2023年5月14日日曜日

大所帯でやってくるパリのバスの検札 

  


 このあいだ、パリ市内のバスに乗っていて、ある停留所に着いたところで、降りていく乗客を待ち構えているRATP(パリ交通公団)の検札の一団がいて、ヤレヤレ、最近は降りようとしているところを待ち構える作戦に切り替えたんだな・・でも、検札やっている様子を見かけたら、切符やNavigo(定期券のようなもの)を持っていない人、つまりキセル乗車をしている人は、そのまま乗り過ごせば検札を避けられちゃうんだろうな・・と思っていたら、さすがにそれは甘い話で、その停留所で降りる人のチェックがすんだら、今度は、その一団がバスの中に乗り込んできて、検札を始めました。

 しかも、それが6人組くらいの一団で、一台のバスにしたら、かなりの大所帯、彼らが検札をしている間は、バスは停車状態で、平日の午後のそんなに乗客も多くない時間帯で、その時は結局は、私の乗っていたバスにはキセル乗車をしていたらしい人は全くおらず、バスの中を一回りするとRATP(パリ交通公団)の一団は降りていきましたが、ものすごい威圧感でした。

 バスやメトロの検札、いわゆるキセルチェックは時々、見かけることがありますが、バスの場合、終点の停留所で待ち構えていたかと思うと、今度は私服に近い二人組のやたらと感じのよい女性が乗り込んできて、これまた本物のRATPの職員?逆にお金をまき上げるための詐欺ではないか?と疑っでしまったりと、パリ交通公団も手を変え品を変えと言う感じでキセル対策を行っています。

 しかし、それにしても、バスのキセル乗車チェックのためにこんなに大所帯の職員いる??と思ってしまうのです。

 そもそもバスに乗る時には、通常は運転手のいる前の入口から乗るのが普通で、乗車時に切符を買うこともできるにはできますが、最近Navigo(ナビゴと呼ばれるチャージできる定期券のようなもの)がほとんどで、切符を使っている人は少なくなりました。

 Navigoの場合、機械にかざしてチーンと音がして終わりなので、人に紛れて乗車して、このチーンをやらなくても、また、切符を持たずに乗り込んでしまっても、その一人一人を運転手さんがチェックするのは、かなり難しい話で、また、注意をすれば乱暴したり、運転手に暴力をふるったりする人もいかねません。

 またフランスならではの分業制?、運転手の仕事は運転することでキセル乗車のチェックは運転手の仕事ではないなどとも言いだしそうでもあります。

 インフレの波は公共交通機関にも及んでいて、今年に入ってから、パリのNavigoは一年で10ユーロ近くも値上げし、ひと月あたり84.10ユーロ(約12,500円)になり、切符(バス・メトロ共通)は1枚2.1ユーロ(約310円)になっています。

 インフレにつれてスーパーマーケットでの万引きも増加し、キセル乗車も増えているのかもしれないので、検札を強化するのもわからないではありません。

 しかし、先日起こったメトロのホームで、コートが挟まったまま電車が発車したために起こった悲劇的な死亡事故などを考えると、バスのキセルチェックに大所帯を動員するなら、駅のホームに1人ぐらい駅員を配置してもいいんじゃないか?とも思うのです。

 結局、安全性よりも、お金をしっかり取り立てる方に注力しているような気がして、どうにもバランスが悪い気がしてしまうのです。しかし、要は駅のホームに安全チェックのための職員がいないことがおかしいとは思わない・・あれはたまたまの不幸な事故だったと片付けられている節があります。

 私は最近の日本の事情には疎いのですが、そもそも都内でバスに乗ってキセルチェックなどしているところを見たことがありません。

 要はパリは、運転手が乗車時にチェックしきれない、うっかり注意すれば運転手に危険が及びかねない治安の悪さに加えて、待ちきれない乗客は出口からでも平気でバスに乗ってしまったりもするので、収拾がつかないので、こんなキセルチェックが必要になったりもするのです。

