2022年7月18日月曜日

統一教会はこんなところにもあった・・

  


 安倍元総理を襲撃した犯人が母親が統一教会にハマり、家庭が破綻し、悲惨な状況で暮らしてきたことの恨みを殺害の動機としていることから統一教会が注目されていますが、正直、しばらく耳にしていなかった統一教会というなまえに昔のことを思い出しました。

 私がまだ日本で生活していた頃には、けっこう、統一教会やオウム真理教などの問題が大々的に報道されていて、当時、そのような新興宗教に傾倒して行ってしまった人には、私の世代の人は多かったのではないかと思います。

 現在は日本で生活していないので、どのような感じなのかはわかりませんが、よく渋谷の駅などで、「あなたの健康と幸福のために祈らせてください」などと言われて、頭に手をかざして祈られて、じっとしている人を見かけることがよくありました。(これが何の宗教なのかは知りませんが客観的に見て、おかしな光景でした)

 一時、私の友人で、熱心に「自己啓発セミナー」なるものを薦める子がいて、私は実際に大学での勉強に忙しくしていたので、「忙しくて時間がないから・・」と断っていましたが、結構、必死に薦めるので、彼女、大丈夫だろうか?と心配に思ったこともありました。それは純粋に自己啓発セミナーだったのかもしれませんが、新興宗教の入り口には、正体を隠して自己啓発セミナーなどと語っている場合も少なくないのです。

 もともと、私がケチだということが幸いしているのかもしれませんが、異様にお金を要求されるということは、どうにも不可解で、お金を払えば幸せになれるなど、あり得ないこと、ましてや宗教ならば、なおさらのことです。お金で解決できるなら、宗教などいらないのです。

 私は無宗教ですが、宗教があったら、楽だろうな・・と感じることはありました。大学の恩師がカトリックの神父さまでもあり、カトリックの勉強をしたこともありました。しかし、結果的に私は、彼(恩師)のことは信じることはできても、カトリックを信仰するには至りませんでした。そのことを恩師に直接、相談したこともあります。

「私は、カトリックについて、勉強しても、やっぱり信じることができないのです」と話すと、彼は、「大丈夫、信仰は無理するものではないから、必要になれば、その時がいつか来るから・・」と優しく仰ってくださいました。

 宗教、信仰というものは、彼の言うように、無理強いしたりするものではないはずなのです。そんなわけで、私は宗教とはあまり拘らずに生きてきました。

 統一教会といって、思い出したのは、私が初めてアフリカで生活することになった時、日本からパリ経由の飛行機の中でのことでした。パリからアビジャン(コートジボワール)に行く飛行機の隣に座ったコートジボアール人の女性が「あなたは日本人ですか?」と話しかけてきたのです。

 彼女が「私の弟は日本に住んでいたことがあるのよ」というので、「え?なんで?」と言うと、「弟は統一教会のために働いているの・・」と言われてびっくり!コートジボワールの人が統一教会に入っていて、日本で布教の仕事! あらためて、統一教会のネットワークの凄さにびっくりしたのです。

 そして、アフリカでの生活を初めて、しばらくは私は日本人とは全く接点のない生活をしていました。夫はフランス人で、フランス大使館勤務、住まいもフランス人ばかりが住んでいるレジデンスだったし、当時、私はフランス語がほとんどできなくて、大学に通ってフランス語の勉強に必死だったのです。

 しばらくして、夫がJETROの所長さんと知り合いになり、そのご家族と付き合うようになり、一瞬だけアビジャンの日本人社会に足を突っ込んだことがありましたが、当時、コートジボワールに住む日本人は200人程度ということで、大使館などの職員や日本企業からの転勤族、JETRO、JICAなどの国際機関の職員や海外青年協力隊の人、あとは統一教会の人・・というのを聞いて、また仰天しました。

 海外生活で新興宗教の勧誘というのは、結構、ある話ではありますが、しかし、それが西アフリカというあまり日本人のいない場所にまで・・ということにびっくりしたのです。

 私がアフリカで生活していたのは、もう20年以上前のことですが、あれから私はパリに引っ越して、パリでも時々、新興宗教に入っている日本人の話は聞くことがありましたが、統一教会と言うなまえは久しく聞いていませんでした。

