2022年11月11日金曜日

パリ大規模ストライキと無人運転のメトロ

 


 ストライキ大国のフランスでストライキは珍しいことではありませんが、先月のトータル・エナジー(石油・ガス供給会社)のストライキは、大混乱を巻き起こしましたが、これは、今まであまりなかったことで、びっくりしました。

 しかし、メトロやバスなどの公共交通機関のストライキに関しては、わりと定期的?というか、珍しくないことで、ストライキの予告があっても、今さら驚くこともなく、「またか・・」と思う人の方が多いと思います。

 とはいえ、迷惑千万なことには違いなく、私も今の家に引っ越してくる前(パリ近郊だった)には、郊外線を使っていたために、ストライキとなると、電車の本数が通常の3分の1とか、半分になってしまうために、時間にも余裕を持って出かけなければならないうえに、本数が減らされる電車にいつもと大して変わらない人数が詰め込まれるので、大混雑になり、そのうえ、日本の交通機関のように皆がすし詰め状態で電車に乗ることに慣れていないために、上手く詰めて乗るということができずに、時には乗客同士で争い始めたりして、大変に体力を消耗するものでした。

 現在は、パンデミックのおかげでリモートワークも以前よりはずっと増え、もうストライキの予定が発表された時点で、早々にリモートワークに切り替えたりする人も増え、ストライキとはいえ、以前よりはおそらくマシな状態になったとも思うのですが、やはり、誰もがリモートワークが可能というわけではなく、それなりに動いている電車は混雑し、全く動いていない路線などを利用している人などは、車を利用するために、けっこうな渋滞が起こったりしていますが、これもやはりパンデミック以来、広まった自転車やキックボードなどを利用している人も増え。以前よりはマシになったのではないかとも思います。

 私が利用する路線は幸いなことに無人運転の路線のために、ストライキで路線がストップすることがないので、いつもは他の路線を利用している人が仕方なく流れてくる分の混雑を除けば、ストライキの影響がないことは、大変、助かっています。

 このストライキがあるために、日本であれば、通勤時間1時間程度ならば、普通に通勤圏内だと思うのですが、フランスの場合は、トラブル前提で(ストライキの他にも、日常の交通機関のトラブルも少なくない)、通勤時間が正味1時間(正常運転の場合)といっても、ちょっと二の足を踏むことになります。

 比較的、日仏家庭、フランス人のパートナーと家族を持っている人は、少し郊外に家を買ったりする人も少なくはないような気がしますが、パリに通勤するとなると、私は腰が引けてしまいます。

 とはいえ、今は、パリには、無人運転の路線が1番線と14番線の2本になり、これがもっと、多くなってくれれば、ストライキの被害も減るのに・・と思っています。

 今日、たまたまVinted(フランスのメルカリのようなもの)に出展していた商品が売れたので、荷物を出しに行ったところ、最近では近所にその配送のためのロッカーができて、バーコードを機械で読み取ると、指定されたロッカーの扉が自然に開いて、その中に荷物を入れてくるだけで、配送が済むようになって、画面には、得意下に今回の所要時間は13.45秒でした・・とか表示され、ロッカーを閉めた時点で、荷物を預かりましたというメッセージが携帯に入ります。

 今まで人間がしていた作業を機械が自動的にこなしてくれるのは、ミスも少なく、時短で助かります。

 そのうえ機械やロボットはストライキをしないので、メトロも全線、無人運転になってくれればいいのに・・と思うのでした。

 とはいえ、今回のストライキは、パリ市内の5つの路線は完全に閉鎖され、「要求が受け入れられなければ、来週の無制限のストライキの準備と覚悟はできている!」と息巻いています。

 パリのメトロは、路線によって、かなり差が激しく、全てが自動になったうえ、車内もピカピカで、細かい路線案内の自動掲示板などもあったりして、びっくりすることもあるのですが、一方では、未だに汚い車両で、ドアも「ガッチャン!」と手動で開ける車両などを使っている路線(個人的にはこの手動ドアは好きなのですが・・)もあったりして、自動運転には、ほど遠い感じがする路線もあります。

