2024年5月31日金曜日

チープフレーション、シュリンクフレーションに続いてストレッチフレーション

 


 インフレに加速がついてくるにしたがって、商品価格の上昇を少しでも抑えるために?、あるいは販売価格を据え置きにするために、パッケージの内容量を減らしたり、原料の質を落としたりするチープフレーションやシュリンクフレーションが問題にされ、フードウォッチ(食品分野の製品に対する安全で健康的で適正価格の透明化を求め、人にも環境にも害を及ぼさないために消費者への情報を提供し闘うNGO団体)が、問題のある商品、メーカーを名指しして、ピンポイントで、指摘し、製造元メーカーに異議を申し立てたりしていたことが一時、話題になっていました。

 チープフレーション、シュリンクフレーションなど、いつもは、そんなに内容量など注意して買い物していなかったので、それ以来、少しは気をつけるようになりました。

 あれ?なんか、これ小さくなってない?と目に見えるほど違っていることは、あまりないのですが(そもそも目立たないようにやっているのだろうけど・・)、エシレバターの小さいサイズのものが125gから100gに変わっていたのは、さすがに「ちっちゃ!」となり、苦笑しました。

 まさに手を変え品をかえ、製造元メーカーの騙し比べといった感じで、ウンザリしますが、どちらにしても、ごまかされる感じは消費者としては不愉快です。

 それがまた今度は、「ストレッチフレーション」というのを聞いて、手を変え品を変えのまた別パターンで、内容量を増やして、割引をするのですが、実質的には値上がりしているというもので、この「ストレッチフレーション」という言葉は今回初めて知りました。

 ファミリーサイズは実はお得ではないパターンがあるというのと一緒で、メーカーが店頭での価格引き上げを偽装するために、内容量を増やして、一見、余計に割引しているように見せて、実は着実に内容量より値上げ率の方がずっと高くなっているというやり方です。

 よく内容量「60g増!」などと大仰に赤文字がついていたりして、実際には内容量15%増で、価格は35%あがっているなどという、錯覚を利用した騙しのテクニックのようです。

 よくよく見れば、きちんと内容量も金額も記載されているどおりなので、騙しているわけではなく、よく見ていない方が悪いということになるのかもしれませんが、これらの手口は食料品では頻繁に行われていることのようです。

 最近、よく見るのは2個買うと3個目が半額とか無料とか、そういった類のものが多くなって、一人の私は、そんなにいらないので、この手の恩恵に預かることはありませんが、それでも、時々、買い置きできるものに関しては、この3個目が割引もしくは無料になった場合の1個あたりの金額を計算しなおし、1個の値段はこれだけだから・・これなら安いかも?と思えば、たまに買うことはあります。自分でもよくよく疑い深いと思います。

 そのうえ、必ずしもレジを通したときに、表示どおりに割引されていない場合もあるので、その表示の写真を撮り、苦情の準備までします。あるいは、セルフレジの場合などは、それだけ別会計にして、しっかり表示どおりの割引になっていなければ、キャンセルします。

 まったく、自分でも、ちょっとの買い物に執念深い嫌な客だと思いながらも、騙されるのは、悔しいのです。いったん、支払ってしまって、「ちゃんと割引されていない」などと苦情を言っても、返金はしてくれますが、「受付に行って手続きしてもらって!」などと言われて、すごく面倒くさいので、できるだけ被害は最小限にとどめたいのです。

 私はどちらかといえば、ざっくり勘定のタイプだったので、フランスに来て以来、しばらくは、まるでレジを信じ切っていたのですが、ある時から、スーパーで野菜を測りステッカーを自分で張るのにも、その出てくるステッカーのキロ当たりの値段が違っていることをそばにいたおばさんに気を付けて!それ値段違っているわよ!と注意されたり、また、割引と書いてあるから、当然、割り引かれていると思って支払っていたら、あとでレシートをよく見たら、全く割引になっていなかったりということがあってからは、もう全てに対して疑い深くなりました。

