2023年8月22日火曜日

パリのデパート 私はボン・マルシェを侮っていた・・

 


 私はそもそも、ショッピングというものが、あまり好きではなくて、ましてやデパートで買い物をするなどということは、まずないことで、パリでも滅多にデパートに行くことはありません。

 それでも、ごくごくたまにノエルのデコレーションを見がてらだったり、近くまで行った時にチラッと寄るのは、デパートでも食料品売り場くらいなものです。

 つまり、私がたまにふら~っと見て歩くのは、ギャラリーラファイエットのグルメ館くらいなもので、本館の方は、グルメ館に行くまでの道すがら、外ではなく、本館の中を通り、名だたるブランド物のお店が並んでいる間を横目で眺めながら、相変わらず、ルイヴィトンはすごい行列だ・・とか、セリーヌは今年、こんな感じの新作を出しているのか・・とか思いながら、本当に通り過ぎるだけです。

 パリのデパートといえば、ギャラリーラファイエット、プランタン、そして、サマリテーヌ、ボンマルシェ・・くらいでしょうか?

 中でもやはり、知名度が高く、実際に店舗も多いのはギャラリーラファイエットやプランタンですが、その両巨頭でさえも、相変わらずの人出で賑わっているのは、パリのオスマン通りにある店舗くらいなもので、地方都市にある店舗は業績不振でパンデミック後にけっこうな店舗が閉店となり、縮小されています。

 そもそもGLFのグルメ館にしても、けっこう良い(値段も品物も)ものが集まっているので、効率よく買い物ができるし、また、これまで知らなかった美味しいものを新たに発見できる場所でもあり、たまに覗いてみようと思うのですが、それも、たまたま他のデパートよりも、場所的に我が家からは行き易いというだけの話です。

 先日、たまたまボンマルシェに行く機会があり、「まあ、たまにはいいか・・」くらいの気持ちで、やはりギャラリーラファイエットに行く時のように、グルメ館に行くまでの道をデパートの中を通った方が涼しいし・・くらいの気持ちで本館の方に入ったら、思いのほか、なんとなく、ギャラリーラファイエットよりも、多少、人出が少ないこともあるのか、店内もゆったりとしていて、見やすく、デパート自体のレイアウトやデコレーションを楽しむのであれば、若干、寂しい気もしないでもありませんが、ここはここなりの美しさがあり、なんか、あらためて、「ボンマルシェも悪くないな・・」という気になったのです。



 グルメ館の方へ行くと、なんだか、今や、珍しく感じるようになった日本人観光客と数回すれ違い、「あらら、ここには、日本人がいるんだ・・」と思ったと同時に、なんだか、スターのパティシエのお店が全面に出ているギャラリーラファイエットのグルメ館よりも、スペースも広いこともあるのか、品揃えが多く、また、よりお土産に良さそうなものが多くて、なるほど、日本に住んでいる日本人の方がよくパリを知っているんだな・・と感心した次第です。


 私が、ちょっと嬉しかったのは、ギャラリーラファイエットのグルメ館からは、なぜか撤退して姿を消してしまったBellota Bellota(ベロータベロータ)の生ハムがこちらでは、まだまだ生き残って、イートインのスペースまであって存在していることでした。

 しかし、どちらにせよ、食料品とはいえ、高級品を中心に扱っているだけあって、なんだか、以前に来た時と比べると、値段の高騰がものすごい気がして、「え~?これって、こんなに高かったっけ?」とそれこそ目玉が飛び出る気がしたのでした。


オリジナルのエコバッグもけっこう可愛い


ちょっとおしゃれかも?と思ったキッチンペーパーホルダー


 それでも、食べることの大好きな私、山のような食料品を見て歩くのは、楽しいことで、見飽きることはなく、特に何を買おうというわけでもないのに、ぐるぐる歩き回り、お店を出た時には、身体が冷え切った気がしたくらいです。けっこうな時間、ぐるぐる歩いていたとはいえ、パリで身体が冷えるほどの冷房が効いている場所といのもそうそうあるわけではなく、夏の暑い間はここを散歩して歩くのも悪くないな・・などと、思ったくらいです。

 とはいえ、日常の食生活は、そんなに高級品を食べているわけでもなく、あまり縁がある場所とも思えないのではありますが、日本から友人が来ることがあったら、食料品関係のお土産を探すなら、ボンマルシェはいいかもよ・・とおススメしたい気持ちになりました。


