2022年8月11日木曜日

パリ シャルルドゴール空港(CDG)でナイフを振り回した男 射殺

 


 今年の夏のシャルル・ド・ゴール空港は、さんざんなニュースばかりが続いています。

 夏のバカンスシーズンの始まりとともに、大規模なストライキにより、大幅なフライトチケットのキャンセル、また 、空港職員のストライキと、荷物積載のシステムダウンというトラブルが重なり数万個に及ぶロストバゲージ放置状態・・と、ろくなことがありません。

 だいたい、ただでさえ、ハイシーズンで高価格の時期に加えて、現在の航空運賃は、ちょっと洒落にならないほどの値上がりで、そのうえ、トラブルといえば、ちょっと許せない話なのですが、これでもかというほどにトラブルが続きます。

 今回は、シャルル・ド・ゴール空港のターミナル2Fで、朝、刃物を振り回した男に警察官が発砲、射殺という事件が起こっています。CDGの2Fといえば、私も利用する機会が少なくない場所で、(多くの日本行きのフライトは2Eか2Fのことが多い)ぞっとする話です。

 考えてみれば、飛行機に乗る場合は、チェックインしてから、通関する過程では、荷物チェックがありますが、空港自体に入るのには、荷物検査はありません。

 当日の朝に空港警備員と揉めていたホームレスとみられる男のもとに、国境警備隊の警察官(PAF)が応援にかけつけ、男は、一度、退避させられました。ところが、その後、男は警察官に対して攻撃的、脅迫的になり、国境警備隊の警官(PAF)に腹部を殴られ、逆上し、警察官を殴ろうとした後、自分のキャディからナイフを持って戻ってきたと言われています。

 現場を目撃したAFPのカメラマンは、「背の高い男が警察に向かってナイフのようなものを振り回し、警察側からの警告が出たが、彼は警告を無視して前に出て、警官が発砲した」証言しています。発砲は1回だけだったようです。

 警察の発表によると、撃たれたのはマルティニークのフォール・ド・フランスの出身だという。テロ発言はしていないことから、彼の行為がテロ行為であったとは見られていません。

 パリの街中でも駅でも空港でも、なかなか立派な銃を携帯している警官を間近にみかけることは少なくなく、そばを通りかかっても、何気に、「これ、ほんものなんだよな・・」とチラ見することはあるものの、うっかり話しかけて、妙に誤解されたり不審に思われるのも怖いので、そのまま通り過ぎるのですが、幸いなことに、これが実際に発砲される場面には、これまで直に遭遇したことはありません。

 日本でも、警察官は銃を携帯していると思いますが、こちらの警察や憲兵隊の携帯している銃は、長さ50㎝はあると思われる、なかなかな迫力の銃です。(全ての警察官がこのサイズの銃を持っているわけではありませんが・・)

 最近、警察官の発砲事件の話を以前よりも頻繁に聞くようになった気がしますが、シャルル・ド・ゴールの空港、しかもターミナル2Fという、必ずしも無縁でもなさそうな場所、しかも空港といえば、屋内で人も多い空間での発砲といえば、周囲は騒然としたに違いありません。

 発砲されたのは1発だけで、1発が命中して、撃たれた男は死亡したということなので、周囲に被害は及んでいませんが、これが本当に発砲が必要な事態であったかどうかは、少々疑問でもあります。少なくとも、犯人の動きを止めるだけで、致命的な傷を負わさなければならなかったかどうかは検証する必要がある気がします。

 


 国家警察総監部(IGPN)は、この事件を「国家権力者による自発的過失致死」で、発砲した警察官に関する捜査と、もう一つは、射殺された男に関する「公権力者に対する殺人未遂」についての2つの捜査を開始しています。

 このホームレスの男性はフォール・ド・フランス(マルティニーク)生まれの32歳。フォール・ド・フランス(マルティニーク)生まれの32歳で、以前から定期的にこの辺りを歩いていたといわれています。この男が有色人種であったことも警察官の発砲に関係していることもないとも言えず、そうなると、また別の問題も生じてくる可能性もあります。