 こういうところが民度の違いといってしまえばそれまでですが、バスのキセルチェックに6人もの大所帯がやってくるのを見るにつけ、どこか殺伐とした気分になるのでした。


パリのバス 検札 キセルチェック


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2023年5月13日土曜日

2023年パリ・バゲットコンクール グランプリ受賞のバゲット オー・ル・ヴァン・デ・ピレネー


 ここ30年間続いているパリ市が主催するバゲットコンクールですが、今年は30年目という節目の年を迎えて、今年2023年最高のバゲットが発表されました。

 バゲット(バゲットトラディショナル)といえば、昨年、ユネスコ無形文化遺産にも登録されたフランスの誇る食文化でもあり、フランスには数々の美味しい食べ物や料理があるものの、パン、バゲットは、結局、シンプルで手軽で、一番美味しいもののひとつであると私も思っています。

 正確に言えば、コンクールで競われるバゲットトラディショナルは、いわゆる一般的なバゲットとは区別されており、バゲットトラディショナルと称するためには、冷凍をせず、添加物を一切使わずにその場で調理するものに限られており、一般的なバゲットよりもお値段も若干高いのですが、ほんの少しの値段の違いで各段に味は違うので、せっかくならば、フランスでは、バゲットトラディショナルをお求めになることをお勧めいたします。

 今年のバゲットコンクールには、同時刻に176本のバゲットが出品され、その中から126本が選択基準にしたがって選ばれ、同じ条件のもとで審査されました。審査基準には、製品の外観、調理の質、パン粉の硬さ、重量、匂い、そしてもちろん味が含まれます。

 コンクールのグランプリ獲得者には、賞金4,000ユーロ(約60万円)と今後1年間エリゼ宮(大統領官邸)の公式サプライヤーを務めることになります。

 毎年行われているこのバゲットコンクールは、ここ数年の私の楽しみにもなっており、今年もさっそく、今年最高のバゲットを買いに行ってきました。

 グランプリ受賞直後ということで混雑が予想されたので、お昼時は避けて行ったにもかかわらず、お店の前には、行列ができていて、せっかく買いに来たのに、もしかして買えない?とちょっと焦りました。

 行列に並ぶ人々の中には「バゲットコンクールでグランプリ!」をとったのよ!と説明して歩く近所の住民ら式おばさんなどもいて、なんだかお客さんまでウキウキしている感じでした。

 ちょうど私のふたり前くらいでバゲットの入っていた籠が空になってしまったので、一瞬、呆然としたのですが、すぐに奥から焼き立てのバゲットを持ってきてくれて、おかげで正真正銘、焼き立てホヤホヤのバゲットをゲットすることができました。

 本当に手に持つのも熱いくらいホカホカの焼き立てのバゲットは家に帰るまで待っているのがもったいなくて、お店を出るとすぐに食べずにはいられませんでした。

 バゲットをちぎってみると、ほわ~んとした湯気があがるほどのホカホカぶりと、すぐに立ちのぼる香ばしい小麦の香りに大感激。

 すぐに口に運ぶと外はパリッとしていて、中はふわっとしながら、もっちりとした程よいねばりもあり、もう一人でバゲットをほおばりながらニッコニコしてしまいました。

 焼き立てというだけでもかなり、美味しさは倍増して感じられたとも思いますが、冷めてもなお、いや、冷めたら冷めたで余計に味わえる香ばしさと小麦そのものの味に大感激したのでした。

 


 食の好みは人それぞれなので、必ずしも、毎年選ばれるバゲットが最高に美味しい!と感じるわけではなく、「もしかして、去年のお店の方が美味しかったかも??」などと思ってしまうこともあるのですが、今年は文句なしに大満足したバゲットでした。

