほとんどなので、日本人とて、フランスに住んでいれば、仕事に家事に育児にと忙しくしていると思いますが、皆、色々、工夫して、まめに色々なものを作っています。

 我が家は、餃子が好きで、よく作るのですが、ニラも自分で育てて、餃子の皮とて、どこにでも売っているわけではないので、餃子の皮を買いに行くのが面倒な時は、皮から自分で作ります。

 考えてみれば、日本では餃子を家で作る家庭は多いと思いますが、キャベツや白菜、ニラ、ニンニクなどを細かく刻んで、具を寝かして、一つ一つ包んで焼くというなかなか面倒なお料理です。これを日常的に自分の家で何のことはなしにやってのける日本の主婦はすごいと思うのです。

 今では、フランスでも餃子は脚光を浴びて、一般の普通のスーパーマーケットで買えるようにはなりましたが、フランス人がこれを上手に焼けるのだろうか?と甚だ疑問でもあります。

 その餃子をフランス人が自分で家庭で作るようになるとまでは思いませんが、それにしても、フランス料理とて、ここまで手のかかる食事を日常的にフランス人が作っているとも思えません。

 たいていのフランス人の家庭の食事は、簡単なもので、夕食とて、パンとスープにハム、肉をちょっと焼くか、簡単な茹で野菜などの副菜、デザートにチーズやヨーグルト、ムースなどの乳製品程度で、そこまで食事に手をかけません。美食の国と言われるフランスの実際の日常の食事は、なかなか質素なものです。

 そこへ行くと、日本人の食卓は、健康に留意し、バランスよく、何品目もあり、季節の食材とともに、まことにレベルの高いものだと思います。

 フランスでも、最近、健康志向で、5 fruits et légumes par jour(1日5種類の野菜と果物を食べましょう)などと呼びかけられていたり、Bio(オーガニック)の食品がやたらと増えたりはしていますが、だからと言って、家で手間暇かけた料理をしているというイメージはありません。

 時間をかけるといえば、ポトフのような煮込み料理か、何かオーブンに放り込んで焼くか、時間はかけてもさほど手はかけない・・そんな感じです。

 日本には、「医食同源」という言葉があるように、少しでも身体に良い食品を取ろうという意識が並外れて高いような気がします。テレビ番組である食品が身体に良いと放送されると、その食品がたちまち売り切れになったり、1日350g30品目の野菜が推奨されているとおりに、これ1本飲めば、1日に必要な野菜を摂取できるという野菜ジュースなどが、大ヒット商品になっていたりします。

 それに比べて、フランスは、野菜を少しでも食べようという気持ちはわかっても、日本人の私からしたら、その味覚を疑いたくなるような、茹でたグリンピースや人参の瓶詰め、缶詰などが結構、売れているのです。

 華麗なおフランスのイメージを持っていらっしゃる方には、誠にその夢を壊すようで申し訳ないのですが、実際のフランス人の食生活は、そんなものです。

 フランスでは、外食に関しては、非常にコスパが悪いものが多く、大したものでなくとも日本円に換算するとバカらしいほど高いものが多いのですが、うちの娘などは、「フランス人は、家で大した料理をしないからだよ・・」などと言います。

 実際に、フランス人にとっての外食は、そのお店の雰囲気を楽しみ、人と話し、集うことにも大きな意味があるので、また別のエッセンスが加わるので、単にその食事そのもののみの値段に換算することはできないのかもしれません。

 とはいえ、フランスにもたくさん美味しいものがありますが、日常的に手間暇かけて食事を作っているかといえば、それは日本のレベルには到底及びません。

 海外に出て、日本ではあたりまえだと思っていたことが、あたりまえではなかったと思うことはたくさんありますが、日常の食事も日本のレベルは、決して当たり前ではない、なかなかなレベルのものなのです。

 2013年に和食が世界遺産に登録されましたが、それも海外(フランス人)の食生活を見ていると、頷けるような気もするのです。

 にもかかわらず、フランスは、少子高齢化の国ではないために、あまり目立ちませんが、なかなかな長寿国でもあるのです。日本に比べると、決して健康的とは思えない彼らの食生活で、なぜ、彼らは長寿なのか?と、時々、不思議に思います。

 思い当たることがあるとすれば、彼らはストレスをためずに発散していることか? りんごをよく食べるということでしょうか?


<関連記事>

「一人暮らしのフランス人の若い世代は料理をしない」

「フランス人は、意外と長生き」

「フレンチパラドックス 先進国で意外と肥満の少ないフランス」

「コロナ禍で、日本では可能でもフランスでは不可能なこと フランス人に黙食はあり得ない」

「フランスの年末年始にかけての食事」


2021年6月15日火曜日

フランス政府が若者に発行したカルチャーパスがMANGAパスになった!

 


 新型コロナウィルスにより停滞した文化事業推進・支援と若者への文化と芸術への好奇心を喚起させるために、マクロン大統領は、5月半ば過ぎに、現在、18歳(2003年生まれ)の若者、約80万人に対して、300ユーロのカルチャーパスを付与することを発表しました。

 マクロン大統領は、同時に、彼のTikTokアカウントでも、申請書のアカウントに名前を登録するだけで使うことができるカルチャーパスは、「映画、小説、マンガ、ビデオゲーム、劇場、ラップ、メタルなどなど・・あらゆる文化的な目的に使用することができます」と若者向けに拡散しています。

 若い世代には、若者の通信手段に向けて、自らのアカウントから直に発信するあたり、しっかりと時代を把握している感があります。

 このカルチャーパスの実現には2年以上の月日が費やされており、劇場、映画館、美術館、音楽、ショーのチケット、映画のサブスクリプション、芸術・美術材料、楽器のコースまでも提供しています。

 しかし、それには、ある程度の制限がかかっており、書籍は、書店からの購入に限られ、Amazonから配送することはできません。また、音楽の面では、SpotifyではなくDeezer、映画等の配信サービスは、Netflix、Amazon Prime、DisneyではなくCanal +、Madelenなど、フランスの産業を盛り立て、活性化するように意図されています。

 また、2022年1月には、このカルチャーパスは、中学生に年間25ユーロ、高校生にそれそれ50ユーロが割り当てられます。これは、一人当たり合計200ユーロで、若者が18歳になった時の300ユーロを加えると、500ユーロになります。

 この時点で、カルチャーパスは、中学生以上、400万人が該当する特大案件に膨れ上がります。18歳のカルチャーパスに関しては年間1億6000万から1億8000万ユーロが見積もられています。

 しかし、もともとフランスでは、ルーブルなどの主要国立美術館などに関しては、26歳以下は無料で、このカルチャーパスを使うまでもありません。 

 そして、いざ、蓋が開いてみると、これは、意外な?方向に偏り始めたのです。

 このカルチャーパスでは、本を購入することができるのですが、このうち、4分の3はMANGA(マンガ)で、日本の漫画コミックが爆発的に売れているのです。若者たちが、10 冊、20 冊、さらには 50 冊のマンガを抱えて店を出てきます。

