2022年12月18日日曜日

フランスと日本 政府と国民の関係性 防衛費増税

  


 私がフランスに来たばかりの頃は、「なんで?フランスって、こんなにデモやストライキばっかりやってるんだろう?」と、「フランス人って、ほんと、しょうがないな・・少しは我慢しろよ!文句言うまえにしっかり働けよ!」などと腹立たしく、彼らのデモ行為は全く理解しがたいものでした。

 特に学校や交通機関のストライキなどには、もろに被害を被り、学校がストライキをやっているからといって、私は仕事を休むわけにもいかず、子供の預け先に右往左往したり、長期間にわたる交通機関のストライキには、間引き運転のために、通勤時間も倍増し、ひと月近く続いたときには、もうこっちがヘロヘロ状態で、「RATPやSNCF(パリ交通公団やフランス国鉄)の方がよっぽど、労働条件がいいじゃないか・・ストライキをやりたいのはこっちの方だ!」と腹立たしく思ったものでした。

 しかし、デモは、政府の政策に対しても、その大小にかかわらず、たびたび起こるもので、最近で、一番長期化して、暴徒化したのは、有名な「黄色いベスト運動」と呼ばれるもので、一部の地域では、デモの行われる土曜日になると、デモが暴徒化して、危険な事態に陥るために、営業ができずに店のシャッターをおろさなければならないような状態が続きました。

 この「黄色いベスト運動」のそもそもの発端はマクロン大統領が提案した「燃料税増税」で、これに反発した国民がこのデモのシンボルとして黄色いベストを着て、全国規模のデモを集結したのが始まりでした。

 これは、なかなかな規模のデモで、結局、マクロン大統領燃料税値上げは撤回したのですが、もうその時には、勢いは止まらず、違うターゲットがいくつもできあがって飛び火して、収拾がつかない状態になっていました。

 皮肉なことに、この黄色いベストの勢いがストップしたのは、突如やってきたパンデミックによるロックダウンで、デモ隊の熱も勢いもコロナウィルスによりストップしたようなものでした。

 その後、ロックダウンが解除されてから、再び、「黄色いベスト運動シーズン2」などという動きが見られたこともありましたが、現在のところは、日常のデモやストライキはあるのものの、あれほど大きな動きはありません。

 しかし、一歩、間違えれば、このような大騒ぎになるため、フランス政府は国民の反応というものにとても気を使っているのがわかります。時には、政府は国民のご機嫌とりをしているの?と思われるような発言を耳にすることもあります。

 一方、外から日本を見るにつけ、最近は、国民感情が全くつかめていないとしか思えない日本政府に、日本人はおとなしすぎるのではないか?もっと、起こって暴れてもいいんじゃないか?と思っています。

 国葬問題にしても、どうにもわけのわからない状態で押し切り、統一教会の問題にしても、はっきりとした対応をなかなか示さず、今度は、防衛費増税は、あっという間に決めてしまう強引さ。

 日本の税金については、よくわかりませんが、以前にコロナ予備費とかで使途不明金が11兆円もあるなどという話も上がっていたのに、そういう説明のつかないお金の使い方をしておいて、足りないから国民から税金を徴収して補うというのは、全く納得がいかない話。

 これがフランスだったら、「黄色いベスト運動」なみの大騒ぎになるのは必至なのに、黙って我慢して税金を払い続けるしかないなんて、やっぱりおかしいのではないか?と、むしろ、やりすぎなところはあっても、政府の不穏な動きに納得がいかなくて、デモを引き起こすフランスの方が健全なのではないか?とまで思ってしまうのです。

 フランス政府はデモを警戒し、恐れながらも、「主張すること、言論の自由を尊ぶ精神」を誇りにしており、デモの権利を認め続け、反論も甘んじて受けるという姿勢をとりつづけているのは、やはり、大事なことなのかもしれないと思うのです。

