2022年3月21日月曜日

フランス国内のオリガルヒ資産の凍結とフランスの税務署

   


 ブルーノ・ル・メール経済・財務相は日曜日、フランスは国内にあるロシアのオリガルヒ(プーチン大統領と緊密な繋がりのある新興財閥)の資産(ヨット、アパート、銀行口座など)8億5000万ユーロ近く(約1,121億円)のオリガルヒの資産(ヨット、別荘、一戸建てアパート等の不動産物件、銀行口座)を凍結したと発表しました。

 資産の凍結とは、その所有者が「もはや使用、転売、収益化できない」ことを意味します。「しかしこれは、国が所有者となり、転売できるという意味での凍結ではなく、差し押さえるためには、刑事犯罪がなければならない」と説明しています。



 すでにロシアのウクライナ侵攻に対して、EU、アメリカ、カナダ、日本などの国々が経済制裁としてロシアの主要銀行をSWIFTからの排除を開始していますが、同時にプーチン大統領と共に巨大な富を成してきた彼の周辺のオリガルヒの海外資産の凍結の作業を躍起になって進めているといいます。

 フランス財務省は、オリガルヒとよばれるメンバーをリストアップしながら、生年月日等を照会しながら、その人の財産ファイルや税金ファイルを調査し、お金の流れを確認して、その個々人の銀行口座の数や保有する財産の推定値などの資産の評価をしています。

 「フランスにあるロシアの全資産について、正確な数字はほとんどなく、この調査によって、ロシアの権力とその権力に付随する関係性などを調べ上げる地道で大変な作業には、分権化されたサービスも含めて、数百人がこの仕事に携わっている」としています。

 しかし、多くの金融資産や財産が特に不透明なタックスヘイブンに保管されており、フランス行政の調査官の仕事を非常に複雑にしているため、国際的な情報交換と協力があってこそ成り立つものであり、フランスは、この財産の根拠を検証するための国際的なネットワークを持っていると発表しています。

 とりあえず、フランスが凍結したという8億5千万ユーロの資産がオリガルヒのメンバーにとって、どの程度の痛手を与えるものなのかは、わかりませんが、プーチン大統領の取り巻きの気持ちを挫き、彼に背を向ける力となってくれることを祈っています。

 最近は、フランスでは、税金の申告なども全てオンラインで済むようになっていますが、まだ、手書きの税金申告の書類が郵送で送られてきた頃から、税金の請求だけは漏れなくきっちりやってきて、その他の数々のお役所仕事がズルズルなことが多いフランスも、「税務署だけは、きっちり仕事をする・・・フランスでも税務署だけは、ちゃんと働く・・」と苦々しく思ったことがありましたが、私の税金などとは、まさに桁違いの次元の違う話ではありますが、世界の平和がかかっているこの局面、今回ばかりは、フランス財務省に本領を発揮してもらいたいと、思っているのです。


オリガルヒ資産凍結



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2022年3月20日日曜日

フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨

  



 フランスHAS(高等保健機構)は2回目のブースター接種、つまり4回目のワクチン接種を65歳以上の人々に推奨する(門戸を開く)ことを発表しました。

 これには、ちょっとびっくりで、4回目のワクチン接種に関しては、80歳以上の人々に対しての4回目のワクチン接種推奨が発表されたのが、3月14日、それから1週間もたたないうちに、この年齢の幅を急拡大するとは、ちょっと驚きでもあります。



 これまで、この4回目のワクチン接種に関してはかなり慎重な態度をとってきたフランスがここへきて、義務化ではないものの、この短期間で、年齢の幅を65歳以上にまで拡大することには、少々、疑問を感じています。

 現在のフランスの感染状況は、少しずつ上昇している軽いリバウンド状態にあり、気がついてみれば、1日の感染者数は再び、10万人を超える日が続いています。

 現在のところ、感染者数は増加しているものの、集中治療室の患者数は増加してはいませんが(コロナウィルスによる患者の占拠率34%)、3月10日現在、入院患者の80%を占めているのは、60歳以上であることが4回目のワクチン接種を推奨する理由の一つとして挙げられています。

 しかし、フランスは、同時にワクチンパスとマスク義務化を撤廃していることが、さらに解せないことで、「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」としながらも、その「有効性と安全性」について、未だはっきりとしたデータが確認しきれていないまま、どんどんその年齢も拡大され、この勢いで年齢層が拡大されていけば、じきに、私の番も回ってきそうで、義務化ではない分、自分で判断しなければならない場面が訪れます。

