2022年7月7日木曜日

ニース市長 公共交通機関でのマスク義務化を発表 フランス人は義務化されなければマスクはしない

 



 ニース市長・クリスチャン・エストロジは、公共交通機関でマスクを着用することが再び義務付けられるよう、ニース市の他の市長と共同で政令を制定し、来週の月曜日から交通機関でのマスク着用義務を復活させることを発表しました。

 この政令は、「メトロポリスの交通網全体」において、「月曜日から、市長たちとの共同政令に基づき、全員が強制的にマスクを着用する」ことを意味しています。

 今回の措置で、ニース市は政府の勧告をさらに上回ることになりました。ニース市長はこの公共交通機関でのマスク着用義務復活の理由として、「24時間以内に20万人以上の患者が発生し、急激に増加する第7の波に乗り、このままでは新学期を危険な状態でスタートさせることになってしまう」とニース市長は警告しています。

 これに対し、エリザベット・ボーヌ首相は、同日行われたニュース番組のインタビューの中で、国全体としては、「4回目のワクチン接種を進めている」、「公共交通機関でのマスク着用義務化をとるつもりはない」と答えています。

 彼女は、このインタビューの中で、「もちろん、公共交通機関内や人混み、閉鎖空間でのマスク着用は強く推奨しますが、それは、もうフランス国民はよく理解していることで、私もそのような場所ではマスクを着用しています」と語っています。

 彼女の言っていることはもっともなことですが、このもっともな理屈は一般的なフランス人には通用するものではありません。

 この発言を聞いて、私は「おいおい・・この人、大丈夫か・・?」と思ってしまいました。

 もちろん、彼女の言うように、多くのフランス人は公共交通機関や閉鎖空間、人混みでマスクが必要なことを理解しているかもしれませんが、理解はしていても、義務化されなければしないのが一般的なフランス人なのです。

 公共交通機関でのマスク義務化が発表されたニースで、「来週からニースでは公共交通機関でのマスク着用が義務化されますが、この件についてどう思いますか?」というインタビューに答えている女性が、「今は公共交通機関内でマスクをしていませんが、マスク義務化は賛成です。この感染拡大には必要なことです。来週からは私も公共交通機関ではマスクをします」と躊躇いなく答えていました。

 このインタビュー映像を見て、「これこれ・・フランス人はこれなのよ・・」と思いました。マスクが必要だと思っているなら、今すぐにでもすればいいのに、義務化されなければしない、義務化されるのなら、します・・という人がきっと大半なのだと思います。

 6月末の時点で行われた世論調査によると、フランス国民の71%が公共交通機関でのマスク着用義務化を望んでいるという結果が出ています。にもかかわらず、パリの公共交通機関内でのマスク率は一向に上がってはいません。

 この現状がその答えです。必要だと思っていても、義務化されなければマスクはしないのです。そして、義務化してほしいと思っているのです。

 現在のボーヌ首相の様子を見ていると、彼女が首相に就任する際に、新旧首相の交代の挨拶の中で、カステックス前首相が「フランス人は要求の多い国民で、額面通りには受け取らない。しかし、彼らはそれに対処する方法を知っている。彼らは偉大な人々であり、政治的な人々だ」「また、マティニョン(首相官邸)の住人に批判が集まるのは必至だ」と彼女に警告したことを思い出します。

 彼女の言っていることは正論ではありますが、それがそのまま通用しないのが、フランス人です。この公共交通機関内でのマスク義務化問題をはじめとして、新内閣は発信力が弱くなり、基盤が揺らいでいます。正論だけで押し通すことができるエリート集団ではなく、一般大衆を動かしていかなければいけないことを彼女はもう少し理解する必要があります。

 このままでは、他の案件に関しても、この優等生発言をする彼女は受け入れられないのではないか?と案じられてしまいます。

 また、これから本格的なバカンスシーズンに突入するにあたって、パリにも観光客が増えてきました。メトロの中などで気になるのは、特に観光客のマスク率が低いことが目につきます。

 外国から来る観光客にとって、フランスはマスクが必要のない国として認知されているのです。バカンスに来てまで、マスクなどしたくないに違いありませんが、現在のフランスはそんな状態ではありません。

