2021年7月4日日曜日

フランスの未来は若者が変える

   

おそらくアルバイトのお兄ちゃん スゴく一生懸命で感じ良かった 


 以前、といっても、私がフランスに来たばかりの頃のことなので、もう20年以上前のことになりますが、フランスは(パリは)本当に感じの悪い人が多くて、観光客に対してなども英語で尋ねているのに、「ここはフランスなんだから、フランス語で話せ!」などと、無茶苦茶なことをもの凄い上から目線で、堂々と言ってのけている人などを見かけることが多く、当事者ではない私でさえ、側から見ていても、嫌な思いをすることが多くありました。

 それを見て、「フランス人ってフランス人っていうだけで・・、フランス語を話すっていうだけで、どこか1ランク上の人間だと思っているんだ・・つまりはそれ以外の人を見下しているんだ・・」などと思っていましたが、それは、ある意味、プライドであると同時に、一種の卑屈さやコンプレックスの裏返しでもあるとも思い始めました。

 とはいえ、本心はどう思っているのかは別として、外国人の私でも、日常生活を普通に送っている分には、特に差別されていると感じることもほとんどないし、少なくとも表面的には、皆、普通に接してくれます。

 お役所などは、今でもあまり変わりませんが、最近、お店でのお客さんへの対応や、銀行などのその他の手続きなども、若い人だと本当に感じの良い人が増えた印象です。

 以前、日本で、「オバタリアン」という言葉が流行ったことがありましたが、ちょっと似ているところがあるかもしれません。しかし、それとも、少々ニュアンスは違って、ちょっと一見、仕事ができる風を装っているベテラン風のおばさんには、今でもお客をお客とも思わず、上から目線で、うまく事が進まないとなると最悪、逆ギレする感じの悪い人が多いのです。

 最近は、若い子が応対してくれると、普通に親切で感じがよく、しかも仕事もきちっと、素早くやってくれる人が多いので、私は、最近、買い物をしたり、外で何か用事を済ませようと思う時には、なるべく若い子にお願いするようにしています。

 観光客に対しても、臆せず英語を話してくれる人が増えたのも、若い世代の人たちに多いのです。

 特に今の季節は、若い子がアルバイトでバカンスに出ている正規社員の代わりに働いていたりするので、本当に初々しく、一生懸命な様子に思わず応援したくなってしまうような、ママ目線になってしまったりもすることもあります。

 きっと、フランスとて、以前とは、教育も時代も変わり、また、ITなどをどんどん取り入れるようになった時代に、それを余裕で使いこなしている若者と、そうでない世代の隔たりが、そのような違いをさらに大きくしているのかもしれないし、ダメな人ほど、威圧的だったり、不必要に偉そうにしていたり、威張ってみたり、そんな感じなのかもしれません。

 誰でも、職場で仕事を覚えていくうちに、適当に手を抜くことを覚えたりもするので、まだまだ初々しく頑張っている若者は、下手に手抜きなどをせずに、さらっと普通に仕事をこなしているだけなのかもしれませんが、以前には、若者とて、こんなではなかったので、やっぱり今の時代のフランスの若者は、変わってきたのだと思います。

 しかし、どちらにしても、現代のフランスの若者が、どんな時にも偉そうにダメなくせに上から目線なフランス人のイメージから変わってきていることを感じさせられます。

 この若い世代が働く世代の中心になり、大多数になってきたら、フランスの未来は、変わるのではないか? そんな気もしています。

 今後、フランスにいらっしゃる機会のある場合、何かお願いしなければならないことがあったら、できるだけ、若い人に頼んでみると、嫌な思いをする可能性が低いかもしれません。



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2021年7月3日土曜日

父親の育児休暇28日間に延長 ヨーロッパの中でも最長レベル

   


 フランス政府は、これまで14日間だった父親の育児休暇を28日間に延長することを発表しました。これは、2021年7月1日以降に生まれた、あるいは、その日以降に出産予定になっていた子供の父親に適用されます。

 育児休暇中の給与の大半は、国の社会保障期間から支払われ、雇用主の負担は3日分とされています。

 この育児休暇は、子供の誕生から6ヶ月以内に取得する必要があります。(2回に分けて取ることもできます)

 子供の母親が子供の父親以外の男性と生活している場合(結婚、PACS、または同棲)、子供の母親と生活している男性も同様に育児休暇を取ることができます。この辺りの複雑な事情にまでわたって、取り決められているところに、フランスらしい複雑な家族関係を垣間見ることができます。

