2025年12月6日土曜日

永遠の汚染化学物質PFASのひとつTFA(トリフルオロ酢酸)がフランスの水道水の92%に存在している

  


 フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)は今週、飲料水中に人体への潜在的有害性を持つという残留性汚染物質が含まれているという調査結果を発表しています。

 この調査はANSES(フランス食品環境労働安全庁)が2023年から2025年にかけて実施した飲料水中のPFAS(フルネームでパーフルオロアルキル化およびポリフルオロアルキル化)濃度測定のための全国キャンペーンの結果をもとに発表されています。

 まず、このPFASですが、これは私たちの日常生活の中、鍋、肉、薬品、化粧品、水、その他食品など、どこにでも存在する「残留性汚染物質」通称「永遠の汚染化学物質」とも呼ばれる危険で耐性のある物質です。

 このキャンペーンは原水および水道水における新興化合物に関する理解を深めることを目的として行われたものでした。

 その結果、分析された35種類のPFASのうち、原水サンプルで20種類、水道水サンプルで19種類が検出されています。

 今回、特に問題視されているのは、その中の「TFA・トリフルオロ酢酸(TFA、化学式CF₃COOH)」という物質で、これが分析された水サンプルの92%という非常に高い割合で含まれていたというものです。

 この数値はフランス本土および海外領土を含むフランス全土で採取された647の原水源(河川、池、湖、地下水、井戸など)と627の水道水サンプルから得られたものです。

 このTFAは大きく言えば、PFAS類に属する残留性汚染物質の中の一つなのですが、92%ということは、フランスのほぼ全ての水域に存在しているということになります。

 これまでこのTFAは、あまり注目されていなかったこともあり、長期データが存在しないということですが、動物実験によると、TFAは、肝臓や生殖能力に有害である可能性があり、先天性欠損症を引き起こす可能性もあると言われています。

 欧州全体で行われる来月からの義務的なモニタリングの対象となる20種類のPFASには、TFAが含まれておらず、フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)はTFAをこのリストに追加することを勧告しています。

 TFAについては、あまり知られていないのですが、非常に小さく、移動性が高く、残留性の高い物質であり、ろ過が非常に困難で、実質的に分解できません。TFAは冷蔵に使われるフッ素化ガスの大気分解や除草剤フルフェナセットの製造業者からの排出など、複数の産業および農業起源です。

 一方でこのTFAは、「植物保護製品や医薬品(抗糖尿病薬、抗ウィルス薬、抗HIV薬、がん治療薬などの製造における原料」でもあり、まさに毒にも薬にもなる物質であるとも言えます。

 しかし、水道水にまでその汚染が及んでいるとなれば、知らない、わからないでは済まされません。

 多くのミネラルウォーターの水源での汚染がもうこれまでのろ過では済まなくなっているということは、水道水にも影響が出ているのは当然のこと。

 そして、問題は、今までは存在しなかった汚染物質が生じてきて、安全のための規制がそれに即したものではなくなっているということなのかもしれません。


永遠の汚染物質PFAS TFA


<関連記事>

「熱い水道水は飲まないでください」 

「ネスレグループのミネラルウォーターは、違法精製水を販売していたという大スキャンダル」 

「マクドナルドの水が呼び起こす大論争 Eau by McDonald's」 

「コントレックスとエパールに計測不能レベルのマイクロプラスチック汚染」 

「まだ、解決していなかったネスレグループ ミネラルウォーター問題 ペリエ水源汚染」 


0 コメント: