2022年1月30日日曜日

クラック(CRACK)ドラッグ常用者溜まり場 パリ12区への移転計画

   


 ヨーロッパ最大の大麻消費国であるフランスにとって、最近、頻繁に問題視されているのは、クラック(CRACK)と呼ばれるコカインの一種のドラッグ(比較的安価なことから、貧乏人の薬などと呼ばれています)の急速な拡大で、当初はパリ北部(19区近辺)のスターリング広場がいつの間にか、クラックの聖地となり、クラックの売人や常習者の溜まり場になり、スターリンクラックなどと呼ばれるようになっていました。

 これらのドラッグ常用者は、暴力行為・破壊行為を起こしたりして、近隣住民との摩擦が絶えず、フランス政府は、この状況を打開しようと、200人の警察官を動員し、この場所(エオール庭園やスターリングラード庭園)のクラック常用者を別の場所へ強制的に移動させました。

 しかし、彼らを別の場所へ移動させただけでは、何の解決にもなっておらず、移動先でも再び問題となり、再度、移動を繰り返していましたが、今月25日、パリ警察は突如、プレスリリースで、ジェラルド・ダルマナン内務大臣の要請により、クラックの溜まり場をパリ12区にあるSNCF(フランス国鉄)所有の場所に移動させることを発表し、大騒動になりました。

 この9ヶ月間で3回目の引越しとなるクラック常用者の移転は、「安全なフェンスを設置するための作業が行われた後」に行われるとされていたものの、この発表は、地元の政治家や住民を驚かせました。「事前に何の相談も通告もない決定に愕然とした!この一方的な決定は、断じて受け入れることはできない!」とパリ12区や12区に隣接するベルシー・シャロントン市も大反発。

 この政府の決定は、国が地域の議員・議会を蔑ろにしていることも露呈した結果となりました。

 同時にパリ市長であるアンヌ・イダルゴが「パリ北東部からベルシーにある鉄道用地へ麻薬使用者を移動させるという警察庁長官の計画に対し、欧州人権裁判所(ECHR)に提訴する意向である」と発表。

 また、彼女は同時に、「これはクラック常用者の苦しみを解決するものではなく、パリにはいかなる居住地からも隔離された場所は存在しません。これは、近隣地域全体の平和と安全を乱すことになります。このプロジェクトには大きな問題がある。不安定な人々を鉄条網の後ろに移すことは、公衆衛生対策にはならず、何の効果もなく、何より非人道的です。」と述べています。

 この大反発の結果、パリ警察は、28日のプレスリリースで、このクラック常用者の移動を断念したことを発表しました。

 12区に近隣するベルシー・シャロントン市からは、ことさら反発が強く、パリ警察の発表から72時間、市議会総動員での激しい抗議活動の結果、断念という決断を得たことに安堵、満足していると発表しています。

 しかし、計画がはっきり中断したとの確証が得られず、不安が残る中、市民の署名活動が続いています。昨日、出かけた際に、我が家からもそう遠くない場所で「クラック移転反対」のビラ配りをしながら、署名を求めている人々に遭遇しました。


クラック常用者移転反対のビラ

  

 結局、解決策は、移転ではなく、必要なのは、薬物のケア施設で、それをせずにただ、彼らを移転させ、たらい回しを続けるだけでは、なにも改善しないのです。

 長引くパンデミックで新型コロナウィルスの感染蔓延がおさまらないだけでなく、蔓延するクラックというドラッグ問題、もはやドラッグの蔓延する場所では、ウィルスの感染などとは、別世界のようでもありますが、しかし、同じパリの住民でもあります。

 パンデミックという抑鬱された状況がさらにクラックを蔓延させたという見方もできないではありませんが、これはウィルスのように目に見えない感染ではありませんが、同じ土地に蔓延する社会問題のひとつです。

 この移転プロジェクトには、それ相応の資金が費やされているにもかかわらず、何の解決にもなっていないことや、これらの計画が当該地域の市に何の打診も相談もなく行われようとしたことに薬物だけではない不安を感じた出来事でもありました。