 今の日本を見ていると、あれだけ、苦々しく思っていたフランスのデモも、時には、必要なことなんだ・・と思うようになりました。

 デモに乗じて、暴徒化して、暴れたり、破壊行動に出る人が登場するのは、やりすぎで、迷惑極まりない話ことですが、何もしないで政府にやりたい放題にされ、完全に国民をなめ切っている日本にももどかしさと苛立ちを感じます。

 対話どころか、まともに説明もできない、一方通行の日本政府と国民の関係はお行儀がよく、一見、スムーズなのかと勘違いするところもあるかもしれませんが、その実、バランスが悪く、非常に不健全な状態であると言わざるを得ません。

 意見、意思をしっかりと持って、主張しあいながら、議論ができない社会は不健全です。日本の教育に足りないのは、話すこと、主張すること、議論することかもしれません。


防衛費増税 日本政府 デモ 


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2022年12月17日土曜日

ワールドカップ フランス対モロッコの試合 大フィーバーの影の超極右勢力の暴挙

  


 14日のワールドカップの準決勝フランス対モロッコの試合はフランスでは大きな盛り上がりを見せ、さらにフランスが勝利したことで、パリではシャンゼリゼには信じられない数の人々が集まり、その勝利に歓喜していました。

 なにか一つのことに対して、国全体を挙げてこんなに感動でき、人々を喜ばせることができることを素晴らしいと思い、在仏日本人の私としては、フランスの勝利を嬉しく思いつつも、少々、フランスがうらやましいような気もしていたのです。

 この応援や勝利を祝う集い?には、在仏モロッコ人など、どちらが勝っても嬉しいというようなモロッコのユニフォームを着ながらフランス国旗を振り回して喜ぶような人たちもいて、日本を応援しつつも、フランスも応援する自分ともダブる気もして、そんな様子を微笑ましいな・・などとも思っていたのです。

 しかし、このフランス対モロッコの試合に際しては、残念ながら、フランスの超極右勢力の一部の人々がパリ、リヨン、ニース、モンペリエなど、いくつかの都市で動員されており、パリ17区では、12月14日夜から15日にかけて、暴力的な右翼運動関係者38人が逮捕され、拘束されています。

 警察関係者が報道関係者に語ったところによると、彼らの中にはブラスナックルやスパナなどの武器や大量破壊兵器を持っており、シャンゼリゼ通りでモロッコ人サポーターと攻撃しようとした疑いが持たれています。

 彼らは、「暴力や損害を与える目的でグループに参加した」「危険カテゴリーに入る武器を携帯した」「武器や顔を隠した集会への参加」で逮捕され、検察は司法調査を開始し、彼らが「人種差別的な性質の暴力を振るう」ことを望んでいた疑いがあるとしています。

 戦うのはルールにのっとったスポーツの場だけでよく、なにも対戦国のサポーターを攻撃するのはお門違いだと思いますが、彼らにとっては、サッカーの試合は単なるきっかけに過ぎず、彼らは常に攻撃する機会を探っているのだそうです。

 フランスという国は、単に群衆が集まる危険だけでなく、このような危険な集団が何かのお祭り騒ぎに乗じて、ことを図る危険もはらんでいるのです。

 また、次は決勝戦ともなれば、さらに高まる興奮で危険が高まるかと思いきや、政治学者の見解によれば、超極右勢力のターゲットはマグレブ諸国(モロッコ、アルジェリア、チュニジアなどのアフリカ北西部の地域の国々)であり、アルゼンチンとの間に特に争いはないことから、彼らの動員は起こらないのではないかと見ています。

 超極右勢力の活動家はフランス全体でも数十人に過ぎないとも言われていますが、このような機会に乗じて、武器まで携えて、人を埋め尽くしているシャンゼリゼなどに現れれば、騒ぎは大変なことになることは間違いなく、彼らは危険人物としてリストアップされ、内務省によって、追跡されているといいます。

 「フランスが負けるようなことがあって、フランスが屈辱を受けることは許されない」という彼らの理屈は理解できませんが、彼らの目的は攻撃することにあり、サッカーの勝敗などは、口実なのです。