パリのデパート ボンマルシェ


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2023年8月21日月曜日

数度にわたる殺害予告の末、逮捕・拘留も、釈放され、元パートナーを殺害した男

  


 今年の1月以来、殺害の脅迫を受けていた女性が予告どおりに殺害される痛ましい事件が起こっています。どうやら、この殺害の脅迫は、けんかや口論の末、「殺してやる!」などという軽口をたたいていたようなものではなく、本気の殺害の脅迫だったことは、脅迫を受け続けていた彼女が警察(憲兵隊)に届け出た際の証言や、彼女が周囲に助けを求めていた緊迫した状況などからも容易に想像することができます。

 彼女は5年前に配偶者とともに、パリからギャリアックス(オクシタニー地域圏)の小さな田舎町に転居していました。事件はそこで起こりました。

 今年の初めから続いていた元パートナーの殺害予告に6月半ばに彼女は警察に被害届を提出していました。捜査が進まず、なかなか対応がとられない状況に彼女は業を煮やして、再び、警察を訪れると、「事情聴取した人物がバカンス中」ということで「担当の者が戻ったら捜査を再開する」と言われます。

 このあたりは、フランスでは、さもありなんという気もします。

 その後、彼女は度重なる暴力や脅迫に怯えながら暮らしていましたが、彼が眠り込んでいる隙に、友人宅へ避難し、そこから、再び通報し、ついに彼の家は、憲兵隊によって包囲され、家からは、銃器4丁が押収され、彼は警察に拘留されました。

 この男、大変、粗暴なうえに、アルコール依存症で、精神病院に一度は強制入院させられたものの、彼は、彼女への殺害脅迫の事実を認め、11月の裁判の日程が決まると、精神科の医師の判断で、釈放されてしまいます。

 このあたりが恐ろしいところで、一旦、逮捕されても、事実を認め、裁判の日程が決まるとそれがたとえ、殺害を脅迫している人物であっても釈放されてしまうというのは、意味がわかりません。

 それからわずか、3日後、彼女は再び彼に殺害の脅迫を受けながら、彼から逃げようと足を引きずりながら走っているところを地域住民が目撃し、通報しましたが、この犯人の男は、隣人の助けを求めようとベルを鳴らしている彼女に車ごとぶつかっていき、車は一度彼女を家の門に叩きつけたのち、もう一度、車をバックさせてから、再度、彼女を押しつぶすという残酷な行為に至り、彼女を死に至らしました。

 その後、この男は、家と車に火を放ち、銃により自殺を図り、重症を負ったと言われています。しかし、皮肉なことに、この男は一命をとりとめています。

 まったく、映画やドラマにしても、これほど激しい結末は、なかなかないほどの狂暴さですが、これがひどく残念なことは、こんな結末は、対応如何によっては、避けることができたであろうことです。

 フランスの法律がよほどのことでない限り、逮捕後、長期にわたる拘留ができないのがふつうだということなのだと思いますが、それにしても、これだけ狂暴な男が、何よりも殺害の脅迫をしていた人間を解放してしまうというのは、全くもって解せない話です。

 フランスは、どうにも、釈放してはいけない人を釈放してしまい、事件に繋がる話が多い気がします。

 愛憎というのは、表裏一体と言いますが、愛情を持った相手に対しては、憎悪の気持ちも大きくなりがちなようで、どちらにしても、激しく感情が動くということです。ましてや、この男のように、精神に異常をきたしている場合は、型通りに釈放するというのは、あまりに無責任な話です。

 フランスでは、パートナー、あるいは、元パートナーによる暴力や殺人事件は、珍しくはない事件ですが、これらの事件に共通していることは、ちょっと想像を逸脱するほどの狂暴さで、執拗に追い回し続けることです。

 2022年には、フランスでは112人の女性が夫や元夫、パートナーにより殺されています。今年に入ってからは、彼女は76人目の被害者だそうです。

 彼女の家族は司法捜査の甘さを指摘しており、また、助けを求められていた友人も彼女が泣きながら、「彼は本気で私を殺そうとしている!」と訴えていた姿が忘れられないと語っており、周囲の人たちに遺恨を残しているのは、犯人の残酷な犯行だけではなく、警察の対応如何によってはこんなことにはならなかったという思いだと思うのです。