 バカンスに来ている観光客が感染を拡大させる危険も大いにあることなのです。ニースなどは、観光客も多い地域なので、ニース市長の決断は極めて妥当であると思います。

 1日の新規感染者数が20万人を突破しただけでなく、フランスの集中治療室は、コロナウィルスによる患者で、すでに20%占拠されており、これはもうただの風邪と変わらない・・と言っていられる状態ではなくなっています。

 ワクチン接種が感染を防ぐものではなくなっている現在、ワクチンパスの復活はあまり意味がないと思いますが、せめて公共交通機関内でのマスク義務化はフランス全土でしてほしいのです。


ニース公共交通機関マスク義務化復活


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2022年7月6日水曜日

フランスの1日の新規感染者数20万人突破

  


 フランスの感染拡大が止まりません。ここ数週間で、1日の新規感染者数は5万人ずつ増加していくという増加の仕方です。1週間で5万人ずつ増加とは・・なかなかえげつない増え方です。

 昨日の1日の新規感染者数が206,554人であったことが発表されても、もうさほど、驚きませんでした。どちらかといえば、「やっぱりね・・」そんな諦めたような気持ちでもあります。それにしても、1週間で55%の増加です。やっぱりね・・とは思っても、やっぱり酷いです。

 1日の新規感染者数が10万人を超え始めたあたりから、政府は公共交通機関や閉鎖空間でのマスク着用を強く推奨することを呼びかけ始めましたが、推奨されただけでは、フランス国民が従わないことは素人の私が見てもわかることです。

 最近、パリのメトロ内では、「マスク着用は義務化はされていませんが、マスク着用は強く推奨されています」とご丁寧にフランス語と英語でアナウンスが入っていますが、メトロ内のマスク着用率は、若干増えたかな?という気もしないことはありませんが、ざっと見て、20人に1人程度だったマスク率は15人に1人くらいになった程度な感じです。

 さすがにワクチンがかなり浸透してはいるので、これだけ毎日、新規感染者が増加しても、パンデミック初期のように、救急車のサイレンがとめどなく聞こえ続けるようなことにはなってはいませんが、さすがに1日20万人ずつ感染者が増加していれば、全ての指標がプラス、しかも、それぞれの数字が王台を超えるタイミングを迎えています。

 一番、懸念される集中治療室の患者数も1,000人を突破(1,004人)(1週間で10.4%増)、入院患者数も17,000人を突破(17,041人)(17%増)、10万人あたりの感染率は、ついこの間1,000人を超えたと思ったら、もう1141人にまで上昇し、100人に一人の感染率が87人に一人の割合までになっています。殊にイル・ド・フランス(パリを中心とした地域)に至っては、すでに1,200人を超えています。

 陽性率(検査をした場合に陽性である確率)は、31.1%、検査をした人の約3人に一人は陽性という驚くべき数字です。

 このフランスのコロナウィルス第7波の拡大にもかかわらず、フランスのパンデミック緊急事態の期限は2022年7月31日に終了する予定であり、新たな「健康監視・安全保障」に関する法律が国会で審査される予定にはなっています。

 しかし、フランスは、これまで、感染状況に応じて、適切に規制を対応させてきましたが、今回は、この事態にもかかわらず、公共交通機関でのマスク着用義務を決定していません。

 公共交通機関でのマスク着用を強く推奨するなどと言っても、もうそんなことは通用しないのは明白なことで、とりあえず少しでも感染を抑える簡単な方法は、義務化して、罰金を課すこと以外にありません。

 ワクチンの追加接種も呼びかけてはいますが、これはもう一度ブースター接種をした人にとっては、さらに追加のワクチン接種はしないという人も多いため、そんなに簡単に浸透する話ではありません。

 これまでのフランスのパンデミック対応は、初期対応など失敗もあったとはいえ、かなり、早急な対応をとってきたと思うし、特に昨年の今頃の夏のバカンス前のヘルスパスの導入などは、かなり強引で驚かされましたが、結果的には、このヘルスパスの導入によって、加速度的にワクチン接種も広まったし、この一筋縄ではいかないフランス国民を壊滅的な被害から救ってきたと思うのです。