 フランスにもフランスの新興宗教がありますが、日本でなぜ、そんなに統一教会がはびこり続け、ターゲットになり続けるのか?は、日本の文化や生活が背景にあるのかもしれないとも感じます。

 もともとヨーロッパはキリスト教の文化で、キリスト教以外にも独自の宗教を既に持っている人も多く、多くの人が無宗教である日本では、それこそ新興宗教が介入しやすいのかもしれません。

 いずれにしても、安倍元総理の事件で、再び注目されている統一教会問題。うやむやにせず、とことん追求を続けてほしいと思っています。


統一教会


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2022年7月17日日曜日

ジロンド県の森林火災とフランス人の災害対応能力

  


 ここのところ、いつテレビをつけても森林火災、森が燃えている映像が流れている気がします。この夏の猛暑の中、フランスの森林火災が、南部、西部を中心にあちこちで発生しています。

 なかでも、先週から火の手がおさまらずに被害を広げているのは、ジロンド県(フランス南西部に位置するフランス本土最大の県)で起こっている森林火災で、最新のデータによると、10,200ヘクタールが焼け、14,100人以上の人々が避難する緊急警戒体制が敷かれています。

 もともとの地域住民に加えて、夏のバカンス期間で、この地域には、多くのキャンプ場もあり、砂丘近くの少なくとも5つのキャンプ場から、6,000人が避難しなければならない大混乱が起こっています。

 この森林火災は同じ地域、数カ所で数回にわたる火災の発生のうえに、密度が高い森林ゆえに消火活動がスムーズに運ばずに往生しているようです。

 この災害の報道の中で、消火活動や避難がスムーズに運ばない理由について語られている場面で、なぜか、日本が引き合いに出されて、このような災害に対して、フランス人は、なぜ日本のように避難ができないのだろうか?と話し合われている場面を目にしました。

 この話し合いを見ていて、やはり、日本は災害が多い国として認知されているのだなぁと思ったとともに、フランス人は日本、日本人を知らないんだな・・とも思いました。それぞれの日常の様子を見ているだけでも、なぜ、日本人にはできて、フランス人にはできないのかは明白なことだと思ったからです。

 日頃、あまりフランスのニュースには上がってこない日本のニュースですが、東日本大震災が起こった時は、さすがにフランスでも特番ができるくらいの大きな扱われ方で、直後にスポーツジムなどで、知らないフランス人の女性から、「あなた、日本人でしょ・・日本のご家族は大丈夫?」などと話しかけられたりしました。

 当時は、津波や地震で避難所に避難している人々の様子なども、フランスで詳しく報道されていたので、そんな映像を見てのことなのか、「日本人は、あんな災害時にも、みんなが譲り合って、きちんと並んで、規律正しく生活していて素晴らしい国民ね・・もしも、あんなことがフランスで起こったら、きっと、フランス人はパニックを起こして、物の奪い合い、殺し合いが起こるわよ・・」と話してくれました。

 これは、パンデミックに関しても言えることですが、もともとフランス人は従順に命令には従わず、災害にも慣れていないうえに、(よく言えば)感情表現が豊かなため、パニックの起こし方も派手で、おさまりがつきにくいのです。

 一方、日本人は規律正しく、我慢強く、従順で、周囲に気遣う人が多いうえに、地震などの自然災害も多いために、日頃から災害に備えている体制がフランスよりもずっとしっかりしています。思い起こせば、日本では、学校でも会社でも定期的に避難訓練というものがあったな・・と思い出します。

 避難訓練などは、バカバカしい・・と思っていましたが、考えてみれば、日本人は子供の頃からの教育で、災害に対する訓練や教育が行われていたのです。バカバカしい・・と思っていたことも、少しずつの積み重ねで日本人には知らず知らずのうちに根付いている日本人からしたら災害時にはあたりまえのようにとる行動もまるで道標のないフランス人にとったら、パニック下におかれたら、大混乱を起こすことになるのかもしれません。