 出産のタイミングはともかく、父親、あるいは、母親の違う兄弟姉妹を持つ人は少なくありません。娘の友人にも結構、そういう家族はいるし、かくいう我が家も、娘には、異母兄弟がいます。

 フランスは、離婚率も高いけど、懲りずに再婚する人も少なくなくて、私の同僚で、かなり年齢の離れた子供がいて、「え〜!!そんな小さな子供がいたんだ!」と言ったら、「私だって、本当は、もう子供は欲しくなかった・・」などと言っているフランス人がいて、びっくりしたことがあります。

 また、同性カップルが子供をもうけた場合でも、性別を問わず、二人目の親に適用されます。 

 この父親の育児休暇は、産休と同じ条件で社会保障によって、補償されます。しかも出産直後の最初の一週間は、強制的に取得することが義務付けられています。

 単胎出産の場合は、28日間ですが、多胎出産の場合は、35日間と、一週間、長くなっています。

 給付を希望する従業員は、休暇の開始日の少なくとも1か月前に雇用主に通知する必要があります。

 この父親の育児休暇の延長は、両親が揃って育児に関わる重要性を考慮し、男女平等を推進するための施策としています。

 EUの27の加盟国のうち、23カ国がこの父親の育児休暇の制度を導入していますが、この期間延長で、フランスは、欧州の中でも最多レベルの国になりました。

 私は、日本を離れて長いし、日本で出産も育児もしたことがないので、日本の事情は、わかりませんが、フランスは、女性も働くのが当然の国なので、男性が積極的に育児・家事に参加しているイメージが強いです。また、けっこう、それを楽しんでいるようなところもあります。

 出産から育児は、長い道のりで、父親の育児休暇が長くなったとはいえ、28日間で完了するものではありませんが、最初の一番大変な出産直後の時間を父親が育児に参加することで、その後の長い育児において、より主体的に育児に関わる習慣、きっかけになるのではないかと思っています。

 フランスでは、子供を3人以上育てていると、税制上もとても優遇されるシステムをとっているため、少子化にはなっていない国ですが、この父親の育児休暇の延長で、さらに子育てを後押ししてくれる社会になってくれると良いなと思います。

 以前、日本の会社からパリに駐在していた友人夫婦は、子供を産むのは、フランスにいるうちに・・と言って、駐在期間中に子供を産んで、日本に帰っていった夫婦がいました。出産費用の面からも、その後の育児休暇の面からもフランスで子供を産んだ方が、負担が少ないからです。

 しかしながら、一方では家庭内でのDVなどの話も後を経たず、逆に育児休暇だけとって、育児をしないで、家で暴れられたりする家庭もあるのではないかと、余計な心配も後を経ちません。


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2021年7月2日金曜日

自分の落としたゴミを拾ったら、びっくりされて、すごく感謝された!

   



 フランス人が日本に行って、びっくりすることの一つに、「公共の場にゴミ箱が少ない」というものがあります。そして、さらに彼らがびっくりするのは、「ゴミ箱が少ないにもかかわらず、街には、ゴミが落ちていない」という点です。

 彼らは言うのです。「あんなにゴミ箱が少ないのに、街にはゴミは落ちていない。一体、日本人はどこでゴミを捨ててるんだろう?」と。

 私自身は、日本にゴミ箱が少ないとは感じませんが、そういえば、パリ市内は、やたらとゴミ箱はたくさんあるような気がします。日本は、地下鉄サリン事件以来、保安上の問題で、確かにゴミ箱は以前よりも減ったようです。

 私自身は、あまり気づいていなかったのですが、最近、ここ数年(といっても、コロナ前の話ですが・・)周囲のフランス人で、日本に行く人が増え、私が日本人だと知ると、日本へ行ったことがある!という人や、知人や家族が日本に行ったことがあるという人が必ずいて、これまで遠い東のアジアの国の一つでしかなかった日本に触れる機会が増え、こぞって日本を褒めてくれるのです。

 日本人の私としては、お世辞が上乗せされていることは分かっていても嬉しいことです。

 おそらく日本人が知っているフランスの情報以上に、フランス人が知っている日本の情報は曖昧なもので、実際に行ってみると、そこは、まるで別世界の新鮮な体験が待っているのです。

