娘は、小学校から高校まで、近所にあるカトリック系の私立の学校に通い、その後、2年間、通称プレパーと呼ばれるグランドエコール準備学校に通い、実際にグランドエコールに通学したのは、2年間、残りの2年間は、スタージュ、留学の予定をびっしり入れ、学校に通うことなく卒業を迎える予定になっていました。
プレパーを卒業してからは、初めての一人暮らしも経験し、概ね順調に全てが進んでいたのですが、トラブルが絶えなくなったのは、最後の約2年にわたってのことで、そもそもはパンデミックが引き金になっています。
今回のパンデミックのために人生が大きく変わってしまった人も少なくないと思いますが、間違いなく、我が家の娘もその一人です。
グランドエコール2年目の最後の段階で、フランスが完全ロックダウンを迎えたのを皮切りに、その時点で、通学はストップし、全て授業はリモートに切り替わり、学生らしいキャンパスライフはストップしてしまいました。
初めてパリから離れた学生生活で、ボルドーというそれまで知らなかった場所で、最後の最後にロックダウンになり、ろくにボルドー周辺を楽しむこともできずに、ロックダウンが解除になった段階で、彼女はパリに戻ってきました。
その年の夏には、イギリスの大学の研究室でのスタージュが決まっていたのですが、それもキャンセルになり、予約していたユーロスターもホテルも全部すっ飛んでしまいました。(ユーロスターはクーポンでの返金、ホテルに関しては返金すると言いつつ今まで返金なし)
私も以前、イギリスに留学していた経験があり、しかも娘のスタージュ先の大学が、私が当時、住んでいたサウスケンジントンにあり、これは、何という偶然!と、私も娘がスタージュの間にロンドンに行くことを楽しみにしていましたが、これも、もちろん断念。
しかし、幸い、先方がリモートでのスタージュを受け入れてくださり、娘はパリの自宅から、リモートでスタージュをさせていただいていました。
そして、その秋には、日本の国立大学への留学が決まっていたのですが、それも、いつまでもハッキリせずに業を煮やしていたところに、ギリギリのタイミングでキャンセルになってしまいました。娘は日本人なのに、外国からの留学生ということで拒否されたのです。
しかも、こちらの学校と日本の学校との連絡が上手く行っていなかったことから、本当は、夏の間に、留学はキャンセルか延期という通知がこちらのグランドエコール宛に届いていたにもかかわらず、本人には何の連絡もなく、その上、「キャンセルか延期」と言ってきていた日本の大学からも、大学内での連絡ミスか、「到着日、到着便を知らせてください」とだけ、急にこちらに連絡が入ったので、「えっ??OKなんだ!到着便っていうことは、急いで航空券取らなくちゃ!」と慌てて、航空券をとり、隔離期間を考えて、日本の国内線の分まで、航空券を手配してしまったのでした。
ところが、その後、出発間際になって、夏の間にこちらの学校宛に送られてきていたメールが転送されてきて、慌てて日本の大学に直接連絡を取ると今回の留学はキャンセルになりました。半年、延期を希望しますか?」という回答に唖然とし、日本行きの航空券は全てパーになりました。
しかし、問題は、それだけには留まらず、キャンセルになった半年間の日本での留学の期間を別のスタージュに当てなければならないため、フランス国内で慌ててスタージュを探す羽目になり、もともとフランス国内でのスタージュは、当初から国内でスタージュ予定だった人でほぼ、全てのポストが埋まってしまっている中、何とかスタージュを見つけて、それもパリ近郊ではなかったために、彼女は、慌てて引っ越しする羽目になりました。
スタージュが始まる日にちに合わせて出かけた娘は、引越し先も本決まりではない状態で出発していきました。
幸いなことにフランスでは、かなり大手の大きな会社ではありましたが、それも研究所のために、周りには何もない、Googleマップでは、これが駅?と見分けがつかないほどの、ど田舎生活。一時は、彼女は、「このスタージュで一番に学んだことは、ど田舎には二度と住まないということだ・・」などと冗談のように言っていました。
そして、その半年間が終わりに近づいた頃、延期されていたはずの日本の大学への留学の時期を迎えようとしているのに、日本の大学はいつまでもハッキリした返答をくれずに(結果、ギリギリになって再びキャンセルになりました)、前回で痛い目にあっていた娘は、日本の大学からの返事を待たずに、パリ市内の病院併設の研究所でのスタージュを決めてしまいました。
そして、今年の夏の終わりとともに、最後のスタージュを終え、ここのところ、娘は最後の論文を書くことと、就活に明け暮れていました。現在のパンデミックの事情もある上に、会社もフランス国内ばかりではないため、就活といってもほとんど、リモート・zoomなどでの面接で、正直、新卒の時には、日本でドキドキしながら就職の面接に行った私からすれば、何だか国も時代も違うんだな・・などと呆気に取られて、娘の就活の様子を眺めていました。
フランスでは、日本のように一斉に4月に新入社員がスーツを着て、入社式・・なんていうものもないようで、だいたい会社が人を採用する機会が多い季節というのは少しはあるのでしょうが、それが一様に統一されてはいないのです。
考えてみれば、入学式も卒業式もないフランスの学校ですが、それと同じにどの会社も一斉に入社式・・なんていうものもないのです。(一部の公的機関などは除く)
そんな感じなので、娘も就職を焦るなどという気持ちはあまりなく、就職してしまえば、一年間はバカンスも取れないのだから、少しゆっくりしたいなどとのたまっており、とりあえず提出期限のある論文の方に取り組みながら、ポツポツと面接を受けたりしていました。
現在は、通学はしていなくとも、在籍している学校には、10月に一度、その論文の発表に1日だけボルドーへ行く予定になっていたのですが、また、ここに来て、一週間後に一週間にわたって最終講義が行われるというメールが急に送られてきて、おおわらわ。その間の滞在先の手配をしなければならなくなりました。
どうやら、現在も通学を続けている人には、夏の間に連絡があったものの、留学中、または、留学予定だった人には、連絡漏れだった模様です。
急な話にどんなに迷惑するかは学校の事務の人は想像すらできず、もちろん謝るなどという頭は毛頭もなく、まるで他人事でクレームのつけようもありません。
全く、連絡漏れというのがフランスにはどれだけあることか? 私の滞在許可証の書き換えですったもんだした時も、結局、気を揉む私は、たらい回しで問い合わせさえ受け付けられずに、本当は、とっくに出来上がっていたものを連絡漏れで引き取りに行くことができなかったのですが、引き取りに行った場所では、引き渡しをする係の人としか接点がなく、苦情をいうことさえできなかったことを思い出しました。
結局、この手のトラブルは、フランスでは、まるでなかったことのように過ごされていき、一向に改善されることはないのです。
もともとは、パンデミックが原因で、起こったトラブルの数々ではありますが、非常時だからこそ、気を回して、さらに連絡漏れがないかどうか注意する・・なんてことは、フランスには、ないのです。
娘の就活は現在進行形、上手く進みそうな気配の会社もあるのですが、その前に彼女の学生生活は、最後の最後までトラブルで追いまくられることになりました。
まあ、楽観的に考えれば、この最後の2年間で、彼女は急な変更が起こっても、何とか対応、対処できるチカラを身につけたのかもしれません。
フランスでのトラブル
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