2022年1月14日金曜日

「ワクチン接種拒否なら集中治療辞退を!」医療従事者の叫び

  


 

 フランスでは、「オリヴィエ・ヴェラン保健相がコロナウィルス感染」というニュースがセンセーショナルに報じられています。

 昨日、朝、閣僚会議に出席していたヴェラン氏は、午後に感染者追跡アプリ(TousAntiCovid)を介して、感染者と接触していることを警告され、最初のテストを受けましたが、陰性であることが証明されました。しかし、昼過ぎに軽い症状が出たため、再度検査したところ、今度は陽性だったそうです。

 1日のうちに2度の検査を行なって、陰性であった結果が陽性になるということにも、ちょっと驚きです。側近によると、「彼は自己診断で抗原検査も陽性であることを確認した」ということです。(彼自身は、本来、医者でもある)

 彼は、10月末に3回目のブースター接種を受けているので、現在、ワクチン接種の間隔を3ヶ月と定めているフランスで、ワクチン接種後3ヶ月以内でも感染するというワクチン接種に対するネガティブキャンペーンに繋がりかねない政府首脳の感染のニュースですが、幸い彼の症状は、軽症で、隔離状態にはなるものの、今後も職務をリモートで続行するそうで、これが「ワクチンをしていれば、重症化しない」キャンペーンになってくれればと思います。

 現在、フランスには、約500万人ほどのワクチン未接種者が残っていますが、この感染爆発状態に、この500万人の中から、続々と病院に入院してくる患者に病院の逼迫状態は進み続けています。

 先週の初めに、パリのピティエ・サルペトリエール大学病院名誉教授のアンドレ・グリマルディ氏のジャーナル・デュ・ディモンシュ(フランスの日曜紙)に「ワクチン接種を拒否する成人には、重症になった場合に蘇生を希望するかどうかという事前指示書を書くように体系的にアドバイスするべきではないか?」「ワクチン接種を受けないという自由な選択を主張する人は、蘇生を受けないという自由な選択を前提に一貫性を持たせるべきではないか?」という疑問を投げかける寄稿が物議を醸しています。

 この寄稿は、パンデミックが始まって以来、そろそろ2年が経とうとしている現在、感染の波をいくつも繰り返し、疲れ果てている医療従事者の怒りの心情を吐露したものです。

 多くの医療従事者の怒りは、政府とワクチン未接種者という2つのターゲットを持っており、その一つである政府に対しては、早い段階で病院スタッフを確保し集中治療室の病床を増やすための手段を取らなかったことを非難しています。

 また、ワクチン未接種者に対しても、特に50万人と言われる80歳以上のワクチン未接種者について、重症化した場合に蘇生術が効かなくなり、理不尽な治療のために長い期間を集中治療室を占領することになり、結果的に起こる患者のトリアージュ(患者の選別)に繋がっており、結果的にその判断を迫られる医療従事者の負担は計り知れないものであるという内容です。

 集中治療が必要な複数の患者に対して、病床が不足している場合に、どちらを優先させるべきか?を合議で決めるのは医療従事者ですが、「この介護者を導くべき原則を議論するのは、学協会、独立機関、倫理委員会、そしてそれ以上に社会全体とその選出代表者に任されるべきではないか?」と問題提起しているのです。

 医療従事者が道徳的な判断を持っていないということではなく、その判断が患者との関係に介入し、彼らの判断に影響を及ぼしてはならないということを彼は注意深く説明しています。

 コロナウィルス以外の患者の集中治療室での平均滞在期間が4〜5日であるのに対し、コロナウィルス感染患者の平均滞在期間が2〜3週間であることを念頭に、コロナウィルス以外の患者(がん患者等)の手術予定が崩され、延期されるたびに感じる怒りとやるせなさ、集中治療室を占領するコロナウィルス患者のほとんどがワクチン未接種者であることに憤りを覚えながら、ワクチン未接種者のコロナ患者に「だから言っただろう・・」と思いながら、この仕事をしながら、初めて患者に共感できなくなっていると語っています。

