2023年9月12日火曜日

ラグビーワールドカップとジャニーズ性加害スキャンダル

  


 現在、フランスではラグビーのワールドカップを開催中で、街中には、サポーターの集団がワイワイしているのを見かけたりするので、普段、あまりラグビーに興味がない私は、今さらのように、「ラグビーってこんなに人気あるスポーツだったんだ・・」などと、少々ズレたことを感じたりしていました。

 ラグビーとは全然関係なしに、このワールドカップが始まる少し前に、たまたまパリのコンコルド広場近くを通ったら、ずっと工事中だった場所に大きな仮設の建物が建っていて、「あれ?オリンピックの用意ができ始めたんだ・・見てみよう!」などと、行ってみると、まず、その建物には、マスターカードのマークがやたらと張り付いていて、「えっ?オリンピックはVISAカードじゃなかったっけ?」などと、「へっ??」と思っていると、それは、ラグビーのワールドカップのオフィシャルショップ(けっこうな広さ)で、なるほど、ワールドカップの方は、マスターカードがスポンサーなのか・・と気が付いたのでした。

 しかし、ワールドカップのために、コンコルド広場にこんなスペースを設けるとは、なかなかなアピール具合です。

 コンコルド広場には、その他、いくつかのスポンサー会社のテントが張られていて、その中に「Asahi」のテントを見つけて、「やるな~!日本の会社も頑張っているぞ!」と思ったばかりでした。

 日本でのジャニーズの性加害スキャンダルについては、フランスでは、今のところ、テレビメディアでまでは、それほど大きな扱いにはなっていませんが、新聞媒体(ルモンド紙)では、ジャパンラグビーのアンバサダーとして起用されているジャニーズ事務所のタレントであることを問題視する記事を掲載したりはしています。

 そんな中、ジャニーズ事務所の謝罪と新体制の記者会見を受けて、次々と企業側がジャニーズタレントの広告起用を取りやめる発表をし始めていますが、中でもいち早く、アサヒホールディングスが入っていたことに、なるほど・・と思った次第です。

 日本では、このような事態に対して、曖昧な状態でいることが、さほど責められないどころか、賛否両論あるなどと、甘いことを言っていますが、このような事態は、海外では一発アウトの案件であり、今回のラグビーのワールドカップのスポンサーなどという、世界中の注目を集めるイベントのスポンサーとしての立場にいるアサヒホールディングスは、いち早く、キッパリとした対応をとる必要があったのです。

 さもなければ、世界の大舞台のスポンサー企業として名を連ねていることで、通常以上に一企業として注目される立場にあるわけで、同企業の社長が会見で「ジャニーズタレントを起用するということは、人権問題に寛容な企業と判断される」と発表しているように、はっきりした態度をとる世界基準に沿ったきっぱりとした対応を早急に表明する必要があったのです。

 現在、どの程度、どの企業の広告にジャニーズタレントが起用されているのかは、わかりませんが、このワールドカップのスポンサーであるアサヒホールディングスの対応を考えれば、来年のパリオリンピックのスポンサーとなっている企業、ブリヂストン、コカ・コーラ、パナソニック、トヨタなどは、同様の対応をとらざるを得ないことは必須です。

 世界的には、タレントに罪はないなどという理屈は通用せず、むしろ、このような事務所のタレントを広告に起用したりすることは、マイナスイメージにしかならないのが世界の常識なのです。


ラグビーワールドカップ アサヒホールディングス ジャニーズ事務所


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2023年9月11日月曜日

モロッコの大地震 救助を制限されているフランスの焦燥




 2,000人以上の死者を出したモロッコの大地震について、フランスでは、我が国のことのように大きく報道しています。

 私はモロッコという国に行ったことがありませんが、フランスに来てから、モロッコという国は以前よりも身近に感じる国になったことは事実です。

 在フランスモロッコ人の数は約150万人と言われており、モロッコ人に遭遇する確率も多く、比較的、近い、異文化を感じられる国として、フランス人の人気のバカンス先でもあります。

 以前の会社の同僚には、モロッコ人もいたし、フランス人でも、バカンスにモロッコに行くという話はわりとよく聞くので、最初は、「へぇ~モロッコって人気あるんだ・・」と、最初はちょっと意外に感じました。

