2025年4月18日金曜日

「孤独のグルメ」に登場するレストランに行ってきました! Le Bouclard Paris

  


  「孤独のグルメ」という番組は、長く海外に住んでいる私でも、いつの間にか、なぜか知っている日本の人気番組で、食べることが好きな私は、好きな番組でもありました。主人公の五郎さんが美味しそうに食べる食事に「ほ~っ!美味しそう!食べてみたいな~、このお店、行ってみたいな~」と思うことも少なくありません。

 これまでは、日本のお店だったので、日本に一時帰国した時に行ってみたいな~と、思ったりもしていたのですが、日本に行ったら行ったで、他にも食べたいものは、たくさんあるし、東京とは限らず、なかなかチャンスがなくて、実際に行ってみたことはありませんでした。

 それが、最近、「孤独のグルメ」の映画が出て、五郎さんがパリにやってきた!という話を聞いて、「五郎さんがパリで行ったお店!行ってみたい!」と野次馬根性で行ってきました。

 しかし、私は実際には映画は見ていないので、どのように美味しそうだったのか?どんな風に描かれていたのかは、全くわからないので、ミーハーもよいところなのですが、サイトを見てみると、メニューは、まあまあ、なかなかのフレンチで、昼、夜のフォーミュルならば、アントレとメイン、もしくはメインとデザートをいくつかのメニューからそれぞれ選べるようになっていて、それにグラスワイン(赤か白)とコーヒーがついて、30ユーロとまあまあ良心的なお値段だったので、これならいいな・・と行ってみました。

 場所はパリ19区、クリッシー広場から歩いて5分くらいのところにあります。

 大きな通り沿いではないし、外観もそんなに目立つ感じでもなく、外から見ると、「えっ?今日やってないの?」と一瞬、思ってしまう感じだったのですが、扉を開けると、そこには、独特な味のある感じの空間が広がっていました。



 店員さんは、とても親しみのある感じの人々で、暖かく迎えてくれました。

 私は、フォーミュルのメニューの中から、アントレにエスカルゴ、メインにロニョン・ド・ヴォー(子牛の腎臓)を選び、それに五郎さんが食べたと聞いていたオニオングラタンスープを追加して注文しました。

 近くには、老夫婦が和やかに食事をしていて、まさに同じフォーミュルから私と同じものを食べていらっしゃいました。時々、様子を見に来てくれるお店の給仕の人と、なにやら、他の臓物料理の話をしていて、「ロニョンやトリップなど、私たちはふだんから、色々、食べているし、自分でも料理するけど、ここのは最高!」と絶賛していました。

 このご夫婦、今年でちょうど?結婚59周年だそうで、デザートのアイスクリームとマカロンにろうそくをたてて、お祝いしてもらっていました。

 私は、ロニョン・ド・ヴォーというものは、これまで食べたことがなく、一度は食べてみたいと思っていたので、今回は良い機会だと思って頼んでみたところ、店員さんは、「これが何だか?わかって注文していますか?」とちょっと心配してくれました。私は苦笑いしながら、「大丈夫、ちゃんとわかっていますよ・・」と言いながら、「でも、どんな感じに出てくるかはわからないけど・・」と内心、思っていました。



 注文が終わると、アペリティフの温かいチーズ入りのシューを二つ持ってきてくれました。中身のチーズは「コンテ」ということでしたが、これが軽くてちょっとかじるとチーズの香りがふわっとして、とっても美味しかったです。




 次に出てきたのが「エスカルゴ」・・陶器のエスカルゴ用のお皿にグツグツいいながら、出てきます。多くは、エスカルゴの殻ごと焼いたものが出てくるのですが、ここのものは、殻から出したものを焼いてくれるので、食べやすく、あっという間に完食。塩味はわりと薄めでした。



 次は私が追加で注文していた「オニオングラタンスープ」こちらも、当然のことながら、焼き立ての熱々、ぐつぐつ状態ですが、これがまた、絶品でした。 ここのオニオングラタンスープは30ヶ月もののコンテを使用しているということで、チーズもたっぷり、もっちりしていて、もうお餅くらいにたっぷりしていて、ぐわ~~んと伸びます。スープ全体の味ととてもよくマッチしていて、もちろん玉ねぎもたっぷりどろどろ入っていて、とても濃厚なスープで、見かけは小さく見えますが、実はとても食べでがあり、もしかして、もうここまででよかったかも?と思うほど、かなりのボリュームがあります。




