2022年12月15日木曜日

2022年サッカーワールドカップ フランス決勝進出

  


 フランスにとってのサッカーは国民的なスポーツで、今回のようなワールドカップがあったりすると、国民の熱狂ぶりで、サッカーがどれほどの位置を占めているのかを痛感させられることになります。

 今回のワールドカップで、フランスは順調に勝ち進み、昨日のフランス対モロッコの試合は準決勝というのに、決勝並みの大騒ぎで、パリだけでも2,000人、全国で5,000人の警察官が動員され、シャンゼリゼには2万人以上が集まる大フィーバーとなりました。

 今回の準決勝進出を先に決めたのはモロッコでしたが、アフリカ大陸から初の準決勝進出ということや、フランスには、モロッコの人、アラブ系の人々も多いために、その時点でもすでにモロッコ勢はシャンゼリゼに集結し、大いに盛り上がっていました。

 フランスが準決勝進出を決めたときは言うまでもありません。

 モロッコ対フランスの準決勝当日もモロッコを応援する人、フランスを応援する人に紛れて、モロッコのユニフォームを着て、フランス国旗を振っているようなどちらも応援しているような人も少なくありません。

 今回の準決勝には、まさかのマクロン大統領までがカタールに応援に出向くという熱の入り方、しかし、一応、メディアは彼にも注目はしますが、大統領でさえも存在感が小さく感じられるほど、フランスのサッカーチームは、いまをときめくスーパースターなのです。


 サッカーの応援の様子などを見ていると、彼らの興奮の仕方というのは、激しいもので、変な言い方をすれば、血が騒いでいる・・その血が日本人とは違う・・と感じてしまいます。

 先週あたりから氷点下の世界になっているこの寒い気候も、インフレやエネルギー不足に喘いでいるこのご時世も、全てどこかにすっ飛んでしまったようで、試合終了後には、おそらくパリのどこにいても、花火がどこかであがっている様子が聞こえてきて、寒さも忘れて、大して着込むこともなく、心底楽しそうにフランスの勝利を喜んでいる人々を見ると、今の時代にこんなに人を幸せな気持ちにしてくれるものは、なかなかないだろうと思うのです。

 あるチャンネルのジャーナリストたちは、シャンゼリゼが見渡せる場所から(屋外)中継していて、一応の防寒はしているものの、この寒さのわりには軽装で、興奮して寒さもなんのそのになっているところ、1人のおじさんジャーナリストが手袋をしているのを突っ込んで、「この人、こんな時に手袋がいるんですよ・・この人は・・」などと笑いのネタにしているほど、もう氷点下の寒さも吹っ飛ばされているようです。

 今年のシャンゼリゼのイルミネーションはシャンパンカラーのレモンイエローですが、そのシャンゼリゼのイルミネーションの並木の間を大勢の人が埋め尽くし、不謹慎な話ではありますが、その脇を取り囲む警察車両の屋根につけられたブルーの回転灯が映えてとてもきれいでした。

 今年は節電のため、イルミネーションは日付が変わる前に消灯されましたが、人は減らずにいつまでもブルーの回転灯だけがシャンゼリゼを灯し続ける光景も、それはそれでまた幻想的できれいなのでした。

 フランスは過去24年間でワールドカップの決勝進出は4回目、最初に優勝したのは1998年のことで、今回のフランスチームのスーパースター・エムバッペ選手はこの年に生まれており、なにか、運命的なものさえ感じてしまいます。

 24年間で4回決勝に進出し、2回優勝しているということは、あらためてフランスのサッカー人気の理由がわかるような気がします。強いから好きになる、さらに応援したくなる、すると、さらに強い選手が集まり、また強くなる・・ますます人気が上昇する・・とプラスの好循環になっているのです。