 結果的に3ヶ月ごとにワクチン接種を続けなければならなくなる前に、ワクチン以外で感染回避できる方法(マスク義務化やワクチンパス)を排除するのは、戦争による緊張状態やインフレへの反発や、間近に迫ってきた大統領選挙の人気取りのためだという声も上がっています。

 そもそも衛生観念や規律正しさを語りだせば、日本とは比べものにはならないフランスではありますが、あらためて、原点に戻れば、この基本的な衛生管理がきちんとしている日本では、感染状態が悪化した時期があったとしても、それは、世界からみれば、比較にならないほど感染者数や被害は少ないのであって、この日頃からの衛生的な環境がどれだけ、感染対策として有効なものであったかは、明白です。

 しかし、義務化されなければできないフランスで今、この縛りを解いてしまって、一気にまたさらにワクチンへと向かってしまうのには、どうにも腑に落ちない気がしてなりません。

 現段階では、65歳未満の人々は、4回目のワクチン接種は対象外としており、HAS(高等保健機構)は、対象外の人々(65歳未満)に対する4回目のワクチン接種は「適切ではない」としています。

 つまり、基本的には4回目のワクチン接種には、依然として懐疑的にもかかわらず、罹患した場合に重症化するリスクと4回目のワクチン接種によるリスクを天秤にかけた結果と考えることができます。

 私が3回目のワクチン接種をしたのは、昨年の12月、3ヶ月後には、有効性が減少しはじめるというならば、そろそろワクチン接種の有効性は下がり始めているはずです。

 マスク着用義務化が撤廃してから、そろそろ1週間、最初は思ったよりもマスクをしている人は多いな・・という印象でしたが、それもやはり、日に日に減少してきている印象で、本来ならば、公共交通機関の中では未だマスク着用が義務付けられているにもかかわらず、メトロやバスの中でもマスクをしていない人がちらほら目につき始めました。

 ウクライナでの戦争対応と選挙対応、コロナウィルス感染に対する対応に揺らぎが感じられる最近のフランスです。2月半ばに3月中旬にマスク着用義務化の撤廃に関して、一定の基準を設けた頃を境に、その後、ガラガラと感染対策のための規制が崩れ始めました。

 戦争があろうと、選挙があろうとウィルスは容赦してはくれないのです。


4回目ワクチン接種65歳以上


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2022年3月19日土曜日

ウクライナへの援助・寄付は、どこにすべきか?

  



 最近、スーパーマーケットに行っても、ウクライナに支援をしませんか? という張り紙がしてあったり、実際に買い物の支払いの際にカードで支払おうとすると、ウクライナに寄付しませんか? という画面が出てきて、ちょっと戸惑うこともあります。時には、募金箱のようなものが置かれていたり、私が口座を持っているフランスの銀行からも、「ウクライナ支援のための寄付をしませんか?」などというメールが送られてきたりもしています。

 ついには、先日、フランス版メルカリサイトVinted(ヴィンテッド)まで寄付しませんか?というメッセージを送ってきました。

 カードを使ったり、実際に口座を管理している銀行からのメールで、寄付はこちらから→(多分、そこをクリックすれば、)スムーズに寄付できるようになっていると思うのですが、素直にそれを信用すれば、簡単に寄付できるようになっていることは、悪くはないとも思うのですが、私などが寄付するにしても、そんなに大金ではないとはいえ、なんとなく、このお金がどんな風にどこに行き、どのように使われるのか? これは本当にウクライナの人にちゃんと届くんだろうか?懐疑的に感じてしまう部分もあります。

 調べてみれば、ウクライナへの寄付を募っている団体や組織は山ほどありますが、気をつけないと、これに乗じた詐欺などもあり、こんな時にとても残念なことではありますが、せっかく寄付をするならば、納得いくところを選ばなければ、おかしなところにお金が行ってしまう可能性もあるし、現実にうまくお金が運用されるかどうかもわかりません。

 この戦争とは関係はありませんが、以前、私がコートジボアールに住んでいた頃に、首都アビジャンからそう遠くない所に、日本政府がお金を出して設立した病院があるというので、見に行ったことがありましたが、行ってみると、そこには、「Japon × Cote d'Ivoire(コートジボアール)CO-OPERATION」と書かれた大きな看板が立っており、(内心、これって、CO-OPERATIONなのか?とも思いましたが・・)病院の外郭はできあがっているものの、工事は途中で頓挫し、廃墟のようになっていて、びっくりしたところ、聞いてみると、実際に病院を稼働するための人材がいないとのことで、一体、日本政府は、何のために少なくないお金をこの国に投入したのか?これも日本国民の税金だ・・と、うんざりしたことがありました。

