メトロのトンネルを歩くハメになった・・動揺していたためブレブレ |
フランスに来てから、20年以上が経ちますが、パリのメトロの不通は、日常茶飯事のことで、最近は、パンデミックの影響もあり、以前と比べれば、めっきりメトロに乗ることも減ったので、そんな不具合を感じる機会からも遠のいていました。
しかも、フランスに来たばかりの頃は、パリ近郊の郊外にしばらく住んでいたので、通勤には、郊外線から、パリ市内のメトロに乗り換え、45分程度かかっていたので、通勤距離が長いほど、問題に直面することは、多く、たびたび起こるストライキは、問題外としても、何かといえば、止まって、「プロブレム・テクニック」という説明のみで、延々と待たされたり、急に乗り換えなければいけないことが、かなり頻繁にありました。
45分という通勤時間は、東京では、それほど長い範疇には入らない通勤時間であると思いますが、フランスでは、常にいつ起こるかわからないロスタイムを考えると、遅刻が嫌いな私としては、そのためにかなり早めに家を出ていました。
今の住まいに引っ越してからは、14番線という運転手のいないメトロを利用することが多くなったために、まず、ストライキはなく、いわゆる「プロブレム・テクニック」でさえも少なくなり、たまに止まっても、少し待っていれば済むし、「当分、動きませんから、違う線に乗り換えてください」などというアナウンスがあったとしても、少し待っていれば、動き出したりするので、よっぽど、待たされた場合は、渋々、他の線に乗り換える程度で、かなり問題は、少なくなりました。
このパリのメトロを使っていれば、非常に頻繁に耳にする「プロブレム・テクニック」には、フランス人も慣れきっていて、大して怒る様子もなく、さっさと職場に連絡をしたり、黙って、ぞろぞろと、乗り換えホームにおとなしく歩いて行くのも、あれほどデモで怒りまくっていたりする人々の「プロブレム・テクニックへの寛容さ?」は、ちょっと意外な景色でもあります。
まあ、怒ったところで、仕方はないのですが・・。
不通、大抵は、「プロブレム・テクニック」と言っても、駅で止まってしまうことがほとんどなので、そのまま他の線やバスに乗り換えることができるのですが、先日は、なんと、初めて、メトロがトンネルの途中で延々と止まってしまいました。
しばらく、待っていましたが、問題が深刻であったのか、なんと、駅でもないにもかかわらず、メトロを降りてくださいとのアナウンス・・これは、12番線だったので、未だにがっちゃんとハンドルを手動で扉を開けるタイプの扉、勝手に扉をあけて、メトロから線路に飛び降りて行く人もいれば、飛び降りるのを躊躇して、車内に残る人と、多少、ざわついてはいるものの、パニック状態にならないのも不思議な感じでした。
そのうち、運転手さんが近くの車両の扉の開いているところにハシゴをかけに来て、まだ若い運転手さんは、「さすがに毎日、運転していても、こんなことは初めてです・・」と言いながら、汗だくでハシゴをかけてくれていました。
しかし、近くにいた乗客は、「私は、これで2度目です・・」と言っていたのには、笑えました。
結局、その「テクニカル・プロブレム」がどんなものであったのかは、わかりませんが、その後、ぞろぞろと乗客がトンネル内の線路上を歩いて、駅に移動したわけですから、相当な時間、その線は、不通になっていたものと思われます。
何の問題かわかりませんが、一般乗客に線路上を歩かせるということなど、よほどの事情がない限り、日本だったらあり得ないことだし、もしあったら、大ニュースになりそうなことだろうと思います。もちろん、パリでは、全く報道はされていません。
この近くに居合わせた乗客が「これで2回目・・」と笑っているということは、「そんなに珍しくもないのか・・」と、これまでの自分の幸運さを思い知らされたのでした。
パリのメトロ プロブレムテクニック
<関連記事>
「決死のお迎えで、ある日、気付いたこと・・フランス人は、走らない」