2024年5月29日水曜日

ストライキはフランスの日常だけど、薬局のストライキは珍しい・・

  


 地域薬剤師連盟(FSPF)と地域薬剤師労働組合連合(USPO)は、5月30日のフランス国内の2万500軒の薬局の閉鎖(ストライキ)とデモの動員を発表しています。フランスでのデモやストライキは日常茶飯事で、たいていのストライキやデモは、公共交通機関、学校、病院、時には警察などで、いつも同じような機関のストライキなので、「げげ・・また・・」とは思うものの、あまり驚くことはありません。

 しかし、今回は、薬局のストライキというのは珍しく、こんなの前代未聞?と思っていたら、さすがにフランス!これまで、まるでなかったわけではなく、10年ぶりのストライキなのだそうです。

 今回、この薬局がストライキに踏み切るのは、医薬品の不足やオンライン販売の自由化のリスクについての警告なのだそうです。

 原因のひとつとなっているのは、医療保険(健康保険)との間の交渉で彼らが提案している薬価の再評価が不十分であり、フランス製薬労働組合連盟(FSPF)は「検討されている予算だけではすべての薬局に資金を提供できるわけではない」と宣言しています。

 薬局の経済状況悪化に加えて、彼らが主張している医薬品不足の問題もフランスのような国で医薬品が不足?とちょっと疑問にも感じるのですが、そういえば、少しまえにフランス人の常備薬のような薬ドリプラン(パラセタモール)が薬局から消えた!ということがありましたが、それは、一番、目立つ医薬品不足のごくごく一端だったようです。

 この医薬品不足の根底にあるのは、薬価の下落と政府が特定の薬価の値上げを拒否していることにあるとしています。「健康保険(国)側からしたら、薬価を上げなければ払い戻しの金額を節約することができるだろうが、薬価が低いためにフランスへの出荷は後回しにされ、最後にまわされる!」とのこと。

 政府は現在、あらゆる公的補償の見直しと削減に懸命になっていて、この健康保険の見直しも彼らのプランの中に入っており、この費用の削減のために、医者を介さずに薬局で購入できる薬品を増やしたり(通常、医者の処方箋がないと保険がきかない)、その薬局もすっ飛ばして、オンラインで薬の販売ができるシステムを構築しようとしたりしているため、薬局は、このシステムが可能になった場合、ますます立ちいかなくなる危険性を孕んでいるのです。

 私など、つい先日も薬局で山ほどの薬を買ってきたばかりで、「私はけっこうこの薬局のいいお客さんだろうな・・」などと思ったばかり。私などは、フランスの薬は、一部の薬を除いて、未だによくわからないことが多いので、お医者さんに説明を聞いて、さらに薬局で、薬について、色々と質問したりすることもあるので、オンラインなどよりも安心ではあるのですが、きっと若い世代の人たちにとったら、このオンライン薬局が保険の適用になり、少しでも時間と費用が節約できるようになれば、一気にそちらの方に流れてしまうのではないか?とも思うのですが、便利になり、公費が削減できれば、政府の予算にだって、限度があるのだから、悪いことではないのにな・・とは思います。

 だいたい、フランスに来て、驚くことのひとつは薬局に並ぶ薬の種類の少なさで、多くの人々は処方箋を持って薬局に薬を買いに行くので、専門的というか小難しい薬に関しては、奥の部屋にストックされていて、一般客の目に触れることはありません。

 たいていは、医者の処方箋があれば、薬の種類にもよりますが、ミューチュエル保険(健康保険ではカバーしきれない部分をカバーしてくれる保険)に加入している場合は、自分でその場ではほとんど支払うことはないので、自分の飲んでいる薬が一体、いくらなのか?処方箋の裏に印字された値段を見ればわかるのですが、値段の確認もしていないので、言われるまま・・金額を気にすることもほとんどありません。

