パリにユニクロが初上陸したのは、2007年12月のことでした。あの頃は、フランスでは、ユニクロは今ほど有名ではなかったので、ユニクロフランス上陸!1号店がラ・デファンスにオープン!というニュースを聞いても、「へぇ〜ユニクロ、フランスにもできるんだ〜」くらいであまり感動もなく、おまけにやはり日本の製品、値段も日本で買った方が安いので、ユニクロは、日本に行った時に買うもの・・当時は私にとってパリのユニクロはそんな感じでした。
パリの1号店をオープンした当時は、店員の教育も日本式で、テキパキと仕事を黙々とこなすような仕事ぶりをフランス人の店員に進め、レジに人が並んでも、他のお店よりは、格段に早くレジが進むことや、店内の展示品を休むことなく、きれいにたたみ直して、整理整頓を常に行うという日本では当たり前のことが、なかなかフランス人の店員には受け入れ難かったようで、従業員は長続きせずに、四六時中、ユニクロは従業員を募集していた記憶があります。
あれから、13年以上の月日が流れ、ユニクロは、比較的庶民的な価格設定のわりには圧倒的なクォリティの高さに絶対の信頼を築き、一時は他のメーカーで類似品を続々と売り出したりもするほどでしたが、ユニクロの地位は揺るぐどころか、どんどんフランス国内でも勢力を拡大し、パリ市内だけでも14軒もお店を構える人気店に成長しました。(フランス全体で24店舗)
そして、2021年9月16日、14軒目のユニクロのお店がパリの中心地リヴォリ通り沿いのサマリテーヌの一画にオープンしました。
ユニクロ新店舗正面入り口 |
入り口すぐに開店セール・カシミアセーター全品10%オフ |
ユニクロは、2021年よりパリ・ルーブル美術館とパートナーシップ契約を結び、特にこのリヴォリ店に関しては、ルーブル美術館の多くのアートを取り込み融合させ、日常生活の中心に据えるというコンセプトを展開しています。
このリヴォリ店のユニクロの使用しているスペースは、広すぎず、狭すぎない3フロアから成り立っており、何よりもサマリテーヌの建物の一画を使っているために、荘厳な歴史的建造物の中にあり、外壁の大理石やモザイクのタイルなどもサマリテーヌと同じものが使われており、ユニクロのお店のイメージが、ランクアップされたように印象付けられています。
外壁の大理石や上部のモザイクのタイルはサマリテーヌと一緒 |
また、店内には、モナリザのパネルやミロのヴィーナスのオブジェなどが飾られ、ルーブル美術館UT(UNIQLO Tシャツ)コレクションの新デザイン(モナリザのTシャツ)が独占販売されています。
また、日本文化との融合ということなのか、フランスでも人気の作家・村上春樹さんの小説がテーマになったTシャツなども彼の本と共に展示されていたり、パリの日本文化振興会の方々が、日本茶の振興のためにお茶を振る舞っていたり、まさにフランスと日本文化の融合を感じさせるスタートです。
村上春樹のコーナー |
しかし、おそらく、その他の商品構成は、一般のユニクロの店舗と変わることなく、フランスのお店にしては、小さいスペースに商品数は多く、色とりどり、きれいに展示され、平日昼間というのに、オープン初日ということもあってか、なかなかの人出、しかも、見るだけでなく、しっかり買い物をしている人が多く、早くも大成功の兆しがうかがえます。
見るだけではなく、ちゃんと買い物している |
ユニクロの1号店オープンの際には、レジの行列を早く進めることが課題の一つだったようですが、現在、リヴォリ店でのレジは、人が介するレジと、セルフレジ、しかも商品を入れるだけで、全てスキャンして自動計算されるオートレジシステムが導入されていて、お店の人に尋ねると、そのオートレジの使い方を得意げに説明してくれました。
セルフ・オートレジ |
ユニクロがヨーロッパ進出に参入した際にライバル視していたのはGAPやZARAなどでしたが、GAPのお店は、今やほとんどの店舗がフランスから撤退してしまいましたが、皮肉なことに。このリヴォリ店の正面にはZARAのお店があります。
斜向かいくらいには、C&A(同業の衣料品店舗)の店舗(ユニクロよりも大きなスペースをとったお店)がありますが、こちらは気の毒なくらいガランとしていて、ユニクロの開店と共に大きな煽りを受けそうな気配が漂っていました。
パリのリヴォリ通りは長い通りですが、ことさら、この近辺は、買い物のメッカとも言えるような、ありとあらゆるブランドのお店が立ち並ぶ通りで、おそらく、そのリヴォリ通りの中でもサマリテーヌ(先日、16年ぶりに再開したパリの老舗デパート)のある一画は、最もポピュラーでロケーション的にも抜群の立地を誇っています。
ここに新たにオープンしたユニクロの新店舗、広すぎないスペースを有効に上手に活用し、しかも、その立地条件でそのブランド自体をワンランクアップしたイメージを抱かせ、しかも値段は、他店舗と同じで(日本とは違うと思いますが・・)、ルーブルとコラボの限定品の独占販売とますますもって、見事な戦略。
ワンランクアップしたイメージながら、キラキラしすぎない、背伸びし過ぎを感じさせることなく安定した部分もしっかり見せつつも着実に進化しているのは、さすがとしか言いようがありません。
ルーブルとのこの独占販売Tシャツは、パリに来る観光客にも注目されることは間違いなく、この新店舗のオープンに、ユニクロの一層の繁栄が見えるような気がしたのでした。
パリ・ユニクロ
⭐️ユニクロ・リヴォリ通り店(UNIQLO RIVOLI)
67 Rue de Rivoli 75001 Paris 毎日10:00~20:00
メトロ 1号線 Louvre-Rivoli駅、7号線 Pont-Neuf駅、
1.4.7.11.14号線 Châtelet駅 12番出口より徒歩1分
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