 フランスの小さい子供のお稽古事?(男の子)のトップは圧倒的にサッカーで、フランスでの圧倒的な人気スポーツの座は揺るぐことがありません。

 日本では人気の野球は、存在すら確認するのが難しいほどで、やっているという人の話は聞いたことがありません。

 もしかしたら、サッカーのワールドカップはオリンピック以上の盛り上がりではないかと思われるくらい、サッカーを応援する人は、年齢層も広く、底辺の人から、エリートまでの広範囲にわたり、その経済効果も大変なものだと思われます。

 このところ、不景気で不安なことばかりに覆われていたフランスが一機にサッカーで運気が上昇しているような、そんな気にさせられる感じです。

 喜びに沸きあがるエネルギッシュな群衆を見ていると、このエネルギーが生活への不満などで、デモとかテロとかに転じずに、国全体でこんなに熱狂的に喜ぶことのできるものがあることが、なんだかうらやましい気もしているのです。

 決勝戦は日曜日、さらに大変な騒ぎになりそうで、このワールドカップ騒ぎから、すぐにノエル、年末年始のお祭り騒ぎが続きそうな感じです。


2022年サッカーワールドカップ フランス決勝進出


<関連記事>

「パリ・オペラ座出身のバレエの先生 フランスの子供に人気のお稽古事」

「涙もろいパパのギャップと夫婦の距離」

「フランス人の熱量」

「リオネル・メッシ パリサンジェルマンへ移籍のパリフィーバー」

「フランス人のサッカーへの熱量」





 

2022年12月14日水曜日

未成年強姦容疑で身柄拘束されたフランスの人気ユーチューバー YouTube広告収益撤廃

  


 1200万人の登録者を持つフランス第3位の人気ユーチューバーであるノーマン(Norman Thavaud)が、複数の10代の少女や若い女性を巻き込んだ未成年者強姦の容疑でパリ検察庁に身柄を拘束されたという衝撃的なニュースから約1週間、検察庁に身柄拘束された彼は、取り調べに応じ、涙ながらに、陰謀にはめられたとか、相手の女の子があまりにも熱狂的、情熱的だったとか、犯行の事実を否認していると報じられ、結局、48時間の身柄拘束は延長されずに現時点では、起訴されないまま解放されていました。

 しかし、彼の身の潔白が証明されたわけではなく、今後も捜査は継続して行われるとのことで、彼はグレーな存在のままです。

 彼の身柄が拘束されて、すぐに、すでにフランスで最も重要なYouTubeチャンネルを制作しているウェブディア(Webediaグループ)は、「ユーチューバーのNorman Thavaudとのコラボレーションを停止する」と発表していました。

 なにしろ、フランスのユーチューブ界では、大物中の大物の彼、登録者は1200万人近く、これまでの累計再生回数27億回、彼の人気動画には3000万回再生がずらっとならび、中には、8000万回から9000万回再生にもなるものもあるのですから、彼を取り巻くたくさんの人々にも大きな影響が及ぶことになるわけです。

 そして、約1週間経って、Googleプラットフォームは、未成年者へのレイプと汚職で捜査中のユーチューバーのチャンネルから広告を剥奪する制裁を決定しました。YouTubeは数日前から対応を検討しており、ようやくこの制裁を決定したのです。

 YouTubeの広報担当者は、「私たちは、あらゆる形態のセクシャルハラスメントを容認できないと考えています。YouTube動画の内外を問わず、クリエイターの行動が、ユーザー、コミュニティ、エコシステムに害を与えていると判断した場合、被害者を保護するための措置を講じます。」と発表し、現段階での措置は、「無期限での広告剥奪」ですが(動画を公開することはできる)、今後の捜査の進行の結果如何で、また、不適切な事実が確認された場合は、当該アカウントを閉鎖する場合もあるとしています。

 YouTubeがフランスでこのような制裁措置に踏み切ったのは、今回が初めてではなく、同プラットフォームによると、2020年に1件、2021年1件のチャンネルを同様の理由で閉鎖しています。