 なので、見方を変えれば、これまで薬局はけっこうおいしい商売をしてきたわけで、このインフレの中、けっこうな殿様商売をしてきた印象が私にはありました。

 私が日本に行ったときに買い物をしてくるものの中に薬類があり、日本に行くたびに日本の薬局に行くのですが、その商品の多さやマチマチな値段のものを見比べたりするたびに、こういう薬局、フランスにもあればいいのにな・・と思うのです。

 おそらく、日本の薬局だって、大昔のいわゆる薬局・・薬だけでは立ちいかなくなって、今で言うマツモトキヨシ・・みたいな薬局?(もはや薬局なのかどうかもよくわからない)に展開していったわけで、この間、渋谷に行ったときにマツモトキヨシなどを覗いてみたら、外国人観光客を狙ってだと思いますが、どの薬局も「免税」の大看板があるのにはビックリしました。

 そんな日本での薬局の変遷を見れば、フランスの薬局などは企業?努力ゼロ、すごく古いやり方が続いています。

 それでも、地域薬局支店には13万人以上の従業員がいるそうで、この数字は私立診療所の従業員に匹敵する数字だということで、今までは良かったのでしょうが、それはもうこのままでは、立ちいかなくなるのも当然なような気がします。

 一度、フランスの薬局連盟?は、ストライキなんてしてないで、日本の薬局チェーンの視察でもしてみれば・・とこっそり思うのでした。


薬局のストライキ


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2024年5月28日火曜日

コロナウィルスがまた流行りだしたらしい・・

 


 体調を崩して、お医者さんに行って、「気管支炎を起こしてます・・」と言われて、抗生物質を出してもらって、薬を飲みながら、一週間以上、かなり気を付けておとなしく過ごしてきました。

 もう抗生物質の薬をもらうときには、けっこうしんどい状態なのですが、「必ずこのひと箱、飲みきってくださいね・・」と言われるので、そのとおりにしていますが、その処方された分を飲み終わる頃には、たいてい回復しているので、薬をもらった時点で、「ああ、もうこれで大丈夫、これを飲めば身体も楽になってくるな・・」と半分、治ったような気分になってしまいます。

 しかし、どうにも一週間過ぎて、薬を飲みきっても、わずかに回復した?というよりも悪化するのがストップした?程度で、一向によくなりませんでした。

 身体がしんどいので、安静にせざるを得ないのですが、こうして思うように動けないとなると、ふだんはダラダラしているくせに、なんとなく何もできずにいることに焦りのような気持ちが生まれてきてしまう貧乏性な私です。

 しかし、一向に回復しないどころか、朝、起きたときの調子の悪さは最悪で、ゼーゼーするどころか、全身打撲のような身体の痛みでちょっと、そのまま寝込みそうになる気分で目覚める日が続いていました。

 このままではいられないので、再びお医者さんに行き、「一向によくならないのです・・追加分のお薬お願いします」と症状を訴えると、診察してくれて、「まだ、雑音がしっかり聞こえるわね・・」と言われ、追加というか、別の抗生物質の薬の処方箋を書いてくれました。

 そして、「ところで Covid (コロナウィルス)の検査はしましたか?」と言われて、すっかりコロナウィルスなどは疑ってみてはいなかったことにハッとして、「えっ?してませんけど・・」と言ったら、「すぐに検査しなさい!」、「また、最近、コロナウィルス感染している人が増えてきているから・・」と言われて、ギョッとしたのです。

 1年くらい前だったら、少しでも具合が悪ければ、「もしかして、コロナかも?」と自分でもコロナウィルスを疑って、早々に検査をしてもらってきたのに、自分でも、これが「喉元過ぎれば・・」で、すっかりコロナウィルス感染かもしれないなどとは、疑いもしませんでした。

 私がコロナウィルスのワクチン接種を最後にしたのは、たしか昨年末に日本に行く少しまえのことで、その頃はまだ、まあ長距離のフライトにも乗るわけだし、空港などは、ヤバいかも・・一応、ワクチン打っておこうと思ったりもしていたのですから、ずいぶんと意識が希薄になっていたものです。