パートナーによる女性への暴力 殺人事件


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2023年8月20日日曜日

セーヌ川で泳ぐって、感覚的にちょっと勇気がいるかも・・トライアスロンテスト大会水泳中止

  


 パリの景色には、セーヌ川が映り込む映像も少なくありません。水のある景色というのは、美しいものです。歴史あるパリの建築物や街並みの中に映り込むセーヌ川は美しいパリらしい景色の一つでもあります。

 しかし、景色として美しいのと、泳げるような美しさというか、清潔な清い感じとは、また別の話で、セーヌ川で泳ぐかというと、感覚的には、ちょっと尻込みするのがふつうな印象があります。

 パリに来たばかりの頃、夏の暑い時期などだと、ところかまわず街中の噴水などでも水遊びだか水浴びだかをする人がいたりすることに、びっくりしたものですが、これと同様? いや、これ以上にセーヌ川で泳ぎ出す人がいたとすれば、「ちょっと大丈夫?」と思ってしまうと思います。

 しかし、来年のパリオリンピックのトライアスロンの水泳は、セーヌ川のアレクサンドル 3 世橋からスタートする予定になっているようで、このオリンピックに向けて、先日は、一度は、テスト大会のようなものが行われたようですが、昨日のパラリンピックのトライアスロンテスト大会は、水質に問題があるということで、土壇場になって中止になったようです。

 その2日前までに2日間にわたって行われていたテストでは、GOサインが出ていたものの、公衆衛生局は、研究所が提供した最新の水質分析結果と高周波サンプル分析装置との間に重大な矛盾があると指摘し、選手の健康と安全を危険に晒すことを避けるためにこのテスト大会は、トライアスロンの水泳部分を削除して行われました。

 パリオリンピックでは、セーヌ川で開会式の各国選手の入場行進が行われるということで、話題を集めていますが、その同じセーヌ川で泳ぐというのも、やっぱりなかなかハードルが高いのでは・・と思ってしまいます。

 パリを横断するように流れているセーヌ川は特にパリの中心部だと、ジグザグにどこを歩いていてもセーヌ川にぶち当たるような感じで、オリンピックでパリの美しい景色をアピールするのに、セーヌ川を利用するのは、とても素敵なアイディアであるとは思います。

 


 セーヌ川はパリとは、切っても切れない存在で、RATP(パリ交通公団)のマークは、グリーンのサークルに、一見、意味不明のブルーのラインがデザインされたものですが、このグリーンはパリ全体を表し、ブルーのラインはセーヌ川を表しているデザインだと言われています。

 パリの美しい景色はセーヌ川とともにあるといっても過言ではありません。

 しかし、当初、セーヌ川をトライアスロンのスタート地点として、水泳の場所に定めることで、セーヌ川の水質改善の促進を促すことにも繋がるとも考えられたとは思いますが、一時の最悪の水質状態よりは改善したとはいえ、今後1年の間に劇的に改善されるかといえば、あまり期待できるものではないし、ぶち壊すようで、申し訳ないのですが、私だったら、ちょっとセーヌ川で泳ぐのはごめん被りたい気持ちです。

 だいたい、セーヌ川は、大雨が降れば、すぐに洪水、水はけもよくないのか、水位が上がると、橋の下を通るバトームーシュなどの観光船も通行不可になり運航休止になってしまい、いい加減、この時代になぜ、いつまでも対策を講じないのか、長い間の私の疑問でもありました。

 結局、今回は、テスト大会が中止になっただけで、オリンピックでのトライアスロンのセーヌ川での水泳が中止になったというわけではありませんが、オリンピックともなれば、今回のようにドタキャンというわけにもいきません。

 この異常気象で、夏は、激しい暑さに加えて、今までは考えられなかったような激しい雨に見舞われることもあるようになったこのご時世。早いところ、別の候補地を探した方がいいような気もします。

 セーヌ川は見るだけで充分、美しいのですから・・。


セーヌ川 トライアスロン水泳テスト大会中止


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2023年8月19日土曜日

フランスの学校でのいじめ問題 被害者ではなく、加害者を転校させる法律発令

  


 8月も半ばを過ぎ、9月からの新年度に向けて、文部科学省は深刻になっているフランスの学校でのいじめ問題にメスを入れる新しい法令を発令しています。

 最近は、学校内でのいじめ問題も自殺者が出るほど深刻化しているため、今回の法令では、このいじめ問題から被害者を守る対策の一環として、いじめられている被害者ではなく、加害者の方を学校から追い出し、転校、あるいは、退学の措置をとれるようになることを法的に定めています。