 このノーマンの騒動で、他にも、8人の女性からレイプと「心理的・性的暴力」で訴えられセクハラで予備調査を受け、また別のレイプ事件の捜査が開始されているユーチューバーがいることも発覚しており、彼に対しても同様の措置がとられる可能性があるとしています。

 いわゆる、これまでの映画やテレビの世界のスター、有名人とは異なり、見せる側も見ている側も、アクセスしようと思えばアクセスできるこれまでにない距離感、独特な存在のユーチューバー。

 人気ユーチューバーは、どこか自由が利きそうではいても、多くの人に顔を晒すという意味では、リスクはつきもので、結局は、非道なこと、あまりに道徳から逸脱したことをすれば、あっという間に晒されてしまうことには、かわりないのです。

 

フランス人気ユーチューバー 広告撤廃


<関連記事>

「登録者数1200万人のフランスの人気ユーチューバー 未成年者強姦で身柄拘束」

「マクロン大統領のユーチューバーとのチャレンジ企画 Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)」

「人気ユーチューバーとの約束を果たしたマクロン大統領のユーチューブ出演 1日で750万回再生突破」

「日本はフランス人になぜ愛されるのか? フランス人は日本をどう見ているのか?」

「インフルエンサーに届く報酬2,000ユーロのファイザー・ビオンテックネガティブキャンペーン依頼メール」




2022年12月13日火曜日

寒さが最後の後押ししてくれたインフルエンザのワクチン接種

 


 

 昨年の年末は、コロナウィルス感染の広がり方が半端ではなく、ちょっと出かけると、すぐにTous Anti Covid(フランスのワクチンパスポートと感染者追跡アプリ)のアプリにアラートが来て、「感染者に接触しているので、すぐに検査してください」という通知が来るし、ブースター接種が待ち遠しい感じで、もうコロナに感染していないのは奇跡的な感じもしていたので、もしもインフルエンザとコロナウィルスとダブルチョップで襲われることがあったら、大変だと思い、普段は通知が来ても無視していたインフルエンザのワクチン接種を受けていました。

 インフルエンザワクチンなど、もう何十年もやっていなかったこともあるのか、ワクチン接種後は、体調を崩し、熱を出したりしました。

 それでもワクチン接種をしたということは軽くインフルエンザに罹ったようなものなので、まぁ、あり得ることだと、ひたすらドリプラン(アスピリン)を飲んで寝て、数日後には、復活。それから状態が落ち着いてから、コロナウィルスのブースター接種を受けました。

 それから、私は2回目のブースター接種を7月に受けていますが、また、年末を迎えてフランスのコロナウィルス感染は確実に上昇しています。しかし、今年は、コロナウィルスの感染者は昨年ほどではないものの、今年はインフルエンザと細気管支炎との三つの呼吸器感染症の同時流行ということで、また、別の脅威がやってきています。

 やっぱり今年もインフルエンザのワクチンをした方がよさそうだ・・と思いながらも、昨年ワクチン接種後に体調を崩したこともあり、ちょっと腰が引けていました。

 しかし、呼吸器系感染症のトリプル流行の影響で、なんとドリプランの製造が間に合わなくなっているというニュース。フランスでドリプランといえば、アスピリン(解熱・鎮痛剤)の代表的な存在でフランスでは、日本のように風邪薬や鎮痛剤の種類が多くなく、なにかというと、とりあえずドリプラン・・というくらいの薬で、どこの薬局に行っても、いつでも黄色いドリプランの箱は山積みに置かれている薬なのです。

 それだけ、もともと服用する人が多い薬なので、いつでも、どこの薬局に行っても、ドリプランだけはいつでも山積みなのに、それがなんと不足しているとは驚きです。

 そのうえ、先週あたりから、フランスは氷点下の世界に突入して、寒さが一段と厳しくなってきました。氷点下・・マイナス2℃、3℃ということは、冷蔵庫の中よりも寒いのですから、これはたまりません。

