2021年4月11日日曜日

大寒波によるワイン農家の被害とカーフールのワインフェア

    

   

 4月に入ってから、大寒波に襲われたフランスのブルゴーニュなどのワイン農家は、作物の大部分を失うという大惨事に見舞われています。葡萄の小さなつぼみが全てタバコのように茶色になり、触るとカサカサと音がするような壊滅状態にワイン農家は、必死の対応に追われ、多額の対策費を投じるも、その被害状況は、壊滅的です。

 これまで、30年に一度と言われていたワインの生産地での、この被害が、今年に入ってからだけでも、3回もマイナス5℃以下の気温に見舞われているそうで、政府は、農業災害に対する補償の活性化を求められています。

 フランスのワインといえば、フランスの文化とも言えるフランスの農産物の代表格であるひとつ。国がかりでの支援は、必須です。

 ただでさえ、ここのところ、若者のワイン離れが叫ばれ、ワインの売り上げが低下している中、この新型コロナウィルスによるパンデミックにより、フランスのレストランは昨年の3月以来、まともに営業できた期間の方が短いくらい、レストランの営業停止は、ワインの売り上げに大きく影響します。

 また、人との集まりやアルコールの販売なども時間制限、人数制限がされていることもあり、ますます売り上げ減少に拍車をかけられています。 

  


 そんな中、先週、近所にあるカーフールに買い物に行ったところ、いつもは、年に一度、秋頃に行われるワインフェアを今頃、やっており(ロックダウン中とはいえ、なかなか良く売れていました・・)、そういえば、少し前にワインフェアの招待状と割引券が来ていたことを思い出し、その日は、下見だけして、カタログをチェックして、割引券を持って、後日、出直して、ワインを箱買いしてきました。




 以前は、ザルと言われるほど、お酒が大好きだった私も、最近は、あまり飲むことも減ったのですが、それでも染み付いた酒飲みの習性は、たくさん並べられた酒瓶、酒樽、積み上げてあるワインの木箱などを目にすると、なんだか自分の内側からムクムクと湧き上がってくるものがあり、なんだか一人でウキウキと嬉しくなってしまうのです。


 

 とはいえ、私は、特にワインが大好きというわけではなく、詳しいわけでもないのですが、フランスでは、ワインが圧倒的にコスパがよく、別にコレクションをしているわけでもないのに、毎年、良さそうなワインを買い貯めていたものが、もう相当数あり、最近は、たまにお料理によっては、ワインが飲みたくなったり、友人が家に来て一緒に食事をするときぐらいしかワインは開けないので、あまりストックも減らなくなり、そうそう、もういらないかも・・と思っていたにもかかわらず、このワインフェアのワインの瓶や木箱が積み上げられている様子に思わず興奮して、ついつい買わずにはいられないのです。

 ワインフェアに行くと、熱心なワインファンと思われるおじさま方に混ざって、ワインフェアのために、現地からワインを売りに来ている恰幅の良いおじさまなどに教えて頂きながら、ワインを選ぶのは、なかなか楽しいものなのです。

 最近は、高級なワインではなく、お手頃価格のワインの中から、思わぬ掘り出し物を見つけることが楽しくなり、失敗しても、お料理に使っても惜しくはない程度のワインに照準を合わせています。

 日本に一時帰国した際に日本でワインを飲むことは、まずないので、(せっかくだから、日本に行った時には、日本酒や焼酎などを飲みます)日本でのワインの価格がよくわかりませんが、本当にお手頃価格のものばかり、今年は、26本(3箱プラス2本)買いました。

 私は、個人的には、ボルドーの赤が好きなのですが、娘が白ワインが好きだというので、「そんなに高くなくて、辛口で美味しいもの」と言って、お店のおじさんに紹介していただいたのがこちら↓↓↓です。