 フランスのストライキはまだまだ続きます。

 

RATPストライキ 


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2022年11月10日木曜日

骨折で入院した患者が餓死させられた 遺族が病院を告訴

   


 ディジョン大学病院で骨折で入院した母親が絶食状態で放置されたために死亡したと、遺族が病院を告訴するという事件が起こっています。

 この事件は、8月23日、77歳の母親が骨折し、治療、手術のために入院し、翌日、夜の野菜スープの食事を与えられた後は、手術のために絶食が必要とされていたため、数日間にわたり、手術が延期されたために、その間、食事が与えられず、4日後には、脱水症状を起こして集中治療室に入り、その3日後には死亡してしまったという悲劇です。

 この遺族の訴えに対して病院側は、「手術が延期になることが決定した時点で、毎回、彼女には食事を与えていたし、彼女のファイルには、その旨が記載されている」と発表しています。

 しかし、遺族側は、「昼時に数回、面会に行ったが、彼女が食事をした気配はなかったといい、集中治療室に移動する事態に陥った際に医師からは、「完全な脱水状態にある」と説明があり、きちんと食事をしていたら、そんな事態はあり得ない」と病院側の説明には、全く納得していません。

 そのうえ、病院側が医療機密の尊重と調査の適切な実施を理由に、患者の死の正確な状況を公にすることを拒否しているため、ますます騒動が大きくなり、ついには、ディジョン検察庁は、この告訴を受けて自発的過失致死罪で予備調査を開始したことを確認し、大学病院は検察庁から解剖を命じられました。

 現実的には、骨折や3日間の断食で死亡するとは考え難いため、問題とされるのは、彼女が集中治療室に入る前の4日間に、少なくとも水分補給をしていたかどうかということにあります。

 遺族にとっては、母親と同居していた障害を持つ妹の安全の方が気にかかっていたと語っており、むしろ、母親は病院に入院しているのだから安心していたといい、それはそのとおりで、骨折で入院した人間がまさか死ぬとは思っていなかっただけに、その衝撃も大きかったと思います。

 病院の人手不足はいつも叫ばれていることで、緊急性の低い手術が延期されてしまうことは、十分にあり得ることだとは、思いますが、度々、延期になる手術のための食事管理等は、二次災害のようなもので、考えてみれば、そのようなミスもあり得ないこともないかもしれません。

 しかし、少なくとも患者は、集中治療室に入る前までは、話ができない状態であったわけでもなく、絶食状態、あるいは水分をとれない状態に何かしらのアクションはとれたのではないかとも思えるところが疑問ではあります。

 どちらにしても、医者が遺族に対して十分な説明を行っていないことも告訴の原因の一つとなっているこの騒動。少なくとも母親が死亡した場合に、その原因は何であったのか?知りたいのは、当然のことだと思います。

 しかし、病院の記録というものは、どの程度、正確なものであるかは、私も疑問に思う経験がないでもありません。

 それは、夫が亡くなった病院から、その1年後くらいに、「その後、体調はいかがでしょうか?」という手紙がご丁寧に届いたことがあり、「どうなってるの?この病院?」と少なからず不快な思いをしたことがありますが、もうその時点では、全て終わっている状態だったので、そのまま手紙は捨ててしまいました。

 つまり、そのような手紙が届くということは、その病院(パリ市内の公立病院)での夫に関するファイルは不完全であったということなのです。

 病院については、嫌な話ばかり聞くような気がしますが、滞りなく治療が済んだケースは、取り上げられることはないので、印象は悪くなる一方なのかもしれません。

 それにしても、遺族側の訴えが事実だとしたら、骨折をしたばかりに空腹と喉の渇きに苦しんで死んでしまった・・しかも病院で・・というのは、やはりあり得ない話です。


ディジョン大学病院 骨折で入院、餓死

 