 もはやマスクは重要な防寒具の一つで、耳にまでマスクをしたいくらいです。夏の猛暑の時には、寒い方がまだマシだ・・着ればいいんだから・・などと言っていたくせに、寒ければ寒いで、やっぱり寒いのも嫌なのです。

 これは、いよいよやばいと思い、届いていたインフルエンザのワクチン接種券をもって薬局に行くと、すぐにできるわよ!ということで、その場でやってもらうことに・・。薬局のレジで受付を済ませると、「じゃあ、ちょっと、あっちの部屋で待ってて・・」と言われて、待っていると、受け付けしてくれた人とは別の男性が部屋に来て、「マスクを外してください・・」と・・。

 えっ?ワクチン接種になぜマスクを外すの?と怪訝な顔をすると、「え?PCR検査ちじゃないの?」と、どうやら、検査に来ているのだと勘違いしている様子。おそらく、現在のところ、インフルエンザのワクチン接種をする人よりも圧倒的にPCR検査をしに来ている人の方が多いことがうかがえます。

 考えてみれば、パンデミック以来、ワクチン接種にしてもPCR検査にしても、すっかり薬局に来る機会が増えたもんだと思いながら、受けつけしてくれた女性を待っていると、間もなく彼女がやってきて、「腕を出してください・・」と促され、腕を出したところで、「風邪ひいてませんね、熱ありませんね・・」と確認。そのうえ、「今年のワクチンはちょっと痛みが強いかもしれないし、その痛みが2日くらい続くかもしれないし、場合によっては、熱が出たりするかもしれません・・でも怖がらないで・・大丈夫だから・・」と思いっきり怖がらせるのです。

 もう腕をまくっている状態で、そんなことを言われて、「先に言ってくれれば、やめてたかも知れないの!今になってそんなこと言わないでよ!・・」と半べそをかきながらも、もう今さら引くに引けない状態。まるで子供の注射イヤイヤ状態。

 たしかに、いつもよりは痛い感じはしたし、翌日まで腕は痛かったものの、今年は、熱を出すことはありませんでした。

 帰りに「ドリプランが不足しているって聞いたけど・・」と聞いてみたら、なんで知ってるの?みたいな顔をして、ちょっとびっくりされましたが、「大丈夫、まだ、うちには在庫あるから・・」と軽くいなされました。

 それにしても、ここのところのフランスの冬はこんなに寒かったかな?とちょっと、引くほどの寒さです。ここ2年間、冬の間、あまり出歩かなかったせいか、今年の氷点下の冬はことさら寒さがきつく感じます。

 しかし、尻込みをしていたインフルエンザのワクチン接種もドリプラン不足と極寒に後押しされて、ようやく済ませました。

 毎日のように公共交通機関や屋内でのマスク着用を義務化にするかどうか?という話をしていますが、フランス人の間でも、2年前のようにマスクを毛嫌いする感じは薄れ、必要があればする人も増えたので、ずいぶん、フランスも変わったな~~と思いながら、防寒具としても、今年はマスクが手放せない・・なんならカシミアのマスクが欲しい・・などと思っているのでした。


インフルエンザワクチン接種


<関連記事>

「フランスを襲うコロナウィルス、細気管支炎、インフルエンザの呼吸器系トリプル感染症」

「体調不良で一気にダウン・・インフルエンザかコロナか? まずはコロナの検査から・・」

「3回目のコロナウィルスワクチンの前に、インフルエンザのワクチン接種をしてきました!」

「フランスの1日の新規感染者数6万人突破のタイミングで3回目のワクチン接種をしました!」

「」無料で受けられるフランスのインフルエンザのワクチン

2022年12月12日月曜日

パリのバス停はおばちゃんの井戸端会議の場

 


 私がフランスに来る前の印象では、フランス人はツンとしていて、なかなか感じ悪い印象がありました。実際に、パリに旅行で来た時(といっても、かなり前の話ではありますが・・)には、何か英語で尋ねても、わからないふりをされたりしたことがあったりしたためで、「フランス人ってほんと、感じ悪い!」と思っていました。