 今回、グランプリを受賞したのは、スリランカ出身のパン職人で2006年に来仏、その後、イタリアンレストランで仕事をしていたところ、彼の仕事ぶりやパンの味を見込まれてスカウトされてパン屋さんを任されたという人で、すでに2018年には、このグランプリの3位に入賞しており、今回の優勝は待ち焦がれていたもので、優勝の知らせを聞いて泣いてしまったとのこと。

 しかし、驚くことに彼は小麦アレルギーで医者から仕事を辞めるように言われたこともあると笑いながら語り、「とにかく、仕事、パンを焼くことが好きでたまらない!これが自分の趣味だ」という、とにかく真面目でよく働く、根っからの職人気質の人のようです。

 パリ20区は、普段、あまり行く地域ではないのですが、これならまた、バゲットを買うためだけにでも、私はまたきっと行くだろうな・・と思っているのです。美味しいものに出会えることは、本当に楽しいことです。


☆Au Levain des Pyrénées  44 rue des Pyrénées 75020 PARIS


2023年パリ・バゲットコンクール グランプリ オー・ル・ヴァン・デ・ピレネー

バゲットトラディショナル


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2023年5月12日金曜日

マクロン大統領が発表したフランスの再産業化 

 


 年金改革問題の火が消えないまま、マクロン大統領は逆風の中、前向きな姿勢を崩さず、フランス産業関係者の前でスピーチを行いました。

 マクロン大統領は、この場で閣僚理事会に提出される予定の「グリーン産業法案」の骨組みと、この加速を実現するために重要視される措置について説明しています。

 フランスの再産業化を加速する戦略の中で、特に小さな街や貿易に関して、研修や訓練などの学びの場を設けるために7億ユーロを投入する計画を予定しています。

 また、電気自動車購入に対するエコロジーボーナスは、電気自動車の生産による二酸化炭素排出量を考慮したもので、ヨーロッパで製造された自動車を優遇するように改革される予定となっています。

 そして、さらに風力タービンやヒートポンプなどの主要な脱炭素製品の環境基準を以前発表していた2026年から2024年7月に前倒しにすると述べています。

  また、ヒートポンプ、風力タービン、ソーラーパネルの生産を支援するための新たな「グリーン産業税額控除」も導入される予定です。

 これらは「グリーン産業法案」の一部であり、2030年までに国内で200億ドルの投資を引き起ことが可能になると見込んでいます。

 マクロン大統領は、このために近日中にダンケルクにあるヨーロッパ最大のアルミニウム工場を訪問し、来週には、ベルサイユ宮殿で行われる海外投資誘致を目的とした第6回「Choose France」サミットに出席する予定にしています。

 また、この機会にマクロン大統領は、環境制約に関する「欧州規制の打破」を呼び掛け、「欧州連合はすでに近隣諸国よりも多くの規制を行っており、今はフランスの業界が安定を必要としている時期である」とも述べ、現在の規制に手を加えないとしています。

「規制の面で、我々は、アメリカ、中国、あるいは世界のどの強国よりも進んでいる!」とし、これらのルールに関しては新たな変更を加えることは、資金調達などの面でリスクを引き起こし、これらの事業参入を遮ることになるため、控えなければならない時だと言っているのです。

「フランスは世界のどの強国よりも進んでいる!」と言い切るとは、相変わらず、自信満々で自画自賛するあたりは、また反発を呼びかねないところですが、早速、数人の左派や環境活動保護家の懐疑的、また批判的な反応を引き起こしており、これは大統領の環境への配慮低下の表れとみなしています。

 臆面もなく、「世界一!」だとか、「今は、その時ではない!」というマクロン大統領に対して、「フランスを統治する未熟なティーンエイジャーだ!」など、これまたちょっと言い過ぎなキツい声も上がっています。

 今回のマクロン大統領の提案に対しては、この「現在の規制に変更を加えない」という部分が反発を生んでいるのですが、彼は「既存のルールに従って欧州大陸で生産する方が、世界の他の地域よりも優れている」と言っているのです。