 また、警察の弁明もお粗末で、この現在のところやり場のない移転計画の断念で、今後も現在の場所でのクラック常用者による占拠状態が長引くことに対して、遺憾の意を示し、パリ市長であるアンヌ・アンヌ・イダルゴを避難することで責任転嫁しようとしているのも情けないことです。

 フランスは、ワクチンセンターだけでなく、薬物治療センターを作らなくてはならないのです。


クラック CRACK ドラッグ


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2022年1月29日土曜日

日本の水際対策 海外からの入国・隔離期間7日間に短縮も外国人入国は停止のまま

  


 日本の「水際対策に係る新たな措置について」という文面をパンデミック以来、一体、どれだけ見たかわかりません。

 今回のお知らせは、「1月29日午前0時より、水際対策強化に係る新たな措置に基づき、オミクロン株が支配的となっている国・地域(現時点では全ての国・地域)から帰国・入国する全ての方について、入国後の自宅等待機、健康フォローアップ、公共交通機関不使用の期間が10日間から7日間に変更されます。既に入国済みの方に対しても同時刻から適用されます」という内容のものでした。

厚生労働省 水際対策に係る新たな措置について

 これだけなら、若干、隔離期間が短縮されるのですから、日本への一時帰国を希望する海外に在住する日本人にとっては、朗報といえば、朗報ですが、問題なのは、相も変わらず、「外国人の新規入国は停止」という部分です。

 いい加減、いつまでも外国人であるというだけで入国を制限する日本のやり方は、全く理解ができません。私は日本人ですが、「日本人だけ・・」という日本人さえよければいいだろうというやり方は、実は日本人の首を絞めていることにも繋がっていると思うのです。

 今や蔓延するウィルスの性質も変化し、世界中が対策を変更している中、なぜ?日本は、2月末までの鎖国延長を緩和しないのでしょうか?

 日本に住む多くの日本人にとっては、鎖国状態の日本は、現在の自分たちの生活には、直接関係のないことかもしれませんが、外から見れば、異常な対応です。パンデミックが終息しない段階で、リスクを冒しながら、多くの国が規制を緩和し始めているには、理由があるからです。

 多くの企業がいつまでも鎖国している日本に業を煮やして、他国に乗り換えることを考え始めています。それも当然でしょう。こんなにいつまでも鎖国をされていては、仕事がやりにくくて仕方ありません。他の国は、そんなことしていないのですから、他をあたるのは、当然です。

 留学生とて、いつまでも入国させてくれない日本に見切りをつけ、日本留学は断念するか、他の国に留学先を変更し始めています。

 このままでは、本当に日本は世界から、取り残された状態になります。

 先日、「日本が鎖国状態を2月末まで延長する」と発表した際に、フランス紙に「グローバル化しながらも内向きな国、日本」「このパンデミックは、この列島がいまだに孤立主義を培い、外国人を統合しようとしないことを明らかにした。」などと書かれたとおりのことを日本は続けようとしているのです。

 日本のように資源のない国は、世界と関われなければ、どうにも立ち行かなくなることは、明白です。

 長引くパンデミックに、いつまでも、「今は、とにかく感染を抑えることが最重要課題」などとは、言ってはいられない状況です。広い視野で、同時にいくつもの対策を次々に対応させていかなければなりません。

 いつまでも、「外国人は入国させない」と言い続ける国に、いつまでも、他の国々が辛抱強く待ってくれるわけはありません。他の国々は、ものすごい勢いで動き始めているのです。

 そのうち、日本が開国した頃には、誰も見向きもしなくなっているかもしれません。

 先日、マクロン大統領が、APCEでの講演で「私たちは 歴史に対する責任と同時に、未来に対する責任も負っています。」と話しましたが、実に日本の現在の対応は、未来に対する責任をどう考えているのか?と、絶望的な気持ちになります。

