2022年10月31日月曜日

海外生活を送る日本人ママは頑張り屋さんが多い

  


 私がフランスで生活を始めてから20年以上が経ちますが、そんなにたくさんの日本人の知り合いがいるわけでもありませんが、それでもこれだけ長くいれば、そこそこに日本人を見かけることはあるわけで、海外生活を送る日本人ママは、みんな頑張り屋さんだなぁ〜と思うのです。

 だいたい、自分の育った文化とは違う国で生活するということだけでも大変なのに、異国で仕事をし、家庭を持ち、子供を育てながら家事もこなすということは、並大抵のことではありません。

 しかし、彼女たちは、言葉と文化の壁という障害を抱えながらも、たくましく仕事をし、子供を育てながら暮らしています。フランスの場合は共働きがあたりまえなので、日本人ママにしても、働いている場合が多いと思います。

 近くに子供の面倒を見てくれる実家があるわけでもなく、自分のルーツでもある日本の文化もできるだけ子供には伝えながら、(季節ごとの行事などもフランスのものと日本のものと両方・・)日本語を教え、フランスの学校に送り迎えをしながら通わせて、家事とて、手を抜くことなく、栄養のバランスを考えながら、手作りのものを食卓に並べます。

 日本食を作りたいと思えば、簡単にお惣菜を買ってきて食卓に並べるということもできないので、食材を買い集め、工夫しながら日本食も作ります。フランス人の家庭などは、日頃は、子供の食事は簡単に、ハム(あるいは肉でも焼いて)に茹で野菜やスープにパンとチーズなどの乳製品で終わりという家庭も少なくないので、それから考えると日本食などは、驚くほど手間がかかります。

 バカンスの多いフランスの学校の中で子供のバカンス期間のスケジュールの調整をし、お稽古ごとに通わせている人も多いです。

 海外で育つ子供に日本語を教えることは根気のいることですが、レベルも様々ですが、日本人ママのいる家庭で、全く日本語がわからない子供は少ないのではないかと思います。

 日仏家庭でも家庭それぞれで、子供の育て方も家事の分担もそれぞれだとは思いますし、概して、フランス人の男性は家のことには協力的な人が多いような気もしますが、それでもなお、日本人ママの負担はけっこう大きいのではないかと思います。それをさしてきびしい顔もせずに、あざやかにやってのけている人が多く、まさにスーパーママだな!と思うのです。

 そして、なぜか、日本人の子供は優秀な子供が多いような気もするのです。私の知り合いの子供は、なぜか、軒並み高学歴で、医者、弁護士、エンジニアなどの見事な仕上がりの子供が多いのです。

 一部には、子供の頃から、2ヶ国語以上の言語を使うことが脳の発達に影響するという話を聞いたこともありますが、基本的には、日本人が培ってきた真面目さにあると思っています。

 子供に日本人の基本的な生活習慣を教えながら、教育していくという観点からしても、それは海外にあっては、決して当たり前のことではなく、自分たちがあたりまえのように受けてきた教育をあたりまえのようにコツコツとこなしていくことは、海外ではすでに上レベルのことなのかもしれません。

 それにしても、彼女たちの日々の努力には、頭が下がることが多く、忙しいのに、そんなものまで手作り!?(自分で納豆を作ってみたり、お味噌を仕込んでみたり、ケーキを焼いたり・・)と驚かされることも多く、以前の職場にいた日本人の先輩のお弁当などを見るにつけ、彩ゆたかに品数も多く、家族の世話を細やかにやいていることは、そのお弁当からも垣間見られ、感心したものです。

 子供の教育に関しても、こういうことには気をつけた方がいいとか、日本語を教えるのは根気よく、諦めたらいけないとか、多くを彼女たちに教わりました。

 現在の私は子育ても終わり、全然、頑張らない生活になり、もっとずっと忙しくしていた頃には、逆にもっと、マメに色々なことをしていたような気もしていますが、現在、小さい子供を抱えて頑張っている日本人ママさんたちの様子を見るにつけ、やっぱり日本人ママってすごいなぁと思うのです。


日本人ママは努力家 頑張り屋さん


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2022年10月30日日曜日

陰惨な事件が続くフランス 被害者・加害者ともに若すぎる

  


 毎日のように大々的に殺人事件についての報道、毎週、遺体が発見されているような気がする・・そんなニュースばかりが続いていることに暗澹たる気持ちにさせられています。しかも、その被害者・加害者ともに20代前半だったり、子供だったり、命を絶たれた被害者はもちろんのこと、加害者となった若者の人生も終わりで、彼らのあまりに短い人生にやるせない気持ちになります。