 日本の国家予算からしたら、大した金額ではないのかもしれませんが、それにしても、国民の税金が、このような中途半端な使い方で無駄にされていることを私はたまたま目にしたのであって、ほとんどの国民は知らずにいるのです。

 こんな様子を目にしたこともあって、全てを信用しないわけではありませんが、名の知れた大きな団体ならば、寄付したお金が正当に使われるだろうとは限らないと、なんとなく私は思ってしまうのです。

 例えば、人道支援NGOケア・インターナショナルは、ウクライナの住民や難民への緊急支援を行うため、オンライン緊急募金フォームを提供しています。フランスのNGO「ACTED」は、ウクライナに人道的輸送隊を組織し、難民に食糧援助や生活必需品を配布していますが、以下のような説明もしています。

 ウクライナの人たちを支援するために、物資の収集に参加したいという声が多く寄せられていますが、各協会によると、ほとんどの場合、金銭的な寄付が最も効果的であるとしています。現地の協会が必要なものをその場で購入し、支援することができ、そのお金で現地調達が可能になり、地域経済が活性化するとしています。

 そして、それは、事実でもあるとも思います。

 現物支給には、誰もがすぐに具体的な形で連帯感を表すことができるなどの利点がありますがフランスでは、例えば、赤十字の支部が毎日食料や衣類を集めていますが、赤十字の緊急・救援活動責任者は「国際的には、さまざまな理由から現物支給は行っていない」と説明しています。

 寄付にもそれを管理するための体制が必要で、今回の戦争で国連があまり機能していないように、国際的な支援団体も必ずしもうまく機能しているかどうかにも少々、疑問を抱いてしまう部分もあります。

 もちろん、多くの団体が有効に寄付を何らかの援助のために使っているものとは思いますが、団体が大きければ大きいほど、それが現地に届くのに時間がかかるかもしれません。

 そんな時、たまたま上がってきたユーチューブで日本語も堪能なウクライナ人がウクライナについて語り、彼自身が寄付を募って、直接現地の人に物資を提供しているという動画を見ました。下に貼った動画は、少し長いものですが、他に収支報告の動画なども掲載しています。

 


「キエフ在住ボグダンさんのYouTube」

 

 日本でも生活していたことがあるという彼は、現在、戦渦の中、ウクライナで生活しながら、日本から寄付を募って、現地の人々を直接、援助する活動をしながら、現地の様子を発信し続けています。

 大きな支援団体と違って、大々的な内容ではありませんが、少なくとも確実に現地の人に寄付が伝わっている様子が伝わります。

 寄付に関しては、それぞれの自由で、様々な考え方があると思いますが、現地在住の人目線で、直に寄付が反映されている様子が伝わる彼のような人に寄付を託すのも悪くないかなとも思いました。


ウクライナ寄付金


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2022年3月18日金曜日

パリのお寿司屋さん ふじた Foujita

   


 今やパリには、どこに行ってもお寿司屋さんがあるようになり、どこのスーパーマーケットに行ってもお寿司を売っているほど、お寿司はフランスに普及?して、SUSHIを知らないフランス人はいないほどになりました。

 しかし、そのお寿司屋さんの多くは、中国系のチェーン展開の元締めのものと思われるようなメニューがならぶお店が大部分で、いわゆる日本のお寿司屋さんを期待して入ると、ちょっと肩透かしを食うかもしれません。

 そんな中で、「ふじた(Foujita)」というお寿司屋さんは、お寿司がこんなにフランス中に広まる前から、比較的、庶民的な値段でそこそこの(失礼!)クォリティーのお寿司が食べられるお寿司屋さんとして、人気のお寿司屋さんでした。

 以前は、パリ1区のわりと近い距離にもう1店舗あったのですが、いつの間にか、1店舗のみの営業になってしまっています。

 昔、よく行っていたサントノーレ通りにあった店舗の方が規模も大きく席数も格段に多く、メニューも豊富で、いつも満員のうえに、行けば必ず知り合いの誰かに会うというほど、パリに長く住む日本人にも人気のお店だったのですが、その大きな支店の方が閉店してしまい(あんなに繁盛していたのに、なんで閉店してしまったのか?とても不思議で残念)、今も続いているのは、席数がせいぜい20席ほどの小さなお店です。