 警察官自身や公衆の安全を守るということは、彼ら(警察官)の仕事ではありますが、このケースで、発砲の必要があったのかどうかが詳しく検証される必要があります。

 治安の悪化もありますが、どうにも、以前よりも警察官が発砲するハードルが低くなっているような気がするところは、恐ろしいところです。

 フランスに死刑制度はありませんが、警察官が犯人を射殺することは、少なくないのです。

 まことに、どこもかしこも物騒なことです。


シャルルドゴール空港 発砲事件


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2022年8月10日水曜日

フランス人が日常のトラブルには寛容な不思議

  


 5年近くも工事していた近所の市営プールがリニューアルオープンして、まだ1ヶ月も経っていません。パンデミックで長い間、できるだけ歩くようには心がけていたものの、運動不足だった私は経年からの体力の衰えをひしひしと感じ、これからはせめて、週に1度か2度くらいは泳ぎに行こうとオープン以来、プールに通っていました。

 もともと歩くよりも泳ぐ方が楽な私、身体がほぐれる感じで全身に感じる心地よい疲れにこのところ、順調にプールに通っていました。

 この市営プール、以前は夏には職員がバカンスを取るために夏の間はクローズしてしまうプールだったのですが、さすがに長い工事期間を経てリニューアルした後は夏でもクローズにならないことで少しホッとしていましたが、営業時間は昼12時から14時、15時から19時というなんと、昼休みつきというクラッシック?なスタイルです。

 この昼休みのあることには、少々、苦々しい思いもあるのですが、まあ、夏、閉めないでくれるようになっただけでも、まだマシというものです。

 とにかく、今のところ全てが新しくなってキレイで気持ちよく、ここのところ、自分を奮い立たせてプール通いをしていたのですが、さて、今週も頑張るぞ!と出かけたところ、なんと、プールには、人手不足のために臨時休業のお知らせ・・8月の間、期日指定で、週1〜2日、お休みの日が指定されて張り紙がされていました。

 出かける前に、え〜と午後からの時間は何時からだったっけ?とサイトで営業時間を確認して、現在は開いているのを確認して出かけたのに、まさかの休みで、ムッとして帰ってきました。ちょうど、私と同様、プールの入り口で張り紙を見て、呆然としていた若い男性も「ズッ・・」と呟いて、帰っていきました。

 そして、その翌日、今日こそはやってるよな・・と意気揚々と出かけて、午後の時間帯に一番のりの勢いで出かけていき、さすがにこの暑い中、夏休みのバカンス中ということもあり、子供連れも多い中、プールの前には人だかりができていました。

 ところがオープンの時間になったら、何やら中から再び張り紙を貼る職員が・・「えっ??まさか、また休み??」と思いきや、その女性が貼り出したのは、「子供用プール閉鎖」の張り紙・・、周囲の子連れのお客さんからは、「4年以上も工事してたのに、また??」という声が聞こえてきたものの、関係ないお客さんは、なだれ込むようにプールへ・・。

 「すみません」とか、「ごめんなさい」でもなく、「冷房してるから、扉を開けっぱなしにはできないんだから!」、「いいわね!子供用のプールはクローズよ!」とがなりながら、職員の女性はプールの中に消えていきました。謝らずにまさかの逆ギレ・・最近はあまり見かけなくなったクラッシックなフランスの接客を久しぶりに見た思いでした。

 それでも、子供用のプールは私には関係はなく、さっさと私は淡々と泳ぎ始め、一応、1日のノルマにしている1キロを泳いで、さて、ゆっくりシャワーを浴びて、そろそろ帰ろうかな?・・と思っていたら、何やら、周囲のみんなも引き上げる様子。午後の営業時間が始まって、わずか30分ほどのことです。

 特に場内アナウンスがあるわけではなく、どうやって、知らされたのかはわからないのですが、とにかく、その日のプールは閉鎖になって、全員が追い出される様子で、皆がシャワーを浴びて、帰り支度を始めだしました。