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2022年11月9日水曜日

インターネット不通の一日の恐怖 想像以上のネット依存

  


 一昨日、午前中の一仕事を終えて、一息ついたところで、つけっぱなしにしていたYouTubeの画面が急に止まって、ぐるぐるし始めて、「えっ??」と思ったものの、そのうち、また繋がるだろうと思って、そのまま放置しておきました。

 ところが、一向に回復する兆しはなくて、「えっ??」が、「え〜〜〜??」という感じになってきて、「まさか??」と思って、コンセントを一旦、外して、繋ぎ直すという原始的な手段を試みましたが、回復はせず・・(これで回復する場合もある)。

  これが、家のボックスが故障したのか、それとも我が家が利用しているネットサプライチェーン側のシステムダウンなのか?もわからず、とりあえず、携帯でSFR(ネット会社)と検索すると、同様のトラブルに遭っている人がいる模様で、おそらく、これはうちの問題ではなく、供給側の問題なのだろうと判断し、イライラしながら家で待っていても仕方ないので、パリの街中にお買い物に行くことにしました。

 ネット環境というものは、現在の私の生活には欠かせないものであるにもかかわらず、どうにも苦手意識が消えないというか、実際に苦手だし、わけがわからないというか、わかっていないというのが正直なところで、これまでは、ほぼ全て娘に頼っていました。 

 実際に現在の家のインターネット契約は、彼女が全てやってくれて、彼女名義になっているのです。しかし、現在、彼女は日本に住んでいて、彼女に頼るわけにもいかなくなったのです。

 以前に、携帯のネットが繋がらなくなって、「実は契約切れになっていた・・」ということもあったので、もしかして、「今回もネット回線の契約切れ?」とも思い、娘に「家のネットが繋がらなくなったけど、もしかして、契約切れ?」というメッセージを送ると、しばらくして、彼女は問い合わせをしてくれたようで、SFRからの「今、復行作業中、できるだけ早く復行させます」という返事を送ってくれて、「そのうち治るみたい」と言われて、一安心。

 買い物が終わって、家に戻る頃には、治っているだろうと思って、パリの紅葉を楽しみながら呑気に買い物をして、家に戻ると、まだ、なおっておらず、結局、その日は一晩、ネットなしの夜を過ごすことになりました。

 まあ、携帯は繋がるので、全く閉ざされた状況ではないとはいえ、普段はパソコンとiPadと共に家の中を移動しているほど、家のネット環境に依存している私の生活、まるで、ネットがないのは、停電したのと同じような気分でした。

 今や私にとって、家でパソコンが使えないのは恐怖に近く、現在、使っているパソコンが壊れた時のために、予備のパソコンを準備しているほどなのですが、しかし、それもネットが繋がらなければどうにもなりません。

 なにか、故障があったり、わからないことがあれば、何でもすぐにネットで検索して解決法を見つけるので、ネットが通じなければ心許ないといったらありません。

 いつのまにか、こんなにネットに頼る生活になっていることを今さらのように思い知らされて、家の中が暗くなったような気さえしてしまうのです。

 今では普段、あまり見ることがなくなったDVDを見たりして、その日、本来はやるはずのことは諦めて、早々に寝ることにしたのですが、なんだか眠れず、結局、飲んだくれることになりました。

 翌朝、起きると、幸いなことにネットは復行していましたが、これが何日も続いたら、どうなることだろうか?とゾッとしました。

 しかし、もともとは、ネットなどない世界に生まれ育ってきたにもかかわらず、今では当然のようにあるネット環境に浸りきって生活していることを、あらためて実感し、ちょっと一日ネットが繋がらないくらいでパニッてしまうのも、「それならそれで、落ち着いて、今日は本でも読もう・・」とはならなかったことに、以前は、あんなに好きだった本を最近、ちっとも読まなくなったな・・と思いながら、これからは、心してネットから少し離れる時間を心して作った方がいいかな?などとも思ったのです。