 日本人に対する海外からの入国隔離期間を短縮したタイミングは、鎖国を解除、あるいは、緩和するタイミングでもあったはずです。そもそも、入国に際して、国籍によって区別するなどナンセンス。そんなことをしている国は、ありません。

 私は、日本人の日本入国の隔離期間の短縮よりも、いつまでも鎖国を解除しないことの方がよほどショッキングです。

 長期的に、本当にグローバルな対応を考えなければ、日本は、国を守っているつもりが自分の首をしめている状態です。

 今、私は、海外にいて、外から日本を見て、政府が国を滅ぼしていく様子を地団駄を踏みながら見ている気分です。


日本の水際対策 鎖国 隔離期間短縮


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2022年1月28日金曜日

パリのメトロのプロブレム・テクニック

   

メトロのトンネルを歩くハメになった・・動揺していたためブレブレ


 フランスに来てから、20年以上が経ちますが、パリのメトロの不通は、日常茶飯事のことで、最近は、パンデミックの影響もあり、以前と比べれば、めっきりメトロに乗ることも減ったので、そんな不具合を感じる機会からも遠のいていました。

 しかも、フランスに来たばかりの頃は、パリ近郊の郊外にしばらく住んでいたので、通勤には、郊外線から、パリ市内のメトロに乗り換え、45分程度かかっていたので、通勤距離が長いほど、問題に直面することは、多く、たびたび起こるストライキは、問題外としても、何かといえば、止まって、「プロブレム・テクニック」という説明のみで、延々と待たされたり、急に乗り換えなければいけないことが、かなり頻繁にありました。

 45分という通勤時間は、東京では、それほど長い範疇には入らない通勤時間であると思いますが、フランスでは、常にいつ起こるかわからないロスタイムを考えると、遅刻が嫌いな私としては、そのためにかなり早めに家を出ていました。

 今の住まいに引っ越してからは、14番線という運転手のいないメトロを利用することが多くなったために、まず、ストライキはなく、いわゆる「プロブレム・テクニック」でさえも少なくなり、たまに止まっても、少し待っていれば済むし、「当分、動きませんから、違う線に乗り換えてください」などというアナウンスがあったとしても、少し待っていれば、動き出したりするので、よっぽど、待たされた場合は、渋々、他の線に乗り換える程度で、かなり問題は、少なくなりました。

 このパリのメトロを使っていれば、非常に頻繁に耳にする「プロブレム・テクニック」には、フランス人も慣れきっていて、大して怒る様子もなく、さっさと職場に連絡をしたり、黙って、ぞろぞろと、乗り換えホームにおとなしく歩いて行くのも、あれほどデモで怒りまくっていたりする人々の「プロブレム・テクニックへの寛容さ?」は、ちょっと意外な景色でもあります。

 まあ、怒ったところで、仕方はないのですが・・。

 不通、大抵は、「プロブレム・テクニック」と言っても、駅で止まってしまうことがほとんどなので、そのまま他の線やバスに乗り換えることができるのですが、先日は、なんと、初めて、メトロがトンネルの途中で延々と止まってしまいました。

 しばらく、待っていましたが、問題が深刻であったのか、なんと、駅でもないにもかかわらず、メトロを降りてくださいとのアナウンス・・これは、12番線だったので、未だにがっちゃんとハンドルを手動で扉を開けるタイプの扉、勝手に扉をあけて、メトロから線路に飛び降りて行く人もいれば、飛び降りるのを躊躇して、車内に残る人と、多少、ざわついてはいるものの、パニック状態にならないのも不思議な感じでした。

 そのうち、運転手さんが近くの車両の扉の開いているところにハシゴをかけに来て、まだ若い運転手さんは、「さすがに毎日、運転していても、こんなことは初めてです・・」と言いながら、汗だくでハシゴをかけてくれていました。

 しかし、近くにいた乗客は、「私は、これで2度目です・・」と言っていたのには、笑えました。

 結局、その「テクニカル・プロブレム」がどんなものであったのかは、わかりませんが、その後、ぞろぞろと乗客がトンネル内の線路上を歩いて、駅に移動したわけですから、相当な時間、その線は、不通になっていたものと思われます。

