2021年11月16日火曜日

フランス国旗の色が変えられた理由

   


 青、白、赤のトリコロールカラーはフランスのシンボルでもあり、当然、フランスの国旗もこのトリコロールカラーで彩られています。

 祝祭日はもちろんのこと、このトリコロールの国旗は、パリの街中でもよく見かけるもので、あまり多くの派手な色合いが使われていないパリのシックな街並みや歴史ある建築物には上手く調和し、またアクセントとして映える国旗でもあります。

 マクロン大統領をはじめとする政治家が国民に向けて演説をする際などには、必ずこの国旗が側に掲げられています。

 そのフランス国旗の色が実は1年前から変えられていたことが、今、フランスでは話題になっています。

 マクロン大統領はこの色の変更を公表しなかったことから、ほとんどの人が気付かずに1年以上も過ごしてきたのです。

 1年前まで使われていたフランス国旗の色は1976年に、当時の大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領によって、それまで使われていたブルーと赤よりもより明るいブルーと赤に変更されたもので、マクロン大統領は、昨年の7月14日(パリ祭・革命記念日)から、以前に使われていたダークブルーの青に戻しました。

  

現在、公式に使われているフランス国旗

 現在トリコロールに使われている青は、フランス海軍で使用されている青であり、1794年の条約で選択されたものです。

 この色の変化は非常に僅かなものですが、フランス革命のシンボルと再接続するものであると説明する者もいます。

 マクロン大統領の真意はわかりませんが、この僅かな色の変更は、マクロン大統領が舞台美術家のArnaud Jolens(アルノー・ジョレンス)の助言に基づいて決定したと言われています。

 現在では、エリゼ宮をはじめとする国会、内務省などの国の公式の建物に掲げられているものは、このダークブルーを使用した国旗に変えられています。公式発表も何もなかったことから、多くの人が気付かなかったこともあり、フランス中の国旗がこの色に変えられているわけではありません。

 この国旗の色の変更の一番の理由は、フランス国旗が現在、多くのシーンにおいて、ヨーロッパの旗と共にかかげられるため、そのヨーロッパの旗(同じくブルー(明るいブルー))と並んだ時によりひきたち、映える色にするためであったといわれています。

 パリ祭のパレードをはじめ、フランス国家が行うセレモニーは大変、美しいものであることが多いのですが、これらのいくつもの場面を彩るフランス国旗がいかに映えるかを考慮している、ことにヨーロッパの旗のブルーとのより美しい調和を考慮しているあたり、なかなかの演出ではないかと驚かされたのです。

 日本の国旗の日の丸の赤は変わっていませんか?


フランス国旗の色変更


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2021年11月15日月曜日

フランス・ベルギー他15ヶ国からのワクチン未接種者の入国に陰性証明書提示義務化

  


 現在のヨーロッパの感染拡大に接し、フランスはベルギーをはじめとした約15ヶ国からのワクチン未接種者のフランス入国の際にPCR検査または抗原検査で陰性の証明書の提示を求めることを発表しました。

 ベルギーやヨーロッパの多くの国で感染状況が急速に悪化するにつれて、フランスは自国を守るためにこの新しい措置を講じることを決定しました。

 11月13日以降、ワクチン未接種者がフランスに入国するために24時間以内のPCR検査または抗原検査で陰性でなければなりません。要はヘルスパスがフランス入国の際にも必要になるようなものですが、ヘルスパスの場合は72時間以内の検査陰性の証明書であったものが、24時間に短縮されているので、かなりギリギリのタイミングでの検査が必要なため、少々厄介でもあります。

 これはベルギーの他、ドイツ、オーストリア、ブルガリア、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、リトアニア、オランダ、チェコ共和国、ルーマニア、クロアチア、スロベニア、スロバキアからの入国の際に課せられることになります。

 これは、ほぼ、先日、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が発表した非常に危険であると指定した欧州連合の中の10ヶ国に数カ国が追加されているものです。

 昨年末にイギリスで変異種が発見された際に、この変異種の流入を恐れて、この発表の翌日には、イギリスからの入国を完全にストップした時、多くの流通が止まり、国境付近にトラックが立ち往生する大混乱が起こったことがありました。