インターネット不通 ネット依存


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2022年11月7日月曜日

パリのラーメン屋さんで感じる違和感 

  


 考えてみれば、私は日本でほとんどラーメン屋さんというものに行ったことがありません。本当にこんなに長く生きてきて、ラーメンは決して嫌いではないのに、なぜだか日本でラーメン屋さんに行ったという記憶は、片手で足りるくらいしかありません。

 麺類は大好きなのですが、昔からどちらかといえば、お蕎麦の方が好きで、日本で仕事をしていた頃は、毎日のように、お昼は外食をしていたにもかかわらず、なぜか職場の近くにはラーメン屋さんはなく、その代わりにオヤジのように週2〜3回はお蕎麦屋さんに通っていました。

 今でも、日本に一時帰国した際に限られた食事の回数を考えると、ラーメン屋さんに行く余裕はなく、結局、たまにラーメン屋さんに行くとなるとパリでラーメン屋さんということになってしまう不思議なことになってしまいます。

 それでさえ、せいぜい年に1〜2回です。パリで日本食を食べる時に、日本円に換算するのは、ご法度なのですが(ラーメン一杯2,000円とかになってしまうので、バカバカしくなるので・・)、やはり、そんなに日本でラーメン屋さんに行ったことがないとはいえ、たかがラーメンにこの値段?と思ってしまいがちで、結局、私が一番食べる機会が多いラーメンは、パリでもわりと手軽に手に入るインスタントラーメンであることが多いのです。

 私がパリに来たばかりの頃は、数えるほどしかなかったラーメン屋さんも、今ではわりとあちこちに見かけるようになり、特に日本食屋さんが集結しているようなオペラ座界隈の地域になると、けっこうな数に増えたうえに、どこのラーメン屋さんも行列ができるほどの人気で、お寿司ほどではないにせよ、パリでRamen(ラーメン)は、ポピュラーな存在になりました。

 日本でのラーメンの値段を考えなければ、Ramenは、外食にしては、そんなに高い方でもなく、若者にも人気なのですが、彼らのラーメンを食べる姿に、微笑ましさと、どこか違和感も感じます。

 最近では、かなりお箸を使える人が増えたとはいえ、やはり麺類をお箸で掴むというのは、難易度が高いこともあるのか、どこか、たどたどしいお箸使いや食べ終わった後のお箸を交差させたまま、どんぶりのスープに浸かっていたりする様子には、ちょっとげんなりすることもあります。

 しかし、一番、もったいないなぁ〜と思うことは、彼らは、「麺類をすする」ということをせずに食べることで、どこかぎこちなさを感じるとともに、「それじゃ!ラーメンは十分に味わえないだろ〜が・・」と思うのです。

 彼らにとって、音を立ててスープをすすったりするのは、マナー違反という生活習慣?食習慣?に加えて、彼らには「麺をすする」ということができない人も少なくない気もします。

 麺類をすすりながら食べるという技?を私は自分がいつ身につけたのか覚えがないほど、日本人にとっては、ラーメンだけでなく、お蕎麦、うどん、お素麺などと麺類の多い国に生まれた面食い人種にとっては、当たり前のようなことが、考えてみたら、「食べ物を吸い込むがごとく食べる」ということは、逆に独特な技なのかもしれません。

 逆にいえば、洋食のテーブルマナーなどでは、食器はガチャガチャ音をたてないとか、スープはズーズー音をたてて飲まないなどと言われていた気がするので、彼らがラーメンを食べる際にラーメンをすすらないのも、それまでの食文化の違いと考えれば当然といえば当然でもあります。

 それに加えて、フランス人には猫舌の人も多いので、以前はラーメン屋さんでさえも、フランス人仕様に湯気のたっていないラーメンを出すお店があったりしましたが(今はどうなっているのかわかりませんが)、最近は、パリでも、さすがに熱々のラーメンしかお目にかからなくなりました。