 何の問題かわかりませんが、一般乗客に線路上を歩かせるということなど、よほどの事情がない限り、日本だったらあり得ないことだし、もしあったら、大ニュースになりそうなことだろうと思います。もちろん、パリでは、全く報道はされていません。

 この近くに居合わせた乗客が「これで2回目・・」と笑っているということは、「そんなに珍しくもないのか・・」と、これまでの自分の幸運さを思い知らされたのでした。


パリのメトロ プロブレムテクニック


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2022年1月27日木曜日

フランスの高齢者施設オルペア Orpéa の実態暴露の大スキャンダル

  


 ビクトール・カスタネというフリーのジャーナリストが出版した、『Les Fossoyeurs』(墓掘り人という辛辣な風刺をこめたタイトル)というフランスの高齢者施設「オルペア(Orpéa)」の惨状の暴露本が今、フランスで大スキャンダルとして取り上げられています。

 この本の著者は3年間、関係者250人にインタビューを行い、あらゆる圧力に耐え、信じられないような調査の糸を手繰り寄せながら、ようやくこの出版に漕ぎ着けたと説明しています。

 世界23カ国に65,500人の従業員を擁するオルペアグループは、フランス国内に372の事業所を有し、そのほとんどが高齢者施設です。中には、ヌイイ・シュル・セーヌ(オー・ド・セーヌ県)にあるレジデンス「レ・ボルド・ド・セーヌ」のような「超高額」なものもあります。

 今回の大スキャンダルには、作家で女優のフランソワーズ・ドランが2018年にひどい褥瘡(じょくそう)(一般的には床ずれと言われるもの)で亡くなったのも、この施設だったことが大きくマスコミで取り上げられています。

 証言者の中には、「月額7,000ユーロもかかるこの施設は、医療機関ではなく、利益を追求する企業だ!」と怒りを顕にする者もいます。

 フランスは、少子化は避けられているため、日本のような高齢化社会にはなっていないために、あまり目立ちませんが、なかなかの長寿国、高齢者が多い国でもあります。

 現に、私の周囲のフランス人なども、親の介護問題は、なかなか切実で、100歳を超えた親を家に引き取って介護をしていたり、90歳を過ぎた両親が2人で暮らしているために、毎週のように、週末には、両親のもとに買い物や身の回りの世話をするために通っていたり、父親が亡くなってしまったために、母親1人では、生活ができないために、高齢者施設を探していたりなど、私の周囲にいる人がすでに結構な年齢のために親の年齢も90歳以上と聞いて、ちょっとびっくりしたりすることもあります。

 幸か不幸か、我が家は主人もろとも高齢者は全滅しており、高齢者施設を探したことはないのですが、現在の我が家の住まいの周辺には、なかなか高齢者施設も多いようで、昼間など、近所のバスに乗ったりしていると、その高齢者施設の住民で、比較的、自分で出歩けるような状態の人々は、昼間は街中で買い物などのお出かけに遭遇することもあり。うっかり席に座っていると、向こうから、「席、譲ってちょうだい!」などと言われるので、「フランスの老人恐るべし!」と仰天したりすることもあります。

 日本では、母が他界した後、父が1人残され、一軒家に1人で暮らしていましたが、最後の最後には、どうにもならなくなり、私も弟も海外暮らしのために、なんとか、父を説得して、介護付きの高齢者施設を探し回ったことがありましたが、なかなかな高額なのにもかかわらず、どこも満員でビックリしました。

 フランスでも、高齢者施設探しは、なかなか大変なうえに、高額なところが多いようで、今回の大スキャンダルを巻き起こした高齢者施設もフランスで最も高額な高齢者施設の一つで、月額6,500ユーロ(約85万円)から、最高12,000ユーロ(約156万円)もかかるそうで、ちょっと一般人には、不可能な高額の高齢者施設でもあります。