 マンガを扱う書店におけるコミックの売上高トップ 40は、ほぼすべて日本語のタイトルで構成されています。書店においては、今や、「カルチャーパス=マンガパス」と呼ばれているほどです。

 「大多数は、普段は購入する余裕のない大規模なシリーズものを購入する」のだそうで、一人で10冊、20冊、50冊のマンガを抱えて店から出てくるのも頷けます。

 カルチャーパス運用のベストセラーマンガは、すでにトップセラーとなっているマンガです。フランスで2年間で200万部以上を売り上げた「鬼滅の刃」は、記録を塗り替え続けています。これは、先日、映画館の再開とともに、封切りになった映画「鬼滅の刃」の大ヒットも後押ししています。

 また、「進撃の巨人」の最終巻は10月13日に発売予定になっていますが、すでに、シリーズのすべての巻で在庫が落ちしています。

 フランスのカルチャーパスがまさかのマンガパスになるとは、フランスの文化継承に貢献することを見積もっていた政府の意向をよそに日本のマンガという文化がこれほど、フランスの若者に根付いていたことに驚きを隠せません。

 数年前から、フランスでは、普通の書店に行っても、当たり前のようにマンガが置いてあるようになり、メトロの中でもマンガを読んでいる若者を見かけたりすることに意外な驚きを持って眺めていましたが、このカルチャーパスにより、そのフランスの若者文化のほとんどをマンガが占めているということがさらにはっきりと浮き彫りになった形です。

 フランスで広まった日本食ブームの一旦は、マンガが担っていたとも言われており、日本のマンガの中に登場する日本のラーメン・餃子などの食べ物を食べてみたい・・と思って、最初は、パリにある日本食屋を訪れた・・という人も少なくありません。

 以前、家に遊びに来た女の子が「日本のラーメンを食べてみたい・・」というので、パリのラーメン屋さんに連れて行ったことがありましたが、「なぜ?ラーメン?」と聞くと、その子も日本のマンガが好きで、「マンガに出てきたラーメンを食べてみたかったから・・」とのことで、とても満足そうにしていました。

 日本のマンガを読んで、日本に行ってみたい!と、思う若者も少なくありません。コロナ前までは、日本行きの飛行機は、いつ乗っても、フランス人でいっぱいでした。

 残念ながら、現在は、日本へは簡単には、行ける状態ではありませんが、このカルチャーパス=マンガパスで、さらに日本を知る人が増え、パンデミックが終息したら、また多くのフランス人に日本を訪れて欲しいものです。

 それにしても、フランス文化の継承を目論んでいた政府が目の当たりにしたのは、「フランスの若者の文化=日本のマンガ」というフランスにしたら、ちょっと残念、でも日本人の私としては、フランスの若者から日本が愛されているような、ちょっと嬉しい現実でした。



カルチャーパス

<関連記事>

「日本はフランス人になぜ愛されるのか? フランス人は日本をどう見ているのか?」

「フランスの弁当(BENTO)ブーム」

「フランスで日本の餃子(GYOZA)が浸透し始めた!」


 









2021年4月7日水曜日

子供が一人で歩いて通学できる・「はじめてのおつかい」の番組が成立することは驚異的な治安の良さ

  


 フランスでは、子供の学校の送り迎えは、一般的には、小学校卒業まで続けられます。

 娘が通っていた学校では、高学年にもなれば、親の承諾があれば、一応、子供が一人で帰宅することは、許可されていたものの、「万が一、何かあったら、取り返しがつかない」「何か起こったら、後悔し切れるものではない・・」と、我が家も小学校卒業までは、登校時、下校時は、送り迎えを続けてきました。

 送り迎えは、学校だけでなく、お稽古事の行き来や、外出なども、全て送り迎えが必要で、子供がお友達の家のお誕生日会などにお呼ばれをしたりしても、必ず、送りに行って、お迎えに行く、あるいは、招待してくれた家のお父さんかお母さんが家まで迎えに来てくれたり、送ってくれたりしていました。

 ですから、基本的に、子供が一人で家にいるということも、一人で外出するということも、フランスでは、許されないことで、(何の恨みかわかりませんが、我が家は、決して、子供を一人にしたこともないのに・・)「子供を学校(幼稚園)にも行かせずに置き去りにしている」と通報されたことがあり、区役所の自動保護担当の人が、家に調査に来たことがありました。

 そんなことは、毎日、送り迎えしている際に学校の先生とも、子供だけでなく、親も顔を合わせているので、学校(幼稚園)の出欠を確認して貰えば、すぐにわかる嘘なので、全く問題にはなりませんでしたが、そんな通報で、区役所の担当の人がすぐに家に飛んでくるということや、そもそも、そんなロクでもない通報を誰が何のためにしたのか? その方が恐ろしい気がしたのでした。

 まあ、それくらい、子供を放置したりする家庭もあるということなのでしょうが、こちらとしては、子供の学校やお稽古事の送り迎えと仕事の毎日に、大変な思いをしてきたので、そのとんでもない見当違いの通報をした人に、私の日常を見せてやりたいと思う気持ちでした。

 子供を送って、仕事に行き、仕事が終わると迎えに行き、仕事がお休みの日は、お稽古事のはしごの送り迎えや買い物や家事で瞬く間に時間が過ぎていくのです。

 特に娘が小さい頃に、同じ年頃か、ちょっと年上くらいの女の子が、その頃に住んでいた地域で行方不明になった事件があり、どこへ行ってもその女の子の捜索のためのポスターが貼ってあり、とても他人事とは思えなかったりもしました。

 日本の人気番組に、「はじめてのおつかい」という小さい子供におつかいを頼んで、その様子を隠し撮りして、その様子をレポートする番組がありますが、フランスでは、小さな子供におつかいを頼んで、一人で買い物に行かせるなどということは、全くできません。

 とても愛らしく、微笑ましい番組で、できたら、日本に一時帰国した時に娘の「はじめてのおつかい」の様子を撮ってもらいたいと思ったくらい好きな番組ですが、考えてみれば、あれは、日本ならではできる、かなり奇跡的な番組で、フランスだけでなく、おそらくあれができる国は、なかなか無いだろうな・・と、海外に出てみると思います。

 買い物に行く時は、子供を一人で家に置いておくこともできないので、必ず一緒に連れて行きましたが、一人で買い物に行かせることなどは、できません。

 それでも、お金を払って、何か物を買うということをさせてみたくて、娘が初めて、お金を持って、フランスで買い物をしたのは、パン屋さんでした。

「焼けすぎていないバゲット一本下さい」と言いなさいと言って、パン屋さんの前まで一緒に行って、パン屋さんの外で待っている・・というのが、娘のはじめてのおつかいでした。