 しかしながら、今年2月のウクライナ戦争が始まったあたりから、どうも政府の手綱が緩み始めたことを感じずにはいられません。パンデミックの後遺症(終わってはいないけど)とも考えられる物価の上昇や戦争によりさらに拍車がかかったインフレ対応、そして、大統領選挙、内閣改変と政治的にも他の思惑が先行されているようです。

 そもそも、せっかく公共交通機関でのマスク義務化が浸透していたものをまだウィルスが消滅したわけでもないのに撤廃してしまったことが、そもそもの失敗であったと私は思っています。

 国民にとっては、一度、解放されたものを再び締め付けられるのは、義務化が続くことよりも抵抗があるに違いありません。

 こうなったら、1日も早く早急に取れる罰金、罰則付きの規制をとらなければ、感染は倍々にと増えていくことは避けようもありません。ましてや、これから本格的なバカンスシーズン、昨年はこのバカンス中に感染が拡大することを恐れて「ヘルスパス」がないと身動きできないようなかなり強硬な対策をとったにもかかわらず、何も対策をとらずにグズグズしている政府の意向がまるで理解できません。

 また、今年は、空港や航空会社、SNCF(フランス国鉄)などの公共交通機関のストライキが立て続けに起こっており、ただでさえ人が多く集まるところをさらなる混雑がつくられる事態に至っています。

 このままでいけば、来週には、1日の新規感染者数はさらに5万人増加では済まずに、一気に1日30万人・・なんていうことになっても不思議ではありません。


フランス感染爆発 リバウンド 新規感染者数20万人突破


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2022年7月5日火曜日

もう二度と会わないと思っていた大嫌いな人に偶然、会った

 



 昨日、メトロの駅の構内を移動中、何かが肩に触れた気がしたのですが、気のせいだと思って、私はそのまま歩き続けていました。現在のパリは日本ほどの猛暑ではないにせよ、なかなかの暑さで、その日も私はけっこう強い日差しの中を歩きながら、やっぱり家の中のどこかにあるはずの日傘をもってくればよかった・・とか、この後、買い物に寄って帰るのは、どこのお店にしようか?とか考えながら、周囲にはあまり注意を払わずに歩いていたのです。

 私は歩き続けていたので、後から考えると彼女は、私を見つけておいかけてきたのだと思いますが、私は全く気が付かずにいました。それでも、また肩に何かが触れた気がしたので、「えっ??」とちょっと警戒して、振り返ると、見覚えのない女性がたしかに私を呼んでいたのです。

 知らない人が何で?とちょっと身構えると、彼女は「○○です!」と名乗ってきました。それは、私の以前の職場にいた同僚の一人で、名前を聞いて、しばし彼女の顔をじっと見てしまったほど彼女の容貌は変化していました。しかし、どちらにせよ、私が二度と会いたくなかった人であることには変わりありません。

 パリの街中を歩いていて、偶然、知り合いに会うということは、なかなかないことで、しかも、私が大嫌いな人、咄嗟に呼び止められて、避けようもなかったのですが、私が彼女を嫌っていることは、彼女自身も知っていると思っていたのですが、そこが彼女のスゴいところで、彼女にとってはそんなことはお構いのないことなのは、相変わらずだったのです。

 もっとも、彼女のことが嫌いな人は私だけではなく、ほぼ全ての人が彼女のことを嫌がっていたので、そんなことを気にしていては、やっていけないのでしょう。

 しかし、職場が同じでは、あからさまに避けることも大人気ないので、仕事をしている時は、そんな感情は押し殺していたのですが、とはいえ、普通なら、そこそこ感じとってしまうもの・・しかし、どんなに周囲の人が嫌がっていても、ちっとも彼女はめげることなく、全く平常と変わることはありませんでした。

 ただ、私が彼女と同じだった職場を後にする際には、かなりハッキリと「職場を変わったら、一切、関わりたくないので、引き継ぐ仕事に関することは、私がこの会社にいるうちに聞いてね・・」と言ってあったのに、どういうつもりなのか?彼女は何も私に聞いてくることはありませんでした。