 彼の寄稿の「ワクチン接種拒否なら集中治療辞退を!」という部分が特に取り上げられて騒がれていますが、ワクチン接種を受けないという決定を苦々しく後悔している患者が毎日、病院に到着するという光景が日常とならないように、そして、集中治療室のコロナウィルスの患者の選別が、医療従事者の責任だけに委ねられていることに疑問を呈しているのです。

 病気に関しては、本来、患者を責めることはできませんが、ワクチン接種という防御の手段がある以上、それを拒否して罹患した場合は、すでにその患者や家族の選択の結果であると言えないこともありません。その選択の結果、人手不足や病床不足のためにおこる命の選別、医療従事者につきつけられる患者の一人一人の命を選別しなければならないという医療従事者が感じる厳しさややるせなさは、計り知れません。


ワクチン接種拒否なら集中治療辞退


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2022年1月13日木曜日

日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと

   


 フランスの新型コロナウィルス感染は、とどまることを知らず、2日連続、1日の新規感染者数は、36万人を突破しています。それでもフランス政府報道官ガブリエル・アタルは、「ウィルスが蔓延していても、できるだけ、普通に生活を送ることができることを目標としています」と語っています。

 そのため、「特に学校は閉鎖しない」ことを目標に、非常に厳しい検査と隔離の方針を立ち上げ、このあまりの煩雑さに音を上げた教職員組合がこれまでに例のないほどの規模でのストライキを予定していたりしますが、基本的な「普通に生活を送ることができることを目標とする」姿勢は、摩擦は起こっているものの、このなんとかして学校を存続させようという姿勢に表れています。

 また、イギリスとの国境規制の緩和についても、数日中に発表される予定になっています。どちらかと言えば、この感染者数にも関わらず、規制緩和に動きつつあるのです。

 そんな中、正直、遠い国である日本の国境規制については、それほど大々的に報じられているわけではありませんが、(まさにそれどころではない状況)それでも、完全にスルーされているわけではなく、各国のコロナウィルス(特にオミクロン)対応について、少しずつ紹介されている中、日本のこの「鎖国延長」については、海外のニュースの中では(ヨーロッパを除く)比較的大きく扱われている方でした。

 その中で、かなり辛口のものがあったので、参考までにその報道について、書いておきたいと思います。

 「日本は、ほとんどの外国人の入国制限を2月末まで延長し、オミクロン対策として集団予防接種センターを再開すると発表」

 岸田文雄首相は記者団に対し、「人道的見地から必要な措置を講じ、国益を考慮しながら、2月末まで国境管理措置を維持する」と述べた。

 「地元メディアは、日本人の親族を持つ外国人や留学生を対象に、厳しい措置の例外を検討していると報じたが、結局、正式な発表はなかった。」

 「駐在は凍結され、建設現場は中断され、学習計画は半減し、家族は2つに分断される...。」

 「このニュースは、観光客だけでなく、ここで働くビジネスマン、エンジニア、学生などの外国人をも激怒させた。しかし、現地の人々は拍手喝采である。88%の日本人が、国境を守るため、そして彼らにとって苦痛のない閉鎖を認めている。」

 「日本は、検疫期間や入国者への頻繁な検査など、厳しい国境管理を実施している。しかし、こうした取り組みもオミクロン変異株の蔓延を防ぐことはできず、日常的に報告される件数は急増している。全国レベルでは、先週の週次平均が10倍になっている。」

 「グローバル化しながらも内向きな国、日本」「このパンデミックは、この列島がいまだに孤立主義を培い、外国人を統合しようとしないことを明らかにした。」などなど、事実とともに、かなり辛辣な報道もあります。

 これまで世界的なレベルから考えれば、奇跡的とも思われるほどに、感染を抑えてこられた日本としては、水際対策を強化し、これ以上に感染が蔓延することを抑えようとしていることは理解できますが、「人道的見地から必要な措置を講じ、国益を考慮」と言いながら、日本人の配偶者でさえも、外国人の場合は入国できないという非人道的な対応は、海外からすると理解はできないのが普通の感覚です。

 永久に日本が鎖国措置を続けるわけではないにせよ、このあまりに長く続くパンデミック禍中で、この日本の閉鎖的な対策には、かなり批判的な声が多いのは確かです。

 日本以上に感染が蔓延している国からの入国者に慎重になるのは、必要なことではありますが、外国人に対しては、隔離を自己負担にしたり、日本人が入国する場合と同じ感染対策義務などの方策をとれば、不可能なことではないはずです。