 日本でも太陽光発電やソーラーパネルなど、環境問題に対応する産業については、その産業促進のための保護や支援などが様々な問題を生んでいる面もあるという話も聞こえてきますが、彼自身も公言している200億ドルの投資が見込まれているという大金が動く産業は、単に環境問題だけでは片付けられない大事業であるということです。

 しかし、それにしても、行く先々で鍋を叩かれ、反発の声が上がっても、相変わらず自信満々にスピーチし続けるマクロン大統領、しかも、いかにも反発を生みそうなことを平然と言ってのけるあたり、やっぱり彼のハートは強いな・・と感心するのです。


フランスの再産業化


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2023年5月11日木曜日

さんざん待たされた検査にちょっとドキドキした・・

  


 ここのところ、私は老人なみに医者通いばかりしている気がします。そんなに深刻な状態ではありませんが、そもそも私には心臓などの持病があり、だいたい3ヶ月に一度はかかりつけのお医者さんに通い、一応、チェックしてもらって処方箋を書いてもらって、薬を飲みながら生活しています。

 2~3回、心臓専門医にもかかったことはあったのですが、しばらくご無沙汰していたので、かかりつけのお医者さんに行った時に、ずっと心臓専門医にかかっていないんじゃない? そろそろ、また行ってチェックしてもらった方がいいから、まず血液検査をして、その結果を持って、また心臓専門医に行った方がいいかもしれない・・と言われて、血液検査をしたのがそもそもの始まりでした。

 血液検査はすぐにできたものの、心臓専門医の予約が数ヶ月先になるというので、一応、血液検査の結果を持って、いつものかかりつけの医者に行きました。すると、心臓の他に肝臓の数値に問題があると言われて、今度は別の検査をするように、そのための処方箋を書いてくれたのですが、今度はその検査の予約が1ヶ月後と言われて、まぁそんなに緊急にというわけでもないだろうから、まあいいか・・と検査の日を待っていました。

 そもそも検査なんて気が進まないものです。

 過ぎてしまえば1ヶ月など、すぐに過ぎてしまうもので、検査の日の前日の夜9時以降は何も食べないで朝も水だけにしてくださいなどと言われたものだから、なんだか余計に前夜からドキドキして、私もけっこうチキンだな・・などと思いながら、当日の朝はいつもよりずっと早起きして検査に行ったのです。

 今回の検査は病院内の放射線科に予約を入れていたので、他の患者さんもたくさんいる中、やはり検査の場所は前日から食事がとれなかったりすることもあるせいか、早朝というのに結構、混んでいて、時間を決めて予約しているのにもかかわらず、結構、待たされるハメになりました。

 まあ、それ以前にもう1ヶ月も待っているので、ここでちょっと待たされるくらいで腹をたてても仕方ないし、なんだか検査を受けたくない気持ちもありました。

 健康診断と違って、明らかに異常があるから受けに来ている検査で、一体どんな結果が出るのか知りたくないという気持ちもあって、正直、入院した方がいいとか、手術が必要だなど言われたら、どうしよう? あまり積極的な治療はしたくないしな・・などと思いながら、しかし、この検査を先延ばしにしたところで、いつまでも不安な気持ちが残るだけだと自分に言い聞かせていました。

 かかりつけのお医者さんには、ラジオを受けてきなさいといわれていたので、私はてっきりレントゲンだとばかり思っていたら、実際の検査はエコグラフィーで、そういえば、エコーなんて、妊娠していた時以来のことだな~と思いながら、検査を受けました。

 仰向けに寝てください、こっち向いて横になって、あっち向いて横になって・・などと言われながら、私には、エコーで映し出された画面は見えず、また見たところで全く私にはわからないけれど、検査をしている人には、その場で結果が見えているわけで、びくびくしながら、まな板の上の鯉状態。黙って彼女の言う通りにしていると、彼女の方から、「特別に深刻なことではないから、お医者さんに結果を持って行って、薬を処方してもらうか、食餌療法をしてみるかになると思います」とその場で言われて、診断結果をもらって、まずはホッとして、帰るとすぐにかかりつけのお医者さんに予約をとったのです。