フランス森林火災


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2022年7月16日土曜日

2回目のブースター接種を受けました

  


 フランスのコロナウィルス感染は第7波を迎え、ここ数週間、1日の新規感染者数は週ごとに5万人ずつ増加し、先週はとうとう1日20万人を突破する日がありました。さすがにここまで増加していくと、入院患者数や重症患者数も着実に増加しています。

 私のところには、5月初旬の段階で、国民健康保険から「2回目のブースター接種のおすすめ」メールが届いていました。しかし、その時のフランスの感染の状況は、現在の第7波の波はまだきておらず、 私はきっと、夏のバカンスの時期に感染が拡大するであろうから、秋になって次の波が来る前にしようと、先延ばしにしていました。

 しかし、私が想像していたよりも早い段階で第7波がやってきて、フランスではえげつないほどの感染者の増加を記録しはじめ、やはり、考えていたより早くに2回目のブースター接種をしなければ・・と思い始めていました。

 私には、多少、心臓疾患があり、どうやら国民健康保険のファイルでは、私は感染して重症化した場合にリスクの高い人に分類されているらしく、年齢的には2回目のブースター接種が推奨されている年齢に達してはいないのですが、それでも「ブースター接種、おすすめメール」が来るらしいのです。

 そして、つい先日、2回目の「ブースター接種、おすすめメール」が来て、いつまでもグズグズ迷いながら、感染に怯えているのも嫌になって、2回目のブースター接種を予約していました。

 私が最初のコロナウィルスワクチン接種を受けたのは、かかりつけのお医者さんに相談して、昨年の3月に予約をして1回目のワクチン接種を受けたのがそれから1ヶ月後の4月、まだ、ワクチンについて、かなり不安もあったために、かかりつけのお医者さんにやってもらえば、その後、何か起こっても少しは安心だと思い、彼女にお願いしました。

 2回目のワクチン接種はそれから2ヶ月後の6月、その時点では、もうこれでワクチンはしなくてよいんだろうな・・と思っていたら、ワクチンの有効性は半年後には急激に低下し始めることがわかりはじめ、また、年末にかけて、感染状況が悪化しはじめたこともあって、それから6ヶ月後の昨年12月には、ブースター接種を受けました。

 当時は、このワクチンの有効性の低下が注目され、問題視されている頃で、2回目のワクチン接種から7ヶ月が経過するとワクチンパスポートが無効になることが決まった頃でした。

 この時からは、Doctolib(ドクトリブ)というアプリでその時点で一番早く、できるだけ近い場所でブースター接種が受けられる場所を探しました。その時、ブースター接種を受けたのは、家からバスで15分から20分程度のところにある薬局で、ワクチンパスを提示して、問診票の質問事項に記入することが必要でした。

 今から考えると、その時点では、1日の新規感染者数が6万人を超えた頃で、毎週のように1万人ずつ感染者数が増えていくことに恐怖を感じていて、当時、本当に少しでも出歩けば、すぐに感染者と接触しました!すぐに検査を受けてください!というアラームがくるような状況で、もういい加減、うんざりしていた頃でした。

 しかし、ウィルスが変異するにつれ、ワクチンで感染は回避できないような状況になり、しかし、ワクチン接種率が上昇したこともあってか、感染しても重症化しないケースが増えて、フランスは、「これなら風邪とかわらない、これなら大丈夫感」が高まっていきました。

 感染者数も昨年の12月の時点では、1日6万人で震えていたことを考えると、現在の1日の感染者数は想像もつかないほど増加しているにもかかわらず、世間の一般的な警戒感はダダ下がりのまま、あまり警戒感はありません。

 結果的には、私はこれまで気づかなかったことがあるのかもしれませんが、何度か検査を受けてはきましたが、一度も感染していないので、私が感染して重症化するリスクが実際、どの程度あるのかはわかりませんが、やはり、ある程度のデータをもとにリスクの高い人に分類されている以上、やはり危険があると判断する方が妥当な気がしたまでです。