 私の通っているお医者さんでは(開業医の診察室)では、フランスではめずらしく、そういえば、依然として、マスク着用義務が続いています。

 一応、今回は、また別の抗生物質などの薬を処方してくれて、「すぐにコロナの検査をして、結果がわかったら、電話してね・・」と言われて、処方箋を持って薬局に寄って、薬を処方してもらうついでに、コロナウィルス検査をしてもらってきました。

 なんだか、調子の悪さもあいまって、これはいよいよ感染しているのかもしれない・・と今までかなり検査をしてもらってきた中でも一番、ヤバい気持ちでドキドキ、結果を待っていました。

 私は、これまで、フランスがかなりの感染率で、一時は2人に1人は感染しているなどといわれていた時まであったにもかかわらず、奇跡的に一度も感染したことがなかったので、いよいよ、この奇跡的な記録にも終止符が打たれるか?という気持ちでいました。

 5分ほど結果を待って、結果は陰性でした。

 だからといって、体調がよくなるわけではありませんが、なんとなくホッとしてしまうのも妙なことですが、正直な気持ちです。

 今や命にかかわる確率は減ってきて、風邪とかわらないような扱いになっていますが、なんとなく、風邪や気管支炎よりも怖いイメージが私の中に根付いていることを自分ではっきりと自覚した次第です。

 お医者さんに電話すると、とにかくコロナウィルスだけではなくて、いろんなウィルスが蔓延しているから気を付けて・・お大事に・・」と教えてくれました。

 お天気も不安定で例年よりもなかなか、あったかくなってきた!と言い切れない気候が続くパリです。皆さま、またコロナウィルス、流行りだしているようですので、充分にお気を付け下さいませ。


コロナウィルス再流行


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2024年5月27日月曜日

シャンゼリゼの巨大ピクニックに秘められたシャンゼリゼ変貌への抵抗

  


 シャンゼリゼで巨大ピクニックが行われたと聞いて、「残念!知らなかった!行きたかったな〜!」と単純に思ったのですが、これに参加できたのは、238,000人の応募の中から抽選によりこのチャンスを得た4,000人のみが参加できるものでした。

 グランピクニックと名付けられたこのシャンゼリゼでのピクニック企画は、その名のとおりダイナミックなもので、シャンゼリゼの凱旋門からジョルジュサンクまでの区間の一面に赤と白の大きなチェックのピクニックシートが敷かれ、招待者にはシャンゼリゼのレストラン経営者 8店舗がこのイベントのために設置されたポップアップ キッチンで調理するミールバスケットが参加者に無料で提供されるというもので、本当に楽しそうな催しものでした。

 このグランピクニックは、廃棄物防止と持続可能な開発に重点を置き、支援的な活動も目指しており、その陽気な側面を超えて、その「持続可能な開発」という部分では、ある種の問題提起を含んだものでもあったようです。

 近年のシャンゼリゼの変貌ぶりを嘆くシャンゼリゼ町内会?委員会?(シャンゼリゼの場合は町内会と呼ぶのがふさわしいかどうかは別として)の地元に長く住んでいる人々は、本来のシャンゼリゼの文化が失われつつあることを嘆き訴えています。

 もはやシャンゼリゼは、高級ブランドの店舗がひしめき合う通りに代わりつつあり、古くからあった映画館や老舗の店舗などは、世界中に店舗を構えるブランドに取って代わられつつあります。彼らは「シャンゼリゼ通りはその魂を失いつつある」と訴えているのです。

 なるほど、私がパリに来てからも、言われてみれば、黄色いベスト運動の際に多くの店舗が被害を被ってショーウィンドーが壊されたりして修理して、そのまま違う店舗になってしまっていた時もあったし、長いこと工事のために、大がかりなテントで覆われている場所がいつのまにか、ディオールだったりルイ・ヴィトンになっていたりと、その変遷は私の記憶にあるだけでも、けっこうな数にのぼる気がします。