 それはちょうど、ノエルのタイミングでもあり、多くのトラックの運転手さんたちが家族と過ごすはずのノエルをトラックの中で過ごすという悲惨な状態にも陥りました。

 今回は、その際の混乱も踏まえて、例外措置を設け、トラックの運転手などの輸送・運搬に関わる仕事に携わる人々、フロンティアワーカー、居住地の周囲30㎞半径の境界内での24時間未満の陸路による旅行、12歳未満の子供に関しては除外されることになっています。

 そもそも常日頃は国境がありながら、国境ではないような、パスポートのチェックも何もなしに気が付いたら、違う国に入国していた・・車などで移動中は携帯のメッセージに、「ようこそベルギーへ!」とか、「ようこそスペインへ!」などというメッセージが入ったりして、ああ、ここはもうフランスではないんだと気付くなどということが多いヨーロッパでは、このチェック、管理だけでも大変な作業であると思われます。

 空路での入国ならば、空港でのチェックは比較的容易であると思いますが、電車での移動は、駅?あるいは列車内でのチェックでしょうか? 最も困難なのは、車での移動、入国に対するチェックがどのように行われるのか?大変な人員が必要となります。

 幸いにも現在は、トゥーサン(ハロウィン)のバカンスも終わって、比較的、旅行者も少ない時期、この措置が長く続くようであれば、次のノエルのバカンスまでになんとか、この入国制限への対策の配置や準備にかからなければなりません。

 しかし、そもそも入国する側からしてみれば、昨年末と違って、ワクチン接種さえしていれば、問題はない話、日本入国の際のような大変な書類を揃えなければならないわけでもありません。

 この陰性証明書提示義務がどの程度の効果をあげることができるのかわかりませんが、野放しにするのもどうかと思うので、一般の旅行者に対しては必要なことかもしれません。

 もっとも、旅行者の場合、フランスに入国したところで、ワクチン未接種の場合は、検査の陰性証明書がなければ、レストランやカフェに行くことも、美術館や映画館、娯楽施設に行くこともできないので、やはりどちらにしてもPCR検査や抗原検査は必要なのです。


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2021年11月14日日曜日

「電気料金滞納しても、電気は止められなくなる」措置は電気料金値上げのための布石か?

   


 フランスでは、エネルギー供給業者(電気やガス)が11月1日から3月31日までの間に、主たる住居に関連する請求書の未払いのためにサービスを中断することを法律で禁じています。

 11月1日から5ヶ月間は、料金がたとえ未払いであっても、電気やガスを止められることはありません。昨年は、ロックダウンのためにこの期間は3ヶ月間延長され、約30万世帯がこの影響を受けたと言われています。

 そして、先日、EDF(フランス電力)は、4月以降も、料金を支払わないユーザーに対して、の電力供給をストップしないことを発表しました。その代わり?に料金未払いの人への電力供給は必要最低限の1,000ワット相当に制限されます。

 これにより、すべての人々が最低限の基本的な生活を維持することが可能になります。

 これは、エネルギー価格の高騰を背景に講じられた措置とされています。

 我が家は、もう10年以上前のことになりますが、電気料金を支払い忘れていて、急に電気を止められたことがありました。夏の間のことだったので、家に帰ってすぐに電気をつけることもなく、すぐには気がつかなかったのですが、さて夕食の支度・・と始めた時に電気がつかないことに気がついたのです。

 我が家には、ガスはなく、すべて電気のため、電気を止められると何もできなくなります。

 その時は、停電?と思って、「仕方ない・・停電が復旧するまで、今日は、外に食事に行こう」と呑気に外食に出て、帰ってきても、まだ電気がつかないことで、はたと、電気料金を払い忘れていたことに気づいたのでした。

 そもそも、今どき電気料金を自動引き落としにしていないのには、嫌な思い出があってのことで、以前は自動引き落としにしていた電気料金で、二桁間違えて引き落とされ、それを返金してもらうのに、一言の謝罪もないどころか、「返金の手続きをやってあげます・・でも、時間はかかるわよ・・」といった感じで高飛車に出られて、ダブルで嫌な思いをしたせいで、EDF(フランス電力)の自動引き落としをやめたのでした。