 何より苦しい思いをしたり、COVID LONG(長期コロナ感染症)や感染後に長い間、後遺症に悩まされるのは嫌なので、もうこうなったら、リスクはできるだけ減らしておこうと思ったのです。

 思い起こせば、最初のワクチン接種の時から比べると、予約もワクチン接種自体も全然、簡単にできるようになって、数日前にアプリで予約を取って、家の近所の薬局に時間どおりに行くと、健康保険のカードとワクチンパスを提示するだけで、2回目のブースター接種は終了しました。今回は、問診票もなく、5分とかかりませんでした。

 ワクチン接種が終了したと同時にすぐに、2回目のブースター接種証明書のQRコードをもらい、それを手持ちのワクチンパスポートに読み込みあっという間に終了です。もちろん無料です。その翌日には、再び確認のためなのか、AMELI(国民健康保険)の私のアカウントには、4回目のワクチン接種証明書がデジタルで送られてきました。

 ワクチン接種から効果が現れるまでは1週間かかるため、この証明書が有効になるのには1週間かかりますが、現在、ワクチンパスポートが必要な場所(医療施設や高齢者施設)に行くこともないので、特に証明書が必要なわけではなく、単に自分が少しは保護された状態にあるかどうかということだけです。

 副反応も現在のところ、大したことはなく、ワクチンを打った腕が少々、痛む程度です。

 厚生省やHAS(高等保険機構)は、第7波のピークを7月末であろうと予想していますが、同時に第8波、第9波も確実にやってくると言っています。

 2回目のブースター接種をしたからといって、感染の危険が回避できるわけではなく、引き続き、私は警戒した生活を続けるつもりですが、やっぱり少しだけホッとしています。

 これで4回目のワクチン接種になりましたが、いつも迷いながらも、結果的には、私のワクチン接種の効果が低下する時点で感染が爆発的に拡大し、副反応に怯える気持ちよりも感染、重症化のリスクに怯える気持ちの方が優ってワクチン接種をしてきました。

 フランスではこれが7回目の波と数えていますが、本当に波乗りのようにワクチン接種をする機会を窺っていることになっています。

 今度こそ最後のワクチン接種・・といつも思っていますが、一体、いつまでやらなければならないのか、わかりませんが、リスクに怯えて行動制限し続けるには長く続き過ぎているパンデミックに、行動を控えて生活し続けるまま、どんどん歳をとってしまうことに、少々、焦りと憤りを感じていることも事実なのです。


2回目のブースター接種 4回目ワクチン接種


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2022年7月15日金曜日

パリ祭のシャンゼリゼの軍事パレード 完全復活とウクライナへのメッセージ

 


 毎年、フランスの革命記念日に行われるパリ祭のシャンゼリゼで行われる軍事パレードは、ここ数年、パンデミックのために中止はされなかったまでも、縮小されたり、観客なしで行われたり、いつもの規模ではありませんでした。

 今年のシャンゼリゼはすっかり通常モードの規模に戻っていました。

 シャンゼリゼの沿道の緑の樹々はフランス国旗に彩られ、凱旋門からコンコルド広場までを華やかな制服に身を包んだ兵士や各高等教育機関の学生など、今年は6,300人、64機の航空機、25機のヘリコプター、200頭の騎馬隊、181台の機動車両が2時間近くかけてパレードを行いました。




 パレードの比較的前半には、トリコロールの噴煙を流しながら飛行機がシャンゼリゼ上空を飛び、我が家の窓からもトリコロールの噴煙がパリの空を舞っていく様子が見えます。

 この数日前にたまたまパリの街を歩いていたら、突如、爆音が聞こえて、驚いて空を眺めたら、このデフィレ(パレード)の予行演習で、結構な低空飛行でその音のもの凄さに驚かされました。



  

 中でも私が最も美しいと思うのは、終盤に登場する騎馬隊で、奥に見える凱旋門を背景にトリコロールのフランス国旗に彩られた沿道の緑の樹々に茶色い馬と紺と赤、ゴールドに光る騎馬隊の調和のとれた洗練された美しさには、いつ見ても感動させられます。