 10月半ばにパリ15区で起こった、12歳の少女が殺され、彼女が住んでいたアパートの近くの中庭でスーツケースの中から遺体が発見された事件は、その非道で残酷な手口はあまりにも衝撃的でフランス中が大騒ぎになりました。

 容疑者は比較的早い段階で逮捕されましたが、24歳の、一見すると、普通の女性で娘と同じ年齢だったことは、私にとっては、同時に衝撃的でしたが、娘にその話をすると、「同い年だからといって、同じ境遇や環境で育ってはいないし、同じ24年間を過ごしてはいない」と一蹴されてまるで意に介していない様子には、どこか、ホッとするような、なんだか納得いかないような複雑な気持ちになりました。

 その後、今度はコレーズ県(ヌーベル・アキテーヌ地域圏)のディスコで週末に20歳の女性が行方不明になったと報じられ、それからまもなく、21歳の男性が誘拐、強姦、殺人の容疑で逮捕され、彼は彼女を殺して彼女の遺体を森に埋めたことを自供しました。

 2人の間に多少の面識はあったことが逆に彼女を油断させたような気もしますが、後に同席していた友人の証言により、向けられたシャンパンのグラスに口をつけた彼女がへんな味がすると言っていたことがわかっており、飲み物に薬物を入れられていた可能性が浮上しています。

 この犯行がどの程度、計画的なものであったのかはわかりませんが、彼は犯行後、彼女の持っていたバッグを燃やし、犯行が行われた部屋から彼女の痕跡を消そうとした形跡があり、遺体を埋めていることから、逆に彼自身が、彼の行いが悪いことであると認識して隠そうとしていたことが、たとえ衝動的な犯行であったにせよ、彼が責任能力が問われないような精神状態であったとは考え難いことを表しています。

 被害者の女性は2歳の子供がいる20歳の女性、加害者は21歳の男性。被害者の女性は命を奪われ、その子供は2歳で母親を亡くしてしまいました。加害者の男性には、今後、容疑が固められていきますが、おそらく終身刑が降ると言われています。

 そしてまた、今度は、マルセイユで11歳の子供が遺体で発見されたというニュース。当初、母親から子供の失踪届けが出されていたといいますが、子供の遺体にナイフで切られた跡が数箇所発見され、その血痕が家から遺体発見現場への道のりに残されていたことから、子供の母親が警察に拘束されています。

 ここのところ続いている陰惨な殺人事件とその被害者・加害者の若さは、衝撃的です。この世に殺されるという死に方をする人がどのくらいいるのかわかりませんが、まだ、はじまったばかりの人生で、殺されるほどの人の恨みをかうほど生きてこなかった人が殺されるやるせなさは、計り知れません。

 娘と同年代の人々の事件を見るにつけ、被害者になる心配とともに、初めて自分が妊娠した時に、育て方によっては、子供が将来、犯罪を犯す側にもなりえるのだ・・ちゃんと育てなければならない・・大変な責任を負ってしまった・・と感じたことを思い出します。

 このような若い人の陰惨な事件を見るにつけ、最近の私は、どうしてもその親側の目線で見てしまうのでした。


若者の殺人事件


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2022年10月29日土曜日

フランスの医者不足 医者に定年後も働いてもらうためのシステム 

  


 高齢化問題は、日本の「おはこ」のような気がしていましたが、フランスにも高齢化問題は、特に医療問題において、顕著になりつつあるようです。

 今週、マクロン大統領は、現在、国会で審議中の社会保障財源法案の一部として議論されているこの国の医療問題について、「病院や街に「十分な医師がいない」と指摘し、「今後、数年の間にフランスの医師の25%は60歳以上になる」「彼らが定年を迎えた後には、この医師不足の問題はさらに深刻になるため、定年後も彼らに仕事を続けてもらえるためのシステムを構築する」と発表しています。

 現時点では、開業医の定年は、生まれた年によって異なりますが、法的には、1955年以降に生まれた医師の定年は62歳です。仕事を開始した時期により僅差はありますが、67歳で年金を満額受け取ることができます。

 なので、フランスの医師の25%は、このまま放置すれば、10年以内に消えていくことになります。もちろん、現在でも定年後にも仕事を続けている医師はいますが、現時点では定年後も働き続けることに対しての特別待遇は設けられてはいません。