 今回、モロッコでの大地震による大惨事に、フランスの報道機関は取材チームを現地に送り、大々的な報道を続けています。

 専門家の解説によれば、どうやら、今回の地震は、「起こるか起こらないかではなく、起こることはわかっていたが、いつだかわからなかった・・」というものだったらしく、「驚くことではない・・」などと説明していることに驚いてしまいます。

 しかし、専門家が「驚くことではない・・」と説明するのとはうらはらに、その被害の様子の映像は、充分に衝撃的なもので、壊滅的に崩れて、原形がどういう場所だったのかは、よくわからないような状況です。

 もともと、フランスには、こうした地震がないので、一般的には、おそらく日本人以上に大きな地震に対する反応が大きいような気もするし、それだけモロッコを身近な国であると感じているということもあるのだと思います。

 しかし、当のモロッコ政府は、国際支援の管理について、責任を持って、最も効果的なアプローチが必要との理由で、現在のところ、スペイン、英国、カタール、アラブ首長国連邦の4ヵ国からのみの援助を受け入れています。

 これに対し、すでにフランス、イタリア、米国、スイス、ベルギー、トルコなど、多くの国がモロッコに支援を申し出ており、赤十字などの団体やアストラゼネカなどの企業も援助を申し出ています。

 マクロン大統領は、モロッコ当局が有用と判断した場合に介入できるよう、技術チームと安全保障チームを待機させていると発表しています。

 救助を申し入れているフランス人としては、この悲劇的な状況にモロッコが支援を制限していることが、少なからず納得がいかず、なぜ、スペインやイギリスを受け入れて、なぜフランスからの支援を受け入れないのか? 日頃の外交に問題があるのではないか? などと、話は別の方向にも傾いています。

 とりあえず、フランスのすべての携帯電話事業は、「激しい地震に見舞われたモロッコへの通話とテキストメッセージを顧客に提供している(フリー、ブイグ、SFR、オレンジの顧客はモロッコへの通話とSMSが無料になる)」と、デジタル担当大臣代表が発表しています。

 慈愛の精神に満ちたフランス人としては、壊滅的な被害を受けている場所に飛んでいって、助けたいという気持ちが溢れているのに、それを止められていることに少なからず焦燥感を感じるところがあるようですが、政治的な立ち位置は別として、とりあえず、一度にあらゆる国が押し寄せてきてくれても、場所を含めて被害状況がはっきり確認できない状態では、混乱を招きかねないと考えるモロッコ政府の言い分もわからないではありません。

 援助を提供するのも受けるのも簡単なことではないようです。

 在モロッコフランス大使館は、モロッコに旅行予定だったフランス人に向けて、現在のところは、旅行予定を中止、延期してほしいと呼びかけるとともに、状態が沈静化した後のモロッコ復興のために、モロッコをバカンス先候補から排除せずに、モロッコの観光産業を盛り立ててほしいと話していました。

 マクロン大統領、インドのモディ首相、コモロのアスマニ大統領、世界銀行、国際通貨基金、欧州委員会の指導者は、「モロッコが緊急事態に必要なあらゆる支援を提供する」と約束する共同宣言に署名しています。


モロッコ大地震とフランス


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2023年9月10日日曜日

久しぶりの郵便局で・・家にいるのに不在通知を入れられて・・

  


 フランスに来たばかりの頃は、ポストを覗くのは、楽しみなことで、今のようにネットが自由に使えなかったので、私は仲の良い友人にも家族とも、結構、よく手紙のやり取りをしていたので、自宅のポストを覗いて、手紙が入っているのは、一日の終わりの嬉しいことでもありました。

 今では、私もすっかりネットに侵され、よっぽどのことでもない限り、手紙を出すこともなくなってしまったし、よって、友人から手紙をもらうということもなくなってしまったので、今やポストに入っているものは、請求書や厄介な要件のものばかりで、一応、日課のようにポストは覗くとはいえ、何も入っていないと、ホッとするようになっています。

 昨日、出かける前にポストを覗くと、郵便局からの不在通知が入っていて、「え~~?家にいたのに・・」と思いました。家にいるのに、アパートの上まで上がってくるのが面倒で不在通知だけをポストに入れていくというのは、まあフランスではそんなに珍しいことではないとはいえ、ふつうの郵便物ならば、そのままポストに入れて行けばいいものの、手渡ししなければならない書留できている手紙なわけで、また、どこから、そんな書留が来ているのか? どうせロクな手紙ではないわけで、わざわざ、この招かれざる手紙をこちらから出向いて取りに行かなければならない煩わしさと、それがどこからの何なのか?という不安とで、ざわざわしてしまいました。