 そして、その後に登場したメインの「ロニョン・ド・ヴォー」ですが、マスタードソースで、プルロット茸(日本語ではヒラタケというらしい)が入っています。マスタードとクリームのソースがとてもよくマッチしていて、何よりもどこかサックリ、どこかふわっともっちりとした食感がなかなか見事でした。

 マッシュポテトが添えられており、このマッシュポテトもさすがプロが作るものは、違うな・・と感心しました。




 最後に可愛いタスにコーヒーが出てきますが、コーヒーはもちろんですが、それに添えられていたヌガーがとても美味しく、普段、ヌガーなど、ほとんど食べないのですが、甘さがかなり抑えられていて、とても食べやすい軽いヌガーでコーヒーのお供には、なかなか優れものだと思いました。

 このお店、初めて訪ねていくにあたって、少しネット等で見てみたのですが、けっこう知る人ぞ知る有名店のようで、色々な紙面(誌面)に紹介されていますし、いくつかの映画のスタジオやレコード会社が近くにあったこともあり、美食家のセレブが訪れるお店でもあるようで、ある誌面では、「ここのゲストブックは社交界の名簿のようだ」と書かれています。



 そこまでフォーマルな感じというよりも、むしろ独特世界観のあるレトロな雰囲気も併せたユニークなお店ですが、妙にとても落ち着く感じもあります。

 店内にも「パリジャン紙」に紹介された記事などが飾られていましたが、残念ながら、「孤独のグルメ」については、影も形もない・・と思っていたら、数々の展示品の中にフワッと「五郎さん(松重豊氏)」の絵葉書が一枚ありました。




 こんなさりげない置かれ方もまた、「なかなかカッコいいな!」と思ってしまうのでした。

 偶然、ふらっと見つけて入るような感じの場所でもなく、一瞬、ちょっと入りづらい(高級すぎる感じで腰が引けるとか、そういう感じではない)感じもするけれど、独特な世界観があり、落ち着いた良い感じのお店です。

 今回、私が頂いたのは、3種類だけでしたが、おそらく、どれを食べても美味しいのではないかと思われます。

最寄り駅 Place de Clichy


 しかし、パリでまで、「五郎さん」にお店を教えていただけるとは・・まったく恐れ入ります。

 ところで、この映画、なかなかのヒットのようで興行収入10億円を突破したらしいです。


🌟Le Bouclard 1Rue Cavallotti 75018 Paris 


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2025年4月17日木曜日

3夜連続のフランス各地の刑務所襲撃 刑務官たちの車が燃やされ、刑務所に銃撃弾の異常事態

  


 まだまだ・・というか、知らないフランス語がたくさんある中で、「DDPF」というのを初めて聞きました。「DDPF」は、「Defense des Droits des Prisonniiers Français」の頭文字を重ねたもので、「フランスの囚人の権利」という意味です。

 これまで多くの場面で様々なフランス人の「権利の主張」を目にして、当然の権利だろうと思われるものから、中にはビックリするような権利の主張を見てきました。

 今、思い出すちょっとビックリした権利は、行方不明で捜索願いがでていた人に対して、ニュース番組で、ああでもない・・こうでもない・・こんな可能性などもある・・などと警察関係者?や専門家たちが何やら喧々囂々と議論しているときに、その中のある人が「でも、人には、失踪する権利、いなくなる権利・・というものがあるから・・」と言い出したのに、とても驚いたことがありました。

 今回の「フランス囚人の権利」というのも、なかなかびっくりしました。囚人といえども人権はある・・ので、ある程度の人権は保護されるべきだとは思いつつ、それがふつうの人のようにはいかず、多くの行動において制限されるのが刑務所だとも思うのです。