 おそらく、何がわからないのかもわかっていないのだと思っていましたが、一応、猶予期間はあったので、この先は、本当に絶対に彼女には関わりたくないと思ってかなり私としてもハッキリとした態度を示したつもりでした。

 さすがにそこまで言ったので、私が職場を後にしてからは、一切、彼女からの連絡はなく、他の人を介して一度、連絡してきたことがありましたが、私は全く彼女に会うことはありませんでした。

 そんな感じで別れたので、その後、どこかで見かけたりしても決して声をかけるなどということもないだろうと思っていたのです。

 彼女は数年後に社内で違法行為を犯したために、解雇されたという話を私は他の人から聞いていましたが、そんなことを私が知っているとは思っていないのか、聞いてもいないのに、あれから自分は、2回も転職して、今は、この近くの会社で働いている・・と、次から次へと話し始めました。

 以前から彼女の虚言癖には辟易していたので、今さら、まともに話を聞く気にもならず、また、興味もありません。

 突然、彼女に遭遇して、びっくりしながら、彼女の話を聞いていましたが、おそらく私は、ものすごく嫌な顔をしていたと思います。しかし、相変わらず、彼女はそんなことにはお構いなしに、「私の電話番号、変わっていたかな??」などと、いかにも、今後、また連絡を取り合うようなことを言い出したので、「私はもう、いいから・・」と言うと、彼女も諦めたようでした。

 パリには、かなりアクの強い人が多いのですが、嫌われ者に共通していることは、どんなに嫌がられても意に介せず、まったく応えないということで、何年経っても、彼女は変わらないのだな・・と思いつつ、しかし、べっとりとした言いようのない嫌悪感に襲われ、その日は1日、嫌な余韻をひきずってしまったのでした。

 その帰りに家の近くのスーパーマーケットで買い物をして家に帰り、ホッと一息ついたところで、メガネがないことに気づいて、私は大慌てでスーパーマーケットに戻り、メガネの忘れ物がなかったか?と尋ねに行きました。フランスの場合、まず忘れ物、落とし物が出てくることはないのですが、念のため、諦めるためという気分でしたが、やっぱり、私のメガネはありませんでした。

 そして、家に帰って再び着替えようとした時、洋服ダンスの近くにメガネは置いてありました。どうやら私が一度目に帰ってすぐに、着替えるときに置いたのを忘れていたようです。

 彼女に会ったことでの自分の動揺ぶりをつくづく思い知らされ、なんだかバカらしくなりました。


嫌われ者


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2022年7月4日月曜日

フランスで報道されている歴史的記録を更新した日本の猛暑 

   


 正直、フランスのテレビで日本のニュースがとりあげられることはあまりありません。G7などの会合があったりしても、参加国の一つとして日本の名前は挙がるものの、日本はあまり存在感もなく、下手をすると日本の首相が映像には映っていなかったりすることもあるくらいです。

 それが、ここ数日のニュースでは、日本が1875年以来、147年ぶりの記録的な猛暑に見舞われているというニュースが報道されています。

 私自身は、もう長いこと夏の間に日本に行っていないので、日本の夏というものを実感として、忘れてしまっていて、フランスのテレビのニュースで流されていた猛暑に見舞われている東京の街の様子に、多くの人が日傘をさしている映像が映って、「あぁ〜そういえば、日本には、日傘というものがあったんだ・・」と懐かしく思い出したくらいでした。

 フランス人は雨でもあまり傘をさすことはありませんが、それ以上に日傘をさす人はもっといないので、日傘というものの存在をすっかり忘れていたのです。

 以前は、子供の夏休みに合わせて日本に行っていた頃もありましたが、日本に飛行機が着いて、飛行機を一歩出た時に感じるムッとした湿度を含んだ息苦しいような暑さに、日本に帰ってきたんだ・・と実感することもありました。

 フランスでは今回の日本の歴史的な記録を塗り替えた猛暑について、「本来ならば、日本は7月半ばまではTSUYU(梅雨)とよばれる雨の多い時期で、ここまで暑いことはなく、2週間ほど前のフランスでの猛暑のように、夏の暑さが早くやってきていることを気象学者などが出てきて語っています。