 相談の結果、「しばらく食事に気をつけて様子を見て、改善されるようだったら、それに越したことはないし、それでもダメなようだったら、薬を飲むようにしましょう。一度、薬を飲み始めると一生つづけなければならなくなるから・・」と言われて、嬉しいような哀しいような気持ちでした。

 最近でこそ、できるだけ野菜を多くとるようにしようなどと、少々、食事には気を付けているものの、私は若い頃からお酒が大好きで、結構、飲んでいたし、熱いもの、辛いものなど、およそ身体に悪いものばかりが好きで、「身体にいい・・」などと言われるだけでマズそうな気がしていました。

 それでも、フランスに来てからは以前よりはずっと飲まなくなっていたし、ここ半年ほどは、あんなに好きだったお酒が全然、飲みたくなくなっていて、冗談みたいに「お酒が飲みたくないなんて、私、死ぬかもしれない・・」などと思っていました。

 身体というのはうまくできているようで、私がお酒を飲みたいと思わなくなったのには、身体が拒否していた状態だったのかもしれません。

 とはいえ、長年の習慣で、飲みたくなくても、スーパーマーケットなどでワインの瓶などが積みあがっていたりすると、なんだかワクワクする気持ちは残っているので、なんだか少し哀しいです。

 ひとまずは、食事に気をつけて様子を見るということで、一件落着したのですが、もはや食べることくらいしか楽しみがないのに、食事に気を使わなければならない=好きなものを好きなだけたべられないのはとても悲しいことです。

 しかし、好きなものを好きなだけ・・といいつつも、その大部分は食い意地の方が勝っていて、実際にそんなに食べられるわけでもありません。

 体力も低下してきて、食べられるものも減ってきて、できなくなることが増えていきますが、身体の調子が悪いのは何よりも辛いこと・・死んでもいいけど、死ぬまでは元気でいるために、それなりの努力をしていかなければならないんだな・・と戒められる検査でした。

 

検査 エコー 食餌療法


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2023年5月10日水曜日

世界の料理ランキング 今度は3位だったフランス料理 フランス人の反応は?

  


 夏のバカンスシーズンの予約戦線模様が高まる中、バカンス先を選ぶにあたって、旅先で、その行先を左右する大きな項目の一つとなり得るとして、CNNトラベルが世界の料理ランキング発表しています。

 たしかに、私もバカンスの目的地を選ぶ時、美味しいものが食べられる場所というのも重要なポイントになっています。

 今年のランキングの堂々1位は、イタリアで、パスタ、ピザ、リゾット、生ハムやサラミ、チーズなどなど、イタリア料理は何世紀にもわたって世界中の味覚を魅了し続けていると評されています。どうやらイタリア料理の人気は、不動のもののようで、この手のランキングには、たいていイタリア料理が君臨しています。

 2位に選ばれたのは中華料理で、同じ国とは思えないほどの多様な郷土料理、点心や酢豚、鴨の丸焼きなどが挙げられています。私は中国には行ったことがないので、本場の中華料理はわかりませんが、逆にけっこう、色々な国を旅行していると、そのクォリティは別としても、どこの街にも中華料理のお店があるということは、それだけ多くの人に受け入れられている料理であると言えるかもしれません。

 昔、イギリスを車で旅行してまわっていた時、かなり閑散とした田舎町でも、フィッシュアンドチップスと中華料理だけは、どこにでも必ずあるんだなぁ・・と感心した記憶があります。

 そして、今回、フランス料理は、3位に入ったのですが、フランスでは、3位になったということを「表彰台を完成させるのは、フランス料理だ!」などと、その3位をことさらに重要視するような書き方をするところがフランスだな・・と失笑してしまいます。