 日本の街並みや文化、食事、生活の仕方、眠らない街、時間どおりにやってくる電車、ゴミ箱がないのにゴミの落ちていない街。彼らにとって、新鮮な驚きはたくさんあるのです。

 考えてみれば、私がフランスに来たばかりの頃は、その逆のことに、私もいちいち驚いていたんだと思いますが、今では、もう慣れ切ってしまって、フランスは、こんなもの・・と驚くこともなくなっていました。

 パンデミック以来、スーパーマーケットの入り口には、アルコールジェルや除菌スプレーが備え付けられるようになって、最近、私は、買い物に行くと、備え付けられたキッチンペーパーのようなものにアルコールのスプレーを多めに吹きかけて、買い物の最中にはそれを持ち歩いて、気に掛かるものを触った後には、手を拭くようにするようになりました。

 先日、買い物が終わって、セルフレジに行って、会計を始めようと思った時に、その持ち歩いていた紙をフワッと落としてしまったのに気づいて、その紙を拾ったら、その場を取り仕切っているスーパーマーケットの店員さんに、「ありがとう!」と、大げさに感謝されたのです。

 最初、私は、何に対して、お礼を言われているのか、よくわからなくて、「えっ??」と彼女の方を振り向いたら、「だって、あなたは、落とした紙を自分で拾ってくれたでしょ!そんなこと、滅多にないことよ!」と言われて、さらにびっくりしました。

 私は、自分が落としたゴミを自分で拾っただけなのです。

 このご時世、他人が落としたものを拾うのは、(しかも、他人が使った除菌用の紙などは特に・・)躊躇われるところです。ましてや除菌用に使った紙など、触りたくないに違いありません。

 当初、最初のロックダウンの時から、日常必需品を扱っているスーパーマーケットは、感染がどんなに悪化している状態でも決して閉鎖されることはなく、店員が感染して、死亡したというケースも何件も起こっていました。

 しかし、衛生管理に気を配りながら、きっと、落ちているゴミも拾いながら、彼女は仕事を続けてきたのでしょう。

 ここで、感激してお礼まで言ってくれるのが、フランス人らしいところではありますが、お礼を言われた方は微妙な気持ちになります。

 日本に行ったフランス人が「ゴミ箱がない!」と思うということは、少なくともゴミをゴミ箱に捨てようとしているから、感じることだとは、思うのですが、実際のパリはゴミだらけ。

 パリでの日常の、彼らのゴミに対しての無頓着さと、ゴミ箱がたくさんあるのに、ゴミだらけのパリをあらためて、納得させられる1シーンでした。



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2021年7月1日木曜日

ロックダウン最終ステージから取り残されたランド県でデルタ株感染が拡大した皮肉な理由 日本も危ない

   


 フランスは、いよいよロックダウン解除の最終段階に入りました。しかし、ランド県(ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏)だけは、デルタ株感染者の割合が他の地域に比べて、極端に高いために、ランド県知事は、ひとまず、7月6日まで、最後の制限の解除を延期することを決定しました。(前段階の生活制限が維持される)

 デルタ株の影響を最も受けたこの地域は、温泉地やリゾート地が点在し、サーフィンの人気スポットであるオスゴールなどもこの県内で、ビーチに行楽客が押し寄せる前に、ロックダウンの最終解除を1週間延長しました。 

 具体的には、公道での集会は10人に制限され、収容人員制限は、映画館や劇場では65%、レストランやカジノでは50%に維持され、店舗では1人あたり4㎡に設定されています。 

 7月6日の時点で、感染状況を精査し、これらの措置を延長するかどうかを決定します。 



 この地域は、これまでコロナウィルス感染が深刻な状況には陥ってこなかった地域で、このために、集団免疫力が弱く、人々の危機感も比較的緩いことが、今回のデルタ株拡大に繋がっていると見られています。

 これまで、感染者を抑えられていたことが、逆にデルタ株の感染拡大に繋がってしまうとは、かくも皮肉な結果ではありませんか?