        


 その年によって、登場する戦車、軍用車両(時には警察、消防車両など)は少しずつ違いますが、今年は、遠隔操縦機「リーパー」(空軍機)、陸軍は、新型装甲車「グリフォン」(装甲前面車(VAB)の後継車)と偵察車「ジャガー」を登場させています。

 中には、こんな可愛いワンちゃんまで登場しています。

 


 

 今年のパレードのテーマは「Partager la flamme」(炎の共有)と名付けられ、軍隊と国家のつながり、また現在進行形のウクライナでの戦争におけるヨーロッパの連帯のメッセージも込められ、ポーランド、チェコ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーの軍隊もパレードを行い、東欧の国々に敬意を表しています。

 パレードの最後には、東京オリンピック・パラリンピックのメダリストが登場し、オリンピックの炎を2024年のパリオリンピックへ繋げるという「炎の共有」のオチ?のようなシーンもありました。

 華やかで美しい、このパリ祭の軍事パレードはフランス人ではない私にとっても、毎年、楽しみな行事で、ひたすら、その美しさに感動し、これを見るたびに、フランスにいてよかった・・などと思うほどなので、フランス人にとっては、何よりもフランスを誇らしく感じる最も華やかな1日なのではないかと思います。

 


 しかし、今年、ウクライナで戦争が始まって、毎日のように悲惨な戦禍の映像が流され、実戦に使われている戦車や大砲などを目にして、これらの軍事装備は本来は華やかにシャンゼリゼをパレードするものではなく、本来は、悲惨な戦場で使われるものであることを複雑な気持ちで見つめていました。

 そもそも、フランスという国の強さをアピールする軍事パレードというものをこの圧倒的な美しさとともに国の誇りとして晴れやかに披露し、多くの人が愛国心を募らせるフランスという国の文化をあらためて、日本とは全く違うものなのだ・・と、これまでと違う見方をした今年のパリ祭でした。

 ウクライナ戦争を機に多くの国で国防費を拡大し、軍事力を強化する方向に進んでいます。自分の国は自分の国で守る体制を作らなければならない状況であることはわかりますが、どうか、これが軍事パレードに留まり、実戦に使われることがないように・・と祈りながら見つめたシャンゼリゼのパリ祭の軍事パレードでした。

    


 夜にはエッフェル塔での花火も完全復活、ウクライナカラーになる瞬間もありました。

   



パリ祭 シャンゼリゼ軍事パレード


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2022年7月14日木曜日

脅威の時差ボケ 私は日本の食材の山を見ただけで時差ボケする

  

娘が運んできてくれた日本食材の一部


 現在、仕事で日本にいる娘が友人の結婚式のためにパリに来ています。ガッチリしている彼女は、少しでも安いチケットと、経由便の長距離フライトを選び、日本からパリまで20時間くらいかけてやってきました。

 前回、私が日本に行った時には、彼女が夏にパリに来ることがわかっていたので、私がパリに戻る時に持ちきれなかった食糧などは、彼女が持ってきてくれることになっていました。

 彼女はパリに来るのには、他にほとんど荷物がなかったために、持てる範囲で、日本で買ってきてほしいものをいくつか頼んでありました。

 7月に入ってからのシャルル・ド・ゴール空港の混乱ぶり、特にロストバゲージが多く出ていることを聞いていたので、荷物には必ず名前と連絡先のついたタグを必ずつけるように、しつこく言い含め、彼女の安否はもちろんのこと、自分の足で動いたり、しゃべったりできない荷物の安否についても、私はかなり心配していました。

 幸いなことに、彼女がパリに到着したのは、最もシャルル・ド・ゴールが混乱していた週末の後であったため、彼女も荷物も無事に到着しました。

 彼女が家に着いて、スーツケースを開けて、荷物を出してびっくり!、山ほどの日本の食糧は、私が頼んだ荷物(ほぼ日本の食糧ですが・・)だけではなく、私の友人や従姉妹や叔母たちが彼女に託けて持たせてくれたものがたくさん詰められていました。