 ミシュランガイドの発祥地であるフランスでは、食べることは芸術であり、上質なワイン、洗練されたチーズ、カスレ、シチュー、カタツムリ、フォアグラ、マカロン、そして伝統的なバゲットは、最も美食家の味覚を喜ばせると豪語しています。

 昨年末にWorld Atlasが発表した世界の料理ランキングでは、フランス料理がアメリカよりも下にされたことに憤っていたフランスは、今回のランキングでは、アメリカを引き離した結果になったことには、そこそこ満足しているものの、フランスは美食の国!フランス料理は1位の座を奪還しなければならないと息巻いています。

 我々は、もっと観光客を歓迎しなければならない!工業生産ではないフランスの本当の美味しさをあじわってもらいたい!と・・。

 しかし、実際には、いわゆる観光地と言われる場所の近辺には、明らかに観光客仕様と思われるレストランも多く、若干、値段が高めの設定がされているうえに、その値段のわりには、クォリティがイマイチだったりすることも多いので、パリでレストランを選ぶ時には、観光客目当てのお店と思われるレストランは、避けるようにするのも現実です。

 今回の4位以降のランキングには、スペイン、日本、インド、ギリシャ、タイ、メキシコ、アメリカが続いています。

 個人的には、食べ物ならば、圧倒的に日本なのですが、日本人の私にとって、日本は圏外というか、殿堂入り的な存在です。日本に帰国する際には、旅行と言うよりも所用も多いのですが、なんといっても食べに行って、食料をたくさん買って帰ることも重要な目的です。

 しかし、旅行先として場所選びをする場合は、もうあまり長旅は嫌だということもあるのですが、やっぱり、比較的、気軽に行けて、美味しい場所として、イタリアを選びがちで、今年は久しぶりにイタリアに行こうと思っていたところです。

 イタリアは、何を食べてもハズレがなく、旅行していると、つい、その土地の料理に飽き飽きしてきたりすることも多いのですが、イタリアなら、全然、飽きることなく大丈夫。食材はもちろんのこと、その組み合わせなどもセンスがよく、シンプルな素材が引き立つような感じで、これまで何度もイタリアには行っていますが、今まで一度たりとも、「これは、ハズレだ・・」と思ったことはありません。

 逆に、フレンチの場合は、正直なところ、いくら美味しくても、数日続くと、「ちょっと、しばらくはいいかな・・」と思ってしまうのも事実です。

 まあ、フランス、特にパリならば、フランス料理だけでなく、色々な料理が楽しめるので、不自由はしないのですが・・。

 それでも、フランスにはけっこう長くいるので、そこそこ国内旅行もしてはいるのですが、あらためて、国内旅行したいと強くは思わないのは、私にとって、そこに特に食べたいものがあるわけではないからかもしれません。

 つまり、CNNトラベルが言っている、食べるという目的が旅先の選択に重要な役割を果たしているというのは、本当だな・・と思っているのです。


世界の料理ランキング フランス料理3位


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2023年5月9日火曜日

海外在住の場合、お墓はどこに入るのがよいのか?

  


 年齢を重ねると、友人との話題も健康問題やお墓の話題が多くなるなどという話を聞いたことがありますが、今のところ、私たちは、健康問題については、はたまに話すことはあってもお墓の話についてはあまりしたことがありません。

 一度、従妹の一人が嫁ぎ先は代々、医者の家系?で遺体は遺骨もろとも献体しているためにお墓というものがないとのことで、自分が死んでもお墓というものがないので、実家のお墓に入れてほしい・・なんならお墓には家名を掘らずに、誰でも入れるように墓碑銘として、この食い意地の張った家系にふさわしい「食」とう文字を刻んだらどうか?などという話はしたことがあります。

 私の場合は、日本の実家のお墓か、夫の眠るフランスのお墓かなのですが、そもそも私はこのままずっとフランスに住み続けるかどうかも、はっきり決めているわけでもないので、どうなるかはわかりません。