 フランスは少子化による人口減少は起こっていないにも関わらず、医者だけが高齢化を迎えているということは、医者になる人の数が減少しているということや、地域的な格差も影響していると言われています。

 いずれにせよ、人口は減少していないものの、高齢者も少なくないフランスで、今後数年は、ますます介護のニーズは増加し医者不足に拍車をかけると見られています。

 今後の医学部の学生数の設定などを検討しなおし、対策を始めたとしても、この結果が表れ、現在の現役医師数のレベルに回復するには、2035年頃と見られており、放置すれば、減少を続けるであろう医師をなんとかそれまでは確保しつづけるために、定年後も医者が働く特別待遇を提案し始めたわけです。

 マクロン大統領は「定年後も仕事を続ける医者に対しては、年金保険料を免除し、年金をもらいながら仕事を続けることを奨励する」と発表したのです。自分が引退後に受け取ることができる年金プラス、働いた分だけ給与をもらうことができるのです。

 しかし、一方では、このシステムにより、年金保険料の7.3%、つまり7300万ユーロの収入減になりかねないとも言われており、この減免措置が医師の増加につながるかどうかは定かではないばかりか、追加報酬の恩恵を受けるために退職の清算を前倒しする医師が出てくる可能性さえあるとも懸念されています。

 少子化は免れてなお、顕在化してくる高齢化問題に、社会全体が高齢化を迎えている日本ではなおさらのこと、AIでは代わりが効かない職業の人材問題は、一層深刻になっていくのではないか?と思うのです。

 私にとっては、もう20年以上もお世話になり続けているかかりつけのお医者さんがいますが、彼女は定年までは、まだ少し時間がありそうですが、今度、行ったら、「あなたがいなくなったら、絶対困る!ぜひ、その先も仕事を続けてほしい!」と、今度行ったら、頼んでみようと思います。


医者不足 定年後の医者の仕事継続 年金保険料免除


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2022年10月28日金曜日

一瞬やってきた秋が去って、また夏日のフランス 10月の異常気象

  

秋みたいだけど夏なチュイルリー公園


 フランスでは、なんだか季節がわからなくなるような気候が続いています。

 一瞬、気温が下がった時があり、周囲のフランス人たちが、そのたった1日の違いであっという間に冬支度になり、コートやマフラー、中にはダウンジャケットを着ている人までいて、相変わらず、寸分違わないフランス人の衣替えのタイミングの見事さに、今年も舌を巻いたばかりでした。

 しかし、その寒さは長い間は続かず、10月も終わりが近いというのに、今日のパリの気温は23℃まで上昇し、週末には25℃を超える見込みで、フランス南部では30℃を超えるという夏が戻ってきたかのごとき異常な気象に見舞われています。

 うっかりコートを着てでかけようものなら、汗だくで、昨日などは、半袖姿の人もちらほらいるような(ほんと、私もTシャツでよかったと思いました)、よく言えばポカポカ陽気です。

 フランス気象庁は、10月末にフランスを襲っている遅めの猛暑を「異例」「例外的」と表現しています。全国的に気温は季節の標準を大きく上回っており、これは、気候変動が制御不能になりつつあることを示す明らかな兆候であると述べています。

 この10月の異常な暑さは、過ごしやすく暖かい秋・・とは、素直に喜べない異常な感じがあります。

 私がアフリカにいた時は、ほぼ一年を通して暑くて、最初は夏服だけだから楽だな・・などと思ったものの、実際には、暑すぎて、朝起きて、曇っていると心底ホッとしたもので、また、夏服だけの生活というのも長くなってくると、それはそれで味気ないもので、四季折々の季節の変化とともに楽しめる季節感を恋しく思い、「四季があるって素晴らしいことだ!」などとしみじみ思ったものでした。

 

孫たちを連れたおばあさんたちも10月末とは思えない軽装


 今のパリの街は紅葉が始まり、石畳に黄色やベージュの落ち葉が散る秋の風景ではあるのですが、現在はトゥーサン(諸聖人の祝日・ハロウィン)のバカンス中で、学校が休みのため、孫を連れたおばあさん(時にはおじいさん)の姿がけっこう目立っていて、このポカポカ陽気を楽しんでいる様子なのは微笑ましいところですが、一方、この異常気象で再び、干ばつの被害の対応も求められ、農作物への影響も生じてきます。