 未だにEDFだけは、請求書を確認して、自分の手でネットで振込をしています。

 EDFの請求書がくるのは2ヶ月に一度なので、もともと常日頃から忘れた頃にやってくるので、忘れた頃にすぐに払っておかないとそのまま忘れたままになってしまうのです。

 ですから、我が家のようにうっかりしている場合は、余計に気が付くのが遅くなるかもしれません。

 しかし、今回の措置は我が家のように、うっかり支払いを忘れているというような場合のための措置ではなく、エネルギー価格の高騰に関連して、最も不安定な家庭の電力への最小限のアクセスする権利を尊重した国家エネルギー供給者としての措置(EDFは84%が国所有の会社)です。

 「電気がなければ、光も暖房もインターネットも電話もありません。フランスのような国では、世帯がこのような不安定さと頻員の状況に陥ることは容認できない」としています。

 フランス政府は最近、ヨーロッパ全体に影響を与えるエネルギー価格の上昇による措置で不安定な世帯のための追加の100ユーロ分配。ガス価格の上昇の凍結、および電力の関税の制限を発表しています。

 規制された電気料金は来年初めに約4%引き上げられる予定ですが、今後、さらなる介入がなければ約12%も跳ね上がる可能性があります。

 ですから、この措置は決して安心できるものではなく、うがった見方をすれば、電気料金値上げのための外堀を固めている措置とも考えることができます。

 電気料金は彼らの言うように基本的な生活に必要な費用であり、それを急に12%以上も跳ね上げることは、財源が不安定な家庭にとっては大変な打撃です。とても一時的に100ユーロ支給されたところで、埋められるものでもなく、ましてや支払いが滞っても電気を止められないとはいえ、料金の滞納は蓄積されていくのみです。

 これまでの冬の期間のみの電気料金滞納可能(冬は家にいる時間も長くなり、暖房費等もかかるために料金が跳ね上がる傾向にあります)ではなく、年間通して、未払いでも最低の電力は供給するという建前のもと値上がりが容認されかねないとも考えられます。

 現にEDF側は、「他の手段を使用して債務を返済するという点で、ほぼ同じくらい良い結果が得られる」としています。他の手段には料金の値上げも換算されているのではないか?と疑いをもってしまうのです。

 とはいえ、居住者の権利というものが、強く認められているフランスでのさらに強力な居住者の権利の一部になるとも考えられます。そもそも、冬の間に滞納が認められているのは、電気料金だけではなく、家賃滞納の場合も、この期間の立ち退きは要求できません。(住居の不法占拠者は除く)

 これがまかり通れば、電気料金は払わずに生活し続ける強者が現れ始めます。

 こうなってくると、どっちもどっちという感じになってきますが、結局は、税金と同じで、払い続けるものと貰い続けるものに分かれる、そんなフランス社会構造の縮図のような気さえしてしまうのです。


電気料金滞納でも電気は止められない EDF


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2021年11月13日土曜日

ヨーロッパの感染再拡大と再ロックダウンの波

 

 

 ヨーロッパでコロナウィルス感染が再拡大し始めている現在の状況から、欧州連合は、ストックホルムを拠点とする欧州疾病予防管理センター(ECDC)を通じて、最新のリスク評価により、27の欧州加盟国の中で、ベルギー、ポーランド、オランダ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、スロベニアなどの10カ国が非常に懸念される状況にあることを発表しました。

 しかし、ここに挙げられていない国々も決して安心できる状況ではなく、ドイツやオーストリア・オランダなども、緊急の対応を取り始めています。

 中でも、オーストリアは、感染率が最も高いオーバーエスターライヒ州とザルツブルクではすでに、月曜日からのワクチン接種を受けていない人々のロックダウン(封じ込め)を決定していますが、14日の議会で、これを全国的に拡大する決議を取ることを発表しています。

 またこれと同時に、医療従事者の強制予防接種も行われる予定です。

 オーストリアのワクチン接種率は64%と、欧州全体のワクチン接種率(67%)を下回っており、オーストリアのアレクサンダー・シャレンバーグ首相は、「これは恥ずべきほど低い数字である」と語っています。