 もっとも、今回の「DDPF」は、大雑把にいえば、囚人たちの仲間が同時多発的にフランス各地の刑務所をこれで3日連続、襲撃している事件で、この襲撃している者たちが、スローガンのように刑務所や、刑務学校などを狙って襲撃と同時に「DDPF」と車や建築物、刑務所の壁面などに、落書きしまくっているようで、さすがにこの襲撃を襲撃する権利とまでと言っているわけではありません。

 このフランス各地の刑務所を中心とした襲撃事件は、トゥーロン、マルセイユ、ヴァランス、ナンテール、ムラン、ヴィルパント、アジャンなどなど、今週明けくらいから、毎晩のように起こっているようで、組織的なテロ行為と見られています。

 これは、とても偶然に刑務所および刑務学校ばかりが同日、連日、起こっていると考えるのは、むしろ不自然で、中には、刑務所にカラシニコフの銃弾が撃ち込まれたり、刑務官たちの車が燃やされたりすることがかなりの規模で行われているのは、不気味な動きでもあり、恐ろしいことでもあります。

 これら全ての襲撃は、今年になって発表された「麻薬密売人専用の厳重警備刑務所」や「刑務所警察部隊」の設立をはじめとする組織的な麻薬密売組織への厳しい処遇などに反発する組織的なムーブメントであるとも言われています。

 これは、昨年5月に起こった囚人護送中に起こった「刑務官射殺のうえの囚人逃亡」事件以来、刑務所の中でも携帯電話使い放題問題、刑務所内から外に向けて新たな犯罪を指揮する組織の問題などが次々と明らかになって、この刑務所内の管理体制が少しずつ強化されているもので、これらの事態に麻薬密売組織がある種の暴力的、破壊的な抗議行動に出ているものと見られています。

 また、この動きを組織的に指示して、統括しているのが、刑務所内にいるのか、外にいるのかはわかっていませんが、いずれにしても、相当な大規模な組織であるということは、同時に広範囲の刑務所に向けて行われていることからも明らかです。

 車を燃やされたり、命の危険に晒されている刑務官からしても、たまらない・・というか、やってられない事態でもあります。

 国家テロ対策検察庁(Pnat)は、この事件の捜査を担当し、司法のテロ対策副局(Sdat)、国家警察の関連地域局および国内治安総局(DGSI)に捜査を委託すると発表しています。

 それにしても、刑務所まで警備が必用とは・・ため息も出ない気持ちです。


フランス各地刑務所襲撃 DDPF


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2025年4月16日水曜日

エルメスがLVMH(ルイ・ヴィトン)の時価総額を上回り業界トップに!

  


 エルメスがLVMH(ルイ・ヴィトン)に勝った!・・といっても、株式市場での話ではありますが、ルイ・ヴィトンだけでなく、ディオール、セリーヌ、フェンディ、ショーメ、ティファニーなどの複合企業であるLVMHは、この株式市場においても、これまで圧倒的な存在で、他の追随を許さない不動の一位を保ってきたのですから、その競合であるエルメスにその座を奪われたことは、歴史的なことでもあります。

 エルメスは、今週火曜日、パリ証券取引所で同日、取引終了後の価格で株式時価総額が2,486億ユーロに達し(一時的には3,000億ユーロを超えた)、LVMHの2,443億9,000万ユーロを大きく上回りました。

 この展開は、前日に発表されたLVMHの第1四半期の売上高にアナリストによって失望とみなされたことにより、LVMHの株価が急落したことによるもので、米国による関税引き上げも大きく影響し、LVMHの株価は1月の初め以来、株価は23%以上下落を続けていた果てに起こったことだと言われています。

 これに反して、エルメスは、この危機に直面しておらず、1月初旬以降、上昇しており、高級品業界全体にとって、より厳しい状況が続いているの中で注目すべき進歩であることが注目されています。

 エルメスは高級品に対する世界的な需要の減速を競合他社よりも上手く乗り越えていると言われており、エルメスはそのターゲットを「超富裕層」に絞ると同時に商品の希少性の倫理で運営することで、その商品そのものの価値を上昇させ、合理的な価格上昇を基盤としています。