 そのころとは時代も変わり、こちらから頼まなくてもレストランなどで英語で話してくれたりするようになって、今となっては、逆に突然の英語にドギマギするほどなのですが、考えてみれば、日本人だって、日本で突然、英語で話しかけられれば、「ノー!イングリッシュ!」などと拒絶する人はいるだろうし、まぁ、似たり寄ったりのところはあるのかもしれません。

 しかし、実際に生活してみれば、フランス人というのは、とかく話題に加わりたがる人たちで、知らない人とでも、気さくに話かけることが多い気がします。

 最近、特に思うのは、パリのバス停というのは、知らないおばちゃんたちが、世間話に花を咲かせる場であるということです。先日もバスで出かけようとして、バス停に向かい、バス停にたどり着くと、まず、私の乗りたいバスがあと何分で来るのかをチェックするのですが、同じようにバスを待っているおばちゃんたちが、待ってましたとばかりに、私の顔色をのぞき込み、けっこう待ち時間が長いのを知った私が、うんざりした顔をすると、「バーウィ~!」(そうでしょ!みたいな意味)と言ったのを機に、おばちゃんたちの井戸端会議がスタートしたのです。

 井戸端会議というより、グチの吐きあいというか、まず、パリの交通機関のトラブル自慢大会で、「この間、どこだかに出かけるのに2回乗り換えに2回ともそれぞれ40分以上待たされた・・」「そのうえ、Navigo(パリ近郊の定期券のようなもの)はまた値上げ!84€になるんだってよ!」、「バスを30分以上待っていても、そのあとに続けて2台同じ行先のが来るのは、お決まりのパターンでしょ!」「運転手のせいではないけど、どうにかするべきでしょ!」

 「なにもかもが値上がりするうえに、停電するかもしれないんでしょ!」「いやいや、停電はしないと思うけど、一度、暖房が切れて、部屋が冷えて、温めなおすには、3倍の電気がいることになるのよ!」「3倍かかる電気代を払うのは私たちなのよ!」「もう、支払いのために働いているみたいでしょ!もう仕事やめたい!」(インフレ関係なく支払いのために仕事をしているのは、変わりないけどな・・などと思いながら聞いていました)

 おばちゃんたちのおしゃべりは、バスが来るまで止まることはありません。これが世間の生の声というものか・・などと思いながら、私は、炸裂するパリのおばちゃんパワーに適当に相槌をうちながら、けっこう楽しみながら、退屈せずにバスを待つことになります。

 もちろん、このおばちゃんたちは知り合いでもなんでもなく、その場限りの通りすがりの人たちなのですが、そこそこの発散の場になっているのかもしれません。

 そんなおばちゃんたちに遭遇するのが、以前よりも頻繁になっている気がするのは、世間の不満が高まっているということなのか? 私がそのおばちゃんたちの空気を妨げないものを身に着けてきたのかはわかりませんが、否応なしに待たされるバス停という場は、意外にも井戸端会議の場になっている気がしてなりません。

 そんな気がしてくると、もうバス停で座っているおばちゃんがいるだけで、もう話をしようと待ち構えているような気さえしてきて、また、予想どおりに、かなりの割合で話が始まるのも、苦笑いしながら、「やっぱりまただ・・」などと思うのです。

 日本だったら、絶対にないと思われるバス停での知らないおばちゃんとのおしゃべり、とにかくフランス人はツンとしているどころか、話好きの人が多いことは、間違いないと確信に変わり始めています。


パリのバス停 井戸端会議


<関連記事>

「フランスでは知らない人に話しかけられる確率が高い私」

「公共交通機関でのベビーカー問題について」

「パリ市内のバス RATP(パリ交通公団)キセル乗車の取り締まり」

「パリのバス停で・・喋る喋るフランスのおばちゃん」

「ストライキに遭遇して見知らぬ人と駅まで歩くハメになった・・ストライキには腹を立てないフランス人」

 