 もしも、フランスにお墓がなければ、私のためにわざわざお墓を立ててもらうつもりはなかったのですが、思わぬことに、夫が急に亡くなった時に、夫が走り書きのように書き残していたメモのようなものを偶然にも義理の息子が発見し、それには、「自分が死んだ時には、お墓は家から一番近い墓地にしてほしい・・」というようなことが書いてあったので、夫のお墓は近所の市営墓地に決め、思いがけずに、フランスでまさかこんな買い物をするとは思わなかったお墓を買うことになったのでした。

 そもそも、夫が亡くなったのは、夫がまだ50代の時で、しかも、倒れてから数日後のことだったので、まさか亡くなるとは、まるで思ってもみなかったので、夫とお墓の話などはしたことがありませんでした。

 夫の両親が入っているお墓は義兄夫婦の家の比較的近くにあり、当時は夫も羽振りがよく、やたらと立派なお墓を建てたみたいなのですが、なぜか夫はそこに一緒に入りたいとは思っていなかったようです。

 そんなわけで私には、もしも私がフランスで死んだ場合には、自分で買ったお墓が待っているので、そこに入ることもできます。というよりも、自分で買っておいて、そこには入らないというのもなんか損な気もします。

 しかし、妙な話ですが、市営墓地なので、場所を借りているというようなカタチになっているので、夫が入った時の契約では、30年契約にしてあるので、それ以降になる場合は、契約を更新しなければなりません。契約を更新しない場合は、次の借り手のためにお墓は潰されてしまうので、まあ合理的といえば合理的なシステムです。

 つまり、私が買ったのは、墓石だけなのですが、私としては、けっこう大きな買い物でした。

 もしも、日本にいた時に死んだ場合は、実家の両親や祖父母が入っているお墓ということになるのだと思いますが、特に私には、どこのお墓に入りたいという希望はなく、娘には、遺体や遺骨を運ぶのは大変だろうから、フランスで死んだ場合はフランスのお墓に、日本で死んだ時には日本のお墓にと、一番、簡単な方法にしてほしいとだけ頼んであります。

 よく、仲の悪い夫婦や義家族などと一緒のお墓に入りたくないなどという話を聞くこともありますが、骨になってまで、それがどこにあろうと、あまりこだわるつもりは全くありません。なんなら、海にでも捨ててくれてもいいと思うくらいなのですが、それはそれで結構面倒なことらしいので、本当に簡単にしてくれて構わないと思っています。

 わりと最近にお父様を見送った友人が父上の遺言で海に散骨して、とても清々しく良かったという話なども聞いたこともありました。

 フランスでは、最近は火葬も増えたという話も聞きますが、一般的には未だに土葬にする場合が多いのですが、日本人の場合は火葬にして、日本に遺骨を持って帰るか、もしくは、火葬のできる墓地(ペーラシェーズなど)では、特にお墓を持たない人のために、遺骨を撒く場所もあります。

 フランスの火葬の場合、遺骨というよりも遺灰にしてしまうので、遺骨というよりは、灰(砂)とよぶくらいなので、土にそのまま撒いてしまうという感じにもなるのです。

 私の知人の何人かも灰になって、ペーラシェーズの土となっています。

 私自身は、すでに両親も亡くし、夫も亡くしているのでお墓問題以上に死後の手続きや後片付けがどんなに大変なことなのかはわかっているので、娘一人にかけてしまう負担はできるだけ少なくしたい・・と思うばかりです。

 こうして家の中を見渡してみるだけでも、私一人が生活している空間にどれだけたくさんの物があるのかと思うと本当にこれを少しでも少なくしていかなければ・・と思うばかり、しかも、両親が残してくれた?家や物でさえも、まだ全然、片付いていません。