 このような暴力行為が目的の人もいれば、単に興奮して騒ぎを起こすサポーターなど、サッカーの試合は、歓喜を引き起こすとともに、衝突も巻き起こしています。

 それを数千人の警察官がガードしながら、みんなが喜びあうあたり、デモ行進を警察や憲兵隊がガードしつつも、決してデモの権利を損なわないように保つ日常とも似ている気がして、そんな様子もフランスらしいな・・と思うのです。


ワールドカップ 超極右勢力暴動


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2022年12月16日金曜日

カルトヴィタル(健康保険のカード)が壊れた・・

  


 日本ではマイナンバーカードと保険証が一体化するという話を聞きましたが、フランスのIDカードと保険証のカードは別々になっています。

 現在のフランスのIDカードにはICチップが入っていますが、そのICチップまでが必要とされるIDカードのチェックなどは滅多にあるものではなく、たまに身分証明書として求められても、チラッと目を通されるくらいで、IDカードはいつも携帯しているものの、ほとんど持っているだけで使うことはありません。

 それに比べて、カルトヴィタル(健康保険カード)は、考えてみれば、ここのところ、このパンデミックで使用頻度がかなりの割合で増え、通常、たまに医者にかかるとき、処方された薬を買うときなどだけだったカルトヴィタルは、コロナウィルスのワクチン接種、度々行ってきたPCR検査、これまではしなかったインフルエンザのワクチン接種などのたびに必要で、いままでの数倍の頻度で使用することになっていたのです。

 そして、これまた考えてみれば、IDカードの書き換えは10年に1回(ビザの年数にもよるけど)ですが、カルトヴィタルの書き換えはこれまでしたことがありませんでした。

 フランスに来て以来、最初にカルトヴィタルを作って以来、一度、ポルトガルを旅行中にスリに遭い、財布の中に入っていたIDカードやカルトヴィタルまで全て盗られた時に作り直して以来、ずっと同じものを使っていました。それさえも、いつのことだったか、覚えていないくらいです。

 このカルトヴィタルがないと医者にかかれないわけではありませんが、保険で返金される分をいちいち申請するために手続きの用紙を送らなければならなかったりで、その後の手続きがなかなか面倒なのです。

 今回、3ヶ月に一度、常用している薬の処方箋をもらいにかかりつけのお医者さんに行くと、「あなたのカード使えないわよ・・、寒いせいなのか?磁気がおかしくなっているのかわからないけど、確認した方がいいわよ・・今日は払い戻しの用紙を書いておくから、これ記入して送りなさい」と衝撃の事実が発覚・・。一体、いつの間に??

 このカルトヴィタル、時々、「アップデートしてください」とかいう通知がメールで来たりするので、その時は、薬局にある機械に差し込むとアップデートできるようになっているのですが、今回はそれ以前の問題。

 このご時世、いつどんな病気になるかもわからず、カルトヴィタルはある意味、命綱でもあり、使えない状態にしておくわけにはいきません。

 もしや、別の機械なら大丈夫かもしれない・・と儚い期待を抱いて、そのまま、書いてもらった処方箋をもって薬局に行って、カードを出すと、ここでもやっぱり、「あなたのカード、使えないわね・・」と。

 幸い薬局は商売だけあって、すでに登録してあるナンバーと名前とで、支払いすることなく、薬は出してくれましたが、結局、ここでもカードがなぜ使えないのか解明することはできませんでした。

 健康保険組合のサイトで質問してもカードを見なければわからないといい、電話で問い合わせようにも電話もつながらず、「久々に出ました!フランスのこのたらいまわしの感じ!」と思いながら、仕方なく、国民健康保険の事務所にカルトヴィタルの問い合わせに行くことにしました。

 当然と言えば、当然なのですが、以前は何かと行く用事があった健康保険の事務所もかなりの部分をネットで処理できるようになったためか、調べてみると、以前に行ったことのあった事務所は閉鎖されており、場所が格段に減っていて、見ず知らずの「なんで?こんなところにあるの?」という場所まで行くハメになりました。