 今、パリに繁殖?しているチーズ入りの焼き鳥もあれば、餃子まであるようなお寿司屋さんとは違い、小さなお店のカウンターの中には日本人ともう一人の板さんが二人、お寿司を握っています。オーナーと思われる日本人の年配の男性がお店全体の流れを調整しながら、回しています。

  


 メニューもお寿司、お刺身、納豆、焼き鮭などのシンプルなメニューに、アラカルトで個別にお寿司を握ってもらう(お刺身も)ことができます。お客さんはフランス人がほとんどですが、ある程度の常連さんと思われる人が多くて、混雑はしていても、どこか落ち着いた感じの人が多いです。

 周囲のお客さんを眺めても、器用にお箸を使えるフランス人が増えたものだ・・と感心してしまいます。「いつものね!」などと注文している人もいます。

 


 何より魅力なのは、日本人経営のいわゆるちゃんとしたお寿司にもかかわらず、お値段がお手頃価格であることで、ラーメン屋さん(パリの)に行くのと大して変わらないお値段でお寿司が楽しめます。

 小さいお店ゆえ、たとえ、混雑していても、すぐに握ってくれて、あっという間に出てくるので、すぐに作りたてのお寿司を食べることができます。

 ちょっとわかりづらいところではありますが、フランスでは珍しいお寿司の食品サンプルがショーケースにならんでいるので、それを目印にして探すとわかりやすいかもしれません。

 何より、てきぱきとお店が流れているので、回転もよく、気持ちよく、あっという間に美味しいお寿司にありつけるので、私は時々、通っています。ランチをその場で食べて、お持ち帰り用にバッテラなどを頼んでおくと帰るまでに作っておいてくれるので、2度楽しめたりもします。

 パリにいらして、気軽にお寿司を食べたくなったら、このお店、おススメです。もちろん日本語でOKです。

 オペラ座、ルーブル美術館、チュイルリー公園などからも歩いて行けます。


パリ日本人経営のお寿司屋さん ふじた Foujita


⭐️ふじた(Foujita)41 Rue Saint-Roch 75001Paris

 メトロ Opéra 3,7,8番線、 Pyramides 7,14番線より徒歩5分

 営業時間 12:00~14:15, 19:00~22:00(月曜休)





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2022年3月17日木曜日

マクロン大統領のゼレンスキールック

   


 今週の始めにマクロン大統領がSNSに、明らかに今やウクライナの英雄的存在となっているゼレンスキー大統領を意識したと思われるラフな出立ちで登場したことが話題になっています。

 目の周りの隈、髭も剃らずに乱れた髪、ジーンズと黒いパーカー姿のマクロン大統領は少なくないインパクトを国民に与えています。

 共和国大統領の公式カメラマン、ソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が自身のインスタグラムアカウントで、エマニュエル・マクロンの一連の写真を「日曜日 13/03/2022 - 夜遅く - エリゼ宮 - 国際電話中の @emmanuelmacron」というキャプションとともに公開したのです。

 マクロン大統領は、オルレアン近郊に拠点を置く空軍第10軍(CPA10)のロゴが入ったパーカーを着ています。

 パリッとしたシャツにダークスーツという、マクロン大統領に慣れ親しんでいるクラシックなスタイルとはかけ離れたカジュアルな服装には、いろいろな憶測が飛び交い、大統領選の第一ラウンドまで1カ月を切った今、選挙戦に臨むアピールとも思われ、何よりも、この彼の出立ちは、最近、SNSを巧みに利用し、世界に向けて発信を続け、英雄的な存在となっているウクライナのゼレンスキー大統領を彷彿とさせるものがあり、「ゼレンスキールック」と揶揄する人もいます。


 このSNSの投稿には、「ゼレンスキーを気取っているつもりか!」「バカバカしさの極み!」「2日前はEUのVIPたちとヴェルサイユ宮殿で宴会をしていたのに、今度は3ヶ月間雪の下で戦っていたかのように振る舞っている!」「フランスを動かしているのは、この知恵遅れでナルシスト!」などなど、厳しい非難の声も多数、上がっています。

 かねてより、コミュニケーションの達人と呼ばれ、自らツイッター、インスタグラム、TikTokのアカウントを持ち、あらゆる発信を続け、人気ユーチューバーのチャンネルに登場したりと、SNSを広範囲で利用してきたマクロン大統領ですが、戦渦で命を狙われながら鬼気迫る強力な発信を続けるゼレンスキー大統領にのっかるようなこのゼレンスキールックの発信には、反発を感じる人も少なくなかったようです。

