昨年夏の東京オリンピックの際には、開催国以上の盛り上がりを見せていた感じだったフランスは、どうやら、今回の北京オリンピックの開会式は、さほど注目していません。
もちろん、開会式の模様は、報道されていたものの、その開会式自体よりも、ゼロコロナ政策の中国の厳戒なバブル方式の一般市民とオリンピック関係者を絶対に接触させない感染対策ぶりに時間を割いて報道しています。
オリンピックのために中国に入国した選手やジャーナリストなどが、空港到着時から宇宙服のような防護服に身を包んだスタッフに誘導され、数度にわたるPCR検査や完全に一般市民とは隔絶された管理下におかれた宿泊施設での食事の供給なども人間ではなく、ロボットがしている様子などが、映し出されています。
選手はもちろんのこと、ジャーナリストの移動なども、中国政府承認の運転手による車での移動のみが許され、中国政府が報道してほしくない場面などは、容赦なく遮断されている様子などまでもが報道されています。
また、監禁状態になっているのは、オリンピック関係者だけではなく、現地の2300万人の北京市民自体が半監禁状態になっていると違和感をあらわにしています。
ル・モンド紙(フランス大手新聞社)などは、「今回のオリンピックは、中国のゼロコロナ政策、習近平国家主席の体制支配、緊迫した外交状況などから、決して人気のあるイベントとは言えない。」と書いており、また、他社からも「複数の要因(パンデミックや政治的な要因)から、緊張要因が絡み合う世界的なイベント」、「健康と政治的な理由から、史上最も閉鎖的な大会になることは間違いない」などなど、かなり否定的な報道が目立ちます。
夏の東京オリンピックの際は、パリ・トロカデロ広場に巨大スクリーンが設置されて、フランスでは、大熱狂であったことを思えば、今回のオリンピックには、何もないことが、その注目度を物語っています。
今回のゼロコロナバブル政策の制約の実行は、現在の中国の政治体制を反映しているとも言われています。
これは、2008年の北京オリンピックの時と比較されており、「当時、中国が目覚ましい経済成長、国際貿易への解放、住民の生活水準の向上により、徐々にこの国が自由化していくだろうと世界が期待していたとしたら、2022年には、その期待がなくなっている」
「かつては、自由で創造的かつダイナミックであった国が、習近平は断固として計画的に民主化を抑制し、中国15億人の生活を掌握されることが確実になっている」
「この北京オリンピックの「鳥の巣」と呼ばれるオリンピック競技場の設計に携わった芸術家は現在、亡命中」。
「そもそも、今回のパンデミックの起源となった中国は、その起源となった証拠を隠したまま公表していない」と、「中国政府がパンデミックの起源に関する真の調査を妨げようとし続けていることは、科学界と世界中の人々に対する冒涜である」と大会開幕の数時間前に約20人の国際的科学者が中国当局に対し、2019年末に中国で初めて検出されたコロナウィルスの起源について、WHOの合意のもと、真に独立した調査を許可するよう求める声明を発表しています。
それに追い討ちをかけるように、「この大会で使用される雪が100%人工雪であり、環境を破壊してまでスロープを一から作ったということで物議を醸した」とも取り上げられています。
競技が始まれば、スポーツごとの盛り上がりは見せるでしょうが、幸先は、あまりよくない雰囲気・・。
オリンピック選手には、罪はありませんが、スポーツ以外のことで、騒がしすぎるオリンピック、純粋にスポーツを楽しむ気にはなりにくい気がしています。
北京五輪 ゼロコロナバブル
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