 その事務所はネットで調べて出かけたのですが、以前、調べてでかけたところがオープン時間と書いてあったにもかかわらず閉鎖されていて、延々歩いて行ってもまた、閉鎖かも・・とあまり期待しないで歩いていきました。

 しかし、幸いにも今回はしっかりオープンしていて、カードを見てもらうと、「これは、カードの磁気がダメになっているから、作り直さないとだめね!」と軽くひとこと。そして「手続きはネットでできるから・・」と冷たいひとこと。

 ネットだといっても、また、「サイトがメンテナンス中・・」などということも多く、常にスムーズに進むわけではありません。これを逃してはまた、いつになるか、また更なるトラブルが積み重なることもありえる・・と、「せっかく、私はここまで来てるんだから、ここで手続きしてください!」と食い下がり、その場で、新しいカードの手続きを済ませてきました。

 考えてみれば、こんなことは久しぶりで、以前はこの手のやりとりが日常茶飯事だったな・・と思いながら、一仕事片付けた感じで少しだけホッとしながら、家に戻ってきました。

 後になってから、カードを見ると、カードを作った日付は、2011年となっていて、なんだかんだでもう10年以上使っていたわけで、銀行のクレジットカードなどもせいぜい2~3年で新しいカードが来るし、もう寿命だったのかな?と思いました。

 しかし、いずれにしても、フランスに住んでいると、すべてが滞りなく、静かに暮らせているという期間は、めったになく、一つ片付けば、また一つなにかトラブルが起こる・・そんな感じです。

 良いように考えれば、このカードの故障がノエルのバカンス期間より少し前に起こってくれたことは、おそらく不幸中の幸いだったということで、ノエルのバカンスから年末年始はただでさえ時間がかかるお役所仕事がさらに輪をかけて進まなくなる時期でそれよりも少し前倒しに手続きできたことはラッキーでした。

 これ以上、トラブルなしに平和に年が越せますように・・。


カルトヴィタル 健康保険カード


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2022年12月15日木曜日

2022年サッカーワールドカップ フランス決勝進出

  


 フランスにとってのサッカーは国民的なスポーツで、今回のようなワールドカップがあったりすると、国民の熱狂ぶりで、サッカーがどれほどの位置を占めているのかを痛感させられることになります。

 今回のワールドカップで、フランスは順調に勝ち進み、昨日のフランス対モロッコの試合は準決勝というのに、決勝並みの大騒ぎで、パリだけでも2,000人、全国で5,000人の警察官が動員され、シャンゼリゼには2万人以上が集まる大フィーバーとなりました。

 今回の準決勝進出を先に決めたのはモロッコでしたが、アフリカ大陸から初の準決勝進出ということや、フランスには、モロッコの人、アラブ系の人々も多いために、その時点でもすでにモロッコ勢はシャンゼリゼに集結し、大いに盛り上がっていました。

 フランスが準決勝進出を決めたときは言うまでもありません。

 モロッコ対フランスの準決勝当日もモロッコを応援する人、フランスを応援する人に紛れて、モロッコのユニフォームを着て、フランス国旗を振っているようなどちらも応援しているような人も少なくありません。

 今回の準決勝には、まさかのマクロン大統領までがカタールに応援に出向くという熱の入り方、しかし、一応、メディアは彼にも注目はしますが、大統領でさえも存在感が小さく感じられるほど、フランスのサッカーチームは、いまをときめくスーパースターなのです。


 サッカーの応援の様子などを見ていると、彼らの興奮の仕方というのは、激しいもので、変な言い方をすれば、血が騒いでいる・・その血が日本人とは違う・・と感じてしまいます。

 先週あたりから氷点下の世界になっているこの寒い気候も、インフレやエネルギー不足に喘いでいるこのご時世も、全てどこかにすっ飛んでしまったようで、試合終了後には、おそらくパリのどこにいても、花火がどこかであがっている様子が聞こえてきて、寒さも忘れて、大して着込むこともなく、心底楽しそうにフランスの勝利を喜んでいる人々を見ると、今の時代にこんなに人を幸せな気持ちにしてくれるものは、なかなかないだろうと思うのです。