 せいぜいこの程度がフランスでできる「プチはじめてのおつかい」です。

 日本に一時帰国した際、娘を実家の近くの区立の小学校に一時入学(2週間ほど)させて頂いたことも数年ありましたが、教頭先生から「登下校の際にお子さんにこれを持たせてください」と、防犯ベルを渡された時には、日本もこんなになったのか・・と驚かされましたが、基本的には、近所の子供が数人で子供だけで登校できるのは、やはり、スゴいことです。

 電車やバスに乗れば、私立の小学校に通う子供がランドセルを背負って通学している様子などは、フランスでは考えられない光景だと、あらためて思わせられるのです。

 日本を出て初めて、日本ではあたりまえだったことが、実は、全くあたりまえではなかったことは、実にたくさんあり、どちらかというと、日本の方が特別なんだということが、いかに多いことか! 学校の送り迎えも、「はじめてのおつかい」も、世界的に見たら、驚異的に治安の良い日本ならではのことなのです。


はじめてのおつかい


<関連記事>

「フランスでの児童保護、親権などに関する怖い話」

「フランスのベビーシッターと子供のお迎え」

「決死のお迎えで、ある日、気付いたこと・・フランス人は、走らない」

「娘の初めてのおつかい 近所のパン屋さんの超絶美味しいバゲット」

「フランス人の嫉妬心と日本人の嫉妬心 一時帰国の際の娘の日本の小学校への編入時のいじめ」






2021年3月11日木曜日

東日本大震災から10年・マクロン大統領の日本へのメッセージ

 


 

 東日本大震災から10年、「FUKUSHIMA」は、世界中に知られる有名な場所になり、フランスでも、おそらく「FUKUSHIMA」を知らない人はいないでしょう。

 あの日、朝、起きて、習慣のようになっていたテレビの朝のニュース番組をつけると、まだ、ぼんやりとした頭に「ジャポン・TSUNAMI・・」という声が聞こえてきて、「えっ?」と思って、画面に目を向けると、流されていく車や家の映像に、思わず二度見して、果たしてこれは、現実の映像であるのだろうか?と、座り直して、テレビに釘付けになったのを覚えています。

 「TSUNAMI」という言葉は、あれ以来、フランスにもしっかりと定着し、今回コロナウィルスの感染状況を表すにあたっても、「TSUNAMI」がやってきた・・などの言い方をしているのを時々耳にします。

 フランスでは、現地のニュースで日本のニュースが流れることはあまりありませんが、あの時ばかりは、連日連夜、FUKUSHIMA・・FUKUSHIMA・・と、何日も特番が組まれ、荒れ果てた被災地の様子や被災者が避難所でもきちんと並んで配給を受けている様子なども逐一、報道されていました。

 その頃、通っていたスポーツジムなどでも、居合わせたフランス人に、「あなた、日本人でしょ、あなたのご家族は大丈夫だった? 大変だったわね・・日本人は、あんなに大変なことがあっても、慌てず、礼儀正しく、我慢強くて、きちんと並んで・・スゴいわね・・フランスであんなことがあったら、みんな殺し合いになるわよ・・」などと話しかけられることが何回もありました。

 あの時は、「なるほど、フランスであんなことがあったら、みんなパニックになって、さぞかし大変なことになるだろうな・・本人たちもちゃんとわかっているのだな・・」などと、心の中でこっそりと思ったりしていたものです。

 そして、形は違いえども、昨年から、コロナウィルスによるパンデミックというなかなかな困難な局面に世界中、ほぼ同時に直面している今、震災などの危機をくぐり抜けてきた日本とフランスはやっぱり違うんだな・・とあらためて感じています。

 それをどこまで実感しているかは別として、抜かりのないマクロン大統領は、3月11日、ツイッター上で震災から10年に際しての日本へのメッセージを発表しています。(以下全文)

 「Mon message au peuple japonais. Au nom de l'amitié qui nous unit.

   日本人へのメッセージ 私たちを結びつける友情の名において」. 

 「ちょうど10年前の2011年3月11日、日本はかつてない規模の大地震と津波に襲われました。今日、私は当然、何よりもまず、この恐ろしい震災の犠牲者と家族、全てを残してただちに避難しなければならなかった数十万人の被災者に思いを寄せます。

 フランスと世界中の多くの人びとと同様、私もこの日、これらの恐ろしい映像を通して、家族、町や村、すべての人々に想像を絶する苦しみを与えた荒れ狂う自然の驚異を思い知らされました。

 この悲劇に加え、原発事故と人々への影響に対する懸念が追い討ちをかけました。

 しかし、私はすべてのフランス人と同様に試練に見舞われた人々の勇気と尊厳、私たちも含め世界中に大きく広がった連帯と支援の輪、私たちを結ぶ友情の表れも目にすることができました。

 フランスの各都市、地方自治体、市民団体、企業、個人、日本在住のフランス人も含めフランス全体が被災者を支援しようと立ち上がりました。

 世界がパンデミックに直面している今、この場をお借りして日本国民の皆さんの抵抗する力、復元する力に敬意を表します。10年間、被災した地域を復興させ、活気を取り戻すために惜しみない努力が注がれてきました。

 今日、この希望のメッセージはフランス人と日本人、私たち皆にウィルスの試練を乗り越える力を与えてくれます。

 この希望のメッセージは、皆さんの国と皆さん一人一人が、この10年間、私たちに与えてくれたものです。

 「さあ、一緒に未来に目を向けましょう!」

 「MINASAN TO ISSYO NI MIRAI WO !」

https://twitter.com/EmmanuelMacron/status/1369887308854550531


 フランスは、たしかに困っている国を支援しようとする姿勢が強く、実際に行動も早いので、東日本大震災の時はもちろん、最近でも、私が覚えているだけでも、このコロナ禍の中、レバノンの湾岸地帯で大爆発が起こった後に暴動の様な状態になった時も、モーリシャス沖合で日本の貨物船が座礁して、大量の重油が流出した時も、すぐに声明を発表して、翌日には、救援隊を派遣しています。

 ちょっと、外面が良すぎる感は、ありますが、そのスピードと連帯の姿勢はスゴいなと思わされることも多いのです。

 しかし、このマクロン大統領の全編フランス語のメッセージ。

 日本人として、マクロン大統領が日本に向けてメッセージを発信してくれたことは、正直、嬉しかったのですが、なんだか、スッキリと響いてはきませんでした。

 日本へのメッセージというよりは、フランス国民、そして、世界に向けてのポーズであるようで、どこか空々しく、素直に私に伝わってこないのは、私が捻くれているせいでしょうか?