 新しく変わってしまえば、「えっと・・ここ、前は何のお店だったっけ?」などと記憶から消え去ってしまうのも早いのですが、あとから気が付いてみれば、そういえば、あのお店もなくなったな・・と思い出したりもして、とにかく、いつのまにか誰もが知っているような高級ブランドの店舗が一段と増えているのは確かです。

 これは家賃の高騰が大きな問題で、この高騰についていけなくなる企業は撤退を余儀なくされてしまうのです。

 この高級ブランドにとってはシャンゼリゼに店舗を構えるということは収益性も高く、ステイタスとしても申し分なく、ブランドの価値をさらに上昇させるためにぜひぜひ獲得したい場所であるというのは、わかりますが、たしかに、この通りが単なる高級ブランド通りになってしまうのでは、世界中のどこに行っても、同じ感じになってしまうわけで、シャンゼリゼとしての味わいは失われてしまうかもしれません。

 なかでも、LVMHの店舗の増えかたは、尋常ではない気がしていたら、市場調査によると約10億ユーロでシャンゼリゼ通りの144~150軒を買収済という話もあります。

 この異常な賃料上昇、不動産投機はシャンゼリゼ文化を守るための大きな弊害となりつつあり、政府の介入が必用だと言われ始めているのです。

 一見、陽気でとっても楽しそうなピクニックには、こんなシャンゼリゼの開発問題も秘められているとは、全く想像していなかっただけに驚かされた次第です。


シャンゼリゼの変貌 シャンゼリゼグランピクニック


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2024年5月26日日曜日

日本のオーバーツーリズムへの対応に思うこと・・

  


 日本のオーバーツーリズム問題は、これまでフランスでも度々、報じられてきましたが、今回の富士山への観光客のための対応については、なぜか?これまで以上に大々的に報じられていました。

 「日本ではオーバーツーリズムに対抗するため、小さな町が富士山を隠すネットを設置した」。日本の小さな町は、大勢の観光客に人気の富士山の眺めを隠すため、高い不透明ネットを設置。日本の中部にある富士河口湖町役場は、多くの外国人観光客が地面にゴミを捨てたり、許可された場所以外で喫煙したり、赤信号で道路を渡ったり、無差別に駐車したりする無礼な行為を理由にこの決定を正当化している・・」というもので、このネットが貼られている映像を見る限り、無粋極まりない感じもします。

 なにやら、雄大な富士山の眺めと前景のコンビニエンスストアのローソンと駐車場を組み合わせた現代日本を象徴する光景としてインスタグラムなどのソーシャルメディアで大人気となっているこの撮影スポットは、交通量の多い道路沿いの狭い歩道から撮影するもののようで、より良い写真を撮ろうと、なかには、近くの歯科医院の屋根に登る人もいるとのことで、迷惑を被っているこの地域の住民からしたら、たまったものではない!と怒り心頭になるのも理解できます。

 これは、主に外国人観光客対策と思われるものですが、地面にゴミを捨てたり、許可された場所以外で喫煙したり、赤信号で道路を渡ったり、無差別に駐車したりする現地当局が無礼な行為として挙げている行為は無礼な行為には違いなく、日本人なら、まず、特に注意せずともこれらの行為をすることはないと思われますが、しかし、その一つ一つの行為を見ると、海外では(少なくともフランスでは・・)、地面にゴミを捨てられること、許可されていない場所での喫煙も、信号無視も、違法駐車もそれほど珍しいことではなく、住民自身もそれほど厳格にルールを守り、モラルが高いわけでもないので、特に観光客に限って問題視することではなく、住民もひっくるめて警戒しなければならない問題でもあります。

 このような迷惑行為を正当化するつもりはありませんが、言い方を変えれば、日本人の常識は、外国人には簡単には通用しないということでもあります。ルールをきっちり守ろうとする日本人とは違うのです。