 彼女が持ってきてくれた貴重な日本の食糧を一つ一つ眺めながら、冷蔵庫にしまうものを確認して、一つ一つ冷蔵庫に納めながら、私は軽い興奮状態にありました。自分が日本に行かずともこんなに日本の食糧がやってくるなんて!!!と。

 その日は感激しながら、明日の朝はあれを食べようか?これを食べようか?と考えながら、幸せな気持ちで眠りにつきました。娘は長距離フライトながらも幸いにも飛行機の両隣が空席だったとかで3席使って、飛行機の中でしっかり眠れたから大丈夫・・と意外にも元気で、私が前回日本から長距離フライトで帰仏した時よりもずっと元気でした。

 なんと、2週間近くパリにいるというのに、彼女は数日しか休暇をとっておらず、リモートで仕事するから時差ボケは治さなくてもいいと言い、それでも、到着した日から、夜はさっさと寝て、翌朝、会議の時間に合わせて起きなければ・・と言いながら、さっさと寝てしまいました。

 私はいつもと同じ時間帯に眠りにつきましたが、翌朝、自分で自分にびっくり!別に時差ボケなどしているはずのない私が朝5時過ぎにはなんとお腹が空いて目覚めるという驚きの現象が・・さすがに5時に起きるのは、いくらなんでも早すぎる・・と思いながらも、もう空腹でどうにも眠れず、10分ほどベッドの中でグズグズしていたものの、諦めてさっさと起きて、朝食をとることに・・・。

 朝から丁寧に出汁をとって、お味噌汁を作り、彼女が持ってきてくれた納豆やお漬物、お魚などで、朝からしっかり和朝食をとって、大満足。それにしても、普段、朝はあまりお腹が空かないので、滅多に普通の朝食でさえ取らない私が日本の食材を見ただけでお腹が空いて時差ボケ状態のように早朝からお腹がすいて目が覚めるということに自分で失笑してしまいました。

 本当に時差ボケしているはずの娘が起きてきたのは、私が朝食を取った後、しかも彼女は会議の時間に合わせて仕方なく起きてきたに過ぎず、さほど時差ボケしている様子がないのは、さすがに若いなぁ〜と感心してしまいます。

 私の時差ボケは1日で治ったので、本当の時差ボケではなく、単なる私の食い意地が私を早朝から目覚めさせただけのことでした。

 しかし、彼女はパリに来てからも、日本での会議の時間に合わせて、今日は夜中の1時に起きなければとか、朝7時に起きなければ・・などとやっていますが、私は通常どおりの生活に戻り、寝るのは夜中の1時頃。

 そんな家のリズムに一番、ぐったりしているのは猫のポニョ。私も娘もお構いなしに、それぞれの時間に寝たり、起きたりしているのですが、ポニョにはどうやら、家族の動向を見守らなければという使命感があるらしく、誰かが起きてくれば、一緒に起きて見守ってくれているようなので、私が寝たかと思うと娘が起きてくるのに合わせて、ついていくので、完全に睡眠不足。この私と娘のズレた時間での生活を見守る身としては、かなりお疲れの様子です。

 朝、娘が起きれば、私の部屋に来て、私を起こしはしないけれど、「もう彼女は起きているんだから、もういい加減に起きたら・・」とでも言いたげな様子で待っているのです。

 こんなに献身的に家族を見守ってくれる猫をよそに、食べ物を見ただけで時差ボケする私は、猫以上に動物的なのかもしれません。


時差ボケ


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2022年7月13日水曜日

この猛暑の中、パリ市内のプールがストライキ

  


 今年の夏のバカンスシーズンが始まるとともに、SNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)の一部、空港公団などのストライキが立て続けに起こり、バカンスに出かけようとする人々を大混乱に陥れています。

 特に空港のストライキによる多くのフライトキャンセルとともに空港に山積みにされた荷物が2週間近く経った今も未だに空港に山積みにされている光景には、荷物を持たずにバカンスに出発させられた人々の困惑ぶりを思うと本当に言葉もありません。