 家族が日本人である場合はもちろんのこと、留学生に対しての措置も同様に、外国人であるということで、入国を制限するのは、世界からは、理解されていません。

 フランスはもちろんのこと、多くの海外の国々は、国によって、隔離の期間や条件が異なることはあっても、留学生の受け入れも続けています。もちろん、日本からの留学生も海外では受け入れられています。

 留学生の受け入れについては、パンデミックのさなかに、我が家の娘も2度にわたり、日本の大学への留学を拒否され、ついに、そのチャンスを逃してしまったので、恨みつらみが募っています。

 「日本で学びたい」と真剣に考えている学生を断ち切ってしまうことは、日本にとっての大変な損失です。将来、もしかしたら、日本で働きたいと思ってくれるかもしれない、少なくとも、日本を知りたい、日本に興味を持ってくれている外国人をシャットアウトしてしまうのは、大変、残念なことであり、大変なイメージダウンです。

 日本は、パンデミックの最中にオリンピックを開催することができた国です。留学生の受け入れも、きちんとした隔離対策さえ取れば、可能なはずです。「なぜ、オリンピックならできて、留学生にはできないのか?」これは、この鎖国延長による日本の閉鎖的な対応がどれほど日本にとってダメージになっているかということは、私は、結構、大きな問題である気がしています。

 最近、「日本政府は、世界のニュースを見ているのか?」「子供の将来、日本の20年先、30年先の未来を考えているのか?」と感じることが多くなりました。

 いみじくも、「グローバル化しながらも内向きな国、日本」と酷評された日本政府は、現在の日本国内にいる日本国民にしか目が向いておらず、世界からのイメージのダメージには、無関心な気がしてなりません。これが進めば、世界の中での日本の役割は減少していきます。

 いざという時に日本のことしか考えない国を世界は、信用しなくなります。

 1日30万人もの感染者を出し、2ヶ月後には、2人に1人が感染している状況になると言われている国にいる人間が言うことではないかもしれませんが、長引くからこそ、数々の摩擦を起こしながらも、日常生活に近い生活を送ろうとしているフランス、ヨーロッパの姿勢を私は、嫌いではありません。

 日本政府には、日本国内だけでなく、世界の中にある日本であるということや、その未来をになっていく若者の将来、未来の日本を考えてほしいと思っています。


日本の鎖国延長


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2022年1月12日水曜日

2ヶ月以内にヨーロッパの半数以上が感染する フランスの1日の新規感染者数36万人突破

  

 

 世界保健機構(WHO)のヨーロッパ支部長のハンス・クルゲ氏は、「現在の世界的な感染率からすると、(Institute for Health Metrics and Evaluation(IHME)の分析)、今後、6〜8週間以内にヨーロッパの人口の50%以上がオミクロン変異種に感染すると予想される」と発表しました。

 感染力の強い変異型の潮流が高速で拡散する中、新規感染者の急増は、すべての大陸で加速しており、パンデミック開始以来の水準に達しています。

 この2週間、米国で新たな感染者数の増加がめまぐるしいですが、欧州でも非常に強い感染者を記録しています。

 医療体制については、入院患者数は増加しているものの、集中治療室への入院率は鈍化しており、死亡率は比較的、安定しているものの、WHOヨーロッパの支部長は、「ワクチン接種率が低い国で、ワクチン未接種者の重症化が進むと、どのような影響が出るかはまだわからない」と懸念しています。

 11月の段階で、WHOが「ヨーロッパが再び感染の震源地になる」と予告したとおりになっている状況です。

 中でもフランスは、そのトップを走っている形になっており、ヨーロッパの中でも最高値を記録、1月11日には、1日の新規感染者数は、再び記録を更新し、368,419人を記録しています。    

2020年10月以来のフランスの新規感染者数


 先週(1月2日〜8日まで)の10万人あたりの発症率は、2,790人を超え、中でもイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の一部の地域では、4,000人を超えています。(単純計算で25人に1人が感染しているということ)