 また、オランダは、昨年12月の新規感染者数(12,997件)を上回る数字(16,364件)を記録し、この感染急増に直面したオランダ政府は、レストラン・バー、スーパーマーケット等(生活必需品を扱う店舗)の営業は午後8時まで、否必需品を扱う店舗の営業は午後6時までとし、学校は閉鎖せず、外出は許可されるものの、可能な限り自宅に4人以上を収容せず、在宅勤務をするように求める「部分的ロックダウン」の措置を少なくとも3週間取ることを発表しました。

 オランダ政府は、3週間後には、食事及びレジャー施設へのアクセスを「ワクチン接種済みの人々には制限しない状態」にする準備をしています。おそらく、フランスのヘルスパスのような制度の準備にかかるものと思われます。

 オランダのワクチン接種率は82%と比較的高く、それでも感染を避けきれずにこのような部分的ロックダウンの措置を取らざるを得ないことに反発も生じ始めています。

 また、これらのヨーロッパの感染拡大の再開に直面し、ノルウェーは自治体レベルでヘルスパスの使用を許可することにより、新たな制限を再導入することを発表しています。また、9月末に、すべての制限を解除したスカンジナビアの国はまた、18歳以上にワクチンの3回目の投与を提供する予定であることが発表されています。

 こうして、ヨーロッパの感染再拡大への各国の対応を見ていると、7月の時点でヘルスパスの規制を導入したフランスの措置を周囲のヨーロッパ諸国が追随しはじめたように思います。

 特に、オランダの例を見ると、現在蔓延しているウィルスは、決してワクチン接種だけで回避できるものではなく、感染リスクのある場所を中心に人の流れを制限する重要性が表れています。

 ちなみに昨年の今頃のフランスは1日の新規感染者数が4万人・5万人・6万人と急増していた時期です。現在、周囲の国が取り出した感染対策措置はすでにとっているフランスで、昨年の記録を上回るような状況はちょっと考え難いことではあります。(昨年が酷すぎたということもありますが・・)

 しかし、フランスも感染者は増加傾向、この波を低い波で抑えることはできるのでしょうか?

 それにしても、ヘルスパスも使わず、ワクチン接種率もヨーロッパをあっという間に追い越し、ロックダウンもせずに感染を抑えている日本を考えると、ヨーロッパはこれで2度目の感染爆発の気配・・やはり、国民性や生活習慣など、つくづくヨーロッパは感染拡大に最適な何かを備え持っている気がしてなりません。

 フランスでは相も変わらず、ヘルスパス反対、義務的ワクチン強制反対、黄色いベスト運動などの土曜日のデモが続いています。


ヨーロッパ感染拡大


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2021年11月12日金曜日

ドイツの急激な感染拡大から見えるワクチン接種とヘルスパスの効果

  


 パンデミックが始まって以来、ヨーロッパの中では、常に優等生であったドイツが1日の新規感染者数5万人突破(50,196件)するという、これまでにない感染拡大の局面を迎えています。

 フランスと比べれば、これまで常に感染を抑え続け、被害も桁違いに少なく、周囲のヨーロッパ諸国が相次いで医療崩壊を起こしていた時も、常にドイツは医療崩壊を起こすこともなく、周囲の国を助ける(フランスもずいぶんと助けられてきました)役割を果たしてきたドイツのこの急激な感染悪化には、フランスでも驚きと警戒を強めています。

  

2021年以来のドイツの感染状況


 私もこれまでは、さすがにドイツ人、しばしば日本人と気質が似ていると言われることもあるように規律正しく、きっちりしているんだ・・と思っていたのです。

 しかし、やはりこのウィルス、生半可なことでは太刀打ちできないようです。

 ドイツ政府のスポークスマンは、「パンデミックは再び劇的に広がっている」とし、特に影響を受けたいくつかの地域でワクチン未接種の人々を対象とした新たな対策を講じることを発表しています。