 結局、あとで、「え~?うそ?騙された~~!」と嫌な気持ちになりたくないので、自己防衛の一種の哀しいフランス生活の知恵です。


ストレッチフレーション


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2024年5月30日木曜日

子どものお稽古事 習い事

  


 絶賛子育て中の女性たちの会話を小耳にはさんで、特にまだ小さい子どもを持つママたちは、子どもに何をやらせてあげればよいのか?子どもにとって良い教育とはどんなことなのか? とっても一生懸命に話をしているのを聞いて、なんだか、昔の自分の子育てをしていた頃を思い出し、「私もなんかもう、無条件に必死だったな・・」と、なんか、そんなママたちを見て、「そうだよね・・子どもに少しでもよいことをさせてあげたいよね・・わかるわかる・・がんばれ!」という、なんかそのママたちがとても愛おしいような気持ちになりました。

 私の場合は、とにかく何よりも娘には日本語をしっかり身につけてほしかったので、娘に一番、最初に始めたのは日本語の教育でした。私の最優先事項は決まっていたので、とにかく私は娘には日本語のみで話し、日本語の絵本を毎晩、夜2冊を読み聞かせをし、日本語の単語のカードなどを自分で作ったりして日本語を教えていました。

 まずは、日本語の読み書きができるだけ億劫に感じにくくなるようにと、フランスの学校(実際には幼稚園ですが、フランスでは学校扱い)が始まるまえには2歳で公文に通い始め、えんぴつの持ち方から日本人の先生に(私以外の日本人の人からということも大切だと思って)日本語で教わり、最初は線を引くところから始まり、それから毎週1回、当時はシャンゼリゼにあった教室にしばらく通い、その後はオペラ座近辺の教室に通いました。公文は本当は週2回通えるのですが、スケジュール的に無理だったので、1週間分の宿題をもらって週1にしてもらっていました。

 送り迎えも大変でしたが、毎日の宿題をやらせるのがホント、大変でした。毎日、毎日の積み重ね・・我ながらよく続いたものだと感心します。これらのことは、私が子どもの頃に母から受けた英語教育にちょっと通ずるところもある気がしています。

 私が子どもの頃は、母が私に少しずつ英語を教えてくれていたので(これは外に習いに行ったわけではなく母がずっと教えてくれました)、毎晩、寝る前には英語のお話のテープを聞きながら、ベッドに入るようになっていたので、子どもの頃はそのお話を英語で暗唱できたりしました。小さい頃だったからこそ、できたことです。

 しかし、娘には私も少しだけ英語を教えかけたこともあったのですが、途中でギブアップ、ただし、夫が存命中は夫とは英語で話すようにしていたので、そこに娘がフランス語で割って介入してくることはあったので、ある程度は聞き取れていたかもしれません。

 そして、娘には、私の小さい頃の憧れもあり、バレエをやらせたいと思っていました。もともとは、ほんとに親の勝手な趣味的発想です。しかし、パリにいるからこそ、そんなに高くない月謝で、しかもラッキーなことに先生は、元オペラ座でソロで踊っていたバレエダンサーでした。

 パリで女の子のお稽古事といえば、バレエは定番なのですが、そんなこととは関係なく、これは、単に、私が子どもの頃にやりたかったのにできなかった・・という私の勝手な希望でした。最初、娘はあまり乗り気ではなく、「じゃあ、一回、行ってみて、嫌だったら、やめよう!」と連れて行ったら、娘はたった1回で「やっぱりやりたい!」と変わりました。

 それが4歳くらいだったと思います。当時、娘はピンクのお年頃で、もう何から何までピンクがいいという頃、ピンクのチュチュを着た、ちっちゃなナルシスト集団みたいなところでしたが、結局、彼女は高校に入るくらいまで続けていました。

 日本語はともかくバレエは特に将来なにかにはっきりと役立つというものでもないのですが、しいて言えば、バレエというものはあらゆるダンスの基本のようなものでやってみると地味にキツいもので、しいて言えば、体幹が鍛えられ、姿勢よく成長できたかもしれません。