 まあ、これから出かけるので、帰りについでに寄ってくればいいか?と思いきや、受け取りは、翌日以降と指定されていて、一晩はなんとなく何の手紙なのか?ちょっと気になりつつも翌朝、起きるとさっそく指定された郵便局へ行くと、土曜日ということもあってか、長蛇の列。

 ようやく自分の番になって、不在通知票と身分証明書を出すと、記載されたナンバーを入力してチェック・・すると、ここにはなくて、間違って別の郵便局に保管されているらしい・・とのこと。さんざん並んだのに~~!

 以前だったら、猛烈に怒っているだろうと思いつつ、もうこんなことでいちいち怒りません。仕方なく、もう少し、遠いところにある、言われた別の郵便局へ行くと、ここも、けっこう混んでいます。

 しかし、郵便局に来るのも久ぶりで、ずいぶんきれいになったんだな・・しかし、以前は、なんで、あんなに郵便局に来る用事があったんだろうか?と考えてしまいました。

 多分、郵便局に持っていた口座にお金を入れに来たりしていたのですが、それが今では、ネットで全部済むようになったことや、郵便局経由での荷物が減ったことも郵便局から足が遠のいた理由でもあります。

 果たして、今度こそは、私宛の手紙はちゃんとこの郵便局に届いており、土曜日の閉店時間(土曜日は午前中のみ)ギリギリに受け取ることができました。

 手紙は裁判所からのもので、何ごとか?と、ちょっとギョッとしましたが、何かの公的な手続きが通らなくて、こちら側から異議申し立てをしていたものの返事で、少し時間をおいてから、再度、手続きをしなおして、もうとっくに問題は解決していたものでした。

 それにしても、忘れずに反応があるのは、律儀といえば、律儀ではありますが、もうかれこれ1年半以上前の話。私の方はもうすっかり忘れていました。

 まったく、まともに、返事を待ち続けていたら、気の遠くなるような話でした。

 

不在通知


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2023年9月9日土曜日

しっぺ返しの夏の暑さ 9月に入って毎日35℃超えの猛暑のパリ

  


 今年の夏はちょっと不気味なくらい暑くならなかったパリは、新年度、新学期が始まったとたんに暑さがやってきて、こんなに長い夏休みの期間は暑くなくて、学校が始まったとたんに暑くなるのも皮肉なもんだな・・と思っていました。

 しかし、この暑さ・・思った以上に長く続いており、ここ数日間は35℃を超える暑さで、今年はあまり、暑さに痛めつけられてこなかった分だけ、ここへきて、しっぺ返しを受けている感じがしています。

 今年の8月のパリは、日中、少々汗ばむくらいのことはあっても、朝晩は少々、肌寒いほどで、私などは、のんきに、「そういえば、以前は、こんな感じだったな~、このまま秋になってしまうのかしら?」と、実際にもうセーターや革ジャンなどを着ている人をみかけて、「もう冬服じゃん!いくらなんでも・・」などと思っていました。

 このフランス人の季節の変わり目の衣替えの速さは毎年のことながら、舌を撒くところなのですが、今年の場合は、それからまもなくして、真夏の暑さが今頃になってやってきたのですから、よけいに身体には堪えます。

 とはいえ、ここ数年の夏の暑さ対策は、もう手慣れたもので、朝の早いうちに家の空気の入れ替えをした後は、シャッターのある窓は、ほぼ締め切り、暑い日差しが入ってくる大きな窓には、板でバリケードをし、遮光状態にして、不思議な空間の中で過ごします。

 しかし、こう暑さが続くと朝になっても、さほど気温が下がらなくなってきて、また、数日にわたる暑さからくる疲弊でますますしんどくなってきます。

 日本だと日中、一番、気温が上昇するのは14時~15時くらいだという記憶がありますが、フランスの場合は、夏は日が長いせいもあるのか、一番、気温が高いのは17時頃です。