     
      4.5 €と 8.5 €(600円〜1,100円程度)とお手頃価格のものです。


 そして、私が今回、買った赤ワインは、2020年パリ農業コンクール、リヨンインターナショナルコンクールで金賞を受賞したというボルドーのワイン、なんと一本 2.64 €(約300円)でした。(箱買い価格)↓↓↓
          
金賞メダルの二つ付いたワイン・・ワインのボトルって美しい・・


 まだ、味見はしていませんが、ワインを飲むには、チーズが欲しい・・今度は、お気に入りのチーズ(コンテ18ヶ月)を買って来よう!と思っている次第です。

 この値段ならば、もしも今ひとつであったとしても、お料理用に使っても全然OK!です。
私は、お料理にも結構、ワインを使います。和食を作る際にも、特に日本酒やみりんなどが手に入りづらく、高いので、白ワイン+お砂糖少々で、代用することが多いです。

 今は、旅行にも行けず、レストランにも行けず、ワインを買うくらいの楽しみしかないので、ワインくらい、箱買いしてもいいよね・・。安いし・・。

 ワインを箱買いするときは、フランスにいてよかった・・と思うひとときなのです。


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2021年4月10日土曜日

イル・ド・フランスの集中治療室の占拠率150%突破 医療崩壊と実世界のギャップ

  


 今週の木曜日は、久しぶりに政府の記者会見もなく、今週のフランスには、コロナウィルス感染対策に関する大きな変化はありませんでした。

 結局のところ、イースターの週末までは、ギリギリ国内の長距離移動も認められていて、フランスにとっての3回目のロックダウンが実質的に始まったのは、今週に入ってからのこと、まだ、その効果を期待するのは、時期尚早であるとしか言いようがありません。

 今回のロックダウンは、学校のバカンス期間に重ねての学校閉鎖(バカンス+リモート授業)と数種類の店舗が営業禁止になったものの、街中に、まるで緊張感はなく、晴天も合間って、すこぶる平和な光景。

 しかし、街中で見える平和な光景とはうらはらに、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、とうとう150.5%にまで達し、フランス全体でも113.8%までに上昇しています。

 医療に関しては、全くの素人の私は、集中治療室が150%超えの状態ということは、どういうことなのか、わかりませんが、恐らく、他の病室の患者を移動させて、器材を揃えて、仮の集中治療室として使っているのだと推察しますが、これでは、コロナウィルスだけでなく、他の病気の人も助かる命が助からなくなっている状態で、これが医療崩壊ということではないかと思っています。

 手術の予定等を組み直しているという話は、聞いていましたが、ここまで集中治療室の占拠状態が膨れ上がれば、そうそう手術の予定をずらせる患者ばかりのはずもなく、加えて緊急を要する患者は、どうなっているのでしょうか?

 長引く、制限下の生活に、こんな深刻な数字にも、国民は鈍感になり、(ある程度は、鈍感でなければ、精神的に参ってしまうのもわからないではありませんが・・)ロックダウンがどんどん、その言葉の重みを失っている気がします。

 つい先日、パリの超高級レストランの闇営業のスクープが大スキャンダルになったばかりですが、これに続いて、昨日は、サン・トゥアン(セーヌ・サン・ドニ地域圏=イル・ド・フランス)の闇営業レストランが摘発されました。

 先日の超高級・闇営業レストランの摘発により、警察の警戒が厳しくなっている結果とも言えますが、昨日、摘発されたサン・トゥアンのレストラン(こちらは、庶民的なレストランでしたが・・)は、警察が突入した時には、店内には、62人もの客がおり、ソーシャルディスタンスもまるでなし、食事中ということでマスクもなしの大繁盛状態だったそうで、いかに危機感がないかが、伝わってきます。

 セーヌ・サン・ドニは、イル・ド・フランスの中でも、最も感染状態が深刻な地域。子供たちが学校へ行けない状態になっているというのに、ここまで他人事でいられる大人が情けないとしか言いようがありません。