 本当にパンデミックに始まり、戦争、インフレ、エネルギー危機、そして地球温暖化による異常気象と世の中の混乱はおさまりそうにありません。

 10月はまだ終わっていませんが、フランスでの気象記録史上、最も暑い10月となることは、もはや間違いないと言われており、また、これは、年間を通して、平均気温においても、2022年は、フランスで記録的に暑い年になる可能性があります。

 科学者はこの地球温暖化により、「今後、フランスに起こる熱波は、より激しく、より頻繁に、より長い期間にわたるようになる」と述べており、いつかは、アフリカのようになってしまうのでは?と不安な気がしています。

 フランス人が秋の訪れとともに、あっという間に冬の洋装に変わるのも、季節を先取りするおしゃれをしたいという気持ちもあります。それぞれの季節によって、おしゃれの楽しみ方はありますが、やはりおしゃれを本格的に楽しめるのは、秋冬という感じがします。しかし、この気候変動とともにそんな楽しみも薄れていってしまうかもしれません。


10月の異常気象 猛暑 地球温暖化


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2022年10月27日木曜日

レストランチェーン Pizza Del Arte ピッツァ・デル・アルテ 月額35ユーロで毎日食事ができるシステム試験導入

  


 フランスの大手イタリアンレストランチェーン Pizza Del Arte(ピッツァ・デル・アルテ)は、顧客獲得のため、月額35ユーロで1日1度、ランチかディナー時に食事ができるシステムを試験的に導入することを発表しています。

 これは、あくまでもテストケースで、フランス全土にある210店舗のうち、ブローニュ・ビヤンクール、コルマール、リヨン、メッス、レンヌ、トゥールーズの13店舗で試験的に導入されるものです。

 しかし、これはフランスでは画期的な試みで、初回は6ヶ月契約(初月は30ユーロ)が必要で、月額を支払えば、1日1回、通常8ユーロのピザ5種類とパスタ2種類の中から1皿だけ選ぶことができるというものです。

 つまり、顧客側から言えば、月5回行けば、採算が取れることになりますが、その他のメニューについて、また、デザート、ドリンク、コーヒーの追加は消費者の負担となります。店舗側から言えば、この追加オーダーを狙うと同時にこの魅力的な月額価格によって、新規の顧客拡大を見込んでいます。

 パリ市内ではあまり、頻繁には見かけない気がするこのレストランですが、どこかのコマーシャルセンターの中に入っていて、買い物に行った時に子供を連れて食事するのに、かなり昔に何回か行ったことがあるような気がしますが、そのお味については、特に美味しかったとも不味かったとも、高かったとか安かったという記憶もないため、ごくごく普通のチェーン展開のレストランなんだと思います。

 パンデミックを機に、一気に拡大したテレワークのために、定期的にランチタイムに訪れる顧客を失い、停滞した状況に何かの起爆剤が必要だったのかもしれません。

 ピザといえば、フランス人も大好きな手軽に比較的低価格で食べられる食事の代表のような食事ですが、その分、冷凍ピザなどは、種類も多く、価格も安く、デリバリーのお店のメニューには必ずあるようなメニューで人気がある分だけ、逆に競争も激しいのかもしれません。

 そういう面では、パリはきっとある種、特殊な場所で、観光客も多いために、こんなものに、こんな値段?と思ってしまうようなお店でもけっこう人が入っているし、もともと外食の値段も高いので、パリの人々は、景気良く、気前良く食事をしている感じがするので、彼らが今回、このシステムで狙うターゲットは学生やブルーワーカーとも言われています。

 これは、とことんキャンティーン(社食・学食)のように利用しようとする人々には、魅力的なシステムかもしれませんが、これが成功して、このチェーン展開のレストランの救世主となるかどうかは、かなりの賭けかもしれません。

 一般的にフランス人が外食する場合、彼らは必ずといっていいぐらいデザートを頼むし、少なくともカフェを頼んでいるので、その点から行けば、この月額払いで訪れる人々も追加でドリンクかデザートかカフェを注文するような気もするのですが、イタリアンレストラン、ピッツェリアの場合は、どうも例外的な気もするのです。

 それよりも、もっとオリジナリティのあるメニューだったり、特色があったりすれば、最近のフランス人は並んででも行きたがるレストランはけっこうあるわけで、その代表的なケースがラーメンだったりもするのです。

 日本のファミレスなどでは、ドリンクバーなどは、あたりまえのように存在していますが、かなり前に日本で初めてこのファミレスのドリンクバーを見た時に、「これは、フランスでは無理だな・・」と思った記憶があります。