 我が家には冷房がないので、暑い時間帯は、むしろ、外出して、美術館や博物館などにいたり、プールに泳ぎに行ったりするものの、もうぐったりしてくると、その往復だけでも、バスやメトロは冷房が効いていなかったりすると、もうそれは地獄のようで、家にこもりがちになります。

 寒ければ、着込めば済むものを暑いとなると、脱いだところで暑いし、だんだん頭もボーっとしてくるので、始末に負えないのですが、もう最近は、家には他に人もいないし、洋服は着ない状態で、濡れたパレオを身体にまとって過ごすという、ちょっと他人様にはお見せできない状態でなんとか乗り切っています。

 しかし、同時に強い太陽の光は、排気ガスを拡散させるそうで、オゾンが発生し、暑いだけでなく、実際に有害なガスを引き起こしているようで、バカンス期間が終わって、パリ市内の交通量が増えてからのこの暑さは、大気汚染の公害も引き起こしているようです。

 それでも、けっこうフランス人は暑さには、強いようで、こんな炎天下でも平気でパラソルなしのテラス席で食事をしていたり、昨日から始まったラグビーのワールドカップの応援でけっこう、パリ市内、あちこちで興奮状態のサポーターを見かけ、暑さ以上の熱気を感じます。

 今年のパリの夏は冷夏だったような気がしていましたが、よくよく振り返ってみると、5月から6月にかけては、けっこうな暑さでもあり、今からこの暑さでは、夏真っ盛りの時期はどうなっちゃうんだろう?と思ったし、また、9月の今になって、この猛暑日が続いているということは、結果的には、総合的に夏の暑い時期が長期化しているということで、ただただ異常な気温の上昇というだけではなく、年間を通しての平均気温は確実に上昇しているということです。

 こうして、異常な暑さに見舞われるたびに、地球温暖化対策って、大事だな・・などとは思うのですが、この現状を見ると、環境対策は全然追いついていないということなのかもしれません。


9月の猛暑


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2023年9月8日金曜日

日本から、また訃報・・

  


 今朝、起きたら、日本の友人の夫からメールが入っていて、「○○についてお知らせ」というタイトルがついていたので、少々、嫌な予感がしつつも、「えっ?なんだろう?」と思ってメールを開けました。

 彼女は奇特?な人で、彼女を古くから知っている人にとったら、「まあ、彼女なら、そうかもね・・」とも思えるのですが、今どき、メールアドレスも作らず、携帯も持たない人なので、彼女に何か急いで連絡をしたいとき、あるいは、手紙を書くのが億劫な場合は、彼女の夫のメールアドレスにメールを送って、「これ、○○ちゃんに渡しておいて!」と頼んでいたので、彼女の夫からメールが来ること自体は、そんなに不思議なことではありませんでした。

 彼女には、私が日本に行った際に電話をして、近況を話したり、一緒に食事にでかけたりしていました。

 そもそも、彼女は私が大学を卒業して、日本で最初に就職した会社で同じ部署にいた先輩で、私の入社した当時は、彼女は結構、特異な存在で、しっかり仕事はこなすものの、同僚の女の子や周囲の人々とワイワイしたりするところが全くなく、いつも一人で本を読んでいて、どちらかというと孤立した存在で、ちょっと変わった人として存在していました。

 今から思うと、あの頃は私もずいぶん無邪気で、みんなが少々、距離を置いていた彼女にもふつうに接していて、話してみると、全然、ふつうで、彼女も私にだけは、わりと心を開いてくれたので、彼女が上司から食事に誘われて困っているのを「一緒に来て~」などと言われて、ある土曜日の午後に一緒に食事に行ったりしたこともありました。

 彼女は、しばらくして、お見合い結婚して、出産を機に会社を辞めてしまいましたが、そんなに頻繁ではないにせよ、その後もどういうわけか、付き合いが続いていました。

 少々、個性的ではあったものの、実は彼女は育ちのよいお嬢さんで、ネットを一切使わないとか、世の中の動きに迎合しないところはありましたが、おっとりしつつも、無理せず、自分の生き方を貫いているようなところは、私が彼女に対して心地よいと思っていたところでもありました。

 前回、私が日本に行った時は、娘が日本で生活を始めるタイミングで忙しくて時間が取れず、多分、電話で話したくらいで会わなかったと思いますが、まあ、今度、来たときには、また、食事でもしようね・・と話した記憶があります。