 私としては、どちらにせよ、自分が泳ぐだけ泳いで、もうさっさと帰るつもりにしていたので、別によかったのですが、皆がしぶしぶとプールを追い出されて帰っていくのは、なんだか気の毒な感じでした。

 なぜ、急に営業時間帯に閉めることになったのか?と聞いても、フランスお得意の「プロブレム・テクニック、詳しいことは知らない」という回答。「明日はやっているの?」と聞いても、「わからない・・」と両方の手のひらを返して肩をすくめて首をかしげるフランス人お得意のジェスチャーでの回答。

 プールの出口では、その日の分のチケットの払い戻しの代わりに次回の分のチケットをくばっていたので、私ももらって帰ってきて、なんだか、一応、泳いだので、なんか得した気分でしたが、他の人々は、まだろくに泳いでもいないのに、帰らなければならないのに、さほど怒る様子もなく、おとなしく帰っていくのでした。

 以前から私が不思議に感じているのは、とかく自己主張が激しくて、黙って引き下がらないフランス人が、こと日常のこのようなトラブルに対しては、さほど腹を立てる様子もなく、おとなしく引き下がることで、職場などで、「日本人は黙って我慢するからダメなんだ・・」とかいって、焚き付けられたりもするのに、なぜ、日常のトラブルに対してはこんなにあっさりと引き下がるのだろうか?と思うのです。

 度々起こるストライキや、電車が止まって、急に線路の上を歩くハメになったりしても、猛烈に怒りだしそうなところ、案外、騒ぎにもならずに、それはそれと受け入れて、再び電車が動き出すのを待ったり、淡々と他の線に乗り換えていったりするのです。

 逆に我慢強いはずの日本人の方がとかくサービスなどに関しては、ほんの些細なことで、腹をたてて、クレームをつける人がいたりするので、フランス人が日常のトラブルに関しては、寛容なことが不思議です。

 どうにも、フランス人と日本人では腹を立てるポイントが違うようで、フランス人が日常に多発するトラブルにいちいち腹をたてないのは、まぁこんなもんだ・・という慣れもあるのか、また、逆に、「お客さまは神様」の本当に行き届いたサービスが日常の日本では、ほんのわずかなこともお客さまは許してくれないのかもしれません。

 逆に今の日本の統一教会と政治家の繋がりなどの問題を見ていると、フランスだったら、大変な暴動が起こるだろうと思われるのに、日本人はもっともっと怒っていい!と思うのに、暴動などは起こっていないのも、フランス人から見たら、それはそれで、不思議なことかもしれません。


フランスの日常トラブル 怒りのポイント


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2022年8月9日火曜日

干ばつが引き起こす牛乳価格の高騰と品不足

  


 今週から再び、気温の上昇が見込まれ、さらなる干ばつ被害が広がると見られているフランスでは、今度は、牛乳の価格の上昇および、品不足が心配されています。

 この夏の熱波以前からのウクライナ戦争により、牛の餌代が上がり、燃料費が2倍、肥料費が3倍になっている中、フランスの牛乳の価格はさほど上昇しないままに抑えられてきました。

 しかし、戦争によるインフレに加えて、この干ばつは、酪農家にとっては、ダブルチョップの災難で、全国農業組合連合会(FNSEA)は、今後の牛乳の生産と供給について警笛を鳴らしています。

 雨も降らず、草も枯れる。そして、青草がないということは、夏場はいつも外にいる牛の放牧地がないということです。ただでさえ高い飼料価格に悩まされ、牛を抱えている酪農家にとっては差し迫った危機の異常事態なのです。

 そのため、酪農家は現在、通常、冬に備えて蓄えている飼料を家畜に与えるハメになっており、2022年から2023年の冬の間、多くの農家が牛を養えるのかが懸念される事態となっているのです。

 牛乳だけでなく、バター、クリーム、チーズ、ヨーグルトなどなど、フランス人の食卓にとって、欠かせない乳製品の元となる牛乳価格が高騰したり、牛乳が不足するという事態は大変、深刻な事態で、すでにシードの輸入が滞って欠品が目立ち、価格が爆上がりしているマスタード不足どころではない危機が訪れることになってしまいます。