 価格が高ければ、それなりのサービスが期待されるのは、当然のことですが、そこでの衛生管理、医療ケア、介護体制、食事までの事情の実態は、信じ難い内容のもので、実際に、あまりの人員不足のための過剰な労働や営利優先の経営に耐えかねて転職した元従業員の証言などは、絶句するような内容のものでした。 

 この施設は、民間の高齢者施設ですが、たとえ、それが民間運営のものとはいえ、国や各省庁の審議会から多額の資金援助を受けているため、国費が正常に利用されていないことについても、問題視する声があがっています。

 この施設の元介護助手は、「おむつは1日3枚までという配給制で、入居者が病気であろうが、腹痛であろうが、流行病があろうが関係なかった」と証言しており、この本の著者は、「同グループ内での機能不全が高齢者を虐待するシステムを構築している」と言及しています。

 今回のパンデミックが始まった、ごくごく初期には、高齢者施設での老人の大量の犠牲者が出て、大問題になり、一時は、高齢者施設は、家族でさえも面会が許されない隔離された状況に置かれていましたが、そもそも、いくら高齢者の集まりであるとはいえ、ことさら日常から衛生管理には、通常の場所よりも数段上のレベルの衛生管理がされているはずの場所なはずであるにもかかわらず、あれだけの犠牲者を出したのには、別の理由もあったのだと思い知らされています。

 しかも、家族からしたら、これだけ高額の入居料を支払っていながら、この有様には、怒り心頭に発するのも当然のことと思われます。

 また、この本の中には、2005年から2007年、2010年から2012年までニコラ・サルコジ政権に厚生大臣を務めたグザビエ・ベルトランとオルペアとの関係も明らかにされています。

 著者は、グループの元医務部長とのやりとりの中で「わかっただろう、なぜ我々がオルペアで全権を握っていると感じたか?我々は、当時の厚生大臣を懐柔していたのだ」と言われたことを記しています。

 オルペアのスキャンダルは政治規模のものになり、現在の厚生大臣オリヴィエ・ヴェランは、「オルペアの経営陣を早急に召喚し、説明を求め、独立した調査を行うことを検討する」と発表。

 政府のスポークスマンであるガブリエル・アタル氏も「このような行為が我が国で許容されるのは問題外。これが事実であることが証明されれば、最も厳しい制裁を求める」と政府の声明を発表しています。

 フランス大手新聞社・ル・モンド紙がこの本を取り上げたことで、現在の大スキャンダルに発展し、同社の株価は急落、その後、グループの要請により上場が停止される事態にまで陥っています。

 オルペアの経営陣は、「我々は、これらの非難はすべて虚偽であり、非道であり、偏見に満ちていると考えており、正式に異議を申し立てる」と声明を発表していますが、長年にわたる調査と多くの勇気ある証言者によって作成された調査書とも言えるような内容に、今や世論をさえも味方につけたと思われる一冊の本に、どう太刀打ちできるのかは疑問です。

 これまで、私は、フランス人が何かにつけて「物申す」ことに、「ちゃんとやることやってから言えっつうの!」などと、思う事が多かったのですが、時には、デモにしろ、マスコミにしろ、ジャーナリストにしろ、時には、この「物申す人々のチカラ」が社会には、必要なのではないか?と思うようになりました。

 日本も「物申すべきこと」が山積みのような気がしています。


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2022年1月26日水曜日

フランスの1日の新規感染者数50万人突破とオミクロンBA2

 


 フランスの1日の新規感染者数は、18日に 46万人を突破して以来、若干ではありますが、減少傾向にあり、1週間のうちには、40万人台を切る日もあったので、ヤレヤレ、ようやく下がり始めたか・・と思っていたら、週明けには、再びリバウンド?で、「なんと50万人を突破(501,635人)」、集中治療室の患者数も少しずつ減少していたものの、どうやら、3,700人前後で下げ止まりの状態です。

 本当に、身近なところにも、あっちもこっちも感染者、もう私も、いつ感染しても、何の不思議もないと思い始めています。

 入院患者数は着々と上昇を続け、同日、3万人を突破(30,189人)、1日のコロナウィルスによる死亡者数も393人(病院での死亡のみ)と、高齢者施設での死亡者等を併せれば400人超え、2021年4月以来の高い数字に達しています。