 この日のこのレストランの客は、62人全員、135ユーロの罰金を課せられました。

 一方、先日の超高級・闇営業レストランの主催者とシェフは、弁護士同伴で、警察の事情聴取に応じているようですが、「これは、あくまで私的な空間での集まりであり、レストランではない」と主張しているようです。

 しかし、昨年の10月末にレストランの営業停止が再開して以来、招待状などから、少なくとも15回の食事会が開催されていたことがわかっており、それぞれのメニューには、決して少なくない金額が記載されており、場所はどこであろうと商売であることには変わりありません。

 恐らく、闇営業は、これだけではなく、想像以上に存在しているのではないかと思っています。

「あくまでも学校閉鎖は最終手段、その前にやれることは全てやる!」と頑張っていたフランス政府ですが、これらの闇営業のレストランの摘発は、その前にやれることの一つであったに違いありません。

 昨年末にもパリには、昼時になると、超満員になるレストランが今でもあるという話が聞こえてきたりしていましたが、警察も見て見ぬふりをしていると言われていました。

 将来のある子供の学校生活を犠牲にしても続けられている闇営業のレストラン、今からでもせいぜい、力を入れて摘発してほしいと思っています。

 子供たちに大してだけでなく、真面目に営業停止のままで、ずっと耐えている同業のレストランのオーナーに対しても、酷すぎる話です。


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2021年4月9日金曜日

進んでいそうで、結構、進んでいないフランスのオンライン・リモートシステム

  


  

 パンデミック以来、盛んに推奨されているリモートワーク、オンラインシステムです。

「仕事もリモートワークを最大限に!」「現在閉鎖中の学校もオンライン授業に・・」と、オンラインシステムが急速に拡大した・・と思いきや、意外に浸透しきっていないことに、最近、いくつかぶつかっています。

 以前に比べれば、やはり、オンライン化で、まず、銀行などに行くことは、特別なことでもない限りなくなり、振り込みや支払いなども全てオンラインでできるようになったりして、ずいぶん楽になっていることもたくさんあるのですが、それは、コロナ前からのことで、フランスは、1回目のロックダウンから1年経って、この一年間という準備期間があって、さぞかし進歩しただろうと思われるのに、やはり、フランスの本領発揮、何をやるのにも時間がかかるのが常であったということを再確認させられる気にさせられています。

 まず、学校が閉鎖になって、再度、リモート授業になるというスタートから、まず、サイバー攻撃にあったとかで、初日からシステムがダウン。再スタートを切るのに数日を要するという失態。

 そして、個人的なことではありますが、今年に入ってから銀行を変えるという銀行乗り換え作業に乗り出した私は、オンラインでできるはずのことを数回にわたり、銀行に呼び出され、自動振り込みなどの銀行変更手続きも、全て乗り換え先の銀行がやってくれるはずだったのに、そうは行かないところもあり、自分で手続きするにせよ、その機関(公的機関)によっては、オンラインではダメ!RIB(銀行口座ナンバーなどの情報)とIDカードを本人が持参しなさい!というところまであって、オンラインで済むところもある中、わざわざ、それを届けに出かけなければならないという信じられないことがあるのです。

 IDカードをわざわざ持参しろというのだから、本人確認のためかとも思わないでもなかったのですが、マスクは当然の如くしたままで、顔もロクに見るわけでなし、やっぱりそのためでもなかったのです。

 フランスの公的手続きというものは、昨年から今年にかけてのビザ(滞在許可証)の更新手続き(これもオンラインではできない)で、さんざん嫌な思いをしていることもあり、間に人の手が介入すればするほど、書類を失くされたり、ミスやトラブルが起こる可能性が高まるので、全く信用していないので、「書類を持参せよ!」などと言われると嫌な予感しかしないのです。

 無駄に人の手が介入せず、オンラインで機械的に済んだ方が、書類を失くされる心配もなく、ずっと安心していられるのです。

 ましてや、このコロナ禍・・どこかへ出かけて、人と接触する機会はできるだけ減らしたいのに・・持って来い!というからには、そのための人員もリモートワークではなく、出勤しているということですから、思うほどには、リモートワークは浸透しきっていないことを思い知らされるのです。

