2026年7月17日金曜日

フランス国民議会 終末期医療法案「aide à mourir(死への援助)法案」可決 安楽死認可へ

  


 フランス国民議会 は、長らく議論が続けられてきた終末期医療法案「aide à mourir(死への援助)法案」を可決しました。この法案は、一定の条件を満たす患者に対して、医療者の関与のもとで生命を終えるための薬剤を提供するものです。

 この法案は長年の議論を経て可決しましたが、適用対象は欧州の中でも比較的厳格に限定されています。また、最終的な施行に至るまでには、憲法評議会による審査などの手続きが残されているので、まだ、ただちに施行されるというわけではありませんが、かなり大きく前進したと言えます。

 非常にデリケートな話ですが、終末期医療について議論する際に、若干、曖昧な気もする「尊厳死」と「安楽死」の違いについては、「安楽死」については、医師が薬などを投与して死期を早める行為であり、「尊厳死」は延命治療を中止し、自然に死が訪れるのを待つというのが、一般的な見解のようです。

 今回のフランスでの法案は、「安楽死」を認めるものです。

 対象となるのは、18歳以上の成人であること、フランス国籍または、フランスに居住している者、重篤かつ治癒不能の疾患であり、病気が進行期または終末期であること、持続的な身体的苦痛があり、治療では充分に軽減できない、または本人にとって耐えがたい苦痛があること、そして、本人が充分な判断能力を保持し、自発的かつ明確な意思表示ができることなどの条件が連ねられています。

 しかし、本人が希望してもただちに認められるわけではなく、主治医が申請を審査、少なくとも複数の医師および医療・介護関係者との協議が必用で、条件を満たすと判断された場合でも熟慮期間(2日間)を設けたうえで、最終確認後に薬剤が投与されます。

 この法案の反対派は特に、この熟慮期間(2日間)が短すぎるという声が大きいようです。

 また、ちょっと驚きなのは、原則、薬剤の投与は患者自身が自分で行うとなっており、医師幇助自殺の形をとっている点です。ただし、ALS(筋委縮性側索硬化症)などで身体機能の低下により自分で投与できない場合は、医師または看護師の幇助が認められます。

 この自分で、自分を死に至らしめる薬剤を投与するという部分で私が思い出したのは、以前、末期がんで入院していた友人のお見舞いに行ったときに、友人の腕には点滴が繋がっていて、手元にはボタンがあり、痛みが辛いときには、自分でいくらでもボタンを押してよい(モルヒネが点滴に入っている)と言われていて、制限されていない・・と友人が困惑して話してくれたのを思い出します。

 自分で好きなだけモルヒネ??

 友人は、一度、試して、自分が幻覚に襲われて怖くなったということで、自分を見失いたくないと、ボタンを押すことはなく、痛みに耐えていたのを思い出しました。

 話は戻って、安楽死のこの場合、医師・看護師には、宗教的・倫理的な理由から実施を拒否できる条項が含まれていますが、一方で医療機関そのものが制度全体への参加を拒否することはできない仕組みとなっています。

 そして、この改革の特徴は、「死への援助」と「緩和ケアの充実」をセットで進める方針であることで、この法案と並行して全国で緩和ケアへのアクセスを改善する法律も成立し、政府は緩和ケアへの大幅な投資を進める方針です。

 このフランスの安楽死に関する法案は既に安楽死を認めているオランダやベルギーなどより対象が狭く設定されていることが特徴です。

 また、長年、議論が進まなかったものが急に話が進みだしたのは、任期の迫ったマクロン大統領が自分の功績として残そうとしているなどという話もあるのですが、法案自体は若干の修正が加えられることはあったとしても、充分に熟考された内容になっているのではないか?という印象です。


フランス終末期医療法案 安楽死


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