 あるチャンネルのジャーナリストたちは、シャンゼリゼが見渡せる場所から(屋外)中継していて、一応の防寒はしているものの、この寒さのわりには軽装で、興奮して寒さもなんのそのになっているところ、1人のおじさんジャーナリストが手袋をしているのを突っ込んで、「この人、こんな時に手袋がいるんですよ・・この人は・・」などと笑いのネタにしているほど、もう氷点下の寒さも吹っ飛ばされているようです。

 今年のシャンゼリゼのイルミネーションはシャンパンカラーのレモンイエローですが、そのシャンゼリゼのイルミネーションの並木の間を大勢の人が埋め尽くし、不謹慎な話ではありますが、その脇を取り囲む警察車両の屋根につけられたブルーの回転灯が映えてとてもきれいでした。

 今年は節電のため、イルミネーションは日付が変わる前に消灯されましたが、人は減らずにいつまでもブルーの回転灯だけがシャンゼリゼを灯し続ける光景も、それはそれでまた幻想的できれいなのでした。

 フランスは過去24年間でワールドカップの決勝進出は4回目、最初に優勝したのは1998年のことで、今回のフランスチームのスーパースター・エムバッペ選手はこの年に生まれており、なにか、運命的なものさえ感じてしまいます。

 24年間で4回決勝に進出し、2回優勝しているということは、あらためてフランスのサッカー人気の理由がわかるような気がします。強いから好きになる、さらに応援したくなる、すると、さらに強い選手が集まり、また強くなる・・ますます人気が上昇する・・とプラスの好循環になっているのです。

 フランスの小さい子供のお稽古事?(男の子)のトップは圧倒的にサッカーで、フランスでの圧倒的な人気スポーツの座は揺るぐことがありません。

 日本では人気の野球は、存在すら確認するのが難しいほどで、やっているという人の話は聞いたことがありません。

 もしかしたら、サッカーのワールドカップはオリンピック以上の盛り上がりではないかと思われるくらい、サッカーを応援する人は、年齢層も広く、底辺の人から、エリートまでの広範囲にわたり、その経済効果も大変なものだと思われます。

 このところ、不景気で不安なことばかりに覆われていたフランスが一機にサッカーで運気が上昇しているような、そんな気にさせられる感じです。

 喜びに沸きあがるエネルギッシュな群衆を見ていると、このエネルギーが生活への不満などで、デモとかテロとかに転じずに、国全体でこんなに熱狂的に喜ぶことのできるものがあることが、なんだかうらやましい気もしているのです。

 決勝戦は日曜日、さらに大変な騒ぎになりそうで、このワールドカップ騒ぎから、すぐにノエル、年末年始のお祭り騒ぎが続きそうな感じです。


2022年サッカーワールドカップ フランス決勝進出


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2022年12月14日水曜日

未成年強姦容疑で身柄拘束されたフランスの人気ユーチューバー YouTube広告収益撤廃

  


 1200万人の登録者を持つフランス第3位の人気ユーチューバーであるノーマン(Norman Thavaud)が、複数の10代の少女や若い女性を巻き込んだ未成年者強姦の容疑でパリ検察庁に身柄を拘束されたという衝撃的なニュースから約1週間、検察庁に身柄拘束された彼は、取り調べに応じ、涙ながらに、陰謀にはめられたとか、相手の女の子があまりにも熱狂的、情熱的だったとか、犯行の事実を否認していると報じられ、結局、48時間の身柄拘束は延長されずに現時点では、起訴されないまま解放されていました。

 しかし、彼の身の潔白が証明されたわけではなく、今後も捜査は継続して行われるとのことで、彼はグレーな存在のままです。

 彼の身柄が拘束されて、すぐに、すでにフランスで最も重要なYouTubeチャンネルを制作しているウェブディア(Webediaグループ)は、「ユーチューバーのNorman Thavaudとのコラボレーションを停止する」と発表していました。