 浸透しないと言えば、2度にわたって、フランス政府が作り直した#TousAntiCovidというコロナウィルス感染者追跡アプリも結局、使う人が少なくて、ほとんど役に立っていません。

 そして、我が家には、もう一人、オンラインで済まないことを嘆いているのが娘です。彼女は、3月までやっていたスタージュのレポートを現在、在籍しているグランドエコールに提出しなければならないのですが、その40枚ほどのレポートをファイルにして、ネットで送れば済むものを、学校側は、「それを印刷して、郵便で送れ!」と言うのだそうです。

 そのような大量なレポートを印刷する手間と費用と、そして郵便局まで行って送るという、手間と費用と外出の機会の増加とに、どうにも納得がいきません。

 昨年のロックダウンの際のリモート授業で、プリンターが売れに売れたという話は聞いていましたが、それには、小さな子供がプリントして、勉強するだけではなく、こんなことも含まれていたのです。

 まさか、グランドエコールの教授がネットで送られたレポートを開けられずに読めないはずもなく、単に、以前からの習慣から脱却できないだけなのです。この期に及んでも・・。

 フランス人は、変化を嫌う国民である上に、何をするにも時間がかかる(工事などの工期も守られないのが普通)国民ではあります。システムを加速して、進めるパンデミックという絶好の機会でさえも、それは全く活かされていないのです。

 フランス人には、この危機的状況でさえも、「お尻に火がつく」ということはないのです。

 

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2021年4月8日木曜日

新規感染者数2,000人の日本と60,000人超えのフランス どちらが幸せか?

   


 現在、3回目のロックダウン中のフランス。フランスにとっては、ロックダウンは、回を重ねるごとに、緩くなっていく感のあるロックダウン。しかし、今回は、学校も2週間のバカンス期間を含めた約1カ月間の閉鎖状態で、今週からは、リモート授業がスタートしています。

 しかし、一度目のロックダウンで、開始されて、環境整備や準備が整っているのかと思いきや、スタートと同時にサイバー攻撃か?などと、問題が起こり、多くの生徒がリモート授業を受けられない大混乱状態。

 リモートワークになるだけで、子供のモチベーションを保つのは、難しいところにきて、最初のスタートからのこのつまづきの痛手は、バカンス期間を挟む日程だけに、余計に難しいのではと思ってしまいます。

 ゆるゆるなロックダウンとはいえ、多くの店舗は、営業停止になっているものの、街中やメトロなども、なかなかの人が移動していて、平日にも関わらず、なかなかの人出。

 そういう私も用事があって、昨日、久しぶりに渋々メトロに乗って、パリの中心地域に出かけたのですが、本当に恨めしいほどの晴天で、朝晩は、少々、肌寒いくらいですが、日中は、もうサングラスが欲しいかな?と思うほどの日差しで、街の中の花も美しく咲き乱れ、あらためて、パリは美しい街だと思いながら、歩いていました。

 ちょうど、昼食時だったので、テイクアウトのサンドイッチなどを楽しそうに食べている様子は、平和そのもので、想像以上に楽しそうなランチタイムの光景です。

 フランスの1日の新規感染者は、6万6千人を突破したというのに、この平和な感じは、何なんだろうか?と思います。

 パンデミック以来の犠牲者も97,000人を突破(4月6日現在)、これでは、「コロナと共に生きる」などと言っている場合ではないのではないのではないか?と、私は、内心、思っていました。

