ウクライナがロシア軍から激しい砲撃を受ける中、ポーランドにミサイルが直撃し、一昨日は、フランスにも大きな波紋が広がりました。
NATO加盟国であるポーランドがロシアからの攻撃を受けたとなれば、NATO条約第5条により、集団的自衛権を行使することに繋がる可能性があるのです。
この第5条には、「NATO加盟国が武力攻撃の被害を受けた場合、他の加盟国はこの暴力行為を全加盟国に対する武力攻撃とみなし、攻撃された国を支援するために必要と認められる措置を講じる」と記されています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、まもなく、このポーランドへのミサイル攻撃を「これはロシアの攻撃だ!インドネシアで開催中のG20サミットに対する「ロシアからのメッセージ」だと発言。
バイデン大統領も、「これはおそらくロシアの攻撃だろう!」と発言していましたが、当のポーランドは、極めて深刻な緊急事態であるとしながらも、早急に真相を追求する必要があると、慎重な態度をとっていました。
ロシア側はすぐに、これはウクライナの仕業だと声明を発表しましたが、これまでも、自分でしかけては相手のせいにしてきたロシアの発言に信憑性はありません。
漏れ伝わってくる戦況からすれば、現在のロシアがNATO全体の攻撃の誘因となるような攻撃をすることは、あり得ないとは思っても、そもそも、これまであり得ないことばかりをやってきたロシアが今度は何をやらかすかはわかりません。
また、NATO、マクロン大統領は、かなり冷静な態度を取り続けていて、不用意な発言はせず、「真相を解明し、慎重な対応をとる」という姿勢を崩すことはありませんでした。
私は、これまでNATOの集団的自衛権は、戦争を抑止するためのものとの認識で、実際にこれが行使されるかもしれないという局面が訪れる緊迫感を感じたのは、初めてのことで、よもや第三次世界大戦に突入するかもしれないという事態に、NATO加盟国であるフランスにも緊張が走ったのです。
しかし、一夜が明けて、NATOは、「ポーランドを直撃したミサイルは、どうやらウクライナの迎撃ミサイルが落下したもので、不幸な事故であったとの見方」を発表。しかし、彼はこの声明に加えて、「しかし、これはウクライナが悪いのではなく、もともと非合法の戦争をしかけたロシアの責任である」ことも付け加えて発表しました。
まだ、このミサイルの発射元については、正確に確定されたわけではありませんが、一先ずロシアのものではなかったらしい・・ということで、NATO第5条の勇み足は中断されることになったようです。
ウクライナは、当日も、少なくとも85発以上のミサイル攻撃を受けており、同時にインフラ施設への激しい爆撃作戦を受け、広い範囲で停電が起こっており、ゼレンスキー大統領がフライング気味の発言をしてロシアを非難するのもわからないではありませんが、NATOの中でもより大きな力を持っているアメリカの大統領としてのバイデン大統領の不用意な発言には、問題を感じます。
いずれにしても、あらためてウクライナでの戦争がもしかしたら、第三次世界大戦に発展する危険性はそんなに遠くないところにあるという緊迫感を感じ、「そんなことになったら、やっぱり自国である日本にいた方がいいのだろうか?」などと不安になった夜でした。
ポーランドミサイル落下 NATO第5条 集団的自衛権
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