 自分の後始末は自分でしなければ・・と思うものの、人間は一生の間に1人の人間が一体、どれだけのものをため込んでしまうのか?と思うとおぞましい気さえしてくるし、ましてや自分の身体は、自分では片付けられないし、迷惑をかけてしまうんだな・・とそんな妙なことを、最近は考えているのです。


墓問題


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2023年5月8日月曜日

年に一度の税金の申告 ついつい先延ばしにしてしまう書類も数字も大の苦手な私

  


 嫌なことは、ついつい後回しにしてしまうのが、人情・・というか、私のだらしないところなのですが、特に書類関係、家では総じてパピエ(フランス語で紙)と呼んでいますが、この何か提出しなければいけない書類というものが、心底、嫌いで苦手です。

 まあ、フランスに住んでいるのだから、当然のこと、書類は全編フランス語なのも、私の書類嫌いをより一層、激しいものにしています。こういう書類、普段は使わない言葉も多いので、おそらく日本語でもダメだと思います。

 そんな私は、先月あたりにメールで届いていた「税金の申告をしてください」という知らせに毎年のことながら、「あ~、また今年もこの季節がやってきた~」と、締め切りの日だけを確認して放置してあったのでした。

 税金の申告となれば、私の嫌いな数字が羅列する書類でもあり、夫が生きていたときには、夫に丸投げし、夫が亡くなったあとには、夫の元同僚の女性にお願いしたりしていましたが、ここ数年はネットでの申告になったこともあり、しぶしぶ自分でやっていますが、なんとなく、心もとないことこのうえありません。

 しかし、税務署だけは、しっかり働くフランスで、これを忘れていたまま放置していると、怖いことになるのでは・・と勝手に怖がってもいます。

 「税金の申告をしてください」というメールが来て、まず締め切りの日を調べて先延ばしにするというのもなんなんですが、そもそもそのメールに何月何日までに・・と書いていないことが妙でもありました。

 調べたところ、紙の書類で提出する場合は全国共通5月22日まで、オンラインで申告する場合は、地域によって、どういうわけか、5月25日、6月1日、6月8日までとズレがあります。この地域によって差があるというのも不思議です。

 パリは一番、遅くてもよい6月8日までなので、本当はもう少し猶予があったのですが、やらなければならないことを自ら先延ばしにしておきながら、このあと1ヶ月を「税金の申告しなきゃいけない・・」という、なんかやらなければならないことがずっと心のどこかにひっかかっている状況を引きずるのも、これまた嫌だし、1ヶ月くらいあっという間に経ってしまい、結局、忘れてしまった・・なんてことにもなりかねないので、今日は、とにかく何をおいても税金の申告をする!と身構えていたのです。

 とはいえ、もう書類はほぼ出来上がっていて、その書類に訂正箇所はないかを確認し、訂正箇所があれば訂正するだけなので、そんなに身構えることもないのですが、そこはもう、ちょっと苦手意識と嫌悪感、アレルギーみたいなものです。

 必要だと思われる数字を用意して、税務署の個人アカウントを開けると、やはり既に数字は入っており、数字にも間違いはなく、あっさり完了。しかも、たしか去年までは、「確認」という欄があったと思うのですが、それさえもなくなっていて、「間違いがなければ、このままにしておけば、自動的にこの内容で申告ということになります」というあっけないものでした。

 おそらく、申告忘れを防ぐために、このようなスタイルになったのかと思われますが、相変わらず税務署だけは抜け目がないもんだな・・と感心させられたのでした。

 それにしても申告しなくても申告されるという状況は、私のわずかな資産でさえも、全て国が把握しているということで、やっぱり税務署恐るべし・・と感心させられるのです。

 もう長いこと日本には住んでいないので、日本の税金の申告がどのようになっているのかわかりませんが、日本もそれなりに進歩しているんだろうな・・と、日本に帰ったとしても、たとえそれが日本語であったとしても、気が重いんだろうな・・とも思っています。


オンライン税金申告 フランス


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