 現在、秋から冬にかけて牛に与えるはずの飼料や牧草を使用していまっているということは、秋には、多くの酪農家が家畜に与える食料が不足する可能性があるということなのです。2022年から2023年の冬の間、多くの農家が牛を養い続けることができるのかという問題は、かなり緊急な対処が必要な深刻な問題なのです。

 そのため、彼らは皆、経費を補い、セクターの存続を確保するために、価格の値上げを望んでいるのです。ミルクを作るには飼料が必要で、主に牧草とトウモロコシが必要ですが、今年はあまり育っていません。そのため、今年の秋から冬にかけて、牛を飼い続けることができなければ、牛乳が不足する恐れがあるのです。

 恒久的に牛を生産しつづけている酪農家にとって、母牛を失うと、3年間は子牛を生産する能力を失うことになるのです。この負のスパイラルを止めるためにも、酪農家は国の支援を求めています。つまり、今、なんとかしないとこの牛乳問題は少なくとも3年間は続くことになってしまうのです。

 フランスの牛乳価格は、他のヨーロッパの生産者、特にドイツやオランダの牛乳価格よりも20%安いと言われています。

 全国農業組合連合会(FNSEA)は、このフランスの低い牛乳価格の値上げを求めると同時に、国には、農家が飼料を購入できるような援助を受けられる災害基金があるはずだ・・と援助を求めています。

 パンデミック、戦争の影響から、燃料費の高騰から始まって、インフレ、あらゆるものの価格の上昇が続いていますが、フランス人にとってのガソリンともいうべく乳製品の値上がりは、それこそかなりの家庭での痛手になりそうです。

 こんな話が出始めたら、今度は牛乳の買い占めが始まりそうです。フランスで売られている牛乳の多くは、常温保存が可能なものが大部分を占めるため、ある程度の期間の買い置きが可能です。

 そういえば、今日、買い物に行った時、いつも私が買っている牛乳がなかったのは、もうすでに、買い占めが始まっているせいだったのかもしれません。私はそんなに乳製品をとる方ではありませんが、少なくとも、この状況で価格が上昇しないことは考えづらいと思うと、今のうちに少し買い置きしておこうか??などと思ってしまうのです。


牛乳価格高騰 牛乳不足 干ばつ


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2022年8月8日月曜日

公共交通機関でのベビーカー問題について

   


 日本の公共交通機関で「ベビーカーが邪魔だ!畳め!」と言って、ベビーカーを蹴飛ばしていった人がいた・・とかいう話がSNSで出回っていて、あらためて、自分の子供が小さい頃のことを思い返してみると、私は子供を連れてベビーカーで公共交通機関に乗ったことはなかったように思います。

 たった一度、思い当たるのは、アフリカから引越してくる際のことです。夫は先にフランスに到着していて、一人で赤ちゃんだった娘を連れて、アフリカからパリに来た時のことで、空港で飛行機に乗る時にベビーカーは預けました。

 その時は、ブリュッセル経由の飛行機だったのですが、ブリュッセルまでの飛行機が遅延して、経由便の飛行機に乗るために、ブリュッセルの空港をまだ生後3ヶ月だった娘と荷物を抱えて、汗だくになって走った記憶があります。

 ベビーカーはブリュッセルの空港で積み残されて、ロストバゲージュとなり、数日後に夫が空港までピックアップに行ってくれました。

 そもそも飛行機の場合は機内にベビーカーを持ち込むということもないので、話は別ですが、それ以外でも、私はベビーカーを利用はしていたものの、ベビーカーで出かけるのは、近所のみで、公共交通機関にベビーカーを持って乗ることはありませんでした。