 パリもまた、一大観光地のひとつでもありますが、このような問題に対してどのように対応しているのか?といえば、特に対応をとっていることといえば、主にセキュリティに関しては、銃を持った警察官が異様に多いということくらいでしょうか? 個人に迷惑をかけるようなケースでも恐らく、この警察官たちが厳しく対応しているのだと思われます。

 もっともパリの場合、治安が悪くて観光客の方が緊張していなければならない、まさに、全く違うレベルの問題ではあります。

 富士山近辺の小さな町ならば、このような外国人が大量に押し寄せる時点で、観光客に威圧される感じがあり、とりあえずとった対応として、この光景が見えなくするネットの設置ということになったのでしょうが、このままでは、かたちを変えて、同じような問題が起こることは、目に見えています。

 世界から見れば、日本人のモラルの高さは、驚くべきレベルであり、逆に外国人には、信じがたい世界なのです。観光産業を軽視できない現在の状況ならば、きっちりと取り組まなければならない問題です。

 話は少々、飛躍してしまいますが、移民を多く受け入れるということは、こういうことなのだとも思うのです。


日本のオーバーツーリズム問題


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2024年5月25日土曜日

日本の研究者が歯を再生する治療法を開発!のフランスでのニュース

  


 日本人の活躍や偉業をフランスのニュースで知ることは日本人として、とても嬉しいことです。最近は、もっぱら、その活躍を取り上げられるのは、マンガやアニメなどのケースがフランスでは多かった気がするのですが、今回は、「日本の研究者が歯を再生する画期的な治療法を開発した!」という医学分野についてのことだったので、「やった!日本人すごいぞ!」と、喜ばしい気持ちになったのです。

 フランスの報道によると、この研究は大阪の北野病院が行っているもので、先天性無菌症(通常6本以上の歯の欠如を認める症例(発症頻度0.1%))の治療を目的としたもので、その原因遺伝子がマウスと人間とで共通していることから、すでにマウスでの実験は成功しているとしています。

 今回、治療に使われているのは、モノクローナル抗体で歯の成長を阻害するUSAG-1と呼ばれるタンパク質を不活性化するもので、この治験の第一段階が2024年9月から2025年8月にかけて開始され、第二段階では、先天性歯不全に苦しむ患者にこの薬が投与されるます。研究者らは出生時に少なくとも4本の歯を失った2歳から7歳の子供を対象にこの薬をテストする予定で安全性が確認されれば、先天的に歯が欠損している患者に投与して有効性を確認できるとしています。

 しかしまず、その薬が危険をもたらさないことを確認する必要があります。したがって、少なくとも1本の臼歯を失った健康な成人にまず接種される予定ですが、これまでの動物実験においての副作用は観察されていません。

 日本の研究者らは、すべてが計画通りに進めば、この薬が2030年から市販されることを期待している。彼らによると、将来的には、先天性疾患に苦しむ人だけでなく、歯を失った人にも歯を生やすことが可能になるとしており、世界的にも画期的な歯科治療の常識を覆す大きな研究であると医学界が大注目していると紹介しています。

 歯が再生可能になるなど、想像もしていなかったことですが、フランスでなぜ?今、このタイミングでこのニュースが報道され始めたのか?、他の国でも報道しているのかどうかはわかりませんが、世界的に(少なくともフランスでは)日本の研究が注目されていることは、日本人として嬉しくもあり、誇らしいことでもあります。

 日本の国力低下などのニュースばかり見かけることが多くなった昨今ではありますが、やっぱり日本人はすごいじゃん!と思える今回のニュースはとても嬉しいニュースでもあり、この治験が上手くいってくれることを応援したい気持ちになっています。


日本の歯の再生治療開発


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2024年5月24日金曜日

護送中に逃亡した囚人はとんでもない大悪党だった・・

  