 なにしろ、フランスのユーチューブ界では、大物中の大物の彼、登録者は1200万人近く、これまでの累計再生回数27億回、彼の人気動画には3000万回再生がずらっとならび、中には、8000万回から9000万回再生にもなるものもあるのですから、彼を取り巻くたくさんの人々にも大きな影響が及ぶことになるわけです。

 そして、約1週間経って、Googleプラットフォームは、未成年者へのレイプと汚職で捜査中のユーチューバーのチャンネルから広告を剥奪する制裁を決定しました。YouTubeは数日前から対応を検討しており、ようやくこの制裁を決定したのです。

 YouTubeの広報担当者は、「私たちは、あらゆる形態のセクシャルハラスメントを容認できないと考えています。YouTube動画の内外を問わず、クリエイターの行動が、ユーザー、コミュニティ、エコシステムに害を与えていると判断した場合、被害者を保護するための措置を講じます。」と発表し、現段階での措置は、「無期限での広告剥奪」ですが(動画を公開することはできる)、今後の捜査の進行の結果如何で、また、不適切な事実が確認された場合は、当該アカウントを閉鎖する場合もあるとしています。

 YouTubeがフランスでこのような制裁措置に踏み切ったのは、今回が初めてではなく、同プラットフォームによると、2020年に1件、2021年1件のチャンネルを同様の理由で閉鎖しています。

 このノーマンの騒動で、他にも、8人の女性からレイプと「心理的・性的暴力」で訴えられセクハラで予備調査を受け、また別のレイプ事件の捜査が開始されているユーチューバーがいることも発覚しており、彼に対しても同様の措置がとられる可能性があるとしています。

 いわゆる、これまでの映画やテレビの世界のスター、有名人とは異なり、見せる側も見ている側も、アクセスしようと思えばアクセスできるこれまでにない距離感、独特な存在のユーチューバー。

 人気ユーチューバーは、どこか自由が利きそうではいても、多くの人に顔を晒すという意味では、リスクはつきもので、結局は、非道なこと、あまりに道徳から逸脱したことをすれば、あっという間に晒されてしまうことには、かわりないのです。

 

フランス人気ユーチューバー 広告撤廃


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2022年12月13日火曜日

寒さが最後の後押ししてくれたインフルエンザのワクチン接種

 


 

 昨年の年末は、コロナウィルス感染の広がり方が半端ではなく、ちょっと出かけると、すぐにTous Anti Covid(フランスのワクチンパスポートと感染者追跡アプリ)のアプリにアラートが来て、「感染者に接触しているので、すぐに検査してください」という通知が来るし、ブースター接種が待ち遠しい感じで、もうコロナに感染していないのは奇跡的な感じもしていたので、もしもインフルエンザとコロナウィルスとダブルチョップで襲われることがあったら、大変だと思い、普段は通知が来ても無視していたインフルエンザのワクチン接種を受けていました。

 インフルエンザワクチンなど、もう何十年もやっていなかったこともあるのか、ワクチン接種後は、体調を崩し、熱を出したりしました。

 それでもワクチン接種をしたということは軽くインフルエンザに罹ったようなものなので、まぁ、あり得ることだと、ひたすらドリプラン(アスピリン)を飲んで寝て、数日後には、復活。それから状態が落ち着いてから、コロナウィルスのブースター接種を受けました。

 それから、私は2回目のブースター接種を7月に受けていますが、また、年末を迎えてフランスのコロナウィルス感染は確実に上昇しています。しかし、今年は、コロナウィルスの感染者は昨年ほどではないものの、今年はインフルエンザと細気管支炎との三つの呼吸器感染症の同時流行ということで、また、別の脅威がやってきています。

