2022年5月5日木曜日

加速するインフレ 食用オイルが棚から消えた

   ウクライナ戦争によるインフレが世界中で進んでいる模様で、フランスもどうやら例外ではないようです。このインフレ騒ぎは、ガソリン等の燃料費の価格高騰から始まり、電気代等の値上げに対して、フランス政府は早々に低所得世帯にエネルギーチケットを配布したりして対策を講じてきました。 ここのところは、今度は食料品の価格高騰について問題になりつつあり、スーパーマーケットの棚を見ても、世界有数のひまわりオイルの輸出国であるウクライナ戦争から派生したと見られる特にひまわりオイルを皮切りに食用オイルの棚が見事に空、または品薄になり、オリーブオイルは、まあまああるものの、たとえ、あったとしても「一人2本まで・・」などと張り紙がされています。 フランス人ってそんなにひまわりオイル使ってるの?と逆に不思議に思ってしまうくらいですが、品薄、値上がり確実・・と、急激に買い占めが起こったものと思われます。 そんなわけで、食用オイルについては、値上げとともに、そもそも商品自体がないので、一体、どの程度、値上げしているのか?中には、4倍近く値上げしているとの話もありますが、今のところ、我が家には、とりあえずの買い置きがあるので、価格が高騰している食用オイルを買ってはいません。 現在のところは、まだ棚から姿を消していないオリーブオイルに関しても、フランスの農業・食料問題を専門とする経済学者、ブルーノ・パルマンティエ氏は、「インフレに加えて、オリーブの木は過去10年間、地球温暖化の犠牲になっており、オリーブオイルの価格は自動的に上がっている」と述べており、オイルの価格上昇は地球温暖化も関連していることを語っています。 彼は、ひまわり油に代わる第一の油として、「フランスでは、10月に収穫が予定されているひまわり油の生産が農家で増え、フランス国内の需要を調整する可能性がある」として、フランス産の菜種油を推奨しています。 ヒマワリ油の世界的な不足は2023年初頭まで続くと予想されており、世界銀行は「2024年までインフレが続く」と予測しています。 また、他の食品に関しても、昨日の仏ル・パリジャン紙によると4月の食品インフレ率は、パスタ15.31%、冷凍肉11.34%,、小麦粉10.93%,、オイル9.98%,、マスタード9.26%と発表しています。#inflation...