 私はずっとフルタイムで働いていたので、とにかくどこへ行くにも送り迎えが必用なフランス(小学校卒業までは)で、彼女のお稽古事は私が送り迎えができる日に集中させる必要があり、これ以上は無理でした。

 水泳等は、休みの日、時間が空いていると近所の市民プールに連れていき、私が教えていたので、娘は、しっかり泳げるようになっていました。ただ、ある時、(8歳くらい?)夫が急に水泳をやらせたいと言い出し、自分が送り迎えをするからと、平日の夕方の時間で週1で水泳のクラスに通わせていたこともありました。

 その他には、学校の合宿等で、乗馬をやっていたこともあったし、これまた学校の中のアクティビティでフェンシングなどのコースを取っていたこともありました。フェンシングなどは、これは、性格的にも合ってるのでは?と私は思っていたものの、1年のみで、やっぱりあんまり好きじゃない・・と彼女はあっさりやめてしまいました。

 その後、夏休みや冬休みのコロニーでは春には乗馬の合宿、夏にはサーフィンやダイビングなどのマリンスポーツ、冬にはスキーと、お稽古事というわけではありませんが、色々なスポーツに触れさせることができました。

 これらのコロニー合宿は夫が亡くなってからの話で、長い夏休みをはじめとする学校のバカンスに私一人でお休みをとって付き合いきれなかった苦肉の策で、夫の元同僚だった人が、財務省(夫の勤務先)の職員の遺族補助が使えるから、通常よりもずいぶん安く行かせてあげられると紹介してくれたもので、まさに不幸中の幸いで、おそらく娘にとっては、私と過ごすよりも豊かな体験ができたのではないか?と思っています。

 ただ一つ、心残りといえば、心残りなことは、私が小さい頃からお稽古事としてやらせてもらってきたピアノをやらせてあげられなかったことで、当時、絶対音感は小さいうちに訓練しないと・・などと思っていたので、小さい頃に私自身が娘にピアノを教え始めていたのですが、どうにも彼女はピアノが楽しくないらしく、どんなに動いても決して音を上げない娘がピアノに関しては、すぐに「手が痛くなっちゃった・・」と言い始め、音に関しても、音ではなく、鍵盤の位置を数えて覚えようとする不思議な子で、他のスケジュールがキツキツだったこともあり、私は早々に「時間の無駄だ・・」と諦めてしまったのです。

 今から思えば、それをどう楽しく感じさせることができるのか?というのが親の力量だったのかもしれませんが、私には、当時、そんな余裕がありませんでした。

 後に「のだめカンタービレ」というドラマが流行ったときに、娘は「やっぱりピアノやりたかった・・」などと言っていたことがありましたが、結局、お稽古事とか習い事は、本人がやっていて楽しいかどうか?というのが続けられるかどうかの判断基準なのではないか?とも思います。

 「好きこそものの上手なれ」とか言いますが、なにをするにしても一定の努力が必用ですが、好きなこと、好きなものであれば、その努力がしやすいということで、それは、お稽古事に限らず、学業の専攻や職業を選択する際にも、よい判断基準なのかもしれないと思っています。

 その子どもの特性によって、合う合わないは色々あると思うので、一概にどのお稽古事がよいということも言えないと思いますが、とにかく少しでもとっかかりのあるものをとりあえず、やらせてみて、続けられるかどうか?本人が楽しんでできるかどうか?ということを試してみるのがよいかと思います。

 とりあえず、私が一番、優先的に考えていた日本語教育に関しては、小さい頃は、「日本語のできない子は日本に連れていけない」と言って、日本行きを餌にして、好き嫌いにうむをいわせない感じにして、とにかくやるのがあたりまえ・・という雰囲気になっていました。

