私が最初に海外で生活したのは、ロンドンで、その頃は、私も若く、日本では、東京生まれの東京育ち、日本の他の地域に住んだこともなくて、初めて親元を出た経験でもありました。言葉の違い、文化の違いなどに触れ、見るものすべてが驚きの連続でした。
最初は、街の中を見て歩いたり、人々の様子を観察したりして、慣れない英語での生活にドキドキしながら、知っているはずだった英語をいちいちイギリス英語に直されたりするたびに、直すぐらいだったら、意味はわかっているんだから、いいじゃん!などとバカなことを思ったりしていました。
ロンドンは(パリもだけど・・)、東京に比べるとずいぶんとコンパクトな街で、最初は地下鉄を使って、そのうち、バスで動けるようになると、街の色々なところを自由自在に楽しむことができるようになりました。
ロンドンには、けっこう街中に大きな公園がありますが、その公園に行ったりすると、そこにいる人たちが、公園で寝転んだり、本を読んだり、ピクニックをしたりしている様子がとても楽しそうで、彼らはとてもシンプルに生活を楽しむんだなということが、なんだか、とても衝撃的でした。
それは、パリに来ても同じことで、最初は、彼らはなんで、わざわざ、こんなところで本を読んでいるんだろう?とか、なんで、こんなところにきて、何もせずにただ座って、喋っているんだろう?とか、思いました。喋りもせずにただ一人で座っている・・なんていう人もいます。
パリに来て、長い間、私は、公園どころではなく、仕事と子育てに追われて、公園でゆっくりするなんていう時間的な余裕もまったくなく、仕事が休みの日は、子供のお稽古事の送り迎えや買い物やウィークデーにはできない家事などで忙殺され、バカンスには、パリ以外のところに行ってしまうので、パリの街中、しかも公園を楽しむなどということはありませんでした。
ここのところ、子育ても終わり、時間にも余裕ができて、健康のためにできるだけ歩かなければ・・などと思い始めると、どうせ、歩くなら、少しでもきれいな場所、気持ち良い場所が良いな・・と思い、たまに、パリ市内のきれいな公園(庭園)に行くようになりました。
最近、行くようになったのは、パリ6区にあるリュクサンブール公園で、フランス人がヨーロッパで最も美しい庭園と誇る巨大な公園で、入口だけでも10ヶ所あります。
季節ごとの花は美しく、フレンチな感じとイギリスの感じが混在する庭園と言われており、敷地は、公開されているだけでも部分だけでも 21.75haもあり、敷地内には、庭園はもちろんのこと、宮殿、美術館からテニスコート、バスケットコートや子供が遊べる公園や砂場、回転木馬、マリオネットの劇場、野外音楽堂、ピンポン、チェスなどを楽しめる場所、小洒落たカフェ、有名なメディチ家の噴水、庭園内には、102点の彫像が散りばめられ、それが、上手く調和して、存在しています。
けっこう、ヨーロッパからの観光客も多く(子供連れも多い)、2022年には、年間来場者数620万人を記録しているそうです。
わざわざパリまで来て、ここで、質素な食事でピクニック? わざわざ、こんな庭園に来て、読書?などと思わないでもありませんが、心地よい場所を選んで好きなことをしていると思えば、それはそれで、というか、それだけで、心にゆとりがあるような気もするのです。
ドイツからの観光客 パンや卵、フルーツなどを分け合いながら食べている |
彼らは太陽が大好きということもありますが、同じ本を読むならば、食事をするならば、屋外の景色のよい心地よい場所でというのは、たしかに、気分が良いことに違いありません。彼らは公園が大好き。若者でも、簡単な食事やお菓子を持って、おしゃべりしたり、カードゲームをしたり、すごくシンプルに遊んでいます。たしかに、狭い家の中で、ごそごそやっているよりも外に出て、緑や太陽に触れながら、遊ぶ方が健康的たし、心地よいに決まっています。
しかし、私は若い頃には、そんな遊び方をする発想は皆無だったので、そんな光景もけっこう衝撃でした。
また、観光客の場合、限られた日数の旅程で、あそこの美術館にも行きたい、あそこで買い物もしたいと忙しく動き回りそうになるところをゆったりとした時間を美しい庭園で好きなようにゆったりと時間を過ごすというのも、いいな・・と最近の私は、思うようになりました。
リュクサンブール公園には、4,517の椅子(ベンチ)があるといわれていますが、今の季節、平日の昼間でも、椅子は、ほぼ満席?です。広い庭園の中をそんな人々の様子を眺めつつ、美しい花や彫像などを楽しみながら散歩するのは、なかなか退屈しません。
せっかくパリにいるのですから、今度は、私も、歩くだけではなく、本を持って、ゆっくりと時間を過ごしてみようかと思っています。
リュクサンブール公園
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