 娘は1歳になるかならないかの頃に歩き始め、その後は、エネルギー満ち溢れる娘に夜、寝てもらうには、ベビーカーに座らせるなどということはせず、できるだけ歩いて疲れてもらわなければならなかったし、バスや電車の乗り降りや駅の階段などの移動を娘だけでなく、ベビーカーとともに移動するのは、私にはちょっとムリだ・・と思っていたからです。

 しかし、実際にメトロやバスに乗っていると、ベビーカーを押して?バスやメトロに乗っている人を見かけることはあり、それに対して、周囲の人がすごく親切なのには、いつも驚かされます。

 今のバスは、たいてい、ベビーカーや車椅子の人が乗り降りできるように、電動のスロープがついていて、たいていは、特に頼まなくてもバス停にそのような人がいると、運転手さんが予め気づいてくれて、スロープを降ろしてくれて、難なく乗れるようになっているし、バスの中には、車椅子やベビーカーのためのスペースもとられています。

 赤ちゃんを連れているような人がいれば、すぐに、すっと席を譲る人がいて、駅の階段をベビーカーを運ぶのに往生している人がいて、私が手伝ってあげようかな?と一瞬、迷ったりしていても、すぐに通りすがりの人の中に、手を貸してくれている人が現れ、さっと運んで、そのまま、すっと何もなかったかのように、また通り過ぎていくのをよく見かけるので、こういうところは、フランス人って優しいなぁ〜、カッコいい〜!、と感心します。

 彼らは、実にさりげなく、弱い人々に席を譲り、子供も連れていない、まだそこまで年寄りでもない私などにも、(ちょっと疲れた顔をしていたのかもしれないけど・・)「マダム、座りますか?」などと言って、席を譲ってくれたりします。

 一見、身勝手な感じもするフランス人ですが、そのあたりは、とてもフェミニストというか、弱者には往々にして優しいと感じることが多いです。

 電車によっては、乗客のマナーが悪いと思われる路線もあるのですが(特にパリ近郊郊外線)、席を譲ることに関しては、腰が軽いというか、実にスマートな印象があります。彼らは、バーやカフェなどでも立ち飲みすることも多いし、立っていることに、あまり抵抗がないのかしら?などと思うこともないではありませんが、普段はフランスの地方の人からも冷たいと評判の悪いパリジャンも、実に親切にさりげなく、席を譲ってくれたり、ベビーカーを運んでくれたりします。

 ですから、パリでベビーカーが邪魔だと言って怒っている人を私はみかけたことはありません。


ベビーカーどころか、こんなのまで乗ってる パリのトラムウェイで・・


 しかし、一方では、我が家の近くの決まった路線(バス)ですが、すごく威張ったおばあさんたちが乗ってくるバスがあって、うっかり座っていようものなら、「はい、立って!私を座らせて!」と席をどかされることもあり、唖然としたことがあります。

 もちろん、誰もが同じではないでしょうが、往々にして、フランスでは、弱者には優しいという印象があります。

 ただでさえ、大変な子育てです。誰よりも大変なのは、ベビーカーで公共交通機関を移動しなければならないお母さんなのに・・と思います。

 そういえば、そんなわけで?、娘は1歳半くらいになるまで、電車というものに乗ったことがなく、初めて、電車でパリに出かけた時(その頃はパリ郊外に住んでいたので)は、電車が怖くて泣いてしまったのを覚えています。

 今では、一人で飛行機に乗ってどこの国へでもでかける娘にも、そんな可愛い頃があったと、懐かしく思い出しています。


公共交通機関でのベビーカー問題


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2022年8月7日日曜日

英語で話すかフランス語で話すか? フランス人もずいぶん英語を話してくれるようになった!