 この地域のワクチン接種率は、フランスの中でも58%とかなり高めにもかかわらず、この状況。観光地であると同時に療養地でもあるこの地域は、高齢者施設も多く、高齢者を優先にワクチン接種を進めてきた同地域では、若者のワクチン接種は、滞りがちで、また、これまで感染状況が深刻な状況に陥らなかっただけに、若者の間では、ワクチン接種を急ぐ危機感が欠けていたようです。

 同県では、ショッピングセンター前にワクチン接種バスを配置し、14の予防接種センターの半分での予約なしのワクチン接種、企業または季節限定の農業労働者への的を絞ったワクチン接種をさらに拡大することを発表しています。

 同県内では、これまでに7つのクラスター(企業内(5)、高齢者施設(2))が確認されています。

 しかも、最初にデルタ株が確認された高齢者施設では、ワクチン接種済みの高齢者(既往症あり)が2名死亡しています。ワクチンとて、100%有効なわけではないので、ありえないことではありません。

 デルタ株の蔓延により、この高齢者施設では、重症度のレベルが3〜4倍とはるかに高くなっているということです。

 7月に入り、フランス人は、一斉にバカンスシーズンに入ります。観光地であるこの地域にとっては、ロックダウン解除の最終段階に足止めを食うことは、経済的にも大打撃を受けることになります。

 県知事は、夏にこの地を訪れる観光客のためにも、1回しかワクチン接種が済んでいない観光客にもワクチン接種をして、安心してバカンスを過ごしてもらえるように、ビーチ沿いにもワクチン接種センターを設けることにしています。

 しかし、これまで、ある程度、感染が抑えられてこれたからこそ、今、デルタ株に苦しめられているこの地域の様子を見るにつけ、私は、日本も同じではないだろうか?と思わずには、いられません。

 日本は、医療システムの問題で、世界的に見れば、感染者が驚異的に抑えられて来たにもかかわらず、医療崩壊を起こし、日本は日本でパンデミックに喘ぎ苦しんできたと思いますが、全体の人口からの比率にしたら、ヨーロッパなどとは、比較にならないほどに感染者数が抑えられてきている国なのです。

 つまり、現在、ランド県でのデルタ株の蔓延が集団免疫力が低いことによるならば、日本は、まことに危険な状態であると考えざるを得ないのです。

 検査数の違いはあるかもしれませんが、これまでの感染者数だけを見ても、フランスは、577万件以上、日本は、7万9千件です。(フランスの人口は、日本の約半分)

 つくづく恐ろしいデルタ株です。


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2021年6月30日水曜日

デルタ株が一週間で倍増しているにもかかわらず、ロックダウン解除最終段階に突入するフランス 

   


 フランスは、6月30日から、いよいよロックダウン解除の最終ステージに入ります。

 当初の予定では、この日から夜間外出制限が撤廃されることになっていましたが、想像以上に感染減少が早く進んでいたために、すでに夜間外出制限は解除されています。

 今後は、一般の商店、レストラン、スポーツジム、美術館、映画館など、これまで敷かれていた制限なども解除されます。

 屋内でのコンサート等のイベントは、入場が収容人数の75%までに制限されますが、屋外での制限はありません。屋内外にかかわらず、1,000人以上のコンサート・イベントに関しては、ヘルスパス(2回のワクチン接種をしているか、48時間以内にPCR検査の陰性結果、あるいは、6か月から2週間前に陽性の検査結果の証明書)が必要になります。

 コンタクトスポーツ競技は屋内で再開することができるようになります。

 スタジアムやスポーツアリーナでは、観客全員が着席している場合、収容人数の100%を収容できるようになりますが、立った状態の場合は1人あたり4m²を予約する必要があります。

 フランスのサッカーやラグビーなどのスポーツ観戦をするスタジアムなどの様子を見ていると、大人しく座って観戦している人など稀なので、これが歩き回らなければ良しとするということなのか?と、ちょっと思います。

 このタイミングに6月30日からフランスは、夏のソルド(バーゲン)も始まります。これまで最も警戒されていたディスコやナイトクラブ等の再開は、7月9日からということになっています。

 しかし、現在、世界中で猛威を振るい始めたデルタ株がフランスでも確実に広まり始めており、先週までは、感染者のうちの10%であったデルタ変異種感染者が、今週には20%にまで上昇しています。一週間で2倍に増加とは、恐ろしいことです。

 地域によっては、これが70%を超える地域もありますが、国全体としては、全体の感染者数には、変化は見られず、集中治療室の患者数も減少を続けているため、ロックダウン解除について、現在のところは、変更はせずにこのまま日常生活を取り戻す方向に進んでいくようです。