 いじめの被害に遭っている子供たちが、不登校になったり、転校をせざるを得ない状況に追い詰められるということは、これまでにも多々、あったと思いますし、いじめられている子供の親にとったら、これ以上のいじめにあって苦しむくらいだったら、学校には行かなくてもいいし、転校させようか?と考えてしまうのは、あり得ることです。

 ましてや、いじめの果てに自殺してしまった子供の親にとったら、そんなに苦しんでいたのなら、もう学校なんて、辞めさせたってよかったのに・・と後悔しているに違いありません。

 しかし、これは、考えてみれば、おかしな話で、いじめられている人が学校から姿を消し、いじめている側がそのまま学校に残ることは、再び、次の標的を探すことにもなりかねないどころか、充分に考えられることで、本来、学校を去るべきなのは、加害者側の方なのです。

 今回の法令では、意図的、ならびに反復的ないじめ行為が他の生徒の安全や健康に危険を及ぼすことが証明されている生徒を別の学校に転校、あるいは退学させることが可能になります。

 学校でのいじめに対するこの措置は、被害者である生徒にこの学習環境の変更を強いることを避けるために導入されました。しかし、別の学校に移ったところで、ネットいじめの場合は、学校をまたいで継続される可能性がありますが、別の学校の生徒からのネットによるいじめの制裁は、別に検討中で、追って発表されることになっています。

 とりあえずは、去るべきなのは、いじめの加害者側という至極、まっとうなことが、今後は法律のもとに、行われることになるはずで、少なくとも、いじめられている側にとったら、少しは救われるであろうことで、また、どの学校も「いじめ行為をする生徒はいらない!」という頑とした態度をとることができるようになるのは、前進です。

 この懲戒規則は2023学年度の初め(9月)から適用され、小学生だけでなく中学生、高校生も対象となります。

 ただし、このいじめ加害者追い出しについては、あくまでも、義務教育の場合は、受け入れる学校がある場合の話で、公立学校が自治体に1校しかない場合は、他の自治体がその生徒の入学に同意するという条件でのみ転校が可能になります。

 つまり、問題児を引き受けたくない学校は当然、多いであろう中、そのような子供の「たらいまわし」が起こることになります。

 また、今の時代、携帯を持っていない、ネットを利用していない子供はいないため、学校内だけのいじめに留まらないことは、明白で、被害者に対する誹謗中傷などのいじめは、あっという間に拡散され、多くの人の間で共有されることになり、単に学校から追い出した程度では、解決にならない可能性も大きいのではないかと思います。

 SNSは、いつでも、どこでも簡単に情報を得ることができ、また、必要な情報を拡散できるという面では、大変、便利なものではありますが、悪用された場合の弊害もまた、ここのところ、かなり浮き彫りになってきているような気もするので、この利用についても指導が必要なところもあるし、また、プロバイダーもあらゆる悪用されるケースに対応したサービスを検討していくことが求められていると思います。

 フランスでは、毎年、80万人から100万人の子供たちが学校でのいじめの被害者となっていると言われています。


フランスの学校でのいじめ加害者に制裁を加える法律


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2023年8月18日金曜日

好奇心旺盛のフランス人の夫がアフリカで食べた動物がパリの動物園にいた!

  



 以前に、とっても懐かしい思い出があったパリの動物園のオランウータンに会いに行って、オランウータンのスペースを探しながら(動物園の地図には、なぜか載っていない動物がたくさんある)、水牛とか、獏とか、なんだかオレンジ色っぽい子ザルとか、一目見ただけでは、この動物はなんという動物だかわからないような動物がけっこういて、なんだか、感動ポイントがフランス人とはずれているのかなぁ?と思いつつ、なんだか、今一つ盛り上がりに欠けるかも・・などと思いながら、歩いていました。

 それでも、せっかく来たのだから、一応、ここにいる動物はひととおり見て行こうと思って、「これ、何?」と思う動物は、一応、看板を見て、何の動物なのかを確認しながら歩いていると、なにやら、熱帯動物を集めた、歴史を感じさせる、やけにガッチリ作られた石の門構えの建物があり、入ってみると、熱帯動物を集めているだけあって、中の空気は生ぬるく、蒸しっとしていて、ひとつひとつの動物?ごとに、ガラス窓でしきられていて、覗いてみると、なんとヘビやオオトカゲなどの爬虫類・・。