  


 今、夏のバカンスシーズン真っ只中で、多くの人がバカンスにでかけているようで、うちのアパートの住民もかなりの割合で留守らしいのは、ガランとした駐車場を見れば明白です。今朝も、エレベーターの前でいくつものスーツケースを転がしながら出てきた家族連れがいて、小さい子供を連れて大変そうだな・・と思いながら、「ボン・ヴォヤージュ!ボン・ヴァカンス!」と言ったら、すごく嬉しそうに満面の笑顔で「メルシー!」と言って出かけていきました。

 そんなわけで、パリの街はいつもよりは空いている感じなので、私はむしろ、人が減ったこの時期のパリが好きで、夏に旅行に出かけることはほとんどありません。 

 娘が小さい頃には、子供のバカンスの時期に合わせて日本に行ったりしていたこともありましたが、今ではその必要もなく、チケットもホテルも高くて、しかもどこに行っても混雑しているこの季節、逆に人が少なくなっているパリを離れる気にはなりません。

 しかし、その代わりと言ったら、なんですが、パリにはすっかり観光客が戻ってきて、桁違いの肥満体型の人を見かけたり、フランス語以外の言語が聞こえてきたりするので、パリの住民はバカンスでパリを留守にしても、バカンスでパリに観光にきている人もいるので、観光地となり得るような場所では、わりと人がいます。

 我が家の近くにあるホテルなども、ここ数年のパンデミックのために、ずっとガラガラ状態が続いていて、「大丈夫なのかな?このホテル・・」と心配していましたが、どうやら、ぼちぼちお客さんが戻って来ているようで、近くのバス停などには、観光客らしい人でいっぱいだったりするので、「なんだか、こんなの久しぶりだな・・」と思いながら、見ています。

 考えてみれば、もう少し、踏ん張っていれば、2年後にはパリオリンピックが控えているわけで、パリ市内、パリ近郊のホテルなどは、軒並み満室になるだろうし、そんなこともあって、ちょこちょこ改装などをしつつ、頑張っているのだと思います。

 そんなこともあってか、普段、パリにいて、特にここ数年は英語で話しかけられることなどなかったのに、ここのところ、観光客が増えたせいか、英語で話しかけられることが増えてきました。日常の買い物の際などはさすがにフランス語だけですが、ちょっと贅沢なお店や食料品などのお店、デパートに行ったりすると、アジア人の顔をしているせいか、観光客だと思って、気を遣ってくれているのか?お店の人が英語で話してくれたりすることがあって、逆にちょっと戸惑ってしまいます。

 こちらがフランス語モードの時に、英語で話されると、一瞬、「えっ??え〜と・・」となって、そのまま英語で話すべきか、フランス語に戻してもらうか、一瞬、迷います。

 しかし、考えてみれば、お店などで、こちらから英語で話さなくても、向こうから英語で話しかけてくれるようになったとは、パリもずいぶん変わったな・・とつくづく思います。以前は、フランス人といえば、英語がわかる人でも、英語では話してくれない人も多く、駅などで、英語で話そうとする観光客相手に「ここは、フランスなんだから、フランス語で話せ!」とフランス語でまくし立てているのを見かけたりして、「なんて、いじわるな人たちなんだ!パリなんて、観光客が多いし、観光収入でどれだけ潤っていると思ってるんだよ! 英語くらい話してあげればいいのに・・」と思ったりもしましたが、今では、外国人だとみると、向こうから英語で話してくれるようになったとは、すごい変化だな・・と思います。

 私などは、英語もフランス語も中途半端なので、両方を同時に使い分けるスイッチングがすんなりいかないので、お店などで英語で話しかけてくれても、そのままフランス語で返してしまったりもするのですが、そうすると、正直なもので、お店の人もちょっとホッとした感じでフランス語に戻るのです。

 なんか、そのホッとしている感じに微笑ましくも感じるのですが、とにかくフランス人も場所にもよるのでしょうが、ずいぶん英語を話してくれるようになったことを少し嬉しく感じる今日、この頃なのです。


フランス人と英語


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2022年8月6日土曜日

パリで最も古いパティスリー 「ストレー」Stohrer のババ・オ・ラムとピュイ・ダムール PATISSIER STOHRER

   


 パリの中心地で、美味しいものがたくさんある通り「モントルグイユ通り」(rue Montorgueil)(他にも美味しいものがあるところはたくさんあるけど・・)は、ふらふらと歩いているだけでも楽しい通りですが、その通りの中程に「ストレー」というパリで最も古い歴史を持つパテイスリーがあります。