 コーヒー、紅茶、烏龍茶、炭酸飲料から多種類のティーバッグなど、すごい品数が揃っていて、これが飲み放題といったら、さしずめフランスだったら、持ち帰れるティーバックなどは、あっという間になくなるだろうし、とても店舗側からしたら採算が取れるとは思えないからです。

 今回の月額システムのレストランの試みを聞いて、なんとなくこの日本のドリンクバーを思い出したのですが、社会奉仕のためならいざ知らず、ある程度、お金を持っている層をターゲットにしないと、今の時代、どんな商売でもキツいような気がしています。


イタリアンレストランチェーン デルアルテ 月額システム


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2022年10月26日水曜日

義理の家族と嫁姑の関係

  


 私が夫と出会った時には、すでに夫の両親は他界していたので、私には、日本でいうところのお舅さんやお姑さんという人がいませんでした。しかし、夫には、歳の離れた兄夫婦がおり、特にそのお義姉さんは、夫の母親代わりのような感じで、非常に夫のことを可愛がっているのが傍目からもわかり、憎まれ口をききながらも、一方では、かなり甘やかしているようなところもあり、夫も好き勝手なことを言っているわりには、甘えたり、面倒をみたりもしていたので、ある意味、私にとってもお義母さんのような存在でもありました。

 とはいえ、本当のお姑さんではないので、また違うところもあるのでしょうし、彼女たちにはたくさんの子供や孫もいて、その全部を包み込んでくれるように優しさで、ほどほどの心地よい距離を保っている人でした。

 彼女は、お料理上手で、家の中ではいつでも何かしらの家事をしていて、いつも何かをしながら話をしている印象で、特に私たちがフランスに来たばかりの頃、まだ娘も赤ちゃんで、さまざまな書類の問題や私のビザの問題、職場を変わって、少しうつ状態だった夫など、問題が山積みしていた時に、彼らの存在は、私にとっては救いで、お義姉さんの存在がなかったら、そのままフランスにい続けてこれたかわかりません。

 しかし、姑がいなかった代わりに、夫には、前妻との間に3人の息子がおり、彼らは私にとっては、義理の家族ではありました。上の二人の男の子たちは、すでに大きかったのでクリスマスなどに家に来たりすることはありましたが、せいぜい、顔を合わせるのも年に数回でしたが、一番下の男の子は、隔週おきの週末には家に遊びにきていたので、一緒に出かけたりすることも多かったような気がします。

 日常的に同居しているわけではないので、そんなに負担ではありませんでしたが、いわば彼らにとって、私は継母なわけで、私の方は最初はけっこう身構えていましたが、彼らは、思っていたよりも全然、普通で、自然な態度で、逆に言えば、遠慮というものも全く感じられず、和気あいあいとした感じでした。

 日本の私の両親には、弟のお嫁さんがいて、彼らが日本にいた頃は、娘を連れて、顔を出したりしていたようですが、弟もある時から海外勤務になり、一時帰国時には、お嫁さんと子供は彼女の実家に滞在し、弟だけが実家に滞在するという奇妙なような、一方ではしごく当然のような感じで、私の実家と弟のお嫁さんは、別に険悪というわけではなくとも、最低限のつきあいという感じであまり深い関わりはなかったと思います。

 何より、父が大変、気難しい人だったので、弟が警戒してあまり近づけなかったというのが正直なところかもしれません。

 私の母や叔母と祖母(彼女たちにとっての姑)の関係を見ているとずいぶん違うな・・とも思いますが、それはそれぞれの家庭環境や時代の違いもあるのかもしれません。

 母は、お嫁さんとも、そんなに気を使わずにいられると言っていましたが、私がアフリカにいたり、出産後、しばらく日本に帰れなかった数年間ののち、日本に帰った時に、「今まで、お嫁さんにそんなに気を使っているとは思ってなかったけど、娘は楽ね・・」などともらしたことがあったので、それなりにお互いに気を使いながら、無難に過ごしていた気がします。

 しかし、母が心臓の発作を起こして入院した時、転勤でアメリカに行ったばかりだった弟たちが、トンボ帰りのように日本に帰国して、一時、どうにか症状が落ち着いたかに思われた母を見届けて、アメリカに帰る前に、母がベッドの上に座りなおして、お嫁さんに「息子をよろしくお願いします」と頼んだという話を母の死後に聞いて、この義理の親子の関係というものは、どういうものだろうか? 母はどんな気持ちだったのだろうか?と、そんな嫁に向けての最期の挨拶の仕方がかえって二人の距離を感じさせるような、複雑な思いをしたものです。