 あまり趣味ではないので、早々に退散、しばらくして、鳥類が集まっている場所の一部には、鮮やかなフラミンゴがいたりして、ちょっと救われた気がしたものの、なんだか、「もう!一体、オランウータンはどこだったんだっけ?」と思いつつ、もう少し、動物園らしい?喜びを感じさせてくれる動物はいないものだろうか?と思って歩いていると、その中のひとつに、看板を見て、「ん??これは何と読むのだ?」という動物がいました。

 もちろん、全部、フランス語(英語でも書いてあったと思う)で書いてあるので、ましてや、あんまり見覚えがない動物の名前など、フランス語はもちろんのこと、日本語だって、わかりません。


 しかし、「AGOUTI」(アグーチ)とたどたどしく読みながら、「アグーチ、えっ?アグーチ??」「アグーチって、もしかして、あのアグーチだ!」と、私は、一人でちょっと興奮していました。

 それこそ、感動ポイントがずれていると思いますが、アグーチという名前には聞き覚えがあり、なんとそれは、好奇心旺盛なフランス人の夫とコートジボアール(西アフリカ)にいた時に、その土地の名物料理のようなものが食べたいと、レストランで食べたことがあった動物だったのです。

 それは、テーブルに出てきた時には、シチューのような煮込み料理になっていたので、原形をとどめておらず、どんな動物なのか?とレストランの人に聞くと、なにやら、モグラとネズミの混ざったような動物だということで、どちらにしても、食用としたら、あまり気持ちのよいものではないだけに、あらためて、わざわざ調べてみることも、具体的に想像してみることもしてきませんでしたが、この名前だけは、なぜか鮮明に記憶していたのでした。

 まさかのパリの動物園で、このアグーチを見ることになるとは、思ってもみないことで、まじまじと見つめてしまいました。

 夫は好奇心旺盛で、フランス人はあまり行かない現地の小さい村のお祭りに大使館の現地採用のスタッフに頼んで参加させてもらったり、なんだか、野原のようなところの、「これ、ほんとに石鹸?」と思うような石鹸工場を見に行ったり、タバスキと呼ばれる、イスラム教のラマダンの終わりに行う羊をいけにえに捧げる行事に参加したり、物珍しいものごとには、果敢に参加して挑戦する夫は、現地の人が食べるとい珍しいお料理もぜひにと食べたがって、実現させたのでした。

 なんだか、得体のしれないものを食べたがるわりには、胃腸はあまり丈夫ではなく、必ずあとには、必ずお腹を壊すのですが、それでも、夫は大変、満足そうでした。

 実際に、現地の人々は、やはり、貧しくて、うちに来ていたボーイさんなどに聞く話では、動物は、ほとんど、どんな動物でも食べるそうで、そういわれてみれば、猫や犬でさえも、あまり外をウロウロしていることはありません。

 動物園といえば、アビジャン(コートジボアール)でも、一度、動物園に行きましたが、英語では、アイボリーコースト(日本語で象牙海岸共和国)と言われるくらい、大昔には、象牙の売買で有名だった場所。さぞかし立派な象がいるだろうと思いきや、あんなに痩せた象を見たのは初めてで、なんだか、悲しくなりました。

 話は逸れてしまいましたが、四半世紀を過ぎて、あの時、夫が食べたアグーチに会うとは・・、なんだか、私には、「へえ~~?これがあのアグーチ!」「まさに、モグラとネズミの混ざった感じ・・」と、ちょっと感動?しましたが、果たして、ふつうに動物園を訪れた人が何を思うか?不思議な気もしました。


アグーチ パリ動物園 コートジボアール


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2023年8月17日木曜日

冷蔵庫が壊れて、慌てて新しい冷蔵庫を買いに行きました・・

  


 2~3日前から、どうも冷蔵庫があんまり冷えないな・・と思い始めていたのですが、急ぎの仕事があったので、そのうちなんとかしなくちゃと思いつつ、それでも、冷凍庫は動いているので、そのうちなんとかなるか・・と甘い気持ちでいました。

 私は、電気系統とか、家電とかに全く弱く、ネットで冷蔵庫が壊れた時の対処法などを調べて、「冷凍庫に霜がたまっていませんか?」とか、「冷蔵庫の裏に埃がたまっていませんか?」など、故障の原因になっている場合があるということを少しずつやってみて、Twitter(X)の皆さまにも教えを乞うたりして、どれをやっても、結局ダメ。