 フランス国立衛生局の発表によると、現在(1月11日現在)のコロナウィルスによる入院患者数は、23,371人(前日から+722人)、集中治療室の患者数は、3,969人(前日から+65人)、1日の死亡者341人を記録しています。

 この莫大な感染者数に比べれば、入院にまで至る確率は、かなり低いとはいえ、確実に病院を圧迫し続けている状況には違いありません。

 また、現在、圧迫しているのは、病院だけではなく、感染者の隔離により、社会のあらゆる場所を圧迫しており、特に、ワクチン接種があまりされていない小学校での感染と検査、隔離の問題は、ことさら深刻になってきています。

 それでもフランスは、「学校は最後に閉鎖する場所であり、最初に再開する場所であるべきだ」という姿勢を崩すことは、ありません。学校は、フランスの未来を担う子供の教育を決して諦めないということに他なりませんが、基本的に、全ての機関を閉鎖せずにこの感染の波を乗り切る姿勢とも重なります。

 この新規感染者数36万人超えという状況からは、2ヶ月以内にヨーロッパの半数以上が感染するという話は、決してあり得ない話ではありませんが、ともすると、「オミクロン株は、感染力は強くても、比較的、症状が軽く、これだけ広がれば、もしかしたら、これが最後の感染の波になるかもしれない」とか、「感染してもワクチンさえしていれば、感染しても問題ない新種の風邪をひいた程度になる」とか、楽観視する意見も持ち上がり始めており、感染症専門家などが出てきて、「その可能性が全くないとは言えないが、現在のフランスの状況は、とても、手綱を緩められる状況ではない。楽観視しすぎてはいけない」と必死でブレーキをかけているような状態です。

 こうした中、コロナウイルスに対するワクチンを統括するWHOの専門家グループは、現在あるワクチンの定期的な増量接種のみに基づく戦略には、「これは適切でも持続可能でもないだろう」と、疑問を呈しています。

 しかし、これだけ、感染が蔓延すれば、周囲の知人にも感染したことのある人が増え続けており、先日、長いこと連絡をとっていなかったフランス人の元同僚から電話があり、昨年、コロナウィルスに感染し、呼吸不全に陥り、味覚も失う経験をした・・」と、「幸い、現在は、回復し、もちろん、その後、ワクチン接種もしたし、感染には、人一倍、気をつけている・・3ヶ月後に4回目のワクチン接種をしなければならないなら、自分はすぐにでもするだろう」と強く語っていました。

 現在のフランスでのワクチン接種の間隔は、3ヶ月後から可能ということになっていますが、4回目のワクチン接種は始められていません。しかし、3ヶ月後にワクチンの有効性が低下し始めることから3ヶ月後からブースター接種が可能ということになっているとすれば、早くにブースター接種をした人は、そろそろ3ヶ月を経過し始めています。

 このヨーロッパ(フランス)の感染のさらなるピークを迎える頃に再び、追加のワクチン接種が必要となる人が増加するとなれば、これはエンドレスな状況になってしまいます。

 現在、赤十字のスタッフなどが、街を歩き、ワクチン未接種者を探し回り、ワクチン接種の必要性を説得し、場合によっては、ワクチンセンターまで付き添って、ワクチン接種を進めるというような地道な努力もしているようです。

 「2人に1人は感染」という状況になったら、私はどうしているのだろうか?と思いつつ、自分にできる感染対策を粛々としていくほかに道はありません。


WHO警告 ヨーロッパの半数以上が感染 36万人突破


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2022年1月11日火曜日

ワクチンパス反対デモの拡大とデモ過熱によるサンピエール・エ・ミクロンでの代議士個人攻撃

   



 先週末は、フランス全土で、ワクチンパス反対、ワクチン反対などを訴え10万5000人がデモに参加しました。

 今回のデモは、ワクチンパスが施行される直前ということもあり、また、マクロン大統領がこの数日前にワクチン非接種者についての過激な発言をしたこともあり、年末年始にかけては、少しずつ減少していたデモ隊が再び、増加し始めています。