 そんな具合ですから、他の友人とは違ってメールもLINEもしないので、私がフランスにいる日常では、あまり頻繁に彼女と連絡を取ることもなく、しかし、しばらく連絡をとらなくても、また話したときには、その間の溝を感じることもない不思議で、しかし、私にとっては貴重な存在でもあったのです。

 それが、彼女の夫からのお知らせは、まさかの彼女の訃報で、ちょっと信じられない気持ちでした。いくら元先輩、私より年上とはいえ、まだまだ、とてもとても、そんな年齢ではありません。

 しかし、彼女の夫からのお知らせによれば、彼女は乳がんから肺に転移して、それが他にも転移が広がり、入院して1週間で亡くなってしまったというのです。

 長く海外生活を送っていると、自然と音信不通になってしまった人も多く、関係が長続きしている人はそんなに多くはありません。

 たしか、彼女は、ほんの数年前にお母さまを亡くしたばかり、しかも、喧嘩したまま、亡くなってしまったと話していましたが、彼女らしく淡々と、「相続手続きがけっこう面倒・・」などと話していたばかりでした。

 若い頃、彼女は、おばあさまとお母さまとともに、ずっとお茶のお稽古をやっていて、若い時分に奇特なことだと思っていましたが、どこか所作がきれいで、若い頃から、落ち着きのある人でした。

 この間は、親友のお母さまの訃報、そして、今回は彼女の訃報・・なんだか、もともと多くない知人・友人が立て続けにいなくなってしまい、お参りにさえいけないことは、悲しいことです。


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2023年9月7日木曜日

新年度早々に、いじめを苦に自殺してしまった15歳の少年

  


 先月、新年度を前にフランス政府(文部科学省)は、増大していく、いじめ問題に関して、「学校を去るべきなのは、被害者ではなく加害者である」と、いじめの加害者を転校あるいは、退学にさせることができる新しい法律を発令したばかりでした。

 しかし、新年度が始まって早々に、いじめを苦に15歳の少年が自宅で首を吊って自殺してしまうという悲劇的な事件が起こってしまいました。

 この被害者の少年は、長い間、いじめのターゲットとなっており、昨年12月には、この少年に対するいじめが報告され、今年3月には、学校側が、複数の加害者とその保護者、そして、この被害者の両親を呼び出し、話し合いが行われていました。

 4月には、学校と被害者の両親との間で数度にわたる手紙のやりとりが行われていた模様ですが、この被害者側は、学校側からの対応は満足のいくものではなかったと語っています。

 業を煮やしたこの父親は、警察に訴状を提出したものの、受け付けてもらえなかったと話しています。

 結局、年度末(夏のバカンス前)まで、学校との話し合いは続けられ、学校側は、この被害者の少年のいじめ状況を、CPE(Conseilleur principale d'educaation 教育アドバイザー)が、定期的に監視するという措置をとっていたと言います。

 結局、この被害者の両親は、学校側の対応に不安が拭いきれずに、この少年は、9月からは、別の学校に転校することになっていました。

 文部科学省の出した法令は、結局、この少年に対しては適用されなかったようで、(タイミング的に遅かったこともあるが、)被害者の両親の言い分では、このいじめの事実認定が正確になされていなかったと話しています。

 とはいえ、この少年にとって、新年度からは新しい学校で心機一転というわけにはいかなかったということは、このいじめや嫌がらせが、校内だけでなく、SNS上などにも及んでいた可能性があることが指摘されています。

 しかし、まだまだこれから長い人生が待っているはずの15歳の少年が、自らの命を絶ってしまったという事実、夜、自分の家で首を吊っていたところを発見した両親の気持ちを考えるといたたまれない気持ちです。しかも、さんざん心配な状況をなんとかしなければならないと奔走していただけに、許せない気持ちだと思います。

 この加害者になっている子供たちとて、こんな行為に及ぶということは病んでいる状態であることは明白ですが、やはり、あらためて、いじめの問題は、ことさら早く、厳しい対応が必要であることを痛感します。

 納得する対応をしてくれない学校、訴えを受け付けてくれない警察。さんざんいじめに遭っていた少年の心は弱っており、SNSで無限に拡散されるいじめもあったとしたら、もう耐えられないと思ってしまったかもしれません。