 

2022年12月11日日曜日

2023年1月1日からファストフードの使い捨て容器廃止へ

 


 ファストフードの容器については、すでにプラスチックのストローが廃止されたり、プラスチックボトルで提供されていたエビアンなどの水が取り扱われなくなったり、すでに環境問題に適応してきました。

 しかし、この適応では飽き足らずに、2023年から1月1日からは、イートインの飲食については、段ボール製のハンバーガーボックスや紙コップによるテーブルサービスが禁止されます。これまで、プラスチックから紙に移行していたのに、ついには、その紙もダメになったのです。

 その代わりに、店内での飲食に関しては、ハンバーガーが崩れないように包む紙を除いて、再利用可能な食器や洗える食器のみが利用可能になります。再利用可能な・・というと、ハードルが高そうではありますが、要は普通の食器、食器はそもそも再利用できるのが普通です。

 持ち帰り販売にはこの規制は適用されないものの、ファストフード店では、使用後すぐに捨てられてしまうパッケージが年間18万トンも発生しているそうで、これだけでも、相当な量のごみ削減に貢献できるとともに、まずは、大手ファストフードチェーン、バーガーキング、KFC、クイック、マクドナルドに対して課せられるものとなれば、ある意味、人々の意識改革を促すものにもなりえる気がしています。


 考えてみれば、普通、レストラン内で食事をすれば、食器は普通のお皿だったり、ガラスのコップだったりするわけで、食事が終われば、それを洗って、また使うのはあたりまえのことなのです。

 私はあまりファストフードのお店に行くことはないのですが、フランスに来たばかりの頃は、食べ終わった後の使い捨ての容器を自分では片付けないで帰ってしまう人が多いことに驚いていましたが、最近は、少しはマシになって、自分でゴミを捨てる人が増えた印象があります。

 これが使い捨ての容器ではなくなると、どうなるのでしょうか? 再利用可能となれば、持って帰ってしまう人が多いのではないか?と気にもなります。

 バーガーキングでは、現在、一部の店舗で新しい再利用(リユース)食器の使用を開始しており、1月1日までにすべての店舗で装備される予定だといいます。 客がゴミ箱に捨てたり、持ち帰ったりするのを防ぐために、バーガーキングではテストレストランで食器にチップを装備したようです。

 最初はゴミ箱に捨てたり、持ち帰ってしまうケースが多かったのですが、カウンターに食器を戻すようになってきたそうです。長い間の習慣を変える必要があるのは、お客さんだけではなく、店舗側も再利用となれば、食器を揃えて、それを保管する場所を確保する必要もあり、また、食洗器を置くスペースも必要になります。

 テイクアウトに関しては、これまでどおりのパッケージが利用されるために、食器の保管スペースはダブルに必要になることになります。

 しかし、返す返すも、店内で食事をするのに使い捨ての容器を使っていたことの方がおかしかっただけで、店内での飲食には再利用可能な食器を使うのは当然のことで、今までおかしなことをしていたのをもとに戻すだけなのにな・・と思うのです。


ファストフード店内飲食 使い捨て食器利用禁止


<関連記事>

「マクドナルドの水が呼び起こす大論争 Eau by McDonald's」

「最近のフランスのケンタッキーフライドチキンはちょっと残念」

「シャンゼリゼのマクドナルドのテラス席はおしゃれで可愛い」

「ファラフェル激戦区 パリ・マレ地区の美味しいファラフェルのレストラン2選」

「アメリカのものが嫌いなフランス人の夫」

「フランスの貧乏大学生の質素な生活」


2022年12月10日土曜日

2023年1月から開始される若者へのコンドーム無料化

  


 今週半ばにマクロン大統領がツイッター上で「2023年1月1日から、18歳から25歳までのすべての若者が、薬局で無料でコンドームを受け取ることができるようになる。これは予防のための小さな革命である!」と発表し、この小さな革命は大きな話題を呼びました。