 今となれば、私の念が通じ、彼女は日本でフランスの会社で日本語、フランス語、英語を使って仕事ができているので、結果的には、日本語教育はまことに頑張って続けた甲斐のあった習い事?となりましたが、結果として、はっきり見えるカタチではなくても、小さい頃に色々なことを経験し、一定の期間続けるということは、なんらかの意味があることだと思っているので、忙しい暮らしの中で送り迎え等、頑張っているママさんたちには、エールを送りたいと思います。

 本当に子どもの頃、スポンジのように様々なことを学習する、体験する時期をどのように過ごすかということは、その人の一生にとっても大きなことなのではないか?と思うのです。この時期を逃してしまうのは、本当にもったいないです。


子どものお稽古事 習い事


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2024年5月29日水曜日

ストライキはフランスの日常だけど、薬局のストライキは珍しい・・

  


 地域薬剤師連盟(FSPF)と地域薬剤師労働組合連合(USPO)は、5月30日のフランス国内の2万500軒の薬局の閉鎖(ストライキ)とデモの動員を発表しています。フランスでのデモやストライキは日常茶飯事で、たいていのストライキやデモは、公共交通機関、学校、病院、時には警察などで、いつも同じような機関のストライキなので、「げげ・・また・・」とは思うものの、あまり驚くことはありません。

 しかし、今回は、薬局のストライキというのは珍しく、こんなの前代未聞?と思っていたら、さすがにフランス!これまで、まるでなかったわけではなく、10年ぶりのストライキなのだそうです。

 今回、この薬局がストライキに踏み切るのは、医薬品の不足やオンライン販売の自由化のリスクについての警告なのだそうです。

 原因のひとつとなっているのは、医療保険(健康保険)との間の交渉で彼らが提案している薬価の再評価が不十分であり、フランス製薬労働組合連盟(FSPF)は「検討されている予算だけではすべての薬局に資金を提供できるわけではない」と宣言しています。

 薬局の経済状況悪化に加えて、彼らが主張している医薬品不足の問題もフランスのような国で医薬品が不足?とちょっと疑問にも感じるのですが、そういえば、少しまえにフランス人の常備薬のような薬ドリプラン(パラセタモール)が薬局から消えた!ということがありましたが、それは、一番、目立つ医薬品不足のごくごく一端だったようです。

 この医薬品不足の根底にあるのは、薬価の下落と政府が特定の薬価の値上げを拒否していることにあるとしています。「健康保険(国)側からしたら、薬価を上げなければ払い戻しの金額を節約することができるだろうが、薬価が低いためにフランスへの出荷は後回しにされ、最後にまわされる!」とのこと。

 政府は現在、あらゆる公的補償の見直しと削減に懸命になっていて、この健康保険の見直しも彼らのプランの中に入っており、この費用の削減のために、医者を介さずに薬局で購入できる薬品を増やしたり(通常、医者の処方箋がないと保険がきかない)、その薬局もすっ飛ばして、オンラインで薬の販売ができるシステムを構築しようとしたりしているため、薬局は、このシステムが可能になった場合、ますます立ちいかなくなる危険性を孕んでいるのです。

 私など、つい先日も薬局で山ほどの薬を買ってきたばかりで、「私はけっこうこの薬局のいいお客さんだろうな・・」などと思ったばかり。私などは、フランスの薬は、一部の薬を除いて、未だによくわからないことが多いので、お医者さんに説明を聞いて、さらに薬局で、薬について、色々と質問したりすることもあるので、オンラインなどよりも安心ではあるのですが、きっと若い世代の人たちにとったら、このオンライン薬局が保険の適用になり、少しでも時間と費用が節約できるようになれば、一気にそちらの方に流れてしまうのではないか?とも思うのですが、便利になり、公費が削減できれば、政府の予算にだって、限度があるのだから、悪いことではないのにな・・とは思います。

 だいたい、フランスに来て、驚くことのひとつは薬局に並ぶ薬の種類の少なさで、多くの人々は処方箋を持って薬局に薬を買いに行くので、専門的というか小難しい薬に関しては、奥の部屋にストックされていて、一般客の目に触れることはありません。