 また、悪いことに、パリはちょっと気温がまた上がってきたタイミング、もう冷蔵庫なしでは、どうにもならない・・と、慌てて、冷蔵庫って、いくらぐらいするものだったっけ?とネットで調べ始めました。

 とにかく安い買い物ではないし、以前、冷蔵庫を買ったときに、おそらく、これが、私が生きている間に買う最後の冷蔵庫になるのでは?などと思って、そこそこいい冷蔵庫を買ったつもりではあったのですが、その冷蔵庫が届いた時から、運んできたおじさんが、得意気に、「これが冷蔵庫の霜取りに使うヘラです。こんなのもちゃんとついてます!」というので、「こんなのつけるくらいなら、霜のつかない冷蔵庫にせんかい!」などと思ったことは、覚えているのですが、肝心な値段は、全く覚えておらず、ただ「高いな~」という記憶しかありませんでした。

 しかし、数ある電化製品の中でも恐らくないと一番困るのは、冷蔵庫。ふつうにあることがあまりにあたりまえで、日頃は全く、ありがたみを感じることもないのですが、特にこの暑い中、冷蔵庫が冷えないと、当然のことながら、中のものはどんどん腐り始め、ほんとうに困ります。

 そういえば、家電製品修理の援助金というものができたんだったな・・と思いつつ、冷蔵庫などは、自分で持っていくこともできないし、冷蔵庫修理の援助金は25ユーロで、もう修理に来てもらうだけでも、そんな金額ではとても間に合わないうえに、来てもらったうえに、結局、なおらないとか言うことになった場合は、それこそ大変なうえに、何日もかかることになります。

 この夏の暑い中、できるだけ早く冷蔵庫は必要で、もう腹を括って、買いに行きました。ネットで買うこともできるのですが、やっぱり写真では、イマイチぴんと来ないし、今ある冷蔵庫を引き取ってもらったり、色々、わからないことを質問したりもしたかったので、お店に出向きました。

 やっぱり、実物を見てみると、中のしきりの大きさとかポケットとか、スペースの取り方とかがそれぞれ、微妙に違い、このスペースは何?と聞くと、「それは、チーズのためのスペース」とか、ワインラックがついているものとか、いかにもフランスな感じのものもあり、そんなものはいらない私は、やっぱり直に来て聞いてみてよかった・・などと思ったのでした。

 幸い、バカンス中でお店は空いていて、運よく、とてもテキパキした若い女の子が担当してくれて、非常にスムーズに、お店のカードをその場で作って、今日からそれで割引にしてあげる!ということになり、明日には、配達できるというので、けっこうあっという間に決めて帰ってきました。

 電化製品のお店は日本のようにそんなに選択肢がなく、たいていDARTYというお店に行くのですが、こんな風に何かが壊れた時に来るだけなので、本当に何年かに一度しか来ないし、前に来たのがいつだったか?何を買ったのかもよく、覚えていないくらいです。

 しかし、前に来た時にも少し感じたのですが、以前はたくさんあった日本の製品がすっかり姿を消していることに愕然とし、Samsung(サムソン)のものがたくさんになっていて、思わず、「私は日本人なので、日本のメーカーがいいんだけど、日本の冷蔵庫はないの?」と半分、冗談めかして言ってみたものの、あっさり、「全然、ない!ありません!」とのこと。

 他の電化製品にしても、すっかり日本のものはなくなっていて、かろうじてあるのは、SONYのテレビくらいのもので、ここでも日本の衰退ぶりをハッキリ見せつけられた気がして寂しくなりました。

 とにかく、明日の午前中には新しい冷蔵庫が届くことになっていますが、最後の最後まで安心できないのがフランスです。一度、約束の日になかなか来ないと思っていたら、電話がかかってきて、「運ぶときに冷蔵庫に穴をあけてしまったけど、割引するから、それでもいいか?」などと言われたこともあり(いいわけないだろ!という話ですが・・)、無事に運んでくれて、それがしっかり動くことを確認し、きっちり古い冷蔵庫を持って行ってもらうまでは、まだまだ安心はできません。

 しかし、とかく電化製品といえば、立て続けに色々なものが壊れ始めるというジンクス(我が家ではという話ですが・・)があるため、またまた、他のものにも、いつ何が起こるのか?不安な気持ちにもなります。