 パリでは3つのデモ隊に分かれて18,000人が参加しています。デモに参加している人々の主旨は様々で、ワクチン接種そのものに反対している者、ワクチンパスに反対している者、政府の強引なやり方に抗議する者、自由を制限されることに対して抗議する者、マクロンの過激な発言に対して抗議する者などがごちゃ混ぜになっています。

 もともと、フランスのこのヘルスパスやワクチン接種に関するデモは、もうずっと途切れることなく続いており、特にヘルスパスの施行が発表された直後は23万人以上が集まる大変な盛り上がりを見せていましたが、ワクチン接種が進み、ヘルスパスが浸透するとともに少しずつ縮小していたので、フランス全土で10万人超えのデモは久しぶりのことです。

 いつものことですが、警備にあたる警察との衝突もいくつか起こっており、パリ市内では、逮捕者10名、軽傷者3名、他の地域では24名の逮捕者、軽傷者7名が発生しています。

 これらのデモは時には暴徒化することあっても、街中を練り歩いて行進して歩くのが普通ですが、このデモが、フランス領サンピエール・エ・ミクロンで、ワクチンパス反対のデモ隊が過熱し、代議士の個人宅を攻撃するという事態にまで陥る事件が発生しました。

 

 過熱したデモ隊の一部が、代議士宅へ向かい、デモ隊と対話をしようと家の前の階段の上に現れた代議士に向かって多くの人が彼に向かって石を投げ続けたのです。

 デモによる抗議活動は、認められているものですが、個人攻撃は、明らかにルール違反。襲撃を受けた代議士は、顔見知りの者もいる集団が自分に怒りを向け、石を投げつけられ、彼がしていたマスクを引きちぎられ、「ウィルスは存在しない!」と叫び襲いかかるものもいたそうで、その際の恐怖と憤りを語っており、この襲撃者たちを告訴する意向を表明しています。

 政府の決定に対して、また長期間おさまることのないパンデミックへのやり場のない怒りをぶつける標的を個人に向けることは、あり得ない話、ましてや最も個人的な私邸への襲撃とは、警備する警察官もたまったものではありません。

 このように実際の暴力的なかたちでの攻撃は、さすがに珍しいものではありますが、SNSによる抗議や脅迫メールなどは、後を絶たないと言います。

 マクロン大統領は、サンピエール・エ・ミクロンで起こったこの代議士への「耐え難い」「容認できない」攻撃を糾弾し、特定の被害者の苦情を現地で集める可能性に言及しました。

 マクロン大統領が行った「ワクチン未接種者を非難し、彼らを怒らせたい」と言った過激な発言は、一部の国民の怒りを過熱させ、過激な暴力行為に向かわせてしまったかもしれません。

 警察は「政府の決定に最も敵対する者たちが再び標的となりうる国会議員やその事務所に注意を払うべき」と対策を検討中です。

 今、戦うべきは、ウィルスであって、人と人ではないことを思い出してほしいです。


サンピエールエミクロン ワクチンパス反対デモ


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2022年1月10日月曜日

IHU変異種とデルタクロン 新しい変異種の出現のニュースの信憑性

   


 昨年の12月の段階から、世界では騒がれ始めているのに、なぜか、フランスでは、あまり報道されていない新しい変異種があるというのを小耳に挟んでいて、気になっていました。

 それは昨年12月初旬にマルセイユの大学病院の感染症専門医ディディエ・ラウルト教授のチームが新しい変異種を発見したと発表したことから「IHU変異種」と呼ばれ、世界の一部の科学者を心配させているのだそうです。

 実際に「French variant」と検索すると、このIHU変異種について書かれた数百件の記事がヒットします。時には、「この変異種はオミクロンよりもさらに多くの変異がある」とか、「フランスの科学者が警鐘を鳴らす」といった記事にも遭遇します。

 しかし、実際にフランスでは、この「IHU変異種」については、あまり報道されていません。

 この新しい変異種は「IHU型」と呼ばれ、昨年10月にフランスとコンゴで発生した別の型と関連があり、12月中旬に発表されたフランスの公衆衛生局による最新の調査では、その後300人強の陽性例を出しています。

 しかし、「この変異種はフランスにおける感染者の1%未満以下であり、これは非常に少ない症例数、解釈には慎重であることが望ましい」と公衆衛生局は指摘しています。この変異種については、変異種をリストアップしているWHOの定義によると、リスクがあると疑われているものではありますが、必ずしも危険というわけではありません。