 しかし、もうここまで来ると、同時にもうこれは、これで彼らの生き方で、仕方がないのではないか?という気もしてきているのです。

 たしかに感染回避のために必要な努力を怠っている面も多々あり、自分が知らぬ間に感染して、さらに他人に感染させてしまうことは、許されないことだと思いますが、どんな時にも、人生を楽しもうとしている、フランス人がよく言う「la vie est belle ラ・ヴィ・エ・ベル(人生は素晴らしい)」(たしかに、最近、さすがに、あまり聞かなくなった言葉ではありますが・・)の精神は、パンデミックの現在でも、彼らの本質に染み込んでいるものなのだと、つくづく思うのです。

 それが、今だからこそ、余計にそんなことを感じるのかもしれません。それが命がけでやることなのか?と思う、人と戯れ楽しく時を過ごす毎日の積み重ねが彼らの人生そのものなのです。

 ラテン系と言ってしまえば、それまでですが、華やかなパリのイメージとは裏腹に、実のところは、(ほんの一部のセレブ階級の人を除けば、)彼らの生活は、とてもシンプルで質素です。

 こんな時だからこそ、彼らの生き方、死に方が余計に浮き彫りになって、感じられるのかもしれません。

 言いたいことを言う権利はあくまで認められ、このロックダウン下でもデモは行われるし、警察が介入して罰金を課せられなければ、人の集まりは止められないし、それでさえ、厳しい規則をかいくぐって、プライベートクラブを運営したり、本当にどうしようもないと思うのですが、この彼らの楽しむことに貪欲な姿勢には、呆れるかえるだけでなく、どこか、もう彼らは、こういう風に生きてきたのだから、仕方ないのではないか?と思う気持ちも湧いてくるのです。

 たしかにコロナウィルスに関しては、現在は、確固とした治療法もなく、フランスでも、何とかして命を救おうと医療体制も破綻寸前ながら、長い人は、何ヶ月も集中治療室で治療することになったりしていますが、一般的に他の致命的な病気に関しては、あまり無駄な延命治療などは、しない印象です。

 これは、フランスの医療システムにも関係があることですが、フランス人の死生観も大きく関係のあることだと思っています。

 フランス人に対して、「これだからダメなんだよ!」と思う反面、あくまでも楽しく生きることを全うしようとしていることが、なんだか、ちょっと羨ましい気さえしてきてしまうのです。

 とはいえ、フランスよりも倍近い人口の日本は、未だに1日の新規感染者は2,000人程度とフランスの30分の1で感染を抑えられ続けているということは、ものスゴいことです。衛生観念は日本人の日常から植え付けられているもので、個々が自分を律することができる日本はやはりすごいのです。

 しかし、1日の感染者が6万人を超えているような状況でも、それなりに文句を言いながらも、ささやかに楽しむことを決してやめない人々もそれなりにスゴいなとも思うのです。


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2021年4月7日水曜日

子供が一人で歩いて通学できる・「はじめてのおつかい」の番組が成立することは驚異的な治安の良さ

  


 フランスでは、子供の学校の送り迎えは、一般的には、小学校卒業まで続けられます。

 娘が通っていた学校では、高学年にもなれば、親の承諾があれば、一応、子供が一人で帰宅することは、許可されていたものの、「万が一、何かあったら、取り返しがつかない」「何か起こったら、後悔し切れるものではない・・」と、我が家も小学校卒業までは、登校時、下校時は、送り迎えを続けてきました。

 送り迎えは、学校だけでなく、お稽古事の行き来や、外出なども、全て送り迎えが必要で、子供がお友達の家のお誕生日会などにお呼ばれをしたりしても、必ず、送りに行って、お迎えに行く、あるいは、招待してくれた家のお父さんかお母さんが家まで迎えに来てくれたり、送ってくれたりしていました。

 ですから、基本的に、子供が一人で家にいるということも、一人で外出するということも、フランスでは、許されないことで、(何の恨みかわかりませんが、我が家は、決して、子供を一人にしたこともないのに・・)「子供を学校(幼稚園)にも行かせずに置き去りにしている」と通報されたことがあり、区役所の自動保護担当の人が、家に調査に来たことがありました。