 現在のところ、このデルタ株に打ち勝つには、なんとしてもワクチン接種を拡大するしかないわけですが、5月以降、ワクチン接種の予約状況は、頭打ち状態で、地域によっては、コマーシャルセンター内にワクチン接種するコーナーを設け、予約なしで買い物のついでにワクチン接種が受けられるところもでき始めました。

 そして、さらに、ワクチン接種を拡大するために、これまでパンデミック開始以来、ずっと無料だったPCR検査を有料化するという話も出ているようですが、これはまだ検討段階、観光客向けにもPCR検査を無料にすると公表しているフランス政府が国民向けのPCR検査を有料化するなどという話は、あまり現実的ではありません。

 このデルタ変異種の拡大のために一時は、劇的に感染者が減少したイギリスも現在は、1日の新規感染者数が2万人超えという状況になり、ロックダウン解除がペンディングになっていますが、一部の専門家の間では、これまでのデータによると、フランスは、イギリスの8週間遅れでイギリスの感染状況を追っている傾向にあり、フランスに比べると格段にワクチン接種が進んでいるイギリスであの状況なのだから、フランスで同じだけ感染者が増加すれば、大変なことになると分析している人もいます。

 デルタ変異種に打ち勝つには、国民の80%が2回のワクチン接種を受けていなければ防ぎきれないと分析されており、まさにウィルスとワクチン接種の速度の競争状態です。

 それでもロックダウン解除の予定を変更しないのは、フランスが3回目のロックダウンになかなか踏み切らなかった時の状況に似ているような気がします。

 それにしても、フランスがようやく3回目のロックダウンに踏み切った時には、イギリス変異種の拡大が原因で、それが停滞してきたと思ったら、今度はデルタ変異種の出現で、世界中が再び、不穏なモードに突入しつつあります。

 次から次へと威力を増して襲いかかるコロナウィルス、イギリス変異種、インド変異種の次には、オリンピック変異種に悩まされることになるかもしれません。


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2021年6月29日火曜日

海外生活でのご近所の騒音トラブル 黙って我慢してたらダメ

   



 ある程度の地域の生活レベルなどで、住居を選ぶことはできても、選べないのが、隣人です。一軒家であれば、かなりプライベートは守られ、余程のことがない限り、騒音に悩まされるということも少ないかもしれません。

 しかし、パリ市内には、一軒家というものは、ほとんどなく、ほとんどがアパートで、旧建、新建に関わらず、上下に隣人があるため、騒音トラブルは少なくありません。

 騒音トラブルが多いだけあって、フランス政府が出しているこんなサイトもあります。(フランス語ですが・・)

ご近所との騒音トラブルについて Service Public France

 ましてやフランス人のこと、大勢が集まって夜通しのパーティーとか、その騒ぎ方も尋常ではない場合もあります。

 我が家はパリに引っ越してきてから、かれこれ20年近く経ちますが、賃貸のアパートゆえ、この20年の間に同じ建物の住民もいつの間にか、ずいぶん入れ替わっています。

 私は、隣人ゆえ、あまり近付き過ぎず、かといって、あまり無愛想なのも何なので、つかず離れずの、顔を合わせれば、少し話をする程度の、ほどほどの関係を保っています。娘と同い年の子供がいるお母さんや、夫と同じ職場の人とかとは、他の人よりは少し余計に話をするぐらい・・そんな感じです。

 フランス人は、親しくなれば、べったりですが、他人にはあまり干渉しないので、こちらがあまり立ち入らなければ、放っておいてくれるので、それはそれで助かります。

 今の住居は、地理的にもわりと便利で、そのわりには静かなところなので、なかなか気に入っているので、できるだけ長く住めるよう、ご近所とはトラブルを起こさないように、それなりに気を使って暮らしています。

 とは言っても、長く暮らしている間には、トラブルも全くなかったわけではなく、上階の住民が家の中の工事が好きらしく、よくもそこまで、いじるところがあるかと思うくらい、頻繁に工事をしていて、まさか夜中に工事をするわけではないのですが、休みの日の昼食時だったりすることが多くて、「またか・・」と、苦虫を噛み潰していました。

 一時、あまりに騒音がひどい上に、上階の家の工事のせいで、何回か続けて、下の階である我が家の電気の回線が壊れたことがあって、何度目かの時には、さすがにブチギレて、上階に駆け上がって、苦情を言いに行ったことがありました。

