
私の父は、大変、食べ物にうるさい人で、また、味覚が鋭く、舌が肥えていて、そのうえ、大変、わがままであったので、母は父の食事の支度には、ものすごく神経を使っていて、牛肉なら、ここの店、魚なら、ここの店、佃煮は、ここ、餃子の皮はここの・・などなど、食材を買い集めるだけでも、なかなか大変なことで、食卓に出てきても、口に合わないものだと、お皿を遠のけて、箸もつけずに不機嫌さを丸出しにするような人だったので、私は、どんなものでも、家族が楽しく食事ができればいいのに・・と思っていました。 夫と出会ったときには、何を出しても「美味しい!美味しい!」と感激してくれる人だったので、「やっぱり家族が楽しく食事できる家庭が幸せだな・・」と思いつつも、そのうち、「この人、ほんとに、味、わかっているんだろうか?」、「わかってないな・・」、「これはこの人には、もったいないかな・・」などとさえ思うようにもなっていました。 しかし、悲しいかな、父の味覚の鋭さと好みは、怖いくらい娘に隔世遺伝しており、娘は、本当に味覚が鋭く、また、好みも父の好みと似ていて、なんだか、いつまでも父に憑りつかれているような気もしていました。 一方では、そんな父のおかげで、結果的に、私も弟も食育は優良な?教育を受けてきていたわけで、また、美味しいものに向かう姿勢などは、我が家のDNAではないか?と思われる執着ぶりで、結果、弟は食品関係の会社に就職して、けっこう頑張っています。 私自身についても、日常の食生活、食材の調達などを、あらためて、考えるてみると、生活の場がパリということで、特に日本食などを作ろうと思うと、1ヶ所で欲しい食材が揃わないということもありますが、結局は、少しずつの買い物を、これは、あそこ、あれなら、あそこ・・と、結局は母と同じようなことをしていることに気付き始めました。 家のすぐ近くにカルフールがあるので、たいていのものは、そこで間に合うといえば、間に合うのですが、定期的にアジア食材を扱うタンフレール、パリストア、KIOKO食品、パン屋さんは2~3軒くらい、その他にお気に入りの生ハム屋さん、ケーキ屋さん、チョコレート屋さん・・などなど、私はなんで?こんなにいつも食べ物を買い廻っているんだろうか?と苦笑してしまいます。 ラファイエットグルメなどに行けば、かなり色々なものが揃っているとはいえ、同じものでも値段も若干高めだったり、やはり、それぞれのお店に行った方が、新しいものを見つけたり、お店の人に色々と教わったりもするので、楽しいのです。とはいえ、ラファイエットグルメも時々は覗いているのですが・・。 そのうえ、美味しそうなレストランがあるといえば、飛んでいくので、私の私的な外出は、ほぼ食べることが目的の外出がほとんどです。 最近、その外出先に加わったのがモンパルナス駅で、ここには、ブレグジットのためにパリ市内の多くの場所から姿を消してしまったM&S(マークスアンドスペンサー)(イギリスのスーパーマーケットがあり(ここでは、マフィンなどのパンや紅茶、クッキーなどを買います)、ヨーグルトファクトリーというアイスクリーム屋さんがあり、ボルドーのカヌレ屋さん La...