 そんなことは、毎日、送り迎えしている際に学校の先生とも、子供だけでなく、親も顔を合わせているので、学校(幼稚園)の出欠を確認して貰えば、すぐにわかる嘘なので、全く問題にはなりませんでしたが、そんな通報で、区役所の担当の人がすぐに家に飛んでくるということや、そもそも、そんなロクでもない通報を誰が何のためにしたのか? その方が恐ろしい気がしたのでした。

 まあ、それくらい、子供を放置したりする家庭もあるということなのでしょうが、こちらとしては、子供の学校やお稽古事の送り迎えと仕事の毎日に、大変な思いをしてきたので、そのとんでもない見当違いの通報をした人に、私の日常を見せてやりたいと思う気持ちでした。

 子供を送って、仕事に行き、仕事が終わると迎えに行き、仕事がお休みの日は、お稽古事のはしごの送り迎えや買い物や家事で瞬く間に時間が過ぎていくのです。

 特に娘が小さい頃に、同じ年頃か、ちょっと年上くらいの女の子が、その頃に住んでいた地域で行方不明になった事件があり、どこへ行ってもその女の子の捜索のためのポスターが貼ってあり、とても他人事とは思えなかったりもしました。

 日本の人気番組に、「はじめてのおつかい」という小さい子供におつかいを頼んで、その様子を隠し撮りして、その様子をレポートする番組がありますが、フランスでは、小さな子供におつかいを頼んで、一人で買い物に行かせるなどということは、全くできません。

 とても愛らしく、微笑ましい番組で、できたら、日本に一時帰国した時に娘の「はじめてのおつかい」の様子を撮ってもらいたいと思ったくらい好きな番組ですが、考えてみれば、あれは、日本ならではできる、かなり奇跡的な番組で、フランスだけでなく、おそらくあれができる国は、なかなか無いだろうな・・と、海外に出てみると思います。

 買い物に行く時は、子供を一人で家に置いておくこともできないので、必ず一緒に連れて行きましたが、一人で買い物に行かせることなどは、できません。

 それでも、お金を払って、何か物を買うということをさせてみたくて、娘が初めて、お金を持って、フランスで買い物をしたのは、パン屋さんでした。

「焼けすぎていないバゲット一本下さい」と言いなさいと言って、パン屋さんの前まで一緒に行って、パン屋さんの外で待っている・・というのが、娘のはじめてのおつかいでした。

 せいぜいこの程度がフランスでできる「プチはじめてのおつかい」です。

 日本に一時帰国した際、娘を実家の近くの区立の小学校に一時入学(2週間ほど)させて頂いたことも数年ありましたが、教頭先生から「登下校の際にお子さんにこれを持たせてください」と、防犯ベルを渡された時には、日本もこんなになったのか・・と驚かされましたが、基本的には、近所の子供が数人で子供だけで登校できるのは、やはり、スゴいことです。

 電車やバスに乗れば、私立の小学校に通う子供がランドセルを背負って通学している様子などは、フランスでは考えられない光景だと、あらためて思わせられるのです。

 日本を出て初めて、日本ではあたりまえだったことが、実は、全くあたりまえではなかったことは、実にたくさんあり、どちらかというと、日本の方が特別なんだということが、いかに多いことか! 学校の送り迎えも、「はじめてのおつかい」も、世界的に見たら、驚異的に治安の良い日本ならではのことなのです。


はじめてのおつかい


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2021年4月6日火曜日

パリの超高級レストラン、闇営業の大スキャンダル



 パリのレストランは、コロナウィルス対策のために、昨年10月末から閉店したままで、もう半年近く、テイクアウト以外の営業は認められておらず、1回目のロックダウンから合計すると、かなりの長期間、閉店休業状態で、多くの店舗が危機に瀕し、廃業に追い込まれた店舗も少なくありません。

 そんな中、M6(フランスのテレビチャンネル)がパリ市内の超高級レストランが闇営業しているルポルタージュを潜入映像付きで報道し、また、映像の中で、このディナーの参加者が「多くの大臣とも、この種の闇営業の高級レストランで食事している」と証言していることから、単なる闇営業問題だけには、おさまらず、大騒動になっています。