 護送車襲撃により死者2名を出した衝撃の逃亡劇の末、フランス国内の指名手配のみならず、インターポールにも赤手配されている囚人モハメド・アムラは未だ逮捕されていません。

 護送中に護送車を襲撃して、逃走するという想像もつかない逃亡劇に当初は、これが誰の企てによるものなのかさえ、見当がつかずに、もしかしたら、彼自身に直接、復讐あるいは、制裁を加えるための彼に敵対する勢力の仕業、ある種、誘拐のようなものかもしれないという声さえ上がっていました。

 彼の逃亡をどの程度、追跡できているのかどうかは、捜査上、公表できないのかもしれませんが、それにしても彼自身の犯罪歴や前科などのプロフィールについての分析は、全く生易しいものであり、妙な言い方をすれば、悪い意味で正当に評価されていなかったと言わざるを得ないようなことが、次々と暴露されています。

 彼が現在の刑務所拘留中までの彼の犯罪歴や危険性については、「それほど危険視されるものではなく、13回の有罪を受けてはいるが、その大半は窃盗と交通違反が占めており、それほど深刻視されるものではない」と判断されていたようで、そのために、護送中の警戒も中程度の警戒しか敷かれていなかったようです。

 彼が逃亡直後は、彼の犯罪については、窃盗と交通違反だけではなく、殺人未遂や誘拐、麻薬取引などの犯罪も公表されていたと思うのですが、それは、逃亡後に発覚したことだったのでしょうか?

 いずれにせよ、彼の拘留に際して、司法や刑務所は全く彼を甘く見ていたと言わざるを得ません。

 というのも、彼の逃亡後、彼が刑務所内で何台もの携帯電話を自由に使い、気分をリラックスさせるための水パイプまで持って暮らし、刑務所内から組織を取り仕切り、麻薬取引や反対勢力への報復、武器の売買の指令まで行っていた事実が明らかになり、その彼の電話での会話の録音まで回収されているというから驚きです。

 彼はこれまでに複数回、拘留されてきましたが、その度に複数の携帯電話を入手し、刑務所内でもしっかり仕事をし続けてきたことが明らかになっており、暗号化されたメッセージングサービスを利用して外と連絡を取り続けてきたことがわかっています。

 この会話内容から、彼が組織内の部下たちに、麻薬密売の組織化と麻薬取引ポイントの管理、恐喝の他、人身売買組織との繋がりを利用しての脅迫、誘拐などを行っており(刑務所内で)、組織犯罪対策中央局(OCLCO)の警察官らは、「モハメド・アムラは、頻繁に誘拐という手口に訴えながらも、裏切りを芸術の域にまで引き上げる、極端な二枚舌の能力を証明している」と文書に記しているといいます。

 彼は活動を遂行するために身体的強制、最も深刻な暴力や虐待、裏切りの脅迫を躊躇うことなく行っていると彼がまだパリのサンテ刑務所に収監されていたときに独房を盗聴していた警察官も報告しています。

 ここまでくると、刑務所内でさえも、彼は思い通りのことを為し続け、こんな録音があったのなら、なぜ?彼から携帯電話を取り上げることができていないのか?とか、刑務官でさえも脅迫されていたのか? 二枚舌を使い続けてきたのか?刑務所の管理能力にさえも疑問を感じずにはいられません。

 まだ検証されている事象ではないようですが、彼が刑務所内から6,000ユーロで購入することを交渉していたといわれる銃器は、今回の護送車襲撃に使用された銃器の類似点が明らかになりつつあると言われています。

 彼の弁護士は、彼の逃亡直後に「13件の有罪判決は非常に重要なことのようにみえるかもしれないが、犯罪者に慣れている人にとっては特別なプロフィールではない」と堂々と話していましたが、それにしても、犯罪に慣れすぎではないか?慣れてしまって甘く見ていた結果が今回の逃亡劇の末に、実は、彼はとんでもない犯罪組織のボスだった・・という話になっていて、やはり、そんなことは慣れてはいけないものだったはずだ・・と思うのです。