 この変異種の発見が、他の科学者によるレビューや検証がまだ行われていない段階で発表され、それが以前にクロロキン(本来は、マラリアの治療薬)を使ってのコロナウィルスの治療に成果をあげて、一躍、ヒーローのような存在になったディディエ・ラウルト教授のチームによるものであったことが、誇大広告の引き金となったと現段階では、言われています。

 IHU変異種が検出されたのは、フランスでオミクロンが広がり始める前の段階であったことから、新しい変異種であり、その存在は事実ではあるものの、オミクロンほどの警戒をすべきものとは、考えられないとされ、むしろ、イギリスのインペリアルカレッジなどは、必要以上に危機感を煽る報道は避けるように戒め、騒ぎを沈静化するために、「このIHU変異種の発見は、南フランスでの症例の急増を説明するものではない」、「フランスで何百人もの人々をICUに送ったわけではない」などとの、この騒ぎを鎮静化させる声明を発表しています。

 クロロキンを使ってのコロナウィルス治療の研究成果を発表したラウルト教授は、一時、救世主のようにマスコミを賑わせたものの、結果的に1年以上経った現在、この治療法が浸透していないことからも、これは、結局、お騒がせ・・というか、マスコミが勝手に騒いだだけだった・・と思わせられます。

 そんな経緯もあり、フランスでは、あまりこの「IHU変異種」については、騒ぎにはならず、それどころか、デルタ変異種がおさまらないうちにオミクロンの驚異的な感染拡大で、それどころではない状況です。

 そして、昨日、「キプロス大学生物学教授のLeondios Kostrikis氏は、「現在、オミクロンとデルタの共感染があり、我々はこの両者を組み合わせた新しい変異種を発見した」と発表しました。

 それは、オミクロンの遺伝的サインとデルタのゲノムを持つとされ、そのため、すでに「デルタクロン」というニックネームがつけられています。

 同医師によると「入院中の患者の方が変異の頻度が高く、デルタクロンと入院の間に相関関係があるとの考えに至るかもしれない」と付け加えたという。「この変異種がより病的なのか、より伝染性が強いのか、あるいはそれが優勢なのか、今後見ていくことになる」と述べています。

 このサンプルは、他研究所(パスツール研究所など)に送られ、これから分析を進めるとしていますが、既に、一部では、異なる変種のサンプルを扱う実験室のミスによるものだと懐疑的な声も上がっています。

 現在のフランスの重症患者は依然として、デルタ変異種による患者が多い中でのオミクロン感染の急激な増加、この異なる変異種が合わさるものであるのかは、わかりませんが、どうやら、科学者の新しい変異種発見の発表が充分に確認される前にフライング気味に世の中に出回ってしまうことだけは、確かなようです。

 私たちにとっては、ウィルスは目に見えるものではなく、変異種ごとに感染対策が特に異なるならば別ですが、できる感染対策を粛々としていくしかありません。

 しかし、新しい変異種が出現するということは、確実にこのパンデミックが長期化するということだけは確かだと思うと、また、うんざりするニュースではあります。


デルタクロン IHU変異種


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2022年1月9日日曜日

1日の新規感染者が30万人でも閉鎖しない学校の大混乱 来週には学校はストライキの予定

  


 

 ノエルのバカンスあけ1月3日に再開したフランスの学校は、衛生管理を強化し、とにかく検査を徹底することで、始まったものの、まだ1週間も経たないのに、すでに大混乱になっています。

 なにせ、現在のフランスの新型コロナウィルスの発生率は10万人あたり、2391.2人まで上昇しており、単純に計算する限り、約40人に1人は感染しているという計算になります。

 これで、特にワクチン接種があまり行われていない5歳〜11歳の年齢層の生徒が集まる小学校などは、この週数回の検査と隔離の確認、連絡に大わらわになるのも無理からぬことです。