 日本での自粛などとは異なり、フランスでは、全てのレストランが営業禁止の中の隔たれた空間の中での秘密の超高級レストランの営業に、しかも大臣クラスの政治家まで参加となれば、それはもう大騒ぎです。

 この閉ざされた豪華なデコレーションに囲まれた贅沢な空間では、扉を超えた時点から、皆が、まるでコロナの全くない世界のように振る舞い、マスクをしている人はゼロ、今では、懐かしささえ感じるようなビズー(お互いに頬を合わせ合う)で皆が挨拶しています。

 メニューは、高級なシャンパンからキャビア、フォアグラ、トリュフ、タラバガニ、雲丹、仔牛のフィレミニョン、車海老などで彩られた、有名なトップシェフの名前も添えられたメニューなどのお料理も含まれた最低でも160ユーロから500ユーロ近い(約65,000円)のメニューが用意されています。

 映像の中の会話は、「ボンジュール、ムッシュー、ようこそ! どちらからのご紹介ですか? 夜のメニューは、160ユーロからです。ここに来る人は、マスクを取ることになっています。この扉を通り抜けると、コロナウィルスはありません。私たちは、快適な時をお過ごしいただきたいのです。ここはプライベートクラブで、皆さんに自分の家にいるようにくつろいでいただきたいのです。」というウェイターの案内から始まります。

 そして、この参加者の一人が、「私は、今週、2〜3カ所の、いわゆる違法レストランで多くの大臣と食事しています。なかなかユーモラスな時間です。私たちは、依然として、やりたいことをやる民主主義の世界に生きています。」と証言しています。

 このM6のルポルタージュの報道を受けて、パリ検察庁が違法なレストランの営業で他人を危険に晒している危険な行為として、調査を開始しています。

 このレストランは、すでにM6の画像とネットワーク上の以前の出版物を考慮して、レストラン経営者はクリストフ・ルロワであるといくつかのメディアとインターネットユーザーによって識別されていますが、このパーティーの主催者とされている人物は、事実を否定しています。

 このレストランの営業に関しては、経営者、パーティーの主催者に対しては、1年の懲役、15,000ユーロの罰金が課せられる可能性、また、参加者に関しては、現行犯でなくとも、事実が確認されれば、マスク不携帯、また、ソーシャルディスタンスを取っていない二重の罰金(135ユーロ×2=270ユーロ)を課せられる可能性があります。

 しかし、500ユーロ近いメニューを食している人々にとって、この程度の罰金は、痛くも痒くもないものだとも思うのです。

 昨年のイースターのバカンス時期には、ヨーロッパ中が国境閉鎖されていて、国境突破するために、プライベートジェットで、リゾート地に出かける人まで出たことが問題となりましたが、全く懲りないこの上層階級の人々。

 特権階級意識、自分たちは特別だということに慣れている人は、むしろ、このような違法行為にも、かえって一般人よりも抵抗がないのかもしれません。これまでにも10月末以来、違法に営業しているレストランが摘発されて、1,000人近くの人がレストランで食事していた事実が今回の騒動で、再浮上しています。

 しかし、形は違うとはいえ、ウィルスは人種や階級の差別はなしに誰にでも感染するので、結果的には、街中やセーヌ川沿いで戯れる若者と同じようなもの。

 フランスの感染拡大が止まらないのも当然です。

 大臣級の人が参加していたというのが事実(これは、デマであるという噂もある)であれば、それこそ、スキャンダルもメガ級の大スキャンダルで、これはまた大きなデモにでも発展しかねません。


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2021年4月5日月曜日

フランスのCMと日本のCM・テレビコマーシャル

   

           

 