 この希少性を高めることにより、エルメスはよりブランドに対する信頼の証を強め、強固な価格決定力と製品の長いウェイティングリストを誇っています。

  最近、パリのメインと言われるエリアには、「えっ?ここにもルイ・ヴィトン?しかも、こんな広いスペースで?」と驚くほどに、拡大していると思われるルイ・ヴィトンに対し、エルメスは頑固に店舗を増やさず、しかも、ともすると、全くやる気なし、商売っ気ない?と思わせるような感じさえあります。

 私自身は、自分でこのようなハイブランドには興味はないのですが、少し前に日本に住んでいる従姉妹に頼まれて、エルメス本店に彼女のご希望の商品を探しに行ったことがあるのです。

 従姉妹によれば、日本では、どんなに探しても買えないとのことで、もしかして、パリの本店に行けば、買えるかもしれないから見てきて!とのことでした。パリのエルメス本店に行って、聞いてみると、店員のお姉さんによれば、「ああ、それ、素敵よね!でも、今は、その商品はなくて、次にいつ入荷するかもわからないの・・」とのことで、まったくやる気ないというか、商売っ気がないな・・と思ったものです。

 しかし、これこそが「希少性」のマジックで、従姉妹曰く、「とにかく、いくらでもいいから買ってきて!日本では絶対に手に入らないから・・」ということで、まさにこの希少性の罠?にハマっているわけで、こうして、手に入りづらいことから、どんな強気な価格で販売しようとも、売れてしまうわけです。

 たしか、小さなポシェットのようなバッグだったと思いますが、軽く10万円は、超える価格、ちょっと常識では考え難い値段、まさに「超富裕層」をターゲットにしていることがうかがえます。

 無理に急いで大量生産せずに、悠々と品質を保ちながら、価格を余裕で高価格に設定できるエルメスの基本理念が見事に成功しているように思います。

 もっとも、2024年の売上高、営業利益を見れば、LVMHは、売上高847億ユーロ、営業利益196ユーロに対して、エルメスの売上高は152億ユーロ、営業利益は62億ユーロと少ないのですが、株価は将来性やトレンドなどある意味、現段階でははっきり見えない部分を予測した価格が繁栄されるので、現在の利益がそのまま反映するものではありません。

 10年前には、エルメスを買収しようとしていたLVMHにとっては、頑として買収を許さなかったエルメスに圧倒的1位の座を奪われる日が来ることを想像していたでしょうか?

 しかし、その経営方針から、今や両極?のようになった2つのハイブランドの企業が相容れなかったことは明白です。


エルメス時価総額LVMHを上回る


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2025年4月15日火曜日

性加害を加えた犯人の釈放により、自らの命を絶ってしまった少年

  


 17歳の少年が18歳の誕生日を迎える3日前に自らの命を絶ってしまったのは、投獄されていた彼を襲った性加害者が懲役5年のところを減刑されて、わずか2年4ヶ月の服役ののち、釈放され、よりにもよって、彼の住まいから3キロほどしか離れていない場所に戻ってきてしまったことにあるとし、彼の両親は、司法は被害者に対する配慮が欠けていると訴えています。

 この惨劇には、いくつもの悲劇が重なっていたように思いますが、過去にフランスで起こっている性加害暴力事件などを見ても、性加害を訴えて、犯人を逮捕、拘留、投獄するまでは行っても、その後、この加害者たちの釈放後の措置、また、被害者への配慮は明らかに欠けているように思えてなりません。

 そもそも、この少年が性加害を受けていたのは、彼が12歳のときからのことで、この加害者は、少年を含む家族のかつての隣人であり、家族ぐるみで良好な関係の間柄の人物で、しかも加害者は50歳(当時)の男性。彼はこの事実を両親に打ち明けるまでに時間を要したうえに、さらに性的虐待を受けた児童を支援する団体に通報するまでに3年もかかり、加害者が有罪判決を受けるまでにまたさらに1年がかかっています。

 また、この男、なんとこれが初めてのことではなく、2007年と2014年にも同様の行為ですでに有罪判決を受けており、再犯を重ねている人物。しかも懲役5年の判決を受けながら、模範囚であったとかで、なんと本来の半分以下の刑期である2年4ヶ月で釈放。