2022年5月4日水曜日

約1ヶ月ぶりのマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談

  ロシアによるウクライナ侵攻が開始される前後にかけては、かなり頻繁にプーチン大統領と電話会談していたマクロン大統領ですが、ウクライナの首都キエフ近郊ブチャにおけるロシアが行っていると見られる残虐行為が公表されて以来(3月29日以来)、プーチン大統領との電話会談がパッタリと行われなくなっていました。 この間、フランスは大統領選挙があったこともあるとは思いますが、あまりに凄惨な状況に言葉を失ったのかもしれません。 プーチン大統領と直接、話のできる人は、今、世界中にそんなにたくさんいるわけではなく、たとえ、説得が叶わなかったとしても、対話を続けることができる人がいることは大切なことで、これでマクロン大統領が、プーチン大統領とのコミュニケーションを絶ってしまうのではないかと少し心配でもありました。 しかし、大統領選挙に再選が決まった直後に、「来週早々にもプーチン大統領とは話をする準備がある」と語っていたとおりにマクロン大統領は、昨日、プーチン大統領と約1ヶ月ぶりの電話会談を約2時間にわたって行いました。 マクロン大統領は、ロシアがウクライナに対して行った侵略戦争がもたらす結果の極めて深刻さを改めて強調し、マリウポリとドンバス情勢について深い懸念を表明し、ロシアに対し、ここ数日始まったアゾフスタル製鉄所からの避難を人道支援団体と連携して継続させ、国際人道法に従って避難民が行き先を選択できるようにするよう要請しました。 また、世界の食料安全保障への影響を考慮し、黒海を経由するウクライナの食料輸出に対するロシアの封鎖を解除するために、関連する国際機関と協力する用意があることを表明しました。 そして、ロシアに対し、この壊滅的な侵略を終わらせることで、国連安全保障理事会の常任理事国としての責任を果たすよう求め、平和とウクライナの主権と領土保全の完全な尊重を可能にするための交渉による解決に向けて努力する意志を引き続き表明しました。 一方、プーチン大統領は、「西側諸国はウクライナが行っている残虐行為を無視している。止めるように圧力をかけるべきだ」と主張。また、「西側諸国はドンバス地方の町や集落に対する戦争犯罪および大規模な砲撃を終わらせる手助けが可能である」と提案。 「西側諸国がウクライナ当局に適切な(ロシアにとって)影響力を行使し、ウクライナへの兵器供給を停止すれば、これらの残虐行為に終止符が打てる」と語りました。 ウクライナが残虐行為を止めるために圧力をかけよと言いながら、ウクライナへの兵器供給を停止すれば、残虐行為に終止符が打てるという支離滅裂な話。 そもそもロシアがウクライナに侵攻しなければ、西側諸国もウクライナへの兵器供給などしないわけで、ロシアが停戦しない限り、西側諸国も兵器供給を止めるはずはないのです。こうして、二人の電話会談がなされている間にも、マリウポリでは、国連と赤十字の支援により、アゾフスタル製鉄所から民間人を一部避難させた後も、民間人が避難している建物を含む原発の領土に発砲し続けています。 先日、ロシアのラブロフ外相の「ヒットラーにはユダヤ人の血が入っていた」との発言(ウクライナのゼレンスキー大統領がユダヤ系であるのに非ナチ化のために戦うか?ということについての正当化しようとする稚靴な言い訳)にイスラエルが激怒した話が伝えられていましたが、このラブロフ外相の発言によって、イスラエルはエストニアに対してイスラエル製スパイク対戦車ミサイルのウクライナへの供与を許可しています。 イスラエルはこれまで、このウクライナ戦争に関して、ロシアへの経済制裁も武器供与も行わず、中立な態度をとってきましたが、ロシアはこのイスラエルをも怒らせてしまいました。 やることなすこと、すべて裏目裏目にでて、さらに残虐行為を加速させている感のあるロシアですが、残念ながら、マクロン大統領との会話は平行線のままのようです。 しかしながら、マクロン大統領は、今後も交渉による解決に向けて努力する意志を示しているので、一時中断していたマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談は続くものと思われます。 今回も2時間以上にもわたる長い電話・・仲の良い友人となら、2時間の長電話もなんのことはありませんが、明らかに意を反する相手とこんなに長時間、怒らせないように、また、自分も怒らないように電話を続けることは、大変な緊張状態です。 いみじくも、大統領に再選された際にプーチン大統領は、マクロン大統領に対して、「新しい任期での成功とともに、健康をお祈りします」という不気味なメッセージを送っています。 しかし、プーチン大統領も大変なストレスの中、心身ともに健康ではない気がします。マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談<関連記事>「フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda...