 10月以来のこの変化は顕著であり、特にザクセン州、バイエルン州、ごく最近ではベルリンなどの地域では著しく影響を受けています。

 今週に入って、ベルリンは、ワクチン未接種の人々が、特にテラス席のないレストラン、バー、スポーツホール、美容院へアクセスすることが禁じられました。ワクチン接種済みであるか、感染から回復したことを証明できない場合、これらの公共の場所へのアクセスは許可されなくなります。

 これを聞いて、「えっ?ドイツでは、今まではOKだったの?ドイツではフランスでのヘルスパスのような規制をしていなかったの?」と驚いた次第です。

 そして、現在のドイツの感染急拡大は、意外にもドイツのワクチン接種率が比較的低いことにも起因していると言われています。

 現在のフランスのワクチン接種率(2回接種済み)は約75%、これに対してドイツは67%とかなり低いのです。もともとドイツの人口はフランスの1.3倍程度ですから、ワクチン接種を行なっていない33%の人口は、フランスよりもかなり多い計算になります。

 ドイツ病院協会によると、10日の時点でコロナウィルスによる入院患者は1週間で40%増加し、集中治療室の患者は15%増加し、1日の死亡者が200人を突破していることを発表し、感染拡大は、ワクチン接種がより少ない地域で高い発生率を示していることも併せて報告しています。

 

ドイツの地域ごとの感染状況


 ワクチン接種率が最も低いザクセン州(ワクチン接種率57%)は、国内で最も高い感染発生率を記録し、10万人中 483.7人という高い陽性率を記録しています。

 ヨーロッパの中でも高齢者が比較的多いドイツでは、ワクチン接種をすでに行なっている人々でも、時間が経過すれば、その効果が薄れ始めることで、この感染拡大の影響が多くの高齢者にも及ぶことを懸念しています。

 昨年末から年明けにかけて、ドイツはフランスと比べるとかなり厳しく手綱を緩めない印象がありましたが、ワクチン接種が開始され、ある程度、広まり始めてからは、途中でヘルスパスを起用したフランスとは、いつの間にか、逆転状況にあったようです。

 こう考えてみると、フランスはヘルスパスの起用により、ワクチン接種率も大幅に上昇し、レストランやカフェ、娯楽施設、文化施設、スポーツジムなどのあらゆる場所はワクチン接種をしていない人はシャットダウンされ、守られている状況にあったことがこのドイツの状況を見てわかります。

 きっと、ヘルスパスによる規制がなければ、フランスはドイツ以上の被害を出していたことは間違いありません。

 こうしてドイツが現在、劇的な感染拡大の局面を迎えていることを目の当たりにすると、フランスがとってきたヘルスパスの起用は、発表当初はかなり衝撃的で強引な印象ではありましたが、結果的には、非常に有効な政策であったと思わずにはいられません。

 とはいえ、フランスの新規感染者数もここのところ、余裕で1万人超えの状況、決して気を緩めることはできません。このため、つい先日、マクロン大統領が演説を行い、3回目のワクチン接種を強いる方針を示し、ヘルスパスの効力(3回目のワクチン接種の拡大とヘルスパスによる公共の場所での安全性を維持する)を持続させる努力をしています。

 しかし、フランスとて、未だワクチン接種をしていない人々は25%もいるのです。

 急激な感染拡大が見られるドイツとの出入国制限に対する規制が何もないのは、不思議でなりません。

 そこへいくと、日本への入国はいつまでも厳しく、一時帰国がなかなかできない身からすると歯がゆいのですが、それが日本を守っていることに繋がっていると思わせられもするのです。


ドイツ感染拡大


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2021年11月11日木曜日

全ての小学校でのマスク着用義務化が復活

 


 先日のマクロン大統領の演説のメイントピックは、65歳以上を始めとする3回目のワクチン接種の必要性についての話でしたが、その中には、子供たちの学校でのマスク着用が再び義務化されるという内容も含まれていました。

