2025年1月21日火曜日

外圧がなければ動かない日本と昭和 

   国民的アイドルと言われてきた中居正広氏のスキャンダルから、現在はフジテレビ問題へと移行しつつある日本の報道を見ていると、やっぱり日本は外圧がないと問題に対して具体的なアクションを起こさないのは、とてもおかしな話だな・・と思って見ています。 この問題に関しては、フランスでも早々に報道されていましたので、フランスでは、そこまで知名度はないSMAP・・というか中居正広氏についてまで報道しているのは、一昨年?前のジャニー喜多川問題と関わりがあるからなのかな?などと思っていました。 今回の問題は、すでに、どちらかというと、この問題を隠蔽し、何ごともなかったかのようにやり過ごし、被害者の自分の会社の女性を切り捨てて、加害者の番組を継続していたフジテレビの問題になっていますが、これが、この会社の問題の氷山の一角に過ぎず、他の被害者の証言なども浮上してきて、社内人事や上下関係を利用して女性アナウンサーを接待要員のように、あたりまえに利用するような会社の体質が問題視されているようです。 この報道を見ていると、牽引しているのは、文春とYouTubeなどのSNSではありますが、この解説などを聞いていると、「フランスやシンガポールなどの海外でも報道している・・」とか、最近では、「フジテレビの大株主である米国投資会社のダルトン・インベストメンツがフジテレビ経営陣・取締役に対する書簡を発表した・・「OUTRAGED」アウトレイジド・・と言っているので、これは激怒しているという意味です・・」などと紹介していて、実際にフジテレビはこの株主からの突き上げで、ようやく記者会見を行ったようですが、これがまた最悪な記者会見。 しかし、このダルトン・インベストメンツは大株主ではあるものの、筆頭株主ではなく、日本マスタートラスト信託、東宝などなど、日本にもそれ以上の株主はいるわけで、なぜ?彼らは何も言わないのか?おかしいな・・と思います。 そして、「海外展開している会社などは、絶対に許されない話」などと言っているのもよく聞きますが、これもおかしな話。日本の消費者だって許さないでしょう。 また、このおかしな風土?の社風に対して、「いつまでも昭和」といった感想を述べている人もおり、昭和は、まさにこのようなことが、とりたてて問題視されにくかったと思う一方、私は、その昭和に生まれ育ち、私が仕事を始めたのも、まさに昭和・・と思うと複雑な気もします。私が働いていた昭和の世界はそんなに恐ろしい世界だったのか??と。 そして、結果的には、記者会見後にさらに、状況が悪化したフジテレビに対して、スポンサーの多くが、中居正広氏の番組のみならず、フジテレビからCM撤退を発表し始め、このCM差し替えの雪崩が止まらないようです。 X(旧Twitter)を見ていたら、ライオン(株)の「フジテレビのCM放映に関するお知らせ」というのが流れてきました。フジテレビでのCM放映に関するお知らせ皆さまからお問い合わせを頂いておりますので、この場をお借りしてご説明します。当社は状況について総合的に判断の上、本日(1月20日)朝より当面の間フジテレビでのCM放映を差し止めておりますのでお知らせいたします。—...

2025年1月20日月曜日

シャンゼリゼのルイ・ヴィトンの巨大トランクは違法な広告なのか?