2022年5月3日火曜日

パリに日本人観光客が戻る日は遠い 燃油サーチャージ大幅値上げ

  2020年のパンデミック以来、飛行機も飛ばなくなって、ロックダウンの中、家の窓から空を見上げて、「いつもなら、飛行機雲の1つや2つは見えていたのに・・」と思っていました。あの時は、飛行機ではなく、時折、大型のヘリコブターのようなものが見えて、「ああ〜また誰かが地方の病院に移送されているんだな・・」などと思ったものです。 ついこの間、天気のよい日の青空に、飛行機雲がいくつも重なっているのを見て、飛行機もずいぶん、増えたんだなぁ〜と感慨深い思いがしました。 そんな中、5月に入って、どうやらパリー羽田の直行便が再開されるというニュースを聞いて、ちょっと嬉しくなりました。しかも、迂回便とはいえ、ルートが変更されて、私が3月に日本に行った時(あの時は直行便はなくロンドン経由でしたが・・)と比べると飛行時間が短縮され、パリ→羽田便は13時間45分(通常は12時間程度)、羽田→パリ便は15時間15分になったようです。 しかし、喜んだのも束の間、今度は6月から燃油サーチャージが大幅値上げされるとのこと。JALの場合は片道36,800円、往復だと73,600円もかかることになります。ざっと1.8倍の値上げです。これは、あくまでも燃油サーチャージだけの値段なので、航空運賃にこれがのっかることになるのです。これは大変なことです。家族で旅行など、そうそう簡単にできるものではありません。 JALは、この値上げをとりあえず6月、7月のものとしており、8月以降についての燃油サーチャージについては、未発表で2ヶ月間の石油市況平均が1バレルあたり6,000円を下回った場合は、8月以降は、この大幅な値上げを適用しないとしていますが、これはほぼ不可能なこと。今後当面は、値上がりすることはあっても値下げになることはあり得ない感じです。 私としては、4月にフランスに戻ったばかりなので、当分、日本はいいかな・・とは思っていますが、長期的にこの値段が定着してしまうとなると大問題です。 このところ、パリの街中を歩いていると、ずいぶん観光客が戻ってきたな・・と思うのですが、アジアからの観光客は少なく、ヨーロッパ周辺の観光客か、アメリカ人です。パリの観光客の多くを占めるのはアジア系の人々、これらの人々が観光客として戻らないことは、依然として大打撃です。(そして、皮肉なことにパリへの観光客には、ロシア人もけっこう多いのです。) 特に日本からの観光客が戻らないのは、フランス入国は日本からなら、ほとんど問題もないのですが(私が入国した時にも、ノーチェックだった)、日本に帰る時には、72時間前の陰性証明書や日本入国時に提示しなければならない書類(今は少し簡素化されて、事前に「ファストトラック」というシステムができて、到着予定時間の6時間前までに「My...

2022年5月2日月曜日

フランスのメーデー 労働者の日と労働者のデモとスズラン

   5月1日は、フランスでは労働者の日として、祭日でお休みですが、今年は日曜日にあたり、多くの人にとっては、休日が1日減ってしまうことになります。(フランスは5月1日と8日が祭日なので、今年は2日とも日曜日) 休日出勤というのも、普段の休日ならば、フランスとて、ないわけではありませんが、この日(5月1日)ばかりは、労働者のための休日ということもあり、基本的に法的に労働は禁止、この日に労働させる場合は、雇用者は労働者に対して、ダブル(職種によってはトリプル)の賃金を支払わなくてはならないため、普通の会社はまず休み、店舗とて、かなり閉店にしているお店が多く、比較的、静かな日です。 しかし、どこもかしこも静かかというと、そういうわけでもなく、労働者の日ということもあり、デモが大々的に行われる日でもあります。そうでなくとも、毎週土曜日は、いつでもどこかでデモをやっている国なので、デモがあるからといって、とりたてて驚くことでもないのですが、メーデーという大義名分がある分、デモの動員数は、いつもに増して拡大する傾向にあります。 今年は、大統領選挙の直後ということもあり、早くも新しいマクロン政権の提案している政策に反対する人々やデモに乗じて、暴力・破壊行為に及ぶ人々が出たりと、また、なかなかな騒ぎになったようです。 今年のメーデーのデモは、フランス全土で11万6,500人、パリだけで24,000人に及びました。デモ隊がレピュブリック広場を出発してわずか数分後、黒い服、手袋、マスクをつけた機動力のあるデモ隊が、オベルカンフ通りでメインの行列から離れ、警察と衝突。 さらに、レオン・ブルム広場では、マクドナルドの店舗が破壊され、窓には反資本主義のスローガンが書かれました。...