 学校再開以来、約5万人の生徒が陽性。約30の学校と10,800以上のクラスが閉鎖されています。

 学校は、毎日毎日の生徒の陰性確認に加えて、接触者の再検査の連絡、今や薬局や検査場は、どこも長蛇の列で、検査を受けるといっても簡単に受けられるわけではありません。

 それに加えて、教員が感染して欠員の場合の代理教員の手配。エンドレスに続く毎日の煩雑な作業に学校も学生、そして、保護者も悲鳴をあげています。

 特に小学生以下の場合、例えば、前日の夕方にクラスに感染者が発見された場合、翌日の登校前までに検査をしなければならずに、薬局に駆け込んでも、すでに長蛇の列、夜の時間帯ゆえ、子供を連れて並ぶことを諦めて、翌日、朝に検査をしてから遅れて登校。

 また、学校に行ってみると、教員の欠員のために代理教員が午前中には手配できないために授業は、午後から・・または、今日は休講・・などなど、それらすべてに付き添わなければならない保護者は、子供の学校に振り回されて、仕事どころではありません。

 どちらにしても、その全体の調整とチェック、連絡だけでも相当な仕事量です。通常、フランスの学校の先生は、授業の講義を受け持つだけで、その他の仕事は、自分たちの仕事ではないというのが基本的な姿勢です。

 それが、パンデミック以来、生徒の学校内での衛生管理や検査結果のチェック、感染者が出れば周囲の生徒への連絡と隔離状態のチェックなどなど、業務は膨れ上がっています。

 学校再開の前には、検査の徹底のルールとして、初日に全員が検査、陰性の生徒のみの登校、感染者が出た場合は、クラス全員が検査、その後、数日おきに検査を続けることなどが発表されましたが、それは、あくまでも紙の上でのことで、実際にこれを続けるのは、学校側の負担も学生側の負担も計り知れないほどの負担になっています。

 なんといっても、1日の新規感染者は、毎日のように30万人を超えている状況で、子供の間の感染率も例外ではなく、これを続けるのは、学校を閉鎖するよりもよほど大変な状況に陥っているのです。

 今回は、教員が欠員のクラスの生徒を他のクラスに割り振ることも禁止されているために、代理教員が見つからない限り、子供を受け入れることもできません。

 しかも、生徒も教員もいつ感染するかわからないわけで、前もって、準備することもできません。

 この想像以上の混乱に直面し、大多数の教職員組合は、学校の混乱を糾弾するために、1月13日(木)にストライキを行うことを発表しています。

 教職員組合は、「フランス政府は、学校の安全を確保するために労働組合が行った要求に対して耳を貸さなかったという事実を遺憾に思っている」とし、学校とその職員が日ごとに変わる実行不可能なルールに、もはや対処できないことを政府に理解してもらう」とストライキに入る理由を語っています。

 特に、「1件の陽性例=学級閉鎖」という保護規定に戻し、家族内接触例を隔離するという基本的なルールを取り戻すことを求めています。

 この現在の混乱状況に加えて、ストライキ・・1日だけなのか、長期にわたる予定なのかはわかりませんが、この感染者数からいくと、少なくとも彼らの要求している「1件の陽性例=学級閉鎖」が通れば、たちまち、学校は、ほぼ閉鎖状態になると思われます。

 保護者の立場からすると、自分の仕事も合わせて、スケジュールを日々、調整するのは、大変なことで、いっそのこと学校は閉鎖なら閉鎖でリモート授業としてくれる方が、そのたびに右往左往する必要もなく、ひとまず感染状況がもう少しおさまるまでは、閉鎖してくれた方がまだマシかもしれないと思うのです。

 子供の将来を考え、学校閉鎖は、あくまでも最終手段であるとしてきたフランス政府ではありますが、学校を閉鎖せずに検査と隔離を続けながら継続するには、あまりに感染者が多すぎて、どうにも立ち行かなくなっている現状です。


フランス学校ストライキ


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2022年1月8日土曜日

在宅中でも油断できないパリの治安 偽身分証明書による家宅侵入による盗難事件

 

偽警察官を見分けるために、警察が公開している本物の警察官の身分証明書

 

 イル・ド・フランス(パリ近郊地域)では、昨年の1月から11月までの11ヶ月で、偽の身分証明書を提示して、個人の家宅に侵入しての窃盗事件が464件も発生していることが報告されています。