 私が同じ目に遭っていたなら、こんなトラブルに巻き込まれるくらいなら、フライトはキャンセルしていたのに・・と思っていたと思います。

 まさにバカンスシーズンに入るにあたって、最も人々が迷惑する機関が続々とここぞとばかりにストライキを連発している感があります。以前、RATPのストライキが続いてウンザリしていた時にフランス人の知り合いに、「もうこんな時に酷く迷惑だ!」というようなことを言ったら、「ストライキは一番、人の迷惑になる時にやらなければ意味がないじゃない!」とあっさり返されて、「そりゃそうなんだけどね・・さすがにストライキの国で生まれ育った人は根性が座っている・・」と唸ってしまったことがありました。

 そして、今年は公共交通機関や空港に加えて、今度はパリ市の市営プールで7月1日から8月31日までのストライキを呼びかけており、パリ市のホームページによると、パリ市内の42ヶ所のプールのうち、すでに12ヶ所のプールが閉鎖しているそうです。

 特に今週は、パリではすでに6月に迎えた40℃に迫る猛暑が再び襲うと言われている中、バカンスに出かけられないパリ市民にとって、市営プールの閉鎖は、厳しい現実です。

 もともと、フランスでは、日本のようにどこの学校でもプールがあるわけではなく、(というより、むしろ学校にプールがあることは極めて稀)、学校の水泳の授業でさえも、市内のプールに移動して行われているのが普通で、そもそも、市営のプールでさえもそんなに数があるわけではないので、学校やクラス(または学年)ごとに振り当てられる水泳の授業の時間は、そもそもほとんどが屋内プールであることもあり、夏の間に限られたことではありません。

 娘が小学生の頃は、水泳の授業が真冬の寒い時期にあたり、いくらプールは温水プールでも学校との行き帰りの往復で風邪をひいてはいけないと思い、タイツを履かせて出したら、これまた教師から、「水泳の授業のある日は着替えに時間がかかるので、タイツは履かせないようにしてください」などと、信じられない通知があり、仰天したことがありました。

 「ふつう、逆だろ!風邪をひかないように暖かくしてきてください・・だろ!」とフランスの教師はこれだから嫌だ・・」などと思ったことがありました。

 話は逸れましたが、今回の真夏の猛暑時のパリ市内のプールのストライキは、労働時間の増加と休暇の減少に抗議したものだそうです。

 もともと、我が家の近くの市営プールは夏には職員がバカンスに出てしまうために閉めてしまうプールだったうえに、ここ数年、改装中のために何年も閉鎖状態。つい先日、ようやく「改装工事が終わりました!プールが再オープンします!」という招待状が来ていたので、ようやく、プールに行けるな・・と思っていたのですが、私は風邪をひいたりして、ちょっと体調を崩しているうちに、コロナウィルス第7波の感染急上昇に恐れをなして、ちょっとプールに行く勇気はありません。

 しかし、娘が小さな頃には、さんざんお世話になった市営プールです。とにかくエネルギー溢れかえる娘をなんとか夜、あっさりと寝かすためにも我が家にはプールは不可欠で、休みの日には、必ずと言っていいくらいプールに通い続けていました。

 このインフレで生活も逼迫していく中、フランス人が何より大事にしているバカンスも期間を短縮したり、出費を抑えようとしている中、バカンスに出られない人もせめてプールくらいは・・と考えている人々には、大きな痛手です。

 フランスに住みながら、今さら、ストライキやデモにいちいち目くじらを立てているわけにもいかないし、時にはデモなどで声を上げることが必要であるとは思うようにはなりましたが、しかし一方で、多くの人を困らせて、なんとか自分たちの要求を通そうとするやり方は、駄々を捏ねている駄々っ子のような気がやっぱりしてしまうのです。


パリ市 プールストライキ


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2022年7月12日火曜日

青く晴れ渡る空の下のセーヌ川岸 パリプラージュの圧倒的な美しさ

  


 

 夏になると、パリプラージュがセーヌ川沿いに登場するようになってから、なんともう20年近く経っているのだそうです。初めてパリプラージュができた年に親子でどんなものか覗きに行ったのは、まだ娘が小学校に入る前のことだったと思うので、言われてみれば、そのくらい時間が経ったのかなぁと思います。