 しかし、せっかくのラーメン、すすらないでは味も半減してしまう気がして私としては気になって仕方なく、ラーメン屋さんに行くたびに、確認するように、周囲の人を遠くから、見守ってしまうのです。

 想像してみてください、すすらないで食べるラーメンを・・。


すする ラーメン パリのラーメン屋さん


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2022年11月6日日曜日

異常なスピードで拡大する乳幼児を襲う細気管支炎 小児用集中治療室が飽和状態

  


 10月下旬から救急外来を受診する乳幼児の数が急増し、小児用集中治療室が飽和状態に陥っています。

 10月24日から30日の1週間に、救急外来を受診した2歳未満の子どもは6,167人で、2021年の同時期の2倍となりました。前週との比較では、47%増と急増し、救急外来受診後の入院が1週間で45%増加しています。

 この救急外来の急増の原因は、気管支炎・特に細気管支炎と呼ばれる乳児と生後24ヶ月未満の幼児の下気道を侵すウィルス感染症の流行によるものです。症状としては、鼻水、発熱、咳、呼気性喘鳴(気道内部の一部が狭くなっているか、閉塞しているために起こる)、呼吸困難などが挙げられます。

 この細気管支炎の流行は実は毎年、起こっているもので、冬になると50万人近くの子供が感染し、約1万人が入院しています。多くの場合は、深刻な事態になることはありませんが、特に1歳未満の乳幼児の場合は、2~3%の割合で入院を必要とする合併症を起こしたり、蘇生を必要とすることもあるようです。

 一般的には細気管支炎の流行は、11月中旬に始まり、12月にピークを迎え、1月に終了するところ、今年は9月に最初の感染者が発見され、その後も感染者数の増加が止まらず、この流行がこれまでのものより5〜6週間早く始まったことや、増加のカーブが急速なことから、フランス公衆衛生局(Santé publique France)は、すべての地域が流行基準を超えたとして最大限の警戒態勢を敷くことを発表しています。

 しかし、現在のところ、フランス全土が同じ状態ではなく、東部は影響が少ないようですが、オー・ド・フランスとイル・ド・フランス地方は病床不足に悩まされており、すでに、イル・ド・フランス地方の病院に入院していた31人の赤ちゃんが、他の地方に移送されています。

 集中治療室の病床不足で患者を移送とは・・コロナウィルスによるパンデミックの初期の頃を彷彿とさせますが、それが2歳未満の乳幼児というのは、ますます痛々しい限りです。

 公衆衛生局は、「成人にとっては、軽症で済む感染が、乳幼児には危険であることがあるため、手洗い、哺乳瓶やダミーの共有、布団の定期的な掃除、赤ちゃんの部屋の換気などの感染のリスクを抑えるために必要な措置、警戒を怠らないことが必要である」と呼びかけています。

 この病気は40年ほど前から医療関係者に知られており、対処の仕方もわかっているため、コロナウィルスが発生した時のような脅威ではないとされているものの、問題は細気管支炎そのものではなく、問題は、病院が人手不足、病床不足にあり、それに対処していかなければいけないことであるとも言われています。

 しかしながら、この異常気象で夏が長く続いたにもかかわらず、早くにこの病気の流行が始まり、例年以上の増加を続けている理由は解明されていません。

 2歳未満の乳幼児が発熱、咳、呼吸困難などを起こせば、周囲は大人以上に過敏に反応することは、不可避です。我が家も一度、別の病気でしたが、すぐに救急へ連れて行きなさいと言われた時には、大慌てで真っ青になったことがありました。娘が酸素マスクをされた時には、夫は大きな図体をして、気を失いそうになったほどです。

 これまで、気管支炎に対するワクチンは存在していませんでしたが、サノフィ社とアストラゼネカ社が開発した乳幼児における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症の予防を目的とした予防薬、ニルセビマブがEU(欧州連合)で承認されたばかりで、2023年から発売予定になっています。