 フランスでは、これまでもすでに、2018年12月10日から医師や助産師からの処方箋があれば、この費用は社会保険からすでに払い戻されており、エイズや性感染症対策のツールとしても位置付けられてきましたし、また、検査センターや特定の団体から無料でコンドームを入手することができる状態ではありました。

 しかし、コンドームを無料で入手するためには、医療機関を受診したり、特別な機関に行く必要があり、もちろん、そのためにわざわざ出かけていく人というのは、少なかったのです。

 しかし、今回は、それをより身近な場所で簡単に入手できる場所として薬局を選び、「社会保障による100%の払い戻し」、「処方箋なし」という非常にシンプルな手続きになります。いわば、コンドームの無料配布ということになります。

 このニュースは、ほぼ、肯定的に受け取られていて、私などは、「さすがアムールの国、セックスに関してもなかなかオープンな措置だな・・」などと思っていましたが、現実的に、そして合理的に考えれば、結果的には、医療費削減にもつながるのだろうな・・と思うだけで、18歳から、25歳という年齢制限に疑問を感じてはいませんでした。

 しかし、世の中の反応は、さらに先に行っていて、18歳以上ではなく、未成年者に対しても、これを適用してほしいという声があっという間に高まり、「若い未成年者の多くがセックスをしていること、彼らも自分の身を守ることができるはずだ、同じように経済的な制約を受ける可能性がある!」という声が大きくあがり、これに対して、マクロン大統領もすぐに反応し、「この対策を未成年者にまで拡大するよう、各チームに働きかけてもらう。すべての若者が自分の身を守れるようにするための非常に良い予防政策だと思う」と答えています。


 たしかに、オープンに、そして現実を捉えての合理的な試みとしたら、よい政策であるとは思いますが、これに乗じて、無料で手に入れたコンドームを販売しようとするような輩が絶対に現れることは必須で、また、新たな取り締まりの方法を別にとらなければならないであろうと思われます。

 同時にマクロン大統領はビデオの中で、HIV以外にも「他の病気、他のウイルスにも無料検診を拡大する、それは我々の予防政策でもあるからだ」とも述べています。「今後も、健康予防施策の強化、主要ライフステージにおける定期的な診断・検診、特定のウイルスに対するワクチン接種のさらなる推進を図っていきます。私はパピローマウイルスを考えています。」と述べています。

 相変わらず、様々な問題に対して、大変アクティブなことです。

 でも、次から次へと現れる病気と犯罪とに、いつも対応し続けなければならないのが、生きているということなのかもしれません。


若者へのコンドーム無料化


<関連記事>

「フランスの医者不足 医者に定年後も働いてもらうためのシステム」

「ドクターストップの制度にメスが入る リモート診療でズル休みが増えた」

「国民健康保険カードCarte Vitalを利用した詐欺と日本のオレオレ詐欺」

「偽ヘルスパスを持っていた患者の死が警告すること」

「ワクチンパスポート施行とコロナウィルス感染証明書」

 

2022年12月9日金曜日

パリのクラック問題 子供の通学に警察官が同行しなければならない深刻な事態

  


 もはや、定期的に問題が浮上してくるたびに、深刻化している感が否めないパリのクラック(コカインの一種で比較的安価に出回っていることから貧乏人のドラッグとも呼ばれている)問題は、子供の学校の登下校に警察官が同行しなければならない異常な事態を迎えています。

 毎回、毎回、このクラック常用者の溜まり場を解散させて、そのたびに、これだけの逮捕者が出たとか、このクラックキャンプの移動先の住民が反対デモを起こしたりして、押し付け合いが起こり、ごたつくのですが、結局、しばらくすると、他の事件などに紛れて世間には、忘れられていく感じで、根本的に問題は解決しないままに、再び放置されてしまいます。