 やっぱり今年もインフルエンザのワクチンをした方がよさそうだ・・と思いながらも、昨年ワクチン接種後に体調を崩したこともあり、ちょっと腰が引けていました。

 しかし、呼吸器系感染症のトリプル流行の影響で、なんとドリプランの製造が間に合わなくなっているというニュース。フランスでドリプランといえば、アスピリン(解熱・鎮痛剤)の代表的な存在でフランスでは、日本のように風邪薬や鎮痛剤の種類が多くなく、なにかというと、とりあえずドリプラン・・というくらいの薬で、どこの薬局に行っても、いつでも黄色いドリプランの箱は山積みに置かれている薬なのです。

 それだけ、もともと服用する人が多い薬なので、いつでも、どこの薬局に行っても、ドリプランだけはいつでも山積みなのに、それがなんと不足しているとは驚きです。

 そのうえ、先週あたりから、フランスは氷点下の世界に突入して、寒さが一段と厳しくなってきました。氷点下・・マイナス2℃、3℃ということは、冷蔵庫の中よりも寒いのですから、これはたまりません。

 もはやマスクは重要な防寒具の一つで、耳にまでマスクをしたいくらいです。夏の猛暑の時には、寒い方がまだマシだ・・着ればいいんだから・・などと言っていたくせに、寒ければ寒いで、やっぱり寒いのも嫌なのです。

 これは、いよいよやばいと思い、届いていたインフルエンザのワクチン接種券をもって薬局に行くと、すぐにできるわよ!ということで、その場でやってもらうことに・・。薬局のレジで受付を済ませると、「じゃあ、ちょっと、あっちの部屋で待ってて・・」と言われて、待っていると、受け付けしてくれた人とは別の男性が部屋に来て、「マスクを外してください・・」と・・。

 えっ?ワクチン接種になぜマスクを外すの?と怪訝な顔をすると、「え?PCR検査ちじゃないの?」と、どうやら、検査に来ているのだと勘違いしている様子。おそらく、現在のところ、インフルエンザのワクチン接種をする人よりも圧倒的にPCR検査をしに来ている人の方が多いことがうかがえます。

 考えてみれば、パンデミック以来、ワクチン接種にしてもPCR検査にしても、すっかり薬局に来る機会が増えたもんだと思いながら、受けつけしてくれた女性を待っていると、間もなく彼女がやってきて、「腕を出してください・・」と促され、腕を出したところで、「風邪ひいてませんね、熱ありませんね・・」と確認。そのうえ、「今年のワクチンはちょっと痛みが強いかもしれないし、その痛みが2日くらい続くかもしれないし、場合によっては、熱が出たりするかもしれません・・でも怖がらないで・・大丈夫だから・・」と思いっきり怖がらせるのです。

 もう腕をまくっている状態で、そんなことを言われて、「先に言ってくれれば、やめてたかも知れないの!今になってそんなこと言わないでよ!・・」と半べそをかきながらも、もう今さら引くに引けない状態。まるで子供の注射イヤイヤ状態。

 たしかに、いつもよりは痛い感じはしたし、翌日まで腕は痛かったものの、今年は、熱を出すことはありませんでした。

 帰りに「ドリプランが不足しているって聞いたけど・・」と聞いてみたら、なんで知ってるの?みたいな顔をして、ちょっとびっくりされましたが、「大丈夫、まだ、うちには在庫あるから・・」と軽くいなされました。

 それにしても、ここのところのフランスの冬はこんなに寒かったかな?とちょっと、引くほどの寒さです。ここ2年間、冬の間、あまり出歩かなかったせいか、今年の氷点下の冬はことさら寒さがきつく感じます。

 しかし、尻込みをしていたインフルエンザのワクチン接種もドリプラン不足と極寒に後押しされて、ようやく済ませました。

 毎日のように公共交通機関や屋内でのマスク着用を義務化にするかどうか?という話をしていますが、フランス人の間でも、2年前のようにマスクを毛嫌いする感じは薄れ、必要があればする人も増えたので、ずいぶん、フランスも変わったな~~と思いながら、防寒具としても、今年はマスクが手放せない・・なんならカシミアのマスクが欲しい・・などと思っているのでした。