 パリプラージュは当初はなかなか画期的な試みで、夏に入ってもバカンスに出かけられない人にも身近なところでバカンスを楽しめるように作られたものでしたが、その後、すっかり定着し、パリの夏の風物詩のようなものになりました。




 一昨年は、このパリプラージュに検査場ができた!などというニュースで賑わっていましたが、コロナ禍もずっとパリプラージュはパリに存在し続けてきました。

 ここ数年の夏の暑さはパリでも年々厳しくなっていますが、太陽の大好きなフランス人は、この暑さにもめげず、セーヌ川岸で美しい風景を楽しみながら、夏を満喫しています。




 パリ中心部のセーヌ川岸の風景は、青い空に緑、深い色の水がきらきらと輝き、沿岸に並ぶ歴史ある建物と一体化して、すでにそこにあるだけで絶景なのですが、そこに、その風景を引き立たせるような色のビーチパラソルやデッキチェアなどがきれいに並び、洗練されたリゾート空間はやはりパリならではの圧倒的な美しさです。

 セーヌ川をときおり通っていく観光船も今年は観光客が戻って満席です。

 また、洗練された雰囲気の中にあるスポーツやゲーム、レジャーを楽しむためのものは、なかなかレトロなシンプルなものであったりするところも、ちょっと、フランスらしくて、ほっこりさせてくれます。



 テーブルサッカー、ペタンク、ボルダリング、巨大なボードゲームや屋外図書館、水遊びができるスペースなどなど、これらが全て無料で利用できます。

 また、ポン・ヌフのふもとで毎日10時から12時まで太極拳、ルイ・フィリップ橋で毎週日曜日の10時から12時まで「コーチング・ランニング」、土曜日と月曜日にはスウェーデン・ジムのクラスが開催されます。

  


 また、それらとは少し離れた場所(同じセーヌ川沿い)にあるバサン・ド・ラ・ヴィレットでは、毎日午前10時から午後10時までアクティビティが開催されており、2024年のパリオリンピックを彷彿とさせるカヌー、パドリング、ペダルボート、ハワイアンカヌーなど、ウォータースポーツを楽しむこともできます。(毎週日曜日の午前10時から正午までは、ブレイクダンス教室を開催)




 今年は、イタリア文化(写真、映画、演劇、音楽)にスポットライトを当てる「ドルチェ・ヴィータ・シュル・セーヌ」フェスティバルが開催され、映画などを水辺で楽しむこともできます。

 レジャー・リラクゼーションエリアと称して、ヤシの木や桑の木を増やして、今年はこの計画をさらにグリーン化したとパリ市はアピールしています。

 現在、コロナウィルス第7波が国全体を襲っているにもかかわらず、パリ市役所は今年のパリプラージュ開催をゲージや制限なしに行う予定だそうです。




 今年、久しぶりにパリプラージュを覗きに行ったのですが、平日であったため、さほど混んではいませんでしたが、すでに先週末はものすごい人出だったとのこと。今週のパリは再び猛暑に見舞われるとかで、すでにかなり強い日差しで、私など日傘をさしながら、歩くだけでもヘロヘロで、少しでも木陰を見つけるとホッとするような気分で少し涼んだり、霧状の水が撒かれている場所で涼んだりしながら、それでもパリの圧倒的な美しさを楽しんできました。

 しかし、これだけ暑いというのに、デッキチェアに横たわる人もたくさんいて、炎天下でゲームをしたり、ランチを食べたりとフランス人の太陽好きを目の当たりにして、太陽の光とこの空間を満喫している様子にあらためて驚かされたのでした。




 それにしても、夏の間だけではありますが、ちょっと街中のパリとは違うまた別の美しいパリを味わえる空間、色々、大変なこともあるけれど、なんとなく住んでるだけではありますが、パリが誇らしく思えるような美しい空間です。

 夏の間にパリを訪れる機会があったら、ぜひ、足を運んでみるのも楽しいかもしれません。




パリプラージュ


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