   ルイ・ヴィトンがシャンゼリゼにシルバーに輝く巨大トランクを設置したのは、2023年の秋のことで、当初は、ひと際輝くこの巨大なトランクに「お~~!!ルイ・ヴィトン!さすがにやることがド派手!でも、どこか洗練されていてカッコいいな・・」と思っていました。 同時にそれは、工事現場の目隠しのためのものであることは、わかっていましたし、それにしても、目隠しにしても、さすがルイ・ヴィトンともなると、お金をかけて美しくカバーするものだな・・などと、思っていました。 工事現場の目隠しと思っていたので、すぐになくなってしまうと思ったこのトランクは、昨年のノエルの時にも健在で、一体、いつまでこのトランクがあるんだろう?とまだ、それがあることに驚いてもいました。 ところが、シャンゼリゼの、このルイ・ヴィトンのトランクに対して、「これは違法な広告である!」と環境保護活動家やSOSパリ遺産保護協会の面々がこのトランクを撤去する要請をパリ市長に提出しています。 「この建物はLVMHが所有している建物であると同時に歴史的建造物に指定されているため、広告は禁止されている」という理屈らしいです。たしかに、このトランクには、誰もがルイヴィトンと一目でわかるLVモノグラムが描かれています。 ルイ・ヴィトンは、この場所に次の店舗をはじめ、ホテル、スパ、レストラン、アートギャラリーなどをオープンする予定にしており、これは一時的なものであると弁明しています。 これに対し、パリ市は公式回答の中で、LVMHは、規則を遵守しており、屋外広告にかかる税金を徴収すると説明しています。 これは、この税金は、ルイ・ヴィトンのシャンゼリゼプロジェクト全体で170万ユーロに相当するものであると言われています。 反対派は、これに対し、パリ市が考えを変えない場合、権力乱用を理由に行政裁判所に訴える用意があると息巻いています。 これは、シャンゼリゼ103-111番地、LVMHは、「仮標識」申請を2023年6月に行っており、パリ市の認可は2027年までということになっています。 しかし、これに異議を唱える環境活動家らは、「これは、広告に関する地域および国の規則を逸脱し、4年間という認可の期間は、過度かつ違法である」と訴えているのです。 170万ユーロという巨額の税金に対しても、お金さえ出せばなんでも通ると思うなよ!とばかりに「パリは売り物ではない!」と言っています。 夜になるとライトアップされるシルバーのトランクはとても美しくて、私などは、きれいだしカッコいいし、いいじゃない!と思うのですが、とにかくフランスは物申す人が多いのです。シャンゼリゼ...

2025年1月19日日曜日

最近、私が好きなショコラティエ ジャン・ポール・エヴァン Jean Paul Hévin

   若い頃の私はもっぱらの辛党で、甘いものは苦手でした。お酒が大好きで、いわゆる「酒のつまみ」になるようなものが好みで、スイーツには、目もくれませんでした。お酒なら、なんでも、日本にいる頃はビールをよく飲んだし、その他、ウィスキー、焼酎、日本酒、ワインなどなどアルコールはなんでも大好きでした。 フランスに来てからは、もっぱら、ウォッカを好んで飲んでいましたが、そのうち、フランスはやっぱりワインが一番コスパが良いかも?などと、もっぱらワインを飲み、そこまで有名じゃないのに、お手頃な美味しいワインを探すのが楽しくて、毎年、ワインフェアの季節には、フレンチおやじに交じって、ワインを箱買いしていました。 ところが、ここ数年、なぜか、全くアルコールを欲しなくなり、まあ、ムリに止めようとしているわけじゃないけど、「まぁいいっか・・飲みたくなくなったんだから止めとこうか・・」と、ほぼほぼ、アルコールは飲まなくなりました。 その代わりと言っては何ですが、これまで見向きもしなかったスイーツ類が好きになり、今は美味しいスイーツ探しに夢中です。 中でもチョコレートは、欠かせないもので、必ず家には、チョコレートが常備してある状態で、簡単にはリンツなどの板チョコで済ませるのですが、たまに贅沢したくて、ちょっと有名なショコラティエに行ったりもします。 なにしろ、チョコレートにはポリフェノールという、なんだか身体に良いらしい成分が含まれているというエクスキューズもあり、ちょっと甘いものが欲しい時など、ちょっと欠片をつまんだりします。 パリにある有名どころのショコラティエはひととおり行ってみた結果、なんだかんだいっても、やっぱり「メゾン・ド・ショコラ」がお気に入りで、ポイントカードなどを持っていることもあり、日本に行く時などのお土産にも、メゾン・ド・ショコラのチョコレートを持っていくことが多かったのです。 ところが、ここのところのインフレでカカオの値段が上がっているからと値段は爆上がり・・しかも、気のせいか、なんか種類も減った気もして、要は、私自身が少々、飽きてしまったこともあるのかもしれませんが、なんだかパッとしない気がしていました。 昨年の夏に、たまたま友人とランチをした際に、「デザートは、後でアイスクリームでも食べよう!」とレストランを出て、しばらく歩いたのちに、「ジャン・ポール・エヴァン」のお店を見つけて、半分、ひやかしに覗いて見たら、チョコレートのアイスバーがあって、「あれ!これデザートにちょうどいいじゃん!」と友人とそのアイスバーを買って、近くの公園で、食べました。 そのチョコレートのアイスバーが想像以上に美味しくて、今まで無視していたジャン・ポール・エヴァンに再注目! 今回、日本にいる娘が「チョコレート買ってきて!」というのでチョコレート探しをしていて、パリにあるほとんどのジャン・ポール・エヴァンのお店をまわりました。 以前・・といっても、もう10年くらい前ですが、職場の同僚で、「チョコレートは、絶対これが好き!」といつでもジャン・ポール・エヴァンの板チョコを持って歩いていたので、一度、お店を覗いて見たら、当時は、とてもお高くとまっている感じのお店で、チョコレートの温度を管理するために入場制限している・・とかで、しかも入ったら入ったで、「○○産のカカオ○○パーセント、○○の香りとか苦みとか・・」ひとつひとつ、細かく表示してあって、なんだかよくわからなくて、店員さんに聞いても、あんまり教えてくれなくて、ハッキリ言って、あんまり印象が良くなかったのです。 しかし、時代?は変わって、今回、ずっと店舗を廻った結果、店員さんはどこも感じよく、種類も豊富で色々と教えてくれて、今回など、これが欲しかった!という要望に応えて、わざわざ販売停止になっていたコフレを作ってくれたりして大感激でした。 もちろん高級なショコラティエにはかわりないので、そんなに頻繁に通うというわけにもいかないのですが、それでも、昨今のグランメゾンのパティスリーなどのスイーツにはビックリするような値段のものも多く、ジャン・ポール・エヴァンも決して安くはないのですが、中には、まあ、これなら納得かな?というかギリ許容範囲かも・・と思われるものも、いくつかはあって、(チョコレートタルトなど)最近は、もっぱら、ジャン・ポール・エヴァンがお気に入りなのです。 長いことお世話になり続けたメゾン・ド・ショコラから浮気しているような気分ですが、また、そのうち行きます。ジャン・ポール・エヴァン Jean...