 日本語で語った最後の一言、「MINASAN TO ISSYO NI MIRAI WO」が虚しく響く気がしたのです。


<関連>

「モーリシャス沖合での日本貨物船座礁事故にだんまりを決める日本政府」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_15.html

「100年に一度くらいのことが立て続けに起こる年 レバノンでの湾岸倉庫爆発事件」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/100.html

2021年3月8日月曜日

海外在住者の本人確認はパスポートではできない不思議




 私が日本に一時帰国するのは、家族や親戚、友人に会うためだったり、大量の日本食材の調達だったり、銀行などの用事だったり、その時々で色々あるのですが、その一つに、運転免許証の更新手続きがあります。

 もはや、たまに日本に行った時もほとんど日本で運転することはないのですが、私がどうしても日本の運転免許証を更新し続けなければならないのは、日本に行った時の身分証明書代わりに運転免許証が必要だからです。

 おかしなことに日本では、日本のパスポートを持っているのに、「パスポートでは本人確認ができません」と言われることが多いのです。

 パスポートを作る時には、戸籍謄本やそれなりの書類が必要で、その上で発行されているものでありながら、本人確認がその書類でできないというのは、どうにも意味がわかりません。

 身分証明するものは、「保険証」か、「運転免許証」あるいは、「マイナンバーカード」なのだそうです。

 長期間、日本にいない場合は、住民票を抜いているため、普通「保険証」はありませんし、「マイナンバーカード」を持っている人もあまりいないのが現実です。

 私自身も、「保険証」も「マイナンバーカード」も持っていないので、必然的に「運転免許証」が必要になるのです。

 パスポートではダメだと言われることはわかっているので、そこで無駄な押し問答をするのも嫌なので、「運転免許証」を更新し続け、身分証明書代わりに使っているのです。

 しかも、運転免許更新の期日間近のタイミングに必ずしも帰国できるとも限らないので、更新する必要のある年に帰る時には、期日前、半年くらい期限が残っていても、早めに更新してしまうので、その分は無駄にしてしまいます。だから、積算すれば、日本に住んでいる人よりも私は、多く免許証の更新をしていることになります。

 パスポートは、大使館でも更新できますが、運転免許証は更新できないので、えらく高くつく更新になりますが、仕方ありません。

 今は、簡単に日本に行くこともできず、免許証を更新できずにいる海外在住者もきっといるのではないかと思います。一度、失効すると手続きも面倒になってしまいます。

 しかし、私など日本で運転免許証を取っていたからまだ良いようなもので、免許証を持っていない人はどうしているのだろうか?と思います。一時的にでも、住民票を戻して保険証をもらうか? マイナンバーを登録してカードをもらうかしかありません。

 戸籍謄本まで提出して作られていて、おまけに写真までついていて、そもそも本人確認をするために存在するはずのパスポートです。しかも、日本のパスポートは世界一のパスポートなどと言われているのです。しかし、そのパスポートでは、日本国内では、本人確認ができないのですから、日本というのは不可思議な国です。

 フランスでは、全国民、また私のような外国人でさえも、IDカード(Carte d'identité)を持っているので、ほぼ全ての身分証明は、そのカードで済みます。逆にこれがないと大変です。

 カードには、それぞれナンバーがついているので、これが、日本でいうマイナンバーと同じ役割を果たしていると思われます。

 しかし、先日、娘がTGVの中でお財布を取られた際に、IDカードを一緒に取られて紛失した場合もフランスでは、パスポートで身分証明は可能でした。

 ついでに言わせてもらえれば、運転免許証などの和暦表示は、いいかげん、西暦表示にして欲しいものです。私の運転免許証の期限は、「平成36年1月」までとなっています。私がこの免許証を書き換えた時は、もうすでにその年には、平成が終わることになっていたのに、平成36年などとあり得ない記載をされて、すでに、今が令和何年であったかも危うくなっているのに、しかも平成・・。

 せめて、公的書類、証明書等は、西暦に変えて欲しいと思います。


<関連>

「思ってもみなかった娘のクリスマスイブの悲劇」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_25.html

「滞在許可証更新手続きのトラブル アクセス不能なフランスのお役所」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_22.html

 






2021年3月4日木曜日

久々にメディアに堂々登場 カルロス・ゴーン テレビ生出演

                              

   Carlos Ghosn sur LCI : son évasion lui a rappelé "Midnight Express"


 カルロス・ゴーンがフランスのニュースチャンネルLCIの19時からのニュースのインタビューに答えるために生出演するというので、彼が今、何のために、何を話すのか? 注目していました。

 カルロス・ゴーンが日本から信じられない逃亡をしたのは、2019年の大晦日のこと、それから、すでに一年以上が経過しています。

 逃亡中の身でありながら、公共のテレビに出演するなど、なんと太々しいことかと思いますが、逃亡先のレバノンに到着の数日後には、全世界からメディアを集めて記者会見まで行ったのですから、今さら、中継とはいえ、フランスのニュース番組に生でインタビューを受けることなど彼にとっては、何のことはないことかもしれません。

 とはいえ、インタビューということもあったのでしょうが、いつもの饒舌な彼の印象とはちょっと違い、かなり気をつけて話している印象で、あまり、フランス語が流暢とも言えない彼の妻が話す場面も多かったのです。

 というのも、彼にとっては、これは、最近、彼が妻との共著という形で出版した、彼の逮捕から逃亡劇、その後の様子を綴った内容の本(「Ensemble Toujours」(いつも一緒に))の宣伝であり、インタビューもその本の内容に沿ったものであったためです。

 彼は、このインタビューの中で、すでに聞いたことのある逮捕時の話や、日産やルノーには失望したこと、調べれば、調べるほど自分の逮捕が計画的に図られた陰謀、裏切りであったこと、裁判を待ち続けて日本に滞在し続けることは、彼にとって「死」を意味することであり、当時、自分には、死ぬか生きるかの選択肢があり、生きることを選んだ。そのことに躊躇もなかったし、後悔もないと語りました。

 また、彼は、日本の司法制度に対して、「これは策略であり、自分のケースは多くのケースの一つでしかなく、私と同じ経験をしている人が何千人もいることを忘れないでください」と述べています。

 しかし、多くの人が興味を持っている逃亡劇の詳細については、その時の自分の心情、まるで大手術を受ける医者に身を任せる麻酔を打った患者のように恐る気持ちはなかったことや、映画「ミッドナイトエクスプレス」のようだと思ったことなどを語りましたが、具体的な方法について、また容疑にあげられているお金の流れについては、ルノーや日産とのそれぞれの会社の事情もあるために話せないとかわしました。

 日産やルノーに対しても、「失望した」とこの期に及んで、どこか、上から目線。さすがというか、「失望した」のは、どっちがどっちへ?という話です。

 また、彼の逃亡のために、すでに5人が逮捕されていることについても、自分が今、彼らに対して何かを語れる言葉を持ち合わせていないと述べたのみで、すぐに話をすり替えてしまいました。