 その時は、「うちの工事のせいじゃない!」と言い張っていましたが、その後は、そのようなことは無くなりました。

 また、私と娘が日本に行っていて、夫が一人で留守番をしていた時に、上階の人の子供が夜、騒ぐのがうるさいと、最初は、天井を棒で突いて、下から「うるさい!」と怒鳴り、終いには、怒鳴り込んだという話も聞いたことがあります。

 我が家の寝室の天井には、今もその時の傷跡が残っています。

 その時も、「子供を繋いでおくわけにはいかない!」と言い合いになり、夫と上階のご主人とは、ちょっと険悪なムードになったこともありました。

 私たちがいる時には、そんなに気にならない子供がはしゃぎ回る音も、一人寂しく留守番をしていた夫には、必要以上に癇に障ったのではないかと私は思っていますが、それ以来、騒音に悩まされることもありません。

 一応、フランスでは、昼、夜に関わらず、特に22時〜7時までの夜間の騒音については、それなりの手段を踏んで(まずは書留で手紙を本人に送る)、訴えることができることになっています。

 また、極度の騒音などに対しては、通報することもできます。

 そして、騒音被害が認められれば、迷惑行為を犯した人は、罰金を課せられます。とはいえ、そんなことをいちいち警察などの手を借りて、皆が訴えていたら、警察はとても手が足りないのがフランスです。

 まずは自分の否を素直に認めず、謝らないフランス人ではありますが、とりあえず、黙って我慢をすることはありえないことで、往々にして、本人は、どの程度の迷惑をかけているか気がついていない場合も多いので、直接、苦情を言いに行くのが手っ取り早い方法だと思っています。

 直接、話をすれば、その時は、少々気まずくても、隣人とて、四六時中、顔を合わせるわけでもなく、時間が経てば、意外とあっさりとケロッとしていて、それなりに気をつけるようにもなってくれます。

 中には、同じアパート内で誰もが共通に使うエレベーターの中に「騒音について」や、「上からゴミを捨てないでください」「今後も続くようなら通報します!」などという住民の誰かが書いたと思われる苦情が貼られていたりすることもあります。

 我が家は、そんなに広くもないので、それほど大勢の人を家に招くこともないし、そんなに大騒ぎをすることもないので、本当にひっそりと暮らしている方だとは、思っているのですが、私が一番、気を使っているのは、私が時々、気まぐれに弾くピアノです。

 特に防音装置などのない普通のアパートなので、大してうまくもないピアノの音は、聞く人によっては、大変な騒音です。私が育った家庭では、父が幼少期に父の姉(私にとっては叔母)が音大に通っていたために、繰り返し練習していたピアノの音が嫌いになり、私がピアノの練習をしていても、父が家にいる時間は、ピアノを弾かないという決まりだったので、ピアノの音が嫌いな人がこのアパートのどこかにいるかもしれないと、ちょっとした強迫観念があるのです。

 しかし、以前、隣に住んでいたおばさんなどは、その時に隣に遊びに来ていた友人と共にベランダ越しから、私のピアノを聴いて、「ブラボー!!」などと言って、拍手してくれたり、上階の夫と仲の悪いご主人でさえも、エレベーターで会ったりすると、「最近、ピアノの音が聞こえてこないけど、どうして、ピアノ弾かないの? あなたのピアノ好きなのに・・」などと言われたりして拍子抜けしたりもします。

 それでもピアノを弾く時には、食事の時間帯は避けるなど、時間帯には特に気を使い、ましてやロックダウン中などは、みんなが家にいて、閉じ込められてのストレス生活の中なので、さぞかし迷惑ではないかとピアノは、控えていたのです。

 日本人が海外生活をする場合、一般的な日本人の生活習慣から考えれば、迷惑をかけるよりも、迷惑をかけられることの方が多いかもしれませんが、いつどんな形で迷惑をかけてしまっているかもしれないので、ただでさえ、ストレスの多い海外生活、ご近所トラブルは避けたいので、できるだけ気をつけるようにしています。

 しかし、迷惑を被る側になってしまった時も、黙って我慢はせず、まずは恐れずに面と向かって話してみるべきだと思います。「それは私ではない!」とか、「私のせいではない!」などと、その場は言い張りますが、言われた方もそう言い返しながらも、多少は響いています。

 とにかく、はっきりと言わないことには、伝わらないのです。フランスという国は、黙って我慢していることは、ありえない国なのです。

 ほんと、疲れるわ・・。


ご近所トラブル

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2021年6月28日月曜日

フランスの統一地方選挙の記録的な投票率の低下 なぜネット投票を取り入れないのか?