インフルエンザワクチン接種


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2022年12月12日月曜日

パリのバス停はおばちゃんの井戸端会議の場

 


 私がフランスに来る前の印象では、フランス人はツンとしていて、なかなか感じ悪い印象がありました。実際に、パリに旅行で来た時(といっても、かなり前の話ではありますが・・)には、何か英語で尋ねても、わからないふりをされたりしたことがあったりしたためで、「フランス人ってほんと、感じ悪い!」と思っていました。

 そのころとは時代も変わり、こちらから頼まなくてもレストランなどで英語で話してくれたりするようになって、今となっては、逆に突然の英語にドギマギするほどなのですが、考えてみれば、日本人だって、日本で突然、英語で話しかけられれば、「ノー!イングリッシュ!」などと拒絶する人はいるだろうし、まぁ、似たり寄ったりのところはあるのかもしれません。

 しかし、実際に生活してみれば、フランス人というのは、とかく話題に加わりたがる人たちで、知らない人とでも、気さくに話かけることが多い気がします。

 最近、特に思うのは、パリのバス停というのは、知らないおばちゃんたちが、世間話に花を咲かせる場であるということです。先日もバスで出かけようとして、バス停に向かい、バス停にたどり着くと、まず、私の乗りたいバスがあと何分で来るのかをチェックするのですが、同じようにバスを待っているおばちゃんたちが、待ってましたとばかりに、私の顔色をのぞき込み、けっこう待ち時間が長いのを知った私が、うんざりした顔をすると、「バーウィ~!」(そうでしょ!みたいな意味)と言ったのを機に、おばちゃんたちの井戸端会議がスタートしたのです。

 井戸端会議というより、グチの吐きあいというか、まず、パリの交通機関のトラブル自慢大会で、「この間、どこだかに出かけるのに2回乗り換えに2回ともそれぞれ40分以上待たされた・・」「そのうえ、Navigo(パリ近郊の定期券のようなもの)はまた値上げ!84€になるんだってよ!」、「バスを30分以上待っていても、そのあとに続けて2台同じ行先のが来るのは、お決まりのパターンでしょ!」「運転手のせいではないけど、どうにかするべきでしょ!」

 「なにもかもが値上がりするうえに、停電するかもしれないんでしょ!」「いやいや、停電はしないと思うけど、一度、暖房が切れて、部屋が冷えて、温めなおすには、3倍の電気がいることになるのよ!」「3倍かかる電気代を払うのは私たちなのよ!」「もう、支払いのために働いているみたいでしょ!もう仕事やめたい!」(インフレ関係なく支払いのために仕事をしているのは、変わりないけどな・・などと思いながら聞いていました)

 おばちゃんたちのおしゃべりは、バスが来るまで止まることはありません。これが世間の生の声というものか・・などと思いながら、私は、炸裂するパリのおばちゃんパワーに適当に相槌をうちながら、けっこう楽しみながら、退屈せずにバスを待つことになります。

 もちろん、このおばちゃんたちは知り合いでもなんでもなく、その場限りの通りすがりの人たちなのですが、そこそこの発散の場になっているのかもしれません。

 そんなおばちゃんたちに遭遇するのが、以前よりも頻繁になっている気がするのは、世間の不満が高まっているということなのか? 私がそのおばちゃんたちの空気を妨げないものを身に着けてきたのかはわかりませんが、否応なしに待たされるバス停という場は、意外にも井戸端会議の場になっている気がしてなりません。

 そんな気がしてくると、もうバス停で座っているおばちゃんがいるだけで、もう話をしようと待ち構えているような気さえしてきて、また、予想どおりに、かなりの割合で話が始まるのも、苦笑いしながら、「やっぱりまただ・・」などと思うのです。

 日本だったら、絶対にないと思われるバス停での知らないおばちゃんとのおしゃべり、とにかくフランス人はツンとしているどころか、話好きの人が多いことは、間違いないと確信に変わり始めています。


パリのバス停 井戸端会議


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