2025年1月18日土曜日

インフルエンザの流行 特に死亡率の増加は深刻

   フランス 国立公衆衛生局は、猛威を振るっているインフルエンザの流行がおさまらず、15日に発表したプレスリリースの中で、「インフルエンザによる死亡者数の増加」に、流行の著しい深刻さを警告しています。 この背景には、ここ数年に比べて、ワクチン接種が受け入れられていないことや、例年のインフルエンザに比べて症状が重いことがあるようです。 パリは、ここ数週間で気温が氷点下になる日も度々で、気温もいちだんと下がっているので、それもウィルスが活発化する原因のひとつになっているとは思いますが、また、外の気温が低い分、店舗やレストランの暖房が強く、外気に合わせて防寒に供えた服装をしていると、店...

2025年1月17日金曜日

カタコンブ・ド・パリ 600万人の遺骨が納められているパリの納骨堂

   前々から一度は、行ってみたいと思っていました。なにせ、パリの地下空間に600万人の遺骨が納められているというのですから、かなりシュールな空間です。 四半世紀以上もパリにいて、先日、初めて、この空間に行ってきました。 この納骨堂?は、そもそもパリの採石場であったために、地下空間ができた場所のようで、そこに、パリ市内の墓地を閉鎖した際に発掘された遺骨の移動場所として使用されたことが最初だったようで、展示されている説明書きには、「この移転は、夜間に行われたために、誰も恐れることはなかった・・」と書いてありました。 夜間に遺骨を移動するって、余計に怖い気もするけど・・などと思いましたが、ともかくも、最終的には、600万人分の遺骨ですから、すごいことです。 カタコンブというある種、特殊?な場所ゆえ、そんなに観光客もいないんだろうな・・と思いきや、これがけっこう行列ができていました。 地上の入り口は、そんな、おどろおどろしいイメージは皆無です。しかし、入場後、深い深い地下には、螺旋階段が延々と続いていて、かなり地下に降りていきます(地下20m)。そして、ある地点まで下りると、今度は薄暗い細い地下道をかなり長い間、歩きます。 正直、私は、これまで、はっきりと形を留めた人間の本物の骨というものを見たことがなく、祖父母、両親等の火葬後の骨は拾ったのですが、火葬しているために、あまりはっきり形を留めたものではなかったし、それさえも、骨がどんなだったか?悲しみの方が上回っていて、あまり記憶にないのです。 長い長い地下道を歩きながら、「骨はどこだ?」、「一体、いつになったら、骨が出てくるんだろう?」と思っている自分がなんだかおかしな気もしました。 どのくらい歩いたでしょうか?時間は計っていませんでしたが、あんまり歩きやすくはない暗い道を「骨」を探しながら歩くのですから、実際以上に長く感じたのかもしれません。あとから、調べたら、全長1.7㎞なのだそうです。 しかし、ある地点まで達すると、これでもか!というくらいに「遺骨」が登場します。ようやく納骨が展示?されている地点に到達すると、そこからは、その遺骨の展示?に仰天します。 大量に重ねられた手足の骨の間に頭蓋骨が様々なデザインで飾られており?なんだか、これらの遺骨を重ね合わせて、色々デザインして展示?して見せるというのは、どういう感覚?どういう発想なんだろうか?とか、夫の遺骨は、今ごろ、どうなっているのだろうか?(夫は、没後、家から一番近い墓地に埋葬(土葬)されています)とか、不思議な気持ちになりました。 このカタコンブが一般公開されるようになったのは、1809年のことだそうで、1860年には、ナポレオン3世も息子を連れてここを訪れているそうです。 現代の倫理観では、当然、あり得ないことであると思われるので、今後、新しくこのような場所ができることはないという意味では、貴重な場所であるとも言えます。 地下道には、いくつも、侵入できない部分がまだまだ広がっており、作品?