 夏のバカンス突入とほぼ同時に発令されたヘルスパスによる規制のために、フランスでは、夏のバカンスを心置きなく過ごそうとする人々が一気にワクチン接種に走り、ワクチンの接種率も上がり、レストランやカフェ、映画館や美術館、遊園地などの娯楽施設・文化施設、スポーツジムなどがヘルスパスによって入場制限されたことにより、感染状況も小康状態を保ち続けていたため、9月に新年度を迎えてまもなく、10月4日からは、感染発生率が住民10万人あたり50例未満である47地域の小学校でのマスク着用義務が撤廃されていました。

 マスク着用が子供たちの学習、理解、集中力に影響を及ぼしている可能性、マスクによる苦痛を考慮し、感染の状況が許す限り、マスク着用義務を撤廃する方針をとったようです。

 しかし、残念ながら、10月の半ば過ぎから、フランスの感染状況は再び上昇モードに転じ、また、近隣のヨーロッパ諸国での深刻な感染拡大の状況から、大人の3回目のワクチン接種の強化を始め、フランス全土にわたる全ての小学校でのマスク着用の義務化で、再び、警戒体制に入るということに他なりません。

 もともと、小学生といえば、12歳以下の子供で、まだワクチン接種が不可能な年代の子供たち(フランスでは12歳以下のワクチン接種に門戸を開いてはいません)の学校内(学級内)でのマスク義務化の撤廃には、疑問の声も上がっていました。

 大人ですら、1日中、マスクをして生活をすることは苦痛を感じるところですが、この際、子供がワクチン接種を受けずに感染のリスクを減らすのは、基本的なソーシャルディスタンスやこまめな手洗いなどの衛生管理とマスク着用に頼るしかないのです。

 12歳以下の子供たちはワクチン接種をしていないことから、ヘルスパスにより守られることもなく、非常に無防備な状態であると言えるのです。

 マクロン大統領の演説の翌日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、TF1のインタビューで、「1週間で感染者数が40%増加しているフランスの現在の状況は、明らかに第5波の始まりのようだ」と述べています。

 各々、ワクチン接種時期がずれていることによって、ワクチンによって保護され、ヘルスパスによって守られている人口が多いことでまだ救われていますが、再び感染拡大の顕著な数字があらわれ始めた今、大人が3回目のワクチン接種をしなければならないのと同様にワクチン接種のできない子供はマスクをしなければならないのは、致し方ないことなのかもしれません。

 3回目のワクチン接種とそれに伴うヘルスパス有効期限の設定と小学生のマスク着用義務、どうやら第5波の波がきているフランスのこの波をどうにか小さな波として越えられるための政策の一貫なのです。


小学校マスク着用義務化


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2021年11月10日水曜日

パンデミック以来、9回目のマクロン大統領の演説 65歳以上の3回目のワクチン接種

   



 今週、「マクロン大統領が演説をする」というアナウンスがあったのは、日曜日のこと。マクロン大統領がじきじきに、演説を行うというだけで、内容は、ほぼ、3回目のワクチン接種についての話であることは想像がついていました。

 それ以来、フランスのツイッターのトレンドには、「マクロン演説」、「ロックダウン」などのワードがトレンド入りする騒ぎになっており、それだけで(まだ内容の詳細が定かではないうちから)、ワクチン接種の予約が急増し、1日の予約が97,000件を突破するという絶大な影響力を示していました。

 特にWHOが第5波の震源地が再びヨーロッパであり、感染拡大の深刻な影響が考えられると発表したこともあり、(主には東欧とドイツ・イギリスなど)フランスでも徐々にではありますが、感染状態が悪化に転じていることからも、このままの状態を放置するわけにはいかないことは、皆、わかっているのです。

 特にリスクが最も高いと言われる高齢者(65歳以上)の人は、早くに2回のワクチン接種が終了していることもあり、その効果が薄れ始める時期も早くに迎えることから、その対応は急がなければなりません。

 マクロン大統領は、「2020年12月の初回予防接種以来、10ヶ月で1億回以上の接種が行われており、5,100万人が2回のワクチン接種が終了しており、ヘルスパスのおかげでコロナウィルスの流行をなんとかコントロールすることができてきました」と、演説を始めました。

 「しかし、私たちはパンデミックに終止符を打つことができず、何万人もの人がCOVID LONG(長期コロナ感染症)の影響を受けており、味覚の喪失や持続する倦怠感、精神的な痛手などの症状に苦しみ続けています。」