 結局、都合の悪いことに関しては、話をすりかえて、はぐらかす、いつもの手法です。

 そして、フランス国籍も持っている彼に対して、フランスに戻ることは考えていないのか?という問に対して、日本の司法のやり方はわかっている、リスクは冒さないと答えました。

 彼の日本での逮捕後に彼の妻がエリゼ宮に大統領宛てに助けを求めて、手紙を送ったにも関わらず、全く返事もなく、対応がなされなかったことも話しています。当然ですが・・。

 そもそも、彼は、日本からだけでなく、フランスでも、ルノーでのお金の流れや、彼の資産に関して、税金逃れのための工作に目をつけられており、すでにフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえていると伝えられています。

 これは、彼が税法上の住居を2012年にオランダに移してたことが、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したことによるものです。

 彼は、日本の司法のために、フランスに入国するリスクは取らないとフランスに入国できないのは日本のせいのように語っていますが、実のところ、フランスでも、いくつもの容疑がかけられているためにフランスに容易に入国することはできないのです。

 彼は、「国や企業に太刀打ちができるものではない」としながらも、「自分は無実であり、あくまでも真実を回復する」と述べ、現在は、今までにない自由な時間の中で自分の人生を再構築するための生活を送っている」と説明しました。

 そのインタビューの3時間後に、彼はまた、別のニュースチャンネル(BFMTV)に、出演、これまでの彼の逮捕から、逃亡、逃亡後の記者会見、逃亡を手伝った人々の逮捕の様子までがまとめられたショートビデオが流された後に登場しました。

 同時にこの一連のビデオを彼自身も見ていたはずです。4分ほどにまとめられたこのビデオ、とてもわかりやすく上手くできていましたが、これを同時に見ていた彼が、何を考えていたのか? インタビューの内容以上に気になりました。

https://twitter.com/BFMTV/status/1367237699485261827



 彼が逃亡直後に行った記者会見から、一ヶ月ほどで、世界はコロナウィルスによるパンデミックに襲われ、衝撃的な彼の逃亡劇は、あっという間に影を潜めてしまいましたが、そんな期間にも着々と本まで出版するカルロス・ゴーン。

 レバノンを出国するリスクは冒さないと言っていますが、まさか、正直に○○へ行きますとは公言するわけもなく、また、別の計画を着々と練っているのではないか?と思ったりもするのです。

 いずれにせよ、まんまと逃げられて、一年以上、治外法権とはいえ、手が出せないのをいいことに、堂々と会見を行ったり、本を出版したり、その宣伝のためにテレビ出演したり、常人では理解できない精神構造と執念。

 しかし、フランスでも、彼が潔白であると思っている人はいません。


 <カルロス・ゴーンが最近出版した本>               


カルロスゴーン

<関連>

「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_9.html


「フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_15.html

2020年10月7日水曜日

OSHIBORI - 日本のおしぼり文化がフランスにやってきた!

 

   


 コロナウィルス感染による経済の停滞が著しい中、明らかにコロナをターゲットにした商売も登場しています。

 ここ数日前からフランスのテレビコマーシャルに登場し始めた「OSHIBORI CONCEPT(おしぼりコンセプト)」のCMには、突如、テレビから聞こえてきた「おしぼり」という言葉に、「ん・・???」「なに・・???」「今、おしぼりって言ったよね・・聞き違い?? いやいや、おしぼりだ・・」と、思わず、二度見してしまいました。

 ゴールド、シルバー、ブラック、ホワイトのパッケージに香水の香りづけのされた高級イメージのおしぼり・・(いやいや実際に高級、高価です)おまけにコマーシャルの最後には、なぜか、made in france というナレーションが入ります。

 これを、フランスのテレビでコマーシャルを流して、一体、誰向けのコマーシャルなのだろうか?と思います。

 このおしぼりは、99.9%以上の細菌やウィルスを除去する抗菌性を売りにしており、現在、消毒といえば、もっぱらアルコールジェルが使われているフランスで、日本で言うところの除菌シートをすっ飛ばして、いきなりこの高級路線の OSHIBORI には、ちょっと驚きますが、おそらくターゲットは、一般大衆向けではなく、サイズやパッケージなどもカスタマイズができるとしているので、高級ホテルやレストランなど向け、あるいはフランスでもブルジョア階級向けと思われます。(この会社もパリ16区にあります)

 お値段も、1パック(50包入り)90ユーロ(約12000円)となかなかなもので、現在、厳しい営業制限が敷かれて、売り上げが激減している一般のレストランなどで、アルコールジェル以上に経費のかかる OSHIBORI (おしぼり)が使用されるとは思えません。

 また、この製品に、OSHIBORI という日本語が使われていることもとても興味深く、なんだか日本人の私としては、ちょっと嬉しい気持ちです。

 日本のレストランでのおしぼりは珍しいことではありませんが、ここへ来て、改めて、日本には、おしぼりという日本独特の文化があったんだ・・これも日本人の身を清潔に保つ衛生的な習慣の一つだったことを思い出しました。

 「おしぼり」という日本語を使ったネーミングがフランス人に覚えやすいネーミングであるかどうかは疑問ですが、日本に対するリスペクトが感じられるこのフランスの OSHIBORI の行方が気になります。

 いっそのこと、この  高級な OSHIBORI made in france は、日本へ輸出した方が売れたりするかもしれません。

 しかし、一般的には、ケチなフランス人にこのおしぼりが浸透するとは考えづらく、今ではあちこちに設置されているアルコールジェルを使うことはあっても、ポケットティッシュなどのティッシュペーパーでさえも、一度、鼻をかんでも、ポケットにしまって、再び使うフランス人が、このおしぼりを有効に使えるとは信じ難いのです。

 

<関連>「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_6.html

2020年10月5日月曜日

どんなことがあっても、東京オリンピックやるの???



 

 「とにかく、どんなことがあっても来年は必ずやります」IOCとの共通の認識の上での発言なのかどうかは、わかりませんが、日本のオリンピック組織委員会は、来年に延期された東京オリンピックを是が非でもやろうとしているのには、思わず失笑してしまいます。

 少なくとも、今のフランスの状況、世界の状況から考えたら、あり得ないことです。フランスでは、毎日、1万人以上の新規感染者を記録し、経済に余裕があれば、ロックダウンをするであろう状態、ニューヨークのブルックリンやクィーンズの一部地域では、再び学校閉鎖や一般企業の営業停止の措置が取られているそうです。

 こんな世界の状況で、おそらく、多くの日本人も来年のオリンピックは無理だと思っていると思います。オリンピックを絶対にやる!と言っているのは、JOCの一部でしょう。

 ワクチンが開発されたとしても、その安全性の確保には時間がかかり、来年の夏のオリンピックには、有効とも思えません。

 日本の今のコロナウィルスの感染状況がここまで抑えられているのは、日本の日頃からの衛生観念の高さや独特な国民性によるところが大きいのです。もしも、日本だけでオリンピックを開催するならば、それは、可能なことかもしれませんが、それは、オリンピックではありません・・つまり無理です。