 1730年創業というパリで最も古いと言われるこのパティスリーはパリの史跡にも指定されており、お店の前には、その歴史を記された看板がたっています。

  


 パリの史跡にも指定され、パリ最古のパティスリーというのに、お店はこじんまりとしていて、まるで偉そうにしていない感じがとても良いのですが、狭い店内に入ると、その店内の内装も歴史を感じられるもので、天井やシャンデリアに見られる店内の装飾はキラキラしすぎないまでも、ポール・ボードリ(オペラ・ガルニエの装飾を担当)の弟子の作品だけあって、やはりちょっとただものではない感じ。




エリザベス女王も・・


 また、置いているお菓子の種類の多さと、その一つ一つが妙にモダニズムされすぎていないにもかかわらず、丁寧に、また見事に作られていることに目を奪われ、どれもこれも食べてみたくなります。見ただけで、どれもが美味しいことがわかります。

 今では、フランス菓子として有名なババ・オ・ラムやピュイ・ダムールを作り出し、パリに広めたのもこのパティスリーを創業したニコラ・ストレーだと言われており、これらのお菓子の本家本元でもあります。つまり、元祖・・というやつです。

 ババ・オ・ラムはラム酒のシロップがたっぷりのサバラン(キルシュ、アブサン、ローズウォーターがミックスされている)で、円筒形で少し先細りになっているケーキで、かなりアルコールも感じられる大人のケーキで、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、けっこう甘くもありますが、後味に嫌な甘さも残らない、甘いわりには、すっきりした味わいです。ホイップクリームと一緒だと、さらにまろやかな味わいになります。




 私のおススメはどちらかというとピュイ・ダムールの方で、カスタードクリームを包んだパイ生地の風味の良さはちょっと比類ないものです。それがパイ生地のバターが良いのか、生地の香ばしさからくるものなのかはわかりませんが、それともカスタードクリームとのハーモニーがよいのか? とにかく、その風味の良さは、これでもパリで色々なお菓子を食べてきた私にとっても久しく味わっていない感動でした。




 これは、ぜひ、このお店のものは全制覇してみたいと思って、後日、またお店を訪ねましたが、ピュイ・ダムールは人気のようで、その日はすでに売り切れていました。

 このお店は、とにかく小さいお店に、ものすごい種類のケーキだけでなく、チョコレート、パン、お惣菜(特にブッシュ・ア・ラ・レーヌなどは、見事!!)など、とにかくたくさんのものがあり、目移りすることこの上ありません。








 また値段も決して、普通のお店と比べて高すぎることもないのも魅力的なところです。むしろ、今どきの流行りのパティシエのお店などから比べると若干、安いくらいです。

 そして、応対してくれた男の子がハンサムなうえに、可愛くて、ちょっと不器用そうなのに、とっても一生懸命に働いていて、私はこのお店の常連客になってしまう気がしています。

 小さなお店に詰まったパリの歴史を感じる空間を楽しめる美味しい場所を見つけて私はとても満足しています。

 包装や紙袋もすごく可愛いです!

 



 



<Stohrer  51 rue Montorgueil 75002 Paris>

map

Metro 1,4,7,11,14番線 Chatelet 5番出口を出るとモントルグイユ通りまですぐです。

パリ最古のパティスリー ストレー ババオラム ピュイダムール


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2022年8月5日金曜日

安倍晋三の神話は崩壊した

   


 安倍元総理が銃撃されて亡くなったニュースはフランスでもセンセーショナルに報道され、直後は、選挙運動中に銃撃されるというショッキングな亡くなり方も手伝って、あの安全で平和な日本で、しかも日本で最も有名な首相が暗殺されたという事実や、民主主義への攻撃は許されないというような正論も手伝って、「日出ずる国は、日本の近代史における重要な家系の純粋な家系図を失い、日本の歴史に長い歴史を持つ日本の政府首脳が初めて暗殺された暗い日として、永遠に刻まれることになるであろう」などと、もはや彼が神話として語り継がれるかの如き勢いでした。