 夏の暑さが早くやってきて、遅くまで続くというこの世界的な傾向が日本の猛暑を例にあげて、紹介されているのです。

 また、併せて、日本の猛暑では、電力消費の問題も起こっていると伝えています。日本のほとんどの家庭や公共の場では冷房が効いており、日本での電力消費量のピークは夏である・・と珍しそうに伝えています。(おそらく、フランスでは日本ほど冷房は普及していないため、どちらかといえば、電力消費量が多いのは、寒くて日も短くなる冬なのだと思います)

 2011年のTSUNAMI・津波や最近の地震の余波で、原子力発電所や火力発電所が不足しているため、首都圏の電力生産は苦戦しており、日本政府は、電力消費の抑制を呼びかけながらも、適切にエアコンを使い続けるという難しい奨励をしていることを、エレベーターを停めたり、電気を落としたオフィスで仕事をする映像を併せて紹介しています。

 きっと、フランス人にとって、一番、わかりにくいのは、この暑さに加えて、湿度も70%、80%を超えているという状態で、40℃に迫る気温と70〜80%の湿度は「致死量のカクテル」であると描写しています。

 先月もパリでは6月だというのにやはり40℃に迫る気温を記録していて、「いくら湿度が高くなくとも、さすがにここまで気温が上がるとキツい・・」などと思っていたのですが、我が家など冷房がなくともなんとか乗り切れるのは、やはり、この湿度の低さ所以であるのだろう・・と今さらながら思ったのです。

 考えてみれば、日本にいた頃は、エアコンをつけて、たとえ除湿だけに設定していても、なんだか涼しく感じたのは、同じ気温でも湿度の高さで体感気温が違って感じることからくるのかもしれません。

 また、この猛暑のために、日本では毎年、何千人もの人が入院したり、何十人もの人が亡くなっているのは、日本の人口の3分の1が60歳以上という高齢化社会であるということまでを指摘しています。

  「致死量のカクテル」とまで言われている高い湿度を伴う日本の猛暑、よほどのことがない限り、私が夏に日本に行くことはなくなりそうです。


147年ぶりの記録更新 日本の猛暑


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2022年7月3日日曜日

シャルル・ド・ゴール空港 ストライキのための大混乱

   


 7月1週目の週末は、学校が夏休みに入っての最初の週末のため、一斉に皆がバカンスにでるため、例年、何も問題がなくても、空港は大混雑に見舞われます。娘が小学生の頃には、日本の小学校に少しでも通わせたかったために、フランスの小学校がお休みになったすぐのこのタイミングで日本に行っていました。

 日本の小学校は、フランスの小学校とは少しずれて夏休みに入るため、その短い期間に日本の小学校への短期入学を受け入れて頂いていました。在仏邦人で同じことを考える人は、私だけではないようで、同じ目的のために空港で見かける在仏日本人ママを見かけることも少なくありませんでした。

 在仏日本人でなくとも、待ってましたとばかりに皆がバカンスに出発するこの週末はおそらく一年のうちで最も空港が混雑するタイミングでもあります。

 それが、今年のこの週末は、空港職員に加えて、空港の消防隊員のストライキのために、予定されたフライトの20%(5便に1便)は欠航という混乱に加えて、機械の故障も相まって、チェックインした荷物が飛行機に積まれず、乗客の約半数の荷物が積まれないまま出発してしまったり、また、到着便の荷物を回収するまでに5時間もかかったという人まで出ています。

 ただでさえ、混雑するこの時期に、キャンセルになったフライトの代替便を確保する人で空港は溢れかえり、また、荷物を確保するための人がどんどん溜まって膨れ上がっていくわけで、パリ・シャルル・ド・ゴール空港は大混乱に陥りました。

 空港職員のストライキに加えて、空港消防隊員のストライキのために、飛行機の離発着の安全性が確保できないためのキャンセルになっているのです。

 このストライキはインフレ、物価の上昇に対応するための賃上げの要求に加えて、パンデミックの初期のロックダウンや減便によるコストカットのために人員を大幅に削減したことによる人員不足による労働環境の悪化の改善要求も含まれており、早急に解決ができる問題でもありません。