 マクロン大統領は、まだ1度もワクチン接種をうけていない600万人に連帯の精神を求め、「自分自身を自分の周囲の人を守るためにワクチン接種を受けてください!」と訴え、現在、ワクチン接種は12歳未満の子供を除いて誰にでも門戸は開かれており、ワクチン接種を受けた人は、重症化して病院に入院する可能性が11倍少ないと説明しています。

 そして、「ワクチン接種は普通に生活できるためのものであり、フランスのような国で自由であることは責任があることを意味します」と語りました。

 「新たな流行に直面している今の解決策は、3回目のワクチン接種であると判断し、65歳以上で最もリスクの高い人々を保護するために、これらの人々に対して、2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合は、今すぐに予約を入れてください。」と言い、2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合には、3回目のワクチン接種をできるだけ早くに済ませ、12月15日からは、ヘルスパスの有効期限を延長する必要があることを発表しました。

 つまり、とりあえずは、65歳以上の人々のヘルスパスは2回目の接種から6ヶ月経過した場合は12月15日から、ヘルスパスが無効になるということです。

 そして、12月初旬からは、50歳から64歳の3回目のワクチン接種キャンペーンが開始されます。つまり、現段階では、3回目のワクチン接種をしないと12月15日からはとりあえず65歳以上のヘルスパスは失効するということですが、これは、最初の2回のワクチン接種を高齢者を優先に始めて行ったのと同じ順番で、徐々に年齢を下げて、最終的には、全ての年齢枠において、ヘルスパスは3回のワクチン接種をしていなければ失効することになるということだと思います。

 そもそもヘルスパスは、私たちが公共の場所(カフェやレストラン、娯楽施設や文化施設など)において、少しでも感染のリスクを減らすためのもの、ワクチンの効果が薄れている人が同じ場所に集うのでは、ヘルスパスの意味がなくなります。

 マクロン大統領は、ヘルスパス適用の管理は今後も強化されるとしています。また、このおかげで、私たちは、日常生活を封じることなく生き続けることができると説明しています。

 今、私たちが所有しているヘルスパスには、名前とワクチン接種をした日付、ワクチンの種類と生年月日のみが記載されています。つまり、このワクチン接種の日付と年齢でヘルスパスの失効を整理していくということなのだと思います。

 マクロン大統領はこれまでのフランスの歴史を振り返っても連帯によって、多くの危機を乗り越えてきたと語り、「我々を、自分自身を、そしてフランスを信じてほしい」と国民にむけて熱く語りかけました。

 7月12日のヘルスパス施行の発表の時もなかなかの衝撃で、これにより、多くの人がワクチン接種を急ぎ始めましたが、今回の「3回目のワクチン接種をしないとヘルスパスが失効する」という発表もまた、大きな影響を及ぼしたようで、マクロン大統領のこの演説から1時間以内に10万件以上のワクチン接種の予約が入ったということで、フランス人も意外と従順?なのかも・・と思ったりもしましたが、結局のところ、今回の場合は、2回のワクチン接種を浸透させるためのヘルスパスによる効果にある程度、国民は納得しているということもあり、また、何よりも自由な生活を勝ち取るためのワクチン接種というように国民がとらえていると考えることもできます。

 ヨーロッパでの感染拡大が深刻化している中、フランスが現段階ではそこまで深刻な状況に陥ってはいないことは、どう考えてもヘルスパスのおかげであり、フランスのヘルスパスのような確固とした規制がなくとも、ワクチン接種があっという間に進み、感染も落ち着いてきた日本とは違うのだとつくづく思うのです。

 ですから、このワクチン接種の効果が減少していく6ヶ月後というタイミングでフランスがあらためて、3回目のワクチン接種を進めるためには、マクロン大統領の新たな政策は、必要なことであったと思っています。

 今回のマクロン大統領の演説は27分間(ワクチン接種の話は正味半分)、この27分間で1時間の間に10万人を動かすのですから、彼の演説効果は凄まじいものです。


3回目のワクチン接種 ヘルスパス失効

 

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