ごとに、その遺骨が採掘された場所や日付、そして、展示ポイントが出来上がった日付なども記載されているのですが、わりと最近の日付のものもあるので、まだ、この遺骨を積み重ねて展示する作業はまだまだ進行中なのかな?とも思います。 キラキラなイメージのパリとは全く違う場所ですが、歴史の積み重ねを感じることのできる場所、パリのまた違う一面を見られる場所でもあります。 周囲には、ヨーロッパの他の国から来たと思われる家族連れなど、けっこう多くの人々が、「この頭蓋骨、歯まで残っている!ブラボー!」などと、軽く冗談などを言いながら、見ているのも興味深い気がしました。 美術館やショッピングに飽きたら、パリには、こんな場所もあります。🌟カタコンブ・ド・パリ パリの納骨堂Les...

2025年1月16日木曜日

フランスの出生率15年連続減少なのにフランスの人口は増えているのはなぜか?

   もはや出生率の低下は珍しいニュースではなくなりました。だいたい、もう15年連続の減少(フランスの場合)ともなれば、そもそもの母数がすでに減少しているのだから、子どもの数が増えるはずはありません。 2024年にフランスで生まれた赤ちゃんは66万3千人で、2023年よりも2.2%減少し、2010年と比べると、21.5%減少しています。 2024年、フランスの女性1人あたり1.62人の出生率(2023年は1.66人)となっており、毎年のように歴史的に低いレベルの出生率といわれ、それを更新し続けているのですから、第二次世界大戦とか1945年以来の低水準と言われることに変わりはありません。 しかし、私は、これまでこの出生率の低下しか見ていなかったのですが、フランスの人口は、2025年1月1日時点で6,860万人となり、0.25%とはいえ、増加しており、この人口のグラフを見ると、少しずつではありますが、年々、増加しています。 はて?それでは、フランス人の寿命が延びたせい?などと安易に思いきや、この死亡率は少しずつですが、上がっており、この死亡者数の増加は、かつてのベビーブーム世代が死亡率の高い年齢に達していることに起因していると言われています。 現在、フランスの平均寿命は、女性が85.6歳、男性が80歳というあたりで安定しています。たしかに平均寿命が延びている結果、2025年1月1日現在では、住民の21.8%が65歳以上になっています。 ともかくも、出生率は低下し、死亡率は上昇している中、なぜ?フランスの人口がわずかずつでも増加しているのでしょうか? それは、高齢化が進む一方で寿命が延びていることもありますが、その大きな理由は、「移民」です。 「移民」は、外国から入ってくる人々で、入ってくる人々と同時に出ていく人々もいるのですが、入ってくる人が出ていく人を上回っているということです。 これは、2023年のデータになりますが、2023年には、730万人の移民がフランスに居住しており、これが総人口の10.7%を占めています。そして、移民の34%にあたる250万人がフランス国籍を取得。フランス国籍まで取得しているとなると、もはや移民とはいえ、フランス人ということで、どういう括りになるのかは、疑問でもあります。 移民に対しては、度々、議論になるところですが、私自身も移民の一人。しかも外国籍の移民なので、大口をたたくことはできませんが、今さらながら、出生率の低下を移民で補うというのは、こういうことなのか・・とあらためて数字を見て、考えさせられるのでした。フランスの出生率15年連続減少 移民増加<関連記事>「フランスの出生率は2023年に急激に減少したが、2024年には、さらに減少する」「不妊治療対応のための二十歳前後の女性への不妊検査の無料化と卵子自己保存キャンペーン」「フランスの出生率低下にフランス人が提言する言葉 人生は美しい「la...