 衛生管理を日本人が担うとしても、どう考えても日本人レベルの衛生観念を外国からの観客やマスコミに向けて強制して統制管理を敷くことは、生半可なことではありません。

 外国人をなめてはいけません。

 以前、父が介護施設に入居する際に、日本で施設を下見に行った時にはすでに、入り口では、必ず手を洗い、アルコールジェルでの消毒が義務付けられていて、職員のほとんどの人はマスクをしていて、施設内は、ピカピカに掃除されていて、「そこまでするの??」とびっくりしたことがありました。コロナウィルスの影も形もないずっと以前のことです。

 今から思い返すに、現在のコロナウィルスが蔓延している状況でさえ、恐らくフランスの介護施設などは、あそこまで清潔な感じはないと思います。

 日本に行くと、どこも清潔で、駅も地下鉄もピカピカで、眩しく感じられるほどです。日頃、駅によってはアンモニア臭の漂うような国で暮らしていると、日本の清潔さが眩しくさえ感じられるのです。

 そのうえ、その悪臭漂うところを歩いた土足のままで家に上がったり、地べたに座り込んだりするのが当たり前の日常で、考えてみれば、コロナで衛生管理がされている今でさえ、フランスでは、日本の通常の(コロナ以前の)衛生状態以下かもしれません。

 おまけに規則があっても、罰則、罰金がなければ、多くの人は守りません。興奮すると手がつけられず、すぐにお祭り騒ぎになるラテン気質爆発で、飛沫を飛ばしまくります。

 ヨーロッパの中でもフランスは、特に感染状況が最悪ですが、衛生観念の欠如は、日本のそれとは、大きく隔たりがあることではヨーロッパは大概、共通しています。そんな外国人が大量に日本になだれ込み、世界中の人が集うオリンピックは、今の段階では、大きなクラスターになる可能性を含んでいます。

 現在の感染状況で、オリンピックのために入国する大量の外国人の統制は、簡単なことではありません。

 逆に言えば、日常から皆が清潔で、マスクをし、除菌シートを持ち歩き、皆が規則をきっちり守り、しかもお互いが監視しあう日本は、まさにコロナウィルス感染回避に最高の習慣をもち、同時に、かなり特殊な国であるとも言えます。

 今年のオリンピックを延期するときに、思い切って、なぜ4年後に延期しなかったのか? 安全性を確保するためには、4年に1回のオリンピックの1回分をすっ飛ばして、4年後の開催でギリギリなのではないか?と私は思っています。

 むしろ、海外では・・少なくともフランスでは、オリンピックの話題などは微塵も上がっておらず、こんなときに、何が何でも来年はオリンピックをやる!などと言っているのは、世界の状況が見えていないようで、恥ずかしい気がしています。



<関連>

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html


「世界は、オリンピックどころではない 日本人は、世界のニュースを見るべき」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_21.html


 

2020年9月4日金曜日

日本は海外に住んでいても教科書を無料でくれる

 


 新年度に入って、学校が始まれば、フランスの学校でも、一年の始めには教科書が配布されます。しかし、それは、ほとんどの場合、一年間、教科書を借りるということで、新年度には、その一年間お借りする教科書のブックカバーをする仕事が待っています。

 借り物なので、汚したり、破損したり、紛失したりした場合は、弁償しなければなりません。一年の始めには、学校からクラスごとに揃えなければならないノートやファイル、ペン、定規、計算機などの細かいリストが配られ、そのリストに従って、一通りの買い物をしなければなりません。

 ノートの大きさ、ページ数、様式など、細かい指定で、だいたいカーフールなどのスーパーマーケットには、新年度の前になると、リストを片手に買い物をする人で溢れます。品切れのものや売っていないものなどが必ずあって、たいていは、一度の買い物では済みません。結構な手間と時間がかかります。

 さしずめ、日本ならば、同じものを揃えるならば、学校側が業者に委託して販売すると思われますが、学校側の仕事が増えるのが嫌なのでしょうか? この不思議なフランスの風習?は、毎年のように続いています。

 教科書をカバーする透明のシートも一緒に買ってきて、色々な持ち物に名前をつけるのと同時に一冊一冊、教科書にカバーをするのですが、以前、娘の友達が家に来て、一緒に教科書のカバーをするのを手伝っていたら、不器用なフランス人の本のカバーの無様なことにびっくりしたことがありました。

 同じく、娘の友人のお誕生日会に呼ばれていた時に、一緒に行こうと言っていたママ友が「ちょっと、まだ、プレゼント、買ってないから、付き合って!」と言われて、付き合って、彼女がプレゼントをプレゼント用の紙に包むのを見て、あまりの杜撰さに驚いたこともありました。フランス人は、概して、不器用な人が多いのです。というか、大雑把で、日本のようにきっちりしていないのかもしれません。

 話は、それましたが、そんな風にフランスでは、教科書は、一年間、お借りするもので、一年の終わりには、きっちりお返しすることになっています。教科書は、まあ、一年が終わってしまえば、手元にあっても、もう使わないことも多いので、フランスらしい合理的といえば、合理的なシステムです。

 そんな中、日本は、日本国籍を持っている子供には、海外に住んでいても、義務教育の間は、希望者には、教科書を無料で配布してくれます。教科書は、科目によっては、一年に2回、上巻・下巻と配布されるので、(前もって予約が必要ですが・・)私は、娘が小学校・中学校の9年間、年に2回、教科書を受け取りに通いました。(以前は、在仏日本人会が請け負っていましたが、今は、大使館で配布しています)

 たいていは、平日の時間帯なので、教科書をもらいに行くときは、昼休みをずらして取って、(昼休みは大使館は、休みなので)メトロで数駅、バタバタと大使館に駆け込んでは、仕事に戻る、そんなことを一年に2回ずつ、続けていました。

 きれいな新品の教科書を海外にいても、無料で配布してくれる国など、そうそうあるものではありません。私の職場には、色々な国からの外人もいましたが、そんな話は、聞いたことはありません。

 自分が育った頃とは違う、今の教科書は、なかなか自分自身が読んでも興味深いものですし、私は、特に娘に日本語をしっかり学んで欲しかったので、これは逃すものかと9年間分の教科書を全て頂いてきました。

 これらの本を自分で調達するとなったら、個人としたら、相当な負担になるはずのものなので、とても助かりました。

 教科書は、今でもほとんど取ってあり、娘が日本語検定を受験したりした際には、日本語の勉強に使っていましたし、今、自分の専門分野である生物の教科書などは、日本語では、こういう言葉を使うんだ・・などと、中学校の教科書を開いたりもしています。

 日本の学校の様子や社会の仕組みなどもわかりやすく書いてあるので、今さらではあっても、大人になってから読んでも結構、勉強になります。

 私は、日本のそんなところは、やっぱり日本は、凄いな・・と、誇らしくもあり、ありがたくも思っています。海外にいても、日本人としての教育を配慮してもらえることがとても嬉しいのです。そんな国は、そうそうないのです。

 海外在住の方で、このシステムをご存知ない方は、ぜひ、せっかくの機会を利用しては、いかがですか?