 ニルセビマブは、厳密にはワクチンではありませんが、同じ予防の意図で働き、一回の注射で気管支炎の発生を予防することを目的としています。合成抗体治療薬であり、病気と戦うための武器を直接身体に与えることができます。

 1回の投与ですべての赤ちゃんの気管支炎重症化を予防できる初めての薬とされています。この新しい治療法は大きな進歩で、すでに知られている治療法よりも長持ちするのが利点です。3カ月目以降に効果が薄れるとはいえ、6カ月間は子どもを守れるように製造されています。

 しかし、新薬をかよわい乳幼児に使うというのも、これまた親からしたら、躊躇してしまうところです。

 いずれにせよ、こんな異常な速度や威力で病気が拡大するとは、こわい話、しかも、また病床不足・・私はこんな病気など知らないままに子供は大きくなりましたが、子育て中の方、十分にお気をつけください。


細気管支炎 気管支炎 ニルセビマブ


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2022年11月5日土曜日

牡蠣の生産者が被る夏から秋にかけての猛暑被害 地中海温暖化

 


 フランスでは、年間13万トンの牡蠣が生産され、そのほぼ半分がクリスマスから元旦にかけて消費されます。フランスでは、日本で多く売られているようなむき身の牡蠣ではなく、殻付きのまま売られているのが一般的なので、「牡蠣の殻をあけること」は、フランスに来てから自分でできるようになったことの一つです。

 やはり、クリスマス前になると、魚屋さんの店先に牡蠣がのカゴが並び出すので、なんとなく、食指が動くことになります。しかし、普通は、自分で牡蠣殻をあけなければならないのが面倒だったり、大量に出るゴミが煩わしいので、私は、せいぜい牡蠣を買うのは一年に1度か2度です。

 フランス人はノエルの食事には、大変な力の入れようで、クリスマスイブとクリスマスの当日、そして大晦日の年越しと元旦には、普段はあまり料理をしない人も、それぞれにメニューを工夫しながら、華やかにテーブルを飾るのですが、その数日のごちそうのうちにはやはり、牡蠣が入ることも多いのです。しかし、若い子には、そんなに人気のある食品ではなく、娘の友人などでは、嫌いな人も多いと言います。

 そういう娘は小さい時から牡蠣(生牡蠣)は大好きで、フランス料理が苦手だった彼女はフレンチのレストランでは牡蠣だけを平らげて、周囲を驚かすこともありました。

 話は逸れましたが・・とはいえ、一年のうちの半分以上がこの時期に売れるという牡蠣の生産者は今からノエルのこの時期に向けて、牡蠣の生産を調整しています。

 ところが、夏から秋にかけての度重なる猛暑により、牡蠣の生産者は大変な被害を被っています。

 エロー県(オクシタニー地域圏)の貝養殖業者は、この夏の度重なる熱波の異常な猛暑にもかかわらず、最悪の事態を避けることができたと言われていました。しかし、秋になって、一部の流域で著しい量の牡蠣の死滅が発見される被害が明らかになり始めています。

 この大量の牡蠣死亡事故は、通常ならば、秋になり、盆地が冷え込むことで避けられるのですが、今年は、長すぎたこの猛暑の秋と関係していると言われています。また、夏の暑さでストレスを受けた牡蠣は餌を食べなくなり、成長が止まってしまったこともあります。

 夏バテで食欲がなくなるのは牡蠣も同じなようです。

 この現象は、牡蠣の生産量に影響を与え、年末年始の供給が少なくなる可能性があり、結果として、価格が上昇すると見られています。

 過去20年にわたる海域汚染削減活動のおかげで、この海域内の酸素濃度が大幅に改善され、アマモ場も復活し始めていました。

 しかし、このような夏が続き、地球温暖化が進めば、これらの努力も徒労に終わる可能性があり、水温は上昇を続け、過剰な二酸化炭素を自然に吸収する海洋の変化により、全体の生態系が大きく狂う可能性があります。