2025年1月15日水曜日

フランソワ・バイルー首相 国会で一般政策声明発表

   「国が我々に課しているのは安定を取り戻すこと」、「国民の84%は、政府は今年を乗り切れないと考えている。残りの16%の人々は、どこから楽観的な考えを抱くのか不思議に思うこともある・・」フランソワ・バイルー首相は、国民議会の前で一般政策声明の中でユーモアを交えながら自らの優先事項を説明しました。 「驚かれるかもしれませんが、私は、現在の不安定な状況が強みだと信じています。全てが順調に進んでいるときは、人々は栄光に安住し、全てが上手くいかないように見えるときは勇気を持ってください!」 冒頭から、それこそ意味がわかるようなわからないような、不思議な話の仕方ですが、表情や物腰など、明らかに前首相のようなピリつく感じは薄らいでいる感じです。 首相就任から1ヶ月後、彼の一般政策声明は約1時間半にわたり、内容も多岐にわたっていて、全てを紹介しきれないので、少しずつを抜粋しておきます。 首相は、冒頭で現在3兆2,280億ユーロに達している債務状況について、「これは、わが国と社会モデルの上にぶら下がっている『ダモクレスの剣』(断崖絶壁、一触即発状態)!」と表現し、「過剰債務の状況を考慮し、それを抑制し、削減するという目標を設定しない限り、いかなる復興、再建政策も実行することはできない!」と宣言しました。 職場によっては、この演説の間は、仕事を中断してまで注意深く聞いている国民もいるというこの演説の中でも、もっとも国民が注目しているとも思われる「年金改革」については、「ひとまず白紙に戻し、短期間で透明性のある条件のもとで、会計検査院に数週間の緊急調査を要請し、あらゆる数字に基づいて、より公正な改革に向けた前進の方法を見つけるために、各党の代表者による常任代表団を設立し審議する」ことを発表。3ヶ月間同じテーブルについて話し合い、それでもこの代表団で同意に至らなかった場合には、現行の改革が引き続き適用されるとしています。 また、年金問題のみならず、あらゆるレベルでの予算努力が必用とされるため、予算採択の緊急性を強調。「1,000以上の公的機関、団体等の必要性を見直し、再考して予算を再構成する」とし、また、この一環として、公的機関に属する資産・特に不動産の一部を換金して、国家改革に専念する特別基金を設立し、公共サービスへの人工知能の導入への投資を可能にすると説明しています。 また、これに加えて、彼は、比例代表制を前進させる話や、「黄色いベスト運動」の際の苦情リスト調査を再開させること、医療問題、住宅問題などについても、説明。 そして、「移民問題」についても、バランスの問題であると語り、毎年発行されるOQTF(国外退去命令)のうち93%が履行されていない現実を示し、その理由を「出身国が自国民の受け入れを拒否しているため」である現実を示し、移民管理のための省庁間委員会を再開すると述べています。 また、環境問題の観点からも、「原子力エネルギー」は不可欠であると説明し、教育の重要性や、コルシカ島問題、公共放送の改革などについても触れています。 昨年から火がくすぶっている農業問題に関しては、現在、環境規制や基準のために農家が課せられている規制や基準に対しての疑問を投げかけ、「管理される側は管理についての発言権を持つ必要があります」とも述べています。 かなり多岐にわたり、テーマが多すぎることもあるためか、一部では、「非常に支離滅裂で反循環な政策声明」という批判などもありますが、ひとまずは、経済生活を簡素化する法案の迅速な採択を望んでいると言えるかもしれません。 迅速な採択とはいえ、予算が確定しないまま、すでに2025年はスタートしているのです。なにしろ、前首相は予算案審議中に不信任案が可決して、退任に追い込まれているのですから、現首相もこの不安定な政権のもと、綱渡り状態であることには、変わりありません。フランソワ・バイルー首相 一般政策声明<関連記事>「思いっきりジタバタした感じのフランスの首相任命劇 新首相はフランソワ・バイルー氏...