 街中でスリやひったくりに遭うだけでなく、自宅にまでやってくるというのですから、家にいても、決して油断はできません。

 この手の犯罪は、一昨年までの倍以上に跳ね上がっているので、今、流行?している犯罪の手口なのかもしれません。ちょうど、パンデミックの時期と重なっているため、観光客が激減したり、外出制限などで、街中の人出が通常のようには、戻っていないため、その手の犯罪を生業にしている人にとっては、商売あがったりの状況が続き、窃盗の方法を変更しているのかもしれません。

 偽の身分証明書、身分を偽って家宅に侵入するには、さまざまな種類があるようで、時には警察官、配管工、電気工、水道や電気のメーターのチェック、ごみ収集、煙突掃除などなど、様々な身分に変装し、偽の証明書や書類を持って現れ、工事やチェックをするふりをして、隙をみて、家の中の貴重品を盗み出します。

 また、自治体を名乗り、寄付を募るという手口もあるようです。

 ここのところ、我が家でも、同じところに住んで長くなるために、どういうわけか、家の中のあちこちにガタがき始めて、トイレや洗面所、電気系統、給湯器など、ここのところ、立て続けに工事の人が家に入っていたので、このニュースにちょっとドッキリしています。

 しかし、我が家の場合は、調子が悪くなっている場所を修理してもらったりする場合は、必ず、管理人さんを通して、工事の人を頼んで来てもらっているので、このニュースにあるような、不意の訪問ではないので、まず心配はないと思っています。

 幸いにも現在の管理人さんは、とても腰が軽い人で、何かあれば、すぐにSNSで連絡がとれ、メッセージを送るとすぐに対応してくれる人なので、とても助かっています。

 とはいえ、このご時世に、全く知らない他人が家に入ってくるのですから、感染の心配もあるし、余計なことをされても困るし、逆についでに頼めることがあれば、頼んでおきたいと、思っているので、工事をしてもらっている最中は、工事人に張り付いて、おしゃべりしながら、見ているので、今のところ心配はないと思いますが、もしかしたら、気を抜いた隙に何かをとられていても気がついていないかもしれません。

 もっとも、我が家には、大した貴重品もないので、心配することはないのかもしれませんが・・。

 この手の犯罪は、どこも増加しているようで、自治体ごとに警戒のメッセージを告示しています。特に高齢者の世帯に被害が多いという報告も上がっています。

 特に警察官などが家に来れば、本来ならば、市民を守ってくれるはずの立場の人、容易に騙されてしまうことも多く、パリ近郊の市役所などでは、本物の警察官の身分証明書を公開し、違うものを提示された場合は、必ず警察に確認してくださいなどと警告しています。

 しかし、突然の訪問に咄嗟にそのような対応ができるか?と心配になりますが、このようなことがあり得ると知っているのとそうでないのとでは、身構え方が違ってくると思うのです。

 パリ警視庁は、この手の犯罪の防御策として、

○制服を着ている場合でも、プロフェッショナルカードの表裏とミッションオーダー(または通過証明)を見せてもらうこと。もし、本人が拒否したり、疑問を持ったりした場合は、中に入れないこと。

○訪問者の身元を確認したい場合は、名乗ったり電話をかけてきた人の電話番号ではなく、自分で電話番号を調べた先に、電話して確認すること。

○電話、郵便、または建物内の掲示で誰かが来ることを知らされた場合、その人が来た組織、家主、不動産管理人、コンシェルジュ、または隣人に確認すること。

○国勢調査、測量などのために来る人に注意すること。窃盗の犯人は、しばしば偵察を行っています。

○アポなし取材には決して応じず、相手の真意を確かめるために身元を確認した上で、改めてアポを取ること。

 窃盗は5年の禁固刑と75,000ユーロの罰金に処されることにはなっていますが、このような犯罪が横行しているということは、そのほとんどが検挙されていないということなので、注意が必要であることは、いうまでもありません。

 まったく、外に出れば、スリやひったくりに遭わないかと警戒し、家を留守にすれば、空き巣に狙われ、在宅していてもこのような窃盗に遭うとは、パリという街は、どこにいても気が抜けないところです。


偽身分証明書の提示での家宅侵入による窃盗事件


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