 この掻き入れ時にこれだけのキャンセルに対する補償問題もさらに今後、上乗せされる問題として蓄積されていきます。

 フライトのキャンセルや遅延に関して、欧州消費者センター(ECC)フランスは、以下のように説明しています。

「スタッフのストライキを理由に会社がフライトをキャンセルした場合、キャンセルした航空券の払い戻し、または同等の輸送条件でキャンセルしたフライトの代替便を要求する権利がある」としています。

 さらに、「すべての旅行者は追加補償を受ける権利がある」と付け加えています。

「この補償金は、会社が航空券を払い戻した場合でも、お客様に追加で支払われるもの」とし、補償金額は、1,500km以下のフライトの場合は250ユーロ、EU圏内の1,500kmを超えるフライトの場合は400ユーロ、EU圏外の1,500~3,500kmのフライトの場合は600ユーロとなっています。航空会社が代替便を提供した場合、この補償額は半額になることがあります。

 航空会社がこれに対応しない、あるいは補償を拒否するなどの問題が発生した場合、苦情を申し立てることができます。

 また、航空会社が代替便を提供する場合、「翌日までに出発できない場合の軽食、食事、2回の連絡(電話、テキストメッセージ、メール)、ホテルや空港の移動費用」を負担しなければならないことになっているようです。

 ただし、これには、追記があり、「航空会社以外のスタッフ(例えば航空管制官)によるストライキの場合は、補償が拒否される場合がある」とされているため、今回のように空港スタッフや消防隊員のスタッフによるストライキの場合は、補償されるかは定かではありません。

 現在のフライトには、依然としてコロナウィルス感染対策のためのハードルに加えて、航空運賃の爆上がり、長距離迂回フライトなどのストレスが重なっていますが、それに加えてのストライキのためのフライトキャンセル、ロストバゲージなどのトラブルが加わっています。

 今回のストライキに関わっているのは消防隊員やADP(パリ空港公団)グループの従業員のだけではなく、ほとんどの航空会社の客室乗務員を代表し、「労働法の適用と残業代の支払い」を要求する全国客室乗務員組合(SNPNC)のクリステル・オスター会長は、「ストライキは繰り返される。必要なら夏中続ける」と徹底抗戦の姿勢を発表しています。

 これは恐ろしいことです。まだまだこのストライキは続く可能性があるのです。

 いよいよバカンス!という瞬間に、高いチケットを購入した挙句に、フライトが予定どおりに飛ぶかどうかを心配し、また運良くチェックインまで漕ぎ着けたとしても、荷物が無事に届くかどうかを心配しなければならない事態です。

 チェックインした荷物に関しては航空会社が責任を持って、本人の自宅または、ホテルまで届ける義務があるとされていますので、少なくともスーツケースには名前と連絡先を書いたネームタグをしっかりと付けることは、せめてものリスクオフ対応かもしれません。


パリCDGストライキ ロストバゲージ


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2022年7月2日土曜日

シャンゼリゼのマクドナルドのテラス席はおしゃれで可愛い

  


 フランス人は、テラス席が大好きで、夏の暑い時も冬の寒い時もカフェでは、テラス席が人気で、なぜ?この暑い時に外で・・?、なぜ?この寒い時に外で・・?、なぜ?この排気ガスいっぱいの車のそばで・・?と、思わないでもありませんが、カフェやビストロなど、外のテラス席からお客さんは埋まっていきます。

 ほどほどにお天気がよいくらいであれば、オープンエアに近い空間は、たしかに解放感があり、街行く人を眺めながら、また、街行く人に眺められながら、ちょっと軽く飲んだり、食事したりするのは楽しいものです。

 パンデミック以来、店内での換気の悪さの問題などもあって、テラス席はどこも、ここ2年ほどの間にかなり拡張し、また、テラス席をきれいにデコレーションするようになったのもここ数年のパリの変化の一つでもあります。

 もともとテラス席好きのフランス人にとって、この夏の間のテラス席の拡張やデコレーションはすっかり季節の風物詩となった感があります。そして、カフェなどを花で覆い尽くす派手なデコレーションが目立つようになったのも、ここ数年の流行りのようで、パリの街を歩いていると、その手の感じのデコレーションが目立つようになりました。