 私の義母は、義姉さんの話によると、かなり存在感のあるダイナミックな人だったようで、会ってみたかったな・・フランスのお姑さんというのも体験してみたかったとも思うのですが、こればかりは仕方ありません。

 家族それぞれにある家族関係、もともと違う環境で育った二人ですが、国も文化も違えばなおさらのこと、それがよいことも悪いこともあるかもしれませんが、結局は人と人との繋がり、相性もあるかもしれません。


義理の家族 嫁 姑


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2022年10月25日火曜日

ルボンカン leboncoin(フランスのメルカリの拡張バージョン)に潜り込むロシアのスパイ

  


 ルボンカンと言えば、フランス版メルカリのようなサイトで有名なのですが、現在の日本のメルカリのサイトがどこまで手を広げているのかはわかりませんが、ルボンカンの守備範囲は広く、簡単な不用品の売買から、家や車、バカンスや求人まで多岐にわたる一種の幅広い広告掲載サイトとして広く利用されています。

 このルボンカンにロシアのスパイが潜り込み、グランゼコールの数学、エンジニアなど知識レベルの高い人に接触し、核研究や原子物理学、人工知能など、自分たちが興味を持ち、機密性の高い分野でインターネットを通じて名門校の学生や個人レッスンを提供する若い専門家をターゲットにし、情報収集を行っていることが発覚していることから、内務省保安総局(DGSI)が警告を発しています。

 外国のエージェントを追跡する役割を担うフランス国内情報局は、最近、フランスの学生や若い専門家が、専門分野(経済、科学、言語、地政学など)のネット広告で個人レッスンを提供した後、ロシアの外国情報機関SVR(旧KGB)の幹部から接触されたことが判明したとホームページで説明しています。

 パリで、若い人工知能のエンジニアに対して、KGBの専門家がルボンカンで接触を取り、レストランで出会った二人は、数学の授業を受けていた。しかし、ある日、スパイはさらにしつこく、生徒が取り組んでいる科目のノートを要求し、その代わりにお金を渡すと言い出しました。

 しかし、このケースでは、ロシアのスパイは取引の途中で捕まり、ロシアに送り返されていますが、DGSIでは、3年間で12件の同様の事例が確認されています。各サービスはロシアのテクニックとそれを阻止する方法について警告を発しています。

 諜報機関では、スパイの手口について、「偽りの無害な関係を築き、やがてスパイ行為に利用できるようにする」ことを目的としている、と説明しています。

 このロシアのスパイ活動について、DGSIは、疑いを抱かせるような警告サインを列挙しています。

 ロシア以外の国籍を使用する「弟子(スパイ)」は、まずは親しい関係を築くことに注力し、関係が構築されていくうちに、徐々にデリケートなテーマでリクエストをし、電話にはほとんど出ず、自宅ではなくレストランやバーでレッスンを受けることを望み、どんどん多額のお金を現金で支払い、レッスンから次のレッスンまで、常に口頭でスケジュールを組むのが手口だと言われています。

 自分の本当の身元は明かさずに、親しい人間関係を構築して・・というと、どこか、今、日本で話題の宗教の勧誘、霊感商法にも共通する感じがしますが、つまり、これが人を騙す詐欺の手口なわけです。

 しかし、この広告サイト、今回問題になっているのは、この求人広告の部分ですが、正当にこのサイトを利用している人もたくさんいるわけで(というか、それがほとんど)、あらぬ疑いをかけられて、迷惑この上ない話だと驚いています。

 スパイといえば、映画やドラマの中のことのような気もしますが、スパイはロシアだけでなく、どこの国にもいるわけで、以前、主人の同僚の大使館員の中に元スパイ(フランス人)だったという人がいて、びっくりするほどスパイっぽくない人で(私は勝手に映画の中にでてくるスパイのイメージを持っていたため・・)逆に拍子抜けしたくらいですが、考えてみれば、本物のスパイは、その身分が明かされてはいけないので、それらしく見えない方がいいのです。

 しかし、私も利用しているルボンカン(私は不用品の売買だけですが)にロシアの魔の手が迫っていたとは、本当にビックリしました。


ルボンカン ロシアのスパイ   leboncoin


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