 たいていは、医者の処方箋があれば、薬の種類にもよりますが、ミューチュエル保険(健康保険ではカバーしきれない部分をカバーしてくれる保険)に加入している場合は、自分でその場ではほとんど支払うことはないので、自分の飲んでいる薬が一体、いくらなのか?処方箋の裏に印字された値段を見ればわかるのですが、値段の確認もしていないので、言われるまま・・金額を気にすることもほとんどありません。

 なので、見方を変えれば、これまで薬局はけっこうおいしい商売をしてきたわけで、このインフレの中、けっこうな殿様商売をしてきた印象が私にはありました。

 私が日本に行ったときに買い物をしてくるものの中に薬類があり、日本に行くたびに日本の薬局に行くのですが、その商品の多さやマチマチな値段のものを見比べたりするたびに、こういう薬局、フランスにもあればいいのにな・・と思うのです。

 おそらく、日本の薬局だって、大昔のいわゆる薬局・・薬だけでは立ちいかなくなって、今で言うマツモトキヨシ・・みたいな薬局?(もはや薬局なのかどうかもよくわからない)に展開していったわけで、この間、渋谷に行ったときにマツモトキヨシなどを覗いてみたら、外国人観光客を狙ってだと思いますが、どの薬局も「免税」の大看板があるのにはビックリしました。

 そんな日本での薬局の変遷を見れば、フランスの薬局などは企業?努力ゼロ、すごく古いやり方が続いています。

 それでも、地域薬局支店には13万人以上の従業員がいるそうで、この数字は私立診療所の従業員に匹敵する数字だということで、今までは良かったのでしょうが、それはもうこのままでは、立ちいかなくなるのも当然なような気がします。

 一度、フランスの薬局連盟?は、ストライキなんてしてないで、日本の薬局チェーンの視察でもしてみれば・・とこっそり思うのでした。


薬局のストライキ


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2024年5月28日火曜日

コロナウィルスがまた流行りだしたらしい・・

 


 体調を崩して、お医者さんに行って、「気管支炎を起こしてます・・」と言われて、抗生物質を出してもらって、薬を飲みながら、一週間以上、かなり気を付けておとなしく過ごしてきました。

 もう抗生物質の薬をもらうときには、けっこうしんどい状態なのですが、「必ずこのひと箱、飲みきってくださいね・・」と言われるので、そのとおりにしていますが、その処方された分を飲み終わる頃には、たいてい回復しているので、薬をもらった時点で、「ああ、もうこれで大丈夫、これを飲めば身体も楽になってくるな・・」と半分、治ったような気分になってしまいます。

 しかし、どうにも一週間過ぎて、薬を飲みきっても、わずかに回復した?というよりも悪化するのがストップした?程度で、一向によくなりませんでした。

 身体がしんどいので、安静にせざるを得ないのですが、こうして思うように動けないとなると、ふだんはダラダラしているくせに、なんとなく何もできずにいることに焦りのような気持ちが生まれてきてしまう貧乏性な私です。

 しかし、一向に回復しないどころか、朝、起きたときの調子の悪さは最悪で、ゼーゼーするどころか、全身打撲のような身体の痛みでちょっと、そのまま寝込みそうになる気分で目覚める日が続いていました。

 このままではいられないので、再びお医者さんに行き、「一向によくならないのです・・追加分のお薬お願いします」と症状を訴えると、診察してくれて、「まだ、雑音がしっかり聞こえるわね・・」と言われ、追加というか、別の抗生物質の薬の処方箋を書いてくれました。

 そして、「ところで Covid (コロナウィルス)の検査はしましたか?」と言われて、すっかりコロナウィルスなどは疑ってみてはいなかったことにハッとして、「えっ?してませんけど・・」と言ったら、「すぐに検査しなさい!」、「また、最近、コロナウィルス感染している人が増えてきているから・・」と言われて、ギョッとしたのです。

 1年くらい前だったら、少しでも具合が悪ければ、「もしかして、コロナかも?」と自分でもコロナウィルスを疑って、早々に検査をしてもらってきたのに、自分でも、これが「喉元過ぎれば・・」で、すっかりコロナウィルス感染かもしれないなどとは、疑いもしませんでした。