 毎日のようにピークはいつか?ピークは過ぎた!などとの報道がされていただけに、さすがにこの1日の新規感染者数50万人突破や入院患者数3万人突破のニュースは、ショックでもありました。

 現在、フランスでのこの感染爆発は、ほぼオミクロン株によるもので、これまでのデルタ株のようなリスクは低いものの、高齢者や虚弱体質の人、また、ワクチン未接種者、そして、ブースター接種をしていない人には、リスクが常に存在し続けており、追加のブースター接種を必死に呼びかけています。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、中でも、オミクロンBA2という、オミクロン株のいとこのような存在と言われているウィルスについて、従来のオミクロン株より、さらに感染力が強く、先週のデータでは、1万件のうち、60件だったものの、数日後、数週間後には数千件になる可能性があると警告しています。

 また、このBA2の変異は、スパイクタンパク質に生じたもので、リスクは従来のオミクロン株と同様と言われているものの、この変異種に対する身体の免疫反応に疑問が持たれている、つまり、再感染の可能性があるということも懸念されています。

 フランスでは、今週から、ワクチンパスポートが正式にスタートしましたが、その効果を期待するには、あまりに早い段階でのさらなる感染悪化。

 まさに、あまりの感染者の多さに、国民は、感染しても、「あ〜ついにやっぱり来たか・・」くらいの感覚になっていますが、後遺症などについては、未知のままです。

 このフランスの感染爆発については、新学期が始まったことが非常に大きな影響を与えたと考えられるとも言われています。この説は、学術会議のメンバーなどからも支持されており、「流行の再開/継続」は、「小学校、幼稚園、保育園でのウイルスの循環が非常に活発なことと一部関係がある」と考えられています。

 検査と隔離の連続で、あまりに煩雑な学校でのチェック作業に、ストライキやデモまで起こる騒ぎになっているというのに、結局のところ、学校での感染拡大は、止められていないようです。

 そのために、子供のワクチン接種に関しては、これまで両親の承諾が必要だったものが、厚生省は、保護者どちらか1人の同意でワクチン接種が可能になることを発表し、子供たちのワクチン接種を促進しようとしています。

 子供のワクチン接種には、慎重になる保護者の気持ちもわかりますが、米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスに感染した子供は、1型もしくは、2型の糖尿病の発症リスクが高く、感染した子どもは感染していない子どもに比べ、感染から30日後以降に糖尿病と診断される率が2.66倍になっているという研究を発表しています。

 ワクチンも長期的な影響が心配、しかし、感染しても後遺症が心配。すぐに重症化するリスクが低いとはいえ、安易に「感染したら、免疫ができる」などと、楽観的にばかりは、なっていられません。

 ワクチンパスポートのスタートとともに、続々と規制を緩和していくのも、再び心配になってきました。

 それにしても、グラフを見てもわかるとおり、フランスだけがぶっちぎりの爆走中、オミクロンBA2は、現在のところ、感染者の一部ですが、4〜5週間の間に現在のオミクロンを上回ると見られています。ピークは、まだまだ先のようです。


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2022年1月25日火曜日

パリで今、人気の雑貨屋さん 「フルー 」 Fleux Paris

  


 パリで今、人気急上昇中の雑貨屋さんがあるというので、覗きに行ってみました。

 「フルー」「Fleux」というお店です。

 面白いことに、その店舗は、パリ4区の Rue Sainte-Croix de la Bretonnerie という小さな通り沿いに、ジャンルごとに5店舗を設けています。

  


 パリ市庁舎、マレ地区の近くのパリの新しい創造的なファッションが続々と登場する界隈でもあります。

 単なる雑貨屋さんとは、一線を画しており、家具から室内装飾品、照明器具、食器、文房具、スキンケアー用品、ベビー用品などなどの広範囲の商品を扱いながら、その一つ一つの店舗は、こじんまりとしていて、別々の店舗になっていることが、かえって、見やすくさせている印象があります。