 以前から感じているのですが、電化製品というのは、当たりはずれがあって、やけに、あっさり壊れてしまうものもあれば、やたらと長持ちするものもあったりで、全く、寿命というものに見当がつきません。

 ちなみに我が家で使っている電子レンジは、フランスに来た時に、義姉が、もう家で使っていないものがあるから、これ、使って!と言われてもらってきたもので、ということは、少なくとも、我が家では、もう25年以上使っていて、その前に義姉が使っていたことを考えれば、スゴく長持ち・・昔の電化製品の方が長持ちするという感じもするのですが、とにかく、これは当たりの電子レンジでした。しかも、もらいもの。

 こんなことを言っていると途端に電子レンジが壊れた・・とかいうことになりかねませんが、その電子レンジはTOSHIBAのものです。

 どうか、今度の冷蔵庫は霜取りが必要ありませんように・・。


冷蔵庫故障


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2023年8月16日水曜日

母親の命を救った7歳の子供 救急隊員が通話記録をSNS上に公開して正確な通報を啓発

  


 殺伐としたニュースばかりが多い中、珍しく、ほっこりさせられるニュースです。

 目覚めない母親を心配して、救急隊に電話してきた子供とオペレーターの会話をSNS上で公開し、正確に状況を把握して処置を行おうとする救急隊のオペレーターと冷静な子供の応答を公開して、正確で冷静な通報の啓発と頼もしい救急隊の仕事ぶりをアピールしています。

 すごく不安で、小さな男の子が救急隊に電話をかけてくるだけでも、大変な勇気のいることであっただろうに、この男の子は極めて冷静で、オペレーターの質問に正確に答え、指示に従って、一つ一つの確認作業をこなしていくのには、聞いているだけでも、思わず、「がんばれ!えらいぞ!」と応援したくなります。



 子供は第一声、「ボンジュール、私のお母さんが起きられないので〇〇(住所)に来てください」と言います。

「ママは何歳ですか?」「34歳」

「一軒家ですか?アパートですか?」「一軒家です」

「ママはうつ伏せになっていますか?仰向けになっていますか?」「うつ伏せですが、起きられません」

「ママを仰向けにできますか?」「ママン・・」と言いながら、仰向けにしている気配で、オペレーターは、「呼びかけるとママは答えますか?」と畳みかけるように質問すると、「いいえ、返事がありません」

「ママの耳の近くで大きな声でママ~と叫んでみてください」「ママ~!具合わるいの?」

「仰向けにしてください」「了解」、「仰向けにできましたか?」「ウィ!」

「ママの鼻のそばに耳をあてて、空気が出ているか確認してください」「はい、鼻から空気が出ています!」

「君は何歳ですか?」「7歳半です」

「ママを肩を下にして、横向きにできますか?」「はい、できました!」

「君は家に子供一人だけですか?」「いいえ、妹と一緒です」

「妹は何歳?」「4歳半です」

「お隣さんのところへ知らせに行けますか?」「ハイ!」といって、子供はお隣に行って、事情を説明し、お隣のおばさんに電話を引き継ぎます。

 救急隊員は子供が確認したことを再度簡単におばさんに確認し、救急隊が到着するまで、子供と一緒にいてもらえますか?と頼み、「彼はとても立派だあったので、彼を誉めてあげてくださいね・・」と付け加え、通話は終了します。

 救急隊を呼ぶ事態となれば、大人であっても、冷静に会話、行動することは、なかなか難しいことですが、この子供はびっくりするほど冷静で、本当に全然、関係ない私も「偉かったね・・」とほめてあげたくなります。

 私は、ずいぶん前のことになりますが、夫が家で苦しくて息ができない!と言い出したことがあり、一度だけ、夜中に救急車を呼んだことがありましたが、救急隊に電話して何を話したか?全く記憶がありません。

 一応、命に別状はないとのことで、当時、娘はまだ3~4歳で、まさかそんな子供を連れて夜中に一緒に救急車に乗ることも憚られて、不安な気持ちで夜を過ごしたことだけは覚えています。

 しかも、娘にとっては、救急車が家に来たことが相当なショックだったようで、しばらくは、救急車を見かけるたびに、「voiture de papa !」(パパの車だ!)と反応していました。

 呼び掛けても答えない意識不明の母親を救った7歳の男の子、本当に立派だなぁ~と感心させられます。


意識不明の母親を救った7歳の子供


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