 私がコロナウィルスのワクチン接種を最後にしたのは、たしか昨年末に日本に行く少しまえのことで、その頃はまだ、まあ長距離のフライトにも乗るわけだし、空港などは、ヤバいかも・・一応、ワクチン打っておこうと思ったりもしていたのですから、ずいぶんと意識が希薄になっていたものです。

 私の通っているお医者さんでは(開業医の診察室)では、フランスではめずらしく、そういえば、依然として、マスク着用義務が続いています。

 一応、今回は、また別の抗生物質などの薬を処方してくれて、「すぐにコロナの検査をして、結果がわかったら、電話してね・・」と言われて、処方箋を持って薬局に寄って、薬を処方してもらうついでに、コロナウィルス検査をしてもらってきました。

 なんだか、調子の悪さもあいまって、これはいよいよ感染しているのかもしれない・・と今までかなり検査をしてもらってきた中でも一番、ヤバい気持ちでドキドキ、結果を待っていました。

 私は、これまで、フランスがかなりの感染率で、一時は2人に1人は感染しているなどといわれていた時まであったにもかかわらず、奇跡的に一度も感染したことがなかったので、いよいよ、この奇跡的な記録にも終止符が打たれるか?という気持ちでいました。

 5分ほど結果を待って、結果は陰性でした。

 だからといって、体調がよくなるわけではありませんが、なんとなくホッとしてしまうのも妙なことですが、正直な気持ちです。

 今や命にかかわる確率は減ってきて、風邪とかわらないような扱いになっていますが、なんとなく、風邪や気管支炎よりも怖いイメージが私の中に根付いていることを自分ではっきりと自覚した次第です。

 お医者さんに電話すると、とにかくコロナウィルスだけではなくて、いろんなウィルスが蔓延しているから気を付けて・・お大事に・・」と教えてくれました。

 お天気も不安定で例年よりもなかなか、あったかくなってきた!と言い切れない気候が続くパリです。皆さま、またコロナウィルス、流行りだしているようですので、充分にお気を付け下さいませ。


コロナウィルス再流行


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2024年5月27日月曜日

シャンゼリゼの巨大ピクニックに秘められたシャンゼリゼ変貌への抵抗

  


 シャンゼリゼで巨大ピクニックが行われたと聞いて、「残念!知らなかった!行きたかったな〜!」と単純に思ったのですが、これに参加できたのは、238,000人の応募の中から抽選によりこのチャンスを得た4,000人のみが参加できるものでした。

 グランピクニックと名付けられたこのシャンゼリゼでのピクニック企画は、その名のとおりダイナミックなもので、シャンゼリゼの凱旋門からジョルジュサンクまでの区間の一面に赤と白の大きなチェックのピクニックシートが敷かれ、招待者にはシャンゼリゼのレストラン経営者 8店舗がこのイベントのために設置されたポップアップ キッチンで調理するミールバスケットが参加者に無料で提供されるというもので、本当に楽しそうな催しものでした。

 このグランピクニックは、廃棄物防止と持続可能な開発に重点を置き、支援的な活動も目指しており、その陽気な側面を超えて、その「持続可能な開発」という部分では、ある種の問題提起を含んだものでもあったようです。

 近年のシャンゼリゼの変貌ぶりを嘆くシャンゼリゼ町内会?委員会?(シャンゼリゼの場合は町内会と呼ぶのがふさわしいかどうかは別として)の地元に長く住んでいる人々は、本来のシャンゼリゼの文化が失われつつあることを嘆き訴えています。

 もはやシャンゼリゼは、高級ブランドの店舗がひしめき合う通りに代わりつつあり、古くからあった映画館や老舗の店舗などは、世界中に店舗を構えるブランドに取って代わられつつあります。彼らは「シャンゼリゼ通りはその魂を失いつつある」と訴えているのです。