 どちらかといえば、マドレーヌにあるIKEA CITY(IKEA・イケア)に近い商品構成では、ありますが、もうちょっと、小洒落た感じ(実際におしゃれでかわいいものがたくさん)のものをセレクトしてあるお店です。

 パリの雑貨店といえば、ピローヌ(Pylones)などは、日本進出も果たしていて、有名ではありますが、ピローヌのはっきりしとした色使いの商品とは違い、どちらかといえば、シックでパリらしい上品な、フランス人好みな色使いのものが多く、パリらしさを楽しめるお店でもあります。


 

 たとえば、ベビー用品や子供のおもちゃなどにしても、あまりポップすぎない、控えめで落ち着いたやさしい色合いのもので占められているのもフランスらしいところです。素材も吟味されていて、お肌にも優しい品質の高いものが揃っています。

 食器やランチョンマットなどにしても、色合いは、やさしく、どこかフランスらしいエスプリの効いた色合いが揃えられていて、おしゃれな家庭のテーブルにならぶ様子が目に浮かぶような商品です。
 
 


 

 
 何よりも私がこのお店で気に入ったのは、このお店の商品の色、原色ではない深みとエッジの効いた落ち着いた色合いの小物たちが、しかも、いちいちおしゃれだったり、可愛かったりするのですから、このお店を一つ一つ覗いていくだけでも、相当な時間を楽しむことができます。


 


 ペット用の可愛いお皿や動物をモチーフにした可愛らしい商品もあります。

 こんなお店を覗いて、商品を眺めていると、生活そのものを楽しもうとするフランス人の生活が見えてきます。また、日頃、フランス人が好んで身につけたり、使用していたりするもののエスプリを感じる事ができます。

 フランス人は、パンデミックをよそに、ほぼ通常と変わりない生活を始めているものの、日常のパリが戻っていないのは、海外からの観光客が通常の3分の1程度しかいない事です。このお店の場所などは、立地条件もよく、観光客がいたら、さぞかし、すごい人出だろうと思う場所です。

 パリ観光局の発表によると、パンデミック前の基準年である2019年には1020万人であった観光客は、昨年は、360万人程度であったそうです。それでも、そんなにいたの?というくらい観光客を見かけない印象ですが、パリにまた、観光客が戻ってくるようになったら、さぞかし、こんなお店も賑わうのではないか? とすると、逆に考えれば、ゆっくり見られるのも今のうちかもしれません。

 パリにいらっしゃることがあったら、フランス人の日常が垣間見えるようなこんな雑貨屋さんをのぞいてみるのも楽しいかもしれません。


⭐️Fleux Paris 
   36, 39, 40, 43, 52 Rue Sainte-Croix de la Bretonnerie 75004 Paris
 月〜土 11:00~20:00, 日 13:15~19:30
  


パリの雑貨屋さん
Fleux Paris


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2022年1月24日月曜日

日本はなぜ、ブースター接種を急がないのか?

  



 パンデミックが始まって以来、ニュースをチェックするのは、欠かせない作業になりました。状況はどんどん変わるし、それにつれて、ルールもどんどん変わるので、ただでさえ、色々スムーズに事が運ばないことが多いフランスのような国に住んでいれば、ニュースで知っていれば、早めに準備したり、対処したりすることができるからです。

 それだけでなく、やはり、現在の状況を知らずにいることが、不安でもあります。

 正直なところ、一番、気になるのは、今、住んでいるフランスの状況ですが、やはり日本人の私としては、日本のことも常に気になっています。

 1月に入ってからというもの、日本の感染は、あっという間に広がり、やはり、さすがの日本でさえも、こんなにあっという間に感染が拡大するものか・・とちょっと驚いています。