 国によって、配布方法は違うと思われますが、フランスは、大使館がやっているので(もしかしたら、場所を提供しているだけかもしれませんが・・)大使館に問い合わせれば、わかると思います。


<関連>「フランス人は不器用なのか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_3.html

2020年8月30日日曜日

フランスでの安倍首相の退任の報道

  



 フランスのテレビニュース等で日本についての報道がされることは、あまりありません。

 私もフランスに来て、20年以上になりますが、日本について最も大きく報道されたのは、東日本大震災についての報道でした。あの時は、どのチャンネルもトップニュースの扱いで、朝、起きて、習慣のように、何気なくテレビをつけたら、ジャポン、ジャポネ、ジャポネーズ・・の連呼に、まだ、しっかり目が覚めていなかった私もさすがに、画面に目が釘付けになりました。

 寝ぼけ眼で見えたテレビの映像は、津波の映像で、海だか川だかもわからない大波に車や家が流されている衝撃的な画面を呆然と眺めた朝を今でも忘れることができません。

 その後も被災地の様子や原子力発電所の放射能の問題など、フランスのテレビ局が製作した、いくつもの番組がかなり長い期間、報道されていました。

 その時に比べると、今回の安倍首相の辞任については、さすがにスルーされることはありませんでしたが、辞任を発表した当日の夜のニュース(45分ほどの番組)の最後に、わずか1〜2分の尺で、「日本の首相・SHINZO ABE(65歳)は、健康上の理由から、退任することを発表しました。」のみ。

 フランスにとって、日本という国、日本の政治は、45分のうちの1分くらいの関心事なんだな・・そんなものなのか・・まあ、全くスルーされないだけマシか・・やっぱりね・・と、ちょっと、残念なような、ふてくされたような、妙な気持ちになりました。

 新聞等では、もう少し詳しく掲載している紙もありましたが、安倍首相の辞任についての詳細よりも、辞任の原因とされている潰瘍性大腸炎についての話題に内容が逸れる記事も少なくありません。

 しかし、中には、むしろ、かなり辛辣な書き方をしている紙もあります。

 安倍首相の支持率がかなり低下し、彼の地盤である山口県でさえも彼が充分な力を持っているかどうかは疑問視されているとか、長期政権の記録をかろうじて上回った直後だとか、コロナウィルス対策で迷走したとか、これまでの数々の汚職スキャンダルについての追求を逃れてしまう可能性がある・・などなど・・。

 こんな風に、日本では、大きなニュースであるはずなことが、フランスでは、ほとんど無関心であることに直面したりすると、日頃、日本ブームだの、日本が好きなどという人の話を聞くことはあっても、やはり、フランスにとって日本は遠い国・FAR EAST なんだな・・と、ちょっと寂しく感じるのです。


<関連記事>

「日本はフランス人になぜ愛されるのか? フランス人は日本をどう見ているのか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_96.html

2020年8月26日水曜日

コロナウィルスのためのキャンセル料金 ANA変更手数料無料の航空券販売

 


 ANA(全日空)が、「新型コロナウィルス感染拡大に伴い、ご予定の見通しが立たない場合でも安心して航空券をご購入いただけるように、2020年8月25日から、2020年12月31までにご購入いただいた航空券は手数料無料で何度でも変更を承ります」という航空券販売を開始しました。

 これは、今のところ、欧州発日本行き(ロシア・イスラエル発を除く)のフライトが対象のようですが、渡航先にもよりますが、現時点での渡航は、移動自体がリスクが大きく、色々と到着後にも行動制限があるために、だからといって、そう簡単に予約を入れるかというと、それもなかなか難しいかもしれません。

 しかし、少なくともチケットの変更が何回でも可能で、手数料がかからなければ、少しはハードルが下がるかもしれません。このニュースを聞いて、一瞬、「あ〜これは良い!」と思いました。

 しかし、よく読んでみると、変更後の航空運賃が予約時よりも高い場合は、その差額は請求されるとのことで、季節や曜日などによって金額が異なる航空運賃の場合、当然といえば、当然なのですが、直前に買うチケットが高いことなどを考えれば、変更した場合は、差額を払うことになるのは、ほぼ確実で、よくよく考えれば、良いのか悪いのか、なんだかよくわからなくなりました。

 コロナウィルスのパンデミックにより、多くの人が渡航を中止したり、延期したりして、キャンセルせざるを得ない状況に追い込まれたと思いますが、例に漏れず、我が家も娘が6月からイギリスの大学にスタージュに3ヶ月行く予定でしたので、早くからユーロスターや宿泊施設の予約を入れていました。(早くに取れば、それだけ安いので・・)

 しかし、結局、スタージュはリモートで3ヶ月間行われ、今週末には、終了します。当然、ユーロスターも宿泊施設もキャンセルしたのですが、宿泊施設は、全額返金しますとの回答ながら、2ヶ月以上たった今も返金はされていません。

 ユーロスターは、キャンセルが効かずに同額のクーポンが戻ってきただけ・・そんなクーポンを返してもらったところで、いつになったら行けるかもわからず、だいたい、用事は終わってしまったので、全く役に立ちません。

 平常時ならば、ロンドンなら日帰りでも行けるくらいなので、気軽にいくらでも行けるのですが、現在、フランスからイギリスへは、到着後の2週間自粛が義務付けられているので、そうそう簡単に行くこともできないし、いつになったら、そのクーポンを使えるのか、全くわかりません。そんな場合は、当然、キャンセル、返金だと思うのに、全く腹立たしいばかりです。ユーロスターよ!セコいことしないでお金返して!