 しかし、実際に、これは、休日であるはずの日曜日の夜のこと、戦渦を逃げ回ることはなくとも昼夜、休日問わずに働き続けているマクロン大統領の目の下の隈は、リアルなのではないか?と思います。

 いずれにせよ、これだけ話題をさらうということは、彼のアピールにはつながっているのだし、口の達者なマクロン大統領なら、「ウクライナとの連帯の気持ち」などと、容易にかわせるものであるでしょうが、彼自身は、沈黙を保っています。

 このような反応にいちいち応えているほど、彼も暇ではないでしょう。

 私は、むしろ、このような休日のラフなスタイルが逆にしっくり似合っている若くてエネルギッシュな大統領を単純に羨ましく思っています。

 以前、コロナウィルスの感染対策のためにステイホームを呼びかけるために、日本の元首相が流したSNSでの発信に比べたら、どれだけカッコいいか?と思ってしまうのです。

 しかし、休日には、ゼレンスキールックに身を包んでいるマクロン大統領のもとには、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ前大統領からキエフへの招待状が・・。

「マクロン大統領のキエフ訪問は、非常に大きな連帯の象徴となるであろう」「彼が勇者であることは知っている」と・・。

 激務に追われるマクロン大統領が危険を冒してキエフを訪問することは、あまり現実的な話ではありませんが、こんなSNSが流された直後のことで、なんだか、ちょっと皮肉な感じも受けてしまう結果となりました。


ゼレンスキールック マクロン大統領の休日



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2022年3月16日水曜日

キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!

   


 2月の段階で予約していた3月中旬のパリ発日本行きの直行便が欠航となって、已む無くキャンセルしました。その時点では、先方の要望で、直行便でという指定であったために、当分、欠航が続きそうな状況に、いつ再開するのかもわからないパリー日本行きのフライトを予約するわけにも行かなかったからです。

 パリ発日本行きの直行便はエールフランス、JAL.、ANAの3つの航空会社のみで、エールフランスは、今回のウクライナ問題が勃発して早々に、運航を停止していたので、日本の航空会社を選択せざるを得ませんでした。

 実際に、日本に行く時は、たいていこの3社のいずれかを利用しているのですが、エールフランスは、以前に予約していたフライトがストライキになって、急に帰りの便を他の経由便に変更されて往生したことがあって以来、避けるようになっていました。

 今回、フライトの予約をしたのは、戦争が勃発する直前のことで、その時は、飛行機も普通に運航していたので、少々不安ではあったものの、その頃に懸念していたのは、どちらかというと、コロナウィルス感染対策の検査や隔離についてで、まさか、戦争がこんなことになり、フライトがキャンセルになるとは、思ってもいなかったのです。

 ところが、戦況は日々、悪化、いったん欠航になったフライトもそのうち空路を変更して運航するのではないか?と甘い期待を抱いてもいたのですが、その期待は全く甘いもので、1週間前になって、チケットを購入した会社から、「あなたの予約したフライトは、欠航になりましたが、フライトを変更しますか?それとも返金手続きをしますか?」という連絡が入り、とにかく見通しがたたないので、キャンセルをして、返金手続きをしてもらうことにしていたのでした。

 今回、予約していたのは、JALの直行便でしたが、JALで直接、購入したわけではなく、少しでも安くと、旅行会社のサイトで購入していたので、JALに直接、キャンセルできるわけではなく、その旅行会社にキャンセルを申し込んで、返金をお願いするという心許ないことをするハメになったわけで、一応、即時の対応はあまり期待していなかったものの、キャンセル確認の返信をお願いしますというメッセージを送ってありました。

 このご時世、キャンセルも立て込んでいるだろうと、そんなにすぐに返事が来ると期待はしていませんでしたが、数日経って、キャンセルの確認の通知がきて、返金には時間がかかる様子でした。

 この際、もう全く紙切れになってしまう覚悟もしていただけに、あまり期待はしていなかったのですが、先日、JALのパリ支店からキャンセルの確認のお電話を頂き、しっかりキャンセルされていることや、旅行会社を通して購入したチケットに関しての返金手続きなどについて、ご丁寧に説明してくださいました。