 そのうえ、被害者宅からさほど離れていない場所で再び生活を始めるという被害者家族にとったら、信じられない状況です。これを司法が放置しているのは、許せないと両親は激しい怒りをあらわにしています。

 彼の両親は、少なくとも検察側は、加害者が釈放される場合は、前もって、被害者に警告する措置をとってほしいと訴えています。これに対して、検察側は、加害者の釈放は、事前に被害者家族に通知の手紙を送っていたと主張していますが、被害者家族はそんな手紙は受け取っておらず、彼の釈放は知人から偶然聞いて知ったと告白しています。

 現在の司法では、検察は、被害者に対して加害者の釈放を告知する義務はないそうで、検察側は、手紙を送ったとするも、これを公開する義務はないと主張しています。

 この被害者の少年は、この加害者の釈放を知ってから、Instagramで、彼が釈放されたことに対する自らの恐怖との闘いをつづっており、また、彼の死後、自身の携帯電話から、「自殺願望書・最終版」と銘打った別れの手紙が発見され、そこには、彼が自ら命を絶つことの一番の動機は、加害者の釈放であると明記されています。

 当時12歳だった少年がどれほど心と身体に深い傷を負っていたかと思うと、なんとかならなかったのか?と憤りが湧いてきます。

 検察側は、加害者は釈放したとはいえ、電子ブレスレットを装着し、被害者および被害者家族に接触することは禁止されていることを強調しています。

 さらなる悲劇は、この亡くなった息子の誕生日に彼の両親は彼の棺を選びに行ったという何よりもやるせない日になったことです。

 性加害という犯罪は、最も再犯率が高いといわれる犯罪であるにもかかわらず、この犯罪者の釈放に関して、最も慎重に行わなければならないはずだと思うのです。


性加害を受けていた少年 自らの命を絶つ


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2025年4月14日月曜日

ソフィ・マルソーと柔道家テディ・リネールがかけつけた大阪万博フランスパビリオン

  


 賛否両論飛び交っていたらしい大阪万博には、フランスからは、女優ソフィ・マルソーとパリ・オリンピックのゴールドメダリストの柔道家テディ・リネールがフランスパビリオンの開会式に参加しました。

 多くの国が技術革新に焦点を当てる中、フランスパビリオンは、ロダンの彫刻やジブリアニメスタジオ風のオービュッソンのタピストリー、ノートルダム大聖堂のガーゴイル、フランスの誇る数々のハイブランドやアルザスワインなどが展示され、ビストロスペースも設けられています。


 また、樹齢1,000年のオリーブの木がフランスから運ばれてきているとのことで、内心、樹齢1,000年の木をそんなことして、大丈夫?とも思います。

 巨大な白いカーテンで覆われたフランスパビリオンは、一部、写真を見る限りでは、なんとなく、ディオールのギャラリーを想起させる感じもあります。

 このフランスパビリオンのテーマは「愛の讃歌」で、壊れることのない絆で結ばれた二人の人間の結びつきを想起させる共通の糸である日本の伝説「赤い糸」からインスピレーションを得ていると言われています。

 オープニングにかけつけた女優ソフィ・マルソーは、「赤い糸は、希望と忍耐を結ぶ力強いシンボル、私は14歳のときから、日本に対して長い歴史、忠誠心のようなものを感じてきました」と挨拶。

 雨天の中、大阪万博への最初の来場者の間でも、フランスパビリオンはもっとも人気のあるパビリオンの一つとなっているそうです。

 このフランスパビリオンには、費用5,800万ユーロ(うち4,250万ユーロは国が負担)、スポンサーには、LVMH・ルイ・ヴィトン、ディオール、ショーメ、セリーヌ、モエ・シャンドンなどが名を連ねています。

 また、柔道家テディ・リネールは、「柔道は日本発祥のスポーツであるため、ある意味、日本とともに暮らすことは、当然のこと。今回で日本訪問は50~60回目になりますが、日本は私に多くのものを与えてくれた国であり、他のどの国よりも、日本にはフランスと共通する厳格さとノウハウがあることに気付かされています」と話しています。