 なるほど、私がパリに来てからも、言われてみれば、黄色いベスト運動の際に多くの店舗が被害を被ってショーウィンドーが壊されたりして修理して、そのまま違う店舗になってしまっていた時もあったし、長いこと工事のために、大がかりなテントで覆われている場所がいつのまにか、ディオールだったりルイ・ヴィトンになっていたりと、その変遷は私の記憶にあるだけでも、けっこうな数にのぼる気がします。

 新しく変わってしまえば、「えっと・・ここ、前は何のお店だったっけ?」などと記憶から消え去ってしまうのも早いのですが、あとから気が付いてみれば、そういえば、あのお店もなくなったな・・と思い出したりもして、とにかく、いつのまにか誰もが知っているような高級ブランドの店舗が一段と増えているのは確かです。

 これは家賃の高騰が大きな問題で、この高騰についていけなくなる企業は撤退を余儀なくされてしまうのです。

 この高級ブランドにとってはシャンゼリゼに店舗を構えるということは収益性も高く、ステイタスとしても申し分なく、ブランドの価値をさらに上昇させるためにぜひぜひ獲得したい場所であるというのは、わかりますが、たしかに、この通りが単なる高級ブランド通りになってしまうのでは、世界中のどこに行っても、同じ感じになってしまうわけで、シャンゼリゼとしての味わいは失われてしまうかもしれません。

 なかでも、LVMHの店舗の増えかたは、尋常ではない気がしていたら、市場調査によると約10億ユーロでシャンゼリゼ通りの144~150軒を買収済という話もあります。

 この異常な賃料上昇、不動産投機はシャンゼリゼ文化を守るための大きな弊害となりつつあり、政府の介入が必用だと言われ始めているのです。

 一見、陽気でとっても楽しそうなピクニックには、こんなシャンゼリゼの開発問題も秘められているとは、全く想像していなかっただけに驚かされた次第です。


シャンゼリゼの変貌 シャンゼリゼグランピクニック


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2024年5月26日日曜日

日本のオーバーツーリズムへの対応に思うこと・・

  


 日本のオーバーツーリズム問題は、これまでフランスでも度々、報じられてきましたが、今回の富士山への観光客のための対応については、なぜか?これまで以上に大々的に報じられていました。

 「日本ではオーバーツーリズムに対抗するため、小さな町が富士山を隠すネットを設置した」。日本の小さな町は、大勢の観光客に人気の富士山の眺めを隠すため、高い不透明ネットを設置。日本の中部にある富士河口湖町役場は、多くの外国人観光客が地面にゴミを捨てたり、許可された場所以外で喫煙したり、赤信号で道路を渡ったり、無差別に駐車したりする無礼な行為を理由にこの決定を正当化している・・」というもので、このネットが貼られている映像を見る限り、無粋極まりない感じもします。

 なにやら、雄大な富士山の眺めと前景のコンビニエンスストアのローソンと駐車場を組み合わせた現代日本を象徴する光景としてインスタグラムなどのソーシャルメディアで大人気となっているこの撮影スポットは、交通量の多い道路沿いの狭い歩道から撮影するもののようで、より良い写真を撮ろうと、なかには、近くの歯科医院の屋根に登る人もいるとのことで、迷惑を被っているこの地域の住民からしたら、たまったものではない!と怒り心頭になるのも理解できます。

 これは、主に外国人観光客対策と思われるものですが、地面にゴミを捨てたり、許可された場所以外で喫煙したり、赤信号で道路を渡ったり、無差別に駐車したりする現地当局が無礼な行為として挙げている行為は無礼な行為には違いなく、日本人なら、まず、特に注意せずともこれらの行為をすることはないと思われますが、しかし、その一つ一つの行為を見ると、海外では(少なくともフランスでは・・)、地面にゴミを捨てられること、許可されていない場所での喫煙も、信号無視も、違法駐車もそれほど珍しいことではなく、住民自身もそれほど厳格にルールを守り、モラルが高いわけでもないので、特に観光客に限って問題視することではなく、住民もひっくるめて警戒しなければならない問題でもあります。