 彼の出自についても、「19世紀以降に大きな影響力を持った安倍、岸、佐藤という苗字を持つ家系であり、真の日本の王朝物語、安倍氏はその生涯を武勇伝として残した」と説明し、彼の業績とされることを羅列して報道していました。

 「安倍晋三が「この国の人々が私に託した使命を自信を持って果たすことができない状況にあるため、もはや首相を続けるべきではない」と判断し、健康上の理由で、首相を退陣して2年も経たないうちに、まさか、こんなエピローグを迎えるとは、誰も想像していなかっただろう」と、その時の報道は結んでいましたが、しかし、エピローグはそんな美談だけでは終わらなかったのです。

 ほとんど美化され、神話化されたかに見えた安倍首相暗殺の知らせに世界各国の首脳からは弔意のメッセージが届いていました。

 しかし、その後、この犯人の自供により、この犯行の動機が統一教会に関係したものであり、少しずつ統一教会と政府、特に自民党との関係が明らかになってくると、世界からの見方、報道も一変したものになりました。

 今では、「Shinzo Abe」と検索すると、「Shinzo Abe  Secte Moon(統一教会)」と一番に上がってくるほどになりました。

 そもそも、この統一教会の名前が当初、伏せられたことについても海外メディアは厳しく糾弾していましたし、その後、次々と明らかになり始めた政府と統一教会のつながり、統一教会による被害についての報道も容赦はありません。

 その報道は山上容疑者が家族、人生を破壊された経緯とともに、信徒である母親が、銀行預金や相続した不動産や土地の売却益から1億円(約72万ユーロ)を宗派に寄付したことから、2002年には破産していることや、お金がなくて大学に行けなかったこと、自衛隊員だった2005年、兄と姉に生命保険を回収してもらうために自殺を図ったことなど、積年の恨みを募らせていたことが説明されています。

 また、「日本のメディアは、統一教会(2005年に世界平和統一家庭連合に改称)と日本の政治家、特に自民党の政治家とのつながりを指摘し、この改称にあたっても政府が加担してきたことなどを含めて、日ごとに、時間ごとに、統一教会と自民党の関係を明らかにしていった。これは、長年、カルト教団に圧力をかけられた被害者を支援してきた弁護士集団が明確に確認するものである」

 「35年間で総額1,237億円(9億ユーロ)を下らない金が統一教会に支払われていると推定されている」

 安倍晋三氏の死の直後には、「真の日本の王朝物語」とまで評された安倍家の家系は一転して、祖父の代から統一教会の日本への参入と存続、勢力拡大に加担してきたブラックな一族として知らしめられるようになり、「現在、国会議員112人(その大半は自民党員)が、この宗派と関係があると言われている」と報道されています。 

 岸田首相は、かなり早い段階で安倍氏の国葬を行うことを決定し、日本国内でも国葬に関しては意見が分断しているようです。なぜ国葬にするのかの基準や理由はよくわかりませんが、多くの国から、弔意が寄せられたこともあり、岸田首相と安倍元首相の関係からくる気持ちなどもあるでしょうが、絶好の外交の場としても考えられたかもしれません。

 しかし、この世界の安倍氏への見方が変化して、一転していることを考慮しないと、日本の国葬ともなれば、世界が無視はしないまでも、実際の首脳が国葬に参加するかどうかは、甚だ疑問でもあり、形式上、代理人が参加するようなことも多いに考えられ、もしかしたら、多くの日本国民から反感を買うだけでなく、世界的にも大きな恥をかくことになるかもしれません。

 いい加減、日本政府は、ごまかしてばかりいないで、真正面から向き合わないと取り返しがつかないことになります。


安倍晋三 国葬


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「安倍元首相の訃報に関する海外(フランス)の報道、反応」

「フランスでの安倍首相の退任の報道」

「統一教会はこんなところにもあった・・」

「フランスの反セクト法は日本のオウム真理教事件を参考にして作られた」