 そんな中、たまたまシャンゼリゼを歩いていたら、マクドナルドに可愛いテラス席ができているのを見つけました。シャンゼリゼは、そんなに頻繁に行くわけではないので、いつからできているのかわかりませんが、たしか、去年はなかったように思います。

 


 シャンゼリゼといえば、観光客の集まる場所でもあり、多くの観光客で賑わうところです。私が初めてパリに旅行で来た時、私が初めてパリで外食したのは、たしかシャンゼリゼのマクドナルドだったような気がします。

 なぜ、パリに来て、わざわざ普段はあまり行かないマクドナルドに行ったかと言えば、ハッキリ言って、フランス語ができなかったからで、オーダーも簡単でメニューも単純だという理由で行ったような記憶があります。記憶は定かではありませんが、あの頃は、まだまだ普通のマクドナルドで、今のような華やかな感じではなく、ごくごく普通のマクドナルドでした。

 しかし、今のシャンゼリゼのマクドナルドはすっかり洗練されていて、店内もすっきりしていて、ごちゃごちゃしたメニューの表示などもありません。また、マクドナルドといえば、赤に黄色の文字のイメージですが、色の基調もシックに統一されています。


  

     

 現在は、どこのマクドナルドでも(ファストフード店はだいたいどこも同じ)写真付きのタッチパネルでオーダーして支払いを済ませてから、レシートを見せて受け取るようになっているので、フランス語も必要ありません。

 

凱旋門からも近い絶好のロケーション 外のデコレーションの花は生花


 シャンゼリゼのマクドナルドはシャンゼリゼの中腹より少し上(凱旋門より)にあり、場所も絶好のロケーション、テラス席は簡単なテントが張られ、今、流行りとも言えるたくさんのお花でデコレーションされています。特に予約をする必要もなく、普通にマクドナルドで買ったものを自分でテラス席に運んで食べることができます。

 シャンゼリゼや凱旋門を眺めながら、可愛く彩られたお花に囲まれて食事することができます。シャンゼリゼの飲食店は、だいたい観光客価格でかなり高めの値段設定のお店が多い中、マクドナルドは安心価格で食事できるのも魅力です。

 たくさんの華やかなお花でデコレーションされたテラス席内部はマクドナルドのお客さんだけを入場管理させる人が配備されていて、内部も清潔に保たれています。

 



 パリに来てまでわざわざマクドナルド・・と思ってしまいそうなところですが、シャンゼリゼのマクドナルドは、店内の広いスペースも、さすがに洗練されていて、心地よく過ごすことができるので、このテラス席はもちろんのこと、ちょっと違うマクドナルドを楽しめるかもしれません。


  
         店内のマックカフェとサラダバーのコーナー

 このロケーションと可愛いテラス席で同じマクドナルドでも、ちょっとリッチな気分を味わえて、ちょっと得した気分になれるマクドナルドです。

 パリでシャンゼリゼをちょっと歩いたら、他とはちょっと違うマクドナルドを楽しんでみるのも一興かもしれません。


*ちなみに2024年5月現在シャンゼリゼのマクドナルドのテラスはシックな感じに変わっています




シャンゼリゼ マクドナルド テラス席


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2022年7月1日金曜日

フランスの政治外交の舞台裏 ドキュメンタリー番組

 



 数日前に「ロシアによるウクライナ攻撃の4日前のマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談がテレビのドキュメンタリー番組で放送される」という予告を見て、「えっ?そんなのテレビで流していいの??絶対見たい!」とこの番組が放映されるのを楽しみにしていました。

 事前に細かい内容については知りませんでしたが、この番組は、「Un président, l'Europe et la guerre」(大統領、ヨーロッパ、戦争)と名付けられたこの番組は、エリゼ宮の裏側、マクロン大統領の周辺を今年の1月から6ヶ月間にわたり撮影されたもので、フランスがEUの議長国を務めた期間でもあり、奇しくもヨーロッパを揺るがす戦争に直面するフランス外交の記録になっています。