 このような迷惑行為を正当化するつもりはありませんが、言い方を変えれば、日本人の常識は、外国人には簡単には通用しないということでもあります。ルールをきっちり守ろうとする日本人とは違うのです。

 パリもまた、一大観光地のひとつでもありますが、このような問題に対してどのように対応しているのか?といえば、特に対応をとっていることといえば、主にセキュリティに関しては、銃を持った警察官が異様に多いということくらいでしょうか? 個人に迷惑をかけるようなケースでも恐らく、この警察官たちが厳しく対応しているのだと思われます。

 もっともパリの場合、治安が悪くて観光客の方が緊張していなければならない、まさに、全く違うレベルの問題ではあります。

 富士山近辺の小さな町ならば、このような外国人が大量に押し寄せる時点で、観光客に威圧される感じがあり、とりあえずとった対応として、この光景が見えなくするネットの設置ということになったのでしょうが、このままでは、かたちを変えて、同じような問題が起こることは、目に見えています。

 世界から見れば、日本人のモラルの高さは、驚くべきレベルであり、逆に外国人には、信じがたい世界なのです。観光産業を軽視できない現在の状況ならば、きっちりと取り組まなければならない問題です。

 話は少々、飛躍してしまいますが、移民を多く受け入れるということは、こういうことなのだとも思うのです。


日本のオーバーツーリズム問題


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2024年5月25日土曜日

日本の研究者が歯を再生する治療法を開発!のフランスでのニュース

  


 日本人の活躍や偉業をフランスのニュースで知ることは日本人として、とても嬉しいことです。最近は、もっぱら、その活躍を取り上げられるのは、マンガやアニメなどのケースがフランスでは多かった気がするのですが、今回は、「日本の研究者が歯を再生する画期的な治療法を開発した!」という医学分野についてのことだったので、「やった!日本人すごいぞ!」と、喜ばしい気持ちになったのです。

 フランスの報道によると、この研究は大阪の北野病院が行っているもので、先天性無菌症(通常6本以上の歯の欠如を認める症例(発症頻度0.1%))の治療を目的としたもので、その原因遺伝子がマウスと人間とで共通していることから、すでにマウスでの実験は成功しているとしています。

 今回、治療に使われているのは、モノクローナル抗体で歯の成長を阻害するUSAG-1と呼ばれるタンパク質を不活性化するもので、この治験の第一段階が2024年9月から2025年8月にかけて開始され、第二段階では、先天性歯不全に苦しむ患者にこの薬が投与されるます。研究者らは出生時に少なくとも4本の歯を失った2歳から7歳の子供を対象にこの薬をテストする予定で安全性が確認されれば、先天的に歯が欠損している患者に投与して有効性を確認できるとしています。

 しかしまず、その薬が危険をもたらさないことを確認する必要があります。したがって、少なくとも1本の臼歯を失った健康な成人にまず接種される予定ですが、これまでの動物実験においての副作用は観察されていません。

 日本の研究者らは、すべてが計画通りに進めば、この薬が2030年から市販されることを期待している。彼らによると、将来的には、先天性疾患に苦しむ人だけでなく、歯を失った人にも歯を生やすことが可能になるとしており、世界的にも画期的な歯科治療の常識を覆す大きな研究であると医学界が大注目していると紹介しています。

 歯が再生可能になるなど、想像もしていなかったことですが、フランスでなぜ?今、このタイミングでこのニュースが報道され始めたのか?、他の国でも報道しているのかどうかはわかりませんが、世界的に(少なくともフランスでは)日本の研究が注目されていることは、日本人として嬉しくもあり、誇らしいことでもあります。

 日本の国力低下などのニュースばかり見かけることが多くなった昨今ではありますが、やっぱり日本人はすごいじゃん!と思える今回のニュースはとても嬉しいニュースでもあり、この治験が上手くいってくれることを応援したい気持ちになっています。


日本の歯の再生治療開発


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