 なんだか、未来の技術とかそんなことを無理に掲げるよりも、フランスくらいの、あれこれ理屈をつけながらも、半分、フランスのコマーシャルみたいな感じがいいのかな?とも思わないでもありません。

 フランスでは、このフランスパビリオン以外の万博のハイライトとして、「火星隕石」、「藻類に偽装した?ハローキティの彫刻32体」、「幹細胞から生まれた小さな鼓動する心臓」などを挙げています。

 また、同時に、この万博が日本の世論調査では長らく、このイベントに対する無関心とその高額な予算に関連する不信感を浮き彫りにし続けており、これまでに販売されたチケットは、予想(1,400万枚)を遥かに下回る870万枚に留まっており、6ヶ月間の来場者目標2,800万人とは、およそかけ離れているということも紹介しています。

 これに対して1970年の大阪万博では、6420万人の来場者数を記録したそうで、長らくその記録が破られなかった、かつての成功もちょっとだけ紹介していますが、もはや、その一時的な性質と廃墟化によって批判の対象にもなっている、時代にそぐわないものであるという見方も強く、日本の報道によると、このスペースは、ホテルとカジノの複合施設を建設するために10月には取り壊され、「グレートリンク」のわずか12.5%のみが再利用されるだけとなっている・・と報じています。


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2025年4月13日日曜日

どんどん拡大するディズニーランド・パリ 

  


 パリに来る人に、「ディズニーランド・パリ」に行きたいと言われたら、「えっ?なんで?」と思ってしまう私ですが、意外にも「ディズニーランド・パリ」は、パリでは、もっとも人気の観光地のひとつであるようです。

 特に欧州圏内、ロシア方面などからの観光客にとって身近なディズニーランドはパリのディズニーランドで、パリに来た際には、ぜひ行きたい!と思う人も多いのです。

 一時、パンデミックの際は、他の遊興施設同様、しばらくオープンできずに厳しい時期もありましたが、根強いディズニー人気は依然として堅調で、ここ数年、景気のよい話が続きます。

 ディズニーランド・パリは、大きくは「ディズニーランド・パーク」と「ウォルト・ディズニー・スタジオパーク」との2つのパークで構成されており、現在は、主に「ウォルト・ディズニー・スタジオパーク」の面積を2倍に拡張する大規模な改修工事が進行中です。

 この改修工事の完成は、まだ先のことなのですが、この改修段階の中、5月15日には、この中の「ワールド・プレミア」が一般公開になります。この「ワールドプレミア」は、「来場者を映画のプレミアを祝うハリウッドの夜に誘う世界観」とのことで、異次元の空間を楽しめるスペースが表現されているようです。

 ディズニーランド・パリは、今回の全体の拡張・改修工事に20億ユーロ以上も投資しており、この「ワールド・プレミア」に続き、2025年内には、ピクサー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」を題材にした新しい限定アトラクション(空飛ぶメリーゴーランドに乗って、空中を回転する)が追加され、2026年には、「アナと雪の女王」の世界、「ライオンキング」にインスパイアされた没入型?の世界がオープンする予定になっています。

 また、ディズニー・セコイア・ロッジホテルはホテルの近代化を継続するために、2026年から1,000室の改修工事が始まり、「ウォルト・ディズニーの遺産のハイライトを発見しながら自然の泡の中で呼吸する」機会を提供するとのこと。

 こうして、新しいアトラクションや新しいスペースの様子を聞くと、新たな「夢の世界」に広がっていくことを感じます。

 私自身は、ディズニーランド・パリには、ずいぶん前に娘と2回ほど行ったことがあるだけで、その時は、どうにも東京ディズニーランドと比べてしまって、そこまで感動はせず、しかも、今ほどの盛り上がりは感じられなかったものですが、この最近の繁栄ぶりを見ていると、着々と進化を続けている様子です。

 そもそも、この「ディズニーランド・パリ(当初はユーロディズニー)」は、1983年の「東京ディズニーランド」の大成功に海外進出の機運が高まり、候補地を厳正に審査して、車で4時間圏内に6,800万人、飛行機で2時間圏内に3億人の人口があることから、充分な集客を見込んでオープンしたというだけあって、これだけ拡張することができるまでに大成功したとも言われています。