 今年の2月頃から、ロシアとウクライナの雲行きが極端に怪しくなってきた頃から、マクロン大統領がクレムリンを訪れ、あの長テーブルの端と端に座らせられての5時間にわたる直接会談に臨んだ時の映像、会談のあとの雪道を取材に答えながら歩くマクロン大統領、クレムリンを直接訪問したにもかかわらず、説得は通じず、その後もプーチン大統領、ゼレンスキー大統領との電話会談が頻繁になり、同時に他のヨーロッパ諸国、ドイツやイタリアの首相との会談の様子。別の間に控えるマクロン大統領の外交担当のスタッフが息を飲みながら、電話を聴いている様子。

 よもやヨーロッパも巻き込まれる戦争になるかもしれない危機感から、特にロシアの攻撃が開始される前後はニュースから目が離せなかった私は、その頃のニュースは細かく見ていましたし、マクロン大統領がどこの国の首脳とどんな内容の話をしたかなどのニュースはずっと追っていたので、これが、あの時の映像なのだ・・と思うと余計に臨場感があって、興味深いものでした。

 電話会談の模様は、プーチン大統領とのものに限ったものではなく、ゼレンスキー大統領との会談、ドイツ、イタリア、イギリスの首脳とのものも公開されていて、かねてから、彼らは一体、何語で会話をしているのだろうか?と素朴な疑問を持っていましたが、プーチン大統領とはそれぞれが母国語、ゼレンスキー大統領とは、時にはそれぞれに母国語、ロシアの攻撃が始まった直後は英語で、ドイツやイタリア、イギリスの首相とは英語でした。

 驚いたことは、彼らはかなり、フランクな感じで話しており、各国首脳、プーチン大統領とさえも彼らはお互いにファーストネームで呼び合っており、お互いに話し慣れた感じに会話が進んでいることでした。

 番組広告にもあったロシアの攻撃開始の4日前の会話では、本音かどうかはわかりませんが、プーチン大統領は、マクロン大統領がバイデン大統領の誤解を生み出したとか、ウクライナは核兵器の準備をしようとしているとか、ウクライナ政府は民主的な選挙で選ばれたのではないなどとかなりの応酬が続いています。

 しかし、結局、このロシアの攻撃前の最後の会談では、マクロン大統領がプーチン大統領に対して、バイデン大統領とも、ゼレンスキー大統領とも直接、話をすることを提案し、「それについては、外交担当の大臣と相談して検討する。エマニュエル、あなたとは率直に話せることを感謝している」というところで、電話会談が終わっています。

 このドキュメンタリーは、ロシアの攻撃が始まる前の日の夜のゼレンスキー大統領との会話やそれから数時間後に開始されたロシアの攻撃、それから数日間は特にもう日付の区切りがないようなスケジュールに密着しています。

 その後の戦争が継続されていく時系列、そして、つい先日、ドイツ、イタリアの首相とともに夜行列車でキエフを訪問する様子など、あの時はセキュリティー上、時間をずらして報道されていたものが、全て記録されていました。

 このドキュメンタリー番組を制作したジャーナリスト・ギー・ラガシュは、当初はフランスがEUの議長国を務める期間を取材し、欧州連合を身近なものにしたいという意向で取材を申し込んだと語っていますが、そもそも、こんな外交政治の裏側はそう易々と報道されるものでもなく、ましてや、この戦争という危機的な状況でこのような番組を制作することは、政府側の大変な理解と協力を得なければならなかったものだと思います。

 彼はこの期間を小さなビデオカメラとiphoneで撮影し、より個々の話、ストーリーに接近することを心がけたと語っています。




 フランスのEU議長国が6月末で終了するタイミングでの番組の放映もドラマチックでもありました。

 「は〜っ!ほ〜っ!なるほど・・こんな感じなんだ・・」と思いながら、とても興味深く番組を見ました。2時間強の長い番組でしたが、あと数回、繰り返してみたい気もしています。

 政治を少しでも身近に、そして興味を感じられるような、こんな番組、日本にもあったらいいのに・・と思った次第です。


戦争開始4日前のマクロンとプーチンの電話会談の内容 ドキュメンタリー


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