 先日、日本にいる叔母が、日本のテレビ番組を焼いたDVDを送ってくれて、久しぶりに日本のテレビ番組を見ました。今は、YouTubeなどでも、結構、日本の番組なども見れるようになったのですが、それでも、そうそう日本のテレビ番組は、見ているわけでもないので、日本からの荷物をほどいて、早々に嬉しくDVDを見たのでした。

 娘が小さい頃は、現在のようにYouTubeもネットフリックスもなく、ひたすら娘の日本語習得のため?に、日本のテレビ番組を録画してもらったビデオやDVDなどを頻繁に送ってもらっていて、それを繰り返し、繰り返し、見せていたので、我が家のテレビは、フランスでも、ほとんどいつも日本のテレビ番組が流れているような感じでした。

 最近は、娘もすっかり日本語を習得し、両親も他界してしまったため、日本からのDVDもすっかり届かなくなったのですが、久しぶりに日本のテレビ番組を見て、番組はもちろんのこと、結構、楽しいのが、テレビ番組の合間で、流れているCMだということに気がついたのです。

 普段は、テレビといえば、フランスのテレビのニュース番組くらいしか見ない私にとって、あらためて、日本のテレビCMは、なかなか新鮮で楽しいのです。

 なんといっても、日本のCMは、ビールなどのアルコール飲料のCMが多いこと!「うわぁ〜ビール美味しそう!」とフランスに来て以来、ほとんど飲まなくなってしまったビールを日本のビールのCMを見て飲みたくなります。そして、高齢者用のオムツのCMなどもフランスのテレビでは見かけないCMで、日本の高齢化社会を思わせられたりもします。

 フランスでは、タバコ、アルコール飲料などのテレビコマーシャルは、消費者保護のために法律で禁止されているため、ビールやワインなどのテレビコマーシャルはありません。また、薬に関しても、社会保障によって払い戻されない薬のみと限定されており、概して、フランスは、消費者の保護や特定の専門的利益(部門)の保護など、さまざまな理由により、CMには、規制が多く、CMの種類も限られているのです。

 また、ファストフードなどのジャンクフードや、アルコール飲料のポスターなどにも、必ず、「健康のために、1日5種類の野菜をとりましょう」とか、「健康のため、アルコールは1日2杯以内にしましょう」などの注意書きが入っています。

 そんなに規制したりしなくても、日本人の方が余程、健康に気を使った食事をしていることも皮肉なことですが、そんなところにもロックダウンせずにいても、日本のコロナウィルス感染がフランスのようにならない自主規制ができる現状の一旦が表れているような気もします。

 フランスのCMで、圧倒的に多いと思われるのが、車のCM、香水、保険、宝飾品、水、乳製品など、どちらかというと、全体的にイメージを全面に作られている感じで、何気にテレビで流れていても、「えっ??これ、なんのCMだったの??」と思うものも少なくありません。

 また、日本のCMのように芸能人が出てきて商品を宣伝するようなCMも極めて少ない印象です。

 私がフランスに来た20年以上前に、フランスのテレビで、シャネルの香水のCMが流れているのを見て、CMも国によって、違うもんだなぁ〜と思って以来、ついぞ、CMをこれといって見ようと思って見ることもなかったのですが、日本のテレビ番組の合間に録画されている日本のCMは、次から次へと新製品が登場したり、今の日本の一部が垣間見れて、海外在住者にとっては、なかなか楽しめるものでもあるのです。

 とはいえ、冒頭で貼り付けた映像は、最近、フランスで流れているスーパーマーケットのCMで、私が結構、気に入っているものです。

 ごくごく普通にどこでにでもいるような、フランス人の家族の日常を切り貼りしたような流れになっていますが、誰もマスクをせずにごくごく当たり前の日常を無邪気な子供の様子を交えて作られていて、今は、失われている日常を愛おしく感じる素敵な仕上がりです。

 これも、最後の数秒のテロップが入らなければ、何のCMかわからないものですが、なんだか、ほっこりさせられる最近の私のお気に入りのCMです。


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