南米アルゼンチンからアフリカ・カーボベルデへ向かっていたクルーズ船「MVホンディウス」でハンタウィルス感染が疑われる集団感染とそれに関連する乗客3名の死亡が確認されるという深刻な事態が起こっています。
現在のところ、乗客88名、乗組員59名のうち、7名が感染が疑わしい状況(うち、2名はすでに感染が確認されている)です。
MVホンディウス号では、4月6日から28日の間に、感染者間で最初の症状があらわれ始め、感染した乗客は、発熱と胃腸症状を呈し、その後、急速に肺炎、急性呼吸窮迫症候群、ショック状態へと進行しました。
WHO(世界保健機構)は、最初の感染者の1人以上が船外でウィルスに感染し、その後、人から人への感染が起こったと思われると発表しています。
通常は、人から人への感染は非常に稀なケースであると言われているこのウィルスには、アメリカ(南米)起源のものと、ヨーロッパ・アフリカ起源のものとは、性質が異なるようで、アメリカ起源のものは、重篤な呼吸器疾患であるハンタウィルス心肺症候群(HCPS)を引き起こす可能性が高く、致死率も高く、時には40%を超える場合もあると言われています。
ハンタウィルスはげっ歯類(ネズミなど)、(一般的には、尿、糞、唾液との接触によって)から人に感染すると言われるものです。
船内は閉鎖空間であり、しかも乗客には高齢者が多いために感染リスクが高いと見られているのです。
WHOはMVホンディウス号での感染源を調査中ですが、現時点では、「このウィルスは、インフルエンザや新型コロナウィルスのように広がることはない」と発表しています。
4月11日、英国人乗客1名が原因不明(当時)の病気で死亡。彼の遺体は3日後、セントヘレナ島で妻とともに下船しましたが、その後、その妻も急死しました。そして5月2日には、3人目の患者であるドイツ人男性が船上で死亡。乗組員2名も呼吸器症状を示しており、緊急の治療が必用な事態に陥っています。
今回のハンタウィルス心肺症候群(HCPS)の恐ろしいところは、初期症状はインフルエンザにも似た、発熱、筋肉痛、倦怠感、吐き気・嘔吐などの症状でありながら、数日後に急激に悪化することで、呼吸困難(肺に水が溜まる)、咳、血圧低下、ショック状態へと、数時間、あるいは1日で急激に重症化してしまい、最悪のケースに陥る場合があり得るということです。
これは一般的には、致死率は約30%~40%と言われていますが、南米起源のものである場合、最大40~50%に達することもある、しかも人から人へ感染するリスクもあるというのですから、恐ろしいことです。
また、特効薬と呼ばれる薬がなく、現在のところでは、対症療法が中心であると見られ、ワクチンも一般的には存在しないということです。
このクルーズ船の乗客・乗務員は、23ヵ国の国籍の人々が集まっているということで、こういった感染症の場合は、その後にこれらの人々がまた、世界中に散っていくわけですから、充分に安全を確認することが必用になると思われます。
いずれにしても、比較的、高齢の乗客が多かったとはいえ、乗船するまでは、長旅に出られる程度には、健康だった人が、あっという間に死亡してしまうというのは、恐ろしいことです。
2020年には新型コロナウィルス感染症のピークを迎えつつあった頃のダイヤモンドプリンセス号では、乗船していた9,000人以上が隔離されるということが起こったのを思い出します。
今回の状況は深刻ながらも、現在のところは、一般社会への拡大リスクは低いとの見方をされています。
ハンタウィルス感染 クルーズ船集団感染
<関連記事>
「公衆衛生上の重大な問題 カーフール(ヴァル・ドワーズ)の店舗一時閉鎖」

0 コメント:
コメントを投稿