 水温が1.5℃上昇したことで、この環境に適応できるような新しい微生物が出現する可能性があり、海の中では新しい世界が生まれ始めているといいます。

 変化は海の中だけではないのは、明らかで異常気象により、地上では水が蒸発し、降雨パターンが変化し、ある地域では降雨量の増加とそれに伴う洪水が、また他の多くの地域では干ばつがより激しく、より頻繁に発生し、多くの農作物も成長サイクルを変化させる、あるいは育たなくなるため、新しい気候条件に耐えられるための、品種を選んで適応させなければなりません。

 現在、環境活動家が美術館で絵画に食べ物をぶちまけたりする理解できない行動が続いていますが、もっと具体的に現実問題に取り組まなければならないのは必然なのです。


牡蠣生産業者 地球温暖化


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2022年11月4日金曜日

未成年者へのアルコール販売に対しての訴訟 Lidl(リドル)5,000ユーロ罰金

 


 昨年5月、スーパーマーケットチェーンLidl(リドル)で購入したアルコールを摂取し、その後、交通事故で死亡した16歳の少年の母親が「未成年者にアルコールを販売した」として、このスーマーマーケットに対して訴訟を起こし、5,000ユーロの罰金を求める裁判に発展しています。

 フランスでは18歳以下の未成年者にアルコールを販売することは、法律で禁止されていますが、現実にそれがどの程度、遵守されているかは、不透明というか、曖昧にされている印象があります。

 スーパーマーケットに行けば、どこでも普通にアルコールは販売されていますが、このような年齢チェックが行われているところを私は目にしたことがありません。しかも、最近、かなり普及しているセルフレジなどにも、アルコールを購入する際にも一応ではあっても年齢認証のチェックなどの画面はでてきません。

 事件は、2021年5月8日午後6時15分、少年が飲酒後にスクーターに乗っていたところ、鉄塔に衝突し、一緒に走っていた友人(共に飲酒していた)のスクーターにはねられ死亡したというものです。少年からは、血液1リットル当たり0.56gのアルコールが検出されており、加害者となった少年は、すでに児童裁判所で過失致死罪で有罪の判決を受けています。

 今回の裁判の焦点は、このスーパーマーケットでウォッカ2本を購入した際のレシートにありました。被害者の母親は、2本のボトルが未成年に販売されたとし、Lidl社に対して訴訟を起こしているのです。

 この母親は、「あの日、子供に酒が売られていなければ、棺に花を飾る必要もなかった可能性が高い」と訴えていますが、ついには、「息子の事故は、本人の責任ではなく、アルコールに責任がある」とまでしているところが、不可解ではあります。

 遺族側の弁護士は、アルコールの販売と消費は、死と直接関係があるとし、この裁判が未成年者へのアルコール販売に対する意識を高める役割を果たすことを期待していると語っています。

 このレシートの日時は、当日の午後1時頃になっており、その日勤務していた社員は10代の少年たちを記憶していないと語っていますが、加害者の少年は、この店でウォッカを買ったと証言しています。

 結局、現時点では、監視カメラからは、この少年たちの確認ができず、証明ができていませんが、判決は1ヶ月後に下されることになっています。

 この事件をきっかけに未成年者へのアルコール販売禁止の原則が想起されるのは、良いこととは思いますが、もしも、この店舗が少年にアルコールを販売してしまっていたとしても、そもそも16歳の少年が平日の午後1時にウォッカを買いに行くという生活自体がどうかしていると考えるのが普通です。

 フランスは、アルコール飲料のテレビコマーシャルなどを禁止していたり、かなりアルコールに対しては、厳しい対応をとっているようなところもあり、逆にたまに日本に行くと、アルコールのコマーシャルがいかに多いかに驚かされる気がしますが、実際のところの規制はゆるゆるであることも事実なのです。


未成年者へのアルコール販売


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