 このユーロスターの一件を考えてみれば、ANAの手数料無料で変更可能・・というキャンペーン??も、キャンセルが可能なわけではなく、あくまでも変更可能なだけ・・一見、なんだかとても便利?助かる? 感じがするのですが、ANA縛りで変更便を探さなくてはならないわけで、実は、そうでもないのではないか?と、ちょっと思っているのです。


<関連>「コロナウィルスで日本が遠くなった」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_3.html


・ANA変更手数料無料の告知

 https://www.ana.co.jp/ja/eur/offers-and-announcements/promotions/nochangefee/?cid=EMMLON20200825EURAMCJP



2020年8月15日土曜日

モーリシャス沖合での日本貨物船座礁事故にだんまりを決める日本政府

        


 ここ一週間ほど、フランスでは、インド洋に浮かぶ美しいモーリシャスの沖合が、商船三井が運行する日本の貨物船の挫傷により、重油が流出した事故について、ほぼトップニュースで毎日のように伝えています。

 「WAKASHIO JAPON(ワカシオ・ジャポン)」という言葉が聞こえない日はないほどです。フランスのニュースによると、3800トンの重油と200トンのディーゼルを積んだわかしおは、7月25日にモーリシャスの南東にあるポワントデズニーの海域に座礁し、約800トンの重油が流出し、サンゴ礁、マングローブに覆われるターコイズブルーの海域が真っ黒に汚染され、住民が油膜と戦っている映像が流されています。海の美しさが余計にドス黒く広がる重油の悲惨さを引き立てています。

 この事故をめぐっては、船が座礁してから、一週間以上対策が取られなかったことから、被害が拡大してしまったことも問題視されています。

 モーリシャス共和国の首相は、ツイッターで、フランス国家及びマクロン大統領に支援を求める一方で、「WAKASHIOの沈没は、モーリシャスにとっての重大な危険を及ぼしている」と、環境緊急事態を宣言しました。

 マクロン大統領もモーリシャスからの援助要請に応え、すぐに「モーリシャスの海洋生態系が危機に瀕している現在、緊急な対応が必要です。フランスは、モーリシャスと共にあります。現在、レユニオン島のチームと救援の装備を配備しています。私たちを信頼してください。」とツイートし、実際に、フランスはモーリシャスへの救援活動を開始しています。

 つい先日もレバノンの湾岸倉庫爆発事故で、フランスは、「レバノンを決して見捨てない」とレバノンへも手を差し伸べ、他国と共にレバノンへの援助を開始したばかりです。フランス国内もコロナウィルスの感染が拡大し、大変な経済危機に瀕しているのに、あっちもこっちもと大丈夫か?とも思う反面、頼もしさも感じます。

 船を所有する長鋪汽船は、13日、賠償については、誠意を持って対応すると発表しましたが、実際に長鋪汽船の専門家チーム6名が調査のために現地に到着したのは、事故から3週間後のことでした。

 この「誠意を持って対応する」といういかにも日本らしい曖昧な、まことに誠意が感じられない声明と対応の遅さ。打撃を受けた生態系の回復には、20年かかると言われています。この20年かかると言われている保証は、もはや、一会社単位で賠償できる問題ではありません。

 歴史的な繋がりがあるとはいえ、「モーリシャスと共にいる」と宣言して、即刻、救援行動を起こすマクロン大統領と、関係は薄いとはいえ、加害者である船主会社の国である日本の首相が、まるでだんまりを決め込んでいるのは、どう考えても、情けない限りです。

 だんまりを決め込んで、賠償金を払うだけで、騒ぎがおさまるのを待つつもりかもしれませんが、「だんまり」は、沈黙のもとに、「日本は、こういう国である」ことを世界に発信していることに他なりません。

 日本では、あまり大々的には、報道されていないようですが、世界中では、大きく報道されている事故です。やたらと対面を気にしているのかと思えば、肝心な時に、日本政府が的確な対応ができないことをとても残念に思います。

 「誠意を持って対応する」という船主会社からだけの言葉だけの誠意のなさを、日本は、この事故で世界に発信しています。


<関連>

100年に一度くらいのことが立て続けに起こる年 レバノンでの湾岸倉庫爆発事件」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/100.html 

 

 










2020年7月18日土曜日

フランスと日本のコロナウィルスに対する危機感の大きな隔たり




 フランスのル・モンド紙(フランスの大手新聞)は、日本でのコロナウィルスの感染が増加していることを7月17日の紙面で報道しています。報道では、「日本のコロナウィルスの症例は、首都・東京や米軍基地で増加しており、病院は、財政的に追い詰められ、低所得に不満を抱く医療介護者の山に直面しています。」

 「7月17日金曜日、日本の首都は新規感染者数293と発表しました。これは1日の感染者数としては、パンデミックが始まって以来の記録的なものです。 5月と6月に停滞した後、7月の初めから毎日の感染が増加しています。東京感染症専門委員会のメンバーである大曲典男氏は、「感染経路が不明なケースは、1週間で2倍になった」と語っています。
 パンデミックの発生以来、死者数は、1000人を超えていません。

 東京都知事の小池百合子氏は、7月15日に、国民は、予防策が効果を発揮するために状況の緊急性を理解しなければならない・・と、レベル4の最高警戒態勢を敷きました。 住民は再び動きを制限し、距離の測定とマスクの着用を尊重し、外出を避けるように求められました。東京都は、現在3,000件に対して、毎日10,000件のテストをすることを約束しています。新たな汚染の多くは歌舞伎町と池袋の夜間地区のバーやナイトクラブで記録されており、当局は施設の入口で検温テストを受けることを勧めています。

 さらに、7月22日に開始予定の「Go Toキャンペーン」(割引で旅行するためのクーポン)は、地域で広がるリスクを減らすために、東京を除外することに決めました。」

 この報道を見て、どの口が言っているのか・・と私は、思いました。事実?を報道しているといえばそれまでですが、他国のことを言っている場合なのか・・と。

 フランスのコロナウィルスの死者数は、30152人(7月17日現在)、日本の死者数が1000人に迫ろうとしているとしても、30倍以上です。(ちなみにフランスの人口は、日本の約半分です)

 また、日本の新規感染者数がパンデミック以来の数字を記録したといっても、300人前後、フランスの新規感染者数は、836人(7月17日)で、全体の感染者数は、ロックダウン中のピークの期間の数字をすでに超えているのです。7月に入って以来、毎日の感染増加の度合いは、フランスの方が明らかにヤバいのです。

 それなのに、この事実を棚上げしての、日本の感染者数増加の報道には、何を余裕こいてんだよ!と思ってしまいます。

 日本は、この段階で、警戒態勢を敷くのは、賢明だと思います。フランスは、マスクが義務化となったものの、今日もパリのメトロには、スーツケースを持った人がたくさんで、バカンスに出る人の多さが伺えます。

 また、街中も、レストランなどは、テラス席がかなり拡張されて、外のスペースで食事をしている人がほとんどですが、これは、テラス席好きのフランス人にとっては、テラス席が増えただけで、ほとんど、いつもの日常で、レストランのスペースでは、食事をすることもあって、マスクをしているのは、店員さんだけです。

 現在は、多かれ少なかれ、どこの国も綱渡りの状態、特にフランスは、ほとんどサーカスのような状態です。

 早め早めの対応が大事なことは、多くの犠牲者を出したフランスがわかっていないはずはないのに、マスクが義務化されただけで、大騒ぎのフランス。300人の新規感染者で最高警戒態勢を敷く日本と836人の新規感染者が出ても、みんながバカンスに出かけるフランス。この危機感の違いに、もはや、ため息も出ません。

 まさか、また、国民のショックを考えて・・などとしていることなら、少しは、ショックを与えてもらいたいくらいです。

<関連>「バカンスを、何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html