2022年5月1日日曜日

止まらないロシアの威嚇とマクロン大統領とゼレンスキー大統領の電話会談

   毎日、毎日、戦争のニュースで気持ちが滅入ってきて、正直、このニュースを避けたくなる気持ちがあります。ウクライナの様子は、本当に日々悲惨な光景で、同じ瞬間に、しかも地続きの国がこんなに悲惨な状況にあることが信じ難い気がしてしまうこともあるのですが、これはやはり現実なのです。 私は昔の戦争を知っているわけではありませんが、オンタイムの戦地の状況が流されるのは、現代の戦争というものなのかと不思議な気もしています。 今回の戦争は、どうやらロシア(というよりもプーチン大統領)の目論見の甘さが戦争を長引かせているようですが、彼の意に反して、フィンランドやスウェーデンまでをNATO(北大西洋条約機構)加盟に導き、欧米の力の拡大を引き起こし、どうにも引くに引けない状況を招いています。 この戦争の報道を見ていると、戦争のルールとも言われる戦争犯罪とか国際人道法などという言葉が出てきて、民間人への攻撃や虐殺について、問題にしていますが、そもそも民間人を攻撃しなければよいというルール?も腑に落ちないところではあります。 もはや敵国の民間人どころか、自分に相反する者であれば、自国民の命さえも何とも思わないような人が、今さら、何かを躊躇するようなことがあるのだろうか?と思ってしまいます。 先日、ロシアのテレビ番組で第三次世界大戦と核兵器について報道され、現在のウクライナ紛争が第三次世界大戦にエスカレートする可能性が「現実的」な危険であるとの警告を強め始めました。  ロシアの外交官セルゲイ・ラブロフの「危険は深刻であり、現実であり、過小評価することはできない」と警告、この強い発言以来、ロシアのテレビは、核兵器使用の可能性をこれまで以上に強調するようになりました。 番組では、カリーニングラードからパリ、ロンドン、ベルリンに向けて発射されるサルマット・ミサイルの飛行時間を示すインフォグラフィックを発表し、...

2022年4月30日土曜日

馴染みの運転手さんがコロナで人生がすっかり変わってしまったという話

   我が家は、たいていのところには、バスかメトロで用が足りるために、家の車も処分してしまい、自分で運転することもなくなり、運転するといえば、たま〜に旅行に出かけた時に旅先で車を借りて運転するくらいで、旅行さえも、ここのところ行っていないために車とはほぼ無縁の生活をしています。 一時は、娘が大きくなって、運転免許をとったら、また車のことは考えようと思ってはいたものの、免許はとりかけたものの(学科試験だけは取っている)、パンデミックのために、彼女自身の学業の予定なども大幅に変更せざるを得なくなったり、技能教習がキャンセルになったりしているうちに取り損ね、しまいには、自転車などでもやた...

2022年4月29日金曜日

大統領選挙後のスケジュールとフランス国民が望む女性首相の擁立

   マクロン大統領の再選から、数日経って、新しい内閣の人事が早々に発表されるのだと思っていたら、マクロン大統領の2期目の正式な就任は5月14日ということで、じっくり地固めをするため、マクロン大統領は新体制の選択と決定に時間をかけることにした模様です。 昨日、臨時にエリゼ宮に召集された閣僚理事会は、現政府の最後の理事会になるものと思われていましたが、政府のスポークスマン・ガブリエル・アタル氏は、「この理事会が最後ではなく、政府は、国にとって現在のすべての問題に関して必要な決定を下し続けるために活動している」と発表し、周囲を驚かせました。 とはいえ、今回のエリゼ宮での昼食会を含んだ会合は、多くの特別感を含んだもので、閣僚が勢揃いし、エリゼの中庭が閣僚の到着に合わせて特別に開放され、庭園に隣接するテラスでは豪華なビュッフェも用意され、選挙後初の閣僚会議...