 フランスでは、よほどのことをしないと刑務所に入ることはありませんが、その刑務所さえも、これだけ自由自在に好き放題できてしまっていたということも、刑務所が甘いのか?彼が手強かったのか? いずれにしても、超危険人物であったということだけは、明白なわけで、犯罪が多発しすぎて、軽いものは、軽視しがちな傾向にあるとはいえ、こんなことが刑務所内で許されていては、収拾がつきません。

 彼がいかに特別な、また例外的な人物であったとしても、こんなことが可能であるということは、彼が刑務所内での自由な生活を送る可能性を示してしまったということでもあります。


刑務所内携帯持ち込み


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2024年5月23日木曜日

エッフェル塔 6月17日から値上げ

  


 エッフェル塔というのは、パリのシンボル的な存在でもありながら、あまり行くこともなく、近くまで行くことはあってもエッフェル塔にのぼることは、ありません。たしか、大昔に旅行でパリに来た時に1回くらいはのぼったことがあったような記憶がうっすらとあるのですが、正直、あまりよく覚えていません。

 エッフェル塔は遠くから眺めるだけで、なんとなく、あるある・・と満足するもので、パリは、東京のように高層ビルが視界を遮ることもないので、かえってあまり近くはない私の家からでも遠くに眺めることはでき、特に夜1時間おきにキラキラ光るシャンパンフラッシュの時間には、なんとなく眺めては、光ってる光ってる・・となんとなく確認して、よしよし・・とわけわからない満足の仕方をしています。

 そんな風なので、近くまで行くことはあっても、正直、エッフェル塔にのぼろうと思うこともなかったので、これに(のぼることに)いくらかかるのかも知りませんでした。

 しかし、この度、「エッフェル塔値上げ」のニュースを見て、あらためてエッフェル塔にのぼるのってけっこう、高いんだ!とビックリしました。しかも、現行でも結構高いのに、さらに値上げです。6月17日から値上げということなので、明らかにオリンピック観光客狙いの値上げです。

 あらためてエッフェル塔の料金を見てみると、結構、細かい値段がわけてあり、とにかくエッフェル塔にのぼりたい場合は、たとえ、それが階段であっても有料で11.80ユーロ。エレベーターで2階までの場合は18.80ユーロ。頂上までエレベーターでのぼる場合(おそらくこれが一番スタンダードだと思いますが・・)29.40ユーロ(約5,000円)です。

 そのもっともスタンダードだと思われる29.40ユーロのチケットが35.30ユーロ(約6,000円)と5ユーロ近く大幅値上げになります。

 現在、円安なので円換算すると5,000円が6,000円になり、一気に1,000円も値上げするというかなり大胆な値上げです。

 逆に6月17日までなら、29.40ユーロでのぼれるわけですから、値上げする前に一度、行ってみようかな?というあまのじゃくな気分にもなっています。

 エッフェル塔に関しては、パンデミックで大幅な赤字を叩き出したものの、観光客は順調に回復したものの依然として赤字つづき。必要なエレベーター等の修理などのメンテナンスが行き届いておらず、余計な記念碑に多大な予算が割かれているというような噂を聞いて、なんだかどこかでよく聞く話だと思ったりしたこともありました。

 ちなみに東京タワーはいくらなのかな?と思いきや、上まで上がるのは2,800円だそうで、エッフェル塔よりもずいぶん安いみたいです。東京生まれ東京育ちの私ですが、東京タワーに行ったことはあっても、のぼったことはない気がします。

 でも、なんかエッフェル塔よりも割安・・と思ったら、今度、日本に行ったら、東京タワーに行ってみようかな?などとちょっと思いました。

 ちなみにエッフェル塔予約サイトには、非公式再販サイトも多いそうで、エッフェル塔側は、この値上げを機会にこの非公式サイトに騙されないように注意を呼び掛けています。


エッフェル塔値上げ


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