 あの日本人の衛生観念や衛生管理、清潔さ、そして、常に周囲を気遣いながら行動する日本人の住む日本は、感染がヨーロッパのように拡大することはないと思っていました。

 しかし、現在の日本の感染者数を見ると、フランスなどとは比べものにはならないものの、日本とは思えないような数字。日本のニュースを見ると、「蔓延防止措置」という新しいワードが(私にとっては)・・「緊急事態宣言」よりは、少し緩い措置なのだそうで、どうにもわかりにくい感じですが、どうやら、飲食店での時間や人数制限などの内容だそうで、1日の感染者数40万人超えのフランスの飲食店の様子を見たら、日本人は、仰天するだろう・・などと思いました。

 日本とて、感染者が増えるにつれて生じる隔離による社会麻痺状態に陥りつつあることは、先に感染爆発しているヨーロッパと同じ状況が起こることは、必須です。

 先日、日本にいる従姉妹や友人と電話で話していて、びっくりしたのは、日本人がほとんど3回目のブースター接種を行なっていない事でした。フランスでは、もう当たり前のようにブースター接種をしているので、あっという間に2回のワクチン接種率が世界的なレベルまで上昇した日本は、当然のごとく、ブースター接種も着々と進んでいるものだとばかり思っていました。

 それが、私が話をした数人は、まだブースター接種の予約すらできていないということで、そのことに、ちょっとびっくりした次第です。そのうちの1人は、お医者さんです。

 もっとも、これまでの日本は、驚くほどに感染が抑えられていたので、あまりその必要性がなかったこともあるのでしょうが、オミクロン株の急激な感染拡大となれば、話は別で、現在のところ、ブースター接種がオミクロン株に対する最も有効な防御手段であると言われている中、日本がブースター接種を急ぐことなく、蔓延防止措置などの対策に終始していることが不思議な気がしています。

 CDC(米疾病対策センター)は、重症化(入院)を防ぐブースター接種の有効性は90%であるのと比較すると、2回接種の有効性は、2回目の接種から半年以上経過した時点で57%であったという研究結果を発表しています。

 友人の話を聞いて、びっくりして、フランスでの日本についてのブースター接種の記事を調べると、「日本は、再び、感染拡大のため、準緊急事態(蔓延防止措置)宣言が出されているにもかかわらず、国民の1.5%しか、3回目のブースター接種をしていない」という記事を見つけました。

 「世界の国々が2回目と3回目のワクチン接種の間隔(義務的な)の短縮に踏み切っており、現在、アメリカは5ヶ月、フランス3ヶ月、イギリス8週間に短縮したのに比べて、日本は未だ8ヶ月のままで、なぜ、日本はブースター接種を急がないのか?」という内容でした。

 オミクロン株は重症化する可能性が低いと言われていますが、それもリスクの高い人や高齢者などにとっては、どこまで通用する話なのかわかりません。

 オミクロン株はワクチン接種をしていても感染すると言われている一方で、やはり、ある程度は、感染を回避するチカラも持っています。

 フランスでの集中治療室の患者の大半は、ワクチン未接種者で占められているそうですが、ワクチン接種者でも、重症化した人々は、3回目のブースター接種をし損ねていた人々であるとも言われています。

 あの清潔で、徹底した衛生管理をしていたはずだった日本で、まさかの急激な感染拡大したのは、もしかしたら、ブースター接種が遅れているせいではないか?などとも思ったのでした。

 桁違いの感染者を出しているフランスから言うのも、信憑性のない話だと思いつつ、フランスがこれだけの感染者を出しながらも制限緩和に踏み切りつつあるのは、ワクチンパスの施行とブースター接種の拡大というバックアップがあってのことだと思うのです。

 フランスが制限緩和の措置を取り出したのも、感染者数のわりには、集中治療室の患者数が増加しないためですが、それが、ブースター接種の効果によるものだとすれば、日本はどうなるのか???といらぬ心配までしてしまいます。

 いい加減、日本人だって、日常生活制限には、うんざりしているはず、鎖国措置しかり、日常生活の制限しかり、シャットダウンではなく、別の方法をとってもよいのではないか?と感じています。


日本のブースター接種


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