日曜日の大統領選挙の結果は、今後5年間のフランスの将来のかかった重大なもので、十分に注目すべきことでしたが、この盛り上がりぶりを見て、私には少なからず気に掛かることがありました。
それは、マクロン大統領の当選が決まって、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルスに約3,000人ほどが集まった集会の模様でした。屋外とはいえ、これだけの人が集まり、歓喜の声を上げる中、誰もマスクをしていない・・。
マクロン大統領当選の晴れやかな場面でのマスクは興ざめであることに違いはありませんが、マスクどころか、フランスでは、かつては日常の挨拶であったビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすっかり復活していて、マクロン大統領を迎え待つ人々に夫妻ともどもビズーをしながら挨拶を交わしていたのには、少々、ギョッとさせられたのです。
フランスからマスクが消えた・・ビズーも復活した・・と。
パリの街中を歩いていれば、気候がよくなったこともあり、屋外でマスクをしている人は、ほぼ見られなくなりました。
ここ数週間の大統領選挙活動を見ても、マスク姿の人はほぼ見当たらず、握手をしたり、肩を抱いて写真を撮ったりと、まるでパンデミックの影は消え去ったかのようでした。
マスク嫌いのフランス人の中で、マスクをしての選挙活動はマイナスイメージであるのかもしれませんが、ついこの間、日本に行ったばかりの私にとっては、これはかなりの温度差を感じるものです。
日本では、本当にどこへ行っても、屋外でさえも、みんながマスクをしていることに逆にビックリしたくらいで、人のいない道だから、ちょっとぐらいはいいだろう・・と、マスクをずらしていたら、どこからか人が出てきて、マスクをずらしているのをスゴい怖い顔で睨まれたりして、「うわっ!!厳しい!日本人!」と身を縮めたくらいだったので、フランスに戻ってからの、フランスのこの緩い様子にどこかホッとすると同時に、「やっぱり、ちょっと怖いな・・」とも思うのです。
さすがにパリでも、バスやメトロの中などは皆、一応マスクはしているので、マスクが全く消滅したのではないんだな・・と逆にホッとするのですが、どうにも不安がつきまとうのは、私の日本人っぽいところなのでしょうか?
こうなってくると、逆にいつまでもマスクをしていることに、そのうち日本とは逆の同調圧力がかかってくるのではないか?と思いつつも、感染者数は若干減少しつつあるとはいえ、しっかり「感染してしまった!」などという人々の話も聞くので、やっぱり、個人的にはマスクはまだまだ外せないのです。
もはや、フランスでの感染者数については、ウクライナ戦争と大統領選挙の報道でかき消されているのかと思いきや、ゼロコロナを目指して躍起になって、感染者を隔離したり、ロックダウンをしたりしている上海を狂気的な出来事として報道したりしているところを見ると、コロナウィルス感染に全く関心がないというわけでもないのでしょうが、これは、どちらかといえば、感染云々よりもこの上海の威圧的なやり方についてを取り上げている感じではあります。
4月上旬からいったん、フランスも感染者が上昇して、これはまたヤバいかも・・と日本から見ていたものの現在は、若干減少傾向にはあるものの、日によってかなり差があり、先週1週間の1日の感染者数の平均は5万人前後、集中治療室の患者数は若干ではありますが、増加しています。
フランスがすでに日常生活を取り戻すことを優先にして、感染対策に目くじらを立てることは放棄したことは明白ですが、この同じウィルスに対する対応の違いには、なかなか戸惑いを感じるところです。
現在のところ、私個人としては、人の多いところでは屋外でもマスクは外せません。まあ、もともと人の多い場所は好きではないので、ほとんど行かないのですが・・。
ノーマスク ビズー復活
<関連記事>
「コロナウィルス感染対策 フランス(ヨーロッパ)と日本の違いは大きくなった」
「羽田発ロンドンーパリのフライトと静まり返った羽田空港・ファーストクラスラウンジ」
「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」
「コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査」