 当初はフランスあるあるで、メンテナンスが行き届かず、ストップしてしまうアトラクションがポツポツあったりして、「ディズニーランドなはずなのに・・こんなことある?」と思ったこともあったのですが、それも改善されていったのでしょう。

 パリ市内では、ノエルの時期になると、チュイルリー公園内に移動遊園地ができたり、季節限定でヴァンセンヌの森にも、それよりも少し大きな移動遊園地ができたりもしますが、いずれも、けっこうクラッシックなアトラクションが多く、ディズニーランドのような、一歩、足を踏み入れると夢の世界というような世界観とは違います。

 これだけ、色々な新しいものが次々と登場する時代に、なにか違うものができてもよさそうなところ、ディズニー人気というものは、ヨーロッパでもなかなかなパワーがあるようです。


ディズニーランド・パリ


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2025年4月12日土曜日

「拷問および蛮行を伴うレイプ」で起訴されたボルドーの4人の男

  


 日々、起こっている事件を見ていると、本当に枚挙にいとまなく、禍に巻き込まれずに今日まで生き延びてきたことが不思議でもあり、幸運であったと思ってしまうことがあります。

 昨日、目にした事件は、ボルドーで起こった事件だったので、娘が学生時代に数年過ごした場所でもあり、パリ以外では、なんとなく、少しだけ近く感じる地方?都市でもあるだけにチラッと目をとめたところ、その場所柄というよりも、この大雑把に言うところの「性加害事件」について、「ありがちだけど、あんまりだろ!」と思う「同意・不同意問題」が論じられていたので、それについて、少し触れたいと思います。

 この事件は、「2020年11月から2023年9月までの間にパートナーと彼が招待した男たちから集団レイプを受けたとして、ある女性がパートナーを2023年11月に告訴した」ことから、始まっています。

 彼女は、パートナーが複数回、集団レイプすることを可能にした支配戦略?についても説明しており、また、この現場は撮影されていたと話していました。

 捜査官は、この男性の他の4人のメンバーに事情聴取を行ったところ、この告訴人が述べたのと同様の場面を経験したと述べています。つまり、彼らは、あっさりと彼らの野蛮な行為を認めているわけです。

 まず、この告訴人のパートナーである問題の核にいる男性は、2024年7月に逮捕されますが、彼は、「彼自身を含む、彼の歴代のパートナーと男性グループとの間の性的関係の存在」には異議を唱えなかったものの、「それは合意に基づくものであった」と断言。

「自分には、犯罪歴もなく、犯罪を犯した人間であると思ったことは一度もない」と自負しているそうで、明らかに極端な行為であったにもかかわらず、自由奔放な性的快楽に浸っていたことを自認しており、女性たちは、合意に基づいて行動していたと信じ込んでいるようです。

 しかし、当該人物宅から押収された複数のビデオからは、明らかに女性たちの同意がなかったことは明白であると裁判所は判断しています。

 最初の事件を発端に捜査が進められ、拡大されていった結果、この蛮行は、2011年から2024年までの期間、さらに長い期間行われていたことが判明し、被害者はこれまでのところ5人が特定されています。

 また、これに加わっていた他の4人の男性も逮捕されています。彼らは40歳から57歳という決して若くない年齢層なのにも驚きですが、もっとも、この蛮行が始まったのは、2011年からということで、今から14年前のことなので、これも彼らがもう少し若かったころから、継続的に行われてきたためなのか?よくわかりません。

 しかし、やはり、もっとも驚きというか、不思議というか、この男性側が都合よく、男女間の支配的関係は意に介さずに「同意のうえのことだと信じていた」と全く悪びれることなくその行為を続けていたという点で、どうしたら、そういう都合のいい考え方になれるものなのか? まったく理解ができません。

 しかし、性加害問題に際して、この「同意・不同意問題」は少なからずあることのように思いますが、これが単にカップル同志だけでなく、仲間まで招待してとなると、さらに悪質です。


性加害 同意・不同意


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