  



 パンデミックのために3ヶ月間延期されていたフランスの統一地方選挙の投票率が記録的に低下したことは、外国人で選挙権のない私にとっても、とても衝撃的なことでした。

 これまでフランス人は、政治の話題が好きで、小さい子供でさえも、家庭内での両親の会話の受け売りであろうとも、いっぱしに政治のことを話題にしたりするのを目の当たりにしてきたので、棄権率65%という(なぜか投票率という言い方ではなく、棄権率という言い方をする)数字に正直、驚いています。

 これは、前回の2015年の41.59%(棄権率)を大きく上回っており、35%しか投票に行っていない・・これで決めていいの?という数字です。特に大都市圏の若い世代に、棄権率が高い傾向にあるようです。

 昨日のテレビのニュース番組などは、それでも各局、一斉に選挙特集を組んで放送していましたが、この投票率の低さでは、さぞかし視聴率も低かったのではないか?などと思ってしまいます。

 フランスの統一地方選挙は、多元比例代表制がとられていて、今回は、6月20日、27日と2回にわたって行われましたが、第1ラウンドでは、投票の絶対過半数を獲得した候補者が過半数のボーナスポイントを獲得し、残りの議席は、選挙の敷居値である5%を超えたすべての候補者の中で最も高い平均のルールに従って比例配分されます。

 絶対過半数を獲得した候補者がいない場合、第2ラウンドは、第1ラウンドで投じられた票の少なくとも10%を獲得したすべての候補者間で編成されます。

 今回の選挙では、例年とは、時期も違い、バカンス間近であることや、ロックダウンから解放されてまもない人々が投票に行くよりも、レジャーや買い物などに流れてしまったことなどが理由に挙げられていますが、若者の政治離れもその一因として挙げられています。

 少なくとも現在のフランスの街の様子を見る限り、コロナウィルス感染を恐れて投票に行かないということは、全く考えられません。

 これには、フランスの若者の政治離れという一面も確かにあるとは思いますが、若者のライフスタイルの変化にも起因しているような気がするのです。

 つまり、ネットです。現代の若者は、何をするのもネットで、買い物から銀行の口座の管理、医者などのあらゆる予約も全てネットで済ませてしまいます。

 我が家の娘などを見ていても、昭和の時代に生まれ育った私などからしたら、娘が鮮やかにネットを使いこなすのに呆気に取られるほどで、そのスピードと有効性を間近に見せつけられて、ついていくのがやっとという感じです。

 それが、選挙の投票となれば、わざわざ指定の場所に出向いて、紙を使って投票という前時代的な方法が若者には、受け入れられていないのだと思うのです。なぜ、なんでもネットの時代に選挙の投票手段にこれが使われないのかが甚だ疑問です。

 若者でなくとも、わざわざ出向かなくて済むネット投票は、多くの人が助かると思うのです。

 マクロン大統領は、来年の大統領選挙に向けての方策もあり、若い世代を取り込もうと、色々な呼びかけをSNSを使って発信しています。

 ソーシャルディスタンスを呼びかけるために、フランスで大人気のユーチューバーに依頼して、自身も彼らとユーチューブで共演したり、先日のカルチャーパスの発表をTikTokで行ったりして、一部からは、「大統領がYouTubeなんかに登場するなんて・・」などと批判を受けたりもしていますが、国全体、政府も、これからますます増えていく若い世代にも受け入れられるように、変化していかなければなりません。

 だいたい、選挙と言えば、莫大な金額がかかり、それに使われる人件費や使われる膨大な紙(選挙前には、候補者のプロフィールなどが書かれたチラシが数回にわたって送られてきます)など、環境問題の観点からしても、全く前進していません。

 無駄な紙の消費を減らすために、一方では、スーパーマーケットのレシートを無くすなどと言っているのに、この選挙に関わる無駄な物資と労力は、全く前時代的です。

 ネット投票にすれば、若い世代の投票率は、格段に上がるでしょうし、それによって選挙の結果も違うものになってくるかもしれません。

 技術的には、決して不可能ではないであろうことなのに、なぜ、投票にネットを使わないのか? ネットを使えない人には、一部、現在の方法は残すとしても、この投票率の低さを機に、ネット投票という方法も可能にしていくようにしたらいいのに・・と、思っています。

 フランスも日本も・・。


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