 それでも、警察が全く諦めているわけではなく、今回は、300人以上が住処にしていたパリ19区のフォルスヴァル広場にあったクラック常用者の溜まり場が内務相の命令によって解体され、10月5日以来、1000人以上(うち216人のディーラー)が逮捕されており、16ヶ所のクラックキッチン(クラック製造所)が閉鎖されています。

 にもかかわらず、これは、もぐら叩きのようなもので、こっちをつぶしても、また別の場所から湧いてくる、現状ではエンドレスな戦いのようでもあります。

 今回、問題となっているのは、18区の一部の地域での子供の通学路に数十名のクラック常用者が酩酊状態でうろついている状態に、彼らの間での抗争に子供が巻き込まれる危険や、子供が見るべきではないドラッグ中毒者の動向がさらされる危険など、ついには、警察官が子供の登下校に同行しなければならない事態に陥っています。

 そもそも、今の季節は、子供の登校時、朝8時頃はまだ薄暗く、しんとした街中を歩いていくのは、厳しいことで、家庭にもよりますが、小学生の場合はだいたい、親が送っていくのが普通なのですが、それでさえもなお、警察官の同行が必要というのは、よほどの事態であると言わざるを得ません。

 回り道をして、他の道を通ろうにも、環状線の近くで、今度は車が多く行き交う地域で他の選択肢がないようなところなのです。

 結局、クラック常用者の溜まり場は、パリの18区、19区、セーヌ・サンドニのあたりで、いつも、たらいまわしになっている感じで、この地域の治安が悪いのは、クラックに限ったことでもないのですが、このクラック問題は、押し付け合いでは解決しないので、根本的なしっかりとした治療を伴う収容施設がなければ、解決しないのではないかと思われます。

 一時は、このクラックのたまり場が、我が家からもそんなに遠くない場所に移動してくるという計画が浮上して、街を挙げての大騒動になり、夜通しで市議会が開かれ、強烈な反対運動のために、あっという間に立ち消えになったことがあって以来、どうにも他人事でもない気もしてきているのです。

 ただ、そもそも、彼らが選んでいる場所というのは、その手の誘いに乗りやすい人も多い、貧因層の多い、もともとが治安が悪い場所で、悪循環が絶ち切れない原因でもあります。

 パリは、現在、2024年のパリオリンピックに向けて、あちこちが工事中で、警察官の数を増やして、治安のよい安全なパリをアピールしたいと言っているのですが、クラック問題のような事態は、建設工事のように計画的には進まず、難航しているようです。

 この18区、19区に隣接するセーヌ・サンドニは、オリンピックのメインスタジアムになる場所でもあり、逆になぜ、こんなに治安の悪い場所をオリンピックのスタジアムに選んだのかとも思いますが、楽観的?に考えれば、この近辺の治安がオリンピックを機に改善してくれればよいのに・・とも思います。

 それにしても、貧因層の人々は、地域が危険だからといって他の場所に転居することもできず、その子供たちは、犯罪を目の当たりにしながら育ち、負のスパイラルから抜けることが難しい境遇で大人になることを思うと暗澹たる気持ちになります。

 パリ警察は、問題が起こるたびに、〇〇人逮捕したとか、24時間常駐し、安全を確保し、必要に応じての逮捕だけでなく立ち退きも行い、住民と地域住民に大いに感謝される目に見える存在を可能にしていると胸を張っているのをもどかしい思いで見ています。

 

パリのクラック問題


<関連記事>

「クラック(コカインを含んだ違法薬物)常用者溜まり場の中毒者の強制締め出し」

「クラック(CRACK)ドラッグ常用者溜まり場 パリ12区への移転計画」

「いつからフランスは銃社会になったのか? アヴィニョン警察官射殺事件」

「殺害された麻薬取締りの警察官の追悼式に全国から1万人近く集まるフランス人の温情と、ますます危険度が高まるフランスの警察官」

「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる マルセイユ14歳少年銃殺事件」