 未成年ということで、厳罰化ができないという側面もあるかもしれませんが、最近の未成年の犯罪(いじめも犯罪)は、目に余るものがあり、未成年とて、厳しい措置をもって、早急に対応することが必要なのかもしれません。

 フランスでの未成年の事件では珍しいことではありませんが、この被害者の両親は、前日に息子が自ら命を絶ってしまったというのに、気丈にもテレビのインタビューに答え、「今、すぐになんとかしなければいけないのは、アバヤの問題などではなく、いじめの問題に対する確固とした対応です」と訴えていました。


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2023年9月6日水曜日

フランスの大人気ユーチューバーのマクロン大統領独占インタビュー 24時間で100万回再生突破

  


 フランスの人気ユーチューバーの一人である通称ユーゴ(Hugo Travers氏)が新年度が始まる日のタイミングを狙って、「若者の将来」を中心としたテーマで、マクロン大統領への独占インタビュー映像が、当日、午後6時にYouTube、TikTokで同時に配信され、話題を呼んでいます。

 彼は、TikTokで500 万人以上、YouTubeで200 万人以上の登録者を抱える、特に若者に大きな影響力を持つ人物でもあります。若干、26歳の彼の位置づけは、もはやユーチューバーというよりも、ジャーナリストと呼ぶにふさわしいもので、毎日毎日、国内はもとより、世界中のニュースを抜粋して、客観的に解説して伝え、10分程度に編集されている彼のYouTubeは私もほぼ毎日、視聴しています。

 私が彼のニュースを好んで見ているのは、あくまでニュースが客観的に伝えられているためですが、マクロン大統領を始めとする政治家たちや、時代を動かしているような著名人に対するインタビューなどの中に彼の確固とした信念が感じられることでもあります。嫌みの感じられない好青年の印象です。

 日々のニュースの中で話題になりそうな問題については、SNSを通じてアンケートをとったり、また、それをInstagramなどでさらに、詳しく解説したりしながら、特に若者に関係するテーマに熱心に取り組んでいます。

 いわゆる○○チャレンジ・・とか、エンタメ系ではないユーチューバーがこれだけ人気があるというのも、政治の話題が好きなフランス人らしいところではありますが、このような若者からのインタビューや対談などでも、政治家が力強く自分の言葉で語るところなどには、日本にも、このような場面があったらいいのに・・と思うところでもあります。

 今回のインタビュー映像は、忙しい大統領が2時間以上、彼の質問に答えながら語るというもので、フランスでは、急上昇ランク1位、24時間以内に100万回再生を突破しています。

 数々のインタビュー依頼があるにもかかわらず、このタイミングで彼のインタビューを受けた大統領の側の意気込みが感じられるほどに、ものすごい熱量で、白熱して話続けるマクロン大統領の勢いを、若い彼の方が冷静に、しかし、適格に進行していく様子は、それはそれで、興味深いものでもありました。

 彼は、質問の最初に若者のうつ病が増加していることから、精神科の医師不足などの問題から始まり、今、話題になっている公立校でのアバヤ着用禁止問題や制服について、学校のバカンス短縮問題から、子供へのスポーツの重要性や環境問題の一環として、49ユーロで公共交通機関への無制限のアクセスを提供するドイツのモデルと同様の鉄道へのアクセスを促進する措置に好意的であることなどを述べています。

 私はこの内容よりも、日本にはおそらくあり得ないだろう大統領と若者が、若者の、そして国の現状の問題や未来を踏まえて熱く語る姿を羨ましいと思って見ていました。

 私は、マクロン大統領を全面的に支持するわけではありませんが、少なくとも、こうして若者に対して、もう止まらないと思うくらい熱く語る国のリーダーをいいなと思うし、そして、適格に社会の動きを捉えながら、多くの若者の言葉を代弁して大統領からの話を引き出す若者の存在を好ましいと思うのです。

 日本のYouTube業界には詳しくないものの、思い浮かぶのは、スキャンダルを暴くことで爆発的な人気を博したユーチューバーが国会議員になったものの、あっという間に消えていったという出来事で、正当に国をよくしていくような政治家からの若者への歩み寄りも、それにぶつかっていこうとする若者も日本には、見られないのは、残念なことです。


フランス人気ユーチューバーのマクロン大統領インタビュー100万回再生


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