 考えてみれば、今まで何十回も利用しているものの、予約したチケットを自分から変更したり、キャンセルしたことは一度もありませんでしたが、この非常時に日本の航空会社のこの丁寧な対応に、やっぱり日本の会社は親切で安心・・とあらためて、感激した次第です。

 最近、日本・・大丈夫かな?と思うことも多かったのですが、久しぶりに「やっぱり日本の会社のサービスはさすがだ・・」と思える出来事でした。

 次回、予約する時は、JALにしよう!と思いました。


JAL 航空券キャンセル 返金 払い戻し


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2022年3月15日火曜日

マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力

  



 フランスでは、一部の例外(公共交通機関や医療施設、高齢者施設等)を除いて、今週からマスク着用義務とワクチンパスポートが撤廃されました。

 フランス人の気質から考えると一気に「やった〜!!!」とマスクを外す人が多いと思っていましたが、思ったよりは今はまだ、屋外でさえもマスクをしている人はいるな・・という印象です。

 とはいえ、まだマスク撤廃は始まったばかり、公共交通機関などは、未だにマスク着用は義務化のままなので、その度に、マスクをつけたり、外したり・・というのが面倒だということもあるのかもしれません。

 しかし、会社内など、1日中、同じ場所で過ごす人々にとっては、マスクの義務化が撤廃されたことは、息苦しさとコミュニケーションのとり辛さから解放されたと喜ぶ人は少なくありませんが、依然として、マスクをしている人も思ったよりは少なくありません。

 実際に現在のフランスの感染状況は、オミクロンBA2による、ちょっとしたリバウンド状態にあり、正直、本来ならば、きっと解除はしていなかった状況なはずで、マスク義務化が撤廃されることを疑問視する声もあり、また、このマスク義務化撤廃の決定がマクロン大統領の大統領選挙立候補公表の前日に行われたこともあり、選挙のキャンペーンに利用されたという声まであがっており、マスク義務化の撤廃を手放しで喜べる状況ではありません。

 実際には、当初、予定されていたマスク撤廃のための基準値には達していない段階で、このマスク義務化の撤廃に踏み切ったのは、ウクライナ戦争のための緊張状態や物価の高騰などの人々の不安や不満を少しでも軽減することや、このウィルスの変異による感染形態などを考慮してのものとは思われますが、個人的には、とても、マスクを外す気にはなりません。

 マスク義務化の撤廃は、マスクを禁止されたわけではなく、義務化がなくなっただけなので、引き続き、マスクをし続けることは自由ですが、そんな中で、早くも一部で登場しているのが同調圧力とも思われる「マスクをしている人に対する嫌がらせ」問題です。

 元来、あまり周囲と違うことを厭わず、日本と比べると、服装などに関しても比較的自由で、誰がどんな服装をしていようと、フランス人は、我関せずの印象があるのですが、このマスクに関しては、また違う一面もあるようです。

 もともとマスク嫌いのフランス人、マスクをしている人がいるだけでも、せっかく解放された気分が損なわれて不愉快だという部分もあるのかもしれませんが、そもそも同調圧力というものは、少々、自分に自信がない場合に、他人を引きずり込んで自分を正当化して安心したいという気持ちのあらわれでもあり、そうでなければ、他の人がマスクをしようがしまいが、関係ないはずなのです。

 不安が人を攻撃的にするという意味では、このパンデミックが始まった頃、コロナウィルスの根源となったのは、中国で中国人=アジア人とばかりに、ネットなどで、「アジア人狩り」が呼びかけられて、アジアの人を攻撃しようとする人々が現れたことを思い出します。

 現在は、1年半も続いたマスク生活に慣れてしまって、マスクをしないで歩くことに、どこか心許ないような、違和感さえ感じるとかいうフランス人もいますが、マスクなしの生活が定着して、もとどおりの生活に戻るのには、きっと時間はかからないと思います。

 マスクを外せば、きっと、挨拶がわりのビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすぐに復活するでしょうし、エスカレートするのは目に見えるような気もします。

 この中途半端な状況でのマスク義務化撤廃がマスクをしている人に対する嫌がらせが横行する原因の一端でもあります。

 これまで、フランス政府は、感染対策規制の緩和を段階的に行なってきたのですが、ここへきて、ワクチンパスもマスク義務化も一気に撤廃するということを、私はちょっと疑問に思っているのです。

 せめて、今、まだ感染の懸念があるうちは、マスクをしづらくなる風潮にはなってほしくないのですが・・。


マスク義務化撤廃 同調圧力 


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